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取締役会議事録は電子化できる?電子署名の法的要件と会社法、事例まで解説

コンプライアンス強化やIPO準備を進める企業において、取締役会議事録の電子化は避けて通れない課題です。かつては出席役員全員から実印による押印を集める業務が必須でしたが、法改正や法務省見解の変更により、現在はクラウド型電子署名での運用が広く認められています。

しかし、監査法人が求める証跡の確保や、商業登記(特に代表取締役選定時)における厳格な署名要件など、実務担当者が押さえるべき法的論点は多岐にわたります。本記事では、取締役会議事録の電子化に関する法的根拠から、監査対応を見据えたシステム選定のポイント、そして主要サービスの機能比較や導入事例までを解説します。

この記事を読むとわかること
  • 会社法および法務省見解に基づく取締役会議事録電子化の適法性
  • 商業登記(代表取締役選定など)で電子署名を用いる際の注意点
  • 電子契約システムに必要となる要件
  • 取締役会議事録の電子化におすすめの電子契約システム
  • 電子契約システムによる電子化の事例

取締役会議事録の基礎知識と押印義務

電子化の手順に入る前に、そもそも取締役会議事録にはどのような法的義務が課されているのか、基本原則を確認しておきましょう。

取締役会議事録とは

取締役会議事録とは、会社法で作成が義務付けられている、取締役会が開催された日時・場所・出席者、そして決議事項や議事の経過などを記録した法定文書です。

株主や債権者からの閲覧請求に応じる必要があるほか、会社法上の訴訟における重要な証拠としても機能します。そのため、会社法で定められた厳格なルールに従って作成・保存する必要があります。

法律で定められた「署名または記名押印」の義務

紙で議事録を作成する場合、会社法第369条第3項により、出席した取締役および監査役全員が、その議事録に対して「署名」または「記名押印」を行うことが義務付けられています。

会社法 第369条第3項 取締役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した取締役及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

実務上は、文書の真正性を担保するために実印(代表印や個人の実印)を用いることが一般的でしたが、これがテレワーク普及に伴い、ハンコ出社の原因や業務停滞の要因となっていました。この「署名または記名押印」の義務を、デジタル技術でどのように代替するかが、次章で解説する電子化の法的論点となります。

取締役会議事録における電子署名の法的根拠

取締役会議事録の電子化は、会社法によって明確に認められています。かつては解釈が曖昧な部分もありましたが、2020年の法務省による見解統一により、実務上の懸念は払拭されました。

会社法第369条と電子化の容認

前述の通り、紙の議事録には署名や押印が必須ですが、議事録が電磁的記録(電子データ)で作成されている場合の対応については、会社法第369条第4項で以下のように規定されています。

会社法 第369条第4項 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

このように、取締役会議事録が電磁的記録(電子データ)で作成されている場合、出席した取締役および監査役は「署名または記名押印に代わる措置」をとらなければならないと規定されています。この「代わる措置」として、会社法施行規則第225条は「電子署名」を定めています。

つまり、PDFなどで作成した議事録に対し、適切な電子署名を付与することで、紙の議事録に記名押印したものと同等の法的効力が認められます。

「立会人型」電子署名の適法性

2020年5月、法務省は「利用者の指示に基づきサービス提供事業者が電子署名を行う方式(いわゆる立会人型)」についても、取締役会議事録への署名として有効であるとの見解を示しました。法務省は主な経済団体に、以下のような通知を行っています。

会社法上、取締役会に出席した取締役及び監査役は、当該取締役会の議事録に署名又は記名押印をしなければならないこととされています(会社法第369条第3項)。また、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合には、署名又は記名押印に代わる措置として、電子署名をすることとされています(同条第4項、会社法施行規則第225条第1項第6号、第2項)。


当該措置は、取締役会に出席した取締役又は監査役が、取締役会の議事録の内容を確認し、その内容が正確であり、異議がないと判断したことを示すものであれば足りると考えられます。したがって、いわゆるリモート署名やサービス提供事業者が利用者の指示を受けて電子署名を行うサービスであっても、取締役会に出席した取締役又は監査役がそのように判断したことを示すものとして、当該取締役会の議事録について、その意思に基づいて当該措置がとられていれば、署名又は記名押印に代わる措置としての電子署名として有効なものであると考えられます。

従来、電子署名には「当事者型(ICカードやローカルの電子証明書を用いる方式)」が必要とされる傾向がありましたが、この見解により、クラウドサインやGMOサインなどといったクラウド型の電子署名サービスの利用が、法的にも問題ないことが確認されています。これにより、リモートワーク環境下でも、URLへのアクセスとメール認証によって迅速に署名を完了させる運用が可能となりました。

商業登記における注意点と運用

一般的な取締役会議事録であれば前述のクラウド型(立会人型)電子署名で問題ありませんが、「商業登記」を伴う議事録については、手続き上の厳格なルールが存在します。安心して登記申請を行うためには、法務省の指定を受けたサービスを利用することが重要です。

