クレジットカードを持たない、あるいは使いたくない購入者を取りこぼしてカゴ落ちが発生していないでしょうか。代金の未回収リスクや、請求書発行・入金消込・督促といった事務負担に悩む事業者にとって、消費者向けの後払い決済(BNPL)は有力な打ち手になります。
一方で、後払い決済サービスは各社で決済手数料・入金サイクル・未回収保証の条件・対応チャネルが大きく異なり、自社の売り方に合う一社を見極めるのは簡単ではありません。手数料が想定より重かったり、入金が遅く資金繰りを圧迫したりと、導入後に気づく落とし穴もあります。
本記事では、EC・通販事業者向けと実店舗・BtoCサービス事業者向けに分けて、主要な後払い決済サービスの選び方・比較ポイント・手数料相場・制度上の注意点を整理します。自社に合う導入先を選ぶための検討材料としてご活用ください。
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目次
後払い決済サービス(BNPL)とは
後払い決済サービスとは、購入者が商品やサービスを受け取った後に、期日までに代金を支払える決済手段です。事業者にとっては、決済事業者が代金の立替払い・請求・回収を代行してくれるため、クレジットカードを使わない購入者層にも販売機会を広げられます。
BNPL(Buy Now, Pay Later)は、この「今買って、後で払う」仕組みを指す呼び方です。国内では通信販売を中心に広がり、近年は実店舗やサービス業でも利用が進んでいます。
後払い決済の仕組み(立替払いと請求代行の流れ)
ここからは、後払い決済がどのように成り立っているのかを整理します。国内の後払い決済は、決済事業者が販売業者に代金を立て替える「立替払い型」が基本です。
取引の流れは次のように進みます。まず購入者が支払い方法として後払いを選ぶと、決済事業者がその場で与信審査を行います。審査を通過すると販売業者は商品を発送し、決済事業者は販売業者へ代金を立て替えて入金します。購入者にはあらためて請求書やメール等で請求が届き、コンビニ・銀行・口座振替などで支払う流れです。
この立替払いにより、販売業者は購入者からの入金を待たずに代金を受け取れ、請求・督促・回収の業務も決済事業者に任せられます。多くのサービスでは、購入者が支払わなかった場合の未回収保証を用意しています。
BNPLと従来型後払いの違い
次に、混同されやすい用語を整理します。日本では「後払い決済」と「BNPL」はほぼ同じ意味で使われますが、支払い方法の中身には幅があります。
従来から国内の通信販売で使われてきた後払いは、商品到着後に届く請求書やメールで、代金を一括で支払う方式が中心です。これに対し、海外で先行して普及したBNPLには、支払いを複数回に分ける分割型(例: 3回・4回の分割払い)を前面に出すサービスもあります。
いずれも、購入者が商品を受け取ってから支払う点は共通しています。自社が導入を検討する際は、一括払いを基本とするか、分割払いにも対応させるかによって、購入者に提示できる支払い体験が変わる点を押さえておくとよいでしょう。
後払い決済の市場動向と市場構造
後払い決済を導入する前提として、市場の規模と構造も押さえておきましょう。国内の後払い決済は、通信販売の拡大とともに利用が広がっています。
消費者委員会の中間整理によると、後払い決済の決済額は約1.8兆円とされ、コード決済(約13.5兆円)や電子マネー(約6.2兆円)に次ぐ規模になっています。同整理では「後払い決済の市場規模は、2028年度には2.8兆円に拡大するとの予測もあり」と紹介されています。
市場構造にも特徴があります。国内で広く導入されている後払い決済は、通信販売とともに実績を重ねてきた国内の決済事業者が提供するサービスが中心です。海外発の分割型BNPLも一部は日本で利用できますが、対応チャネルや加盟店サポートの手厚さはサービスごとに差があるため、知名度ではなく国内での実態で比較することが重要になります。
後払い決済の仕組みや、クレジットカード払いとの違い、関わる法規制をより深く押さえておきたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。比較に入る前に基礎から確認したい方はあわせてご覧ください。
BNPL(後払い決済)の仕組みとは?お金の流れ・クレジットカードとの違い・手数料・法規制を図解で解説
自社のECサイトや店舗に「あと払い」を導入すべきか検討を始めたものの、BNPL(Buy Now Pay Later)という言葉だけが先行し、中で誰が何をどう動かしているのかが腹落ちしていない、という担当者は少なくありません。 BNPLは、消…
後払い決済サービスの種類(タイプ別の選び方)
後払い決済サービスは、自社が「どこで・誰に売っているか」によって適した種類が分かれます。ここでは、販売業態を軸に2つのタイプへ分類し、自社がどちらに当てはまるかを見極められるように整理します。
EC・通販事業者向けの後払い決済
ネットショップや通信販売を運営する事業者に向いたタイプです。ECカートや通販システムと連携し、購入手続きの画面で購入者に後払いを提示できます。請求書の発行、入金管理、支払い遅延時の督促、未回収時の保証までを決済事業者が代行するため、購入者対応や回収業務の負担を抑えられます。
このタイプには、購入者が使うアプリやアカウントを持ち、購入者との接点を囲い込む形のサービスと、加盟店の裏方に徹して請求代行に集中する形のサービスがあります。購入者に会員体験まで提供したいのか、裏側の回収業務だけを任せたいのかで、適したサービスが変わります。
実店舗・BtoCサービス事業者向けの後払い決済
学習塾やリフォーム、エネルギー小売、各種スクールなど、EC以外のBtoCサービスを提供する事業者に向いたタイプです。月謝や工事代金のように、継続的な請求や都度の請求が発生する取引で、請求書の送付やコンビニ払い、与信までを代行します。
実店舗やサービス業では、契約時点と役務提供・支払いのタイミングがずれることが多いため、請求サイクルや利用上限額が自社の商材に合うかを重視して選ぶことになります。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、あるいはどのサービスが自社の条件に合うかの判断が難しいケースもあります。そのような場合でも、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
後払い決済サービスの選び方・比較ポイント
後払い決済サービスは、手数料の安さだけで選ぶと、入金の遅れや与信落ちによる離脱、未回収損失といった導入後の失敗につながりかねません。ここでは、自社の条件に照らして候補を絞り込むための比較ポイントを7つの観点で整理します。
未回収保証の有無と保証率・条件
後払い決済の導入で最も重視したいのが、未回収保証の内容です。購入者が支払わなかった場合に、決済事業者が代金を保証してくれるかどうかで、事業者が負う損失リスクが大きく変わります。
確認すべきは「有無」だけではありません。保証率が代金全額(100%)なのか条件付きなのか、保証の上限額や対象取引に制限があるのかまで踏み込んで比較します。保証率や条件は各社で異なるため、比較表と各社の紹介で具体的な内容を確認してください。保証が手厚いほど手数料が上がる傾向があるため、想定する未回収リスクと手数料負担のバランスで判断することになります。
決済手数料・初期費用・月額費用の料金体系
料金体系は、決済手数料(決済額に対する料率)・初期費用・月額費用・請求書発行費用などの組み合わせで決まります。ここで見るべきは、相場の水準そのものよりも「自社の取引に当てはめたときの総額」です。
決済手数料は利益率に直結するため、客単価が低い商材では料率の差が重くのしかかります。月額固定費や請求書の発行費用がかかるサービスでは、月間の取引件数が少ないうちは1件あたりの負担が割高になります。取引件数・客単価が今後どう変わるかも見込んで、料金体系が自社の成長段階に合うかを確認しましょう。具体的な費用の水準は次章の費用相場でも解説します。
与信審査のスピード・通過率・利用上限額
後払いでは、購入者ごとに決済事業者が与信審査を行います。審査が購入手続きの中でリアルタイムに完了するか、通過率が高いかは、購入者の離脱を防ぐうえで重要です。審査に時間がかかったり、否決が多かったりすると、せっかくのカゴ落ち対策が逆効果になりかねません。
あわせて、1回の取引で利用できる上限額も確認します。国民生活センターによると、後払い決済サービスでは「55,000円を利用上限額としている後払い決済サービス事業者が多くみられ」ますが、「近年はこの金額を超える決済サービスも提供されています」。高額商材を扱う場合は、上限額が自社の客単価に足りるかが選定の分かれ目になります。
入金サイクル・早期払い
決済事業者から自社へ代金が入金されるサイクルは、資金繰りに直接影響します。月1回の入金か月2回か、締め日から入金までの日数がどれくらいかを確認しましょう。
入金までの期間が長いと、その間の立替が自社の資金繰りを圧迫します。手元資金に余裕がない場合は、通常より早く入金を受けられる早期払いのオプションがあるか、その場合の追加手数料はいくらかまで確認しておくと安心です。
購入者が使える支払い方法の幅
購入者が代金を支払う手段の幅も、カゴ落ち対策として見逃せません。コンビニ払い・銀行振込・口座振替に加え、スマートフォンアプリやバーコード決済など、購入者が使い慣れた方法に対応しているかを確認します。
支払い方法が限られていると、購入者が「支払いが面倒」と感じて離脱したり、支払い忘れが増えたりします。自社の顧客層がよく使う支払い手段をカバーできるサービスを選ぶことが、確実な回収にもつながります。
