貴社のID管理は、本当に「安全」と言い切れるでしょうか?
現代ビジネスにおいて、クラウドサービスの普及とリモートワークの常態化は、企業のIDパスワード管理に新たな課題をもたらしています。
増え続けるアカウントの管理に、情報システム部門や総務部門は日々頭を悩ませ、その管理方法が適切でなければ、不正アクセスや情報漏洩といった重大なセキュリティリスクに直結しかねません。
実際、IIJの調査では、企業でID管理が「すべて適切に管理できている」と回答した割合はわずか8%に留まっています。(出典:IIJ【ID管理の実態調査】)
本記事では、なぜ今、強固なIDパスワード管理の必要性がこれほどまでに高まっているのかを深掘りし、企業が直面する具体的な課題を明確にします。
さらに、これらの課題を解決し、セキュリティを強化しながら業務効率を飛躍的に向上させるための最適なIDパスワード管理方法を徹底解説します。

ID管理システム比較・おすすめ決定版|選び方と導入メリットを徹底解説
SaaSの普及により、企業のID管理(Identity Management)は複雑化し、運用が限界に近づいています。 「入退社のアカウント発行・削除が追いつかない」「退職者IDが残る」「利用サービスを把握できない」 といった課題は、業務効…
目次
どうしてる?ID・パスワード管理の現状と潜む課題
企業におけるID・パスワード管理は、もはや個人の問題ではなく、組織全体のセキュリティと業務効率に直結する経営課題です。多くの企業が、その重要性を認識しつつも、具体的な課題に直面しています。
増え続けるID・パスワードと管理負担の増大
クラウドサービス(SaaSなど)の普及により、企業が利用するシステムやアプリケーションの数は年々増加の一途をたどっています。それに伴い、従業員一人ひとりが管理すべきIDとパスワードの数も爆発的に増大しています。
多くの企業では、これらのID・パスワードの管理を個々の従業員に任せており、その管理方法もメモ帳やノート、Excelなど多岐にわたるのが現状です。この個人任せの管理は、従業員の手間や負担を増やすだけでなく、結果としてパスワードの使い回しや簡素化が横行する原因となり、セキュリティリスクを高めています。
リモートワーク環境下でのセキュリティリスク
働き方改革や新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、リモートワークが急速に普及しました。これにより、PCやスマートフォン、タブレットなど多様な端末から社内システムやクラウドサービスにアクセスする機会が増加し、新たなセキュリティリスクを生み出しています。
例えば、自宅で使用している端末にパスワードが記録され、家族や友人によるアクセスリスク、カフェなど公共の場所での覗き見リスクも懸念されます。
また、監視の目が届かない環境では、パスワード管理がおざなりになる可能性も指摘されており、付箋にパスワードを書いてモニターに貼り付けるといった不適切な管理が行われることもあります。
退職・異動時のアカウント管理の煩雑さ
企業が特に頭を悩ませているのが、退職者や異動者が出た際のアカウント管理です。退職者のアカウント削除や権限変更がタイムリーに徹底されず、不正アクセスの温床となるケースや、共有アカウントのパスワード変更が曖昧になる問題が報告されています。
IIJの調査でも、「人事部との情報連携がタイムリーにできず、更新すべき情報の反映が遅れてしまう」という声が多く聞かれ、これが退職者のID削除遅延や、異動後の誤った権限付与に繋がる懸念があることが明らかになっています。
これらの手作業による管理は、設定ミスや管理漏れによるセキュリティ事故のリスクを増加させ、業務の属人化も引き起こします。
情報漏洩・不正アクセスがもたらす甚大な被害
パスワード管理の甘さが原因で、不正アクセスやアカウントの乗っ取りなどによる情報漏洩や金銭被害が数多く発生しています。情報漏洩は、企業に甚大な損害をもたらします。
- 不正ログインによるデータ改ざん・消去
- 顧客データや機密情報が不正に操作され、業務に支障をきたすだけでなく、復旧に多大なコストと時間を要します。
- 第三者への個人情報流出
- 顧客や従業員の個人情報が流出すれば、個人情報保護法に基づく報告義務や被害者通知に加え、取引先との契約違反(NDA違反)に発展する可能性があります。
- 事故・トラブル対応へのコスト発生
