毎月の家賃集金において、銀行振込の入金確認や未入金者への督促作業に多くの時間を費やしていませんか。
家賃の支払いを口座振替(自動引き落とし)へ切り替えることで、管理業務の負担は大幅に軽減されます。
本記事では、口座振替を導入する際の手数料相場や具体的な手順、入居者から要望の多いネット銀行への対応状況を、実務的な視点から解説します。さらに、企業規模を問わず導入しやすい、おすすめの集金代行サービス(口座振替サービス)についてもご紹介します。
集金業務の効率化は、コスト削減と入居者満足度の向上に直結します。自社の運用に合った集金システムについて、具体的な検討を進めていきましょう。
目次
家賃の支払い方法はどれが良い?4つの決済手段を比較
家賃の主な支払い方法には、口座振替、銀行振込、クレジットカード、現金の4種類が存在します。管理会社と入居者の双方にとって、どの決済手段が適切か、それぞれの特徴を比較します。
| 管理会社のメリット | 管理会社のデメリット | 入居者のメリット | 入居者のデメリット | |
|---|---|---|---|---|
| 口座振替 | 消込作業を自動化できる | 初期導入の手続きが必要 | 毎月の支払い手間がない | 振替日前の残高管理が必要 |
| 銀行振込 | システム導入の手間がない | 入金確認と消込作業が煩雑 | 特になし | 手数料が発生する |
| クレジットカード | 滞納リスクを回避できる | 決済手数料(数%)が高額 | ポイント還元を受けられる | 対応している物件が限定される |
| 現金 | 決済・振込手数料がかからない | 現金管理のリスクと手間が大きい | 銀行口座が不要 | 毎月持参または手渡す手間がかかる |
口座振替(自動引き落とし)
入居者が指定した銀行口座から、毎月決まった日に自動で家賃を引き落とす方法です。管理会社は毎月の消込作業を大幅に効率化でき、入居者も支払い忘れを防ぐことができます。手数料は1件あたり100円〜200円程度に収まるため、コストと業務効率のバランスに優れた決済手段として広く普及しています。
口座振替の仕組みとメリット・デメリットは『口座振替(自動引き落とし)とは?仕組み・メリット・導入方法を完全網羅』で詳しく解説しています。
銀行振込
入居者が毎月、指定の口座へ家賃を直接振り込む方法です。特別なシステムを導入しなくても開始できます。しかし、管理会社は目視での入金確認や、振込名義人の相違による照合に時間を奪われます。入居者も毎月数百円の振込手数料を負担し、手続きの手間が発生します。
クレジットカード
クレジットカードを利用した決済方法です。決済代行会社が立て替えるため、管理会社は滞納リスクを回避できます。入居者にはクレジットカードのポイントが貯まる利点があります。ただし、管理会社側が家賃の数%(一般的に3〜5%程度)という高額な決済手数料を負担するケースが多く、導入される物件は一部に限られます。
現金集金
入居者が管理会社の店舗へ直接現金を持参する、あるいは担当者が訪問して集金する方法です。システム利用料や振込手数料は発生しません。しかし、現金の紛失や盗難のリスクを伴います。集金や窓口対応にかかる人件費も大きくなるため、現在では採用する企業は減少しています。
家賃の口座振替(自動引き落とし)を導入するメリット
家賃の回収方法を銀行振込から口座振替(自動引き落とし)に切り替えることは、貸主と借主の双方に大きなメリットをもたらします。ここでは、それぞれの立場から得られる具体的な効果を解説します。
管理会社・オーナー側のメリット
最大のメリットは、入金確認と消込作業の大幅な自動化です。指定日に家賃が自動で引き落とされ、結果がデータで還元されるため、目視による通帳の確認や手作業での消込が不要になります。
また、未収リスクの低減も重要な要素です。入居者の支払い忘れを防ぐことができるため、初期の滞納を未然に防ぎます。大手不動産管理会社のケースでは、口座振替の導入により月間の督促業務にかかる人件費を数十万円単位で削減できた事例が存在します。小規模な賃貸オーナーのケースでも、毎月数時間の通帳確認作業がなくなり、本業に専念できる環境が整います。
入居者(借主)側のメリット
入居者にとって、毎月ATMやインターネットバンキングを操作して家賃を振り込む手間がなくなります。振込忘れによる遅延損害金の発生や、貸主からの督促連絡を受ける心理的ストレスを回避できます。
さらに、銀行振込の際に発生する振込手数料を節約できる点も魅力です。毎月数百円の振込手数料も、年間を通せば数千円の負担となります。自動引き落としによってこのコストが削減されることは、入居満足度の向上につながります。
家賃引き落としの手数料相場はいくら?どちらが負担する?
