インタビュイー:
株式会社Hubble Partner Sales Manager 安田 氏
インタビュイー:
株式会社Hubble Partner Sales 奈良 氏
契約管理クラウドHubbleとは、どのようなサービスですか?
Hubbleは、契約書を最初から最後まで一気通貫で管理するCLM(Contract Lifecycle Management)サービスです。これまでの契約業務は、事業部門の方が様々な方法で契約を依頼し、それを法務部門が個別に対応して、お客様や経営者と相談しながら進めて、必要に応じて弁護士に相談して、というように、表面に出にくいけれども実際にやってみないと分からないご苦労が多い領域でした。Hubbleは、こうした一連の業務をすべて集約して一元管理し、リスクや法令違反との照らし合わせ、各社固有のルールとの確認、締結、契約内容の保管までを一気通貫で行えるサービスです。
リーガルテックというと法務部門の方を対象にしたサービスが多いのですが、Hubbleは法務に閉じず、契約書に関わるすべての部署を対象としています。実際、累計で約9万人にIDを発行させていただいておりますが、このうちの90%以上が法務部門以外の方です。法務の方だけを楽にするのであればAIレビュー機能だけでも成立するのですが、私たちは契約書を事業部門にも浸透させて、会社全体として効率を上げつつリスクを軽減し、現場のフローをあまり変えずに使っていただける状態にこだわっています。
Hubble開発の経緯と、契約業務に向き合うようになった背景を教えてください
少し代表の経歴に絡むお話なのですが、リーガルテック業界というと弁護士のバックグラウンドをお持ちの方が多いです。ところが当社の代表の早川は、もともと会計事務所に勤めていただけで、弁護士の経歴は一切ありません。会計事務所で働いていたときに、契約書を探すのが本当に大変で、ここをもう少し改善できないかというところからプロダクト開発を始めました。
当初から契約業務を全部管理しようと考えていたわけではなくて、最初に作ったのはWordをHubbleに保存するとバージョンが積み上がっていく、ごくシンプルなバージョン管理ツールでした。これがホリエモンさんにX(旧Twitter)でリツイートされまして、「これは絶対に伸びる」となって、お客様とお話しする中で機能を一つずつ拡張していきました。そして5年ほど前にAIが大きく出てきましたので、AIで解決できる範囲をさらに広げていったという流れです。
ただ、根本の思想は最初からずっと変わっていません。法務部門だけに閉じず、契約のバックグラウンドがない方でもきちんとUXを含めて使っていただけるサービスにする、ということです。代表自身も契約書に弁護士の方ほど詳しいわけではないという原点があるので、その目線が今のプロダクトの設計にも生きていると思います。
Hubbleならではの強みはどこにありますか?
明確な強みは、機能面というよりも設計の思想から来ている部分だと考えています。いま機能のお話で言いますと、たとえば「この契約書はこの方の承認が必要だからワークフローとして飛ばしませんか」というように、AIが自律的に動く仕組みを取り入れています。単に人がAIに指示を出して使うのではなく、AIを労働力として自律的に動かしていくというアプローチで活用しているのが特徴です。
機能面そのものは他社様も追いつけてくる部分だと思いますが、先ほどお伝えしたWordのバージョン管理を起点にしてきたおかげで、当社には他社様よりもかなり多くの契約書データが蓄積されています。AIは正確なデータをどう読み込ませるかでアウトプットが変わってきますので、機能の差というよりも、保有しているデータの差が大きな優位性になっています。
各社様ごとに、契約に対する取り組み方や「ここまでは許容できる」といった線引きがありますが、その情報は日々の契約業務のやり取りや、すでに締結が完了した契約書に蓄積されていきます。当社の場合は、そうした蓄積された情報をもとに、各社様の運用や判断基準に合わせた最適な形でAIがアウトプットしてくる仕組みになっています。一方で他社様のプロダクトは、一般的な観点や解釈から見たレビュー結果を返してくるものが多く、そこから自社の運用に合わせて判断し直す工程が必要になります。契約業務の各工程を単発で効率化するのか、契約業務全体の情報を集約したうえでAIが最適化していくのか。ここで生産性の上がり方がまったく変わってきますので、しっかりと差別化できている部分だと考えています。
お客様にもよくお伝えするのですが、当社のAIは、貴社のこれまでの歴史や過去の契約書をすべて把握していて、日本語だけでなく英語にも対応できる、非常に優秀な法務人材のようなイメージなんです。それが皆様の業務を一緒に伴走してくれる、そう捉えていただくと分かりやすいかと思います。
導入を主導されるのは社内のどの部署が多いですか?