対応チャネルと自社カート・API/CSV連携
自社の販売チャネル(EC・実店舗・請求書)に対応しているか、そして既存の仕組みと無理なく連携できるかを確認します。ECであれば、自社が使うカートやカラーミー・Shopifyといった主要な通販システムに標準対応しているかで、導入の手間が大きく変わります。
基幹システムや受注管理と連携させたい場合は、APIによる自動連携に対応しているか、あるいはCSVファイルでの請求データのやり取りで足りるかを見極めます。手作業での二重入力が発生する連携方式だと、業務効率化の効果が薄れてしまいます。
キャンセル・返品時の費用負担
見落とされがちですが、キャンセルや返品が発生したときの取り扱いも確認しておきたいポイントです。返品が多い商材では、キャンセル処理のたびに手数料が発生するかどうかが、コストに無視できない差を生みます。
いったん決済した取引を取り消す際に、決済手数料が返還されるのか、キャンセル手数料が別途かかるのかは各社で扱いが分かれます。アパレルや化粧品のように返品率が読めない商材を扱う場合は、この条件を事前に確かめておきましょう。
後払い決済の手数料・費用相場
ここでは、後払い決済を導入する際の費用の桁感を整理します。各社の実額は比較表と個別紹介で確認いただくとして、まずは中立的な相場観をつかんでおきましょう。
後払いを自社ブランドで提供する専業サービスの決済手数料は、本記事で扱う各社を見るかぎり、決済額に対しておおむね2.5〜5.0%程度が中心です(取引規模に応じた段階制のプランを採るサービスが多く、取扱高が大きいほど下限に近づきます)。
未回収保証が手厚いサービスや、審査・請求代行まで幅広く任せられるサービスほど、料率は高くなる傾向があります。客単価が低い商材では、この料率の差がそのまま利益率に響くため、料率の高さと保証・代行範囲のバランスで見極めることになります。
決済手数料以外にも、初期費用や月額固定費、請求書の発行・郵送費用がかかる場合があります。専業サービスの多くは初期費用が無料で、月額固定費は無料〜5万円台/月とプランによって幅があります(決済手数料率が低いプランほど月額固定費が高くなる料金設計も一般的です)。
初期費用・月額費用が無料で決済ごとの手数料だけで使えるサービスもあれば、月額固定費を払う代わりに1件あたりの負担を抑えられるサービスもあるため、月間の取引件数が少ないうちは前者、件数が多い場合は後者が有利になりやすい傾向があります。自社の取引量に当てはめて総額で比較してください。
自社の取引が法人間(BtoB)の掛け払いにあたる場合は、以下の記事で企業間後払い・請求代行サービスを比較できます。
後払い決済サービス比較表
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要な後払い決済サービスを販売業態のタイプ別に分類してご紹介します。決済手数料・入金サイクル・未回収保証の保証率と条件・与信・対応チャネルなど、選定の核心となる項目を横並びで比較できます。
【タイプ別比較表】EC・通販事業者向け
後払い決済サービスには、後払いを自社ブランドで提供する専業サービスと、後払いを含む複数の決済手段をまとめて扱う総合決済代行があります。以下ではまず専業サービスを、続いて総合決済代行を並べています。総合決済代行は後払いの手数料や保証条件を業種・取扱高に応じた個別見積りとすることが多いため、本表では後払い部分の条件が「要問い合わせ」となる項目が多くなっています。
| サービス名 | Paidy(ペイディ) | NP後払い | GMO後払い | スコア後払い(@払い) | 後払い.com | クロネコ代金後払い | ミライバライ | DSK後払い | GMOイプシロン (総合決済代行・後払いはGMO後払いを利用) | PGマルチペイメントサービス (総合決済代行・後払いはGMO後払いを利用) | VeriTrans4G (総合決済代行・後払いはVeritrans Postpayを利用) | SBペイメントサービス (総合決済代行・後払いはNP後払いを利用) | ゼウス決済サービス (総合決済代行・後払いを決済手段として提供) | KOMOJU(コモジュ) (総合決済代行・後払いはPaidyを利用) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 未回収保証 | 要問い合わせ | 100%保証 (審査通過取引が対象) | 100%保証 (与信通過取引が対象) | 100%保証 | 100%保証 (与信通過分が対象) | あり (立替払い方式) | 100%保証 (細則は要問い合わせ) | あり (債権保証型) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 決済手数料 | 要問い合わせ | 2.9%〜5.0% (取引額帯別4プラン) | 要問い合わせ | 2.7%〜4.7% | 2.8%〜4.8% | 2.9%〜5.0% | 2.8%〜4.8% | 2.7%〜4.7% | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 3.5%〜 (Paidy後払い) |
| 初期費用/月額費用 | 0円/0円 | 0円/0円〜48,000円 | 要問い合わせ | 0円/0円〜45,700円(税別) | 0円/5,500円〜55,000円(税込) | 0円/0円〜52,800円 | 0円/0円〜48,000円(税抜) | 0円/0円〜45,000円 | 0円/2,980円〜9,980円(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円/3,000円〜(税抜) | 0円/0円 |
| 入金サイクル | 月末締め・翌月20日払い | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 毎週/月2回/月1回から選択 | 要問い合わせ | 3種類から選択 (最短5日) | 月2回(15日・末日) | 週1回/月2回/月1回から選択 | 月末締め・翌々月20日 (早期入金で翌月15日) | 早期入金あり (複数サイクルから選択) | 要問い合わせ | 月2回 (オプションで最大6回) | 要問い合わせ | 月次または週次から選択 |
| 対応チャネル | EC通販 | EC通販 | EC通販 | EC通販 | EC・カタログ・電話通販 | EC通販 | EC通販・サービス業 | EC・カタログ・電話/FAX | EC通販 | EC通販 | EC・実店舗 | EC・実店舗 | EC通販 | EC通販・越境EC |
| 購入者の利用上限 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 55,000円(税込) | 55,000円(税込) | 上限なし | 55,000円(税込) | 要問い合わせ (店舗別に設定) | 55,000円(税込) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社公表情報等に基づく一般的な傾向です。実際の手数料・保証条件・対応範囲は各社情報をご確認ください。
【タイプ別比較表】実店舗・BtoCサービス事業者向け
| サービス名 | atone(アトネ) | NP後払いair | 後払い.com for サービス業 |
|---|---|---|---|
| 未回収保証 | 100%保証 (審査通過取引が対象) | 100%保証 (審査通過取引が対象) | 100%保証 (与信通過分が対象) |
| 決済手数料 | 2.5%〜 (プレミアムプラン) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 初期費用/月額費用 | 要問い合わせ (スタンダードは月額0円) | 要問い合わせ | 0円/要問い合わせ |
| 入金サイクル | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 対応チャネル | EC・実店舗 (会員型ID後払い) | 実店舗・サービス業 (対面・役務提供) | 実店舗・サービス業 (ガス・電気・学習塾等) |
| 購入者の利用上限 | 50,000円(税込)を基準 (利用状況で変動) | 要問い合わせ | 上限なし |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社公表情報等に基づく一般的な傾向です。実際の手数料・保証条件・対応範囲は各社情報をご確認ください。
後払い決済サービスの個別紹介
ここからは、各サービスの概要と固有の強み、どのような事業者に向くかを個別に紹介します。まずは自社の販売業態に合うタイプから読み進めてください。
EC・通販事業者向けの後払い決済
ECカート・通販システムと連携し、オンラインの購入手続きの中で後払いを提示できるサービスです。購入者との接点を持つタイプと、加盟店の裏方に徹するタイプがあり、それぞれの特徴を踏まえて紹介します。
また、以下で紹介するサービスには、後払いに特化したサービスだけでなく、クレジットカードやコンビニ払いなど多様な決済手段の一つとして後払いを扱う総合決済代行サービスも含まれます。後払いに限らずオンライン決済全体をまとめて導入・比較したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。
1. Paidy(ペイディ)(Paidy合同会社)

