インタビュイー:
株式会社キャッチボール 取締役社長 河村 氏
口座振替サービスとはどのようなサービスですか?開発の背景も教えてください
当社はもともと、後払い決済サービスを約20年にわたり提供してきました。従来の後払い決済は、EC・通販で購入した商品を確認した後、届いた請求書でコンビニや郵便局でお支払いいただくものですが、当社の加盟店様の中には、当時からリピート通販の事業者様が比較的多くいらっしゃいました。初回購入だけではなく、毎月のお支払いでも「後払い」をご利用いただく方が非常に多く、口座振替の方が利便性が高いのではないかと、私たち自身も感じていましたし、事業者様からの強いニーズもありました。そういった背景から、今から6年ほど前に「後払い.com 口座振替サービス」をリリースしました。
従来の口座振替には、50年ほどの歴史があり、今でも根強く利用されていますが、課題を抱えたままとなっています。一つ目は入り口の手続きです。引き落としを開始するために、まず利用者に依頼書を記入していただき、事業者がそれを回収して決済代行や銀行へ提出しなければなりません。ところが「印鑑が違う」といった不備で再手続きになり、「いつになったら引き落としができるのか」という事態に陥ってしまう。これが一つ目の課題です。二つ目は、口座振替には必ず「残高不足などの引き落としエラー」による督促業務がついて回るという点です。この二つの課題をキャッチボールがすべて一手に引き受ける点が、様々なマーケットからご支持をいただいているポイントになっています。
どのような業種・企業から多く利用されているのですか?
実際にお声をかけていただき、当初から今に至るまで非常に伸びているのは、ガスや電気といった公共料金、Wi-Fiやウォーターサーバーなど、継続的な課金が発生する領域です。
具体的な事例を挙げますと、代表的な実績の一つとしてプレミアムウォーター様が挙げられます。もともと膨大な件数の口座振替を扱われており、その回収業務に相当な人員を割いていらっしゃいました。今から4年ほど前にお声がけさせていただき、新規のお客様だけでなく既存のお客様も切り替えていただきました。今ではほぼ当社の口座振替サービスをご利用いただいています。
そして公共料金、特に電気料金でのご利用も非常に増えています。電力自由化で「新電力」という言葉も当たり前になりましたが、歴史ある大手企業様は督促の回収の体制が整っている一方、これまで一般消費者向けの商売をしたことがない企業様が新規参入されるケースも多く、事業を始めること自体は簡単でも、いざ未収が発生したときの運営体制が整っていない、こういったケースに当社がご提案すると、ニーズが合致することが多いです。また最近では、保育園におむつを持参せず、サブスク契約をしていれば園で使い放題になるサービスが増えており、その代金回収にも当社の口座振替サービスが使われています。
与信審査はどのような仕組みになっているのですか?
少し硬い話からになりますが、与信審査の詳細は原則として非公開にしています。ここは本当に商売の肝になってくるところですので、お答えできる範囲だけになってしまうのですが、まず過去の取引データをベースにしています。この20年間で蓄積してきた、当社の決済をご利用いただいた利用者様の行動や支払いの履歴です。これを基本にしています。それ以外では、公開情報や外部データの情報も組み合わせて、不正利用の可能性や支払いの可能性を判断しています。
個人と法人の違いについては、少額の取引であれば、法人であっても個人と同じような審査を行っています。数万円から数十万円といった規模であれば、当社の蓄積したデータをもとに判断していきます。一方で、数百万円、数千万円といった取引も当社では扱っておりまして、そうなるとまた違った情報を見て、その判断に付け加えていくということをやっています。
そして、この与信審査を通過した請求については、当社が原則として立替払いを行うという設計になっています。引き落としができてもできなくても、全額を事業者様にお支払いするということですので、事業者様は未回収のリスクを負わずに済みます。だからこそ、その入り口となる与信の精度が当社のサービスの根幹になる、と考えています。
未収が発生した場合、どのように回収を進めるのですか?
