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【2027年法改正対応】eKYCサービス比較おすすめ8選|導入費用・本人確認方式・不正対策から失敗しない選び方を解説

監修コメント付き eKYCサービス比較

eKYCサービスの選定にあたり、「選択肢が多く最適解が見えない」「法令対応と不正対策を両立させたいが、導入スケジュールが限られている」といった課題に直面する担当者は少なくありません。

選定の難しさは、単なる機能比較では結論が出ないといった点にあります。認証方式の違いだけでなく、APIやSDKといった実装形態、目視審査やBPOの要否、そして導入後の運用設計といった企業ごとに異なる状況に応じて検討する必要があるためです。

そこで本記事では、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しました。

さらに、ご自身で詳しく比較検討できるよう、選び方の基準、費用感、実装・運用における注意点についても体系的に解説しています。あわせて、犯罪収益移転防止法の改正に伴う「本人確認書類撮影型」の廃止や公的個人認証への移行といった、最新の法規制動向についてもご紹介します。

この記事でわかること
  • 【診断ツール】 3つの質問に答えるだけで、自社の課題にマッチしたeKYCサービスがわかる
  • 犯罪収益移転防止法の要件変更を踏まえた、各方式(ホ方式・カ方式など)の特性
  • 料金体系や機能差を比較しながら、自社にとって導入価値の高いeKYCサービスを選定するためのポイント

まずは診断ツールで「自社に合うサービス」の当たりを付け、その後に詳細な解説を読み進めることで、失敗のない選定が可能になります。

eKYCの選定から導入後の安定運用まで、本記事が意思決定の一助となれば幸いです。

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本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

診断ツールですぐにわかる!用途別おすすめeKYCサービス

自社にとって最適となるeKYCサービスは、「本人確認方式」「実装方式」「認証精度」「運用リソースの有無」「コスト」という5つの観点によって選定することができます。

しかし、これらをゼロから整理するのは大変な作業となります。 以下の診断ツールを利用すれば、3つの質問に回答するだけで、自社に最適なeKYCサービスの候補をすぐに知ることができます。

まずは、自社に合うサービスを確認してみてください。

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【比較表】おすすめeKYCサービス比較8選

ここからは、診断結果に含まれる主要なeKYCサービス8選の詳細について解説します。

まずは、それぞれのサービスについての主要な機能・料金を以下に比較表としてまとめました。各サービスの強みや対応業界を比較し、自社に最適な選択肢を見つける参考になりましたら幸いです。

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ネクスウェイの本人確認ソリューションLiquid eKYCTRUSTDOCKPolarify eKYCDeep Percept for eKYCProTech ID CheckerGMO顔認証eKYCダブルスタンダードeKYC
ロゴ
提供会社株式会社ネクスウェイ株式会社Liquid株式会社TRUSTDOCK株式会社ポラリファイDeep Percept株式会社株式会社ショーケースGMOグローバルサイン株式会社株式会社ダブルスタンダード
初期費用50,000円〜50,000円〜要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ0円要お問い合わせ
月額料金25,000円〜30,000円〜要お問い合わせ要お問い合わせ要お問い合わせ18,000円〜GMO顔認証eKYC:20,000円~
スマホde本人確認:50,000円~
要お問い合わせ
導入目安約2ヶ月(BPO込みのケース)2~3週間(ベーシックプランの場合)要お問い合わせ平均3ヶ月要お問い合わせ最短1週間最短翌日(スマホde本人確認)最短2週間
法改正後の本人確認方式要お問い合わせ今後提供予定
実装方式下記資料をご確認くださいAPI/SDK/WebブラウザAPI/SDK/WebブラウザAPI/SDK/WebブラウザWebブラウザWebブラウザAPI/WebブラウザAPI/SDK/Webブラウザ
目視審査・BPO要お問い合わせ
向いている企業郵送や目視審査まで丸ごと委託したい高水準の認証精度と不正検知を重視APIで自社システムに深く組み込みたい銀行グレードの堅牢なセキュリティが必要個人情報の「データ非保持」でリスク回避したいタグ設置等で迅速に導入したい初期コストを抑え、導入スピードを重視したい自社要件に合わせた最適化を重視
導入実績トヨタ自動車、日本生命、GMOコインなどKDDI、三菱UFJ信託銀行、PayPay証券など導入社数250社以上三井住友銀行、福岡銀行、ソフトバンクなどDMM.com証券、大同生命など累計導入社数300社以上金融・通信・古物など幅広い業種で導入大手金融機関を中心に豊富な導入実績あり
詳細情報詳細資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

各eKYCサービスの詳細解説

次に、国内市場における8つの主要なeKYCサービスについて、その特徴と適合する企業の属性を詳しく解説します。2026年現在、各社は単なる本人確認機能にとどまらず、BPO連携や認証精度の向上など、異なるアプローチでサービスを進化させています。

1. ネクスウェイの本人確認ソリューション

おすすめ企業: ツール導入だけでなく、目視確認や郵送などの「業務プロセス全体」を委託したい企業

ネクスウェイの本人確認ソリューションは、TISインテックグループの基盤を活用し、eKYCツールとBPO(業務代行)を統合的に提供している点が最大の特徴です。

eKYCツールのみの提供に留まるサービスも多い中、同サービスは本人確認画像の目視チェックや、転送不要郵便の発送・追跡までをワンストップで支援できるため、周辺業務のアウトソーシングを検討する企業にとって有力な選択肢となります。

さらに特筆すべきは、デジタルとアナログを組み合わせたハイブリッドな対応能力です。eKYCでの離脱者に対してスムーズに郵便確認へ切り替えるフロー構築が可能となっており、機会損失を最小化することが可能です。また、2026年のトレンドである公的個人認証(JPKI)にも対応済みであり、犯収法や携帯電話不正利用防止法など、複雑な法規制への対応を一任できます。