Paidy(ペイディ)は、購入者がメールアドレスと携帯電話番号だけで利用でき、クレジットカードを登録せずに買い物ができる消費者向けの後払い決済(BNPL)です。2021年にPayPalの傘下に入り、国内向けにBNPLサービスを提供しています。
購入者は翌月にまとめて支払うほか、3回・6回・12回のあと払い(分割手数料無料)も選べ、高額商品でも購入時の負担感を抑えられます。加盟店の導入形態は、Shopifyなど主要カートとの連携と、直接のAPI実装に対応します。
加盟店の費用は決済手数料のみで、初期費用・月額使用料は0円です。ただし決済手数料率は公式に非掲載で、加盟店ごとの個別見積もりとなります。加盟店への入金は月末締め・翌月20日払いで、1回あたり550円(税込)の入金手数料がかかります。
2. NP後払い(株式会社ネットプロテクションズ)

2002年に国内で初めて未回収リスク保証型の後払いを始めたのが、株式会社ネットプロテクションズのNP後払いです。購入者は会員登録不要で、商品到着後に届く請求書をコンビニ・銀行・郵便局・スマホ決済で支払います。
加盟店は同社から代金を立替払いで受け取り、購入者の支払い遅延や貸し倒れによる未回収リスクは同社が100%保証します(審査を通過し、規約所定の除外事由がない取引が対象)。請求・回収業務も代行するため、加盟店は与信から回収までを任せられます。
決済手数料は月間取引額に応じた4段階で、顧客請求額の2.9%〜5.0%、初期費用0円・プランAは月額固定費0円です。NP後払い(air含む)の導入店舗数は17.9万店舗(2026年3月31日時点)で、申し込みから最短10営業日で利用を開始できます。
3. GMO後払い(GMOペイメントサービス株式会社)

