ランサムウェアの感染や機器の故障、操作ミス、地震・火災といった災害は、企業が積み上げてきた業務データを一瞬で失わせます。被害が起きてから「バックアップを取っていなかった」と気づいても、事業の停止は避けられません。
クラウドバックアップは、サーバーやPC、Microsoft 365などのデータを社外のクラウドへ自動的に退避し、万一のときに復元できるようにするサービスです。外付けHDDやテープでの自社運用に比べて手間と消失リスクを抑えられ、BCP(事業継続計画)・DR(災害復旧)対策の柱として法人での導入が広がっています。
本記事では、法人向けクラウドバックアップサービス13サービスを、料金・容量・対応範囲(イメージ/ファイル)・セキュリティの観点で比較します。サービスのタイプの違いと失敗しない選び方を整理し、比較表と診断ツールで自社に合う候補を絞り込めるように解説します。
目次
法人向けクラウドバックアップとは
クラウドバックアップとは、サーバーやPC、ファイルサーバー、Microsoft 365・Google Workspaceなどの業務データを、インターネット経由でクラウド上のデータセンターに複製・保管するサービスです。機器の故障やランサムウェア感染、人的ミス、災害でデータを失っても、保管しておいた複製から復元できます。
バックアップ専用のサービスは、単にデータを預けるだけでなく、定期的な自動取得、過去の状態へ戻すための世代管理、暗号化による保護といった機能を備えます。これにより、いつの時点のデータでも確実に取り出せる状態を保ちます。
近年は、データを暗号化して身代金を要求するランサムウェアの被害が中小企業にも広がっています。感染すると社内のサーバーやNASのデータがまとめて使えなくなるため、ネットワークから切り離されたクラウド上に復元用のデータを持っておくことが、事業を止めないための備えになります。
オンプレミス運用(外付けHDD・テープ・NAS)との違い
従来は、外付けHDDやテープ、社内のNAS(ネットワーク接続型ストレージ)にデータを複製する自社運用(オンプレミス)が一般的でした。初期の機器費用だけで始められる一方、機器の管理・交換やバックアップの世代管理が担当者の手作業に依存し、属人化しやすい点が課題です。
同じ建物内に複製を置く運用では、火災や水害でオリジナルと複製が同時に失われる恐れもあります。クラウドバックアップは遠隔地のデータセンターにデータを保管するため、災害時にも複製が残りやすく、機器の運用・保守をサービス側に任せられる点が異なります。
バックアップの世界では、「データを3つ持ち、2種類の媒体に保存し、1つは遠隔地に置く」という3-2-1ルールが基本とされています。オンプレミスの複製にクラウドを組み合わせることで、この遠隔地保管を無理なく実現できます。

法人がクラウドバックアップを導入するメリット
ここからは、法人がクラウドバックアップを導入することで得られる主なメリットを、4つの観点から整理します。
BCP・DR対策の強化(災害・機器故障時のデータ復旧)
地震や水害でオフィスやサーバー室が被災しても、遠隔地のデータセンターに複製があれば事業に必要なデータを復旧できます。事業をどれだけ早く再開できるかは、復旧可能なデータが手元に残っているかで大きく変わります。
クラウドバックアップは、BCP・DR対策として求められる「遠隔地でのデータ保全」を、専用設備を自社で持たずに実現します。データセンターの場所や冗長構成はサービスごとに異なるため、災害時の復旧シナリオに合うかを確認しておくと安心です。
ランサムウェア・人的ミスへの対策
ランサムウェアに感染しても、感染前の状態のバックアップが残っていれば、そこからデータを戻して被害を最小限に抑えられます。世代管理によって複数時点のデータを保持しておくと、いつ感染したか特定できない場合でも、安全な時点まで遡って復元できます。
誤ってファイルを削除・上書きした、といった人的ミスへの備えにもなります。書き換えや削除ができない不変(イミュータブル)な保管領域に対応したサービスなら、バックアップ自体がランサムウェアに暗号化されるリスクも抑えられます。
運用コストの削減(オンプレ機器・減価償却の負担減)
自社でバックアップ用の機器を購入・更新する場合、初期の設備投資に加えて、故障時の交換や保守の費用が継続的に発生します。クラウドバックアップは月額・年額の利用料として平準化でき、容量に応じて必要な分だけ支払う形が一般的です。
サービス利用料は資産計上を伴わず、経費として扱える点も中小企業にとっては管理しやすい要素です。機器の調達リードタイムを待たずに利用を始められるため、導入のスピードでも有利になります。
運用負荷の軽減(自動化・容量の柔軟な拡張)
スケジュールにもとづく自動バックアップに対応していれば、担当者が手作業で複製を取る必要がなくなり、取り忘れも防げます。データ量が増えても、契約容量を追加するだけで拡張できるため、機器の増設を計画する手間がかかりません。
バックアップの状況を管理画面で一元的に確認できるサービスなら、複数拠点やPCのバックアップ状態をまとめて把握できます。ひとり情シスや総務兼任の担当者でも、運用を無理なく回せる体制を整えやすくなります。
クラウドバックアップのタイプ(イメージ型・ファイル/SaaSデータ保護型)
クラウドバックアップは、何を守るかによって大きく2つのタイプに分かれます。自社が「システム全体を丸ごと守りたいのか」「特定のファイルやSaaS上のデータを守りたいのか」を整理すると、検討すべきサービスの範囲が絞り込めます。