通常の登記申請と「立会人型」の利用

商業登記申請では、利用する電子署名サービスが法務省の定める認定基準を満たしている必要があります。 法務省は「商業登記申請において利用可能な電子署名サービス」の一覧を公開しており、 これらの指定サービスを利用して作成された議事録であれば、役員の重任(再任)や本店移転など、多くの登記申請において、クラウド事業者が発行する「電子署名証明書」を添付することで受理されます。

代表取締役選任時の特例

最も注意が必要なのは、新たに代表取締役を選任する取締役会の議事録です。 商業登記規則において、新たに代表取締役を選任する議事録には、作成者(出席取締役)の実印と印鑑証明書の添付が義務付けられています。

商業登記規則 第61条第6項 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。


一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑

このケースでは、一般的な「メール認証のみの立会人型電子署名」では要件を満たさない場合があります。対応策として、以下のいずれかの方法を検討する必要があります。

  1. 公的個人認証の利用: マイナンバーカード等を用いた電子署名(当事者型)を行う。
  2. 商業登記電子証明書の利用: 法務局が発行する電子証明書を用いる。
  3. ハイブリッド運用: 通常の議事録は電子化し、代表取締役選定議事録のみ紙で作成して実印を押印する。

クラウドサインやGMOサインなどの主要な電子契約システムでは、マイナンバーカード連携オプション等を提供しており、これらを活用することでフルデジタル化が可能であると考えられますが、導入時には司法書士等の専門家に確認することを推奨します。

IPO・監査対応を見据えたシステム要件

上場準備企業や監査法人による監査を受ける企業にとって、単に「電子化できる」だけでは不十分であると考えられます。内部統制の観点から、以下の機能要件を満たすシステムを選定する必要があります。

署名者表示機能(本人性の証明)

システム選定において見落としがちなのが「署名者表示機能」です。 会社法施行規則第225条第2項では、取締役会議事録における「電子署名」の定義として、以下の2つの条件を定めています。

会社法施行規則 第225条第2項 前項に規定する「電子署名」とは、電磁的記録に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。


一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

第2号に記載のある「非改ざん性」については多くの電子契約サービスが備えていますが、第1号に記載のある「本人性(誰が作成したかを示すこと)」を明確に満たすためには、電子署名されたPDFファイル上やプロパティ画面で、署名者の氏名が視認・確認できる「署名者表示機能」を備えていることが望ましいです。 監査法人や登記官がファイルを開いた際、誰が署名したかがひと目でわかる仕様になっているかを確認しましょう。

出典:会社法施行規則|e-Gov法令検索

厳格な権限管理とワークフロー

取締役会議事録には、その時点では未公開の経営戦略や人事情報などのインサイダー情報が含まれる可能性があるため、社内であっても閲覧範囲を厳格に限定する必要があります。 株主からの閲覧請求には適切に応じる必要がありますが、システム上では「取締役と監査役、および一部の事務局のみがアクセス可能」といったロール(役割)ベースの制御が不可欠です。

また、署名依頼の送信プロセスにおいても、担当者が独断で送信できないよう、社内承認を経ないと外部(取締役)へ送信できない「固定ワークフロー機能」が実装されている電子契約システムを用いるのが望ましいです。これにより、誤送信や承認プロセスの不備を防ぎ、内部統制を強化することができます。

監査証跡の確保

「いつ、誰が、どのIPアドレスから、何をしたか」という操作ログが、改ざん不可能な状態で記録される必要があります。監査法人から契約プロセスや承認の真正性を問われた際、システムから出力される「合意締結証明書」や「監査ログ」が証跡として機能します。

セキュリティとIPアドレス制限

金融機関やFinTech企業など、高いセキュリティレベルが求められる組織では、社外ネットワークからの管理画面へのアクセスを遮断する「IPアドレス制限」機能が重要です。また、多要素認証(MFA)の強制適用など、不正アクセス対策が充実しているサービスを選ぶべきです。

取締役会議事録の電子化におすすめの電子契約システム比較

国内でシェアを持つ代表的な2つの電子契約システムについて、取締役会議事録の電子化という観点から比較・分析します。

クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

クラウドサイン

国内売上シェアNo.1の実績を持ち、多くの社外取締役や監査役がすでにアカウントを持っている可能性が高いサービスです。UIが洗練されており、ITリテラシーが高くない役員でも直感的に操作できる点が最大の強みです。 また、商業登記にも対応しており、法務省の指定する署名要件を満たしています。監査対応向けの機能も充実しており、IPアドレス制限やSSO(シングルサインオン)などのセキュリティ機能が標準またはオプションで提供されています。

  • 売上シェアNo.1、導入企業250万社、自治体導入数も国内最多、スタートアップから大企業、行政機関まで幅広く導入
  • 弁護士監修のもと、電子署名法・電子帳簿保存法など最新の法令に完全対応
  • 誰でも迷わず使える直感的なUIで、契約締結をスムーズに完了

注意したい点として、基本機能は利便性の高い「立会人型」が中心です。代表取締役選定などで必要な「マイナンバーカード署名」を利用するには、対応するプランの契約が必要となる場合があります。自社の登記運用フローに合わせて、適切なプラン構成を確認する必要があります。

GMOサイン(GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社)

