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多要素認証(MFA)システムおすすめ17選を徹底比較|認証方式・料金・タイプ別の選び方

多要素認証(MFA)システム おすすめ17選を比較のサムネイル画像

ID とパスワードだけのログインは、もはや「鍵をかけていない」のと同じ状態に近づいています。攻撃者は流出したパスワードのリストを使い回し、本物そっくりの偽サイトで認証情報を抜き取り、正規利用者になりすまして社内システムやクラウドサービスへ侵入します。

その対策として導入が進むのが、パスワードに加えてもう一つ以上の本人確認を求める多要素認証(MFA)です。ただし、ひとくちに MFA といっても、複数のクラウドサービスのログインをまとめて守る SSO 一体型から、既存の社内システムや VPN に認証だけを足す特化型まで幅広く、対応する認証方式も料金も大きく異なります。

この記事では、国内外で導入実績のある多要素認証システム17製品を「SSO 対応型」「多要素認証特化型」のタイプ別に整理し、認証方式・既存システム連携・料金を横並びで比較します。自社の認証基盤に合う製品を絞り込めるよう、選び方の判断軸と診断ウィジェットも用意しました。まずは自社が「認証基盤ごと統合したいのか、既存環境に認証を足したいのか」を意識しながら読み進めてください。

自社の認証基盤の方針や重視する点から適した製品を絞り込みたい方は、本文中ほどのタイプ別診断もあわせてご活用ください。

監修者
監修者 佐藤裕一(株式会社通信総研 代表)のプロフィール写真

株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)

佐藤裕一

株式会社通信総研 代表。リコーグループのコンサルティング部門で、情報セキュリティコンサルティング、ISMS認証取得支援、情報セキュリティ監査、情報セキュリティポリシー策定支援などに従事したのち、株式会社通信総研を設立。国税庁事務管理センター・バックアップセンターの情報セキュリティ監査およびISMS認証取得支援、総務省・自治体の情報セキュリティ監査やポリシー策定、マイナンバー監査・保護評価、放送事業者のJ-SOX対応IT統制整備、プライバシーマーク認定取得支援などを手がける。ISMS審査員研修(JRCA承認)や防衛省ISMS審査員養成研修の講師も務める。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では研究員として、『中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン』および『SECURITY ACTION制度』の策定・運用、セキュリティプレゼンター制度の運用に携わる。保有資格は情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)、システム監査技術者、公認情報システム監査人(CISA)、情報セキュリティマネジメント試験、ISMS審査員、ITコーディネータ。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

多要素認証(MFA)とは|認証の3要素と仕組み

多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)とは、本人確認に性質の異なる2つ以上の要素を組み合わせる認証方式です。パスワードという「知っている情報」だけに頼らず、スマートフォンや専用キーといった「持っているもの」、指紋や顔といった「本人の身体的特徴」を加えることで、たとえパスワードが漏れても、もう一つの要素がなければログインできない状態をつくります。

パスワードの漏えいが避けられない前提に立ったとき、被害を「侵入」につなげないための最後の壁になるのが多要素認証です。総務省や金融庁などの公的機関も、不正アクセス対策の基本として多要素認証の導入を繰り返し推奨しています。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

インターネットに常時接続された現代では、IDやパスワード(知識情報)だけでは世界中の攻撃者からの盗撮や推測、漏えいを防ぎきれません。
これは「キャッシュカードなしで、4桁の暗証番号だけで誰でもお金を引き出せるネット上のATM」を野放しにするようなものです。カード(所持情報)と暗証番号(知識情報)の「2つの異なる要素」を揃えて初めてお金を引き出せるように、ネット利用が前提のIT環境においても、成りすましを物理的に阻止する「多要素認証」の徹底がセキュリティの命綱となります。

認証の3要素(知識情報・所持情報・生体情報)

多要素認証で組み合わせる「要素」は、次の3種類に整理できます。多要素認証と呼べるのは、このうち異なる種類の要素を2つ以上使う場合です。同じ知識情報であるパスワードと秘密の質問を2つ重ねても、種類が同じため多要素認証にはあたりません。

  • 知識情報:本人だけが知っている情報。パスワード、暗証番号(PIN)、秘密の質問など。
  • 所持情報:本人だけが持っているもの。スマートフォンのアプリ、SMS で届くコード、ワンタイムパスワードのトークン、FIDO2 対応のセキュリティキー、IC カードなど。
  • 生体情報:本人の身体的な特徴。指紋、顔、静脈などの生体認証。
認証の3要素を示す図解。知識情報はパスワードや暗証番号など本人だけが知っている情報、所持情報はスマホアプリやSMSコード・FIDO2キー・ICカードなど本人だけが持っているもの、生体情報は指紋や顔・静脈など本人の身体的特徴。同じ知識情報を2つ重ねても多要素認証にはならず、異なる種類を2つ以上組み合わせることが多要素認証にあたる。

二要素認証・二段階認証・二経路認証との違い

多要素認証と混同されやすい用語を整理しておきます。違いは「いくつの要素を使うか」ではなく「どの種類の要素を、どのように組み合わせるか」にあります。

二要素認証(2FA)は、3要素のうち異なる2種類をちょうど2つ使う認証で、多要素認証の一種です。一方、二段階認証は確認を2段階に分ける方式を指し、パスワードの後に秘密の質問を聞くように同じ知識情報を重ねても多要素認証にはあたりません。二経路認証は、ログイン操作とは別の経路で確認コードを送る方式です。同じ種類を重ねるより、種類の異なる要素を組み合わせるほうが、単一要素より突破されにくくなります。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

金庫を開ける仕組みに例えると、それぞれの違いが明快に理解できます。
二段階認証:「第一のダイヤル番号」を回した後に「第二ダイヤル番号」を回す方式です。手順は2つですが、どちらも「知識」という同じ種類のため、両方の番号が知られなければ解錠できません。
二要素認証:「ダイヤル番号(知識)」に加え「物理鍵(所持)」を使う方式です。種類が異なるため、ダイヤル番号が漏れても鍵がなければ開きません。
二経路認証:鍵を開ける際、ダイヤル番号のメモと物理鍵の保管場所を2カ所に分けることで、どちらか一方の保管場所が知られても解錠を防げます。

シングルサインオン(SSO)との関係

シングルサインオン(SSO)は、一度の認証で複数のクラウドサービスや社内システムにログインできる仕組みです。多要素認証とは目的が異なりますが、両者は密接に関係します。SSO の入口に多要素認証をかければ、利用者は何度もログインし直す手間を減らしながら、認証の強度を全サービスに一括で効かせられるからです。

このため多要素認証システムは、SSO 基盤に認証強化を組み込んだ製品と、SSO を介さず個別のシステムに認証を足す製品に分かれます。この違いが、後述するタイプ分類の軸になります。

SSO そのものの仕組みや種類、認証強化との関係をもう少し詳しく知りたい場合は、以下の記事で図解とあわせて整理しています。

なぜ多要素認証が必要なのか|パスワード認証の限界と攻撃トレンド

多要素認証を導入する最大の動機は、パスワードだけの認証では防げない攻撃が増えていることにあります。導入によって不正ログインのリスクを下げられるだけでなく、利用者の利便性向上や、取引先・保険・各種ガイドラインが求めるセキュリティ要件への対応にもつながります。ここではまず、パスワード認証の限界を攻撃の側から整理します。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

パスワード認証は、コンピュータが個人を識別する手段として黎明期から使われており、その手軽さゆえにインターネットが普及した現代でも標準的に使われ続けています。
しかし、パスワードという「秘密の文字列」に頼る認証には根本的な限界があります。通信の盗聴やフィッシングで簡単に盗み取られるだけでなく、現代のコンピュータの処理能力を使えば、複雑な英数字や記号の組み合わせを高速で試行・解析・推測することが可能だからです。どんなに複雑なパスワードを設定しても、「知られてしまえば終わり」という一線を超えることはできません。単一要素への過信を捨て、多要素認証へ移行することが不可欠です。

パスワードのみの認証では防げない攻撃

パスワードを狙う攻撃は年々巧妙になっています。代表的な手口を知っておくと、どの認証方式なら防げるのかを判断しやすくなります。

  • リスト型攻撃:他社サービスから流出した ID とパスワードの組み合わせを使い回してログインを試みる手口。パスワードを使い回している利用者ほど被害に遭いやすい。
  • フィッシング:本物そっくりの偽サイトに誘導し、入力されたパスワードや認証コードを盗み取る手口。利用者自身が入力してしまうため、パスワードはもちろん、SMS やアプリで届くワンタイムパスワードも盗まれる場合がある。
  • 中間者攻撃:利用者と本物のサイトの通信に攻撃者が割り込み、認証情報やセッションを横取りする手口。認証後のセッションまで奪われると、多要素認証を通過した後の状態ごと乗っ取られるおそれがある。
  • MFA疲労攻撃:盗んだパスワードで何度もログインを試み、利用者のスマートフォンに認証承認の通知を大量に送りつけ、うんざりした利用者が誤って承認してしまうのを狙う手口。多要素認証を導入していても、承認操作だけのプッシュ通知では突破されることがある。

フィッシングや不正ログインは、公的機関の脅威分析でも継続的な主要脅威として挙げられています。

出典:情報セキュリティ10大脅威 2025(独立行政法人情報処理推進機構〔IPA〕)

注目すべきは、多要素認証を入れても方式によっては防ぎきれない攻撃がある点です。フィッシングや中間者攻撃には、偽サイトでは認証が成立しない仕組みを持つ FIDO2/パスキーやデジタル証明書による認証が有効とされ、こうした「フィッシング耐性」のある方式が近年重視されています。どの製品がどの方式に対応するかは、後述の比較表で確認できます。

出典:Passkeys(FIDO Alliance)

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

攻撃者にとってパスワードの奪取は、個人情報や組織の機密へアクセスするための価値ある「万能鍵」を手に入れることを意味します。
その手口は、生成AIを用いた巧妙なフィッシング詐欺や自動化ツールによる高速なアタック、さらにはMFA通知を連発して思考力を奪う手法など、最新技術を悪用して日々高度化しています。「人は騙され、パスワードは漏洩する」という前提に立ち、防御体制をアップデートし続けることが不可欠です。

