インタビュイー:
株式会社カオナビ パートナーセールス本部 リージョナルパートナー1グループ マネージャー 田中 瑛一 氏
カオナビとはどのようなサービスですか?
カオナビは、タレントマネジメントシステムを中心とした人事系のサービスです。従業員の情報を一元的に管理し、配置や評価、育成といった人事の取り組みに活用していただけるようになっています。
カオナビを開発することになった背景を教えてください
創業者がもともと人事の出身でして、現場でマネジメントを行う中で、社員の顔と名前が一致しないという課題を感じていたことが出発点です。あわせて、あるお客様が人材配置を検討する際に、ホワイトボードに顔写真を貼って、このメンバーをこの部署へ異動させる、といったフォーメーションを考えていらっしゃいました。これをシステムにできれば非常に便利ですし、その人の得意なことや経験、背景といった情報も加味しながら、もっとシステマチックに配置を検討できると考えたのが最初のきっかけです。
そこから従業員のポテンシャルを発揮していただくために人材データベースをシステム化し、2012年に事業を開始しました。その後、人事のモジュールや組織図、サーベイ、人材育成のためのLMSなど、配置や育成に関わる機能を追加して、現在のサービスになっています。
競合サービスと比べた際のカオナビの強みはどこにありますか?
一般的なところでは、使いやすさと柔軟性です。データベースが非常に柔軟で汎用性が高いので、お客様が管理したい項目を、管理したい形で入力していただけます。
この柔軟性には理由があります。従業員データは人事だけが持つものではなく、経営層から現場のマネジメント、場合によっては一般の従業員の皆さままで、全社で共有していけることが私たちのサービスの特徴だと考えているためです。たとえば2020年に入社した方の当時のスキルや経験と、2026年現在のスキルや経験、キャリアプランは、まったく違うはずです。そう考えると、情報をいかにフレッシュに保ち、最新の状態にしておくかが非常に大切になります。人事だけが頑張ってもデータは更新しきれませんので、入力のしやすさや操作のしやすさを大事にして、みんなが日頃から使うデータプラットフォームにしていくことがポイントだと思っています。
現場の従業員が自然と情報を更新し続ける工夫はありますか?
人事評価は四半期や半期に1回といった頻度ですので、その時にきちんと使っていただくことはもちろん大切です。そのうえで、日頃からログインする理由をたくさん用意していることが特徴だと思います。
たとえば1on1を行う時にデータへアクセスして活用していただけますし、LMS機能には学習教材が入っていますので、学びに行く際にも使えます。毎日の勤怠の打刻をカオナビで行っていただくこともできます。また、あまり話したことのない他部署の方とミーティングをする場合に、その方のプロフィールを見て、以前はこの部署にいたのだ、前職ではこんなことをしていたのだ、と知ることもできます。適性検査によってお互いの人となりを知ることもできます。もちろん適切な権限の範囲内ですが、アクセスする理由があればあるほど、皆さんが入力して、利用するようになると考えています。
カオナビの導入をご相談いただく理由には、どのようなものが多いですか?
業務ベースでは、人事評価の運用をシステム上で行いたいというご相談や、人材情報が一元化されていないので一元化して管理したい、というご相談が多くあります。課題ベースで見ますと、最適な配置を検討したい、離職の課題に取り組みたい、サーベイや退職データをきちんと管理したい、組織が拡大して情報の管理が難しくなってきた、といったお話をいただきます。少し専門的ですが、人的資本経営の流れの中で、会社として人材データを対外的に発信したいというご相談もあります。
人事評価については、Excelで運用されている企業様も多くいらっしゃいます。100人、200人の規模になった時に、Excelを100枚、200枚と運用するのは、やはり運用の負荷がかなり高くなります。そうした背景からご相談いただくケースがあります。
Excelでの管理から、最終的にカオナビを選んでいただく決め手は何でしょうか?
これがあるから決める、というよりも、お客様ご自身が人材にしっかり投資していくにあたって、運用がきちんとできそうだと思っていただけるかどうかが、非常に大きなポイントだと思っています。情報の管理や人事評価を回すこと自体は、Excelでも十分にできます。
ただ、人材情報は権限やセキュリティが非常に重要です。たとえば他部署の部長の年収を社内の全員が見られる状態は望ましくありませんし、上司と部下の面談内容も、共有はできても誰でも見てよいものではありません。一方で、人事上は非常に重要なデータなので、きちんと記録は残したいというケースもあります。さらにExcelでは、どれが最新版か分からなくなったり、保管や後からの閲覧が大変になったりします。人事業務に合わせた運用をシステム上でしっかり行えることで、やらなくてよい無駄な工数が減り、従業員の皆さんの活躍を後押しするといった、人にしかできない業務に集中できる環境をつくれます。そうした将来像を感じていただけるかどうかが、決め手になると考えています。
導入による業務効率化の具体例を教えていただけますか?