イメージバックアップ対応型(OS・アプリ・設定ごとシステム全体を復元)
イメージバックアップは、OSやアプリケーション、各種設定を含めてサーバーやPCを丸ごと複製する方式です。ディスクの状態をそのまま保存するため、機器が故障しても、復元すれば元の環境をまとめて立ち上げ直せます。
OSの再インストールやアプリの再設定をせずに済むため、サーバー障害からの復旧を短時間で済ませたい場合に向きます。基幹サーバーや業務サーバーを保護したい法人は、このタイプが選択肢の中心になります。
ファイルバックアップ・SaaSデータ保護型(ファイル単位/M365・Google Workspaceデータ保護)
ファイルバックアップは、ファイルやフォルダ単位でデータを複製する方式です。システム全体ではなく、必要な書類やデータだけを守りたい場合に適しています。復元も特定のファイル単位で行えるため、誤削除からの復旧が手軽です。
近年は、Microsoft 365やGoogle WorkspaceなどのSaaS上のデータを保護する用途も重要になっています。これらのサービスは事業者側で一定のデータ保持を行いますが、保持期間を過ぎた削除データや、誤操作・退職者アカウントの削除に伴うデータ消失には、利用企業側のバックアップが必要です。SaaSデータの保護に特化したサービスは、こうした業務データの保全に向きます。
このタイプには、社内ファイルサーバーのファイル・フォルダを保全するローカルのファイル保全系と、SaaS上の業務データを保護するSaaSデータ保護系の2系統があります。各系統に該当するサービスは比較表・個別紹介で確認できます。
なお、SaaSデータを守りたい場合の候補はこのタイプに限りません。イメージバックアップ対応型にもSaaSバックアップに対応するサービスがあるため、サーバーとSaaSをまとめて守りたい場合は、比較表のSaaS対応欄も合わせて確認してください。
SaaS上のデータをなぜ別途バックアップする必要があるのか、その理由と選び方を基礎から押さえたい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。
クラウドバックアップの料金相場と課金体系
クラウドバックアップの料金は、課金体系によって見え方が変わります。比較の前提として、主な課金の型と相場感を押さえておきましょう(金額はいずれも2026年6月時点の各社公開情報にもとづく目安です)。
サーバーやPCを守るタイプでは、保存する容量に応じて料金が決まる容量課金が主流です。初期費用を0円とし、月額は小容量プランで数千円程度から、容量や対象台数が増えるほど上がる構成が一般的です。台数無制限で容量だけに応じて課金するサービスもあります。
Microsoft 365などのSaaSデータを守るタイプは、利用ユーザー数に応じて課金するユーザー課金が中心です。1ユーザーあたり月数百円程度からで、保存容量を無制限とするサービスもあります。エンタープライズ向けの製品では、保護対象数にもとづくライセンス契約となり、料金は個別見積もりとなることが多くなっています。
下表で、主要サービスの課金体系と料金の目安を整理します。実際の費用は容量・台数・契約期間で変わるため、候補を絞ったうえで各社の見積もりを取ることをおすすめします。
| サービス名 | 使えるデータプロテクト | BackStore | FIT-Cloud バックアップサービス | USEN GATE 02 クラウドバックアップサービス | WideNetのCLOUD BACKUP | EASYクラウドバックアップ | Acronis Cyber Protect Cloud | Arcserve UDP Cloud Direct | Veeam Backup & Replication | コワークストレージ | AvePoint Cloud Backup | SysCloud | AOSBOX Business Pro |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 課金体系 | ユーザー/構成課金(月額制・個別見積もり) | 容量課金(重複排除・圧縮後) | 容量課金×台数無制限 | AJは容量従量/Vaは容量プラン/Druvaは個別見積もり | 容量課金(1台あたり容量プラン制) | 容量ベース | 従量課金(GB単位/ワークロード単位) | TB単位の年額サブスクリプション(容量ベース) | ライセンス(Veeam Universal License=インスタンス単位/Vaultはper-TB/VB365はper-user) | 容量・ID課金(プラン月額+追加オプション) | ユーザー課金(容量無制限) | ユーザー課金(サービス数×ユーザー数) | 容量課金(定額制・ユーザー/サーバー数無制限) |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 無料 | 要問い合わせ | 0円(AJ)/10万〜30万円(Va) | 0円 | なし | プロバイダー依存(要問い合わせ) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(代理店見積もり) | 0円 | 無料 | 要問い合わせ | 別途見積(要問い合わせ) |
| 料金の目安 | 月額2,400円〜(プラン例。実質は個別見積もり) | サーバー1TB 月額52,000円〜/PC 1ユーザー月額1,000円〜 | 要問い合わせ(契約容量100GB〜) | AJ 500GB 月額21,000円〜(税別)/Va 月額19,000〜250,000円 | PC向け200GB 月額1,780円〜/サーバー向け200GB 月額13,180円〜(税別) | 月額3,600円(税込)/100GB〜(第三者メディア記載。公式料金表は非公開) | プロバイダー依存(参考: 100GBで月額8,350円〜の例) | TB単位の年額サブスクリプション(実額は取扱パートナー確認) | 要問い合わせ(代理店経由のライセンス購入) | 月額2,750円〜39,600円(税込・5プラン) | 3年プラン 月320円/ユーザー〜(税抜、Microsoft 365) | 日本円は要問い合わせ(米国本体表記$4/ユーザー/月〜) | 通常100GB 年額40,000円〜/コールド1TB 年額120,000円〜(税別・1年版) |
| 無料トライアル | あり(30日) | あり(30日) | 要問い合わせ | あり(申請制) | あり(30日) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(プロバイダー依存) | 要問い合わせ | あり(Community Edition 10インスタンス無償) | あり(30日・スタートプラン) | あり(30日) | あり(30日・CC不要) | あり(30日) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社公開情報にもとづく目安です。最新の料金・容量は各サービスの公式情報をご確認ください。
自社のバックアップ対象や守りたいデータの種類から、どのタイプ・どのサービスが合うのかを、以下の診断ツールで簡単に確認できます。
失敗しない法人向けクラウドバックアップの選び方
ここからは、料金以外で確認しておきたい比較ポイントを整理します。自社の要件に当てはめながら、優先順位をつけて見ていきましょう。