犯収法の指定事業者だけで100社以上、全体では300社以上の導入実績があり、高い信頼性を有しています。

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内容
サービス名ネクスウェイの本人確認ソリューション
提供会社株式会社ネクスウェイ
主な特徴・強み・本人確認業務(目視・突合)から郵送対応まで一気通貫で代行可能
・eKYC離脱者を郵送へ誘導するハイブリッド対応
・TISインテックグループの強固なセキュリティ基盤
対応企業規模中小企業~大企業(スモールスタートも可能)
導入実績トヨタ自動車、日本生命、GMOコインなど
初期費用50,000円~
月額費用25,000円~

2. LIQUID eKYC

LIQUIDのウェブサイト、個人確認のためのeKYCサービスを紹介するページ

おすすめ企業: 金融機関レベルの認証精度を求め、不正リスクと離脱率を極限まで下げたい企業

株式会社Liquidが提供するLIQUID eKYCは、生体認証技術に特化しており、国内市場における累計本人確認件数でトップクラスのシェアを有します。

独自のAI技術により、撮影時の画質判定(ボケや反射の検知)をリアルタイムで行うことで、ユーザーの撮影ミスによる離脱を抑制します。顔認証の自動判定成功率は約99.6%で、本人拒否率(FAR)が1/10万以下と非常に低い水準を誇ります。

また、高度な真贋判定機能を備えており、写真の使い回しやディスプレイ撮影などの不正手口を強力に検知します。大手銀行や通信キャリアでの採用実績が多く、厳格な認証精度やコンプライアンスが求められる大規模サービスに適しています。

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内容
サービス名LIQUID eKYC
提供会社株式会社Liquid
主な特徴・強み・高精度AIによる低い本人拒否率と高い不正検知能力
・JPKIにおける容貌撮影と電子署名を組み合わせた特許技術
・金融機関シェアNo.1クラスの実績
対応企業規模中小企業~大企業(大規模運用がメイン)
導入実績KDDI、三菱UFJ信託銀行、PayPay証券など
初期費用50,000円~
月額費用30,000円~

3. TRUSTDOCK

TRUSTDOCKのウェブサイトのスクリーンショット。スマートフォンで本人確認のアプリを操作している様子。緑の背景にメッセージが表示されている。

おすすめ企業: API連携で自社システムに深く組み込み、将来的な拡張性を確保したい企業

TRUSTDOCKはオンライン本人確認サービスの導入社数において、2021年から2023年にかけて3年連続で国内No.1(東京商工リサーチ調べ)を誇る実績豊富なeKYCソリューションです。

API連携による柔軟な実装が可能で、金融機関や自治体、民間企業など幅広い業種で採用されています。個人を対象とした本人確認だけでなく、法人確認や反社チェックなどのAPIも取り揃えており、あらゆる確認業務をシステムに組み込むことが可能です 。

ICチップ読み取りや顔認証を含む主要方式への対応に加え、法令順守への強固な体制と手厚い運用サポートにより、初期導入から継続運用まで安心して任せられる点も魅力です。

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内容
サービス名TRUSTDOCK
提供会社株式会社TRUSTDOCK
主な特徴・強み・開発者フレンドリーなAPI群と、業務範囲を選択できる柔軟性
・法人確認や反社チェックなど周辺業務への拡張性
・デジタル庁関連プロジェクトや自治体連携の実績
対応企業規模スタートアップ~大企業
導入実績導入社数250社以上
初期費用要お問い合わせ
月額費用要お問い合わせ

4. Polarify eKYC

PolarityのeKYCサービスのウェブサイト画面。本人確認手続きをオンラインで行うための手順が表示されており、IDカードのスキャンと顔写真の撮影のステップが含まれています。

おすすめ企業:銀行グレードの堅牢なセキュリティと、ガバナンスを最重視する企業

2017年5月にSMBCグループ(三井住友フィナンシャルグループ)、Daon社、NTTデータの合弁会社として設立された、株式会社ポラリファイが提供するサービスです。世界的な生体認証企業であるDaon社のアルゴリズムを採用しており、顔認証だけでなく、声紋や指紋などを用いたマルチモーダルな認証への拡張性も備えています。

2025年1月に、先ほどご紹介した「LIQUID eKYC」を提供する株式会社Liquidの親会社、株式会社ELEMENTSによって買収されましたが、金融機関発のサービスであるため、攻撃検知や暗号化通信などのセキュリティ対策は業界最高水準です。万が一の情報漏洩リスクを極限まで低減したい金融機関やインフラ企業にとって、非常に安心感のある選択肢といえます。

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内容
サービス名Polarify eKYC
提供会社株式会社ポラリファイ
主な特徴・強み・Daon社による世界標準技術の実装
業界最高水準のセキュリティと攻撃検知機能
・ブラウザ型とアプリ型(SDK)を選択可能
対応企業規模大企業(金融機関、インフラ企業)
導入実績三井住友銀行、福岡銀行、ソフトバンクなど
初期費用要お問い合わせ
月額費用要お問い合わせ

5. Deep Percept for eKYC

デジタル本人確認システムのフロー図。スマートフォンを使用して本人確認書類の撮影、本人容貌の撮影、およびランダム撮影を行い、AIエンジンが結果を分析する過程を示している。

おすすめ企業:個人情報の「データ非保持」を徹底し、保有リスクを回避したい企業

シンプレクスグループ発のDeep Percept株式会社が提供するソリューションです。最大の特徴は、システム上で処理された個人情報データを、一定期間後に自動削除する「データ非保持」のアーキテクチャを採用している点です。これにより、導入企業は個人情報の漏洩リスクから解放されます。

