インタビュイー:
株式会社Wheat 代表取締役 佃 誠吾
改めてWheat Accountingのサービス概要を教えてください
Wheat Accountingは、中小企業やスタートアップのお客様に向けた経理アウトソーシングサービスです。記帳や仕訳作成、請求書発行、売掛金管理、経費精算、振込対応、給与計算、月次決算といった経理業務全般を当社が代行し、税務申告については税理士、社会保険や労務については社労士と連携しながら、バックオフィス全体をワンストップでサポートしています。
お客様にお願いしているのは「データを決まった場所に格納していただく」ことと、「当社のアウトプットをご確認いただく」ことの2点だけです。この2点に絞り込むことで、経営者や担当者の方が本来集中すべき事業活動に、時間をしっかり使っていただける環境を提供いたします。
Wheat Accountingを立ち上げた経緯や開発背景を教えてください
私の原点は、事業会社の経営企画部門で培ったバックオフィス全般の知見にあります。その後、大企業向けのコンサルティングに従事する中で、「このスキルやノウハウをもっと多くの企業様へ還元できるのではないか」という思いが強まり、本事業を立ち上げました。
数ある領域の中で経理代行を選んだのは、経理はあらゆる企業にとって欠かせない「経営の基盤」だからです。この普遍的な領域を整えることで、幅広い経営支援へと繋げていきたいと考えています。
実際に現場の声を聞くと、税務の専門性だけでは解決できない課題が多く存在していました。特に年商1億円未満のフェーズでは、日々のこまかな業務フローの構築やバックオフィス全般で包括的なサポートを切望されているケースが少なくありません。私たちは、そうした「士業の範疇」を超えた実務領域にこそ、徹底して寄り添える存在でありたいと考えています。
競合他社と比較した際の強みは何ですか?
当社の強みは、「会計」と「IT」の高度な融合による独自の専門性です。会計の深さでは、会計士や税理士の方々には適わない部分もあります。ですが、ITを組み合わせることで、より現場に即した、よりより生産性の高い価値を生み出せると確信しています。この「掛け合わせ」こそが、お客様に貢献するための私たちの武器です。
当社が定義する「ITの専門性」とは、単なるシステム知識ではありません。お客様の事業構造を深く理解したうえで、最適なツールを選定し、実効性のあるオペレーションを組み立てる力を指します。「事業」と「ツール」の両面を熟知して初めて、現場で真に機能する経理体制が構築できるのです。
また、業務プロセス構築を当社がリードする点も大きな特徴です。多くの代行会社が「依頼された作業の遂行」に留まるのに対し、私たちは「あるべき業務フロー」そのものをゼロから一緒に設計します。単なるアウトソーシング(代行)ではなく、設計から実運用までを一気通貫で担う構想力こそが、多くのお客様から評価をいただいている理由です。
「経理DXとプロの運用を両立する」という打ち出しをされていますが、DX推進とアウトソーシングを同時に進められる仕組みについて教えてください
多くの企業様では、長年続けてきたアナログな業務フローの上に、クラウド会計などのツールを「後付け」しているのが実情です。しかし、これでは従来のオペレーションに足を取られ、IT導入のメリットを十分に享受できません。
当社ではここを、ゼロベースで組み立て直すところから着手します。過去の慣習にツールを合わせるのではなく、「今のツールを最大限活かすには、どう業務を組むのが最適か」という視点で設計を行います。そのうえで、設計したプロセスに沿って当社が実運用まで担当しますので、DXの推進と、プロによる実務運用が同じ流れの中で進んでいく仕組みになっています。
「アウトソーシングで運用は楽になったが、仕組みは旧態依然としたまま」、あるいは「ツールを刷新したが、現場の運用が追いつかない」。こうした二極化の課題を、高い次元で両立・解決できるのがWheat Accountingの独自性です。私たちは、最新のデジタル環境を構築すると同時に、それをプロの力で確実に回し続ける「実効性」を提供します。
Wheat Accountingの導入を主導するのは、どの立場の方が多いですか?