バックアップ対象・タイプ(イメージ/ファイル/SaaS)が自社に合うか
最初に、守りたい対象がサーバー全体なのか、特定のファイルやSaaSデータなのかを明確にします。基幹サーバーの早期復旧が目的ならイメージ型、Microsoft 365のデータ保全が目的ならSaaSデータ保護型、というように、対象とタイプが合っているかが出発点です。
サーバーとクライアントPC、SaaSが混在する環境では、対応範囲の広いサービスを選ぶか、用途別に組み合わせるかを検討します。対応OSや仮想環境(VMware・Hyper-V)への対応可否も、自社の構成と照らして確認しておきましょう。
BCP・ランサムウェア耐性(コールドストレージ・復元スピード)
災害やランサムウェアへの耐性は、保管場所と復元の仕組みで決まります。通常のアクセスから切り離して保管するコールドストレージや、書き換え不可の不変領域に対応していれば、バックアップ自体が被害を受けるリスクを抑えられます。
復旧の早さも重要です。障害発生からどれだけ早くデータを戻せるか(復元スピード)は、クラウド上で代替環境を起動できるDR機能の有無や、復元方法の柔軟さによって変わります。止められない業務がある場合は、復旧目標の時間に見合う仕組みかを確認します。
重複排除・世代管理(何世代前まで復元できるか)
重複排除は、同じ内容のデータを重複して保存しないことで、保存容量と通信量を削減する機能です。変更があった差分だけを転送する増分バックアップと組み合わせると、容量課金のコストやバックアップにかかる時間を抑えられます。
世代管理は、過去のどの時点まで遡って復元できるかを左右します。何世代分を保持できるか、保持期間に制限があるかはサービスごとに異なります。ランサムウェア対策の観点では、十分な世代を確保できるかが復元の可否に直結します。
セキュリティ(暗号化・認証・コンプライアンス)
重要データを社外に預ける以上、セキュリティは欠かせない確認項目です。通信時と保管時の両方で暗号化されるか、AES-256などの暗号化方式を採用しているかを確認します。データセンターが国内にあるかどうかも、コンプライアンス上の要件になる場合があります。
ISO/IEC 27001などの第三者認証の取得状況は、運用体制の客観的な目安になります。認証の保有主体がサービス本体か、基盤となるデータセンターかは区別して確認しておくと、実態を正しく把握できます。
サポート体制・課金体系の確認
導入後の運用を支えるサポート体制も比較しておきましょう。問い合わせ手段(電話・メール・チャット)や対応時間、導入時の設定支援の有無は、社内にIT専任者が少ない企業ほど重要になります。
課金体系は、容量課金かユーザー課金か、台数の上限や超過時の料金がどうなるかを確認します(料金相場の詳細は「クラウドバックアップの料金相場と課金体系」を参照)。将来のデータ増加を見込んで、拡張時のコストまで含めて見積もると、導入後の想定外を防げます。
クラウドバックアップ導入・運用の注意点
導入後に「思ったよりコストがかさむ」「いざというとき復元できない」といった事態を避けるため、運用上の注意点を押さえておきましょう。
クラウドストレージはバックアップになるのか(ストレージ流用の限界)
Google DriveやOneDrive、Boxなどのクラウドストレージを、そのままバックアップとして使えないかという疑問はよく聞かれます。ファイル共有を主目的とするこれらのサービスは、簡易な版管理やごみ箱機能を備えるものの、バックアップ専用サービスとは目的が異なります。
具体的には、サーバーを丸ごと復元するイメージバックアップに対応しない、保持できる世代や期間が限られる、同期型のためランサムウェアで暗号化されたファイルがそのまま同期されてしまう、といった限界があります。複製が常時アクセス可能な状態にあると、感染時に複製まで被害を受ける恐れもあります。
日常的なファイル共有はクラウドストレージで足りても、確実な復元や災害・ランサムウェア対策まで求めるなら、世代管理や不変保管を備えたバックアップ専用サービスが必要です。守りたいデータの重要度に応じて、流用で足りるか専用サービスが要るかを判断しましょう。
ファイル共有や社内データの保管そのものを見直したい場合は、法人向けクラウドストレージの選び方と主要サービスを比較した以下の記事も参考になります。
重複・帯域圧迫・復元テストなど運用上の留意点
容量課金のサービスでは、不要なデータまでバックアップ対象に含めると保存容量が膨らみ、コストがかさみます。重複排除や圧縮の有無、対象範囲の設計を見直すことで、無駄な容量の増加を抑えられます。
大量のデータを送る初回バックアップや日中の取得は、ネットワークの帯域を圧迫し、通常業務に影響することがあります。バックアップの時間帯をずらす、帯域制御を設定するといった運用で負荷を分散します。
見落とされがちですが、定期的な復元テストも欠かせません。バックアップが取れていても、いざというときに正しく復元できなければ意味がありません。導入後は、実際にデータを戻せるかを定期的に確認しておきましょう。
【比較表】法人向けクラウドバックアップサービス比較
主要な法人向けクラウドバックアップ13サービスを、イメージバックアップ対応型9サービスとファイルバックアップ・SaaSデータ保護型4サービスに分けて比較します。サーバーとファイルの両方に対応するサービスは、システム全体に対応する点からイメージ型に分類しています。
SaaS(Microsoft 365/Google Workspace)データも守りたい場合は、SaaS保護に特化したサービスだけでなく、SaaSにも対応するイメージ型も候補です。下のイメージバックアップ対応型の表のSaaS対応欄を確認すると、両対応のサービスを一望できます。
バックアップ対象・対応種類・SaaS(Microsoft 365/Google Workspace)対応・料金体系・重複排除・世代管理・セキュリティ・無料トライアルを横並びで確認できます。SaaS対応欄は「○=対応」「×=非対応・未提供」「要確認=公式に明示なし」、重複排除欄は「●=標準対応」「△=条件付き」を表します。
「要問い合わせ」「要確認」は公式が仕様・料金を非開示にしている状態を指し、機能がないことを意味しません。気になる候補は資料請求やお問い合わせで詳細を確認してください。
イメージバックアップ対応型の比較
| サービス名 | 使えるデータプロテクト | BackStore | FIT-Cloud バックアップサービス | USEN GATE 02 クラウドバックアップサービス | WideNetのCLOUD BACKUP | EASYクラウドバックアップ | Acronis Cyber Protect Cloud | Arcserve UDP Cloud Direct | Veeam Backup & Replication |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主なバックアップ対象 | PC・サーバー・VM・M365・Google Workspace | サーバー(物理/仮想/NAS/DB)・PC・SaaS(M365/Google/Salesforce) | サーバー・PC・NAS(エージェント導入型) | サーバー・仮想・PC・NAS・SaaS(プランにより異なる) | PC・サーバー(M365/SaaSは対応予定・未提供) | サーバー・PC | 物理・仮想・クラウドVM・M365・Google Workspace・モバイル | 物理・仮想サーバー・M365(追加ライセンス不要) | 物理・仮想・クラウド(AWS/Azure/GCP)・NAS・SaaS(M365/Entra ID/Salesforce) |