- 情報漏洩が発生した場合、原因究明、被害拡大防止、顧客対応、システム復旧など、多岐にわたる対応が必要となり、膨大なコストが発生します。
- 賠償金の請求
- 情報漏洩の規模や内容によっては、被害者からの損害賠償請求に発展し、数千万円以上の賠償金が発生する事例も報告されています。
- 企業としての信用やブランドイメージの失墜
- 一度失った信用を取り戻すのは容易ではありません。情報漏洩は企業のブランドイメージを著しく損ない、顧客離れや株価下落に繋がる可能性があります。
例えば、LINEヤフーの事例では、委託先従業員のPCがマルウェアに感染し、個人アカウント管理の脆弱性が原因でユーザー情報や取引先情報が流出する事態となりました。このような被害を未然に防ぐためにも、適切なID・パスワード管理体制の構築は喫緊の課題と言えるでしょう。
おすすめ!安全なパスワード管理の基本と具体的な方法
企業としてセキュリティを強化するためには、まず従業員一人ひとりが安全なパスワード管理の基本を理解し、実践することが不可欠です。
推測されにくい「強力なパスワード」の作り方
パスワードは、自分や家族の名前、生年月日、辞書にある単語など、他人から推測されやすいものを避けるべきです。また、同じ文字の繰り返し(aaaa)や安易な並び(123456, abcdef)も危険です。
安全なパスワードは、以下の特徴を持つことが推奨されます。
パスワードの「使い回し」が絶対NGな理由
複数のサービスで同じパスワードを使い回すことは、セキュリティリスクを大幅に高めます。
一つのサービスからパスワードが流出した場合、そのパスワードを使って他のサービスにも不正ログインを試みる「クレデンシャルスタッフィング」攻撃の標的となる可能性があります。これにより、被害が連鎖的に拡大し、甚大な損害に繋がる恐れがあります。IPAの調査によると、4~5割の人がパスワードを使い回していると報告されており、この習慣が大きなリスクを生んでいます。
多要素認証(MFA)でセキュリティを飛躍的に高める
ID・パスワードだけでなく、利用者本人しか知らない秘密の質問や、顔・指紋などの生体認証、ワンタイムパスワードなど複数の方法を組み合わせた多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication)の導入は、セキュリティレベルを飛躍的に高めます。
パスワードが漏洩しても、第二の認証要素がなければ不正ログインを防ぐことができるため、企業として積極的に導入を検討すべき対策です。
パスワードの保管方法とそれぞれの注意点
安全なパスワードを設定しても、その保管方法が不適切であれば意味がありません。主なパスワードの保管方法と、それぞれのメリット・デメリット、注意点を見ていきましょう。
自分の頭で記憶する
- メリット: 最も安全な方法であり、第三者に盗まれる心配がありません。
- デメリット: 多数の複雑なパスワードを記憶することは現実的に困難です。特に企業で多くのサービスを利用する場合、この方法だけでは管理しきれません。
ノートに手書きでメモする
- メリット: サイバー攻撃による漏洩リスクがない点がメリットです。NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)も推奨する方法の一つです。
- デメリット: 物理的な盗難や紛失のリスクがあります。誰もが見やすい場所に保管することは危険であり、鍵付きの書庫など安全な場所での保管を徹底する必要があります。
Excelやスマホメモに記録する
- メリット: 入力や変更が容易で、紙に書く場合と比較して利便性が高いです 。
- デメリット: ファイルが暗号化されていない場合や、デバイスのロックが不十分な場合に情報漏洩のリスクがあります。デスクトップなど分かりやすい場所に保存したり、ファイル名を「パスワード一覧」などにしたりするのは避け、ファイルは暗号化し、スマホの場合はロックをかける必要があります。
Webブラウザに保存する
- メリット: 自動入力の利便性が高く、ログインの手間が省けます。
- デメリット: PCの盗難やマルウェア感染時に情報が漏洩するリスクがあります 。特に金融関連など、被害が大きいサービスのパスワードはブラウザに保存しない方が安全です。
企業向けパスワード管理ツール/アプリの活用
パスワード管理ツールやアプリは、企業におけるID・パスワード管理の課題を包括的に解決する強力なソリューションです。
