eKYCサービスの選定にあたり、「選択肢が多く最適解が見えない」「法令対応と不正対策を両立させたいが、導入スケジュールが限られている」といった課題に直面する担当者は少なくありません。
選定の難しさは、単なる機能比較では結論が出ないといった点にあります。認証方式の違いだけでなく、APIやSDKといった実装形態、目視審査やBPOの要否、そして導入後の運用設計といった企業ごとに異なる状況に応じて検討する必要があるためです。
そこで本記事では、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しました。
さらに、ご自身で詳しく比較検討できるよう、選び方の基準、費用感、実装・運用における注意点についても体系的に解説しています。あわせて、犯罪収益移転防止法の改正に伴う「本人確認書類撮影型」の廃止や公的個人認証への移行といった、最新の法規制動向についてもご紹介します。
まずは診断ツールで「自社に合うサービス」の当たりを付け、その後に詳細な解説を読み進めることで、失敗のない選定が可能になります。
eKYCの選定から導入後の安定運用まで、本記事が意思決定の一助となれば幸いです。
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AOIS Consulting株式会社代表取締役
青井真吾
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
目次
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診断ツールですぐにわかる!用途別おすすめeKYCサービス
自社にとって最適となるeKYCサービスは、本人確認方式・実装方式・認証精度・運用リソースの有無・コストという5つの観点によって選定することができます。
しかし、これらをゼロから整理するのは大変な作業となります。 以下の診断ツールを利用すれば、3つの質問に回答するだけで、自社に最適なeKYCサービスの候補をすぐに知ることができます。
まずは、自社に合うサービスを確認してみてください。
【比較表】おすすめeKYCサービス比較14選
ここでは、主要なeKYCサービス14選を比較表で整理します。各社の詳細は後述します。
2027年4月の犯罪収益移転防止法(犯収法)改正で、書類と容貌の撮影による方式(ホ方式)は原則廃止されます。改正後も使える方式(ICチップ読取と、マイナンバーカードの電子証明書を使う公的個人認証=JPKI)の提供状況は、比較表の該当列で確認できます。
目視確認や郵送などの周辺業務を外部に委託できるか(BPO=業務代行)も列で示しています。
| サービス名 | ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション | ProTech ID Checker | LIQUID eKYC | TRUSTDOCK | オンライン本人確認(eKYC)総合サービス | Polarify eKYC | ダブルスタンダードeKYC | GMO顔認証eKYC | Deep Percept for eKYC | eKYC支援サービス | proost | iTrust本人確認サービス | e-NINSHO | マイナンバーカード認証サービス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | BPO併設型 | BPO併設型 | BPO併設型 | BPO併設型 | BPO併設型 | API・SDK型 | API・SDK型 | API・SDK型 | API・SDK型 | API・SDK型 | API・SDK型 | JPKI特化型 | JPKI特化型 | JPKI特化型 |
| 提供会社 | 株式会社ネクスウェイ | 株式会社ショーケース | 株式会社Liquid | 株式会社TRUSTDOCK | 大日本印刷株式会社 | 株式会社ポラリファイ | 株式会社ダブルスタンダード | GMOグローバルサイン株式会社 | シンプレクス株式会社 | 株式会社日立製作所 | 株式会社ACSiON | サイバートラスト株式会社 | 株式会社野村総合研究所 | 日本電気株式会社 |
| 初期費用 | 50,000円〜 | 要お問い合わせ | 50,000円(ベーシックプラン) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 0円 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 月額費用 | 25,000円〜 (+件数従量) | 要お問い合わせ | 30,000円(ベーシックプラン) (+件数従量 50〜150円/件) | 要お問い合わせ (月額固定+件数従量) | 要お問い合わせ (月額固定+件数従量) | 要お問い合わせ (月額固定+件数従量) | 要お問い合わせ | 22,000円〜 (公式に20,000円〜の表記も併存・税区分の注記なし。実施回数に応じた従量課金) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ |
| 対応する本人確認方式 | ホ/ヘ/カ(JPKI) 転送不要郵便による確認 | ホ/ヘ/カ(JPKI) ル(スマホ搭載マイナンバーカード)は準備中 | ホ/ヘ/カ(JPKI)/ル(スマホ搭載マイナンバーカード) | ホ/ヘ/ト/ル ほか計7方式+カ(JPKI) | ヘ相当(IC読取+容貌)/カ(JPKI) | ホ/ヘ/カ(JPKI) | ホ/ヘ/カ(JPKI)/ル | ホ/ヘ(2026年6月〜) ※公的個人認証(カ)は同社の別サービス「マイナンバー制度対応 GMOオンライン本人確認サービス」で提供 | ホ相当(書類撮影+容貌) ※公式に号の明記なし | ホ相当(画像送信)/ヘ/カ(JPKI) | ホ相当(書類撮影+容貌) ※公式に号の明記なし | ヘ/ト/カ(JPKI、公式表記は「ワ(旧ル)」) | カ(JPKI) iPhone搭載マイナンバーカードにも対応(2025年7月〜、号は公式に明記なし) | カ(JPKI) |
| ICチップ読取に対応する本人確認書類 | マイナンバーカード (ほかの書類は公式に記載なし) | マイナンバーカード/運転免許証/ 在留カード/特別永住者証明書 | マイナンバーカード/運転免許証/ 在留カード/特別永住者証明書 | マイナンバーカード (ほかの書類は公式に記載なし) | マイナンバーカード/運転免許証/ 在留カード/特別永住者証明書 | マイナンバーカード (ほかの書類は公式に記載なし) | マイナンバーカード (ほかの書類は公式に記載なし) | マイナンバーカード/運転免許証/ 在留カード/特別永住者証明書 | 公式に記載なし | マイナンバーカード (ほかの書類は公式に記載なし) | 公式に記載なし | マイナンバーカード/運転免許証/ 在留カード/特別永住者証明書 | マイナンバーカード(公的個人認証) | マイナンバーカード(公的個人認証) |
| 改正後も使える方式(IC読取/JPKI/スマホ搭載カード) | ◎IC読取+JPKI | ◎IC読取+JPKI(スマホ搭載カードは準備中) | ◎IC読取+JPKI+スマホ搭載カード(iOS) | ◎IC読取+JPKI+スマホ搭載カード | ◎IC読取+JPKI | ◎IC読取+JPKI | ◎IC読取+JPKI+スマホ搭載カード | ●IC読取(2026年6月〜)のみ | 公式に記載なし | ◎IC読取+JPKI(2025年9月〜) | 公式に記載なし | ◎IC読取+JPKI | ●JPKI+スマホ搭載カード(iPhone)。書類IC読取は公式に記載なし | ●JPKIのみ |
| 実装形態 | アプリ提供型(デジタル庁のマイナアプリ利用)/API(ライブラリ)提供型 | タグ設置型(ローコード)/API | JavaScript組み込み/API/アプリ向けSDK | API/JavaScriptアップローダー/自社アプリ | SDK/アプリ/店頭端末(Android・iPad・Windows) | アプリ向けSDK/ブラウザ版 | パッケージ/API/フルカスタマイズ | API・ブラウザ組み込み/メール送信型 | ブラウザ完結(アプリ不要)/個別カスタマイズ | SDK/API(自社アプリへ組み込み) | API連携(既存フローから遷移) | eKYCライブラリ(iOS・Android・Windows)/API/デジタル認証アプリSDK | 公式に記載なし | アプリ向けSDK/ブラウザ版モジュール |
| 法人確認(KYB) | ◎法人確認サービス(登記情報・代表者確認) | △法人書類(登記簿謄本等)のアップロードに対応。法人確認機能の有無は公式に記載なし | 公式に記載なし | ◎法人番号または履歴事項全部証明書で確認(代表者確認も可) | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 目視審査・BPO | ◎自社の本人確認BPO | △提携先のBPOと連携 | ◎自社BPO(審査完了目標15分プランあり) | ◎自社の専任スタッフが24時間365日 | ◎自社BPO拠点と子会社が24時間365日 | △オプションで審査代行 | 公式に記載なし | △オプションで提携BPO・反社チェック | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 無料トライアル | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | 公式に記載なし | ●法人限定(申込制) | 公式に記載なし | 公式に記載なし |
| 導入実績 | 導入社数300社以上 (うち犯収法の特定事業者100社以上) | 累計導入社数450社以上 (公式サイト、2026年8月閲覧時点) | 累計契約数約700社・累計本人確認件数約1.5億件 (ELEMENTSグループ累計、2026年5月時点) | 導入社数300社以上 (東京商工リサーチ調べ、自社開発eKYCが対象、2024年12月時点) | 累計2,000万件以上の審査 (りそな銀行・みずほ銀行ほか) | 利用者6,000万人以上 (2025年3月時点) | 累計1,500万件以上の処理 (セブン銀行・三菱UFJモルガン・スタンレー証券ほか) | 社数の公表なし (公式サイトで2社(DIP・FIRST)の事例を公開) | 社数の公表なし (DMM.com証券・bitbankほか) | 社数の公表なし (三菱UFJ銀行の店舗で運用) | 社数の公表なし (静岡銀行・7NOWほか) | 社数の公表なし (日立製作所・マネーフォワードケッサイほか) | 社数の公表なし (野村證券・PayPay銀行ほか) | 社数の公表なし (SMBCコンシューマーファイナンス・長崎県ほか) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※2026年9月時点の各社公式情報に基づいています。方式の記号は現行の犯収法施行規則によるものです。◎=複数方式または自社提供、●=提供あり、△=提携先やオプション、「公式に記載なし」=公開情報で確認できないものを示します。料金は公式に公開されている金額のみを記載しています。
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各eKYCサービスの詳細解説
本記事で取り上げる14のeKYCサービスを、次の3タイプに分けて特徴と向いている企業を解説します。本人確認の周辺業務まで任せられるBPO・目視審査併設型、自社運用で組み込むeKYC機能特化・API/SDK型、2027年改正後に残る方式そのものを扱う公的個人認証・JPKI特化型です。
本人確認業務をまるごと任せたい(BPO・目視審査併設型)
書類の目視確認や不備の取り直し、反社チェックといった本人確認の周辺業務を、自社または提携先の審査センターによる運用代行としてサービスに組み込んで提供する型です。自社で審査体制を持たずに本人確認業務を立ち上げたい場合や、審査件数の変動を人手で吸収したくない場合に候補になります。委託できる範囲(自社の審査センターか提携先か)は比較表の「目視審査・BPO」列で確認してください。
1. ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