AIエンジンは100%自社開発されており、ブラックボックス化していません。精度のアップデートや読み取り範囲の修正等、企業が求める要件や業務に合わせて柔軟に対応可能である点も魅力的です。

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内容
サービス名Deep Percept for eKYC
提供会社Deep Percept株式会社
主な特徴・強み・個人情報を保持しないセキュアな設計によるリスク回避
・完全自社開発AIによる柔軟なチューニング
対応企業規模大企業(金融機関、インフラ企業)
導入実績DMM.com証券、大同生命など
初期費用要お問い合わせ
月額費用要お問い合わせ

6. ProTech ID Checker

ProTechのオンライン本人確認(eKYC)サービスのウェブサイト。スマートフォンを使ってIDをスキャンするイラストとサービスの説明が表示されている。

おすすめ企業:タグ設置等で迅速に導入しつつ、高い申込完了率を維持したい企業

ProTech ID Checkerは月額基本料1.8万円から利用でき、利用数に応じて料金が自動変動するeKYCサービスです。既存のWebサイトにタグを埋め込むだけで実装でき、最短1週間での運用開始が可能です。

申し込み情報と本人確認書類の情報を自動で突合し、審査完了まで自動化する機能を搭載しており、業務負担を大幅に軽減します。

また、わかりやすいガイダンスと操作画面により、95%以上の申込完了率を実現。多様な書類や撮影パターンに対応し、カスタマイズも柔軟に行えるため、さまざまな認証ニーズに適応できます。

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内容
サービス名ProTech ID Checker
提供会社株式会社ショーケース
主な特徴・強み・タグ設置のみで完了する容易な導入プロセス(最短1週間)
・AIによる自動審査とBPOサービスの組み合わせも可能
・犯罪収益移転防止法の方式は「ホ」「ワ」に対応
対応企業規模スタートアップ、中小~中堅企業
導入実績累計導入社数300社以上
初期費用要お問い合わせ
月額費用18,000円〜

7. GMO顔認証eKYC

GMO顔認証eKYCの紹介ページ。電子認証サービスを活用した高セキュリティのオンライン本人確認サービスを提供。

おすすめ企業:初期コストを抑え、導入スピードを重視したい小規模企業

電子認証局を運営するGMOグローバルサイン株式会社のサービスです。APIで本人確認を自動化する「GMO顔認証eKYC」と、開発不要でスピード導入できる「スマホde本人確認」の2つのサービスを提供しています。

「GMO顔認証eKYC」は初期費用無料、月額20,000円からの明確な価格体系で、小規模な事業者でも導入しやすいという利点があります。「スマホde本人確認」は月額50,000円からとなるものの、最短翌日からの導入が可能です。

自社の状況に応じてサービスを選択することができ、コスト面と導入スピードのバランスが取りやすいeKYCソリューションの一つです。

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内容
サービス名GMO顔認証eKYC
提供会社GMOグローバルサイン株式会社
主な特徴・強み・初期費用無料による導入ハードルの低さ
・電子認証局を運営する信頼性
対応企業規模スタートアップ、小規模事業者~中堅企業
導入実績金融・通信・古物など幅広い業種で導入
初期費用なし
月額費用GMO顔認証eKYC:20,000円~
スマホde本人確認:50,000円~

8. ダブルスタンダードeKYC

eKYCサービスの紹介ページ。信頼性の高いセキュリティで個人確認を行うことを強調したデザイン。スマートフォンとノートパソコンに表示されるアプリの画面と女性の顔写真がある。

おすすめ企業:自社要件に合わせた最適化、データの正確性を重視する企業

ダブルスタンダードeKYCは、独自開発の画像解析技術によるデータの正確性と、内製開発による高い柔軟性とカスタマイズ性を持つeKYCサービスです。

単なる画像読み取りだけでなく、独自技術によるデータクレンジングを行い、誤記修正や欠損補完をシステム側で処理する点が特徴的です。

書類撮影・IC読み取り・顔認証など多様な認証方式に対応し、完全内製でサービスを提供しているため、自社の業務フローに最適化したeKYCを求める企業に適したサービスです。

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内容
サービス名ダブルスタンダードeKYC
提供会社株式会社ダブルスタンダード
主な特徴・強み・高精度OCRとデータクレンジングによるバックオフィス業務の効率化
・自社の業務フローや要件に応じた柔軟なカスタマイズが可能
対応企業規模中堅企業~大企業
導入実績大手金融機関を中心に豊富な導入実績あり
初期費用要お問い合わせ
月額費用要お問い合わせ

eKYCサービスとは?

ここからは、サービス選定の基準を正しく理解するために、eKYCの定義と、現在進行している法規制の大きな転換点について解説します。

eKYC(electronic Know Your Customer)とは、本人確認手続きをオンライン上で完結させる仕組みの総称です。

これまでのeKYCは「書類画像と顔写真の撮影・照合」が主流でしたが、今後はマイナンバーカード等のICチップ情報を読み取る方式が標準となります。これにより、目視確認の工数を最小限にしつつ、対面確認と同等の信頼性を担保することが可能になります。

近年では金融・不動産・通信・マッチングアプリなど、本人確認が求められる多くの業種でeKYCの導入が進んでいます。

【重要】法規制の最新動向と2027年改正への対応

eKYCの導入を検討する上で最も留意すべきなのは、2027年4月1日に予定されている犯罪収益移転防止法の改正です。現在、多くのサービスで主流となっている本人確認方式が廃止される見通しとなっており、これから導入するシステムは「改正後の新ルール」に適合している必要があります。 