| 対応バックアップ種類 | イメージ | イメージ/ファイル | イメージ/ファイル | イメージ/ファイル | イメージ/ファイル | イメージ/ファイル | イメージ/ファイル | イメージ | イメージ/ファイル |
| SaaS(M365/Google Workspace)対応 | ○ | ○ | 要確認 | ○ type Druvaプランで対応 | ×対応予定・未提供 | 要確認 | ○ | ○ M365(追加ライセンス不要) | ○ M365・Entra ID・Salesforce(VB365) |
| 料金体系の目安 | 月額制(プラン例 月額2,400円〜。実質は個別見積もり) | 容量課金(重複排除・圧縮後)。サーバー1TB 月額52,000円〜/PC 1ユーザー月額1,000円〜 | 容量課金×台数無制限(契約容量100GB〜。実額は要問い合わせ) | AJは容量従量(初期0円・500GB 月額21,000円〜)/Vaは容量プラン/Druvaは個別見積もり | 容量課金(1台あたり)。PC向け200GB 月額1,780円〜/サーバー向け200GB 月額13,180円〜(税別) | 容量ベース(初期費用なし。月額3,600円(税込)/100GB〜の第三者メディア記載) | 従量課金(GB/ワークロード単位)。実額はプロバイダー依存(100GBで月額8,350円〜の例) | TB単位の年額サブスクリプション(1年契約・容量ベース)。初期費用は要問い合わせ | Veeam Universal License(インスタンス単位)/Vaultはper-TB/VB365はper-user。実額は代理店見積もり |
| 重複排除 | 要確認 | ●ブロック単位グローバル | 要問い合わせ | △Druvaプランで対応 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | ● | ● | ● |
| 世代管理 | 要問い合わせ | 無制限 | 多世代保持 | 要問い合わせ | 対応(日次世代・週/月保持) | 要問い合わせ | 永久増分(世代管理対応) | 対応(増分・複数世代保持) | リテンション・GFS長期保持・増分 |
| セキュリティ | AES-256暗号化/DCはISO 27001認定 | データ・通信の二重暗号化(独自鍵設定可) | 要問い合わせ(富山DCへ遠隔保管) | AES-256(保存)/SSL・TLS(通信) | 圧縮・暗号化+SSL通信/DCはISO27001(ISMS)認定(暗号化方式は要確認) | SSL経路暗号化/国内DC保管 | AES-256(転送中・保存時)/Active Protection | 転送時SSL/保存時AES/CRS(イミュータブル) | 不変リポジトリ・AES256暗号化・AI脅威検知・4-eyes認証 |
| 無料トライアル | あり(30日) | あり(30日) | 要問い合わせ | あり(申請制) | あり(30日) | 要問い合わせ | 要問い合わせ(プロバイダー依存) | 要問い合わせ | あり(Community Edition 10インスタンス無償) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
ファイルバックアップ・SaaSデータ保護型の比較
| サービス名 | コワークストレージ | AOSBOX Business Pro | AvePoint Cloud Backup | SysCloud |
|---|---|---|---|---|
| 主なバックアップ対象 | ファイル・フォルダ(社内ファイルサーバー置き換え型) | PC・サーバー・NAS・外付けHDD・ネットワークドライブ(ファイル・フォルダ単位) | SaaS(M365/Google Workspace/Salesforce/Dynamics 365/Entra ID) | SaaS(Google Workspace/M365/Salesforce/Slack/Box ほか) |
| 対応バックアップ種類 | ファイル | ファイル(イメージ/システム復元は非対応) | ファイル(SaaSデータ保護) | ファイル(SaaSデータ保護) |
| SaaS(M365/Google Workspace)対応 | ×M365は連携機能(保護対象外) | 要確認 | ○ M365中核+GW・Salesforce等 | ○ GW・M365・Salesforce等 |
| 料金体系の目安 | 容量・ID課金(初期0円・月額2,750円〜39,600円/5プラン・税込) | 容量課金(定額制・ユーザー/サーバー数無制限)。通常100GB 年額40,000円〜/コールド1TB 年額120,000円〜(税別・1年版) | ユーザー課金(初期無料・3年プラン 月320円/ユーザー〜・税抜。容量無制限) | ユーザー課金(サービス数×ユーザー数)。日本円は要問い合わせ(米国本体表記$4/ユーザー/月〜) |
| 重複排除 | 要問い合わせ | ●ブロックレベル差分 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 世代管理 | バージョン管理あり(世代履歴) | 2世代〜無制限 | 容量・期間ともに無制限 | ポイントインタイム復元・バージョン履歴(容量・保持無制限) |
| セキュリティ | ISO/IEC 27001・27017/暗号化・多要素認証/国内データ保管 | AES-256(端末・転送・保管の3段階)/AWS東京リージョン マルチAZ | ISO/IEC 27001・SOC 2 Type 2・FedRAMP・ISMAP対応/暗号化保存 | SSAE18/SOC 2認証/AES256暗号化/TLS・SSL |
| 無料トライアル | あり(30日・スタートプラン) | あり(30日) | あり(30日) | あり(30日・CC不要) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は一般的な傾向です。実際の機能搭載の有無や最新の料金については各社情報をご確認ください。
おすすめ法人向けクラウドバックアップサービス(個別紹介)
ここからは、比較表で取り上げた13サービスをタイプ別に個別紹介します。それぞれの提供形態・対象・特徴を確認し、資料請求の候補を絞り込む参考にしてください。
イメージバックアップ対応型のサービス
サーバーやPCをシステムごと丸ごと守りたい法人に向く、イメージバックアップ対応型のサービスです。
1. 使えるデータプロテクト(使えるねっと株式会社)