株式会社ネクスウェイが提供する、犯罪収益移転防止法の本人確認方式に対応したクラウド型の本人確認サービスです。eKYCと公的個人認証(JPKI)に加え、書類の目視確認、BPO、転送不要郵便の発送追跡、法人確認までを1つのサービスで扱います。導入実績は300社以上で、うち犯収法の特定事業者が100社以上を占めます。
本人確認方式はホ方式・ヘ方式・カ方式(JPKI)に対応し、JPKIサービスは、2027年4月1日施行予定の改正犯収法で存続する方式に対応しています。実装形態は、デジタル庁のマイナアプリを利用するアプリ提供型と、自社システムへ組み込むAPI(ライブラリ)提供型の2系統です。
BPOサービスでは、eKYC後の書類の目視チェックや突合業務をネクスウェイ側が代行します。料金は初期費用50,000円〜、月額25,000円〜に、利用件数に応じた従量課金を加えた構成です。個別の単価は公開されていないため、内訳は問い合わせでの確認が必要です。
導入事例には暗号資産交換業・金融商品取引業・不動産特定共同事業などが並び、複数の確認方式と目視確認・郵送までを1社にまとめたい場合の候補になります。
2. ProTech ID Checker(株式会社ショーケース)

対象ページにタグを設置するだけで導入でき、システム開発を伴わないのが、株式会社ショーケースのProTech ID Checkerです。利用者は既存のWebサイト上で本人確認を完結でき、専用アプリのインストールや別サイトへの遷移は発生しません。既存システムと連携するAPIも用意されています。累計導入社数は450社以上です(2026年8月時点)。
目視確認や反社チェックといった審査業務は自社では持たず、提携先の本人確認BPOサービスと連携する形で提供されます。書類の目視・突合や機微情報のマスキングは、提携先のBPOセンターの専任スタッフが担います。
対応方式は公的個人認証(JPKI、現行規則のカ方式)、ICチップ読み取りのIC認証(ヘ方式)、容貌と書類の撮影認証(ホ方式)で、書類アップローダーも備えます。ル方式(スマホ搭載マイナンバーカード)は準備中です。IC認証は運転免許証・在留カードなどに対応し、撮影認証との切り替えはスイッチ操作で行えます。改正対応の切り替えは最短5日が目安です。
AIが申込情報と本人確認書類を突合して審査を自動化し、申込完了率は「最大95%以上」を掲げています。料金は公開されておらず、見積もりの取得が必要です。利用業界は金融・古物買取・通信などで、開発リソースを割かずにWebの申込フローへ本人確認を組み込みたい企業向けの構成です。
3. LIQUID eKYC(株式会社Liquid)

2019年から提供する株式会社Liquid(東京証券取引所グロース市場上場の株式会社ELEMENTSの100%子会社)のeKYCサービスです。株式会社アイ・ティ・アールの調査では、ELEMENTSグループ(Liquid・ポラリファイ)としてeKYC市場の売上シェア7年連続No.1とされています。累計契約数約700社・本人確認約1.5億件も、グループ合計の数値です(2026年5月発表)。
対応方式は4つです。書類と容貌を撮影するホ方式(2027年4月廃止予定)、ICチップ読み取りと容貌撮影を組み合わせるヘ方式のほか、公的個人認証のカ方式と、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを使うル方式を提供します。ル方式は2026年8月末時点ではiOSのみの対応です。実装はJavaScriptライブラリの組み込み、API連携、ネイティブアプリ向けSDKから選べます。
AI審査で整合性を確認できなかった申請や、法令で目視確認が必須とされる申請は、審査を代行するBPOサービスに委託できます。2024年6月には審査完了目標15分のプランが追加されました。料金はベーシックプランが初期費用50,000円・月額30,000円で、従量課金は書類撮影のみ50円/件、書類と容貌の撮影で150円/件です。
導入業種は金融・通信キャリア・古物買い取り・暗号資産取引などに及びます。ベーシックプランは金額が公開されているため、想定件数から費用を試算したうえで他社と比べたい企業でも検討できます。
4. TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