当社の体制としては、まず翌月への合算請求は行いません。最も回収効率が良いアプローチとして、引き落としエラーが発覚した時点で、速やかにお支払いのご案内を行います。この請求書は、コンビニ払いやPayPay、即時引き落としの銀行決済など、いろいろな決済手段に対応しており、利用者がすぐに支払える環境を整えています。
それでもなかなかお支払いいただけない方がいらっしゃった場合には、請求書をその後もお送りしつつ、同時にショートメールやEメール、オートコールなどを織り交ぜながら、回収を促していく、という動きをしています。引き落としの結果や、立替えをしたのか請求書でお支払いいただいたのかといった運営上必要な情報は、事業者様向けの管理画面よりご確認いただけます。一方で、個別の督促が今どこまで進んでいるかといった部分は、すべてキャッチボール側で一元管理しているため、事業者様がわざわざ確認したり対応に追われたりする必要はありません。
口座振替の登録から立替え払いまでの流れを教えてください
登録の手続きは、利用者からの指示ではなく、事業者からの依頼を受けて当社が動きます。たとえばウォーターサーバーやおむつのサブスクをお申し込みいただいた最初のタイミングで、事業者様から当社に利用者様の情報を登録していただきます。いただくのは名前、住所、電話番号、それから任意でEメールアドレスをご登録いただきます。
ご登録いただくと、後日当社から利用者様のご住所に口座振替依頼書を、返信用封筒を入れてお送りします。記入してポストに投函いただくと、その行き先は当社となりますので、事業者様へ依頼書は届きません。ですから口座番号の管理も不要です。Eメールをご登録いただいた場合は、依頼書ではなくメールでWeb口座振替へ誘導します。メールのURLをクリックすれば、パソコンでもスマートフォンでも、ご利用の銀行を検索してそのまま手続きが完結します。昨年からは、依頼書を郵送する際にもWeb手続きへ誘導するQRコード付きのご案内チラシを同封するようにしまして、紙の書面が届いた場合でも、今では約半数の方がWebで手続きをされています。
毎月の引き落としについては、事業者様から「Aさんはいくら、Bさんはいくら」という請求内容の指示をいただき、当社で「過去にきちんとお支払いいただいている方か」という審査を行います。審査に通過すると後日、当社からお客様の銀行口座に引き落としをかけ、最終的には立替え払いという形で全額を事業者様にお支払いします。
大切なお話として、当社は事業者様から委託を受けてやっているわけではなく、立替え払い契約という仕組みでサービスを提供しています。これは後払いと同じ仕組みで、クレジットカードと同じ構造だと考えるとご理解いただきやすいかと思います。利用者と物を販売する事業者、そしてキャッチボールという3者がいて、利用者と事業者の間には売買契約やサービス利用契約があり、事業者と当社の間には加盟店契約、利用者と当社の間には立替え払い契約がある。この3つの契約が一つでも欠けると成り立たない仕組みになっています。クレジットカードでカード会社が利用者の代わりにお店へ売上を支払い、後からカード会社が請求するのと、まったく同じ構造です。「事業者の代わりに回収する」とわかりやすく説明することもありますが、実際には当社自身の債権を回収するという形になります。
導入した事業者からはどのような声がありますか?
やはり、決済に関する業務負荷が高まるというのは、事業者にとって本意ではないと思っています。だからこそ当社は、そうした業務を一手に引き受けることで、本来注力すべきコア業務にリソースを集中していただく、ということをコンセプトにサービスを提供しています。導入いただいた事業者様からは、まさにそこへのお声が圧倒的に多いです。
たとえばフィットネスクラブ様にも当社の口座振替サービスを導入いただいていますが、どれだけ回収率が良くても、未収はどうしても毎回一定数発生してしまいます。本来は、会員様にフィットネスの価値を体験してもらうことが本業のはずなのに、朝からずっと督促の電話をしていたり、退会された方との未払金をめぐるトラブルに頭を悩ませていたり。これは本来やるべき本業ではないと思います。当社がそこを全部巻き取ります。その結果、「お客様との接点をもっと増やせるようになった」「新規会員獲得のためにリソースを割けるようになった」というお声を、非常に多くいただいています。
業種によって運用のしかたは変わってくるのですか?
業種や利用者層によって、かなり変わってきます。たとえば高齢者層向けの事業や、テレビ通販のように電話口でメールアドレスを聞きにくい事業では、メールアドレスを保有していなかったり、取得が難しかったりします。また、Web口座振替は高齢者層にとってハードルが高く、様々な決済代行会社様からWeb移行の提案を受けて導入したものの効果が出ず、「結局、紙のやり取りが残ってしまっている」という事業者はかなり多い印象です。そういったところには、むしろ当社のサービスが刺さりやすいと思っています。個人のご自宅にしっかり丁寧に郵送し、返信用封筒も同封していますから、幅広い方にお使いいただけます。
逆に、おむつのサブスクのように若いお母さんばかりが対象という事業では、紙がほぼ存在しないという状況ですが、その代わり未収はご高齢の方より多かったりするので、「そこが助かります」というお声をいただきます。当社のサービスは、未収を解決するという面と、入り口の口座振替手続きを楽にするという面の二つがあり、両方が当てはまるケースが一番良いのですが、どちらか一方だけでも十分にご期待に応えられると考えています。
学校給食費の公会計化など、行政領域への取り組みについて教えてください
行政の領域は、これから可能性を追求していきたい領域だと考えています。これまで全国で100ほどの自治体様とお話をさせていただいたのですが、「継続的な回収」「未収の管理」「口座登録がなかなか進まない」といった課題は、学校給食費なども含めて共通していました。民間のBtoCと違い、制度の要件をしっかり確認・踏まえながら進める必要がある領域ですので、そこは慎重に取り組んでいるところです。
具体的な取り組みとしては、学校給食費の公会計化に対応するため、株式会社サンポウヨシサービス様と業務提携をしています。文部科学省が、学校給食費を自治体の会計に組み入れる「公会計化」を進めていますが、その狙いは教員の業務負担の軽減や保護者の利便性向上にあります。一方で、公会計化に伴って請求業務や未収金対応といった現場の負担が増える懸念もあります。当社の口座振替サービスは、与信を通過した請求を原則として立替える「立替保証」と請求業務の代行をセットでご提供できますので、教育委員会や地方公共団体の皆様の負担を軽くしながら、給食費の未納問題の解決を後押しできると考えています。
なりすまし対策やセキュリティについて教えてください
オプションとして、法人確認や端末認証による本人確認を行えるようにしています。すべての加盟店様の注文に対して実施しているわけではありませんが、Web口座振替であれば、接続先の金融機関や収納代行会社の側で認証を行っていますので、それはもちろんのこと、当社も電話認証をオプションでご提供できます。これは、リスクや業種に応じて、当社の方でも積極的にお勧めしたり、逆に「これはまったく使わなくていいですね」とご案内したりしています。
基本的には継続課金の領域で口座振替をご提案していますので、なりすましはそれほど発生しないと考えています。たとえば学習塾や学校関係のように、サービスをその場で提供する対面の商売では、なりすましはまずありえないと考えていますので、本人確認以上のご提案は一切していません。一方で、換金性の高い取引や、最近は従来リスクが高いとされていなかった商材でも詐欺が出てきていますので、そうしたところには積極的に認証をご提案しています。こうした見極めができるのも、当社が長年積み重ねてきた知見があってこそだと思っています。
事業者側のシステム連携はどのように行うのですか?
