暗号資産(仮想通貨)をめぐる日本のルールは、2025年から2026年にかけて骨組みそのものが動いています。金融庁の審議会が根拠法の見直しを打ち出し、暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正法が2026年に成立しました。情報開示やインサイダー取引規制の新設、税制の見直し議論もあわせて進んでいます。
こうした変化は、暗号資産を扱う交換業者や発行体だけでなく、これからWeb3・ブロックチェーン事業に踏み出そうとする一般の事業会社、暗号資産を保有する投資家にも影響します。断片的なニュースだけでは「今どのルールが効いていて、これから何がどう変わるのか」を掴みにくいのが実情です。
この記事では、日本の暗号資産規制の現在地を整理します。現行の枠組みから、金商法への根拠法移行、税制、ステーブルコイン、海外との比較、そして事業者が取るべき対応まで、「すでに決まったこと」と「これから検討・施行されること」を切り分けながら解説します。
目次
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現在の暗号資産規制の全体像(定義・登録制・JVCEA)
まず、2026年9月時点で効力を持つ現行のルールを押さえます。日本の暗号資産規制は「資金決済法による定義と登録制」と「業界団体による自主規制」の二層構造で成り立っています。
資金決済法における暗号資産の定義
暗号資産は、資金決済に関する法律(資金決済法)第2条第14項で定義されています。代価の弁済のために不特定の者に対して使用でき、電子的に記録・移転できる財産的価値が該当し、法定通貨や有価証券、電子決済手段は除かれます。
この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。(略)
出典:資金決済に関する法律 第2条第14項|e-Gov法令検索
一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(略)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
暗号資産交換業は金融庁の登録制
暗号資産の売買や交換、管理などを業として行う「暗号資産交換業」は、資金決済法第63条の2により内閣総理大臣(金融庁)の登録を受けた事業者だけが行えます。登録には財務要件や利用者資産の分別管理、システムリスク管理などの態勢が求められ、無登録での営業は禁止されています。
暗号資産の交換・管理は金融庁登録が前提になるため、事業として関わる場合は登録要件の充足が出発点になります。
出典・参考資料(1件)
JVCEAによる自主規制
登録制に加えて、業界団体による自主規制も規律の一翼を担います。日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)は、資金決済法にもとづく認定を受けた自主規制団体として、取扱銘柄の審査基準や広告規制などの自主規制規則を定めています。
(当協会は)会員の行う暗号資産交換業、電子決済手段等取引業及び資金移動業並びに暗号資産等関連デリバティブ取引業の自主規制団体であり、資金決済法に基づく「認定資金決済事業者協会」と金融商品取引法に基づく「認定金融商品取引業協会」を兼ねております。
出典:協会について|日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)
金融庁の登録という公的な規制と、JVCEAの自主規制が組み合わさって、現在の暗号資産取引の枠組みが形づくられています。この土台の上で、次に述べる根拠法の移行が進んでいます。
資金決済法から金融商品取引法へ——根拠法移行の核心
ここからは、現在進んでいる改正の中心である「根拠法の移行」を解説します。暗号資産の取引に関する規制は、これまでの資金決済法から、株式や債券などを規律する金融商品取引法へと移されることになりました。
この見直しの出発点は、金融庁の金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」が2025年12月10日に公表した報告書です。報告書は、暗号資産が投資対象として広がり、詐欺的な投資勧誘なども生じている現状を踏まえ、その特性に応じた金融商品としての規制を整備して利用者保護を充実させる方針を示しました。あわせて、規制の見直しは暗号資産投資に「お墨付き」を与えるものではないことも明記しています。
暗号資産は一般に何らかの法的な権利を表章するものではなく、また、収益の配当や残余財産の分配等は行われないなど、その性質は金商法上の有価証券とは異なるため、有価証券とは別の規制対象として金商法に位置付けることが適当である。
出典:金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(2025年12月10日)|金融庁
報告書によれば、国内の暗号資産の口座開設数は延べ1,300万口座を超え、利用者の預託金残高は5兆円以上(2025年10月時点)に達しています。投資対象としての広がりが、有価証券に近い規律を求める背景になっています。