個人のeKYCと法人確認(KYB)を1つのプラットフォームで提供し、確認業務の一部または全部を専任スタッフへ委託できる点が株式会社TRUSTDOCKの特徴です。目視確認は24時間365日体制で対応します。導入企業は300社以上で、これはeKYCのコア機能を自社開発しているサービスを対象とした東京商工リサーチの調査(2024年12月時点)に基づく数値です。
提供形態は3つで、委託する業務範囲に応じて選べます。目視確認・審査業務まで委託するeKYCサービス、システム基盤のみを利用し確認業務は自社で行うeKYC業務ツール、機械判定のみで結果を即時に返すeKYC即時返却です。公的個人認証(現行規則ではカ方式。同社の表記はワ方式)にも対応し、専用の商品ラインを設けています。
実装はAPI、JavaScriptのアップローダー、自社アプリのTRUSTDOCKの3系統から選べます。法人確認では法人番号の入力により履歴事項全部証明書の提出を不要にでき、反社チェックや事業所宛ての転送不要郵便の送付にも対応します。料金は初期費用・月額費用とも非公開で、固定費用と契約内容に基づく従量課金の合計として個別に見積もられます。
導入業界は金融・保険・不動産クラウドファンディングなどで、法人と個人の確認を同じ基盤で扱いたい企業や、審査体制を社内に持たないまま運用を始めたい企業に向きます。
5. オンライン本人確認(eKYC)総合サービス(大日本印刷株式会社)

銀行口座開設のような犯収法準拠の厳格な確認から、非金融分野の簡易な確認までを対象範囲とする、大日本印刷株式会社の本人確認サービスです。本人確認SDKを中核に、アプリ・SDK・店頭端末という3つの提供形態を用意し、りそな銀行・みずほ銀行・大和コネクト証券の口座開設や申込アプリに採用されています。
全国のBPO拠点を活用し、本人確認(審査)業務そのものを24時間365日稼働で代行します。あわせて100%出資子会社の株式会社DNPコアライズが「eKYC審査業務」を提供しています。同社の審査では書類の有効性や顔写真の一致など14項目を2名のオペレーターが確認し、結果が分かれた場合は3人目が最終判定します。
対応方式は公的個人認証(カ方式)とヘ方式相当の2種類で、いずれも2027年4月の改正後も存続します。審査実績は累計2,000万件以上(集計時点は非公開)です。料金は初期費・運用固定費に処理件数による従量費が加わる構成で、金額は公開されていません。
対象業種は銀行・金融のほか、リユース、保険、人材派遣などに広がり、SDKや端末の提供だけでなく審査業務そのものを外部に委ねたい場合の選択肢となります。
自社運用で柔軟に組み込みたい(eKYC機能特化・API/SDK型)
eKYCの機能提供に特化し、API・SDK・ブラウザ組み込みで既存の申込フローに載せるサービスです。審査や運用は原則として自社で行う前提(一部はオプションで審査代行に対応)で、既存システムとの統合の自由度や画面のカスタマイズ性を重視する場合に向きます。ただし、改正後に必要なICチップ読取・公的個人認証への対応が公式サイトで確認できないサービスも含むため、比較表の該当列を併せて確認してください。
6. Polarify eKYC(株式会社ポラリファイ)

三井住友フィナンシャルグループなどの出資により2017年に設立され、2025年3月からは株式会社ELEMENTSの連結子会社となった株式会社ポラリファイのeKYCサービスです。書類撮影のホ方式とICチップ読取のヘ方式に加え、マイナンバーカードの電子証明書を用いる公的個人認証(現行規則ではカ方式。公式表記はワ方式)にも対応しています。
公的個人認証の提供形態は、NTTデータの指定アプリを利用する方法、自社専用アプリを開発する方法、既存アプリにSDKを組み込むAPI利用の3種類から選べます。eKYC本体もスマートフォンアプリ向けSDK版とブラウザ版を用意し、画面デザインや手続きフローのカスタマイズに対応します。累計利用ユーザー数は2025年3月時点で6,000万人を超えています。
2026年4月には、デジタル庁の「デジタル認証アプリ」を活用した公的個人認証サービスを三井住友カード株式会社へ提供開始しました。料金は初期費用・月額基本料・従量料金の構成で、金額は要お問い合わせです。
利用場面は銀行の口座開設やクレジットカード申込、携帯電話契約などです。本人確認とログイン認証の両方を扱う企業であれば、当人認証サービス「Polarify eAuth」と組み合わせ、口座開設後のログインまで同じ生体認証でそろえられます。
7. ダブルスタンダードeKYC(株式会社ダブルスタンダード)

本人確認書類のOCR読み取りと申込情報の自動突合を、ビッグデータ事業で使うデータクレンジング技術で処理するeKYCサービスです。提供元の株式会社ダブルスタンダードは東証プライム上場企業で、2025年9月にSBIファイナンシャルサービシーズ株式会社の持分法適用関連会社となり、SBIグループに参画しています。
対応方式は書類撮影型・ICチップ読取型・公的個人認証(JPKI)型の3系統です。2025年12月からは、iPhoneに搭載したマイナンバーカードを用いる方式(犯収法施行規則6条1項1号ル)にも対応しました。公的個人認証では同社自身が署名検証者となるため、事業者側でマイナンバーカードを取り扱うための設備投資やシステム開発が不要です。
導入形式はパッケージ型・API型・フルカスタマイズ型の3つから選べます。セブン銀行のローン申込審査や三菱UFJモルガン・スタンレー証券のWeb口座開設などで採用され、累計処理実績は1,500万件以上です。口座開設や与信申込の本人確認を自社システムに組み込む用途に向きます。料金は初期費用・月額とも非公開です。
8. GMO顔認証eKYC(GMOグローバルサイン株式会社)

スマートフォンで撮影した容貌と本人確認書類をAIが自動判定する仕組みを、APIで既存のWebサービスに組み込んで利用します。開発を伴わずメール送信で実施する「スマホde本人確認」も用意されています。提供元のGMOグローバルサイン株式会社はSSLサーバー証明書などを発行する電子認証局で、本サービスは2019年8月から提供されています。
2026年6月には、専用アプリのNFC機能で本人確認書類のICチップを読み取り、電子署名の検証と顔照合を行うヘ方式の提供を開始しました。年齢判定や顔の使い回し検知をオプションで追加できます。公的個人認証は、同社が別に提供する「マイナンバー制度対応 GMOオンライン本人確認サービス」が扱います。電子契約の「電子印鑑GMOサイン」とAPI連携すれば、本人確認から契約締結までをオンラインで完結できます。
初期費用は0円で、本人確認の実施回数に応じた従量課金です。対応件数に下限はなく、月数件からでも利用できます。ただし月額料金は22,000円からと20,000円からの2つの表記が公式サイトに併存し、税区分の注記もないため、実際の金額は個別の確認が必要です。古物商・リユースやチケット販売、人材派遣、不動産などでの利用例が挙げられており、少ない件数から本人確認を始める場合の選択肢になります。
9. Deep Percept for eKYC(シンプレクス株式会社)