パスワード管理ツールとは?その機能とメリット
パスワード管理ツールは、安全性の高い複雑なパスワードを自動生成し、ユーザーに代わって自動入力する機能を備えています。これにより、多数のパスワードを覚える手間や、ログイン時の入力の手間が省け、業務が円滑になります。
保存されたパスワードは強力な暗号化(例: AES-256方式 )が施され、クラウド上のサーバーに安全に保管されるため、セキュリティが確保されます。また、マスターパスワードや生体認証によるアクセス制限、複数端末での同期機能も提供されます。
法人向けパスワード管理ツールの選び方
パスワード管理アプリはさまざまな会社からサービスが提供されているため、選ぶのに迷うかもしれません。法人利用を前提とした場合、以下のポイントを考慮して選定を進めましょう。
- セキュリティレベル・安全性の高さ
- ログインに二段階認証や指紋認証・顔認証が求められるか、パスワードがクラウド保管される際に強力な暗号化(例: AES-256方式)が施されているかを確認します。アプリそのものにもパスワードを設定できるものを選び、自分以外の人に勝手にパスワードを見られないようにすることが重要です。
- 対応OS・デバイス
- 従業員が使用する様々なOS(Windows, macOS, iOS, Android)やデバイス(PC, タブレット, スマートフォン)に対応しているかを確認し、マルチデバイス対応のツールを選ぶことで、場所を選ばずに利用できます。
- クラウド同期・バックアップ機能
- 万が一デバイスが故障した場合や機種変更時にデータを失わないよう、自動でデータを保存し、スムーズに引き継げるバックアップ機能の有無が重要です。クラウド型は端末間の同期がしやすいというメリットがあります。
- パスワードの登録可能数
- 企業の規模や利用するサービスの数に応じて、十分なパスワード登録数に対応しているかを確認します。
- 操作性・便利機能の有無
- 従業員全員が使いやすい直感的な操作性であるか、また、パスワードの安全性チェック機能 や、チーム内でのパスワード共有機能(Vault機能など) があるかを確認します。
- 価格(無料・有料)
- 無料で利用できるサービスもありますが、企業利用の場合は、より高度なセキュリティ機能やサポート体制を持つ有料版が安心です。
企業全体のID管理を最適化する「ID管理システム」の必要性
パスワード管理ツールが個々のパスワード管理を効率化する一方で、企業全体のアカウント管理、特にIDのライフサイクル管理(登録、変更、削除)やアクセス権限の統制には、より包括的なID管理システム(Identity Management System: IDM)の導入が不可欠です。
ID管理システム(IDM/IDaaS)とは?
ID管理システムとは、企業が従業員のIDに関連する申請・管理・費用などを一元管理し、業務効率化を進めるためのシステムで 。出張管理システムと同様に、ID管理システムもまた、企業内の複雑なプロセスを一元化し、効率とセキュリティを向上させることを目的としています。
近年では、クラウドベースでID管理機能を提供する「IDaaS(Identity as a Service)」の利用も急速に拡大しています。IDaaSは、従来のオンプレミス型IDMに比べて導入が容易で運用負荷が低いという特徴があります。
ID管理システム導入で得られる3つのメリット
ID管理システムを導入することで、企業は多岐にわたるメリットを享受できます。
業務効率化と生産性向上
ID管理システムを導入することで、アカウントの登録、変更、削除といった手作業が自動化され、情報システム部門や管理者の業務負担を大幅に軽減します。
従業員もパスワード忘れによる問い合わせが減り、複数のシステムへのログインが一度で済むシングルサインオン(SSO)機能 により、本来の業務に集中できるため、企業全体の生産性向上が期待できます。
強固なセキュリティ対策
ID管理システムは、統一されたパスワードポリシーの適用、複雑なパスワードの強制、多要素認証(MFA)の導入、そして退職者のアカウントの即時削除を可能にし、不正アクセスや情報漏洩のリスクを大幅に低減します。
特に、退職者のアカウント削除遅延による不正アクセスのリスクは、多くの企業が抱える深刻な課題であり 、ID管理システムはこれを根本的に解決します。
コンプライアンス遵守と内部統制強化