ご提案資料などでお出ししているサンプルベースの試算で、100名規模の企業を想定したものがあります。従業員全員、管理職、人事部を合わせた総工数が、約400時間から約200時間に削減できるという内容です。
内訳としては、一般社員の目標入力や各種申請が2時間ほどから1時間ほどに、管理職の部門内でのデータ依頼や一次評価などが90時間ほどから50時間ほどに、人事部のデータの回収やアンケート、関係者との調整などが300時間ほどから170時間ほどになります。あくまでサンプルでの参考値ですが、一般社員の方、管理職の方、人事部の方、それぞれの工数を減らせるツールになっています。
導入してから効果を実感いただくまで、どのくらいの期間がかかりますか?
導入してすぐに効果が目に見えて分かるかというと、必ずしもそうではありません。短期的にはまずセッティングから始まり、中期的には運用に乗ってきて、従業員の方も含めて業務が削減されていきます。長期的には、そうして生まれた時間で、さらにやりたいことに時間を使えるようになる、というように段階的に広がっていくものです。ですので、カオナビは運用が非常に大事になるサービスだと認識しています。
どのような企業が向いていて、どのような進め方が成功につながりますか?
大きなものでなくてよいのですが、何のためにタレントマネジメントを行うのかという目的を、会社や人事、経営層も含めてしっかり考えることが大切だと思います。その目的を実現するためのツールとして、タレントマネジメントシステムがあるという位置づけです。
大きなゴールを目指すことは当然あると思いますが、コツとしては、スモールスタートで、まずここを目指しましょう、次はここを目指しましょう、とマイルストーンを置きながら、一つずつ成功体験を積んでいくことが大事だと考えています。従業員一人ひとりの背景や事情、キャリアプランを把握して、その人の活躍を後押しするために活用していただくのが、タレントマネジメントシステムだと思っています。
導入時や運用開始後のサポート体制について教えてください
まず導入期、つまり立ち上げの時期が一番大事です。カオナビは基本的にお客様ご自身で運用していただくことが前提のサービスです。セットアップや設定を代行するサービスもありますが、整えることはできても、日々の活用はお客様が主体になって進めていくものです。それを少しでも成功に近づけるために、私たちが支援しています。サポートデスクのほか、操作方法が分からない時にZoomの画面共有でご相談を受けるサポートもあり、初期のセッティングを伴走して支援する体制があります。
その後の運用では、会社ごとに考え方も運用のルールも、セキュリティの発想も違いますので、答えはお客様自身が出していく必要があります。ただ、どうしてよいか分からない時のために、4,500社を超えるお客様の経験から得たノウハウを持っていますし、お客様ご自身に発信していただく機会も設けています。ユーザーの方にはオンラインの掲示板があり、お互いに相談し合うことができます。また、東京をはじめ全国各地で2〜3か月に1回ほど、対面のユーザーコミュニティとして人事の交流会を開催しており、ディスカッションや相談ができます。成功事例だけでなく、失敗してしまったことやつまずいていることも含めてノウハウになりますので、お客様の数が多いことを生かしてご支援できると考えています。こうした機会も、カスタマーサクセスの体制の一つとして、ぜひ活用していただきたいです。
料金体系とプランの選び方について教えてください
プランは3つご用意しています。スモールスタートで始めていただけるデータベースのプラン、人事評価を運用できる中位のプラン、そしてタレントマネジメントのあらゆる取り組みを実行していただけるタレントマネジメントプランです。
どれを選ぶかは、お客様がどのようなスコープで考えていらっしゃるかが基本になります。サブスクリプションの継続課金のサービスですので、途中でプランを変更していただくこともできます。やりたいことが明確であれば、それに合ったプランを選んでいただきますし、まずはできるところから始めたいという場合は、ミニマムなプランからスタートすることもできます。最初のご相談の段階で、プランを決めていく形が一般的です。
今後はどのような領域に注力していきたいですか?
これまでは、データを一元化して、意思決定のための情報のデータベースをつくることに取り組んできました。今後は、ちょうど本日リリースしたところですが、AIエージェント機能なども活用して、経営の意思決定を支援できるようなデータ活用を後押ししていきたいと考えています。
4,500社のお客様から伺ってきた課題がありますし、カオナビにデータが一元化されていて、しかもそのデータがフレッシュであるほど、精度の高い答えが返ってきます。たとえば、これが得意な人は誰ですか、と相談した時に、こういう理由でこの人を推薦します、という答えが返ってくるようなイメージです。みんなが入力したくなる、運用しやすいサービスであることが、そこにつながると考えています。
まとめ・編集部コメント
カオナビは、タレントマネジメントシステムを中心に、従業員の情報を一元化して配置・評価・育成に生かせるようにする人事系のサービスです。創業者の人事現場での課題意識から生まれ、2012年の事業開始以来、人事モジュールや組織図、サーベイ、LMSなどへ機能を広げてきたことがうかがえます。
強みとして語られたのは、柔軟なデータベースと、従業員が日常的にログインする理由を多く用意している点です。さらに、導入後の運用を支えるサポートデスクやZoomでの画面共有、4,500社を超える導入実績を背景にしたユーザーコミュニティなど、立ち上げから運用定着までを支える体制も整っています。プランは3つあり、途中で変更もできるため、まずは小さく始めたい企業にも検討しやすい形です。
Excelでの人事評価の運用に負荷を感じている企業や、人材情報の一元化と権限管理を進めたい企業にとって、有力な選択肢となるサービスです。気になる方は、一度相談してみることをおすすめします。