金融機関向けAIを手がけるDeep Percept株式会社が開発し、現在はシンプレクス株式会社が提供する本人確認サービスです。OCR・顔照合・真贋判定のAIエンジンをいずれも自社開発している点を強みに挙げています。公式サイトにICチップ読取や公的個人認証への言及はなく、2027年4月以降の運用を前提とする場合は対応可否の個別確認が先になります。
専用アプリのインストールを必要とせずWebブラウザ上で本人確認が完結し、周辺システムとの連携や個別カスタマイズにも対応します。撮影時にシステムがランダムな指示を出して不正を抑止する機能や、本人確認書類の真贋を自動判定する機能を備えます。
導入先はDMM.com証券・FOLIO・bitbank・大同生命など、2019年から2020年にかけて発表されたものが中心です。証券や暗号資産交換業、保険といった金融領域で、口座開設や申込の画面に既存システムとの連携を含めて組み込む使い方が中心になります。料金は個別見積もりで非公開です。
10. eKYC支援サービス(株式会社日立製作所)

金融機関向けのeKYCサービスで、SDK・APIの形態で提供され、各社が自社のアプリに組み込んで利用します。2020年12月に販売開始が発表され、2021年5月から提供されています。自動シャッター機能や画像認識機能により、書類と容貌の撮影から本人確認までをオンラインで完結させます。
対応方式は、券面画像と容貌画像を送信する方式のほか、書類のICチップ情報を送るヘ方式、マイナンバーカードの署名用電子証明書を用いる公的個人認証(現行規則ではカ方式。公式表記はワ方式)です。2027年4月以降に義務づけられるヘ方式と公的個人認証には、2025年9月時点でいずれも対応済みです。
2025年9月16日には、サイバートラスト株式会社の本人確認ライブラリとBluetooth接続の外付けカードリーダーを組み合わせ、iPadでのICチップ読取に対応しました。同日から三菱UFJ銀行の店舗で運用が始まっています。自社アプリや店舗窓口のタブレットに本人確認機能を組み込みたい企業に向きます。料金は個別見積もりのため要お問い合わせです。
11. proost(株式会社ACSiON)

本人確認書類と容貌の撮影による確認に加えて、確認済みの情報を本人が許可した提携企業へ連携する仕組みを持つサービスです。運営は株式会社セブン銀行と株式会社電通総研が出資する株式会社ACSiONで、一度登録した利用者は他の提携サービスでの手続きを簡略化できます。
利用者側の登録は、規約への同意とSMS・メール認証に続けて本人確認書類と容貌を撮影する流れで、現行のホ方式に相当します。反社チェックのほか、住所や電話番号などの属性情報とIPアドレスから不審な申込を検知する機能を備えます。2023年7月には、同じ顔画像が別の属性で使い回されていないかを判定する機能が銀行向けに追加されました。
導入先はスルガ銀行グループのダイレクトワンや静岡銀行、セブン-イレブン・ジャパンの「7NOW」の年齢確認など業種をまたぎます。本人確認と不正検知・反社チェックをまとめて導入したい事業者にとって、向けの構成です。ただしproost自体が公的個人認証(カ方式)に対応するかは公開されておらず、ACSiONはJPKIを別サービスとして掲げています。料金とあわせて、事前の確認が必要です。
2027年改正後も使える方式で組みたい(公的個人認証・JPKI特化型)
国の認定を受けた公的個人認証のプラットフォーム事業者が、マイナンバーカードの電子証明書による本人確認(JPKI)を主機能として提供するサービスです。2027年4月の犯収法改正で残る方式を中心に設計したい場合の選択肢です。ただし利用者のマイナンバーカード保有が前提のため、運転免許証や在留カードも受け付けるならICチップ読取型との併用を検討してください。
12. iTrust本人確認サービス(サイバートラスト株式会社)

マイナンバーカードの電子証明書を用いた公的個人認証(カ方式)を軸に、ICチップ読み取りのヘ方式、銀行等への顧客情報照会と組み合わせるト方式にも対応するサービスです。サイバートラスト株式会社は2016年9月に、公的個人認証のプラットフォーム事業者として主務大臣認定を取得しています。日立製作所のeKYC支援サービスにも、採用製品として組み込まれています。
提供形態は3つあります。ICチップ読み取りをアプリへ実装するeKYCライブラリは、iOS・Android・Windowsに対応します。読み取ったデータの署名を検証して偽造の有無を判定する券面情報検証サービスと、デジタル庁の「デジタル認証アプリ」と連携するSDKも用意されています。サーバー基盤は国内運用で、ISO/IEC 27017・27701の認証を取得しています。
券面情報検証サービスが扱えるのは、マイナンバーカード・運転免許証・在留カード・特別永住者証明書の4種類です。マイナンバーカード以外の書類でも本人確認を受け付けたい事業者や、自社アプリに読み取り機能を組み込みたい企業に向いています。料金は要お問い合わせですが、法人であれば無料トライアルから試せます。
13. e-NINSHO(株式会社野村総合研究所)

株式会社野村総合研究所が2017年2月に総務大臣の認定を取得し、同年4月から提供している公的個人認証(カ方式)のプラットフォームです。マイナンバーカードの署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書を使い、オンラインでの本人確認と署名検証を行います。
機能は本人確認・ログイン・マイナンバー収集など6種類に分かれます。このうち現況確認は、J-LIS(地方公共団体情報システム機構)の失効情報をもとに、顧客の基本4情報(氏名・住所・生年月日・性別)の変更や死亡・海外転居を検知して通知する機能です。
2025年7月28日からはiPhoneに搭載したマイナンバーカードに対応し、カードの実物をかざさずFace ID・Touch IDで手続きを完結できます。導入先は野村證券・PayPay銀行・東京スター銀行など金融機関が中心です。口座開設のように厳格な本人確認が求められ、登録後の住所変更や失効まで追い続けたい事業者に適しています。料金は要お問い合わせです。
14. マイナンバーカード認証サービス(日本電気株式会社)

日本電気株式会社が提供する、マイナンバーカードの電子証明書と暗証番号による認証に特化したサービスで、顔写真の照合は行いません。同社は2017年12月15日に、総務大臣からプラットフォーム事業者の認定を受けています。
機能は本人確認・本人登録とID管理・電子署名・現況確認の4区分で、犯罪収益移転防止法上は公的個人認証を用いるカ方式にあたります。電子証明書ごとに一意のエンドユーザIDを発行して自社のユーザー情報と紐づけられるため、契約書類への電子署名や、後日の住所変更の把握まで同じ基盤で扱えます。
提供形態はアプリ向けSDKとWebサーバー向けブラウザ版モジュールの2種類で、料金は要お問い合わせです。SMBCコンシューマーファイナンス株式会社のカードローン審査や、長崎県の図書館利用者登録の非対面化に採用されています。本人確認だけでなく電子署名やID管理まで同じ基盤にまとめたい企業に向いたサービスです。
eKYCサービスとは?
ここからは、サービス選定の基準を正しく理解するために、eKYCの定義と、現在進行している法規制の大きな転換点について解説します。
eKYC(electronic Know Your Customer)とは、本人確認手続きをオンライン上で完結させる仕組みの総称です。
これまでのeKYCは「書類画像と顔写真の撮影・照合」が主流でしたが、今後はマイナンバーカード等のICチップ情報を読み取る方式が標準となります。これにより、目視確認の工数を最小限にしつつ、対面確認と同等の信頼性を担保することが可能になります。
近年では金融・不動産・通信・マッチングアプリなど、本人確認が求められる多くの業種でeKYCの導入が進んでいます。
【重要】法規制の最新動向と2027年改正への対応