クラウド移行・ゼロトラストで境界防御が効かなくなる環境変化

業務システムのクラウド移行とテレワークの普及で、社外から社内データにアクセスする機会が一気に増えました。社内ネットワークの内側を安全とみなす従来の「境界防御」は、社外からのアクセスが当たり前になった環境では守りきれません。

広がるのが、すべてのアクセスを信用せず都度検証する「ゼロトラスト」です。NIST のゼロトラスト・アーキテクチャの定義でも、場所やネットワーク上の位置だけを根拠にした暗黙の信頼は置かず、リソースへのアクセスに多要素認証を用いるとされます。誰がどの端末からアクセスするかを確認する本人確認の中核が多要素認証で、取引先の要求やサイバー保険で求められる場面も増えています(規制は後半で整理します)。

出典:NIST Special Publication 800-207, Zero Trust Architecture(米国国立標準技術研究所)

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

クラウド利用やテレワークが主流となった現代では、社内と社外を隔てる従来の「ネットワークの壁」は機能しません。自社の重要なデータやシステムがすべてクラウド上に存在する環境において、唯一の防壁となるのが「認証」です。
誰が、どの端末から、適切な権限でアクセスしているかを厳格に検証する認証技術こそがゼロトラスト時代のセキュリティの要であり、現代において最も重要な基盤技術と言えます。

導入メリットや業界別の活用事例まで踏まえて社内で必要性を整理したい場合は、以下の記事で具体例とともに解説しています。

多要素認証の認証方式の種類と特徴

多要素認証システムを比較するうえで欠かせないのが、第2要素としてどの認証方式に対応しているかです。方式によって安全性・利便性・運用負荷が異なり、特にフィッシング耐性の有無は選定の分かれ目になります。主な方式を、安全性の傾向とあわせて整理します。

認証方式ごとの安全性のめやすを示す図解。上から安全性が高い順に、FIDO2・パスキーやデジタル証明書・ICカード認証はフィッシング耐性があり偽サイトでは認証が成立しない。アプリのワンタイムパスワード(TOTP)は導入は容易だが偽サイトに入力すると盗まれる余地が残る。SMS・メールのワンタイムパスワードは受け取りやすい一方で経路上の盗み見リスクが相対的に高く、NISTのガイドラインもSMS経由を制限付きに分類している。安全性が高い方式ほど端末やキーの準備・管理が必要になる。
  • ワンタイムパスワード(OTP):一定時間ごとに変わる使い捨てのコード。アプリ(TOTP)やSMS・メールで受け取る。導入が容易な一方、利用者が偽サイトに入力するとフィッシングで盗まれる余地が残る。SMS・メールは経路上の盗み見リスクが相対的に高い。
  • プッシュ通知認証:スマートフォンの専用アプリに届く通知を承認する方式。手軽だが、承認操作だけのものは前述の MFA疲労攻撃に注意が必要。ログイン画面に表示された番号をアプリ側で入力させる「番号照合」付きのものは、より安全とされる。
  • FIDO2/パスキー:端末内の秘密鍵で本人確認する規格。秘密鍵が外部に送信されず、アクセス先のドメインと結びつくため偽サイトでは認証が成立しない。フィッシング耐性が高く、パスワードレス認証の中心になりつつある。
  • セキュリティキー(ハードウェアトークン):FIDO2 などに対応する物理デバイス。USB やNFC で接続し、紛失しなければ高い安全性を保てる。デバイスの配布・管理が運用上の論点になる。
  • デジタル証明書・ICカード認証:端末や利用者に配布した電子証明書、社員証などの IC カードで認証する方式。正規の端末・カードがなければログインできず、フィッシング耐性が高い。証明書の発行・更新の仕組みが必要になる。
  • 生体認証:指紋・顔・静脈などで本人を確認する方式。多くは端末側の生体認証(Windows Hello など)と組み合わせて使われ、利便性が高い。

大まかには、SMS・メールのOTPよりアプリのOTP、さらにフィッシング耐性のある FIDO2/パスキー・証明書認証の順に安全性が高まる傾向があります。一方で安全性の高い方式ほど端末やキーの準備・管理が必要になるため、守りたいシステムの重要度と利用者の利便性のバランスで選ぶことになります。各製品がどの方式に対応するかは、次章以降のタイプ分類と比較表で確認してください。

SMS 認証の位置づけは公的基準にも表れます。米国国立標準技術研究所(NIST)のデジタルID ガイドラインは、SMS・音声など公衆交換電話網(PSTN)経由のワンタイムパスワード送付を「RESTRICTED(制限付き)」に分類し、より高い保証レベル(AAL3)では「検証者なりすまし耐性(=フィッシング耐性)」を備えた認証器を必須とします。FIDO2/パスキーがこの代表例です。

出典:NIST Special Publication 800-63B, Digital Identity Guidelines(米国国立標準技術研究所, Rev.3)

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

従来の認証は、ネットワーク上に「合言葉(パスワード)」などの認証情報を送信して照合するため、途中で盗聴されたり偽サイトに騙し取られたりするリスクが常に存在しました。
一方のパスキー認証は、例えるなら「実印(秘密鍵)」と「印鑑登録証明書(公開鍵)」の関係です。
実印(秘密鍵)は手元の端末内から一切外に出さず、サーバー側には印鑑証明書(公開鍵)だけを登録しておきます。認証時は手元の実印で捺印(署名)した結果だけを送るため、重要な認証情報がネットワーク上を流れることがありません。ネットワーク上に「鍵そのもの」が流れない点が、従来の認証技術と根本的に異なる安全性の理由です。

多要素認証システムのタイプ|SSO対応型と特化型の違い

多要素認証システムは、認証基盤の使い方によって大きく2つのタイプに分かれます。自社が「複数サービスのログインを一元化して認証も強化したい」のか、「既存の社内システムやPCログオンに認証だけを足したい」のかで、選ぶべきタイプが変わります。まずは全体像を整理します。

多要素認証システムのタイプを認証をかけたい対象で見分ける図解。SSO対応型はMicrosoft 365やGoogle Workspaceなど複数のクラウド・社内システムのログインを一元化し入口で多要素認証をかける統合認証基盤(IDaaS)型で、ID運用も効率化できる。多要素認証特化型はSSO基盤を新設せず既存のActive Directory・VPN・業務システム・PCログオンに認証要素だけを追加する型で、今の環境を変えずに強化できる。
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比較項目特徴向いている企業詳細
SSO対応型複数のクラウド・社内システムのログインを一元化し、その入口で多要素認証をかける統合認証基盤(IDaaS)型。ID運用の効率化とセキュリティ強化を同時に進められる複数のSaaSを利用し、ID管理の負担とセキュリティを同時に解決したい企業比較表を見る
多要素認証特化型SSO基盤を新設せず、既存のActive Directory・VPN・個別システム・PCログオンに認証要素だけを追加する型。今の環境を変えずに認証を強化できる特定の社内システムやVPN・PCログオンのログイン強化が主目的で、SSOまでは必要としない企業比較表を見る

シングルサインオン(SSO)対応型

SSO対応型は、Microsoft 365 や Google Workspace など複数のクラウドサービスへのログインを一元化し、その入口で多要素認証をかけるタイプです。利用者は一度の認証で複数サービスを使え、管理者はアクセスを一括制御できます。IDの棚卸しや退職者のアカウント停止も効率化できるため、利用する SaaS が増えてきた企業に向いています。

製品によっては Active Directory などのオンプレミスのID基盤とも連携し、クラウドと社内システムをまたいで認証を統合できます。SSO の対応範囲(クラウドSaaS中心か、オンプレ連携まで含むか)は製品差が大きいため、後述の比較表で確認してください。

多要素認証特化型(社内システム・既存環境向け)

多要素認証特化型は、既存の Active Directory・VPN・業務システム・PC ログオンなど、社内/オンプレミス環境の認証強化を主目的とするタイプです。SSO 機能を備える製品もありますが、新たな認証基盤を導入するより「今の環境に認証を足す」ことに重心がある点が SSO対応型との違いです。

証明書や物理セキュリティキーなど、フィッシング耐性の高い方式に強い製品が多いのも特徴です。オンプレミスの社内システムを多く抱える企業や、まず重要システムのログインを固めたい企業に向いています。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

両者の違いは、導入の「目的」にあります。
SSO対応型は、ビル全体のすべての部屋を1本で開けられる「マスターキー」に例えられます。一度の認証で複数のクラウドサービスに接続できる利便性と、一括管理による運用の効率化が強みです。
多要素認証特化型は、ビル内にある「最も重要な金庫の鍵」に例えられます。既存の金庫に物理鍵だけでなく、パスワードや電子カードなどの鍵を追加して厳重に固めるイメージです。既存システムや端末ログオンのセキュリティを確実に補強したい場合に威力を発揮します。
目的が「利便性と一元管理」か「特定環境の強固な保護」かで選択が変わります。

自社がどちらのタイプに向くか迷う場合は、次の診断で大まかな方向性を確認できます。

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多要素認証システムの選び方|比較のポイント

タイプの方向性が定まったら、製品を絞り込むための判断軸を確認します。多要素認証システムは導入後に長く使い続けるため、認証の強さだけでなく、既存環境との相性や運用のしやすさまで含めて見ることが大切です。

① 自社に必要な認証方式に対応しているか。守りたいシステムの重要度に見合った方式を選びます。重要システムやフィッシング対策を重視するなら、FIDO2/パスキーやデジタル証明書に対応している製品が候補になります。

② 既存システムと連携できるか。Active Directory などのディレクトリサービス(LDAP連携含む)、利用中の SaaS、VPN、PC ログオンなど、認証をかけたい対象に対応しているかを確認します。連携できる範囲が狭いと、結局システムごとに別の対策が必要になります。