法務部門が多いのはもちろんですが、DX推進のような部署からのご相談もかなり多くなっています。役職の面で申し上げますと、法務部門は人数が少ない企業様が多いので、役職を持っていらっしゃる方と現場のご担当者様が一緒に最初のご相談にお越しになるケースが多いですね。
相談が多い導入理由について教えてください
もっとも多いのは、「全社のガバナンスをきちんと統制したい」という、ある意味で概念的な理由です。これを少し噛み砕きますと、契約依頼の入り口の部分が、電話、メール、口頭などバラバラになっていて、誰が今どの案件を対応しているのか分からない、どんな契約書を誰が作っているのか把握できない、完成した契約書がどこに保管されているのかも人によってバラバラ、といったご状況が多いです。こうした課題に対して、入り口から出口まで一元的に管理したい、というのがご相談の中心になります。
そして、法務部門の方だけを解決しても、いま申し上げた入り口の部分はまったく解決しません。だからこそ、事業部門も巻き込んで会社全体で解決していきたい、というご相談が多くなっています。
ExcelやGoogle共有ドライブから乗り換える決め手はどこにありますか?
大きく2つあります。まずExcelやドライブでの管理ですと、どうしても手作業になるので抜け漏れが多く発生してしまいます。もう一つはGoogle共有ドライブのような環境ですと、閲覧権限を柔軟に設定するのが難しいケースが多いです。Hubbleでは、フォルダ単位、ドキュメント単位、契約書単位で細かく権限を設定できますので、現状の管理から乗り換えていただきやすいというお声をいただいています。
イメージとしては、純粋な乗り換えというよりも、ExcelやGoogle共有ドライブで管理してきたけれども、いま申し上げたような問題が表面化してきたので解消したい、というご相談が多いです。
導入によって、現場ではどのような変化が起きていますか?
数値的な部分で申し上げやすい事例ですと、ある企業様では契約書の件数が多く、その管理作業に週1時間ほどかかっていらっしゃったのですが、Hubbleで契約書をPDF化してアップロードしていただくと、相手方や契約期間といった項目をAIがすべて自動で入力しますので、1時間かかっていた作業が5分で終わるようになりました。これによって、本来注力すべき業務に時間を割けるようになったというお声をいただいています。
そして、契約業務の入り口から出口までしっかり整備されることで、案件発生から締結に至るまでのリードタイムがぐっと短くなります。これによって、相対するお客様側にも「この企業は契約が早いな」と感じていただけたり、本来注力すべき業務に時間を充てられるようになったり、というお声を非常に多くいただきます。
現場の声としては、リスクのない契約については法務に相談しなくても事業部門主導で締結する流れができあがっている、というケースもあります。雛形と全然変わっていなければレビューする必要がないわけですから、事業部門の方が自分たちで進めていけるようになる、ということです。少し業界が異なる例ですが、社宅を提供されている管理会社様では、2月や3月に各社からさまざまな条件で社宅を探したいという契約依頼が一気に集中するそうです。これを一件ずつ突き合わせるためだけに季節要員を雇わなければいけない状況だったところ、Hubbleを導入していただいたら、こうした繁忙期の契約対応を一気に整理できて、費用面でもかなり削減できたというお話もあります。
現場の声をもう一つ補足しますと、契約期限の管理は会社によって運用が異なりまして、総務や法務がExcelで管理して各事業部にアラートを飛ばしているケースもあれば、事業部側がそれぞれ管理しているケースもあります。どちらの場合も漏れが発生しやすいのですが、Hubbleですと「期限がいつまでですよ」というアラートメールが自動で担当の方に届きますので、管理の部分が非常に楽になったというお声をいただきます。
また、お客様から「この契約書のこの部分はどういう内容になっていたか」というお問い合わせが営業の方に入ることはよくあると思います。今までですと法務に確認を取って、法務も忙しいのでレスポンスが半日後、1日後になり、お客様をお待たせしてしまう。Hubbleでは事業部の方も使っていただけますので、自分に関連する契約書を自分ですぐに探しに行けて、契約書が読みづらい場合でもAIに「この情報を教えてください」「内容を要約してください」とボタン一つで聞けますので、お客様への返答が非常に早くなり、信頼性の向上にもつながっています。
Hubbleが特に向いている企業について教えてください