eKYCの導入を検討する上で最も留意すべきなのは、2027年4月1日に予定されている犯罪収益移転防止法の改正です。現在、多くのサービスで主流となっている本人確認方式が廃止される見通しとなっており、これから導入するシステムは「改正後の新ルール」に適合している必要があります。
現行の「ホ方式(本人確認書類の撮影+容貌の撮影)」は廃止
現在多くのサービスで採用されている、ユーザーが本人確認書類を撮影して送信する方式(ホ方式)は、原則として廃止される方向で決定しています。生成AI等による精巧な偽造書類の増加に対応するためであり、2025年6月24日に改正規則が公布されています。
「ICチップ読み取り」が必須要件に
改正後となる2027年4月1日以降は、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類のICチップを読み取る方式(2026年時点におけるヘ方式、カ方式など)への一本化が求められます。 これからeKYCを導入する場合、「現在主流となっている本人確認書類撮影型」ではなく、「将来の法規制に適合したICチップ読取型」に対応したサービスを選定することが、システム寿命を延ばすための必須条件となります。
以下に、2026年時点の現行法における本人確認方式の名称と、2027年4月1日以降の法改正後の本人確認方式の名称、それぞれの特徴を記載します。eKYCサービス提供企業にお問い合わせをされる際の参考になりましたら幸いです。
| 本人確認方式 | 2025年6月24日〜 | 2027年4月1日〜 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 書類の撮影+容貌の撮影 | ホ | 廃止 | ― |
| 書類ICチップの読取+容貌の撮影 | ヘ | ハ | マイナンバーカードだけでなく、運転免許証や在留カードが利用可能で、対象にできる利用者の範囲が広い |
| 書類の撮影+銀行等への顧客情報照会 | ト | 廃止 | ― |
| 書類ICチップの読取+銀行等への顧客情報照会 | ト | ニ | 銀行情報を使うためセキュリティが高いものの、利用できる金融機関が限られる |
| カード代替電磁的記録の利用 | ル | ト | スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを利用する方式で、認証の完全自動化が可能 |
| 公的個人認証サービスの利用 | カ | ヌ | 利便性・安全性が高いものの、マイナンバーカードのみが利用可能 |
出典・参考資料(3件)
2027年4月に適用される犯罪収益移転防止法改正については『犯罪収益移転防止法改正(2025・2027)で本人確認はどう変わる?eKYCのホ方式廃止やワ方式(JPKI)への移行ポイントも解説』でも詳しく解説しています。
eKYC導入がもたらす3つのメリット
eKYCの導入によって本人確認をデジタル化することで、様々なメリットがもたらされます。経営視点で見れば、「機会損失の最小化」「コストの削減」「ガバナンスの強化」という、事業数値に直結する投資対効果(ROI)の高い施策になります。
1. 申込完了率(CVR)の向上と機会損失の防止
従来の郵送による本人確認では、申し込みからサービス利用開始までに数日~1週間程度のタイムラグが発生していました。この期間にユーザーの利用意欲が低下し、申し込みの離脱や競合他社への流出といった、無視できない機会損失を招く可能性があります。
eKYCを導入すれば、手軽かつスピーディーな本人確認が可能となり、申し込み時の離脱率を大幅に改善できます。スマホで完結し、24時間いつでも対応可能なため、ユーザーの行動を制限せず、思い立ったときにすぐ手続きできる点が大きな強みです。
結果として、会員登録や口座開設といった初期ステップのハードルを下げ、コンバージョン率の向上が期待できます。
2. 顧客獲得コスト(CPA)と事務コストの削減
本人確認にかかる転送不要郵便などの発送や印刷に関する業務が不要になり、長期的にコストを削減できます。
従来の本人確認では、封入・郵送・返送・開封など多くの人手が必要でした。たとえば、月間1,000件の本人確認を行う場合、郵送費(印刷・封入・送料)だけで年間約360万円〜600万円のコスト(1件あたり約300〜500円と仮定)が発生します。
eKYCへの切り替えにより、この変動費をゼロにできるだけでなく、書類の保管コストや、返送待ちの管理工数といった間接コストも大幅に圧縮することができます。
3. 不正検知精度の向上とガバナンス強化
目視による本人確認では、精巧な偽造書類やなりすましを見抜くことに限界があり、担当者のスキルによって審査品質にバラつきが生じます。 最新のeKYCサービスであれば、AIによる画像判定やICチップの電子署名検証を行うため、人間には判別困難な偽造(生成AI等による精巧な偽造書類)も高い精度で検知できます。
また、審査プロセスや本人確認データをデジタルログとして残すことができるため、監査対応時の証跡提出もスムーズになり、コンプライアンスリスクを低減させることが可能です。
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eKYCのデメリットは?導入におけるリスクと失敗の典型パターン
このように、eKYCサービスの導入には様々なメリットがあり、事業成長に貢献する強力なツールになり得ます。
しかし、導入すれば自動的にこれらのメリットがもたらされるわけではありません。 要件定義や比較検討が不十分なまま導入を進めると、かえって業務効率を悪化させたり、予期せぬコスト増を招く「デメリット」が発生するリスクがあります。
ここでは、代表的な3つの失敗パターンと、それを回避するための考え方について解説します。
パターン1:認証失敗によるユーザー離脱の発生
「機会損失の防止」を目的として導入したはずが、かえって離脱率が上がってしまうケースです。 顔認証や書類の読み取りエラーによる認証失敗が続くと、ユーザー離脱の要因になり得ます。
また、「ユーザー層と本人確認方式のミスマッチ」や「UIガイドの不備」も要因のひとつです。たとえば、高齢者が多いサービスで、操作難易度の高い3D容貌撮影を求めたり、撮影ミス時のエラーメッセージが不親切でユーザーが諦めてしまう事例が考えられます。
2027年4月の法改正によるICチップ読取型への移行で、こうした要因は解消される方向に向かうと考えられますが、マイナンバーカードなどの未所持による離脱は依然として懸念されます。
こうした事態を防ぐためには、事前にeKYCサービスの認証精度(本人拒否率)を確認するとともに、ユーザー補完フローの有無やサポート機能が充実しているかを見極めることが重要です。
パターン2:運用負荷の増大
「コスト削減」を狙ったものの、思わぬ手作業の発生により現場が疲弊してしまうケースです。 AIなどによるeKYCツールの自動判定を過信し、非承認時(エラー発生時)の目視審査体制などを十分に構築しないまま導入を進めてしまうと、リスクが高まります。
自動判定で弾かれたユーザーへの再審査依頼や、目視確認のタスクが社内に滞留し、結果として審査完了までの時間が長期化したり、カスタマーサポート(CS)へのお問い合わせが急増したりする事態を招きます。
こうした事態は、目視審査体制の構築不足や、例外処理(エラー時のリカバリーフロー)の設計が甘い場合に陥りやすくなります。 導入後の混乱を防ぐためには、ツールの判定精度だけでなく、管理画面(審査画面)の使いやすさや、BPO(外部委託)サービスの利用が可能かといった、運用全体を支える機能・体制を事前に確認することが重要です。
パターン3:早期のリプレイス発生
「導入コストの安さ」だけで選定した結果、将来的な拡張性がないことに後から気づくケースです。 特に現在は、2027年の法改正を控えた重要な過渡期です。「現行法には適合しているが、将来義務化されるICチップ読み取りには対応できないツール」を選んでしまうと、数年後にシステム全体を作り直すことになります。
これには再度の開発費だけでなく、API連携のやり直しなどといったリプレイスコストおよび工数が発生します。
こうした事態を防ぐためには、目先の導入コストだけでなく、eKYCツールの追加開発体制や、現行の機能を確認することが不可欠です。「公的個人認証サービス(JPKI)」への対応状況や、将来の法改正を見据えた機能拡張が予定されているかを、選定段階で厳しく見極めることが重要です。
リスクを回避する選定プロセスを取る