GMO後払いは、EC通販の購入者が商品受け取り後にコンビニ・銀行・郵便局で代金を支払える後払い決済です。運営はGMOペイメントゲートウェイの連結子会社、GMOペイメントサービス株式会社で、与信審査から請求書発行・督促・入金管理までを代行します。
与信審査を通過した取引は代金が立替払いされ、未回収リスクを100%保証します(与信通過取引が対象)。紙の請求書を使わない電子バーコード方式にも対応し、大手ECのツケ払いでも採用されています。
対応チャネルはEC通販に限られ、対面販売や電話受注では利用できません。購入者1人あたりの利用上限額は55,000円(税込)です。加盟店向けの料金プランは公式サイトに具体額の掲載がなく、初期費用・決済手数料率は要問い合わせとなります。
4. スコア後払い(@払い)(株式会社SCORE)

「通販会社がつくった通販会社のための後払いサービス」を掲げるのが、株式会社SCOREのスコア後払い(@払い)です。与信・請求・回収をSCOREが代行し、購入者は商品到着後にコンビニや郵便局などで支払います。
代金未収のリスクはSCOREが100%保証するリスク保証型で、加盟店は未回収リスクを負いません。入金サイクルは毎週・月2回・月1回から選べ、最短の毎週入金にも対応するため、資金繰りを調整しやすい設計です。
初期費用は無料で、決済手数料率2.7%〜4.7%・月額固定費0円〜45,700円(税別)の4プランから、取引規模に応じて選びます。購入者の利用限度額は55,000円(税込)、支払いは払込票発行から14日以内です。運営会社は2024年にDGフィナンシャルテクノロジーの完全子会社となりました。
5. 後払い.com(株式会社キャッチボール)

後払い.comは、EC・カタログ通販・電話通販の物販向けの後払い決済です。運営は東証プライム上場スクロールグループの株式会社キャッチボールで、購入者は全国のコンビニ・郵便局・銀行などで代金を支払えます。
与信審査を通過した注文は、購入者の支払いが滞っても全額を立替払いする未払い保証100%の設計です。Shopify・EC-CUBE・ebisumartなど40社以上のECカート・受注管理システムと、CSVまたはAPIで連携できます。
取引規模に応じて4プランを用意し、初期費用は0円、月額固定費5,500円〜55,000円(税込)、決済手数料2.8%〜4.8%です。手数料率が低いプランほど月額固定費が高くなる構成のため、取引規模に合わせて選びます。Shopify定期購入への後払いやPayPay請求書払いにも対応します。
6. クロネコ代金後払いサービス(ヤマトクレジットファイナンス株式会社)

宅配便を手がけるヤマトグループが提供する消費者向けEC・通販後払いが、クロネコ代金後払いサービスです。ヤマトクレジットファイナンス株式会社が加盟店へ代金を立替払いし、購入者への請求・回収を代行します。加盟店の契約窓口はヤマト運輸株式会社が担います。
払込票は封書・ハガキ・スマホの3タイプから選べ、スマホタイプは配送完了後最短30分でSMS・Eメールを送信します。購入者はコンビニ・郵便局・銀行振込に加え、au PAYやクレジットカードでも支払えます。
決済手数料2.9%〜5.0%を軸に、初期費用0円・月額固定費0円〜52,800円の4プランから選べます。加盟店への入金は標準3種類のサイクルから選べ、最短5日での入金に対応します。購入者の利用上限は累計55,000円(税込)、支払期限は払込票発行から14日以内です。
7. ミライバライ(AGペイメントサービス株式会社)

ミライバライは、アイフルグループのAGペイメントサービス株式会社が手がける、EC通販・サービス業向けの後払い決済(BNPL)です。購入者は商品受け取り後に、全国のコンビニや電子決済などで代金を支払います。
加盟店は購入者の未払いリスクを同社に移せる未回収リスク100%保証を掲げ、24時間365日・最短5秒のリアルタイム与信審査で購入手続き中の離脱を抑えます。加盟店契約は申し込みから最短8営業日で利用を開始できます。
料金は4プラン制で、月額固定費0円〜48,000円(税抜)、決済手数料率2.8%〜4.8%(非課税)、請求書発行手数料は全プラン共通で225円(税抜)です。加盟店への立替払いは月2回(15日・末日)で、振込手数料は同社が負担します。
8. DSK後払い(株式会社DSKペイメント)

