インタビュイー:
株式会社Scale Cloud 代表取締役 広瀬 氏
Scale Cloudはどのようなサービスですか?開発の背景も教えてください
私は監査法人で会計の仕事をしていた経験がありまして、起業して19年ほどになります。経営管理の領域でお仕事をさせていただいてきました。その間、予算管理・予実管理に取り組む中で、予算の達成度とその再現性をどう高めるかを試行錯誤してきました。
従来の管理会計では、財務データを部門別や得意先別など様々な切り口で分析するのですが、それだけでは「この結果にどうやって至ったのか」というプロセスがまったくわからないです。事業の状況を正しく理解するためには、結果だけでなくそこに至るプロセスも含めて把握しなければ、どこに問題があるのか見えてこない。これが管理会計の限界だと感じていました。
そのプロセスを把握するために何を見ればいいかというと、KPIのデータになります。ただ、実際にはマーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった各部門がそれぞれバラバラなKPIを追っている状態で、情報が統合されていない。みんなが違うデータを見ているので、同じ景色を見ながら議論できていないことが多いと思われます。
予算達成は全チーム共通の目的であるはずなのに、そこに向かって一丸となって走れていない。それならば、まずは同じ景色を見て議論し、PDCAを回せる共通のプラットフォームを作るべきだと考えました。PLのデータも各部門のKPIデータも一箇所に集まった状態で、事業の全体像が誰にでもわかる。そういう仕組みを作りたいと思ったのが、Scale Cloud開発の背景です。
競合他社と比較した際のScale Cloudの強みは何ですか?
競合他社の多くはPL管理が中心です。PLの管理自体は構造がシンプルで、管理したい単位も部門や得意先やプロジェクトなどに決まっていますし、勘定科目や補助科目も2〜3階層ぐらいの構造で、計算も足し算引き算程度なので、どこのシステムでもできますし、当然、Scale Cloudでも可能です。
ただ、KPIを一緒に一元管理しようとすると、構造が何十倍にも複雑になります。同じ会社の中でも事業が違えばKPI構造は異なりますし、ロジックツリーを作ると10階層ぐらいまで必要になることもあります。掛け算や割り算といった複雑な計算も発生します。この複雑なKPI構造の設計に耐えられる拡張性が、Scale Cloudの最大の強みです。
もう一つの特徴として、私たちはPLとKPIを接続した管理ができます。たとえば、商談数と成約率の掛け算で契約数を計算し、そこに単価を掛けて売上の予算を作るといった、KPIを積み上げて予算を作成することも可能です。他社ではこうした積み上げ方式での予算作成はなかなかできません。
技術的な話になりますが、私たちは同じ構造の中に「予算用の関数」と「実績用の関数」の2種類を組むことができます。他社は「実績用の関数」しか組めないので、たとえば、売上と従業員数から一人当たりの売上高は出せても、それを逆に積み上げて予算を作ることはできない。この違いは非常に大きいと考えています。データ連携の面でも、会計ソフトからのデータ取り込みはどこでもできますが、会計ソフト以外のデータ、たとえばSalesforceなどからAPIでデータを取得する際の拡張性は圧倒的に高いです。
また、BIツールと比較されることもありますが、BIはデータを集めて深掘りするためのツールで、高度なリテラシーがないと使いこなせません。私たちは、誰でも乗れる山手線のようなものを作りたいと思っています。ビジネスモデルをロジックツリーで構造化してから必要なデータを集めるというアプローチで、誰にでもわかりやすい形を実現しています。
そして、これだけの機能面の強みがありながら、月額10万円からご利用いただけます。他社と比べて圧倒的にコストを抑えられるので、直近の実績では、他社と比較検討いただいた企業の9割以上に私たちを選んでいただいている状況です。
どのような企業からの導入相談が多いですか?
導入のご相談は、経営企画部やCFO、あるいは予実管理を担当する管理部門からいただくケースが圧倒的に多いです。たまに事業部側から導入いただくこともあります。
相談内容のパターンとしては、まずExcelやスプレッドシートで管理している企業が大きく二つに分かれます。一つは、PLだけを管理していて、その作業が煩雑だからシステム化して効率化したいというケースです。この場合、PLの管理はどのシステムでもできるのですが、コストの安さで私たちを選んでいただくことが多いです。
もう一つは、PLの効率化だけでなく、KPIも統合管理したいというケースです。こうなると機能面で私たちが選ばれる確率がぐっと上がります。KPIの構造は複雑ですから、その設計に耐えられる拡張性が求められます。
最近では、すでに何かしらのシステムを使っている企業からのリプレースのご相談も増えています。既存システムではPLの管理しかできない、あるいは思ったほど効率化できないという不満から、効率化と高度化の両方の視点で乗り換えを検討されるケースです。
導入企業ではどのような効果が出ていますか?