使えるねっと株式会社が中小企業向けに提供する、データ保護ソリューションです。2026年1月に「使えるクラウドバックアップ」から名称を変更し、バックアップにウイルス防御やデバイス管理を組み合わせた統合型へと位置付けを移しています。
OS・アプリ・データを丸ごと保護するイメージバックアップ型で、PC1台からサーバー・仮想マシン・Microsoft 365・Google Workspaceまでを対象とします。データは長野県の自社データセンターに保管し、AES-256で暗号化します。
料金はプランパッケージの一例として月額2,400円からが示されていますが、公式には最適な構成を見積もる旨の注記があり、実質は個別見積もりです。世代管理や重複排除の仕様は公式に明示がなく、30日間の無料トライアルで使い勝手を確かめられます。バックアップにウイルス防御やデバイス管理まで含めて、中小企業がデータ保護を一つの管理画面でまとめたい場合に向きます。
2. BackStore(株式会社BackStore)

セイコーソリューションズの全額出資子会社である株式会社BackStoreが運営し、国内1,700社以上の導入実績を公表する法人向けクラウドバックアップサービスです。物理・仮想サーバーからNAS、DBサーバー、クライアントPC、主要SaaSまで、製品を使い分けずに一元的にバックアップできる対応範囲の広さを訴求しています。
イメージ・ファイル両方式に対応し、世代管理は無制限、ブロック単位のグローバル重複排除を標準で備えます。課金は重複排除・圧縮後の容量がベースで、サーバープランは1TB 月額52,000円から、エンドポイントプランは1ユーザー月額1,000円からです。
データと通信を二重で暗号化し、ユーザー独自の暗号鍵も設定できます。サポートの対応時間は公式ページ間で記載差があるため、標準対応の範囲は問い合わせ時に確認すると安心です。サーバー・PC・SaaSが混在する環境を製品を分けずに一元的に守りたい中堅以上の組織に向きます。
3. FIT-Cloud バックアップサービス(北電情報システムサービス株式会社)

北陸電力グループの北電情報システムサービス株式会社が、自然災害の少ない富山県のデータセンターを保管先とするクラウドバックアップサービスです。サーバー・PC・NASにエージェントを導入してバックアップを取得し、クラウド基盤「FIT-Cloud」シリーズの一サービスとして位置付けられています。
OSを含む「まるごと」のイメージ型と、指定フォルダ・ファイルのファイル型の両方に対応します。バックアップ元と異なる物理サーバーや他社クラウド環境への復元も想定し、多世代保持の世代管理でランサムウェア感染前の状態へ戻せます。
課金は容量課金×台数無制限で、契約容量内であればバックアップ対象を増やしても台数課金が発生しません。契約容量は100GBからで、初期費用や月額の実額、暗号化方式、無料トライアルの有無は公開されておらず、問い合わせが必要です。台数が多く、国内電力グループの遠隔地データセンターでサーバーを丸ごと守りたい組織に向きます。
4. USEN GATE 02 クラウドバックアップサービス(株式会社USEN ICT Solutions)

法人向けICTブランド「USEN GATE 02」を展開する株式会社USEN ICT Solutionsが提供する、複数プラン構成のクラウドバックアップサービスです。クラウド従量型のAJ、オンプレ機器とクラウドを組み合わせるハイブリッド型のVa、Druva製品ベースのtype Druvaから、環境に合わせて構成を選べます。
AJは初期費用0円・容量従量課金で、500GBプランが月額21,000円(税別)、超過分は1GB単位42円です。Vaはオフラインバックアップでランサムウェア対策に有効で、ハードウェア故障時の無償交換やオンサイト復旧に対応します。
重複排除やSaaS(Microsoft 365・Google Workspace)バックアップ、AWSへのフェールオーバーによるDRは、type Druvaプランで対応します。プランごとに対応範囲や課金体系が異なるため、自社の保護対象に合うプランを確認しておくとよいでしょう。サーバー・SaaS・DRなど守りたい対象に応じて構成を選び分けたい組織に向きます。
5. WideNetのCLOUD BACKUP(株式会社ネディア)

株式会社ネディアが「WideNet(ワイドネット)」ブランドで提供する、完全クラウド型のバックアップサービスです。クライアントPCやサーバーのデータをインターネット経由で群馬県前橋市の自社データセンターへ退避し、複数拠点・複数台を1つのWeb管理画面で一元管理できます。
システムイメージ型とファイル・フォルダー型の両方に対応し、異メーカーや仮想・クラウド環境へのベアメタルリストアも可能です。データセンターはISO27001(ISMS)認定を取得しています。SaaS・Microsoft 365バックアップは「近日公開」とされ、現時点では未提供の可能性が高い点に注意が必要です。
料金は1台あたりの容量課金で、初期費用は0円です。PC向けは200GB 月額1,780円から、サーバー向けは200GB 月額13,180円から(いずれも税別)と、容量別に細かく分かれています。30日間の無料試用版も用意されています。料金が容量別に明示され、SaaSは当面不要でPC・サーバーを小さく始めたい中小企業に向きます。
6. EASYクラウドバックアップ(株式会社セキュアイノベーション)