お客様の規模によって、ご相談のきっかけや意思決定のプロセスは異なります。
年商10億円未満の企業様では、経営者や代表者様が自ら意思決定を下されるケースが主流です。一方、年商10億円を超える規模になると、管理部門の責任者様が主導される場面が増えてきます。現場の担当者様が抱く問題意識がきっかけとなることもあれば、管理部長クラスの方から直接ご相談をいただくことも少なくありません。
いずれの場合も、対話を通じて当社の「業務プロセス設計における解像度の高さ」を実感いただき、最終的なパートナーとしてお選びいただくことが多いと感じています。
相談が多い導入理由は何ですか?
最近特に多いご相談は、「急な退職で経理が止まってしまった」「担当者にしかやり方がわからない」といった、退職と属人化にまつわる切実な課題です。自走できる経理人材を新たに採用する場合、年収600万〜700万円程度の費用負担が生じるだけでなく、採用後の教育や管理負担も決して軽くはありません。中小企業にとって、これほどの人件費を「固定費」として抱え続けることは、経営上の大きなリスクになりかねません。当社のサービスを活用いただくことは、固定費を抑えつつ専門性を確保する、極めて合理的な選択肢となります。
また、事業の急拡大に伴い、従来の体制では経理業務が追いつかなくなった成長企業様からのご相談も増えています。
取引件数が急増するタイミングでは、従来のやり方のままでは現場が立ち行かなくなるケースが少なくありません。こうした状況において、仕組みの刷新と安定した実務運用を同時に実現できる当社のスタイルは非常に親和性が高く、事業成長を止めることのない強固なバックオフィス基盤を提供できます。。
既存の税理士がいる企業から相談を受けた際、「税理士に頼めばいい話では?」と比較されることもあると思いますが、選定の決め手になりやすいポイントは何ですか?
税務の専門家である税理士の先生方は、主に決算や税務申告を担われますが、日々の振込作業や請求書発行、細かな業務プロセスの構築などは、一般的に業務範囲外となります。
当社は、いわば「企業の中の経理部門」として組織の内部に入り込み、実務を動かしていく立場です。税理士の先生が「外側」から会計・税務をチェックされるのに対し、私たちは「内側」から日々のオペレーションを支えるという役割分担になります。
選定の決め手として多いのは、当社の「ビジネスへの理解の深さ」です。事業のプロである経営者様は、私たちがどこまで事業構造を把握し、それを実務に落とし込めるかという「解像度」を非常に重視されています。その一致が見えた瞬間に、深い信頼をいただくケースがほとんどです。
なお、当社と税理士の先生は競合ではなく、むしろ強力なパートナー関係にあります。既存の先生を変更する必要はなく、多くの場合、密に連携しながらお客様を支援させていただいています。
導入事例の中で、特に効果が大きかった事例や数字で示せる成果はありますか?
コスト面で大きく効果が出た事例としては、売上高3億円規模のお客様で、従来、派遣社員3名体制で月額約80万円を要していたバックオフィス業務を当社が引き継ぎました。業務フローをゼロベースで見直した結果、月額20万円以下での運用を可能にし、約75%のコスト削減に成功。単なるコストダウンに留まらず、アウトプットの品質改善も同時に果たした好例です。
業務効率化の事例としては、従業員100名規模のお客様で、Excelを用いた手作業で、完了までに1週間を要していた給与計算業務の事例です。システムの最適化と人員配置の再設計を徹底した結果、2〜3日での完了を実現。コスト・工数ともに50%以上の削減に繋がりました。これは個人のスキルに頼るのではなく、業務プロセスを正しく組み立て直したことによる成果です。
「専任採用比で30〜200%のコスト削減」と打ち出されていますが、効果が大きく出る企業の条件や運用パターンはありますか?