数値的な効果で申し上げると、他社システムからの乗り換えでは、工数が約40%削減できたとおっしゃっていただいているケースがあります。Excelやスプレッドシートからのリプレースに関しても、工数が6分の1程度になったという声をいただいています。効率化という目線では、それぐらいのインパクトが出ています。
定性的な効果としては、たとえばプライム上場企業のSun Asterisk様では、KPIをPLと統合することによって事業側の意識が変わり、同じ目線で議論ができるようになったという声をいただいています。PDCAの精度が上がっていくという意味で、非常に大きな効果だと考えています。
もう一つ、私たちには高度な分析機能があります。たとえば、達成率の低い指標を洗い出したり、直近6ヶ月で大きく下落している指標を検出したり、ある事業の売上と相関性の高いKPIを特定する相関分析もできます。こうした分析がExcelやスプレッドシートでは難しいのですが、Scale Cloudなら簡単にできるので、今まで得られなかった気づきが得られるようになります。
私は、予算管理・予実管理という仕事の価値を上げたいと思っています。効率化だけでは、担当者が楽になっただけで、仕事の価値自体は上がりません。今まで得られなかった気づきを提供し、アウトプットの質を変えていくことで、経営管理という仕事そのものの価値を高めていきたいと考えています。
サポート体制について教えてください
私たちが特に注力しているのは、KPI設計のコンサルティングです。KPIはPLと違って、データがマーケティング、セールス、カスタマーサクセスなど各部門にバラバラに散らばっています。そもそもどういう構造で統合すればいいのか、どのようにデータを連携するのかというところまで、一緒に考えてサポートしています。
多くの企業では、KPI自体は存在しているのですが、一元管理されていなかったり、構造化されたロジックツリーになっていなかったりします。そこを整理して、きちんと構造的に捉えやすい形にしていくのが私たちの役割です。
初期導入後も、定期的にミーティングをさせていただいて、運用状況や課題感をお伺いしています。いつでもご連絡いただける状況ですので、たとえば「新しい事業ができたからKPI設計をしたい」といったご相談にも随時対応しています。ツールだけお渡しして終わりではなく、継続的に伴走するスタイルです。
料金体系はどのようになっていますか?
月額10万円からご利用いただけます。初期費用の50万円には、一つの事業モデルに対するKPI設計のコンサルティングが含まれています。二つ目、三つ目の事業モデルのKPI設計が必要な場合は、オプションとして追加料金をいただいています。
ただ、まず一つ目を一緒に作ってみて、二つ目以降はそれを参考に自社で作っていただくか、また私たちにご依頼いただくか、お客様に選んでいただく形にしています。
今後の展望を教えてください
AI機能の実装は当然進めていきます。どの会社も取り組んでいくとは思いますが、私たちはKPIのデータが統合されている分、AIエージェントを組み込んで分析させた場合に、より高度で正確な分析結果を出せる可能性があると考えています。
ただ、AIに限らず、私たちの最大の強みは、この予算管理・KPIマネジメントの領域に徹底的にフォーカスしていることです。他社は「予実管理」をやりながら「XX管理」など別のプロダクトも展開して、リソースが分散されていくんですね。私たちはここに一点集中しているので、予算管理やKPI管理、それらの統合管理に関するノウハウがどんどん溜まっていきます。そのノウハウを毎月のように機能実装に反映させています。
最近はAIツールを使って自社で予算管理の仕組みを作る企業も出てきていますが、それは結局、作った人のその時点のノウハウに限定されてしまいます。私たちのサービスは、様々な企業の知見が蓄積されて継続的に進化していきますから、その進化のスピードは自社開発とはまったく違います。ノウハウがあってこそ正しい指示ができ、正しいアウトプットが出せる。その土台となるノウハウの蓄積こそが、私たちの価値だと考えています。
まとめ・編集部コメント
Scale Cloudは、PLとKPIを一元管理できる経営管理システムです。監査法人出身の広瀬氏が19年にわたる経営管理の知見をもとに開発したこのサービスは、「予算の達成度とその再現性を高める」という明確なコンセプトのもと、従来の管理会計の限界を超える価値を提供しています。
最大の特徴は、複雑なKPI構造の設計とデータ連携に耐えられる圧倒的な拡張性と、PLとKPIを接続した予算作成機能や分析機能です。PLの予実差異の原因を各事業部・各部門のKPIまで紐づけて分析できるだけでなく、KPIを積み上げて予算を組めるという、他社にはない独自のアプローチにより、機能要望と比較検討した企業の9割以上に選ばれているという実績を誇ります。月額10万円からという価格設定も大きな魅力です。
さらに、PLと紐づけるKPI設計のコンサルティングから継続的な運用サポートまで手厚い伴走体制を整えており、単なるツール提供にとどまらない点も評価に値します。Excelでの予算管理に限界を感じている企業や、KPIとPLを統合して経営の精度を高めたい企業にとって、有力な選択肢となるサービスです。