インタビュイー:
トキコシステムソリューションズ株式会社 燃料供給システム営業部 担当課長 工藤 氏
AI給油システム「Ai-Mille(アイミル)」とはどのようなサービスですか?
Ai-Milleは、セルフサービスステーション(セルフSS)における給油監視・許可業務を、AIで支援するシステムです。カメラやセンサーを活用して給油時の状況を確認し、一定の条件を満たした場合にはAIが給油許可を行います。
一方で、AIで判断できない場合や異常を検知した場合には、スタッフへ判断を引き継ぎます。たとえば携行缶が持ち込まれたときや、お客様が給油中にその場を離れたときなどは、AIが火災などの危険につながる状況を検知してスタッフにお知らせし、危険な場合は給油を停止します。スタッフは、無線LAN環境のあるSS内であれば、携帯端末のSSC®で状況を確認することができます。安全性を確保しながら、給油監視・許可業務の負担を軽減し、SS運営の効率化に貢献するのがAi-Milleの役割です。
Ai-Milleを開発された背景を教えてください
SS業界では、人手不足への対応と、地域の燃料供給インフラをいかに維持していくかが大きな課題になっています。こうした背景から、AIを活用して給油監視業務の効率化と安全性の向上を両立することを目指し、2018年から実証実験を重ねてきました。
さまざまな給油環境で検証を行いながら、実際のSSで安心してお使いいただけるシステムを目指して開発を進めてきました。2026年2月には危険物の規制に関する規則が改正され、セルフSSに「条件付自動制御装置」を設置できるようになりました。Ai-Milleも、2026年5月に危険物保安技術協会による条件付自動制御システムの審査を経て認証を取得し、販売を開始しています。
他社と比較した際のAi-Milleの強みはどこにありますか?
Ai-Milleは、1レーンにつき、デジタルズーム機能を搭載したAI給油監視専用カメラ1台と、火気検知用の紫外線センサ1台で監視する構成になっています。
AIには、人物や車両、携行缶など、さまざまな給油シーンの画像を学習させ、判定精度の向上を図っています。この画像によるAI判定と、紫外線センサによる火気検知を組み合わせている点が、Ai-Milleの大きな特徴です。
従来の監視員による給油許可と比べて、何が変わるのですか?
これまでは、スタッフが監視画面を確認し、その都度給油許可を行う必要がありました。Ai-Milleでは、カメラ・センサーとAIの画像解析によって給油状況を確認し、一定の条件を満たした正常な給油については、AIが給油許可を行います。
確認しているのは、ノズルの挿入、人物や人数、車両、携行缶・ポリ缶、火気や喫煙行動などです。AIで判断できない場合にはスタッフへ引き継ぎますので、すべてをAIに任せるのではなく、AIと人がそれぞれの役割を担う仕組みとしています。
どのような理由で導入のご相談をいただくことが多いですか?
主なご相談としては、人手不足への対応や給油許可業務の負担軽減、店舗運営の効率化があります。特に、給油許可のためにスタッフがその都度作業を中断しなければならない店舗では、AIによって許可作業を減らし、その時間を接客や店舗業務などに充てたいというニーズがあります。
また、給油時のリスク行動を適切に検知して、安全監視をより確実に行いたいというご相談もいただいています。
導入を検討する際は、どのような点が判断軸になりますか?
店舗ごとに運営形態が異なりますので、単純な人員削減だけで判断するのではなく、現在どの程度の時間を給油監視・許可業務に費やしているか、導入によってスタッフをほかの業務へ振り向けられるか、という点が重要な判断軸になると考えています。
そのため、現状の課題や設備条件、導入費用と期待される効果などを確認した上で、そのSSに合った導入方法をご検討いただくことが大切です。
導入によってどのような効果が出ていますか?
実証試験では、人による1日あたりの給油許可業務を約85〜88%削減した実績が得られました。実際に、給油監視業務の専任者を別の業務に充てた店舗もありました。
導入効果を見る上では、給油許可業務がどの程度減ったかに加えて、スタッフが給油許可のために作業を中断する回数や、ほかの業務へ振り向けられた時間などが分かりやすい指標になると考えています。単純な人員削減だけでなく、スタッフが接客や店舗運営などにどれだけ時間を使えるようになったかも、重要な効果の一つです。
Ai-Milleはどのようなサービスステーションに向いていますか?
特に、人手不足に課題を感じているSSや、給油許可業務によってスタッフのほかの業務が中断されることが多いSSでは、導入効果を感じていただきやすいと考えています。
ただし、AI給油システムは、導入すればすべてを無人化できるというものではありません。店舗ごとの運営状況や設備条件を確認し、AIとスタッフの役割分担を整理した上で運用していただくことが重要です。
2018年からの実証実験で得た知見は、導入支援にどう活かされていますか?
2018年以降、実際のSS環境で実証を重ねる中で、さまざまな給油状況を確認してきました。その知見は、AIの判定だけでなく、導入時の現地確認やカメラなどの設備構成、運用方法の検討にも活かしています。
導入にあたっては現地調査を実施し、設備条件などを確認した上で、見積りやシステム構成をご提案しています。導入後についても、保守契約を前提としたサポート体制を設けています。
導入費用はどのように決まりますか?
導入費用は一律ではなく、給油レーン数や既存設備の構成、必要となるカメラやAI関連機器、通信環境、設置工事の内容などによって変わります。
そのため、事前に現地調査を行い、SSの設備状況や運用条件を確認した上で、店舗ごとに最適なシステム構成を検討し、個別にお見積りしています。
今後の展望を教えてください
今後もまずは、セルフSSにおける給油監視業務の負担軽減と安全性の両立に取り組んでいきたいと考えています。SSを取り巻く環境では人手不足への対応が重要な課題になっていますので、AIに任せられる部分とスタッフが判断する部分を適切に分担し、スタッフが接客や店舗運営など、より必要な業務に時間を使える環境づくりに貢献していきたいと思っています。
また、実際のSSで得られる知見を今後のシステムや運用の改善に活かし、より使いやすい仕組みを目指していきます。
まとめ・編集部コメント
トキコシステムソリューションズ株式会社が提供する「Ai-Mille(アイミル)」は、セルフSSの給油監視・許可業務をAIで支援するシステムです。人手不足と地域の燃料供給インフラの維持という業界課題を背景に、2018年から実際のSS環境で実証実験を重ねて開発されました。2026年の規則改正を受け、危険物保安技術協会の認証を取得して販売が始まっています。
特徴は、1レーンあたりAI給油監視専用カメラと紫外線センサを1台ずつ組み合わせ、画像によるAI判定と火気検知の両面から給油状況を確認する構成です。実証試験では1日あたりの給油許可業務を約85〜88%削減した実績があり、監視の専任者を別の業務に充てた店舗も出ています。AIで判断できない場面はスタッフに引き継ぐという、AIと人の役割分担を前提にした設計である点も、安全面を重視するSS事業者にとって安心材料になると考えられます。
導入費用は現地調査を経て店舗ごとに見積もる形のため、まずは自店舗で給油許可業務にどれだけの時間を費やしているかを把握した上で相談するのがよいでしょう。人手不足に悩むセルフSSや、給油許可のたびに作業が中断されている店舗にとって、検討してみる価値のあるサービスです。