この報告書を受けて、政府は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案」を2026年4月10日に第221回国会へ提出しました。同法案は衆議院・参議院で可決されて2026年7月15日に成立し、同年7月23日に法律第64号として公布されています。
暗号資産に関する規定の施行は公布から1年以内とされているため、2026年9月時点では成立・公布済みで施行前の段階にあり、遅くとも2027年7月ごろまでに施行される見込みです。法案の説明資料では、移行の内容が次のように整理されています。
暗号資産取引に係る規制を資金決済法から金商法に移管し【資金決済法第3章の3の削除等】、有価証券とは異なる金融商品として金商法に位置付けた上で、利用者保護の充実を図る
出典:金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2026年4月)|金融庁
移行によって具体的に何が変わるのか。報告書と改正法は、大きく3つの柱で規律を強化しています。

情報開示の充実(発行時・継続開示)
1つ目は、利用者の取引判断に必要な情報を提供する仕組みです。報告書は、新規に暗号資産が販売される場合と、既に流通している暗号資産が売買される場合の双方で、適切な情報提供が重要だとしています。
利用者が行う暗号資産の取引は、有価証券の取引と類似し、新規に暗号資産が販売される場合と、既に流通している暗号資産の売買等の場合がある。いずれの場合においても、利用者に対し取引判断等にとって必要な情報が提供されることが重要である。……利用者に対し新規販売時の情報提供及び継続的な情報提供が適切に行われる必要がある
出典:金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(2025年12月10日)|金融庁
改正法では、重要な事象が生じた場合の臨時情報と、年1回の定期情報の公表が求められ、虚偽記載には有価証券並みの罰則や課徴金、民事責任が整備されます。
出典・参考資料(1件)
不公正取引・インサイダー取引規制の新設
2つ目は、公正な取引環境を守るためのルールです。これまで暗号資産には、株式のようなインサイダー取引規制が明確に設けられていませんでした。報告書は、投資対象化が進むなかで不公正取引を抑止する必要性が高まっているとして、規制の整備を求めています。
我が国においても、暗号資産の投資対象化が進展する中で、暗号資産取引の公正を害するような不公正取引を抑止し、健全かつ公正な取引環境を実現する必要性が増しており、国際的な情勢も踏まえると、暗号資産のインサイダー取引規制を整備すべきであると考えられる。
出典:金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告(2025年12月10日)|金融庁
規制は、上場有価証券などのインサイダー取引規制の枠組みを基礎に、暗号資産の性質を踏まえて調整されます。分散型取引所(DEX)や利用者間の直接取引も対象に含める方針が示されています。
禁止される取引の骨格は改正法に定められていますが、「重要事実」の具体的な範囲や課徴金の算定といった運用上の細目は、2026年9月時点では確定していません。これらは改正法の施行に向けて、今後の政令・内閣府令などで整備される見込みです。事業者は、報告書が示した方向性を踏まえつつ、施行に向けて公表される下位法令を確認していく必要があります。
交換業者・関連業者の監督強化
3つ目は、事業者に対する監督です。暗号資産取引業者には、証券会社などと同じ第一種金融商品取引業に相当する規制が適用されます。
(暗号資産取引業者には)第一種金融商品取引業に相当する規制を適用。現行法の安全管理措置(原則コールドウォレット等での管理)等に関する規制については、金商法に同様の規制を設ける
出典:金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料(2026年4月)|金融庁
利用者資産の管理などの安全管理措置は金商法へ引き継がれ、無登録業者への対応強化や、暗号資産を対象とする投資運用・投資助言への規制も盛り込まれています。
暗号資産の税制——総合課税の現状と分離課税をめぐる見直し議論
ここからは、事業者や投資家の関心が高い税制を扱います。税制については「現在すでに適用されている扱い」と「これから導入が予定されている扱い」を切り分けて理解することが重要です。本章で解説するのは個人の課税です。
法人が暗号資産を保有・取引する場合は、法人税の枠組みで別途扱われます。近年の税制改正では、自社が発行して継続保有する暗号資産が、期末時価評価課税(保有しているだけで含み益に課税される扱い)の対象から外れました。第三者が発行した暗号資産も、一定の要件を満たして継続保有する場合は原価法を選べる(期末時価評価の対象外にできる)ようになり、事業として保有しやすくする見直しが先行しています。
現行は雑所得・総合課税
2026年9月時点で適用されている扱いでは、個人が暗号資産取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、総合課税の対象になります。給与などほかの所得と合算して累進税率で課税されるため、住民税とあわせた税率は最大で約55%に達します。
暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)2-2|国税庁