サイバー攻撃の早期発見やセキュリティ診断を手がける株式会社セキュアイノベーションが、ランサムウェア対策のデータ復旧手段として提供するクラウド型バックアップサービスです。バックアップエンジンには国内シェアの高いAcronisを採用しています。
OS・システムを丸ごと守るイメージ型と、ファイル単位のファイル型に対応し、アプリケーションやユーザーアカウント単位のバックアップもできます。データはSSLで暗号化した経路で転送し、国内データセンターに保管します。同社のマルウェア早期発見サービス「EISS」と組み合わせた運用も可能です。
初期費用なし・専用機器不要でスモールスタートできる点を訴求しています。料金は月額3,600円(税込)/100GBからとする第三者メディアの記載がありますが、公式の料金表や世代管理の仕様、無料トライアルの有無は公開されておらず、問い合わせが必要です。ランサムウェア対策の一環として、検知から復旧までをセキュリティ専業に任せたい組織に向きます。
7. Acronis Cyber Protect Cloud(アクロニス・ジャパン株式会社)

バックアップとサイバーセキュリティを1つに統合した、サービスプロバイダー(MSP)向けのデータ保護プラットフォームです。国内の多くのクラウドバックアップサービスが基盤エンジンに採用しており、エンドユーザーはAcronis認定のサービスプロバイダー経由で利用するのが基本となります。
物理・仮想・クラウドVM・Microsoft 365・Google Workspace・モバイルを横断して保護し、イメージ・ファイル両方式に対応します。永久増分・重複排除・圧縮で転送量を抑え、AI挙動検知のActive Protectionでランサムウェアに対処します。転送中・保存時ともにAES-256で暗号化します。
料金・サポート内容は契約するプロバイダーによって異なります。参考として、日立ソリューションズのページではバックアップ容量100GBで月額8,350円からの例があります。2025年12月にライセンス体系の変更・価格改定が実施されており、最新の料金は取扱プロバイダーへの確認が必要です。物理・仮想・SaaSを横断し、バックアップとセキュリティを統合して運用したい組織に向きます。
8. Arcserve UDP Cloud Direct(arcserve Japan合同会社)

データ保護専業ベンダーのArcserveが提供する、オンプレにバックアップサーバーを設置しないクラウド直接バックアップ(BaaS)型サービスです。中核のイメージバックアップ製品「Arcserve UDP」は国内累計23万ライセンスを出荷しており(2022年7月末時点)、本サービスはその技術をクラウドで利用できる位置付けです。
サーバーにエージェントを導入し、OS・ファイル・アプリケーションを含むサーバーイメージをクラウドへ転送します。アプライアンスや専用ハードウェアが不要で、複数拠点にバックアップ機器を置けない組織に向きます。Microsoft 365も追加ライセンスなしでバックアップできます。
クラウド上に代替VMを起動するDRaaSにも対応し、日本国内と米国のリージョンを選べます。転送時はSSL、保存時はAESで暗号化します。料金はTB単位の年額サブスクリプションが基本で、代理店・パートナー経由の販売が中心のため、実額は取扱パートナーへの確認が必要です。複数拠点にバックアップ機器を置かず、サーバーイメージとDRをクラウドで完結させたい組織に向きます。
9. Veeam Backup & Replication(ヴィーム・ソフトウェア株式会社)

仮想・物理・クラウド・SaaSを横断するエンタープライズ向けのデータ保護ソリューションで、中核製品が「Veeam Backup & Replication」です。IDCのデータ保護ソフト世界シェア1位、Gartner Magic Quadrantで9年連続のリーダー評価を受け、全世界55万社以上が利用しています(いずれもVeeam公式発表値、2025年時点)。
イメージレベル・ファイルレベル・アプリケーションアイテムレベルの復元に対応し、オブジェクトストレージへの階層化やMicrosoft 365の保護まで幅広くカバーします。不変リポジトリ・AI主導の脅威検知・AES 256bit暗号化など、ランサムウェア対策の機能群を標準で備えます。
課金はワークロード種別をまたいで割り当てられるVeeam Universal License(インスタンス単位)が中心で、日本では代理店経由の販売が中心のため実額は見積もりとなります。10インスタンスまで無償・無期限で本番利用できるCommunity Editionがあり、小規模導入やPoCから試せます。IT人員があり、代理店経由で大規模・多様な環境を一つの基盤で本格運用したい組織に向きます。
ファイルバックアップ・SaaSデータ保護型のサービス
ファイル単位の保全や、Microsoft 365・Google WorkspaceなどSaaS上のデータ保護に向くサービスです。
10. コワークストレージ(NTT東日本)

NTT東日本が提供する法人向けクラウドストレージで、社内ファイルサーバーの置き換えやクラウド移行を主用途とします。データは国内サーバーに保管され、国内開発・運用による日本語サポートを受けられます。累計32,035販売(2026年2月末時点、公式LP)の実績があります。
バックアップの観点では、ファイルの自動複製・バージョン管理・ごみ箱により、サーバー障害や災害時、誤削除時のデータ消失に備えられます。対象はファイル・フォルダ単位の保全で、サーバーイメージやシステム全体のバックアップには対応しません。
料金は初期費用0円・最低利用期間なしで、月額2,750円(5ID・100GB)から5プランを用意し、スタートプランには30日間の無料トライアルが付きます。ISO/IEC 27001・27017の認証取得、暗号化、多要素認証を備えます。ファイル共有を主目的に、誤削除や災害に備えたファイル単位の保全も兼ねたい中小企業に向きます。
11. AOSBOX Business Pro(AIデータ株式会社)