口座振替を導入する際、必ず発生するのが「引き落とし手数料」です。一般的な手数料の相場と、費用の負担に関する考え方について解説します。
口座振替の手数料相場とコスト構造

集金代行サービスを通じて口座振替を利用する場合、主に以下の3つの費用が発生します。
- 初期費用:システムの導入やアカウント発行にかかる費用です。無料のサービスから数万円程度かかるものまで存在します。
- 月額基本料:システムの利用環境を維持するための固定費です。月額0円〜1万円程度が相場です。サービスを利用しなかった月は基本料が無料になるプランも提供されています。
- 取扱手数料(請求手数料):引き落とし1件ごとに発生する変動費です。相場は1件あたり100円〜200円程度です。
管理戸数が数百戸を超える管理会社のケースでは、月額基本料が固定であっても、1件あたりの取扱手数料が安いプランを選ぶことで年間コストを抑えられます。
管理戸数10戸〜50戸規模の個人オーナーのケースでは、初期費用や月額基本料が無料のサービスを選ぶことで、固定費の負担をなくし、少額の手数料のみで運用を開始できます。
手数料は貸主・借主のどちらが負担すべきか
口座振替にかかる手数料を貸主・借主どちらが負担するかについて、法律上の明確な規定はありません。ただし、民法第484条および第485条における「持参債務の原則」に基づき、弁済の費用(手数料)は債務者(借主)が負担するのが原則と解釈されています。
- 出典:民法|e-Gov法令検索
実務上も、賃貸借契約書に「口座振替手数料は借主負担とする」と明記し、家賃に上乗せして引き落とすケースが広く見られます。導入前に契約書の雛形を見直し、費用負担のルールを明確にしておくことが重要です。
家賃の口座振替にネット銀行は指定できるか
若年層を中心に、スマートフォンアプリでの操作性が高いネット銀行をメイン口座として利用する人が増えていることから、入居者から「引き落とし口座をネット銀行にしたい」という要望を受ける機会があるかもしれません。
口座振替にネット銀行を指定できるかどうかは、管理会社が契約している収納機関(銀行や集金代行会社)の対応状況に依存します。
従来、口座振替は都市銀行や地方銀行、ゆうちょ銀行が主流であり、ネット銀行は非対応となるケースが散見されました。しかし近年、決済代行会社が提供する集金代行・口座振替サービスの多くは、PayPay銀行や楽天銀行などの主要なネット銀行に対応しています。
入居者の利便性を高めるためには、ネット銀行を含む全国の金融機関と提携している集金代行サービスを選定することが重要です。
家賃の自動引き落としを導入する具体的なやり方・手順
口座振替を開始するためには、適切な決済インフラを整える必要があります。導入の選択肢と、運用開始までの手順を解説します。
金融機関の直接契約と集金代行サービスの違い
導入方法には、金融機関と直接契約を結ぶ方式と、決済代行会社(集金代行サービス)を利用する方式の2種類があります。
特定の銀行と直接契約する場合、その銀行の口座を持つ入居者としか取引できません。集金代行サービスを利用すれば、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ネット銀行など、全国の幅広い金融機関の口座から引き落としが可能になります。
複数の金融機関と個別に契約する手間を省けるため、多くの管理事業者は集金代行サービスを採用しています。
導入から引き落とし開始までのスケジュール
集金代行サービスを利用する場合、導入から最初の引き落としまでに約1ヶ月〜2ヶ月程度の期間を要すことがほとんどです。一般的には、以下のような手順となります。
- サービスの選定と契約:自社の要件に合った代行会社と契約を結びます。
- 入居者への案内と口座登録:入居者へ案内を行い、金融機関への登録に必要な「口座振替依頼書」を回収します。Web上で口座登録を完結できるサービスを利用すれば、書類の郵送や印鑑相違による差し戻しを防げます。
- 金融機関での審査と登録:各金融機関で口座の登録が行われます。
- 引き落とし開始:登録が完了した入居者から、指定日に家賃の引き落としが実行されます。
不動産管理向けおすすめ集金代行サービス
家賃の集金に用いる集金代行サービスを選定する際のポイントと、提供会社のカテゴリ別に具体的なサービス例についてご紹介します。
集金代行サービス選びのポイント
家賃の口座振替に適したサービスを選定するためには、以下の3点を確認することが重要です。
- 対応金融機関の網羅性:ネット銀行や、地域の入居者がよく利用する信用金庫に対応しているか。
- 導入・運用コスト:初期費用、月額基本料、1件あたりの引落手数料が自社の請求件数に見合っているか。
- システムの拡張性:将来的にクレジットカード決済を導入する予定があるか、または消込や督促業務までシステム化したいか。
集金代行サービスのカテゴリと家賃回収に適した選び方
口座振替サービスは、提供元の系列によって得意とする領域が異なります。自社の事業規模や運用体制に合ったカテゴリのサービスを比較検討してください。
- リース・信販系
- 不動産管理や家賃保証など、継続的な定額請求に強いサービス群です。都市銀行や地方銀行に加え、ネット銀行など全国の幅広い金融機関に対応しています。また、他のカテゴリと比較して導入のハードル(審査や取扱件数の要件)が低く設定されている傾向にあります。
- 銀行系ファクター
- 金融機関系列の強固な基盤と高いセキュリティ水準を持つサービス群です。安心できるシステムを導入したい管理部門に適しています。ただし、与信審査の基準が厳格に設定されている傾向があり、数百戸以上を管理する中堅から大手の法人向けと言えます。
- オンライン決済代行系
- 口座振替だけでなく、クレジットカード決済やコンビニ決済など、複数の決済手段に対応するサービス群です。多様な決済のシステムや管理画面を一元化して運用することが可能です。
- SaaS・サブスク系
- 継続的な定額課金(サブスクリプション)や顧客管理に特化したサービス群です。単なる決済代行にとどまらず、振替結果の自動取得から再請求メールの自動配信まで、集金業務全体のフローを効率化する機能を備えています。
家賃の口座振替に適したサービス提供元は?