③ 認証を求めるタイミングを制御できるか。社外からのアクセスや普段と違う端末のときだけ追加の認証を求める「リスクベース認証(いつもの利用状況と違うときに、追加で本人確認を行う)」に対応していれば、安全性と利便性を両立しやすくなります。毎回すべてのログインで認証を求めると、利用者の負担が大きくなりがちです。

④ 利用者と管理者にとって使いやすいか。利用者が迷わず認証できるか、管理者が利用者やポリシーを一元管理できるかは、定着とサポート負荷を左右します。無料プランや試用期間があると、導入前に使い勝手を確かめられます。

⑤ 導入・運用のサポート体制が十分か。認証デバイスの紛失対応や問い合わせは日常的に発生します。日本語サポートや導入支援の有無、提供形態(クラウド/オンプレミス)が自社の運用体制に合うかを確認しておきます。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

多要素認証システムを選定する際は、単に評判の良い製品を選ぶのではなく、自社の既存システムへ円滑に適用できるかを事前に検証することが不可欠です。
さらに、対象となる情報システムの重要性に見合った認証強度をあらかじめ吟味する必要があります。リスクに応じた最適な方式を見極めておくことが、過剰な負担を防ぎ、利便性とセキュリティを両立させる鍵となります。導入前の入念な事前検討が成功の成否を分かちます。

【比較表】多要素認証システムをタイプ別に比較

ここまでの選び方のポイントに沿って、主要17製品をタイプ別に比較します。対応する認証方式・既存システム連携・料金・提供形態を横並びで確認し、気になる製品は各サービス名から個別紹介へ移動できます。料金は公式情報をもとにした目安で、最新の金額は各社の公式情報をご確認ください。

フィッシング耐性の欄は、FIDO2/パスキーや証明書認証への対応状況の目安です。◎は標準プランで広く対応、●は上位プラン限定や一部方式のみ、△はそうした方式が中心でないことを表します。同じ●でも Microsoft Entra ID は標準機能でパスキー/FIDO2・証明書に対応、トラスト・ログイン byGMO は有料「SSOプロ」でパスキー(FIDO2)が使える差があります。

SSO対応型の比較

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サービス名CloudGate UNOOkta(Workforce Identity Cloud)Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)トラスト・ログイン byGMOHENNGE One(Identity Edition)IIJ IDサービスGluegent GateOneLoginExtic(エクスティック)JumpCloud
提供形態クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)/オンプレ連携対応クラウド(オープンディレクトリ/IDaaS)
主な認証方式FIDO2/パスキー・生体認証(Windows Hello・Touch ID/Face ID)・OTP・専用アプリプッシュ(Okta Verify)・FIDO2/WebAuthn・生体・OTP・SMS/音声/メール・スマートカードAuthenticator・パスキー/FIDO2・Windows Hello・OATH・SMS・音声・証明書ベース認証OTP・パスキー(FIDO2)・プッシュ通知・デスクトップSSO・顔認証OTP(HENNGE Lock)・デバイス証明書・プッシュ通知・脱パスワードFIDO2・デバイス証明書(自社/外部CA)・メールOTP・SmartKey・統合Windows認証OTP・クライアント証明書・FIDO/FIDO2・生体認証・リスクベース認証・QR/プッシュ通知プッシュ(OneLogin Protect)・OTP・SMS・メール・音声・WebAuthn/生体・サードパーティ認証器TOTP・メールOTP・FIDO2(パスキー)TOTP・プッシュ(JumpCloud Protect)・WebAuthn(FIDO2/セキュリティキー)・デバイス生体認証
フィッシング耐性FIDO2/パスキーを全プラン無制限で提供FastPass・FIDO2/WebAuthnでフィッシング耐性認証パスキー/FIDO2・Windows Hello・証明書に対応パスキー(FIDO2)対応(有料SSOプロ)デバイス証明書・脱パスワードに対応FIDO2・デバイス証明書を中核に対応FIDO/FIDO2・クライアント証明書に対応WebAuthn(FIDO2)・生体認証に対応FIDO2(パスキー)に対応(月50円/ID〜のオプション)WebAuthn(FIDO2)・セキュリティキーに対応
既存システム連携SAML 2.0・400以上のSaaS連携、AD連携(Enterprise Plus以上)、IP/デバイス証明書/時間帯制限SAML/OIDC・OIN 7,000超のアプリ連携、Universal Directory・ライフサイクル管理Microsoft 365/Windows/Azureと一体。条件付きアクセスはP1以上、リスクベースはP2SAML/フォーム/Basic認証、AD・Entra ID・M365・Google Workspace連携、IP/デバイス制限463超のSaaSにSSO(連携数で追加課金なし)、AD連携、IP制限・セキュアブラウザSAML 2.0/OIDC、AD自動同期(Directory Sync)・グループ認可・統合Windows認証(SPNEGO)SAML・OIDC/OAuth・代理認証・プロビジョニング、Google Workspace連携が手厚い。Enterprise以上で人事連携SAML・SCIM・RADIUS・LDAP、AD/LDAP/Google Workspace連携、クラウド+オンプレ混在対応SAML 2.0/フォーム認証、AD・LDAP・DB・CSV・SCIM連携、人事情報起点のID自動生成SAML/OIDCのSSO、クラウドディレクトリ(AD不要)・Cloud LDAP・Cloud RADIUS、クロスプラットフォームMDM・SCIM・条件付きアクセス
料金目安400〜600円/ユーザー・月(税抜。初期費用は要問い合わせ)940円〜/ユーザー・月(Starter、年契約・最低24万円/年。初期費用は要問い合わせ)Free(M365/Azure付帯)/P1 1,049円・P2 1,499円(ユーザー/月・年払い、税区分未明示)0円〜(SSOフリー無料、SSOプロ 300円/ID・税抜・30ID以上)300〜500円/ユーザー・月(Identity Edition、最小200ID〜。初期費用は要問い合わせ)SSOのみ105円/ID、SSO+多要素認証210円/ID・月(初期費用0円)100〜1,000円/ライセンス・月(エディション別、税抜。初期費用無料)要問い合わせ(代理店により異なる。海外参考: バンドル約$4/ユーザー・月〜)Standard 300円/ID〜・IdP 150円/ID〜・IdM 210円/ID〜・月(税別、ID数で逓減)MFA単体 $3〜$4/ユーザー・月〜(USD建て。国内は代理店経由の個別見積もり)
日本語サポート国内開発・日本法人直販日本法人・国内代理店経由日本マイクロソフトの日本語サポート国内提供・日本語対応国産・日本語サポート国内通信事業者IIJが開発・運用国内開発・国内データ保管代理店経由(ペンティオ・NEC等)国産IDaaS・日本国内リージョン運用本体は英語のみ/国内代理店(アクト等)が日本語対応
無料で試せる30日間トライアル30日間トライアル無料試用版あり(Freeは恒久無料)無料プラン(SSOフリー)ありかんたんデモ体験(トライアルは要確認)トライアル問い合わせ導線あり(条件は要確認)無料デモ依頼あり30日間トライアル無料トライアルあり30日間無料トライアル
詳細情報公式資料を見るサービス詳細公式サイトサービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細公式サイト

多要素認証特化型の比較

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サービス名YubiKey as a ServiceCisco Secure Access by DuoPassLogicRSA ID Plus(SecurID)Soliton OneGateEntrust IdentitySafeNet Trusted Access(STA)
提供形態ハードウェアトークン(物理セキュリティキー)+サブスク運用代行クラウド(SaaS)。既存環境への後付けMFAクラウド/オンプレミス(パッケージ版)クラウド/ハイブリッド/オンプレミスクラウド型認証基盤(IDaaS)クラウド(IDaaS)/オンプレ(Identity Enterprise)クラウド(IDaaS)
主な認証方式FIDO2/WebAuthn・FIDO U2F・PIV(スマートカード)・OpenPGP・OTP(TOTP)Duo Push/Verified Push・FIDO2/WebAuthn/パスキー・生体・OTP・電話/SMS・ハードウェアトークンマトリックス認証(デバイスレスOTP)ほか9種類(知識/所持/生体)ハードウェア/ソフトトークン・プッシュ・生体・FIDO2/パスキー・OTP(SMS/音声)・QRコードデジタル証明書+FIDO2/生体(顔)/ICカード/スマホ認証/パスワードOTP・プッシュ・FIDO2/パスキー・PKI証明書・スマートカード・モバイルスマートクレデンシャル・AI顔認証・グリッドカードOTP(ソフト/ハード)・プッシュ・FIDO・PKI証明書・パターン/グリッド・SMS/メール・パスワードレス
フィッシング耐性秘密鍵をデバイス内に保持する物理キーFIDO2/パスキー・Verified Pushに対応マトリックス/OTP中心(パターンは通信に乗せない設計)FIDO2・ハードウェアトークン(iShield Key 2はFIPS 140-3 Lv3)デジタル証明書(CA標準搭載)・FIDO2を中核に対応FIDO2/パスキー・PKI証明書・スマートカードに対応FIDO・PKI証明書・パスワードレスに対応
主な保護対象PCログイン・各種クラウド(CloudGate UNO経由のSSO)。スマホを使えない現場にも対応VPN・RDP・オンプレアプリ・クラウドSSO(既存の認証ポイントに後付け)VPN・VDI・Windowsログオン・Microsoft 365・主要クラウド・SSO製品(RADIUS/SAML/リバースプロキシ)Webアプリ(SAML/OIDC)・Windowsログイン・VPN/RADIUS・ADFSクラウド・社内システム・VPN・オフィスWi-Fi(IEEE802.1X EAP-TLS)。PCログオンは別製品 SmartOn ID との連携で対応Webアプリ(SAML/OIDC)・Windowsログオン・高保証用途(PKI/証明書基盤と統合)SaaS・VPN・VDI・オンプレミスアプリ(SAML/OIDC/RADIUS)
料金目安要問い合わせ(サブスク・ユーザー単位。初期費用も要問い合わせ)Free $0(10ユーザーまで)/Essentials $3・Advantage $6・Premier $9(ユーザー/月、USD)クラウド版 480円/ID・月(最小10ID、初期1万円)/パッケージ買い切り 195,400円〜ユーザー単価制(目安 $3〜$7/ユーザー・月。日本価格は代理店見積もり)100〜600円/ユーザー・月(PKI 100/ベーシック 300/スタンダード 600、最小40〜200ユーザー)要問い合わせ(個別見積もり)要問い合わせ(ユーザー数ベースのサブスク。トークンは別途デバイス費用)
日本語サポート国内開発・日本法人直販国内代理店経由(テクバン・SB C&S等)純国産・日本語サポート国内代理店経由(テクマトリックス等)国産メーカー(ソリトンシステムズ)代理店経由(エントラストジャパン・日立ソリューションズ等)代理店経由(キヤノンMJ・アセンテック等)
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多要素認証システムおすすめ17選