DSK後払いは、EC通販向けの債権保証型あと払い決済です。運営する株式会社DSKペイメントは、東証プライム上場の電算システムホールディングスの100%子会社にあたり、ECサイトのほかカタログ通販や電話・FAX注文にも対応します。
着荷が確認できた取引はすべてDSKペイメントが立替払いするため、加盟店の未回収リスクはありません。購入者はコンビニやゆうちょ銀行・郵便局に加え、PayPay請求書払いや楽天ペイなどのスマホ決済でも支払えます。
月間取扱金額に応じて4プランがあり、決済手数料率は2.7%〜4.7%、初期費用0円・月額固定費0円〜45,000円です。加盟店への立替金の支払いは週1回・月2回・月1回から選べます。購入者1人あたりの利用上限は55,000円(税込)で、加盟審査から最短10営業日で利用を開始できます。
9. GMOイプシロン(GMOイプシロン株式会社)

中小EC・スタートアップを主な対象とするオンライン決済代行が、GMOイプシロン株式会社のイプシロン決済サービスです。クレジットカードを中心に、コンビニ・ネット銀行・電子マネー・後払いなど多様な決済手段を1つの契約でまとめて導入できます。
後払いはGMO後払いを決済手段の一つとして提供し、購入手続きの選択肢に加えられます。makeshop・カラーミーショップ・Shopifyなど主要ECカートと連携でき、GMOグループのEC基盤との親和性が高い点も特徴です。
初期費用は0円で、月額費用はビギナー2,980円からスタンダード・プレミアムまでの3プラン(税抜)です。クレジットカード決済手数料は売上連動の段階制で2.79%〜3.6%です(これはカード決済の料率で、後払い(GMO後払い)の手数料は決済手段ごとの個別見積りとなります)。入金は月末締め・翌々月20日が基本で、早期入金オプションで翌月15日に短縮できます。
10. PGマルチペイメントサービス(GMOペイメントゲートウェイ株式会社)

PGマルチペイメントサービスは、クレジットカードやコンビニ、キャリア決済、後払いなど30以上の決済手段を1契約・1システムでまとめて導入できるオンライン総合決済サービスです。提供元は東証プライム上場のGMOペイメントゲートウェイ株式会社です。
後払いはGMO後払い決済サービスなどを決済手段として選べます。営業担当が個別にヒアリングしたうえでプランを提示する導入形態で、中堅〜大企業や公的機関への導入を想定しています。
料金は業種や取扱高に応じた個別見積りで、初期費用・月額費用・手数料はいずれも要問い合わせです。セキュリティ面ではPCI DSS Ver4.0.1に準拠し、EMV 3Dセキュア2.0に対応します。
11. VeriTrans4G(ベリトランス4G)(株式会社DGフィナンシャルテクノロジー)

VeriTrans4Gは、クレジットカード・コンビニ・キャリア決済・後払い・越境決済まで30種類以上の決済手段を1つの接続で導入できる総合決済プラットフォームです。1997年創業の決済代行事業者、株式会社DGフィナンシャルテクノロジーが手がけます。
後払いはVeritrans Postpayを決済手段として提供します。加盟店の開発体制に応じて、API・トークン決済・リンク決済・メールリンク決済から接続方式を選べる点が特徴です。
サブスクリプションなどの継続課金に対応し、カード情報の自動更新で決済失敗を抑える仕組みも備えます。EMV 3Dセキュア2.0にも対応。料金は導入する決済手段の組み合わせによる個別見積りで、初期費用・月額費用・決済手数料はいずれも要問い合わせです。
12. SBペイメントサービス(SBペイメントサービス株式会社)

40ブランド以上の決済手段を単一契約で導入できるのが、ソフトバンク株式会社の100%子会社が運営するSBペイメントサービスです。クレジットカード・キャリア決済・QR/ID決済・コンビニ・後払いを一括で扱えます。
後払いはNP後払いなどを決済手段として取り扱います。加盟店への入金サイクルは月2回が基本で、オプションで最大6回まで入金回数を増やせるため、資金繰りに合わせた調整が可能です。
年間の決済取扱高は11.4兆円(2025年度実績)で、ソフトバンクグループの決済基盤を背景に持ちます。料金は業種や取扱高によって異なるため、初期費用・月額費用・決済手数料はいずれも要問い合わせとなります。
13. ゼウス(ZEUS)決済サービス(株式会社ゼウス)

ゼウス(ZEUS)決済サービスは、クレジットカードを中心に、コンビニ・キャリア・銀行・あと払い・端末決済まで複数の決済手段を一括導入できるオンライン決済代行です。運営する株式会社ゼウスは1994年設立で、SBIグループの傘下にあります。
あと払い決済も対応手段の一つとして用意されています。継続課金(定期課金)が標準機能で、カード有効期限の自動更新にも対応。事業者・購入者の双方に向けた24時間365日の有人コールセンターを備えます。
クレジットカード決済の基本プランは初期費用0円・月額3,000円(税抜)で、決済手数料は〜3.5%、決済成功ごとに売上処理料30円がかかります。これはクレジットカード決済の料率で、あと払いの手数料は決済手段ごとの個別見積りとなります。審査は即日・最短3営業日での導入を掲げており、審査期間は決済手段によって前後します。
14. KOMOJU(コモジュ)(株式会社KOMOJU)