現行の「ホ方式(本人確認書類の撮影+容貌の撮影)」は廃止

現在多くのサービスで採用されている、ユーザーが本人確認書類を撮影して送信する方式(ホ方式)は、原則として廃止される方向で決定しています。生成AI等による精巧な偽造書類の増加に対応するためであり、2025年6月24日に改正規則が公布されています。

「ICチップ読み取り」が必須要件に

改正後となる2027年4月1日以降は、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類のICチップを読み取る方式(2026年時点におけるヘ方式、カ方式など)への一本化が求められます。 これからeKYCを導入する場合、「現在主流となっている本人確認書類撮影型」ではなく、「将来の法規制に適合したICチップ読取型」に対応したサービスを選定することが、システム寿命を延ばすための必須条件となります。

以下に、2026年時点の現行法における本人確認方式の名称と、2027年4月1日以降の法改正後の本人確認方式の名称、それぞれの特徴を記載します。eKYCサービス提供企業にお問い合わせをされる際の参考になりましたら幸いです。

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2025年6月4日~2027年4月1日~特徴
書類の撮影+容貌の撮影廃止
書類ICチップの読取+容貌の撮影マイナンバーカードだけでなく、運転免許証や在留カードが利用可能で、ユーザーカバレッジが高い
書類の撮影+銀行等への顧客情報照会廃止
書類ICチップの読取+銀行等への顧客情報照会銀行情報を使うためセキュリティが高いものの、利用できる金融機関が限られる
カード代替電磁的記録の利用スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを利用する方式で、認証の完全自動化が可能
公的個人認証サービスの利用利便性・安全性が高いものの、マイナンバーカードのみが利用可能

2027年4月に適用される犯罪収益移転防止法改正については『犯罪収益移転防止法改正(2025・2027)で本人確認はどう変わる?eKYCのホ方式廃止やワ方式(JPKI)への移行ポイントも解説』でも詳しく解説しています。

eKYC導入がもたらす3つのメリット

eKYCの導入によって本人確認をデジタル化することで、様々なメリットがもたらされます。経営視点で見れば、「機会損失の最小化」「コストの削減」「ガバナンスの強化」という、事業数値に直結する投資対効果(ROI)の高い施策になります。

1. 申込完了率(CVR)の向上と機会損失の防止

従来の郵送による本人確認では、申し込みからサービス利用開始までに数日~1週間程度のタイムラグが発生していました。この期間にユーザーの利用意欲が低下し、申し込みの離脱や競合他社への流出といった、無視できない機会損失を招く可能性があります。

eKYCを導入すれば、手軽かつスピーディーな本人確認が可能となり、申し込み時の離脱率を大幅に改善できます。スマホで完結し、24時間いつでも対応可能なため、ユーザーの行動を制限せず、思い立ったときにすぐ手続きできる点が大きな強みです。

結果として、会員登録や口座開設といった初期ステップのハードルを下げ、コンバージョン率の向上が期待できます。

2. 顧客獲得コスト(CPA)と事務コストの削減

本人確認にかかる転送不要郵便などの発送や印刷に関する業務が不要になり、長期的にコストを削減できます。

従来の本人確認では、封入・郵送・返送・開封など多くの人手が必要でした。たとえば、月間1,000件の本人確認を行う場合、郵送費(印刷・封入・送料)だけで年間約360万円〜600万円のコスト(1件あたり約300〜500円と仮定)が発生します。

eKYCへの切り替えにより、この変動費をゼロにできるだけでなく、書類の保管コストや、返送待ちの管理工数といった間接コストも大幅に圧縮することができます。

3. 不正検知精度の向上とガバナンス強化

目視による本人確認では、精巧な偽造書類やなりすましを見抜くことに限界があり、担当者のスキルによって審査品質にバラつきが生じます。 最新のeKYCサービスであれば、AIによる画像判定やICチップの電子署名検証を行うため、人間には判別困難な偽造(生成AI等による精巧な偽造書類)も高い精度で検知できます。

また、審査プロセスや本人確認データをデジタルログとして残すことができるため、監査対応時の証跡提出もスムーズになり、コンプライアンスリスクを低減させることが可能です。

eKYCのデメリットは?導入におけるリスクと失敗の典型パターン

このように、eKYCサービスの導入には様々なメリットがあり、事業成長に貢献する強力なツールになり得ます。

しかし、導入すれば自動的にこれらのメリットがもたらされるわけではありません。 要件定義や比較検討が不十分なまま導入を進めると、かえって業務効率を悪化させたり、予期せぬコスト増を招く「デメリット」が発生するリスクがあります。

青井真吾
AOIS Consulting株式会社代表取締役
青井真吾
ひとこと解説

導入を進める際は関係する業務の担当者と一緒に検討しながら進めましょう。ITシステムの導入失敗の要因として、担当者間のコミュニケーション不足は本当に多いです。

eKYCサービスの導入は業務自動化など大きなメリットが期待できますが、それでも人の仕事が無くなるわけではありません。システムで自動化できる部分と人が担当する部分に分かれることになり、最大限のメリットを得るにはその連携部分を最適化できるかどうかが導入成功のカギを握っています。

ここでは、代表的な3つの失敗パターンと、それを回避するための考え方について解説します。

パターン1:認証失敗によるユーザー離脱の発生

「機会損失の防止」を目的として導入したはずが、かえって離脱率が上がってしまうケースです。 顔認証や書類の読み取りエラーによる認証失敗が続くと、ユーザー離脱の要因になり得ます。

また、「ユーザー層と本人確認方式のミスマッチ」や「UIガイドの不備」も要因のひとつです。たとえば、高齢者が多いサービスで、操作難易度の高い3D容貌撮影を求めたり、撮影ミス時のエラーメッセージが不親切でユーザーが諦めてしまう事例が考えられます。