比較表で挙げた17製品を、タイプ別に詳しく紹介します。各製品の対応する認証方式・連携できるシステム・料金・導入実績を、公式情報をもとにまとめました。自社の認証基盤の方針に近いタイプから読み進めてください。

SSO対応型のおすすめサービス

複数のクラウドサービスのログインを一元化しつつ多要素認証をかけたい企業に向く、SSO 一体型の製品です。ID 管理の効率化とセキュリティ強化を同時に進めたい場合の候補になります。

こうした SSO 一体型の製品はクラウドで ID 管理・認証を提供する IDaaS でもあります。認証基盤ごと統合する方向で検討したい場合は、IDaaS の選び方や代表的な製品を扱った以下の記事もあわせてご覧ください。

1. CloudGate UNO(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

CloudGate UNO のサービスサイト
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CloudGate UNO
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式FIDO2・パスキー、生体認証(Windows Hello・Touch ID/Face ID)、OTP、CloudGate Authenticator
料金目安月額400円〜600円/ユーザー(税抜。Standard Plus 400円・Enterprise Plus 500円・Smart Pack 600円)
対応・連携SSO 400以上のクラウドサービス、Active Directory連携(Enterprise Plus以上)、IP・デバイス証明書・時間帯などのアクセス制限

株式会社インターナショナルシステムリサーチ(ISR)が自社開発する、SSO・多要素認証・アクセス制限・ID管理を1つにまとめたクラウド型のID管理プラットフォームです。Google Workspace や Microsoft 365 など400以上のクラウドサービスとの連携に対応し、その入口で認証を強化できます。

認証方式は、FIDO2準拠の物理セキュリティキーやパスキー、Windows Hello・Touch ID/Face ID などの生体認証、OTP、自社アプリの CloudGate Authenticator に対応します。FIDO2準拠のパスキー認証を上位プラン限定とせず全プラン・全ユーザーで無制限に利用できる点を公式が明示しており、料金は月額400円〜600円/ユーザー(税抜)です。

ユーザーの利用環境やデバイスの状態に応じて認証方式を動的に切り替える設定も可能です。情報セキュリティの ISMS(ISO/IEC 27001、登録番号 IS 676799)・プライバシーマーク・FIDO2認定を取得しており、30日間の無料トライアルが用意されています。

パスワードレス認証への切り替えが運用の現場でどのような効果につながったのか、提供元である株式会社インターナショナルシステムリサーチへのインタビューでは、次のような導入事例が語られています。

平澤氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部マーケティング部
平澤氏
独自インタビューより

導入と同時にパスワードレス認証に切り替えた企業では、IT部門の業務の約20%を占めていたパスワード関連のヘルプデスク業務が「0%」になったという事例があります。また、他社サービスからの乗り換え事例もございます。通常、設定の移行には時間がかかるものですが、当社のサポートによりわずか1週間で完了させたケースもあります。

2. Okta(Okta Japan株式会社)

Okta のサービスサイト
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Okta(Workforce Identity Cloud)
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式プッシュ通知(Okta Verify)、FIDO2/WebAuthn、生体認証、OTP、SMS/音声/メール、スマートカード、FastPass(パスワードレス)
料金目安Starter 月額940円/ユーザー(年契約・最低240,000円/年)。アダプティブMFAはCore Essentials 月額2,020円/ユーザー以上
対応・連携SSO・OINで7,000超のアプリ連携、SAML/OIDC、Universal Directory、リスクベース・条件付きアクセス

米国 Okta, Inc. が開発し、日本では Okta Japan株式会社が提供する、従業員向けのクラウド型 ID管理サービス(IDaaS)です。SSO・多要素認証・ユーザーディレクトリを統合し、事前構築済みのアプリ連携(Okta Integration Network)は7,000を超えます。

多要素認証では、プッシュ通知アプリの Okta Verify、FIDO2/WebAuthn、OTP、SMS・音声・メールなどに対応します。デバイスに紐づく暗号鍵で本人確認する Okta FastPass はフィッシング耐性を持つパスワードレス認証で、位置・デバイス・ネットワークなどのリスクに応じて認証を動的に変えるアダプティブ認証も備えます。

料金は Starter が月額940円/ユーザー(年単位請求・年間契約の最低額24万円)からで、リスクベースのアダプティブMFAは Core Essentials(月額2,020円/ユーザー)以上に含まれます。基本MFAと高度なアダプティブMFAでプランが分かれるため、求める認証制御の範囲で検討対象が変わります。日本語サイト・国内代理店があり、30日間の無料トライアルも利用できます。

3. Microsoft Entra ID(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft Entra ID のサービスサイト
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Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)
提供形態クラウド(IAM)
主な認証方式Microsoft Authenticator、パスキー/FIDO2、Windows Hello for Business、OATHトークン、SMS、音声通話、証明書ベース認証
料金目安Free(Microsoft 365/Azure に付帯)、P1 月額1,049円・P2 月額1,499円/ユーザー(年払い、公式は税区分未明示)
対応・連携Microsoft 365・Windows・Azure と一体、SSO、条件付きアクセス(P1以上)、リスクベース制御(P2)

日本マイクロソフト株式会社が国内窓口を担う、Microsoft のクラウド型 ID・アクセス管理サービスです(旧称 Azure Active Directory)。Microsoft 365 のサインイン基盤そのものであり、すでに Microsoft 365 や Azure を利用している組織は、別途MFA製品を導入せずに多要素認証や条件付きアクセスを有効化できます。

認証方式は、Microsoft Authenticator のプッシュ通知(番号一致方式に対応)、パスキー/FIDO2、Windows Hello for Business、OATHトークン、SMS、音声通話、証明書ベース認証などに対応します。無償の Free でも「セキュリティの既定値群」で全ユーザーのMFA登録必須やレガシ認証のブロックといった基本保護を利用できます。

料金は Free のほか、P1 が月額1,049円/ユーザー、P2 が月額1,499円/ユーザー(いずれも年払い)です。場所・デバイス・アプリ単位の条件付きアクセスは P1 以上、サインインリスクに応じたリスクベース制御は P2 が必要で、求める制御の細かさでプランが分かれます。

4. トラスト・ログイン byGMO(GMOグローバルサイン株式会社)

トラスト・ログイン byGMO のサービスサイト
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トラスト・ログイン byGMO
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式OTP、パスキー(FIDO2)、プッシュ通知、デスクトップSSO(統合Windows認証)、顔認証
料金目安SSOフリー 0円/ID。SSOプロ 月額300円/ID(税抜・30ID以上、パスキー等のパスワードレス機能を含む)
対応・連携SSO(SAML/フォームベース/Basic)、Active Directory・Microsoft 365・Google Workspace連携、IP制限・ステップアップ認証

無料プランから多要素認証付きのID管理を始められるのが、電子認証局を運営する GMOグローバルサイン株式会社の「トラスト・ログイン byGMO」です。SSO・ID管理・アクセス制限・ログ機能といった基本機能を、アカウント数・連携アプリ数とも無制限の無料プラン「SSOフリー」(0円/ID)から始められる点が特徴です。

多要素認証としては、OTP、パスキー(FIDO2)、プッシュ通知認証、Windows ログイン情報を使うデスクトップSSO、外部連携の顔認証などに対応します。一度のパスキー認証で、登録した社内SaaS全体にアクセスできるSSOとの組み合わせが利用できます。

ただし、パスキー(FIDO2)やプッシュ通知などのパスワードレス機能は有料の「SSOプロ」(月額300円/ID・税抜、30ID以上)が必要です。無料プランでもOTPやIP制限はオプションで追加でき(料金は公式で要確認)、必要な認証強化の範囲に応じてプランとオプションを組み合わせる形になります。

5. HENNGE One(HENNGE株式会社)

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HENNGE One(Identity Edition)
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式ワンタイムパスワード(HENNGE Lock)、デバイス証明書、プッシュ通知認証、脱パスワード(パスワードレス)
料金目安Identity Edition 月額300円〜500円/ユーザー(IdP 300円・IdP Pro 500円、最小200ID〜)
対応・連携SSO 463超のクラウドサービス(連携数による追加課金なし)、IP制限・デバイス証明書・セキュアブラウザ、AND/OR条件のアクセスポリシー

HENNGE株式会社が提供する、Microsoft 365 や Google Workspace など複数のクラウドサービスの利用を、SSOとアクセス管理で守る国産のクラウドセキュリティサービス(IDaaS)です。SSO・MFA・アクセス制御を担う Identity Edition が中核で、連携できるクラウドサービスは463を超えます。

多要素認証は、プッシュ通知機能付きのワンタイムパスワードアプリ HENNGE Lock、支給端末のみ接続を許可するデバイス証明書、プッシュ通知認証、脱パスワードに対応します。IP制限・デバイス証明書・セキュアブラウザを AND/OR 条件で組み合わせ、グループ単位でアクセスポリシーを設定できます。

料金は Identity Edition で月額300円〜500円/ユーザー(最小200ID〜)です。連携するSaaS数が増えても料金が変わらない料金体系のため、利用するクラウドサービスが多い企業でも費用を見通しやすい設計です。調査会社ITRの市場調査(ITR Market View、2025年度予測)でIDaaS市場のベンダー売上シェア上位に位置づけられると、HENNGEが公表しています。