KOMOJU(コモジュ)は、越境EC・海外向け販売への対応を主な強みとする決済プラットフォームです。国内外65以上の決済手段に対応し、クレジットカードやコンビニ、QR/スマホ決済、銀行振込、後払いを1つの管理画面で導入できます。
後払いはPaidy(ペイディ)を決済手段として提供します。Shopify・WooCommerceなど主要ECプラットフォームにノーコードで導入でき、韓国・中国・東南アジア・欧州・ブラジルの現地決済にも対応します。
初期費用・月額費用は0円で、費用は決済手数料のみです。国内の料率はクレジットカード3.25%、コンビニ2.75%、QR・スマホ決済3.5%〜、銀行振込1.4%で、後払いはPaidy(ペイディ)を利用し料率は3.5%〜です。加盟店への入金は月次または週次から選べます。
実店舗・BtoCサービス事業者向けの後払い決済
学習塾・リフォーム・エネルギー小売など、EC以外のBtoCサービスでの継続請求・都度請求に対応するサービスです。請求書送付やコンビニ払い、与信の代行に強みを持つサービスを紹介します。
15. atone(アトネ)(株式会社ネットプロテクションズ)

atone(アトネ)は、株式会社ネットプロテクションズが提供する会員型の後払い決済(BNPL)です。消費者は携帯電話番号とメールアドレスで会員登録し、SMS認証コードで決済を完了します。
複数の加盟店での買い物を翌月にまとめて支払える「ID後払い」が特徴で、実店舗を含む複数チャネルをまたいだ利用を想定しています。消費者1会員あたりの利用上限は50,000円(税込)を基準に、利用状況に応じて変動します。
決済手数料は、プレミアムプランで2.5%からと案内されています。スタンダードプランは月額固定費が無料で、初期費用や具体的な料率は資料請求・導入相談で開示される形です。消費者の支払い遅延や貸し倒れによる未回収リスクは、同社が100%保証します(審査を通過し、規約所定の除外事由がない取引が対象)。
16. NP後払いair(株式会社ネットプロテクションズ)

株式会社ネットプロテクションズは、EC通販向けのNP後払いに加えて、サービス事業者向けの後払いとして「NP後払いair」を提供しています。対面や役務提供など、EC以外の場面で後払いを導入したい事業者向けのサービスです。
加盟店が同社から代金を立替払いで受け取り、消費者の未回収リスクを同社が100%保証する仕組み(審査通過・規約所定の除外事由がない取引が対象)や、与信・請求・回収の代行は、NP後払いと共通です。公式が公表する導入店舗数17.9万店舗(2026年3月31日時点)は、NP後払いとNP後払いairを合算した値です。
サービス事業者向けの料金プランや利用条件の詳細は、導入相談・資料請求で確認することになります。
17. 後払い.com for サービス業(株式会社キャッチボール)