暗号資産の証拠金取引についても、株式の信用取引やFXのような申告分離課税は適用されず、総合課税で申告することが国税庁のFAQで示されています。個人の暗号資産取引の利益は、現時点では総合課税が原則です。
出典・参考資料(2件)
分離課税への見直しは「大綱で示された方針」の段階
一方で、税制を見直す議論も進んでいます。2025年12月19日に与党が公表した令和8年度税制改正大綱では、暗号資産の所得を上場株式などと同様の申告分離課税(税率20.315%)とする方針が示されました。損失を翌年以後3年間繰り越せる仕組みも検討されています。
ただし、これは大綱で示された方針であり、2026年9月時点でただちに分離課税が適用されるわけではありません。対象は国内の登録業者を通じて取引される特定の暗号資産に限られる見込みで、分離課税の適用は金商法改正の施行に連動し、2028年(令和10年)1月1日以降になるとみられています。現時点での課税はあくまで前述の総合課税です。
ステーブルコインの規制(電子決済手段)
暗号資産と混同されやすいステーブルコインは、別の枠組みで規律されています。法定通貨の価値に連動し、同額での償還を約束するタイプのステーブルコインは、資金決済法上の「電子決済手段」として位置づけられます。
電子決済手段は、通貨建資産に限られる点で、通貨建資産を除いて定義される暗号資産とは区別されます。この規制は2022年の資金決済法改正で整備され、2023年6月に施行されました。

2022 年の資金決済法の改正により、いわゆるステーブルコインに係る規制の整備が行われている(2023 年6月施行)。
出典:金融審議会 暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告 脚注|金融庁
電子決済手段として規律されるステーブルコインの発行者は、保有者の請求に応じて額面と同額で償還する義務を負います。あわせて、裏付けとなる資産を発行形態に応じた信託や預貯金などで保全することが求められます。価値の裏付けと償還を制度で担保する点が、そうした裏付けを前提としない暗号資産との本質的な違いです。
ステーブルコインの売買や管理などを行う事業者には、電子決済手段等取引業の登録が必要です。金商法へ移行する暗号資産とは別枠であり、事業でステーブルコインを扱う場合はこの枠組みを確認する必要があります。
自社でステーブルコインの発行や活用を検討する場合は、種類ごとの規制の違いや発行までの流れを踏み込んで押さえておくと判断しやすくなります。以下の記事で整理しています。
海外の潮流と日本の位置づけ(EUのMiCA)
日本の規制強化は、世界的な流れのなかにあります。海外の動向に照らすと、日本がどの位置にいるかが見えやすくなります。
EUでは、暗号資産の包括的な規制枠組みであるMiCA(Markets in Crypto-Assets Regulation)が2023年6月に発効しました。ステーブルコイン関連の規定が先行して適用され、暗号資産サービス提供者に関する規定を含めて2024年12月30日に全面適用となっています。EUは、加盟国共通のルールで暗号資産事業者にライセンスと情報開示を求める体制へ移りました。
米国でも、ステーブルコインを中心に連邦レベルの法整備が進んでいます。2025年7月には決済用ステーブルコインの連邦規制法(通称GENIUS法)が成立し、発行者を許可制とし、発行残高と同額以上の高流動性資産(現金や短期国債など)を準備資産として保有することを求める枠組みが整えられました。
暗号資産を投資商品として規律し開示と不公正取引規制を整える方向と、ステーブルコインに裏付けと償還の規律を課す方向で、各国が規制整備を同じ方向で進めています。日本の金商法移行や電子決済手段の枠組みも、こうした各国の動きと同じ方向にあります。
出典・参考資料(2件)
改正が事業者に与える影響——登録・開示・税務・事業計画
ここからは、金商法移行が事業者の実務に何を意味するかを、立場別に整理します。自社がどの立場に近いかを確かめながら読み進めてください。
暗号資産交換業者への影響
現在の暗号資産交換業者は、施行後は金商法の暗号資産取引業者として規律されます。準備の観点で押さえたいのは、前述の情報開示や不公正取引規制といった新たな義務に対応する社内態勢の整備です。既に第一種金融商品取引業の登録を持つ事業者が暗号資産取引業を行う場合は、変更登録が求められます。
施行時の既存業者の具体的な扱い(経過措置)や手続きは、今後整備される政令・内閣府令や監督指針で定められます。既存の登録業者は、これらの公表を注視する必要があります。
発行体・トークン発行事業者への影響
暗号資産を発行する事業者には、新規販売時と継続的な情報公表の義務が生じます。発行するトークンの設計段階から開示体制を織り込み、公表すべき情報や社内の作成・チェック体制をあらかじめ整えておくことが求められます。虚偽記載には罰則や課徴金、民事責任が伴うため、開示の正確性を担保する運用が欠かせません。
新規参入の一般事業会社が押さえるべき点
これからWeb3・暗号資産事業に参入する一般の事業会社も、無関係ではありません。暗号資産を投資対象とする投資運用や投資助言は、投資運用業・投資助言業の規制対象に含まれます。自社サービスへのトークン導入や暗号資産の取り扱いを検討する際は、どの業務がどの登録・規制に該当するかを、事業計画の初期段階で見極めることが欠かせません。