これらのデメリットや失敗は、サービス選定の優先順位付けを誤ることで発生しやすくなります。 失敗を避け、費用対効果の高い導入を実現するためには、料金比較から入るのではなく、以下の順序で検討を進めることが基本です。
- 本人確認方式(法改正に対応しているか)
- 実装方式(アプリかWebか、かかる開発工数は適切か)
- 認証精度(どの程度のエラー率を許容するか)
- 運用設計(エラー時や例外対応を誰がどのように実施するか)
- コスト(上記を満たした上での総合的なコストはどうか)
ここからは、この5つのステップに沿って、失敗しないeKYCサービスの選び方を具体的に解説します。
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失敗しないeKYCサービスの選び方
eKYCの選定プロセスでは、「本人確認方式→実装方式→認証精度→運用設計→コスト」の順で検討を進めることで、結果として費用対効果の優れたeKYCサービス導入に繋がりやすくなります。
料金比較から着手すると、実運用に必要なコストが見落とされ、正確な比較が困難になります。選定プロセスのうち、まずは本人確認方式から解説します。
1. 本人確認方式:将来的な法改正・要件の変更を見据える
選定の第一歩は、どの本人確認方式を採用するかを決定することです。前述のとおり、2027年4月以降は書類撮影(ホ方式)が廃止されます。標準となるのはICチップ読取(ヘ方式)・公的個人認証(カ方式)・スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの利用(ル方式)で、いずれも現行規則の呼び方です(改正後の号は下表のとおり変わります)。 この法改正を前提とすると、企業の選択肢は以下の2つに絞られます。
- 先行導入: 当初からICチップ読取(マイナンバーカード等)を主軸とし、将来のリプレイスリスクを排除する。
- 段階的移行: まずはユーザー普及率の高い画像撮影(ホ方式)で開始し、2027年に向けてシステム改修を計画する。
ここで重要なのは、「ICチップ読取に対応できないツールを選ぶと、2027年4月の改正時点でリプレイスが必要になる」という点です。また、今後も法改正によって要件が変更される可能性があります。eKYCサービス選定時は、以下の点を確認してください。
- 2027年以降の法改正により求められる本人確認方式である、ICチップ読取(公的個人認証など)に対応しているか。
- 将来的に方式を切り替える際、SDKの差し替えやUI変更がスムーズに行えるか。
2026年時点の現行法における本人確認方式の名称と、2027年4月1日以降の法改正後の本人確認方式の名称、それぞれの特徴を再掲しますので、ぜひご確認ください。
| 本人確認方式 | 2025年6月24日〜 | 2027年4月1日〜 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 書類の撮影+容貌の撮影 | ホ | 廃止 | ― |
| 書類ICチップの読取+容貌の撮影 | ヘ | ハ | マイナンバーカードだけでなく、運転免許証や在留カードが利用可能で、対象にできる利用者の範囲が広い |
| 書類の撮影+銀行等への顧客情報照会 | ト | 廃止 | ― |
| 書類ICチップの読取+銀行等への顧客情報照会 | ト | ニ | 銀行情報を使うためセキュリティが高いものの、利用できる金融機関が限られる |
| カード代替電磁的記録の利用 | ル | ト | スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを利用する方式で、認証の完全自動化が可能 |
| 公的個人認証サービスの利用 | カ | ヌ | 利便性・安全性が高いものの、マイナンバーカードのみが利用可能 |
出典・参考資料(3件)
2. 実装方式:自社プロダクトの形態と開発リソースで選ぶ
採用する本人確認方式(ICチップ読取など)が決まれば、次に実装方式を検討します。 ここでは、単にツール側の機能だけでなく、「eKYCを組み込む貴社のサービス」がどのような形態であるかによって、最適な選択肢が異なります。
自社でネイティブアプリを提供しているのか、Webブラウザベースのサービスなのか、また社内に開発エンジニアのリソースがどの程度あるかによって、選ぶべき実装方式は「API/SDK」か「ブラウザ/タグ」かに分かれます。
それぞれの実装方式について、「適したケース」と「導入時の注意点」を以下の表にまとめました。
| 適したケース | 注意点 | |
|---|---|---|
| API/SDK | ・自社でネイティブアプリを提供している ・認証フローのUXを自社で細かく制御したい ・ICチップ読取をアプリ内で完結させたい | ・アプリへの組込開発および検証に工数がかかる ・OSのアップデート対応など保守コストが発生する |
| ブラウザ/タグ | ・Webサービス(LP等)が起点である ・社内の開発リソースが不足している ・とにかく早期に導入したい | ・デザインや導線の自由度に制約がある ・ICチップ読取には「App Clip」等への対応が必要 |
2027年4月以降の法改正を見据えてICチップ読取(または公的個人認証)を採用する場合、スマートフォンに搭載されたNFC機能を利用するため、基本的にはAPI/SDKを用いたネイティブアプリでの実装が必要となります。
Webブラウザベースでの実装を希望する場合、iOSにおける「App Clip」といった技術を用いれば、Webブラウザの手続きからシームレスにIC読取機能だけを呼び出すことが可能です。これにより、ユーザーにアプリのフルインストールを強いることなく、高い完了率(CVR)を維持できます。
ただし、App Clipへの対応可否は公式サイトに記載のないサービスが多く、個別の確認が必要です。「ブラウザ/タグ」での実装方式を検討しており、かつ2027年4月以降もシステムを使い続けたい(リプレイスメントを行いたくない)といった状況でしたら、eKYCサービスが「App Clipなどの技術に対応しているか」をサービス選定の条件に加えることをおすすめします。
3. 認証精度:許容する「エラー率」の基準を定める
実装方式が決まった段階で、自社が求める「認証精度」の基準を明確にしておくことが重要です。
ここでいう精度とは、単に不正検知率(偽造を見抜く力)だけを指すのではありません。「正当なユーザーを誤って拒否する確率(本人拒否率)」や、「目視審査に回る割合(非自動化率)」をどこまで許容できるかという方針決定が必要です。
たとえば、ICチップ読取を採用する場合でも、読み取り不良や暗証番号の入力ミスといったユーザー起因のエラーは避けられません。「不正を厳格に防ぐ代わりに、ユーザーの利便性が多少下がっても良いのか」、あるいは「ユーザーの離脱を防ぐために、ある程度のリスクや目視工数は許容するのか」といった方針によって、選ぶべきサービスや設定すべき閾値が異なります。
また、優れた認証精度を提供するeKYCサービスは、その分だけコストが高くなる傾向にあります。以下の指標について自社の許容ラインにあたりを付けておくことで、選定時の指標にできるだけでなく、お問い合わせ後のeKYCサービス提供企業からの提案を適切に評価できるようになります。
- 本人拒否率(FRR): 本人が認証しようとしたのに失敗する割合で、UXを重視するのであれば、この数値ができる限り低いことを要件とします。
- 自動承認率: 目視確認を必要とせずに、自動判定を完了できる割合です。
こうした指標は、提供各社が公称する数値と、実際に運用したときの実測値とで差が出ることがあります。この点について、ProTech ID Checker(株式会社ショーケース)の光永氏は、独自インタビューで審査精度の実情を次のように述べています。