ガス・電気などの公共料金やフィットネスジム、学習塾、リフォームなど、継続課金・役務提供の事業者に向けた後払いが、株式会社キャッチボールの「後払い.com for サービス業」です。運営会社は東証プライム上場のスクロールグループに属します。
与信審査を通過した注文は、消費者の支払いが滞ってもキャッチボールが全額を立て替え、期日どおりに事業者へ入金します。支払い方法は、コンビニ・郵便局・銀行に加え、PayPayやFamiPayなどのスマホ決済にも対応します。
利用金額の上限を設けていないため、上限額を理由に後払いを選べなかった高額の役務提供でも導入できる点が、EC通販向けの後払いと異なります。初期費用や契約期間の設定もないと公式に案内されており、決済手数料や月額費用の具体的なプラン内訳は資料請求・問い合わせで確認する形です。
後払い決済を導入するメリット
後払い決済を導入すると、事業者は売上機会の拡大と業務負担の軽減を同時に狙えます。ここでは、事業者側の主なメリットと、その背景にある購入者側の利点を整理します。
カゴ落ちの防止と顧客層の拡大。クレジットカードを持たない、あるいはネット上でカード情報を入力したくない購入者は一定数存在します。後払いを選択肢に加えることで、こうした層の取りこぼしを防ぎ、購入手続きの途中離脱(カゴ落ち)を減らせます。結果として、若年層やカード非保有層まで顧客層を広げられます。
未回収リスクの軽減。多くの後払い決済サービスは、購入者が支払わなかった場合の未回収保証を用意しています。決済事業者が代金を立て替えたうえで回収まで担うため、事業者は自ら督促や貸し倒れの対応に追われずに済みます。
請求・回収業務の効率化。請求書の発行・送付、入金の消込、支払い遅延時の督促といった一連の業務を決済事業者に任せられます。これにより経理・カスタマー対応の工数を削減し、人材をより付加価値の高い業務へ振り向けられます。
これらのメリットの根底には、購入者側の利点があります。購入者は商品を確認してから支払えるため、ネット通販への不安が和らぎ、クレジットカードがなくても手軽に買い物ができます。この「買いやすさ」が、そのまま事業者のカゴ落ち防止と売上拡大につながっています。
後払い決済導入のデメリットと注意点
メリットの一方で、導入後に「思ったより負担が大きい」と感じないために、あらかじめ押さえておきたい注意点があります。失敗を避ける観点で整理します。
手数料による利益率への影響。後払い決済には決済手数料がかかり、これは他の決済手段と比べて高めになることがあります。客単価が低い商材や薄利の商材では、手数料の負担が利益を圧迫しかねません。自社の取引額に当てはめて、負担額を事前に試算しておく必要があります。
与信落ちによる離脱。後払いは購入者ごとに与信審査が入るため、審査に通らなかった購入者はその場で離脱する可能性があります。審査のスピードや通過率が低いサービスを選ぶと、カゴ落ち対策のつもりが逆に機会損失を生むことがあります。
回収不能時の責任範囲とサービスへの依存。未回収保証の範囲は各社で異なり、保証の対象外となる取引もあります。どこまでを決済事業者が保証し、どこからが自社負担になるのかを契約前に確認しておくことが欠かせません。また、請求・回収業務を委ねるほど、その決済事業者への依存度は高まります。
対象外となる商材・サービス。後払い決済は、取り扱う商材やサービスの内容によって利用できない場合があります。高額商材や役務提供型のサービスなどは対象外とされることがあるため、自社の商材が後払いの対象になるかを、導入前に決済事業者へ確認しておきましょう。
後払い決済に関わる制度・消費者トラブルの注意点
後払い決済を導入する事業者にとって、制度上の位置づけと消費者トラブルの動向は、リスク管理のうえで押さえておきたい論点です。ここでは、割賦販売法・資金決済法との関係と、公的機関が示す注意点を一次情報に基づいて整理します。
割賦販売法における後払い決済の位置づけ
翌月一括払いなど2ヶ月以内の後払いは、割賦販売法の「信用購入あっせん」規制の対象から外れます。割賦販売法(昭和36年法律第159号)第2条第3項は、包括信用購入あっせんの定義から「二月を超えない範囲内においてあらかじめ定められた時期までに受領することを除く」としており、典型的な後払い決済はこの除外にあたるためです。
この整理は、所管する経済産業省のFAQでも次のように示されています。
消費者が販売業者で購入した商品、役務、指定権利の代金等を立て替え払いし、2か月を超える期間で消費者から当該代金等の支払いを受ける事業者。取引形態により包括信用購入あっせん業者(クレジットカード会社など)と個別信用購入あっせん業者(信販会社など)に分かれます。
出典:割賦販売法(後払分野)の概要・FAQ 問15|経済産業省
ただし、2ヶ月以内であれば一切規制がないわけではありません。令和2年(2020年)の改正で新設された「二月払購入あつせん」に該当する形態、具体的にはカード等を交付して2ヶ月以内に代金を受領する形態には、クレジットカード番号等の適切な管理義務などが及びます。
一方で、請求書を送付する立替払い型の後払いが当然にこれへ該当するわけではなく、与信審査・書面交付・支払停止の抗弁といった信用購入あっせんの中核的な消費者保護規制は、2ヶ月以内の後払いには及びません。
資金決済法との関係
後払い決済は、資金決済に関する法律(平成21年法律第59号、以下「資金決済法」)が定める前払式支払手段には該当しません。資金決済法第3条第1項は、前払式支払手段を「対価を得て発行される」ものと定義しており、あらかじめ代金を受け取って発行するプリペイド型を指すためです。
後払い決済は代金を後から受領する仕組みで、前払いではありません。したがって、後払いはプリペイド型(前払式支払手段)とは制度上別物である、という区別で理解するのが正確です。決済分野全般では、収納代行など資金決済に関わる制度の見直しも議論されていますが、これらは後払い決済そのものを直接対象とするものではありません。
規制動向:後払い決済を包括的に規律する業法は現状ない
2ヶ月以内の後払い決済を包括的に規律する業法は、現状では整備されていません。この点は、政府の消費者委員会でも課題として検討が進められています。同委員会の専門調査会は、令和7年(2025年)8月の中間整理で次のように整理しています。
包括的に消費者に与信する包括信用購入あっせん、支払の都度与信を審査していく個別信用購入あっせんがあるが、それに当てはまらない2か月内払いがある。また2か月内払いで法制度がない後払い決済やキャリア決済がある。
出典:支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 中間整理(令和7年8月)|消費者委員会
同調査会では、「BNPLについて、それを規制する法律や行政機関がなく、収入の確認、信用情報機関の利用、支払可能見込額の調査義務がない」との指摘も示されています。制度が今後見直される可能性を念頭に、導入するサービスが購入者保護や不正対策にどう取り組んでいるかを確認しておくとよいでしょう。
消費者トラブルの動向と加盟店が注意すべき点
後払い決済の利用拡大に伴い、関連する消費者トラブルも増えています。国民生活センターによると、後払い決済サービスに関する相談のうち「販売方法に問題がある」件数は、2021年度の14,555件から2024年度は43,964件へと増加しています(2025年5月31日までの登録分)。
同センターは、トラブルの背景にある問題点として次の3点を挙げています。
出典:増加し続ける後払い決済サービスが関連する消費者トラブル(令和7年7月2日)|国民生活センター