AIデータ株式会社(2025年2月にAOSデータ株式会社から商号変更)が提供する、法人向けの全自動クラウドバックアップサービスです。PC・サーバー・NAS・外付けHDD・ネットワークドライブのファイル・フォルダを、初期設定後は全自動でクラウドへ退避します。法人導入実績は10,000社を突破しています。
ファイル・フォルダ単位のバックアップに対応するファイルバックアップ型で、OS・アプリケーションを含むイメージ(システム)バックアップには対応しません。世代管理は2世代から無制限まで設定でき、ランサムウェア感染や誤削除時に過去のバージョンへ遡って復元できます。データはAES-256で端末・転送・保管の3段階で暗号化し、AWS東京リージョンのマルチAZ構成で保管します。
課金はユーザー数・サーバー数が無制限の容量課金(定額制)で、台数の多い組織や入退社で変動する組織でもコストを読みやすい構成です。料金は通常ストレージが100GB 年額40,000円〜、長期保存向けのコールドストレージが1TB 年額120,000円〜(税別・1年版・保守込)で、30日間の無料体験版もあります。PC・サーバー・NASのファイルを定額で全自動バックアップしたい組織に向きます。
12. AvePoint Cloud Backup(AvePoint Japan株式会社)

Microsoft 365のデータ保護を中核とするSaaSデータ保護型のサービスです。Exchange Online・SharePoint・OneDrive・Teams・Entra IDを主な対象とし、オプションでGoogle Workspace・Salesforce・Dynamics 365まで保護できます。
提供元は米AvePoint, Inc.で、国内はAvePoint Japan株式会社が販売・サポートを担います。
SaaS上のデータが保護対象で、サーバーOSやPCのディスクイメージ(システム全体)のバックアップには対応しません。1日最大4回の自動バックアップに対応し、容量・期間ともに無制限で保持できます。Exchangeメールの個別復元、ファイルやバージョン単位の復元、ランサムウェア感染前へのロールバックなど、粒度の高い復元が特徴です。
料金は初期費用無料で、3年プランで月320円/ユーザー(税抜)から、課金はユーザー数単位です(公式LP記載値のため要確認)。保管はAzure Blob Storage、ISO/IEC 27001・SOC 2 Type 2・FedRAMP取得とISMAP対応、30日間の無料トライアルもあります。SaaS上の業務データを粒度高く保護したい組織や、官公庁・大企業に向きます。
13. SysCloud(シスクラウドジャパン株式会社)