6. IIJ IDサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

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IIJ IDサービス
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式FIDO2、デバイス証明書認証(自社CA/外部CA)、メールOTP、SmartKey、統合Windows認証、外部IDプロバイダ認証
料金目安初期費用0円。SSOのみ月額105円/ID、SSO+多要素認証 月額210円/ID(統合Windows認証は月額50,400円〜の別オプション)
対応・連携SSO(SAML 2.0/OpenID Connect 1.0、連携数による追加費用なし)、Active Directory自動同期、社内/社外でのアクセス制御

国内通信事業者として培った運用基盤を強みとするIDaaSが、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJ IDサービス」です。SSOを中核に多要素認証・Active Directory連携・アクセス制御を備え、公式サイトでは「日本の法律の下でIIJが一貫した管理・開発・運用を行う」と説明されています。

多要素認証の方式が幅広く、FIDO2 によるパスワードレス、自社CA・外部CA双方に対応するデバイス証明書認証、メールOTP、スマホアプリの SmartKey、統合Windows認証から選べます。オンプレミスの Active Directory のID・グループ情報を自動同期し、グループ単位で認可を制御できる点も AD基盤を持つ企業に向きます。

料金は初期費用0円で、多要素認証の有無でID単価が「SSOのみ105円/ID」「SSO+多要素認証210円/ID」の2段階に分かれます。連携サービス数が増えても料金は変わりません。SPNEGO による統合Windows認証は月額50,400円〜の別オプションで、利用には IIJ プライベートバックボーンサービス等の契約が必要です。

7. Gluegent Gate(サイオステクノロジー株式会社)

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Gluegent Gate
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式OTP、クライアント証明書、FIDO/FIDO2、生体認証、リスクベース認証、QRコード・プッシュ通知認証
料金目安初期費用無料。月額100円〜1,000円/ライセンス(エディション別。Connects 100円・Professional 250円・Enterprise 500円・Unlimited 1,000円)
対応・連携SSO(SAML・OIDC/OAuth・代理認証)、Google Workspace・Microsoft 365ほか連携、Enterprise以上で人事システム連携

Google Workspace や Microsoft 365 との親和性を重視した国産IDaaSが、サイオステクノロジー株式会社の「Gluegent Gate」です。SSO・多要素認証・統合ID管理・アクセス制限を備えます。インストールや構築が不要なクラウドサービスとして提供され、「誰が・どこから・どの端末で」アクセスできるかを制御します。

多要素認証の方式が幅広く、OTP、クライアント証明書、FIDO/FIDO2、生体認証、リスクベース認証、自社アプリの QRコード・プッシュ通知認証に対応します。知識・所持・生体の各情報を自由に組み合わせ、サービスごとに複数の認証ルールを設定できるのが運用上の強みです。Google Workspace 連携は SSO(SAML SP・基本認証・FIDO2)に加えAPI自動同期まで対応します。

料金は初期費用無料で、月額100円〜1,000円/ライセンスのエディション制です。SaaS単位の Connects(100円)、全社SSO向けの Professional(250円)、人事システム連携に対応する Enterprise(500円)など、1ライセンスから段階的に選べます。国内で開発・データ保管を行い、ISMS(ISO/IEC 27001)・ISO/IEC 27017 を取得しています。

8. OneLogin(One Identity LLC)

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OneLogin
提供形態クラウド(IDaaS)/日本は代理店経由
主な認証方式プッシュ・OTP(OneLogin Protect)、SMS、メール、音声、WebAuthn・生体、サードパーティ認証器(Google Authenticator・YubiKey等)
料金目安要問い合わせ(日本は代理店により異なる。海外公式の参考値はバンドルで1ユーザー約4ドル/月〜)
対応・連携SSO(SAML・SCIM・RADIUS・LDAP)、AD/LDAP/Google Workspace連携、クラウド+オンプレ混在対応、アダプティブ認証(SmartFactor Authentication)

米国 One Identity LLC(旧 OneLogin)が開発するクラウド型のID管理サービス(IDaaS)です。SSO・多要素認証・ディレクトリ連携・ユーザープロビジョニングを統合し、Microsoft 365 や Salesforce などへのアクセスを一元管理します。日本ではペンティオや NEC ソリューションイノベータなどの代理店経由で販売・日本語サポートが提供されます。

多要素認証では、プッシュ・OTPアプリの OneLogin Protect、SMS、メール、音声、WebAuthn・生体認証、Google Authenticator や YubiKey などのサードパーティ認証器に対応します。機械学習基盤を用いてログインごとのリスクを評価し、認証要件を動的に変える SmartFactor Authentication を備える点も特徴です。

SSOは SAML・SCIM に加え、機器向けのクラウド RADIUS/LDAP インターフェースを提供し、AD・LDAP との同期でクラウドとオンプレミスが混在する環境にも対応します。日本では代理店経由のため、料金は要問い合わせ(代理店ごとに異なる)です。30日間の無料トライアルが用意されています。

9. Extic(エクスジェン・ネットワークス株式会社)

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Extic(エクスティック)
提供形態クラウド(IDaaS)/オンプレ連携対応
主な認証方式TOTP、メールOTP、FIDO2(パスキー、Windows Hello・Touch ID等のパスワードレス)
料金目安月額 Standard 300円/ID〜・IdP 150円/ID〜・IdM 210円/ID〜(税別、1ID/月、ID数で逓減)。FIDO2オプション 50円/ID〜
対応・連携SSO(SAML 2.0/フォームベース)、AD・LDAP・DB・CSV・SCIM連携、人事情報起点のID自動生成・ライフサイクル管理

ID管理専業ベンダーのエクスジェン・ネットワークス株式会社が提供する、統合ID管理型の国産 IDaaS です。オンプレミス型の統合ID管理パッケージ「LDAP Manager」のノウハウをクラウドサービス化した製品で、人事情報を起点にしたID自動生成・プロビジョニングを中核に、その上に SSO・多要素認証を載せる構成です。

多要素認証の第2要素は TOTP・メールOTP・FIDO2(パスキー)に対応し、セキュリティキーや Windows Hello・Touch ID などの認証器を登録してパスワードレスログインできます。クラウドのSaaSだけでなく、Active Directory・LDAP・データベース・CSV を含めた横断的なID連携に対応する点が、オンプレ資産を持つ企業に向きます。

料金は1ID/月の単価制で、認証中心の IdP(150円/ID〜)、ID管理中心の IdM(210円/ID〜)、フル機能の Standard(300円/ID〜)から用途に応じて選べ、ID数に応じて単価が下がります(いずれも税別)。公共・教育・GIGAスクール向けの特別プランや学認IdPに対応しており、日本国内リージョンで運用し ISO/IEC 27001・27017 を取得しています。

10. JumpCloud(JumpCloud, Inc.)

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JumpCloud
提供形態クラウド(オープンディレクトリ/IDaaS)。MFA単体製品ではなく、SSO・MFA・デバイス管理を統合
主な認証方式TOTP、プッシュ通知(JumpCloud Protect)、WebAuthn(FIDO2/セキュリティキー YubiKey・Titan等)、デバイス生体認証(Apple Touch ID・Windows Hello)
料金目安MFA単体 $3〜$4/ユーザー・月、統合パッケージは Device Management $9〜・SSO $11〜(年払い、USD建て)。国内は代理店(株式会社アクト等)経由の円建て個別見積もり
対応・連携クラウドディレクトリ(AD不要)・SAML/OIDCのSSO・Cloud LDAP・Cloud RADIUS・クロスプラットフォームMDM(Windows/Mac/Linux)・SCIMプロビジョニング・条件付きアクセス

米国 JumpCloud, Inc. が提供する、クラウドディレクトリを中核に据えたオープンディレクトリ/IDaaS プラットフォームです。多要素認証の単体製品ではなく、ユーザーIDの一元管理を土台に SSO・多要素認証・デバイス管理(MDM)・条件付きアクセスを1つのクラウド基盤へ統合します。公式は世界25万社超・160ヵ国での導入を掲げています。

第2要素は、TOTP・プッシュ通知(JumpCloud Protect)・WebAuthn(FIDO2/YubiKey などのセキュリティキー)・生体認証(Apple Touch ID・Windows Hello)に対応します。Google Workspace・Microsoft 365 など主要 SaaS と連携し、SSO と多要素認証を一体運用でき、ID 基盤ごと整えたい組織に向きます。

多要素認証は単体 $3〜$4/ユーザー・月(年払い、USD 建て)、統合は Device Management $9〜・SSO $11〜です。無料枠は30日間の無料トライアルのみで、恒久的な無料プランはありません(「最大10ユーザー/10デバイスまで無料」は2024年2月1日より前の登録者限定)。日本法人はなく、国内は株式会社アクトなど正規代理店が円建て見積もり・日本語サポートに対応します。

Active Directory を不要にしつつ Windows・Mac・Linux を横断管理し、SSO・多要素認証・デバイス管理まで1つのクラウド基盤で担うため、SaaSのSSO統合だけでなく既存AD基盤の刷新まで視野に入れる企業に合います。

多要素認証特化型のおすすめサービス

既存の社内システムや VPN、PC ログオンに認証要素を足したい企業に向く、多要素認証特化型の製品です。SSO 基盤を新設せず、今の環境を活かして認証を強化したい場合の候補になります。

11. YubiKey as a Service(株式会社インターナショナルシステムリサーチ)

YubiKey as a Serviceの公式サイト
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YubiKey as a Service
提供形態ハードウェアトークン(物理セキュリティキー)+サブスク運用代行
主な認証方式FIDO2/WebAuthn、FIDO U2F、PIV(スマートカード)、OpenPGP、OTP(TOTP)
料金目安要問い合わせ(サブスクリプション、ユーザー単位)
主な保護対象・連携スマホを使えない現場の認証強化、CloudGate UNO 経由のSSO・各種サービス