ID管理システムは、誰が、いつ、どのシステムにアクセスしたかのログを詳細に記録し、アクセス権限の管理を厳格化することで、個人情報保護法やJ-SOX法などのコンプライアンス要件への対応を支援します。これにより、企業全体の経費管理の透明性が向上し、監査対応も容易になります。
ID管理システム導入のコストと情報漏洩リスクの比較
ID管理システム導入には初期費用や月額利用料が発生しますが 、そのコストは、パスワード管理の不備による情報漏洩が発生した場合の損害と比較すれば、はるかに小さいと言えます。
情報漏洩による損害は、損害賠償、信用失墜、営業利益の損失など多岐にわたり、その被害額は数千万円以上に及ぶこともあります 。例えば、LINEヤフーの事例のように、個人アカウント管理の脆弱性が原因でユーザー情報や取引先情報が流出したケースもあります。
ID管理システムへの投資は、これらの甚大なリスクに対する「保険」であり、企業の持続的な成長を支えるための不可欠な投資と言えるでしょう。
自社に最適なID管理システムの選び方と導入事例
ID管理システムを導入し、最大限の効果を発揮させるためには、自社に適した製品を選ぶことが極めて重要です。
ID管理システムの主要機能と選定ポイント
ID管理システムには、企業全体のID管理を効率化し、セキュリティを強化するための様々な機能が搭載されています。
| 機能名 | 詳細説明 | 選定ポイント |
|---|---|---|
| シングルサインオン (SSO) | 一度の認証で複数のシステムやサービスにログインできる機能。 | 利用したいクラウドサービスや社内システムがSSOに対応しているか、SAMLやOpenID Connectなどの標準プロトコルに対応しているか。 |
| 多要素認証 (MFA) | パスワード以外の複数の認証要素(生体認証、ワンタイムパスワードなど)を組み合わせることでセキュリティを強化する機能。 | 自社のセキュリティポリシーに合った認証要素が提供されているか。 |
| アカウントプロビジョニング | 新規入社者のアカウント自動発行、異動時の権限変更、退職者のアカウント自動削除などを実現する機能。 | 人事システムとの連携が可能か、自動化の範囲はどこまでか。 |
| アクセス権限の設定と管理 | 従業員の役職や部署、業務内容に応じた適切なアクセス権限を細かく設定し、一元的に管理できる機能。 | 権限設定の粒度、管理のしやすさ。 |
| 監査ログとレポート機能 | 誰がいつどのシステムにアクセスしたか、どのような操作を行ったかなどのログを記録し、レポートとして可視化する機能。 | ログの保持期間、レポートのカスタマイズ性、監査対応への有効性。 |
| 既存システムとの連携性 | 既に利用しているActive Directory、LDAP、人事システム、会計システム、SaaSなどとの連携が可能か。 | 連携実績の豊富さ、API連携の柔軟性。 |
| 機能と価格のバランス | 必要な機能を網羅しているか、そしてその機能に見合った価格であるかを評価。 | 初期費用、月額利用料、ユーザー数に応じた料金体系。 |
| サポート体制と運用実績 | 導入時だけでなく、運用開始後のサポート体制(日本語対応、24時間365日対応など)が充実しているか、導入実績が豊富であるか。 | 導入後のトラブル対応、定期的なコンサルティングの有無。 |
| クラウド型かオンプレミス型か | クラウド型は導入が容易で運用負荷が低い一方、オンプレミス型はカスタマイズ性が高い。 | 自社のIT戦略、セキュリティポリシー、運用リソース。 |
ID管理システムそれぞれの機能や価格については『ID管理システム比較・おすすめ決定版|選び方と導入メリットを徹底解説』をご覧ください。
ID管理システム導入事例から学ぶ成功の秘訣
実際にID管理システムを導入し、課題を解決した企業の事例は、貴社が導入を検討する上で非常に参考になります。ここではGMOトラストログインの導入事例をご紹介します。
- 株式会社コシダカホールディングス様
- 多くの現場スタッフを抱える業態において、パスワードレス化を推進。IDaaS基盤の構築により、問い合わせ業務が激減し、DX推進を促進しました。
- 水ing株式会社様
- Microsoft 365導入をきっかけに社給端末とクラウドアプリのアカウント管理が課題に。システム導入によりアクセス時のセキュリティが強化され、管理工数を50%以上削減することに成功しました。