2027年4月の法改正によるICチップ読取型への移行で、こうした要因は解消される方向に向かうと考えられますが、マイナンバーカードなどの未所持による離脱は依然として懸念されます。

こうした事態を防ぐためには、事前にeKYCサービスの認証精度(本人拒否率)を確認するとともに、ユーザー補完フローの有無やサポート機能が充実しているかを見極めることが重要です。

パターン2:運用負荷の増大

「コスト削減」を狙ったものの、思わぬ手作業の発生により現場が疲弊してしまうケースです。 AIなどによるeKYCツールの自動判定を過信し、非承認時(エラー発生時)の目視審査体制などを十分に構築しないまま導入を進めてしまうと、リスクが高まります。

自動判定で弾かれたユーザーへの再審査依頼や、目視確認のタスクが社内に滞留し、結果として審査完了までの時間が長期化したり、カスタマーサポート(CS)へのお問い合わせが急増したりする事態を招きます。

こうした事態は、目視審査体制の構築不足や、例外処理(エラー時のリカバリーフロー)の設計が甘い場合に陥りやすくなります。 導入後の混乱を防ぐためには、ツールの判定精度だけでなく、管理画面(審査画面)の使いやすさや、BPO(外部委託)サービスの利用が可能かといった、運用全体を支える機能・体制を事前に確認することが重要です。

パターン3:早期のリプレイス発生

「導入コストの安さ」だけで選定した結果、将来的な拡張性がないことに後から気づくケースです。 特に現在は、2027年の法改正を控えた重要な過渡期です。「現行法には適合しているが、将来義務化されるICチップ読み取りには対応できないツール」を選んでしまうと、数年後にシステム全体を作り直すことになります。

これには再度の開発費だけでなく、API連携のやり直しなどといったリプレイスコストおよび工数が発生します。

こうした事態を防ぐためには、目先の導入コストだけでなく、eKYCツールの追加開発体制や、現行の機能を確認することが不可欠です。「公的個人認証サービス(JPKI)」への対応状況や、将来の法改正を見据えた機能拡張が予定されているかを、選定段階で厳しく見極めることが重要です。

リスクを回避する選定プロセスを取る

これらのデメリットや失敗は、サービス選定の優先順位付けを誤ることで発生しやすくなります。 失敗を避け、費用対効果の高い導入を実現するためには、料金比較から入るのではなく、以下の順序で検討を進めることが基本です。

  1. 本人確認方式(法改正に対応しているか)
  2. 実装方式(アプリかWebか、かかる開発工数は適切か)
  3. 認証精度(どの程度のエラー率を許容するか)
  4. 運用設計(エラー時や例外対応を誰がどのように実施するか)
  5. コスト(上記を満たした上での総合的なコストはどうか)

ここからは、この5つのステップに沿って、失敗しないeKYCサービスの選び方を具体的に解説します。

失敗しないeKYCサービスの選び方

eKYCの選定プロセスでは、「本人確認方式→実装方式→認証精度→運用設計→コスト」の順で検討を進めることで、結果として費用対効果の優れたeKYCサービス導入に繋がりやすくなります。

料金比較から着手すると、実運用に必要なコストが見落とされ、正確な比較が困難になります。選定プロセスのうち、まずは本人確認方式から解説します。

1. 本人確認方式:将来的な法改正・要件の変更を見据える

選定の第一歩は、どの本人確認方式を採用するかを決定することです。前述の通り、2027年4月以降は「書類撮影(ホ方式)」が廃止され、「ICチップ読取(ヘ方式)」および「公的個人認証(カ方式・ル方式)」が標準となります。 この法改正を前提とすると、企業の選択肢は以下の2つに絞られます。

  • 先行導入: 当初からICチップ読取(マイナンバーカード等)を主軸とし、将来のリプレイスリスクを排除する。
  • 段階的移行: まずはユーザー普及率の高い画像撮影(ホ方式)で開始し、2027年に向けてシステム改修を計画する。

ここで重要なのは、「ICチップ読取に対応できないツールを選ぶと、2年後に必ずリプレイスが発生する」という点です。また、今後も法改正によって要件が変更される可能性があります。eKYCサービス選定時は、以下の点を確認してください。

  • 2027年以降の法改正により求められる本人確認方式である、ICチップ読取(公的個人認証など)に対応しているか。
  • 将来的に方式を切り替える際、SDKの差し替えやUI変更がスムーズに行えるか。

2026年時点の現行法における本人確認方式の名称と、2027年4月1日以降の法改正後の本人確認方式の名称、それぞれの特徴を再掲しますので、ぜひご確認ください。

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2025年6月4日~2027年4月1日~特徴
書類の撮影+容貌の撮影廃止
書類ICチップの読取+容貌の撮影マイナンバーカードだけでなく、運転免許証や在留カードが利用可能で、ユーザーカバレッジが高い
書類の撮影+銀行等への顧客情報照会廃止
書類ICチップの読取+銀行等への顧客情報照会銀行情報を使うためセキュリティが高いものの、利用できる金融機関が限られる
カード代替電磁的記録の利用スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを利用する方式で、認証の完全自動化が可能
公的個人認証サービスの利用利便性・安全性が高いものの、マイナンバーカードのみが利用可能

2. 実装方式:自社プロダクトの形態と開発リソースで選ぶ

採用する本人確認方式(ICチップ読取など)が決まれば、次に実装方式を検討します。 ここでは、単にツール側の機能だけでなく、「eKYCを組み込む貴社のサービス」がどのような形態であるかによって、最適な選択肢が異なります。