事業者が今取るべき対応
改正法は成立済みで、施行に向けて政省令や監督指針の整備が続きます。まず、規制と税制の主な動きを時系列で整理します。
| 時期 | 主なできごと |
|---|---|
| 2025年12月 | 金融審議会WGが報告書を公表。令和8年度税制改正大綱で分離課税への移行方針が示される |
| 2026年7月 | 改正法が成立(7月15日)・公布(7月23日、法律第64号) |
| 施行まで (公布から1年以内・遅くとも2027年7月ごろ) | 政省令・監督指針が整備される。事業者は情報開示・不公正取引規制への態勢整備を進める |
| 施行後 | 暗号資産取引が金商法で規律され、情報開示・インサイダー取引規制が適用される |
| 2028年1月以降 (見込み) | 特定暗号資産の譲渡益に申告分離課税(20.315%)が適用される見込み |
このスケジュールを踏まえ、事業者が今から進められる対応を3点にまとめます。
- 登録・自主規制対応の確認: 自社の事業がどの登録(暗号資産交換業・電子決済手段等取引業・投資運用業など)に該当するかを整理し、JVCEAの自主規制規則も含めて要件を確認する。
- 規制改正のモニタリング: 施行日や政省令・監督指針の公表を継続的に追い、開示・不公正取引規制への態勢整備のスケジュールを立てる。
- 専門家の活用: 金融規制やライセンス取得は当局とのやり取りや実務運用への落とし込みが難しい領域のため、規制対応に精通した専門家やコンサルティングの活用を検討する。
とくに新規参入や態勢構築の場面では、制度を知識として押さえるだけでなく、実際の業務が回る形に落とし込めるかどうかが成否を分けます。
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Web3・暗号資産事業の規制対応を支援するサービス
金融規制への対応やライセンス取得は、当局とのやり取りや実務運用への落とし込みなど専門性が高い領域です。ここでは、暗号資産・Web3事業の規制対応を支援するサービスを紹介します。
| サービス名 | finoject | Consensus Base(Web3事業立ち上げ・導入支援) |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社finoject | コンセンサス・ベイス株式会社 |
| 規制・ライセンス対応の支援内容 | ライセンス登録支援 コンプライアンス態勢構築(規制対応) AML/CFT態勢構築 システム構築支援 | 金融規制への対応支援(資金決済法・金商法等のスキーム設計) トークンエコノミクス構築 スマートコントラクト設計 |
| 対応領域 | 暗号資産・ステーブルコイン・デジタル証券(セキュリティトークン) | Web3事業全般(トークン化・DeFi・NFT・DAO・RWA・ステーブルコイン等) |
| 特徴 | 元bitFlyer HD代表・元日本暗号資産取引業協会会長による当局対応。金融庁「FinTech実証実験ハブ」支援案件に決定。ライセンス取得から運用まで一貫して伴走 | 累計43社・103件超のWeb3実績。ソフトバンク・大和総研・GMO・NEC等の大手対応。事業側と技術側の両面対応(日本初のブロックチェーン技術専門企業) |
| 料金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ(初回ヒアリング無料) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
1. finoject(株式会社finoject)

finojectは、大企業から中小企業までのWeb3・ブロックチェーン領域への参入を、事業設計から支援する株式会社finojectのコンサルティングサービスです。暗号資産交換業などのライセンス取得支援や、資金決済法・金商法を踏まえた規制対応、AML/CFT(マネーロンダリング・テロ資金供与対策)態勢の構築を主軸としています。
強みは、金融庁とのやり取りを含む当局対応の実務知見です。ライセンス取得をゴールにせず、取得後に業務が滞りなく回る態勢まで一貫して設計する点を特徴に掲げています。事業をゼロから検討する初期段階での相談にも対応し、白紙の状態からスキームを設計できる点も特徴です。
ライセンス取得後に実務が回る態勢をどう作るかという点について、同社代表取締役の三根氏はインタビューで次のように述べています。

机上の整理で終わらせないことを最も重視しています。ライセンス取得はあくまでスタートラインであり、取得後に実際の業務が滞りなく回ることがゴールです。そのために、態勢構築の段階から実務を想定した設計を行い、マニュアルやフローを作って終わりではなく、実際に運用してみた際に起こりうる課題まで想定した仕組みづくりを心がけています。
2. Web3事業立ち上げ・導入支援コンサルティング(コンセンサス・ベイス株式会社)

コンセンサス・ベイス株式会社のWeb3事業立ち上げ・導入支援コンサルティングは、企業のWeb3事業の立ち上げや既存サービスへのWeb3導入を、戦略立案から技術実装、組織構築まで一気通貫で支援します。2015年設立の同社は、ブロックチェーン技術の専門企業として累計100件以上のプロジェクトを手がけてきた実績を持ちます。