完全自動化のケースでも、実際の運用で90%以上の精度を確認いただいた事例があります。一般的にこうしたサービスの精度は90%台後半と示されることが多い一方で、実際に使ってみると60〜80%程度だったというお声を伺うこともあります。
4. 運用設計:想定エラー数からBPOの要否を判断する
検討した認証精度の目安に基づき、実運用で発生する手作業のボリュームをおおまかに把握しておくことで、自社で対応可能であるかどうかを判断することができます。 eKYCを導入しても、すべての申請が自動で完了するわけではありません。読み取り不可や入力ミスなどのエラーが発生した場合、システム外での以下のような対応が必要になります。
- 画像の目視確認: AIが判定できなかった画像を人間が確認する。
- 郵送対応: どうしてもeKYCが完了できないユーザーに対し、転送不要郵便を送付して本人確認を行う。
これらの業務を、自社の既存リソースで賄えるかが選定のポイントです。 申請数が少ないうちは管理部門などの社内スタッフでの対応も可能ですが、件数が増えたり、土日祝日の即時対応を求めたりする場合、社内リソースだけでは対応しきれなくなるリスクがあります。
eKYCサービスの中には、ツール提供だけでなく、こうした目視審査や郵送手配などの周辺業務を「BPO(業務代行)」として提供しているものもあります。 自社で周辺業務を対応しきれない、あるいはコア業務に集中したいと判断される場合は、BPO対応のeKYCサービスを選び、アウトソーシングを検討するとよいでしょう。
BPOへの委託を選択肢に含める場合は、以下の記事で依頼できる業務範囲・料金の考え方・自社での可否判断のポイントを整理しています。
本人確認の代行(BPO)とは?依頼できる会社・サービスと代行範囲・料金・委託の可否を解説
オンラインでの口座開設や会員登録、契約を始めると、法令上どうしても本人確認(犯罪収益移転防止法にもとづく取引時確認やeKYC)が必要になります。ところが、確認作業を担う人員や仕組みが社内にないまま運用を始めると、書類の目視チェックや不備対応…
5. コスト:初期・月額費用だけでなく、開発・運用にかかる総額で比較する
これまでの4つのステップ(本人確認方式、実装、精度、運用)を検討することで、eKYCのコスト構造が、見積書にある金額だけではないことがお分かりいただけたかと思います。 コスト比較を行う際は、初期費用や月額費用といった表面的な金額に加え、開発や運用にかかる「見えにくいコスト」を合算した総額で判断すべきです。
具体的には、以下の3つの要素を合計してシミュレーションを行います。
- サービスの利用料金(見積金額):
- 初期費用、月額固定費、1回の申請あたりの従量課金などがこれに該当します。
- 開発・保守コスト:
- ステップ2で検討した実装方式に関わる費用です。特にアプリへのAPI/SDK組み込みを選択する場合、エンジニアの開発工数が発生します。また、2027年の法改正に向けたシステム改修が将来的に必要になるかどうかも、長期的なコストに大きく影響します。
- 運用コスト(人件費):
- ステップ4で検討した「目視審査」や「郵送対応」にかかる費用です。認証精度の低い安価なツールを選んだ結果、目視確認の件数が多くなってしまい、社内スタッフの人件費(またはBPO委託費)が高騰してしまうケースは少なくありません。
目先の月額料金が数万円安くても、エラー率が高く手作業に追われたり、数年後に大規模なシステム改修が必要になったりすれば、結果的に支払う総額は大きくなります。
自社だけで正確なシミュレーションを行うことが難しい場合は、こうした開発工数や運用体制の懸念点を含めて、eKYCサービス提供企業に相談してみるのも有効な手段です。
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eKYCサービス別の導入事例と成果
ここからは、各eKYCサービスにおける導入事例を見ていきましょう。
各サービスの公式サイトでは多数の事例が記載されており、業界を問わず、業務効率化と顧客体験の向上が実現されています。
1. 日本生命保険相互会社:保険加入時の本人確認をオンラインで完結(ネクスウェイの本人確認ソリューション)
日本生命保険相互会社では、インターネットでの保険加入手続きにおいて、ネクスウェイの本人確認ソリューションを導入しています。
従来、保険契約時の本人確認は対面や郵送での対応が必要でしたが、eKYCの導入によりスマートフォン上で手続きが完結するフローを実現しています。これにより、顧客は時間や場所を選ばずに申し込みが可能となり、利便性が大幅に向上したとしています。
また、転送不要郵便の発送業務などもネクスウェイのBPOサービスを活用することで、高いセキュリティレベルを維持しながら社内業務の負荷軽減に成功しています。
出典・参考資料(1件)
2. 農林水産省:行政手続きのデジタル化でICチップ読取を活用(TRUSTDOCK)
農林水産省は、農林水産業に携わる事業者が補助金申請などを行う共通申請サービス「eMAFF」において、TRUSTDOCKのデジタル身分証アプリを導入しています。
マイナンバーカードのICチップ読み取り(公的個人認証)を活用することで、対面確認と同等以上の厳格な本人確認をオンラインで実現しています。これにより、申請者は役所の窓口へ出向くことなく手続きが可能となり、行政側の確認業務も大幅に効率化されました。行政DXにおいて、セキュリティと利便性を両立させた先進的な事例となっています。
出典・参考資料(1件)
3. CARRO JAPAN株式会社:データ回収工数を10分の1に削減(ProTech ID Checker)
中古車リース事業を展開するCARRO JAPAN株式会社では、申し込み時の本人確認プロセスがアナログであり、審査開始までのタイムラグが課題となっていました。
ProTech ID Checkerを導入し、スマートフォン完結型の本人確認に切り替えたことで、顧客の入力から審査完了までのスピードが飛躍的に向上したとしています。その結果、本人確認書類などのデータ回収にかかっていた工数が従来の10分の1に削減され、業務効率が飛躍的に向上しています。
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eKYCの導入プロセスを5ステップで解説
ここからは、eKYCサービスの選定が完了した後、実際にeKYCを導入し、安定稼働させるまでのプロジェクト実務を5つのステップで解説します。
導入プロジェクトにおいては、「要件定義(KPI設定)」と「テスト工程」の質が、リリース後の成果(CVRや運用コスト)を左右します。
ステップ1:導入目的の明確化とKPI設定
選定段階で描いた導入目的を、プロジェクトチーム全体で共有可能な具体的な数値目標(KPI)に落とし込みます。
単に「本人確認を自動化する」だけでなく、「審査完了までのリードタイムを現在の3日から10分以内に短縮する」「申込完了率(CVR)を現状の〇%から〇%へ引き上げる」といった定量的なゴールを設定します。この目標値は、後述するテスト工程やリリース後の効果検証における判断基準となります。
ステップ2:法的要件への対応
選定した認証方式(ICチップ読取など)に基づき、具体的な画面仕様と法的整合性を確定させます。
法務部門と連携し、犯収法などの要件を満たすための「本人確認の同意文言」や「取引目的の選択肢」を画面にどのように配置するかを決定します。あわせて、プライバシーポリシーや利用規約の改定準備を進めます。
特に、外部のeKYCベンダーへ個人データを委託することになるため、個人情報保護方針の条文追加が必要になるケースが一般的です。
ステップ3:システム実装と運用体制の設計
開発エンジニアによるAPI/SDKの組み込み作業と並行して、運用担当者は「エラー時の対応フロー」を構築する必要があります。
システム連携においては、認証完了(または否認)のデータを自社の顧客データベースにどのように反映させるか、などといった仕様を設計します。
一方、運用面では「システムが自動判定できなかった場合」の業務フローを詳細化しておくといった実務が考えられます。具体的には、目視審査に切り替える基準や、ユーザーへの否認メールの文面作成、再提出依頼のタイミングなどをマニュアル化し、社内スタッフまたはBPO委託先へ共有する、といった実務になります。
ステップ4:システム実装後のテスト
本番稼働前に、ユーザー体験(UX)の観点と、システム安定性の両面から徹底した検証を実施します。
ここでは正常に完了するケースだけでなく、あえてエラーを起こすテストが重要です。「部屋が暗い状態で撮影する」「マイナンバーカードの暗証番号を間違える」といった、ユーザーが陥りやすい失敗パターンを網羅的にテストします。 これにより、エラーメッセージが適切か、ユーザーが迷わず再試行できるかを確認し、離脱要因を事前に排除することができます。