SaaSアプリ内のデータを自動でバックアップするSaaSデータ保護型のサービスです。Google Workspace・Microsoft 365・Salesforce・Slack・Boxなど主要SaaSのファイル・メール・オブジェクトを対象とし、事業者側の障害や誤削除、ランサムウェア被害に備える第三者バックアップとして使えます。
米SysCloud Inc.が開発し、2024年4月設立のシスクラウドジャパン株式会社が国内展開を担います。
対象はSaaSデータで、サーバーやPCのディスクイメージのバックアップには対応しません。特定時点に戻すポイントインタイム・リストア、削除ファイルや過去バージョンの復元、改ざん不可のイミュータブルバックアップ、ランサムウェア検知からの自動復旧に対応します。バックアップデータは日本市場向けにAWS東京リージョンへ保管され、国内の法規制・コンプライアンスに対応します。
料金はサービス数×ユーザー数のユーザー課金型で、容量・保持期間ともに無制限です。日本円建ての価格や初期費用は非公開で要問い合わせです。SSAE18/SOC 2認証、AES 256bit暗号化、TLS/SSLを備え、無料トライアルは30日間(クレジットカード不要)です。Google Workspaceをはじめ複数のSaaSをまたいで第三者バックアップを一元化したい組織に向きます。
まとめ
法人向けクラウドバックアップは、まず「システム全体を丸ごと守りたいのか、特定のファイルやSaaSデータを守りたいのか」でタイプを見極めることが出発点です。イメージバックアップ対応型はサーバー障害からの早期復旧に、ファイル・SaaSデータ保護型はファイルやクラウド業務データの保全に向きます。
そのうえで、料金・容量の課金体系、重複排除や世代管理、災害・ランサムウェアへの耐性、暗号化や認証といったセキュリティ、サポート体制を比較し、自社の要件に当てはめて優先順位をつけます。クラウドストレージの流用で足りるか、専用サービスが必要かも、守りたいデータの重要度から判断しましょう。
比較表と診断ツールを使えば、自社のバックアップ対象に合う候補を効率的に絞り込めます。気になるサービスは資料を取り寄せ、料金や対応範囲の詳細を確認したうえで導入を検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. クラウドバックアップとは何ですか?
A. クラウドバックアップとは、サーバーやPC、ファイル、Microsoft 365・Google Workspaceなどの業務データを、インターネット経由でクラウド上のデータセンターに複製・保管するサービスです。機器の故障やランサムウェア感染、人的ミス、災害でデータを失っても、保管しておいた複製から復元できます。
バックアップ専用のサービスは、定期的な自動取得、過去の状態へ戻すための世代管理、暗号化による保護といった機能を備え、いつの時点のデータでも確実に取り出せる状態を保つ点が、単純なデータ保管との違いです。
Q. クラウドバックアップとクラウドストレージ(Google Drive等)は何が違いますか?
A. クラウドストレージはファイル共有を主目的とするのに対し、クラウドバックアップは確実な復元を目的とし、世代管理・不変保管・自動取得といった保全機能を備える点が異なります。Google DriveやOneDrive、Boxなどの同期型ストレージは、簡易な版管理やごみ箱機能はあるものの、サーバーを丸ごと戻すイメージバックアップに非対応で、保持できる世代や期間も限られます。
同期型のストレージは、ランサムウェアで暗号化されたファイルがそのまま複製側にも同期される恐れがあり、複製まで被害を受けやすいという弱点もあります。日常的なファイル共有はストレージで足りても、災害・ランサムウェア対策まで求めるなら、バックアップ専用サービスが必要です。
Q. イメージバックアップとファイルバックアップはどちらを選べばよいですか?
A. 守りたい対象がサーバーやPCのシステム全体ならイメージバックアップ対応型、特定のファイルやSaaS上のデータならファイルバックアップ・SaaSデータ保護型が基本の選び方です。イメージ型はOS・アプリ・設定を丸ごと複製するため、サーバー障害からの早期復旧に向き、ファイル型は必要な書類やデータだけを守りたい場合や誤削除からの復旧に適しています。
サーバー・クライアントPC・SaaSが混在する環境では、対応範囲の広いサービスを選ぶか、用途別に組み合わせる方法もあります。まずは「システム全体を丸ごと守りたいのか、特定データだけか」を整理すると、検討すべきサービスの範囲が絞り込めます。
Q. クラウドバックアップの料金相場・課金体系はどのくらいですか?
A. クラウドバックアップの課金体系は、サーバー・PCを守るタイプの「容量課金」と、SaaSデータを守るタイプの「ユーザー課金」に大きく分かれます。容量課金は初期費用0円・月額数千円程度の小容量プランから始められ、容量や台数が増えるほど上がります。ユーザー課金は1ユーザー月数百円程度からで、容量無制限のサービスもあります(2026年6月時点の各社公開情報にもとづく目安)。
エンタープライズ向けの製品では、保護対象数にもとづくライセンス契約となり、個別見積もりになることが多くなっています。実際の費用は容量・台数・契約期間で変わるため、候補を絞ったうえで各社の見積もりを取ることをおすすめします。
Q. クラウドバックアップがあれば、ランサムウェアに感染しても復元できますか?
A. 感染前の状態のバックアップが残っていれば、そこからデータを戻して被害を最小限に抑えられますが、確実に復元するには世代管理と不変(イミュータブル)保管への対応が前提になります。複数時点のデータを保持できる世代管理があれば、感染時期が特定できない場合でも、安全な時点まで遡って復元できます。
ただし、バックアップ自体がネットワークから常時アクセスできる状態にあると、複製まで暗号化される恐れがあります。書き換えや削除ができない不変保管領域や、通常アクセスから切り離すコールドストレージに対応したサービスを選ぶことで、復元できる確実性が高まります。
Q. Microsoft 365やGoogle Workspaceのデータも、別途バックアップが必要ですか?
A. Microsoft 365やGoogle Workspaceでも、保持期間を過ぎた削除データや、誤操作・退職者アカウントの削除に伴うデータ消失には、利用企業側のバックアップが必要です。これらのSaaSは事業者側で一定のデータ保持を行いますが、その保持はあくまで一定期間・一定範囲にとどまり、利用企業のデータを永続的に保証するものではありません。
メールやファイル、共有ドライブのデータを長期に保全したい場合や、退職者のアカウント整理でデータを失いたくない場合は、SaaSデータの保護に特化したバックアップサービスの利用が選択肢になります。
Q. 3-2-1ルールとは何ですか?クラウドバックアップはどのくらいの頻度・世代で取得すべきですか?
A. 3-2-1ルールとは、「データを3つ持ち、2種類の媒体に保存し、1つは遠隔地に置く」というバックアップの基本的な考え方です。クラウドバックアップは、この「遠隔地に1つ」をデータセンターへの複製で無理なく実現できます。取得頻度は、失っても許容できるデータ量(直近どこまで戻せれば業務に支障がないか)から逆算して決めるのが基本です(出典:Data Backup Options|CISA)。
更新頻度の高い業務データは日次以上、変更の少ないデータは週次など、対象ごとに設計します。ランサムウェア対策の観点では、感染時期を特定できない場合に備えて十分な世代数を確保できるかが、復元の可否に直結します。
Q. クラウドバックアップを使うには、常時インターネット接続が必要ですか?
A. クラウドバックアップは、データをクラウド上のデータセンターへ転送・復元する仕組みのため、バックアップ取得時と復元時にはインターネット接続が必要です。常時オンラインである必要はありませんが、スケジュールにもとづく自動取得を行う場合は、その時間帯に通信できる環境が前提になります。
大量のデータを送る初回バックアップや日中の取得は、ネットワークの帯域を圧迫して通常業務に影響することがあります。取得の時間帯をずらす、帯域制御を設定するといった運用や、増分バックアップ・重複排除に対応したサービスの選択で、通信への負荷を抑えられます。
Q. 既存のオンプレミス運用(外付けHDD・テープ・NAS)と併用できますか?
A. クラウドバックアップは既存のオンプレミス運用と併用でき、社内の複製にクラウドを組み合わせることで3-2-1ルールの「遠隔地保管」を無理なく実現できます。同じ建物内だけに複製を置く運用では、火災や水害でオリジナルと複製が同時に失われる恐れがありますが、遠隔地のデータセンターに1つ持っておくことで、災害時にも復元用のデータが残りやすくなります。
すべてをクラウドへ移行する必要はなく、復旧を急ぐデータはローカルに、災害・ランサムウェア対策の最後の砦としてクラウドに、といった役割分担で組み合わせる運用が現実的です。
Q. 中小企業やひとり情シスでもクラウドバックアップを運用できますか?
A. スケジュールにもとづく自動取得や、複数拠点・PCの状態を一元的に確認できる管理画面を備えたサービスを選べば、ひとり情シスや総務兼任の担当者でも運用を無理なく回せます。機器の購入・更新や世代管理の手作業から解放されるため、専任のIT担当が少ない企業ほど、自社運用よりも負荷を下げやすくなります。
社内にIT専任者が少ない場合は、導入時の設定支援の有無や、問い合わせ手段(電話・メール・チャット)・対応時間といったサポート体制を併せて確認しておくと、導入後の運用で困りにくくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
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