- 株式会社八芳園様
- SaaS導入推進でユーザーが管理するパスワード数が増え、管理・運用が課題に。ID・パスワードを集中管理し、問い合わせ件数を9割超削減しました。
これらの事例から分かるように、ID管理システムは、単にセキュリティを強化するだけでなく、情報システム部門や管理者の業務負担を軽減し、従業員の生産性向上にも大きく貢献します。

ID管理システム比較・おすすめ決定版|選び方と導入メリットを徹底解説
SaaSの普及により、企業のID管理(Identity Management)は複雑化し、運用が限界に近づいています。 「入退社のアカウント発行・削除が追いつかない」「退職者IDが残る」「利用サービスを把握できない」 といった課題は、業務効…
ID・パスワード管理の未来:パスワードレス認証の最前線
ID・パスワード管理の進化は止まりません。近年、セキュリティと利便性を両立する次世代の認証技術として注目されているのが、パスワードそのものを使用しない「パスワードレス認証」です。
パスワードレス認証とは?そのメリットと技術
パスワードレス認証は、従来のIDとパスワードに依存せず、他の要素(生体認証、PINコード、パスキーなど)で認証を行う方法です 。これにより、パスワードの流出リスクが根本的に解消され、不正ログインの恐れが軽減されます 。また、パスワードを覚える手間や定期的な変更が不要になるため、ユーザーの利便性が大幅に向上します 。
パスキー(Passkeys)の普及と将来性
パスキーは、FIDO Allianceが定めたパスワードレス認証の規格で、公開鍵暗号方式を利用します 。デバイスに保存された秘密鍵と認証サーバーの公開鍵のペアで認証を行い、フィッシングサイトに誤ってパスワードを入力するリスクを軽減します。
Google、Apple、Microsoftといった大手企業が積極的に採用しており、NTTドコモやメルカリなども導入を進めています。パスキーの普及により、「認証=パスワード」というこれまでの常識が変わり、パスワードを使用しない認証が当たり前になる時代が到来しつつあります。
その他の先進的な認証技術
パスキー以外にも、様々なパスワードレス認証技術の研究開発が進められています。
- 分散型認証(Decentralized Identity / DID)
- ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を用いて、個人が自身のID情報を管理・制御する仕組みです。プライバシー保護が強化され、自己主権型アイデンティティ(SSI)の実現に貢献します。
- 行動認証(Behavioral Biometrics)
- ユーザーのキーボード入力パターン、マウスの動き、スマートフォンの持ち方など、行動パターンに基づいて個人を識別する技術です。特別なデバイスを必要とせず、シームレスな認証体験を提供します。
この他、脳波認証(Brainwave Authentication / EEG)、心拍認証(Cardiac Signature)、量子認証(Quantum Authentication)なども研究開発が進められており、将来の認証技術の重要な要素として注目されています 。
AI技術の進化や量子コンピュータの登場により、生体認証の精度向上、行動認証の適用範囲拡大、量子認証技術の実用化が進み、完全なパスワードレス社会の実現、そして個人のプライバシーの完全保護が期待されています。
まとめ:貴社のID・パスワード管理を次のステージへ
企業のID・パスワード管理は、もはやIT部門だけの課題ではなく、セキュリティや業務効率、企業価値に直結する経営課題です。クラウド利用やリモートワークの普及により、手作業での管理は限界を迎えています。
そのため、ID管理システムやパスワード管理ツールの導入が不可欠です。これらは業務の自動化と一元管理を実現し、効率化とコスト削減を同時に達成します。
さらに、統一ポリシーや多要素認証、退職者アカウントの即時削除により、不正アクセスや情報漏洩リスクを最小化できます。アクセスログの記録や権限管理の厳格化によって、コンプライアンス強化にも貢献します。
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よくある質問(FAQ)
Q1.ID管理システムとパスワード管理ツールの違いは何ですか?