自社でネイティブアプリを提供しているのか、Webブラウザベースのサービスなのか、また社内に開発エンジニアのリソースがどの程度あるかによって、選ぶべき実装方式は「API/SDK」か「ブラウザ/タグ」かに分かれます。

それぞれの実装方式について、「適したケース」と「導入時の注意点」を以下の表にまとめました。

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適したケース注意点
API/SDK・自社でネイティブアプリを提供している
・認証フローのUXを自社で細かく制御したい
・ICチップ読取をアプリ内で完結させたい
・アプリへの組込開発および検証に工数がかかる
・OSのアップデート対応など保守コストが発生する
ブラウザ/タグ・Webサービス(LP等)が起点である
・社内の開発リソースが不足している
・とにかく早期に導入したい
・デザインや導線の自由度に制約がある
・ICチップ読取には「App Clip」等への対応が必要

2027年4月以降の法改正を見据えてICチップ読取(または公的個人認証)を採用する場合、スマートフォンに搭載されたNFC機能を利用するため、基本的にはAPI/SDKを用いたネイティブアプリでの実装が必要となります。

Webブラウザベースでの実装を希望する場合、iOSにおける「App Clip」といった技術を用いれば、Webブラウザの手続きからシームレスにIC読取機能だけを呼び出すことが可能です。これにより、ユーザーにアプリのフルインストールを強いることなく、高い完了率(CVR)を維持できます。

ただし、こうした技術に標準対応しているeKYCサービスはまだ多くありません。「ブラウザ/タグ」での実装方式を検討しており、かつ2027年4月以降もシステムを使い続けたい(リプレイスメントを行いたくない)といった状況でしたら、eKYCサービスが「App Clipなどの技術に対応しているか」をサービス選定の条件に加えることをおすすめします。

3. 認証精度:許容する「エラー率」の基準を定める

実装方式が決まった段階で、自社が求める「認証精度」の基準を明確にしておくことが重要です。

ここでいう精度とは、単に不正検知率(偽造を見抜く力)だけを指すのではありません。「正当なユーザーを誤って拒否する確率(本人拒否率)」や、「目視審査に回る割合(非自動化率)」をどこまで許容できるかという方針決定が必要です。

たとえば、ICチップ読取を採用する場合でも、読み取り不良や暗証番号の入力ミスといったユーザー起因のエラーは避けられません。「不正を厳格に防ぐ代わりに、ユーザーの利便性が多少下がっても良いのか」、あるいは「ユーザーの離脱を防ぐために、ある程度のリスクや目視工数は許容するのか」といった方針によって、選ぶべきサービスや設定すべき閾値が異なります。

また、優れた認証精度を提供するeKYCサービスは、その分だけコストが高くなる傾向にあります。以下の指標について自社の許容ラインにあたりを付けておくことで、選定時の指標にできるだけでなく、お問い合わせ後のeKYCサービス提供企業からの提案を適切に評価できるようになります。

  • 本人拒否率(FRR): 本人が認証しようとしたのに失敗する割合で、UXを重視するのであれば、この数値ができる限り低いことを要件とします。
  • 自動承認率: 目視確認を必要とせずに、自動判定を完了できる割合です。

4. 運用設計:想定エラー数からBPOの要否を判断する

検討した認証精度の目安に基づき、実運用で発生する手作業のボリュームをおおまかに把握しておくことで、自社で対応可能であるかどうかを判断することができます。 eKYCを導入しても、すべての申請が自動で完了するわけではありません。読み取り不可や入力ミスなどのエラーが発生した場合、システム外での以下のような対応が必要になります。

  • 画像の目視確認: AIが判定できなかった画像を人間が確認する。
  • 郵送対応: どうしてもeKYCが完了できないユーザーに対し、転送不要郵便を送付して本人確認を行う。

これらの業務を、自社の既存リソースで賄えるかが選定のポイントです。 申請数が少ないうちは管理部門などの社内スタッフでの対応も可能ですが、件数が増えたり、土日祝日の即時対応を求めたりする場合、社内リソースだけでは対応しきれなくなるリスクがあります。

eKYCサービスの中には、ツール提供だけでなく、こうした目視審査や郵送手配などの周辺業務を「BPO(業務代行)」として提供しているものもあります。 自社で周辺業務を対応しきれない、あるいはコア業務に集中したいと判断される場合は、BPO対応のeKYCサービスを選び、アウトソーシングを検討するとよいでしょう。

5. コスト:初期・月額費用だけでなく、開発・運用にかかる総額で比較する

これまでの4つのステップ(本人確認方式、実装、精度、運用)を検討することで、eKYCのコスト構造が、見積書にある金額だけではないことがお分かりいただけたかと思います。 コスト比較を行う際は、初期費用や月額費用といった表面的な金額に加え、開発や運用にかかる「見えにくいコスト」を合算した総額で判断すべきです。

具体的には、以下の3つの要素を合計してシミュレーションを行います。

  1. サービスの利用料金(見積金額):
    • 初期費用、月額固定費、1回の申請あたりの従量課金などがこれに該当します。
  2. 開発・保守コスト:
    • ステップ2で検討した実装方式に関わる費用です。特にアプリへのAPI/SDK組み込みを選択する場合、エンジニアの開発工数が発生します。また、2027年の法改正に向けたシステム改修が将来的に必要になるかどうかも、長期的なコストに大きく影響します。
  3. 運用コスト(人件費):
    • ステップ4で検討した「目視審査」や「郵送対応」にかかる費用です。認証精度の低い安価なツールを選んだ結果、目視確認の件数が多くなってしまい、社内スタッフの人件費(またはBPO委託費)が高騰してしまうケースは少なくありません。