自社の事業規模や解決したい課題によって、最適なカテゴリは異なります。
管理戸数が数十戸規模の個人オーナーや中小規模の管理会社の場合、導入のしやすさと対応金融機関の網羅性の観点から「リース・信販系」が有力な選択肢となります。少件数からでもコストを抑えて導入でき、入居者のネット銀行ニーズにも応えやすいためです。
数百戸以上を管理する中堅から大手の法人であり、金融機関グループの厳格な監査基準やセキュリティを重視するケースでは「銀行系ファクター」が向いています。
将来的にクレジットカード決済の導入を見据え、複数の決済手段を一元管理したいケースでは「オンライン決済代行系」が適しています。また、決済処理だけでなく、家賃滞納時の督促や再請求の業務まで自動化したいケースでは「SaaS・サブスク系」の導入が効果的です。
主要サービスの比較
以下は、各カテゴリを代表する主要な口座振替サービスの比較表です。
| リコーリース 集金代行サービス | アプラス 口座振替サービス | ワイドネット | サブスクペイ(口座振替サービス) | |
|---|---|---|---|---|
| 提供会社 | リコーリース株式会社 | 株式会社アプラス | 三菱UFJファクター株式会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT |
| システム分類 | リース・信販系 | リース・信販系 | 銀行系ファクター | SaaS・サブスク系 |
| 初期費用 | 0円 | – | 0円 | 要お問い合わせ |
| 対応金融機関 | 全国の金融機関(ネット銀行含む) | 全国ほぼすべての金融機関(ゆうちょ銀行含む) | 全国の金融機関(ネット銀行含む) | – |
| Web口座振替受付 | ● | ● | ● | ● |
| 詳細情報 | 導入事例・料金情報はこちら | 公式サイトはこちら | 公式サイトはこちら | 公式サイトはこちら |
また、以下の記事では口座振替サービスについて、選び方や機能などを詳細に解説しています。導入を検討される方は、ぜひこちらもご覧ください。
以下では、家賃集金などの不動産管理向けとして有力な選択肢と考えられる、「リース・信販系」のサービスであるリコーリースの集金代行サービスをご紹介します。
リコーリース 集金代行サービスの特徴と強み

リコーリースが提供する「集金代行サービス」は、40年以上の実績を持ち、導入企業が20,000社を超える決済インフラです。家賃や駐車場代など、個人からの継続的な集金業務に広く利用されています。
特徴として、導入しやすいコスト構造が挙げられます。初期費用が0円であり、月額の基本料金は「サービスを利用した月のみ」発生します。請求件数が1件からでも利用可能であるため、小規模な不動産オーナーやみなし法人でも固定費の負担を抑えて導入できます。
全国の金融機関(ゆうちょ銀行、各種ネット銀行を含む)の口座振替に対応しており、オプションでWeb口座振替受付にも対応しているなど、不動産管理に求められる要素を備えています。また、専任担当者によるサポート体制が提供されるため、初めて集金代行を利用する事業者にも適したサービスです。
まとめ
家賃の集金方法を口座振替へ移行することは、未収金リスクの低減、消込作業の自動化、そして入居者の利便性向上をもたらします。金融機関との個別契約だけでなく、集金代行サービスを活用することで、ネット銀行を含む全国の金融機関から効率よく資金を回収できるようになります。
自社の管理戸数やコスト要件に照らし合わせ、初期費用や固定費の負担が少ないサービスを選定することが重要です。1件から始められる決済システムを比較・検討し、煩雑な集金業務の効率化を進めてください。
家賃の口座振替に関するよくある質問(FAQ)
Q. サービスの導入申し込みから利用開始までどのくらいかかりますか?
A. 集金代行会社の審査やシステム設定を含め、申し込みから概ね1〜2ヶ月程度で利用を開始できるケースがほとんどです。紙の口座振替依頼書を入居者から回収する場合は、さらに時間がかかるため、即時登録が可能なWeb口座振替受付オプションの利用が推奨されます。
Q. 個人オーナー(個人事業主)でも口座振替サービスは契約できますか?
A. 多くの集金代行サービスは、法人だけでなく個人事業主の契約にも対応しています。ただし、事業内容の審査が必要となるケースがあります。
Q. 引き落としができなかった(残高不足)場合はどうなりますか?
A. 指定した引き落とし日に口座の残高が不足していた場合、引き落としは実行されません。管理会社やオーナーは引き落とし結果のデータを確認し、該当する入居者に対してコンビニ払込票の送付や、銀行振込での支払いを個別に案内する必要があります。
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