業界の観点で申し上げますと、契約書の件数が多い業界、たとえば不動産や中小企業様向けにサービスを提供されている会社様などが向いています。一方で、契約書の件数はそこまで多くなくても、雛形通りに進まずに細かなチェックが必要になる業界、たとえば製薬業界やメーカーといった領域もしっかりお力になれる領域です。契約書はどの業界でも発生しますので、正直なところどの業界でもお話に伺える領域だと感じています。
成功パターンとしては、契約書の件数が多くて単純に作業時間を短縮したい企業様はもちろんですが、特定の法務担当の方の業務に依存してしまっていてリスクが高い、属人化したナレッジを社内に展開したい、というご相談から導入が決まるパターンも多いです。さらに、契約業務は法務だけのものではなく会社全体として最適化していく取り組みである、というところにご理解をいただける企業様であれば、契約までスムーズに進みます。
導入時のサポート体制について教えてください
当社のプロダクトは、契約業務の一点だけを解消するものではなく、業務フローの構築や改革にも携わっていきますので、まずお客様の契約業務を本当によく理解することが必要になります。そのため、他のベンダーと違うところとして、ヒアリングをしっかり行ったうえで、現状の業務フローを大きく変えずにどう最大限効率化していけるかというディスカッションを丁寧に重ねています。
サポートの部分で申し上げますと、最近はチャットボットが対応するプロダクトもあるなかで、当社はこれだけAIを推している立場でありながら、チャットでのサポートはすべて人が対応しています。これは、過去にどのようなご質問をいただいたかという文脈を把握したうえで適切に回答していくとなると、ここはまだ人が対応するほうが良いと考えているからです。お客様に誤った情報をお伝えしないというところは、かなり意識して取り組んでいます。
導入初期だけでなく、継続的に専属のカスタマーサポート担当が各社様につく体制をとっています。当社のプロダクトは新規機能の開発と提供をかなり頻繁に行っていますので、そのタイミングで都度ご状況をお伺いしたり、便利な機能ができましたとご紹介したりして、継続的にお客様との接点を取るスタンスです。こうした取り組みが、サービスの継続率の高さにもつながっていると考えています。
料金体系と今後の展望について教えてください
料金は、ID数と契約書を格納する件数によって変動し、加えてセキュリティ周りなどの細かなオプションによっても変わってきます。1番変動が大きいのはどこまでの範囲、何IDで使っていくかという部分ですので、実際のセールスからの提案の中で、お客様の業務課題をヒアリングしたうえで、最適なご利用範囲をご案内する形にしています。
今後の展望としましては、AIが自律的に人のサポートをするというところを目指しています。人の手を介さずに一定の業務は自動でAIがいろいろな情報を集約し、最終的に人が判断するべきところは人が判断する。判断の部分は変わらないのですが、それまで人がやっていた業務をAIが正確に担っていく形で、プロダクトとして強化しています。昨年7月からは「20週連続開発」という取り組みを進めまして、新しい機能を毎週出しています。AIをただ便利な道具としてではなく、業務の労働力として提供していく、というところを強化していきたいと考えています。
その先に見えているのは、これからの法務の仕事のあり方そのものが変わっていくのではないか、ということです。今までの法務の仕事は契約書を作る、レビューする、リスクを洗い出すといったところが中心でしたが、その部分はAIが担えるようになってきています。これからの法務は、全社を含めた業務の基盤をどう整備するか、という領域に近づいていくのではないかと考えていまして、Hubbleの導入を通してその移行を一緒に伴走していけるようにしていきたいです。
まとめ・編集部コメント
株式会社Hubbleが提供する「Hubble」は、契約書の作成から審査依頼、締結後の管理までを一気通貫で支援するCLM(Contract Lifecycle Management)クラウドです。Wordのバージョン管理を起点に育ってきた経緯から契約書データの蓄積量が大きく、そのデータをもとに各社固有の運用や判断基準に合わせたAIアウトプットを返せる点が、他のリーガルテックとの大きな違いとなっています。
契約業務のガバナンスを全社で統制したい企業様、ExcelやGoogle共有ドライブでの管理に限界を感じている企業様、属人化した契約ナレッジを社内に展開したい企業様にとって、有力な選択肢となるサービスです。一度ご相談されてみる価値のあるサービスだと感じます。