まず大前提として、銀行口座情報はキャッチボールの中だけで保持していますので、事業者様からいただくことは一切ありません。あくまで利用者様から当社へいただく形になりますので、事業者様が口座情報を管理するリスクはありません。
事業者様と当社の連携方法としては、API、FTP、CSV、手入力の4パターンを用意しています。システム連携してオートメーションでやりたいという場合にはAPIやFTPをお使いいただけますし、小規模でアナログに運用されている企業様であれば、当社の管理画面を操作していただくこともできます。どのパターンにもご提案できるように準備しています。これは利用者情報の登録だけでなく、毎月の請求・引き落としの指示についても同じで、同じ4パターンをご用意していますので、事業者様のシステム環境やご要望に沿った形で柔軟に対応できます。
料金体系はどのようになっていますか?
初期費用は10万円でご案内しています。口座登録料は、お客様の情報を登録いただいて郵送で依頼書をお送りしたり、メールでWeb口座振替をご案内したりする部分で、お一人あたり553円です。これは最初の登録のみの費用で、ランニングとしては、月額基本料金を1万円でご案内しています。
決済手数料は1%からとなっていますが、これはリスクに応じて個別に決めさせていただいています。回収率が悪そう、貸し倒れも出そう、という場合には、2%、3%といったご提案になることもあります。引き落とし手数料についてもボリュームディスカウントの世界で、きっちりとした定価はなく、毎回個別にお見積もりをしています。
とはいえ、小規模事業者様が導入できないわけではありません。街の牛乳屋さんや新聞販売店のように、月の引き落としが100件程の企業様にもご利用いただいております。その場合は手数料が少し高めにはなります。逆に電力やウォーターサーバーのように何万人、何十万人という規模であれば、当然手数料は抑えていきます。気になる方はお気軽にご相談いただければ、個別にお見積もりをお出しできます。
今後、注力していく領域について教えてください
これからもっと普及させていきたいマーケットとしては、B2B領域と、すでに取り組んではいますがインフラ領域、つまりガス・電気・水道ですね。この2つを中心に伸ばしていきたいと考えています。
当社は2つのシステムを持っていまして、今回お話ししている口座振替はどちらかというとBtoC向けに作っているものです。B2Bの会社にもお使いいただいてはいるものの、金額としては10万円や30万円といった規模になります。もう一方で、「掛払い.com」という完全にB2B向けのシステムがあり、こちらは何百万円、何千万円、場合によってはそれ以上の取引も取り扱えます。今はこの掛払い.comに口座振替が連携できていないのですが、今後連携を進めていく予定ですので、より口座振替を増やしていけると考えています。
業種としては、食品の流通に今注目しています。メーカーから消費者に届くまでには、メーカー、商社、卸、小売と、間にたくさんの商流があります。そのどの商流の間にも当社のサービスが活躍できると思っています。それから建築関係も、資材や住宅関連の商品を卸している領域は、回収に大きな課題を抱えているのをこの数年で目の当たりにしてきました。一人親方の方が多く、支払いリスクも大きいのですが、入金されるタイミングをしっかり掴んでお金の流れを把握できれば、回収リスクも下げられると考えています。
まとめ・編集部コメント
キャッチボール株式会社の口座振替サービスは、後払い事業で20年にわたり培ってきたノウハウをもとに、定期・継続課金型のビジネスを手がける事業者の決済業務を丸ごと支えるサービスです。
最大の特徴は、従来の口座振替が抱えていた「手続きの煩雑さ」と「督促業務の負担」という二つの課題を、立替え払いの仕組みによってすべて巻き取る点にあります。API・FTP・CSV・手入力の4パターンに対応する柔軟な連携や、20年分の取引データを活かした与信審査も、安心して任せられるポイントです。
継続課金ビジネスを営む事業者にとって、一度相談してみる価値のあるサービスだと言えるでしょう。