目先の月額料金が数万円安くても、エラー率が高く手作業に追われたり、数年後に大規模なシステム改修が必要になったりすれば、結果的に支払う総額は大きくなります。

自社だけで正確なシミュレーションを行うことが難しい場合は、こうした開発工数や運用体制の懸念点を含めて、eKYCサービス提供企業に相談してみるのも有効な手段です。

eKYCサービス別の導入事例と成果

ここからは、各eKYCサービスにおける導入事例を見ていきましょう。

各サービスの公式サイトでは多数の事例が記載されており、業界を問わず、業務効率化と顧客体験の向上が実現されています。

1. 日本生命保険相互会社:保険加入時の本人確認をオンラインで完結(ネクスウェイの本人確認ソリューション)

日本生命保険相互会社では、インターネットでの保険加入手続きにおいて、ネクスウェイの本人確認ソリューションを導入しています。

従来、保険契約時の本人確認は対面や郵送での対応が必要でしたが、eKYCの導入によりスマートフォン上で手続きが完結するフローを実現しています。これにより、顧客は時間や場所を選ばずに申し込みが可能となり、利便性が大幅に向上したとしています。

また、転送不要郵便の発送業務などもネクスウェイのBPOサービスを活用することで、高いセキュリティレベルを維持しながら社内業務の負荷軽減に成功しています。

2. 農林水産省:行政手続きのデジタル化でICチップ読取を活用(TRUSTDOCK)

農林水産省は、農林水産業に携わる事業者が補助金申請などを行う共通申請サービス「eMAFF」において、TRUSTDOCKのデジタル身分証アプリを導入しています。

マイナンバーカードのICチップ読み取り(公的個人認証)を活用することで、対面確認と同等以上の厳格な本人確認をオンラインで実現しています。これにより、申請者は役所の窓口へ出向くことなく手続きが可能となり、行政側の確認業務も大幅に効率化されました。行政DXにおいて、セキュリティと利便性を両立させた先進的な事例となっています。

3. CARRO JAPAN株式会社:データ回収工数を10分の1に削減(ProTech ID Checker)

中古車リース事業を展開するCARRO JAPAN株式会社では、申し込み時の本人確認プロセスがアナログであり、審査開始までのタイムラグが課題となっていました。

ProTech ID Checkerを導入し、スマートフォン完結型の本人確認に切り替えたことで、顧客の入力から審査完了までのスピードが飛躍的に向上したとしています。その結果、本人確認書類などのデータ回収にかかっていた工数が従来の10分の1に削減され、業務効率が飛躍的に向上しています。

eKYCの導入プロセスを5ステップで解説

ここからは、eKYCサービスの選定が完了した後、実際にeKYCを導入し、安定稼働させるまでのプロジェクト実務を5つのステップで解説します。

eKYCの導入5ステップ
  1. 導入目的の明確化とKPI設定
  2. 法的要件への対応
  3. システム実装と運用体制の設計
  4. システム実装後のテスト
  5. リリース後のモニタリングと監査証跡の保存

導入プロジェクトにおいては、「要件定義(KPI設定)」と「テスト工程」の質が、リリース後の成果(CVRや運用コスト)を左右します。

ステップ1:導入目的の明確化とKPI設定

選定段階で描いた導入目的を、プロジェクトチーム全体で共有可能な具体的な数値目標(KPI)に落とし込みます。

単に「本人確認を自動化する」だけでなく、「審査完了までのリードタイムを現在の3日から10分以内に短縮する」「申込完了率(CVR)を現状の〇%から〇%へ引き上げる」といった定量的なゴールを設定します。この目標値は、後述するテスト工程やリリース後の効果検証における判断基準となります。

ステップ2:法的要件への対応

選定した認証方式(ICチップ読取など)に基づき、具体的な画面仕様と法的整合性を確定させます。

法務部門と連携し、犯収法などの要件を満たすための「本人確認の同意文言」や「取引目的の選択肢」を画面にどのように配置するかを決定します。あわせて、プライバシーポリシーや利用規約の改定準備を進めます。

特に、外部のeKYCベンダーへ個人データを委託することになるため、個人情報保護方針の条文追加が必要になるケースが一般的です。

ステップ3:システム実装と運用体制の設計

開発エンジニアによるAPI/SDKの組み込み作業と並行して、運用担当者は「エラー時の対応フロー」を構築する必要があります。

システム連携においては、認証完了(または否認)のデータを自社の顧客データベースにどのように反映させるか、などといった仕様を設計します。

一方、運用面では「システムが自動判定できなかった場合」の業務フローを詳細化しておくといった実務が考えられます。具体的には、目視審査に切り替える基準や、ユーザーへの否認メールの文面作成、再提出依頼のタイミングなどをマニュアル化し、社内スタッフまたはBPO委託先へ共有する、といった実務になります。

ステップ4:システム実装後のテスト

本番稼働前に、ユーザー体験(UX)の観点と、システム安定性の両面から徹底した検証を実施します。

ここでは正常に完了するケースだけでなく、あえてエラーを起こすテストが重要です。「部屋が暗い状態で撮影する」「マイナンバーカードの暗証番号を間違える」といった、ユーザーが陥りやすい失敗パターンを網羅的にテストします。 これにより、エラーメッセージが適切か、ユーザーが迷わず再試行できるかを確認し、離脱要因を事前に排除することができます。

青井真吾
AOIS Consulting株式会社代表取締役
青井真吾
ひとこと解説

eKYCサービス導入において運転免許証やマイナンバーカードなど本人確認書類読み取り機能は特に重点的に検証しましょう。一般的にユーザーがアプリやWebサイトの利用を止めてしまう主な原因としては、ページの表示や処理が遅い、使い方がわかりにくい、などが挙げられます。