効果が大きく出るかどうかは、「現状のオペレーションがどれだけ過去の延長線で組まれているか」に、かなり左右される印象です。過去からのやり方を踏襲したまま、その上にツールが乗っているだけの状態だと、見直しの余地が大きく、削減幅も大きく出ます。
もう一つは、経理担当者の採用・定着に悩まれている企業様ほど効果は顕著です。専任者を社内で抱えている場合、そのコストをWheat Accountingに置き換えるだけでも大きな差が出ます。更に業務プロセスの再設計による工数削減が上乗せされますので、結果として大きな削減幅につながりやすい構造になっています。
Wheat Accountingはどういった企業に向いていますか?成功パターンもあれば教えてください
ほとんどの企業様でコスト削減効果は期待していただけると考えていますが、特に成功パターンが明確なのは、「業務プロセスを一度ゼロから見直したい」という課題感を、社内でも持っていらっしゃる企業様です。私たちがご提案させて頂いた設計に対して、自分ごとと捉えて一緒に走っていただけるので、立ち上がりのスピードと質が大きく変わります。
逆に、初期の設計の関与が薄くなってしまうと当社の提供価値が目減りします。当社は、ヒアリングを通じて課題を明確にし、運用方法をお客様ご自身にも理解していただくプロセスを重視しており、立ち上げ期はある程度のお時間をいただきます。そこを一緒に乗り越えてくださる企業様ほど、長期的に大きな効果を感じていただけている傾向があります。
約1ヶ月のテスト運用期間を設けられているとのことですが、この期間で特に手厚く支援されるのはどの部分ですか?
この1ヶ月は、当社にとっても一番重要なフェーズで、特に下準備の部分にしっかり時間をかけています。具体的には、お客様の業務全体をヒアリングさせていただき、現状の課題を明確にしたうえで、どのようなオペレーションに組み替えていくかを設計していきます。
ポイントは、当社が一方的にオペレーションを作って渡すのではなく、運用方法をお客様ご自身にも把握していただく形で進めることです。ここが曖昧なまま本運用に入ると、現場で「なぜこうなっているのか分からない」という状態が起きやすくなります。1ヶ月をかけて課題を解消し、運用イメージをすり合わせたうえで本運用に入ることで、安定した実務運用を担うことができるのです。
スモール/スタンダード/アドバンスとプランが分かれていますが、年商以外に「どんな業務量や社内体制ならこのプラン」という判断軸はありますか?
料金は年商レンジを目安にしていますが、実際の金額は「工数」と「納期」の2つで決まってきます。「工数」については、単純な物量だけでなく、債権債務管理の細かさ、証憑の管理状況、部門別管理などの複雑さによって異なります。「納期」については、上場企業基準で6営業日以内に締める必要があるのか、月次試算表を翌月内に作成する中小企業向けのスケジュールで良いのか、といった要件によって必要な体制が変わりますので、これが料金を左右する大きな要因となります。
また、社内体制も重要な判断材料です。経理担当者がすでにいらっしゃって一部分だけ切り出したいのか、担当者不在で経理業務全体を預けたいのか、によってもプロセスも大きく変わってきます。プラン表はあくまで入口としてご覧いただき、実際の範囲はヒアリングを通じて一緒に整理させていただくのが一番現実的だと考えています。
今後、クラウド会計連携や経理DX領域で特に注力していきたい領域はどこですか?
現在、私たちが大きなテーマとして掲げているのが、AIを実務オペレーションへ本格的に実装していくことです。業務プロセス構築を強みとする当社だからこそ、AIを一連のフローの中に組み込んでいくことが可能だと考えています。たとえば、スプレッドシートのデータと領収書の突き合わせのように、工数のかかる作業をAIで短縮していくイメージです。
その一方、経理領域でAIを扱ううえで欠かせないのがセキュリティの観点です。AIに任せて良いものと、必ず人が処理すべきものの線引きを明確にし、最後は人が確認するプロセスをどこまで残すかを、丁寧に設計していきたいと考えています。
現時点では、経理業務にAIを組み込む具体的なイメージをお持ちのお客様はまだ多くありません。ただ、今後はそうしたご要望が必ず増えていきますので、それを前提に業務プロセスを組み立てていく必要があります。当社はAIやDXのサポート支援も行っていますので、その知見を活かしながら、効率化とリーズナブルな価格、そして高い品質を同時に満たすサービスに進化させていきたいと考えています。
まとめ・編集部コメント
Wheat Accountingは、記帳・請求書発行・支払い・給与計算・月次決算といった経理業務全般をワンストップで代行し、お客様側の作業を「データ格納」と「確認」の2点に絞り込むことができる経理アウトソーシングサービスです。税理士や社労士との連携も含めてバックオフィス全体をカバーできる点が特徴で、経理担当者の退職や属人化への対策、、業務プロセスを一度ゼロから見直したいと考えている企業にとって、相談してみる価値のあるサービスです。料金は業務範囲や納期によって変動しますので、まずはヒアリングを通じて自社に必要な範囲を整理してみることをおすすめします。