YubiKey as a Service は、ゼロトラストSSO基盤「CloudGate UNO」を開発する株式会社インターナショナルシステムリサーチ(ISR)が、Yubico 社の物理セキュリティキー「YubiKey」をサブスクリプション型で導入できるようにしたサービスです。デバイス内に秘密鍵を保持するハードウェアトークン型の多要素認証で、フィッシングや中間者攻撃への耐性が高い点が特徴です。

FIDO2/WebAuthn から FIDO U2F、PIV、OpenPGP、OTP まで幅広い規格に対応し、スマートフォンを使えない・持ち込めない医療や製造現場でも利用できます。物理キーを買い切りで調達するのではなく運用費として導入でき、キッティング・初期設定の代行、故障や紛失時のバックアップキー同梱、契約期間中のキー種類変更、カスタマーサクセスマネージャーによる導入運用支援が含まれます。

物理キーの調達から運用までを内製せずに任せられるため、ハードウェアトークン型を検討しつつ運用負荷を抑えたい情報システム部門に向きます。CloudGate UNO のSSO・アクセス制限と組み合わせれば、認証強化とID運用の効率化を同時に進められます。

どのような場面で YubiKey as a Service の導入相談が寄せられているのか、提供元である株式会社インターナショナルシステムリサーチへのインタビューでは、現場の実感が次のように語られています。

内田氏
株式会社インターナショナルシステムリサーチ 営業本部 セールスアライアンス部 部長
内田氏
独自インタビューより

最も多いのは、全社員へのスマートフォン支給が困難なケースです。

派遣社員や協力会社のスタッフがシステムにアクセスする際の認証手段として活用されています。また、店舗やコールセンターなどのシフト制の現場において、IDとパスワードの管理負担を軽減しつつ、確実な本人認証を実現する手段としても選ばれています。

近年はサプライチェーン対策としての需要も高まっています。経済産業省による新たなセキュリティ対策評価制度の開始を見据え、委託先の認証強化を急ぐ企業が増えています。

12. Cisco Secure Access by Duo(シスコシステムズ合同会社)

Cisco Secure Access by Duoの公式サイト
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Cisco Secure Access by Duo
提供形態クラウド(SaaS)
主な認証方式Duo Push、Verified Push(番号照合)、FIDO2/WebAuthn・パスキー、生体、OTP、電話・SMS、ハードウェアトークン
料金目安Free 0円(10ユーザーまで)、Essentials 月額3ドル・Advantage 6ドル・Premier 9ドル(いずれも1ユーザーあたり)
主な保護対象・連携VPN・RDP・オンプレアプリ・クラウドSSOへの後付けMFA、デバイストラスト

Cisco Secure Access by Duo(Cisco Duo)は、独立スタートアップ Duo Security が開発し2018年にシスコが買収した、クラウド型の多要素認証・アクセスセキュリティサービスです。新たにIDaaS基盤を構築せず、既存のVPN・RDP・オンプレのサーバーやWebアプリ、クラウドSSOへ後付けで多要素認証を被せられる点が、特化型としての主な選定理由です。

認証方式は Duo Push、番号照合付きの Verified Push、FIDO2/WebAuthn・パスキー、生体、OTP、電話・ハードウェアトークンまで網羅し、フィッシング耐性のあるMFAを構成できます。ログイン試行ごとに端末の健全性を確認するデバイストラストや、リスクに応じて認証要件を変えるアダプティブ認証も同一プラットフォームで提供します。

料金は1ユーザーあたり月額のサブスクリプションで、10ユーザーまで恒久無料の Free プランがあり、小規模組織や試験導入では初期コストをかけずに利用を開始できます。国内ではテクバンやSB C&Sなどの代理店経由で導入支援を受けられます。

13. PassLogic(パスロジ株式会社)

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PassLogic
提供形態クラウド/オンプレミス(パッケージ版)
主な認証方式マトリックス認証(デバイスレスOTP)ほか9種類(知識・所持・生体の3要素)
料金目安クラウド版 月額480円/ID(最小10ID、初期費用10,000円)、パッケージ版 サブスク 最大408円/ID(最小20ID)/買い切り 195,400円〜
主な保護対象・連携RADIUS・SAML2.0・リバースプロキシ(VPN・VDI・Microsoft 365・SSO製品 等)

PassLogic は、純国産の本人認証システムを開発するパスロジ株式会社が提供する多要素認証ソリューションです。中核となるのは特許技術の「マトリックス認証」で、ログイン画面に表示される乱数表から、利用者が事前に決めたパターンに沿って数字を読み取り、毎回異なるワンタイムパスワードとして使う方式です。

最大の特徴は、マトリックス方式ならハードウェアトークンやアプリのインストールが不要で、ブラウザ上だけで認証が完結するトークンレス/デバイスレス運用ができる点です。トークンの配布・在庫管理・紛失時の再発行といった運用負荷が発生しにくく、ほかにクライアント証明書や顔認証、プッシュ承認など知識・所持・生体の3要素にまたがる9種類の認証方式を組み合わせられます。

提供形態は登録後すぐ使えるクラウド版と、AD/LDAP連携・UIカスタマイズ・リバースプロキシまで使えるパッケージ版(オンプレミス版)の2系統です。RADIUS・SAML2.0・リバースプロキシに対応し、VPN・VDI・Microsoft 365・主要クラウド・SSO製品との認証連携が可能です。

14. RSA ID Plus(SecurID)(RSA Security LLC)

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RSA ID Plus(SecurID)
提供形態クラウド/ハイブリッド/オンプレミス
主な認証方式ハードウェアトークン、ソフトウェアトークン、プッシュ、生体、FIDO2・パスキー、OTP(SMS・音声)、QRコード
料金目安ユーザー単価制(公式英語ページ目安 3〜7ドル/月・ユーザー、プラン別)。日本価格は代理店見積もり
主な保護対象・連携Webアプリ(SAML/OIDC)・Windowsログイン・VPN/RADIUS・ADFS

RSA ID Plus(SecurID)は、1990年代からハードウェアトークンによるワンタイムパスワード認証を提供してきたMFA専業ベンダー、RSA Security の認証・アクセス管理プラットフォームです。現在はクラウド型IDaaS「ID Plus」とオンプレミス型「SecurID」、両者を組み合わせるハイブリッド構成を選べます。

ハードウェアトークン・ソフトウェアトークン・プッシュ・生体・FIDO2/パスキー・OTP(SMS・音声)・QRコードまで幅広い認証方式に対応し、リスクベース認証エンジン「RSA Risk AI」によるアダプティブ認証を備えます。FIPS 140-3 レベル3認定のセキュリティキー「iShield Key 2」など、調達基準の厳しい組織向けの高保証な構成に強みがあります。

公式は「政府・金融・高保証組織」向けと位置づけ、グローバルでは9,000以上の組織・6,000万以上のアイデンティティを管理しています(同社プレスリリースのグローバル数値で、国内実績ではありません)。日本ではテクマトリックスやSB C&Sなどの国内代理店経由で販売・保守・日本語サポートを受けられます。

15. Soliton OneGate(株式会社ソリトンシステムズ)

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Soliton OneGate
提供形態クラウド型認証基盤(IDaaS)
主な認証方式デジタル証明書、FIDO2、顔認証(生体)、ICカード、スマホ認証、パスワード
料金目安月額100〜600円/ユーザー(PKI 100・ベーシック 300・スタンダード 600、最小40〜200ユーザー)。アプライアンス利用時 初期198,000円/台
主な保護対象・連携クラウド・社内システム・VPN・Wi-Fi(SAML/OIDC、IEEE802.1X EAP-TLS)

Soliton OneGate は、東証プライム上場の国内ITセキュリティメーカー、株式会社ソリトンシステムズが開発するクラウド型の認証基盤(IDaaS)です。デジタル証明書(クライアント証明書)による多要素認証を軸に、SSOとID管理を組み合わせ、クラウド・社内システム・VPN・Wi-Fi の認証を一元管理します。

公開鍵暗号方式のクライアント証明書を第2要素に用いることでフィッシングによる認証情報の窃取を防げるほか、FIDO2・顔認証・ICカード・スマホ認証(Soliton Authenticator)と組み合わせられます。認証局(CA)機能を標準搭載し、別途PKI基盤を構築せず、証明書の発行から Wi-Fi(IEEE802.1X EAP-TLS)やVPNの認証までを自製で完結できます。

SAML連携数は無制限で、SAML非対応の社内レガシーシステムには代理認証で対応します。料金は月額100〜600円/ユーザーのプラン制で、最短5営業日で利用を開始できる無料トライアルも用意されています。PCログオンの認証強化は同社の SmartOn ID との連携で対応する役割分担です。

16. Entrust Identity(Entrust Corporation)

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Entrust Identity
提供形態クラウド(IDaaS)/オンプレミス(Identity Enterprise)
主な認証方式OTP、プッシュ、FIDO2/パスキー、PKI証明書、スマートカード、モバイルスマートクレデンシャル、AI顔認証、グリッドカード
料金目安要問い合わせ(個別見積もり)
主な保護対象・連携SSO(SAML/OIDC)、PKI/証明書基盤との統合、アダプティブ認証

PKI(公開鍵基盤)を長年の中核事業としてきた米 Entrust Corporation が提供するのが、ID・アクセス管理/多要素認証の製品群 Entrust Identity です。クラウド型の Identity as a Service と、オンプレミス/ハイブリッドで導入する Identity Enterprise の両形態があり、用途に応じて選べます。

OTP・プッシュ・FIDO2/パスキー・PKI証明書・スマートカード・モバイルスマートクレデンシャル・AI顔認証・グリッドカードまで、幅広い認証方式を単一ベンダーでカバーします。特に証明書ベース認証やスマートカードなど高保証の方式に強く、証明書ライフサイクル管理(マネージドPKI/PKIaaS)と認証を一体で運用できる点が、金融・政府・大企業での選定軸になります。