本人確認書類読み取りがスムーズに進められない場合もこれらと同じくユーザー離脱の最も大きな原因になりえます。

ステップ5:リリース後のモニタリングと監査証跡の保存

サービス開始後は、KPIの達成状況をモニタリングし、継続的な改善サイクルを実行することが求められます。

特にリリース直後は、想定外の理由でユーザーが離脱するケースが見受けられます。ログデータから離脱箇所を特定し、ガイドの文言修正などの微調整を行う、といった実務が発生する可能性があります。

また、コンプライアンスの観点からは、本人確認記録(監査ログ)が法令で定められた期間・形式で正しく保存されているかを定期的にチェックし、いつ当局の監査が入っても証跡を提出できる状態を維持することが不可欠です。

eKYCサービス比較でよくある質問(FAQ)

Q. eKYCサービスの比較で最も重要なポイントは何ですか?

A. 「2027年の法改正への対応力」と「運用設計の現実性」です。特に「2027年の法改正への対応力」は重要となっており、料金や機能一覧よりも前に、「ICチップ読取に対応しているか」、そして「自社のサービス形態(アプリ/Web)でそれを実現できるか」を確認することが最優先事項です。

また、「運用設計の現実性」を確認するためには、以下のような点を確認する必要があります。

  • 将来的に本人確認要件が変わった場合に方式変更へ柔軟に対応できるか
  • 外国籍ユーザーや高齢者など、例外ケースへの対応余地があるか
  • 審査オペレーション(自動/有人)の切り替えが現実的か

初期費用や単価の安さだけで選ぶと、後から仕様変更や追加開発が必要になり、結果的にコストと工数が膨らむケースも少なくありません。

将来的なリプレイスや改修コストを防ぐためにも、この2点は必ず確認してください。eKYCサービスの選び方にて、選定時に確認すべき事項についてより詳細に解説していますので、ぜひこちらをご覧ください。

Q. 無料で使えるeKYCサービスはありますか?

A. 完全無料で継続利用できる商用のeKYCサービスはありませんが、無料トライアルを提供するサービスはあります。多くのeKYCサービスでは、本番利用は従量課金または月額費用が発生します。一方で、一定件数までの無料トライアルや、期間限定の実証実験(PoC)を用意している事業者は比較的多く存在します。

無料トライアルや実証実験による比較・検討段階では、

  • 認証完了率(途中離脱がどれくらい発生するか)
  • エラー率(撮影失敗・差戻しの割合)
  • 審査にかかる時間(即時/数分/数時間)

といった指標をテストするのがおすすめです。実際のデータをもとに判断することで、自社サービスとの相性やUX面の課題を事前に把握できます。

おすすめeKYCサービス比較8選から、無料トライアルの有無や月額費用などを確認できます。

Q.対応している本人確認書類に違いはありますか?

A. 運転免許証やマイナンバーカードへの対応は標準的ですが、在留カードや特別永住者証明書などへの対応状況はeKYCサービスにより異なります。 特に「ICチップ読み取り」を行う場合、在留カードや特別永住者証明書などのICチップ仕様に対応しているかはeKYCサービスごとに差が出やすいポイントです。自社のターゲット顧客層が保有する書類に対応しているか、事前に仕様を確認してください。

Q.eKYCの導入にはどれくらいの期間がかかりますか?

A. 実装方式により、1週間から数ヶ月と幅があります。ブラウザ完結型やタグ埋め込み型であれば数日から2週間程度での導入も可能ですが、APIやSDKを用いて自社アプリに深く組み込む場合(特にICチップ読取を実装する場合)、要件定義から実装、テストを含めて1〜3ヶ月以上の期間を要することが一般的です。

まとめ

eKYCサービスは、単なる本人確認業務のデジタル化にとどまらず、自社サービスのユーザー体験(UX)やコンバージョン率に直結する重要なツールです。

また、2027年の法改正(本人確認書類撮影の廃止とICチップ読取への移行)を見据えて、選定基準は「現在の導入しやすさ」から「将来にわたる持続可能性」へとフェーズが移行しています。 事業者は以下のポイントを押さえ、法改正後も安定して稼働する本人確認基盤を構築する必要があります。

  • 将来リスクの排除: 目先の導入コストだけでなく、2027年4月以降の必須要件となる「ICチップ読取(公的個人認証など)」への対応力を最優先で評価し、早期のリプレイスリスクを回避する。
  • 実装技術の最適化: 自社サービスの形態(アプリ/Web)に合わせ、SDKによるネイティブ実装や、App Clip等の最新技術を活用し、コンプライアンスとUX(離脱防止)を両立させる。
  • 運用コストの可視化: 認証精度(エラー率)に基づく目視審査の工数を試算し、自社リソースだけで対応しきれない場合はBPO提供型のサービスを活用する。

法規制への対応は「コスト」と捉えられがちですが、適切な技術と運用設計を選択することで、不正リスクの低減と顧客体験の向上(UX改善)を同時に実現することが可能です。 自社の事業フェーズとリソース状況に合わせ、最適なeKYCサービスを選択してください。

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監修者
監修者 青井真吾 様

AOIS Consulting株式会社代表取締役

青井真吾

大学卒業後はIT企業に入社しシステムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発に従事。その後独立し、多くの企業のシステム開発・導入プロジェクトを支援している。人材派遣会社での基幹システム開発、ファッション業界でのSalesforce導入、製造業界でのSAP移行、エネルギー業界でのセキュリティインフラの構築など幅広く経験。現在はAOIS Consulting株式会社を立ち上げ、企業向けにITコンサルティングサービスを展開している。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
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