- (1)消費者対応が十分ではない販売業者が後払い決済サービスの加盟店になっている
- (2)消費者トラブルを発生させている販売業者に関する情報を、後払い決済サービス事業者が積極的に把握せず、その結果、迅速な調査が不十分なことがある
- (3)後払い決済サービスが悪用されている
これらは、後払い決済を導入する加盟店の側にも関わる論点です。定期購入の解約条件や請求内容を購入者に分かりやすく示すこと、なりすましなどの不正利用に備えることは、事業者自身の信頼を守るうえでも重要になります。導入するサービスを選ぶ際は、加盟店の審査体制や不正対策、トラブル発生時の調査対応まで含めて確認しておきましょう。
後払い決済の導入の流れ(EC・実店舗別)
最後に、後払い決済を実際に導入するまでの流れを、EC編と実店舗・サービス業編に分けて整理します。導入後のイメージを具体的につかんでおきましょう。
EC・通販での導入の流れ
ECでの導入は、決済代行の申し込みから審査、システム連携へと進みます。まず、自社の要件(月間の取引件数・客単価・必要な支払い方法・使っているカートなど)を整理し、候補となるサービスへ資料請求や問い合わせを行います。
導入先を決めたら申し込み手続きに進み、決済事業者による加盟店審査を受けます。審査では事業内容や取扱商材が確認されます。
審査を通過した後は、自社のECカートやシステムとの連携を設定します。標準対応しているカートであれば管理画面での設定で済み、基幹システムと連携させる場合はAPIやCSVでのデータ連携を組み込みます。連携が完了すれば、購入手続きの画面に後払いが表示され、運用を開始できます。
実店舗・サービス業での導入の流れ
実店舗やサービス業では、請求書送付を軸とした運用の設計が中心になります。まず、月謝や工事代金など自社の請求パターンを整理し、請求サイクルや利用上限額が合うサービスを選んで申し込み、加盟店審査を受けます。
審査を通過した後は、顧客への案内と請求データの登録に進みます。対象の顧客に後払いを案内し、決済事業者の管理画面やCSVで請求データを送信すると、決済事業者が請求書の送付や督促、回収を代行します。回収された代金は、契約した入金サイクルに従って自社の口座へ入金されます。継続請求の商材では、毎月の請求データの受け渡しが運用の中心になります。
まとめ
後払い決済は、クレジットカードを持たない購入者の取りこぼしを防いでカゴ落ちを減らし、請求・回収業務の負担と未回収リスクを軽減できる決済手段です。自社の売り方に合わせて、EC・通販事業者向けか、実店舗・BtoCサービス事業者向けかを見極めることが、導入先選びの出発点になります。
サービスを選ぶ際は、手数料の安さだけで判断せず、未回収保証の保証率と条件、与信のスピードと通過率、入金サイクル、対応チャネルと連携方式を総合的に比較することが重要です。あわせて、割賦販売法や資金決済法との関係、消費者トラブルへの対応体制まで確認しておくと、導入後の失敗を避けられます。
比較表と選定診断ツールを活用し、各社の資料を取り寄せて、自社に最適な後払い決済サービスの検討を進めてください。
後払い決済サービスに関するよくある質問(FAQ)
Q. 後払い決済サービス(BNPL)とは何ですか?
A. 後払い決済サービス(BNPL)とは、購入者が商品やサービスを受け取った後に代金を支払える決済手段を、決済代行会社が事業者に代わって提供する仕組みです。決済代行会社が代金を立て替えて事業者へ支払い、購入者への請求書発行・入金管理・督促・回収を代行します。事業者はクレジットカードを持たない購入者も取り込めるうえ、未回収リスクや請求業務の負担を軽減できます。
Q. 後払い決済サービスとコンビニ決済(前払い)は何が違いますか?
A. 後払い決済とコンビニ決済(前払い)の違いは、購入者が代金を支払うタイミングにあります。コンビニ決済(前払い)は商品を受け取る前に支払うのに対し、後払い決済は商品を受け取った後に、届いた請求書などで支払います。後払いは商品を確認してから支払える安心感が購入者のメリットで、事業者にはカゴ落ち防止につながります。また、後払い決済でも支払い手段としてコンビニ払いを選べるサービスは多くあります。
Q. 後払い決済サービス(BNPL)とBtoBの掛け払いは何が違いますか?
A. 後払い決済(BNPL)と掛け払いの違いは、取引の相手が個人か法人かです。BNPLは消費者(個人)向けの後払いで、ECや実店舗での都度の買い物が対象です。一方、掛け払いは企業間(BtoB)取引向けの後払いで、法人同士の継続的な取引や月締め請求が対象です。与信の対象・利用上限額・手数料水準も異なり、対応するサービスの種類も分かれるため、販売相手が個人か法人かで選ぶサービスが変わります。
Q. 後払い決済サービスの手数料はどれくらいかかりますか?
A. 後払いを専業で提供するサービスの決済手数料は、決済額に対しておおむね2.5〜5.0%程度が中心です。未回収保証が手厚いサービスや、審査・請求代行まで幅広く任せられるサービスほど、料率は高くなる傾向があります。
決済手数料のほかに、初期費用(無料が主流)・月額固定費(無料〜5万円台/月)・請求書の発行/郵送費用がかかる場合もあるため、自社の取引件数や客単価に当てはめて総額で比較することが大切です。
Q. 後払い決済サービスには必ず未回収保証が付いていますか?
A. 未回収保証はすべての後払い決済サービスに付いているわけではなく、保証型と非保証型があります。保証型でも、100%保証か、上限額や条件付きかはサービスによって異なります。保証が手厚いほど手数料は高くなる傾向があるため、未回収リスクをどこまで代行会社に移したいかを踏まえ、保証の「有無」だけでなく保証率と適用条件まで確認して選ぶことが重要です。
Q. 後払い決済サービスはECだけでなく実店舗でも導入できますか?
A. 後払い決済はEC・通販だけでなく、実店舗やBtoCサービス業でも導入できます。ただしサービスごとに得意なチャネルが異なり、ECカート連携を前提としたEC向けと、学習塾・リフォーム・エネルギー小売など請求書送付を軸としたサービス業向けに大きく分かれます。自社の売り方(オンラインか対面か、都度課金か継続請求か)に対応チャネルが合うサービスを選ぶ必要があります。
Q. 後払い決済サービスは導入までどのくらいの期間がかかりますか?
A. 後払い決済の導入期間は、申し込み後の加盟店審査と、自社システムとの連携方法によって変わります。標準対応しているECカートであれば管理画面での設定で短期間に始められますが、基幹システムとAPIやCSVで連携させる場合は開発期間が加わります。事業内容や取扱商材を確認する加盟店審査もあるため、余裕を持ったスケジュールで、資料請求・問い合わせの段階から候補社に導入期間を確認しておきましょう。
Q. 後払い決済サービスの導入で、消費者トラブルの責任は加盟店にも及びますか?
A. 後払い決済に関する消費者トラブルは、加盟店である事業者側にも関わる論点です。国民生活センターは、消費者対応が十分でない販売業者が加盟店になっている点などを問題として挙げており、関連する相談件数も近年大きく増加しています。
定期購入の解約条件や請求内容を購入者に分かりやすく示すこと、なりすましなどの不正利用に備えることは、事業者自身の信頼を守るうえで重要です。サービス選定時は、加盟店の審査体制・不正対策・トラブル発生時の調査対応まで確認しておきましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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