リアルタイムのリスク評価でステップアップ認証を発動するアダプティブ認証や、FIDO・証明書ベースのパスワードレス認証にも対応します。料金は個別見積もりで、国内ではエントラストジャパンや日立ソリューションズなどの販売パートナー経由で設計から運用までの支援を受けられます。

17. SafeNet Trusted Access(STA)(タレスDISジャパン株式会社)

SafeNet Trusted Access(STA)の公式サイト
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SafeNet Trusted Access(STA)
提供形態クラウド(IDaaS)
主な認証方式OTP(ソフト/ハード)、プッシュ、FIDO、PKI証明書、パターン/グリッド認証、SMS/メール、パスワードレス
料金目安要問い合わせ(ユーザー数ベースのサブスクリプション、トークンは別途デバイス費用)
主な保護対象・連携SaaS・VPN・VDI・オンプレミス(SAML/OIDC/RADIUS)、スマートSSO

SafeNet Trusted Access(STA)は、決済カードやSIM、ハードウェアセキュリティモジュールなど物理セキュリティ・暗号領域で実績を持つ Thales(タレスグループ)が提供する、クラウド型のアクセス管理サービス(IDaaS)です。SSO・多要素認証・条件付きアクセスポリシーを1つのプラットフォームに統合します。

OTP(ソフト/ハード)・プッシュ・FIDO・PKI証明書・パターン/グリッド認証・SMS/メール・パスワードレスまで対応し、ハードウェアトークンやスマートカードのラインナップが厚いことが、高いセキュリティ要件の大企業・規制業種での選定軸になります。必要なときだけ追加認証を求めるスマートSSOや、接続元・場所・デバイスを評価するシナリオベースのアクセス制御も備えます。

保護対象は SaaS・VPN・VDI・オンプレミスアプリにわたり、SAML/OIDC/RADIUS の標準プロトコルに対応します。料金はユーザー数ベースのサブスクリプションで要問い合わせ(トークンは別途デバイス費用)。日本ではタレスDISジャパンと、キヤノンマーケティングジャパンやアセンテックなどの国内代理店が販売・導入支援を行っています。

多要素認証システムの料金・費用相場

導入を検討する際に気になるのが費用です。多要素認証システムの料金は製品やプランによって幅がありますが、料金の見方と相場観を押さえておくと、見積もりや稟議の判断がしやすくなります。各製品の費用を横断で見られるよう、目安を一覧にまとめました。

料金体系の見方(ユーザー単価・初期費用・無料枠)

クラウド型の多要素認証システムは、利用者1人あたりの月額(ユーザー単価)で課金されるのが一般的です。国産のクラウド型製品では主要プランでおおむね月額100〜1,000円程度が中心ですが、海外大手やアダプティブ認証など高機能なプランでは月額2,000円を超える場合もあり、プランや認証方式によって変わります。無料プランや無料トライアルを用意する製品もあり、小規模から試す選択肢もあります。

このほか、初期費用や最低契約ID数、物理セキュリティキーを使う場合のデバイス代が別途かかることがあります。下表では各製品の費用の目安に加え、規模の適合を見るための最低契約ID数と、安全性の目安となるフィッシング耐性も並べ、費用・規模・安全性を1表で突き合わせられるようにしています(認証方式・連携の詳細はタイプ別比較表を参照してください)。

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サービス名CloudGate UNOOkta(Workforce Identity Cloud)Microsoft Entra ID(旧 Azure AD)トラスト・ログイン byGMOHENNGE One(Identity Edition)IIJ IDサービスGluegent GateOneLoginExtic(エクスティック)JumpCloudYubiKey as a ServiceCisco Secure Access by DuoPassLogicRSA ID Plus(SecurID)Soliton OneGateEntrust IdentitySafeNet Trusted Access(STA)
初期費用要問い合わせ(Smart Packはオプション初期費用無償)要問い合わせ(公式料金ページに記載なし)0円記載なし(公式料金ページに掲載なし)要問い合わせ(公式に記載なし)0円無料要問い合わせ(代理店により異なる)要お問い合わせ(公式料金ページに記載なし)要問い合わせ(国内は代理店見積もり)要問い合わせ0円(Freeプラン)/要問い合わせ(有償プラン)クラウド版: 10,000円(初年度のみ)/パッケージ買い切り: 195,400円〜+年間保守39,080円〜要問い合わせ(代理店見積もり)要問い合わせ(アプライアンス利用時 198,000円/台)要問い合わせ要問い合わせ
月額・ユーザー単価400〜600円/ユーザー・月(税抜。Standard Plus 400/Enterprise Plus 500/Smart Pack 600)940円〜/ユーザー・月(Starter、年契約・最低24万円/年)Free(M365/Azure付帯)/P1 1,049円・P2 1,499円(ユーザー/月・年払い、税区分未明示)0円〜(SSOフリー無料、SSOプロ 300円/ID・税抜・30ID以上)300〜500円/ユーザー・月(Identity Edition、最小200ID〜)SSOのみ105円/ID、SSO+多要素認証210円/ID・月(統合Windows認証は月額50,400円〜の別オプション)100〜1,000円/ライセンス・月(エディション別、税抜)要問い合わせ(海外参考: バンドル約$4/ユーザー・月〜)Standard 300円/ID〜・IdP 150円/ID〜・IdM 210円/ID〜・月(税別、ID数で逓減。FIDO2は月50円/ID〜)MFA単体 $3〜$4/ユーザー・月、統合パッケージは Device Management $9〜・SSO $11〜(年払い、USD建て。国内は代理店経由の個別見積もり)要問い合わせ(サブスク、ユーザー単位。物理キー代を含む)Free $0(10ユーザーまで)/Essentials $3・Advantage $6・Premier $9(ユーザー/月、USD)クラウド版 480円/ID・月(最小10ID)/パッケージ サブスク 最大408円/ID(最小20ID)ユーザー単価制(目安 $3〜$7/ユーザー・月。日本価格は代理店見積もり)100〜600円/ユーザー・月(PKI 100/ベーシック 300/スタンダード 600、最小40〜200ユーザー)要問い合わせ(個別見積もり)要問い合わせ(ユーザー数ベースのサブスク。トークンは別途デバイス費用)
フィッシング耐性◎(FIDO2/パスキー全プラン)◎(FastPass・FIDO2/WebAuthn)●(パスキー/FIDO2・Windows Hello・証明書)●(パスキー/FIDO2、有料SSOプロ)●(デバイス証明書・脱パスワード)◎(FIDO2・デバイス証明書)●(FIDO/FIDO2・クライアント証明書)●(WebAuthn/FIDO2・生体)●(FIDO2/パスキー、月50円/ID〜のオプション)◎(WebAuthn/FIDO2・セキュリティキー)◎(秘密鍵をデバイス内に保持する物理キー)◎(FIDO2/パスキー・Verified Push)△(マトリックス/OTP中心)◎(FIDO2・ハードウェアトークン)◎(デジタル証明書・FIDO2)◎(FIDO2/パスキー・PKI証明書・スマートカード)◎(FIDO・PKI証明書・パスワードレス)
最低契約ID数要問い合わせ要問い合わせ(年最低24万円)要問い合わせ30ID(SSOプロ)/SSOフリーは下限なし200ID要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ下限なし(Freeは10ユーザーまで)10ID(クラウド版)/20ID(パッケージ版)要問い合わせ40〜200ユーザー(プラン別)要問い合わせ要問い合わせ
提供形態クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(SaaS)クラウド(IDaaS)クラウド(IDaaS)/オンプレ連携対応クラウド(オープンディレクトリ/IDaaS)ハードウェアトークン+サブスク運用代行クラウド(SaaS)クラウド/オンプレミス(パッケージ版)クラウド/ハイブリッド/オンプレミスクラウド型認証基盤(IDaaS)クラウド(IDaaS)/オンプレ(Identity Enterprise)クラウド(IDaaS)
無料枠・トライアル30日間トライアル30日間トライアルFreeは恒久無料/P1・P2は無料試用版無料プラン(SSOフリー)ありかんたんデモ体験(トライアルは要確認)トライアル問い合わせ導線あり(条件は要確認)無料デモ依頼あり30日間トライアル無料トライアルあり30日間無料トライアル(恒久無料プランは新規登録には非提供)公式に記載なしFreeプランは10ユーザーまで恒久無料クラウド版30日間(全機能)無料トライアルあり無料トライアルあり(最短5営業日)公表確認できず無料評価トライアル/代理店デモあり
詳細情報公式資料を見るサービス詳細公式サイトサービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細公式サイト公式資料を見るサービス詳細サービス詳細サービス詳細サービス詳細公式サイトサービス詳細

クラウド型とオンプレミス型のコスト構造の違い

多要素認証システムは、クラウド型(SaaS)とオンプレミス型でコストの構造が異なります。クラウド型は初期費用を抑えやすく、ユーザー単価の月額で使った分だけ支払う形が中心です。サーバーの構築・保守が不要なため、導入のハードルが低く、利用者数の増減にも合わせやすいのが利点です。

一方オンプレミス型は、自社のサーバーに導入するため初期費用や構築の手間がかかりますが、既存の社内システムとの細かな連携や、外部にデータを預けたくない要件に対応しやすい面があります。閉域網の社内システムを多く抱える企業では、オンプレミス型やオンプレミス対応の製品が選択肢になります。運用面(保守・利用者対応の負荷)の違いは次章で扱います。

多要素認証の導入・運用で押さえる注意点

多要素認証は導入して終わりではなく、運用が続きます。導入前に注意点を押さえておくと、社内展開でつまずきにくくなります。

既存システムとの親和性を事前に確認します。認証をかけたいシステムやクラウドサービスが、製品の連携対象に含まれているかを導入前に確かめます。一部のレガシーな社内システムは対応方式が限られることがあり、想定した範囲を守れないと導入効果が薄れます。

認証デバイスの管理と紛失対応を設計します。スマートフォンやセキュリティキーを使う場合、機種変更・紛失・故障のたびに再登録や一時的なログイン手段が必要になります。バックアップの認証手段や再発行の手順をあらかじめ決めておくと、問い合わせ対応の負荷を抑えられます。