GMOサイン

「立会人型(契約印タイプ)」と「当事者型(実印タイプ)」の両方を1つのプラットフォームで使い分けられるハイブリッド署名が特徴です。 こちらも、クラウドサインと同じく商業登記に対応しており、法務省の指定する署名要件を満たしています。特に、マイナンバーカード連携機能に強みを持っており、前述した「代表取締役選定」のような厳格な本人確認が求められるシーンでも、スムーズにシステム上で完結しやすい仕様です。また、コストパフォーマンスに優れており、送信コストを抑えたい企業に適しています。

  • 国内シェアNo.1、導入企業数350万社超、累計送信件数5,000万件
  • 当事者型・立会人型の両方式に対応し、契約重要度に応じた運用が可能
  • IP制限・二段階認証・監査ログなど、高度なセキュリティ機能を標準搭載

【比較表】取締役会議事録の電子化におすすめの電子契約システム

以下はご紹介した電子契約システムの比較表です。いずれも当事者型・立会人型の両方式に対応しており、法務省の指定を受けたサービスとなっています。

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クラウドサインGMOサイン
ロゴ
提供会社弁護士ドットコム株式会社GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社
署名タイプ立会人型 / 当事者型立会人型 / 当事者型
商業登記対応
マイナンバーカード連携
監査証跡機能
IPアドレス制限
詳細情報公式資料はこちら公式資料はこちら

また、以下の記事では電子契約システムについて、選び方や機能などを詳細に解説しています。導入を検討される方は、ぜひこちらもご覧ください。

電子契約システムによる取締役会議事録の電子化事例

すでに大手インフラ企業から成長中のテック企業まで、多くの企業が取締役会議事録の電子化によって「意思決定スピードの向上」や「グループガバナンスの強化」を実現しています。ここでは、クラウドサインとGMOサインを活用した代表的な事例を紹介します。

1. 九州旅客鉄道株式会社(JR九州):議事録電子化が「グループDX」の突破口に(クラウドサイン)

JR九州グループは、グループ会社の取締役会議事録を電子化する目的でクラウドサインを導入しています。 かつては紙の議事録を回覧・押印するために多大な手間がかかっていましたが、2022年4月にグループ会社での運用を開始。操作性の良さが評価され、その後、社内規程を整備した上で契約業務全般へと利用範囲を拡大しました。現在では取締役会議事録の電子化だけでなく、グループ全体で年間5,000件を超える契約・署名業務の電子化を見込んでいます。

2. 東日本電信電話株式会社(NTT東日本):法適用の検討を経て、契約業務から「議事録」へ横展開(クラウドサイン)

NTT東日本は、すでに契約業務で定着していたクラウドサインを、取締役会議事録にも活用範囲を広げた事例です。 導入にあたっては、法務省の見解や会社法の要件を丁寧に調査し、コンプライアンス上の懸念を払拭。特に、社外取締役のメールアドレス運用などの実務フローを確立することで、スムーズな電子化を実現しています。既存の契約基盤をガバナンス領域へ有効活用した好事例です。

3. 株式会社マクアケ:上場企業として早期から導入し、スピード経営を実現(GMOサイン)

クラウドファンディングサービス「Makuake」を運営する株式会社マクアケは、2018年という早い段階からGMOサインを導入しています。 コンサルティング契約書などの対外的な文書だけでなく、社内の重要文書である取締役会議事録にも活用。ITベンチャーならではのスピード感を損なわないよう、場所を選ばずに署名できる環境を整備し、意思決定から記録の確定までのリードタイムを短縮しています。

まとめ

取締役会議事録の電子化は、業務効率化だけでなく、ガバナンス強化の観点からも推奨される取り組みです。法的な懸念は解消されており、多くの企業がすでに移行を完了しています。

  • 通常の議事録: クラウドサイン、GMOサインともに問題なく利用可能。
  • 登記が必要な議事録: 「立会人型」で対応可能だが、代表取締役選定時(特に新任時)はマイナンバーカード署名等の要件に注意が必要。
  • 選定基準: 監査対応(ログ・権限管理)と、役員にとっての使いやすさ(UI)を重視する。

自社のセキュリティ要件と、商業登記の頻度や重要度を照らし合わせ、最適なサービスを選択してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 電子署名した議事録の保存期間は?

会社法第371条により、取締役会議事録は本店に10年間備え置く必要があります。電子データの場合も同様に10年間の保存義務があります。システム上で長期保存が可能か、あるいはバックアップデータを自社サーバーに保存できるかを確認してください。

出典:会社法|e-Gov法令検索

Q. 監査役も電子署名が必要ですか?

はい。会社法上、出席した取締役および監査役全員の署名(または記名押印)が必要です。監査役にもアカウントを発行するか、署名用URLを送付して署名を依頼してください。

Q. 過去の紙の議事録をスキャンして電子化できますか?

過去の議事録をPDF化して保存することは可能ですが、それは「保存」の話であり、原本としての効力はあくまで紙にあります。今回解説した「電子署名による作成」は、最初から電子データとして作成する場合の手順です。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修者は記事の内容について監修しています。
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