eKYCサービス導入において運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類読み取り機能は特に重点的に検証しましょう。一般的にユーザーがアプリやWebサイトの利用を止めてしまう主な原因としては、ページの表示や処理が遅い、使い方がわかりにくい、などが挙げられます。
本人確認書類読み取りがスムーズに進められない場合もこれらと同じくユーザー離脱の最も大きな原因になりえます。
ステップ5:リリース後のモニタリングと監査証跡の保存
サービス開始後は、KPIの達成状況をモニタリングし、継続的な改善サイクルを実行することが求められます。
特にリリース直後は、想定外の理由でユーザーが離脱するケースが見受けられます。ログデータから離脱箇所を特定し、ガイドの文言修正などの微調整を行う、といった実務が発生する可能性があります。
また、コンプライアンスの観点からは、本人確認記録(監査ログ)が法令で定められた期間・形式で正しく保存されているかを定期的にチェックし、いつ当局の監査が入っても証跡を提出できる状態を維持することが不可欠です。
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eKYCサービス比較でよくある質問(FAQ)
Q. eKYCサービスの比較で最も重要なポイントは何ですか?
A. 「2027年の法改正への対応力」と「運用設計の現実性」です。特に「2027年の法改正への対応力」は重要となっており、料金や機能一覧よりも前に、「ICチップ読取に対応しているか」、そして「自社のサービス形態(アプリ/Web)でそれを実現できるか」を確認することが最優先事項です。
また、「運用設計の現実性」を確認するためには、以下のような点を確認する必要があります。
- 将来的に本人確認要件が変わった場合に方式変更へ柔軟に対応できるか
- 外国籍ユーザーや高齢者など、例外ケースへの対応余地があるか
- 審査オペレーション(自動/有人)の切り替えが現実的か
初期費用や単価の安さだけで選ぶと、後から仕様変更や追加開発が必要になり、結果的にコストと工数が膨らむケースも少なくありません。
将来的なリプレイスや改修コストを防ぐためにも、この2点は必ず確認してください。eKYCサービスの選び方にて、選定時に確認すべき事項についてより詳細に解説していますので、ぜひこちらをご覧ください。
Q. 無料で使えるeKYCサービスはありますか?
A. 完全無料で継続利用できる商用のeKYCサービスはありませんが、無料トライアルを提供するサービスはあります。多くのeKYCサービスでは、本番利用は従量課金または月額費用が発生します。一方で、公式サイトで無料トライアルを案内しているサービスは限られ、本記事の14社では1社です。実証実験や試用の可否は、問い合わせ時に個別に確認する形になります。
無料トライアルや実証実験による比較・検討段階では、
- 認証完了率(途中離脱がどれくらい発生するか)
- エラー率(撮影失敗・差戻しの割合)
- 審査にかかる時間(即時/数分/数時間)
といった指標をテストするのがおすすめです。実際のデータをもとに判断することで、自社サービスとの相性やUX面の課題を事前に把握できます。
おすすめeKYCサービス比較14選から、無料トライアルの有無や月額費用などを確認できます。
Q.対応している本人確認書類に違いはありますか?
A. 運転免許証やマイナンバーカードへの対応は標準的ですが、在留カードや特別永住者証明書などへの対応状況はeKYCサービスにより異なります。 特に「ICチップ読み取り」を行う場合、在留カードや特別永住者証明書などのICチップ仕様に対応しているかはeKYCサービスごとに差が出やすいポイントです。自社のターゲット顧客層が保有する書類に対応しているか、事前に仕様を確認してください。
Q.eKYCの導入にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 実装方式により、1週間から数ヶ月と幅があります。ブラウザ完結型やタグ埋め込み型であれば数日から2週間程度での導入も可能ですが、APIやSDKを用いて自社アプリに深く組み込む場合(特にICチップ読取を実装する場合)、要件定義から実装、テストを含めて1〜3ヶ月以上の期間を要することが一般的です。
まとめ
eKYCサービスは、単なる本人確認業務のデジタル化にとどまらず、自社サービスのユーザー体験(UX)やコンバージョン率に直結する重要なツールです。
また、2027年の法改正(本人確認書類撮影の廃止とICチップ読取への移行)を見据えて、選定基準は「現在の導入しやすさ」から「将来にわたる持続可能性」へとフェーズが移行しています。 事業者は以下のポイントを押さえ、法改正後も安定して稼働する本人確認基盤を構築する必要があります。
- 将来リスクの排除: 目先の導入コストだけでなく、2027年4月以降の必須要件となる「ICチップ読取(公的個人認証など)」への対応力を最優先で評価し、早期のリプレイスリスクを回避する。
- 実装技術の最適化: 自社サービスの形態(アプリ/Web)に合わせ、SDKによるネイティブ実装や、App Clip等の最新技術を活用し、コンプライアンスとUX(離脱防止)を両立させる。
- 運用コストの可視化: 認証精度(エラー率)に基づく目視審査の工数を試算し、自社リソースだけで対応しきれない場合はBPO提供型のサービスを活用する。
法規制への対応は「コスト」と捉えられがちですが、適切な技術と運用設計を選択することで、不正リスクの低減と顧客体験の向上(UX改善)を同時に実現することが可能です。 自社の事業フェーズとリソース状況に合わせ、最適なeKYCサービスを選択してください。
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導入を進める際は関係する業務の担当者と一緒に検討しながら進めましょう。ITシステムの導入失敗の要因として、担当者間のコミュニケーション不足は本当に多いです。
eKYCサービスの導入は業務自動化など大きなメリットが期待できますが、それでも人の仕事が無くなるわけではありません。システムで自動化できる部分と人が担当する部分に分かれることになり、最大限のメリットを得るにはその連携部分を最適化できるかどうかが導入成功のカギを握っています。