規制対応の面では、資金決済法・金商法などの日本の金融規制に沿ったスキーム設計を支援します。ステーブルコイン事業の戦略立案や導入支援など、金融規制対応が必要な領域での実績を持ち、事業側と技術側の両面から課題を解決できる点を強みとしています。料金はプロジェクトごとの個別見積もりで、初回ヒアリングは無料です。
まとめ
日本の暗号資産規制は、資金決済法による定義・登録制とJVCEAの自主規制を土台に、金融商品取引法への根拠法移行という大きな転換期を迎えています。押さえておきたいポイントを整理します。
- 根拠法の移行は成立済み・施行前: 暗号資産取引の規制を資金決済法から金商法へ移す改正法は2026年に成立し、公布から1年以内に施行される。情報開示・インサイダー取引規制・業者監督の3つの柱が強化される。
- 税制は現行の総合課税が適用中: 個人の暗号資産取引益は原則として雑所得・総合課税(最大約55%)。分離課税20.315%は税制改正大綱で示された方針で、金商法施行に連動して2028年以降の適用が見込まれる。
- 立場に応じた対応を早めに: 交換業者・発行体・新規参入企業のいずれも、自社が該当する登録・開示・税務を確認し、規制対応に精通した専門家の活用も視野に態勢を整える。
「すでに決まったこと」と「これから施行・検討されること」を切り分けて捉えることが、暗号資産事業や投資判断を進めるうえでの出発点になります。自社の状況に合わせて、必要な対応を確認してください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 暗号資産とは法律上どのように定義されていますか?
A. 暗号資産は、資金決済法第2条第14項で「代価の弁済のために不特定の者に対して使用でき、電子情報処理組織を用いて移転できる財産的価値」と定義されています(本邦・外国通貨、通貨建資産、電子決済手段は除かれます)。法定通貨や有価証券とは別のものとして位置づけられており、この定義が暗号資産交換業の登録制など現行規制の出発点になっています。
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Q. 暗号資産の規制は現在どの法律に基づいていますか?
A. 2026年9月時点の暗号資産規制は、資金決済法にもとづく定義・登録制と、日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)の自主規制で成り立っています。暗号資産取引の規制を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移す改正法は2026年に成立しましたが、施行はこれからのため、現時点で効力を持つ根拠法は資金決済法です。
Q. 暗号資産の金融商品取引法(金商法)への移行はいつからですか?
A. 金商法への移行を定めた改正法は2026年に成立済みですが、施行は公布から1年以内とされており、2026年9月時点では施行前です。施行後は暗号資産取引の規制が金商法へ移り、情報開示の充実・インサイダー取引を含む不公正取引規制の新設・交換業者への監督強化という3つの柱が加わります。正確な施行日は政省令や監督指針の整備とあわせて示されるため、最新の公表を確認する必要があります。
Q. 暗号資産の取引で得た利益にはどんな税金がかかりますか?
A. 2026年9月時点では、個人が暗号資産取引で得た利益は原則として雑所得に区分され、総合課税の対象になります(ほかの所得と合算され、住民税とあわせた税率は最大で約55%)。上場株式などと同じ申告分離課税(税率20.315%)とする案は令和8年度税制改正大綱で示された方針で、金商法改正の施行に連動して2028年以降の適用が見込まれます。現時点で分離課税が適用されているわけではありません。
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Q. ステーブルコインは暗号資産と同じ規制の対象ですか?
A. 法定通貨の価値に連動し同額での償還を約束するステーブルコインは、暗号資産とは別枠で、資金決済法上の「電子決済手段」として規律されます。通貨建資産に当たる点で、通貨建資産を除いて定義される暗号資産と区別され、売買や管理を行う事業者には電子決済手段等取引業の登録が必要です。金商法へ移行する暗号資産とは規制の枠組みが異なります。
Q. 暗号資産交換業を始めるには何が必要ですか?
A. 暗号資産の売買・交換・管理を業として行うには、資金決済法第63条の2にもとづく金融庁(内閣総理大臣)の登録が必要で、あわせてJVCEAの自主規制規則にも従います。登録には財務要件や利用者資産の分別管理、システムリスク管理などの態勢が求められます。金商法移行後は暗号資産取引業として第一種金融商品取引業に相当する規制が適用される見込みで、情報開示や不公正取引規制への態勢整備も必要になります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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