A1.パスワード管理ツールは、主に個々のユーザーが利用する多数のパスワードを安全に生成・保存・自動入力するためのツールです。
一方、ID管理システム(IDM/IDaaS)は、企業全体のアカウント(ID)のライフサイクル管理(登録、変更、削除)や、アクセス権限の統制、シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)の適用など、より広範なID管理を目的としたシステムです。
パスワード管理ツールが「パスワード」に焦点を当てるのに対し、ID管理システムは「ID」とそれに紐づく「アクセス権限」の全体的な管理と統制に焦点を当てています。
Q2.中小企業でもID管理システムは必要ですか?
A2.はい、中小企業でもID管理システムは必要です。専任のIT担当者を配置できない中小企業では、管理者が手探りで対処し、「どのアカウントが誰の手元にあるのか分からない」という危険な状況になりやすい傾向があります。
また、情報漏洩は企業の規模に関わらず甚大な損害をもたらす可能性があり、一度の漏洩事故で事業継続が困難になるリスクも報告されています。
ID管理システムは、限られたリソースの中でも効率的かつ安全なID管理体制を構築し、セキュリティリスクを低減し、コンプライアンスを遵守するために有効な投資と言えます。
Q3.パスワードを定期的に変更する必要はありますか?
A3.以前はパスワードの定期的な変更が推奨されていましたが、最近のセキュリティのベストプラクティスでは、強制的な頻繁なパスワード変更は推奨されていません。これは、頻繁な変更がユーザーの利便性を損ない、結果として推測されやすい弱いパスワードの使い回しに繋がりやすいリスクがあるためです。
その代わりに、以下の状況でパスワードを変更することが重要とされています。
- 情報漏洩や不正アクセスが確認された場合
- パスワードが第三者に知られた可能性がある場合
- 多要素認証(MFA)を導入し、パスワード以外の認証要素でセキュリティを強化している場合
Q4.ID管理システム導入にかかる期間や費用はどのくらいですか?
A4.ID管理システムの導入にかかる期間や費用は、企業の規模、既存システムの複雑性、導入する機能の範囲、選択するベンダーや製品(クラウド型かオンプレミス型か)によって大きく異なります。
一般的に、クラウド型IDaaSは導入が比較的容易で、数週間から数ヶ月で基本的な運用を開始できる場合があります。費用はユーザー数に応じた月額課金制が主流です。オンプレミス型は、より大規模なカスタマイズが可能ですが、導入期間は数ヶ月から1年以上かかることもあり、初期費用も高額になる傾向があります。
具体的な期間や費用については、複数のベンダーから資料を取り寄せ、自社の要件を伝えた上で見積もりを取ることをお勧めします。
Q5.リモートワーク環境下でのID管理で特に注意すべき点は?
A5.リモートワーク環境下では、以下の点に特に注意が必要です。
- デバイスのセキュリティ
- 従業員が使用するPCやスマートフォンなどのデバイスが適切にセキュリティ対策(OSの最新化、セキュリティソフトの導入、画面ロック設定など)されているかを確認し、私用デバイスの利用ルールを明確にする。
- ネットワーク環境
- 公衆Wi-Fiなど、セキュリティが不十分なネットワークからのアクセスは避けるよう指導し、VPN(仮想プライベートネットワーク)の利用を徹底する。
- パスワード管理の徹底
- 従業員がパスワードを付箋にメモしてPCに貼る、家族に見える場所に放置するといった不適切な管理をしないよう、定期的なセキュリティ教育とパスワード管理ツールの導入を推奨する。
- 多要素認証の導入
- パスワード漏洩時のリスクを軽減するため、すべての重要なシステムで多要素認証(MFA)の利用を義務付ける。
- アカウントのライフサイクル管理
- 退職者や異動者のアカウントが速やかに削除・変更されるよう、人事部門との連携を強化し、ID管理システムによる自動化を進める。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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