利用者の負担と運用体制を見込みます。認証の手順が増えると現場の手間も増えるため、リスクベース認証で必要な場面だけ認証を求めるなど、利便性とのバランスを設計します。導入初期は問い合わせが集中しやすいため、情報システム部門の対応体制やベンダーのサポート範囲も確認しておきます。

佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

認証はすべての業務の「玄関口」であり、その変更は全社員の日常業務に直結します。
そのため導入時には、技術的な仕様だけでなく「人の側面」への配慮が欠かせません。社員のITリテラシーには差があるため、新しい認証手順に対する戸惑いや混乱が生じるのは避けられないからです。
失敗を防ぐには、分かりやすいマニュアルの整備や事前教育、導入初期の問い合わせ窓口(ヘルプデスク)の設置など、計画的な社内展開が不可欠です。現場に定着して初めてセキュリティ機能が真価を発揮するため、現場の混乱を抑え、定着を促す丁寧な仕組みづくりを意識しましょう。

多要素認証に関連する法令・ガイドラインへの対応

多要素認証の導入は、自社のセキュリティ強化だけでなく、外部から求められる要件への対応という側面も持ちます。取引先からのセキュリティチェックシートやサイバー保険の加入条件で多要素認証の有無を問われるケースが増えており、公的なガイドラインでも推奨が広がっています。代表的なものを整理します。

  • クレジットカード業界のセキュリティ基準(PCI DSS):カード情報を扱う事業者に適用される国際基準で、システムへのアクセスに多要素認証を求める要件が定められています。出典:PCI Security Standards Council(PCI DSS)
  • 政府・公的機関のガイドライン:総務省や情報処理推進機構(IPA)などは、不正アクセス対策として多要素認証の導入を推奨しています。金融分野では金融庁のガイドラインなどでも、アクセス管理の強化が求められています。出典:安全なパスワードの設定・管理(多要素認証の活用)|国民のためのサイバーセキュリティサイト(総務省)
  • 取引先・サイバー保険からの要求:法令ではないものの、サプライチェーン全体のセキュリティ確保の観点から、取引条件や保険加入時に多要素認証の導入状況を確認される場面が増えています。

金融分野では、金融庁のガイドラインが重要なシステムへのアクセスについて、次のように多要素認証の利用を明記しています。

システムや情報の重要度に応じて、認証要件(多要素認証、リスクベース認証等、認証時におけるリスク低減策等)を決定すること。特に、重要なシステムへのリモートアクセスには、多要素認証を使用すること。

出典:金融分野におけるサイバーセキュリティに関するガイドライン(金融庁, 令和6年10月)

自社に適用される基準は業種や扱う情報によって異なります。製品を選ぶ際は、対応が必要な基準を満たせる認証方式やログ管理機能を備えているかも確認しておくと、監査や取引先への説明がしやすくなります。最新の要件は各基準・ガイドラインの公式情報を確認してください。

取引先やサイバー保険への対応が導入動機であれば、候補製品の資料を取り寄せて必要な認証方式やログ管理への対応状況を確認しておくと、社内説明の材料になります。

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佐藤裕一
株式会社通信総研 代表/情報処理安全確保支援士・公認情報システム監査人(CISA)
佐藤裕一
ひとこと解説

クラウドやスマホの普及、テレワークの定着により、現代はIT利活用の大きな変革期にあります。業務の利便性が飛躍的に向上した一方で、サイバー攻撃の手法も日々巧妙化・複雑化しています。
これに伴い、防御の要である認証技術やガイドラインの要求基準も目覚ましいスピードで進化を続けています。
セキュリティ対策は一度構築して終わりではありません。新たな脅威や技術の動向に常に関心を払い、時代や外部要件の変化に合わせて認証基盤を柔軟にアップデートし続ける「継続的な改善の姿勢」こそが、組織を守る上で何より重要となります。

まとめ

多要素認証は、パスワードだけでは防げない不正ログインやフィッシングから企業の情報を守るための、いまや欠かせない対策です。製品選びでまず決めたいのは、複数サービスのログインを一元化して守る「SSO対応型」と、既存の社内システムやPCログオンに認証を足す「多要素認証特化型」のどちらが自社に合うか、というタイプの方向性です。

タイプが定まったら、対応する認証方式(特にフィッシング耐性のある FIDO2/パスキーや証明書認証の有無)、既存システムとの連携範囲、認証タイミングの制御、料金と提供形態、サポート体制を比較して2〜3製品に絞り込むのがおすすめです。重要度の高いシステムほど、安全性の高い方式に対応した製品を選ぶことが、長く使える認証基盤につながります。

自社に合う製品の候補が見えてきたら、各サービスの資料を取り寄せて、料金や対応範囲の詳細を確認してみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 多要素認証(MFA)とは何ですか?

A. 多要素認証(MFA)とは、本人確認に性質の異なる2つ以上の要素を組み合わせる認証方式です。パスワードのような「知っている情報(知識情報)」だけに頼らず、スマートフォンやセキュリティキーといった「持っているもの(所持情報)」、指紋や顔といった「本人の身体的特徴(生体情報)」を加えます。

これにより、たとえパスワードが漏えいしても、もう一つの要素がなければログインできない状態をつくれます。総務省や情報処理推進機構(IPA)などの公的機関も、不正アクセス対策の基本として多要素認証の導入を推奨しています。

Q. 多要素認証と二段階認証は何が違うのですか?

A. 多要素認証は「異なる種類の要素」を組み合わせるのに対し、二段階認証は種類を問わず「2つの段階に分けて確認する」ことを指します。そのため、パスワードの後に秘密の質問を聞く場合は、どちらも知識情報のため二段階認証ではあっても多要素認証にはあたりません。

異なる種類の要素を組み合わせる多要素認証のほうが、片方の要素が漏れても突破されにくく、セキュリティ上は強固です。違いの整理は、要素や用語の関係を扱った記事前半もあわせてご確認ください。

Q. 多要素認証システムは無料で導入できますか?

A. 無料プランや無料トライアルを用意する多要素認証システムもあり、小規模であれば無料で始められる場合があります。ただし、利用人数の上限や利用できる認証方式が制限されることが多く、全社規模での本格運用には有料プランが前提になるのが一般的です。

クラウド型の有料プランは主要プランで月額100〜1,000円程度(国産製品が中心)で、海外大手やアダプティブ認証など高機能なプランでは月額2,000円を超える場合もあります。このほか初期費用や、物理セキュリティキーを使う場合のデバイス代がかかることもあります。まず無料枠やトライアルで使い勝手を確かめてから移行する進め方も選択肢です。

Q. Microsoft 365 や Google Workspace の標準機能だけで多要素認証は足りますか?

A. Microsoft 365 や Google Workspace 自体のログインは標準機能の多要素認証で強化できますが、それだけでは「そのサービスへのログイン」に範囲が限られます。社内システムや VPN、ほかのクラウドサービスまで含めて認証を統一したい場合は、専用の多要素認証システムが必要になります。

複数のクラウドサービスのログインを一元化してまとめて認証をかけたいなら SSO 対応型、既存の社内システムや PC ログオンに認証を足したいなら特化型が候補になります。利用するサービスが増えてきたら、認証基盤を横断的にそろえられる製品の検討が選定の分かれ目になります。

Q. SMS で届くワンタイムパスワードは安全ではないのですか?

A. SMS のワンタイムパスワードはパスワードのみより大幅に安全ですが、フィッシングや経路上の盗み見では突破され得るため、より強固な方式が推奨される傾向にあります。偽サイトに利用者が入力してしまえば、SMS で届くコードも盗まれてしまうためです。

これに対し FIDO2/パスキーやデジタル証明書による認証は、アクセス先のドメインと結びつくため偽サイトでは認証が成立せず、フィッシング耐性が高いとされています。重要なシステムを守る場合は、こうしたフィッシング耐性のある方式に対応した製品を選ぶと安心です。

Q. スマートフォンを使わない多要素認証の方法はありますか?

A. 多要素認証はスマートフォンがなくても運用でき、物理セキュリティキー・IC カード・デジタル証明書・ハードウェアトークンなどスマートフォン以外の所持情報を使う方式があります。業務端末に私用スマートフォンを使わせたくない企業や、スマートフォンを持たない現場でも導入できます。

FIDO2 対応のセキュリティキーや社員証などの IC カード、PC 内蔵の生体認証(Windows Hello など)も選択肢になります。スマートフォンを前提としない運用を想定する場合は、これらの方式に対応しているかを製品選定時に確認しておくとよいでしょう。

Q. 多要素認証を導入するデメリットや注意点はありますか?

A. 多要素認証の主なデメリットは、ログイン手順が増える利用者の手間と、認証デバイスの紛失・機種変更への対応、導入初期に集中しやすい問い合わせ対応の負荷です。これらは設計次第で抑えられるため、導入前に運用の段取りを決めておくことが大切です。

社外アクセスや普段と違う端末のときだけ追加認証を求めるリスクベース認証を使えば、利便性とのバランスを取りやすくなります。あわせて、バックアップの認証手段や再発行の手順を整え、ベンダーのサポート範囲を確認しておくと、運用でつまずきにくくなります。

Q. 多要素認証システムの料金相場はどのくらいですか?

A. クラウド型は国産製品の主要プランで月額100〜1,000円程度、海外大手やアダプティブ認証など高機能なプランでは月額2,000円を超える場合もあります。プランや対応する認証方式によって変わり、無料プランを用意する製品もあれば、大企業向けの高機能な製品では要問い合わせとなる場合もあります。

ユーザー単価のほかに、初期費用や最低契約 ID 数、物理セキュリティキーのデバイス代が別途かかることがあります。オンプレミス型はサーバー構築費がかかる一方、クラウド型は初期費用を抑えやすいなど提供形態でもコスト構造が異なるため、各製品の費用目安を横並びで確認したうえで見積もりを取るのがおすすめです。

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