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完全キャッシュレスは違法?法的根拠と導入時の注意点を徹底解説

完全キャッシュレス 違法

「現金お断り」の完全キャッシュレス店舗は法律的に問題ないのか?キャッシュレス決済の導入を検討している店舗オーナーや事業者のなかには、「現金払いを拒否すると違法になるのでは?」と不安を抱える方も多いはずです。

実際、日本には「現金には法的な支払い効力がある」という法律が存在します。一方で、近年は完全キャッシュレスの店舗が増えているのも事実です。この矛盾のようにも見える状況に、法的な落としどころはあるのでしょうか?

本記事では現行法の解説とともに、キャッシュレス専門店を運営する際に押さえるべきポイントを徹底解説します。法律知識を確認し、トラブルを避けながら安心してキャッシュレス化を進めるために、ぜひ最後までお読みください。

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完全キャッシュレス店舗は違法か?結論と法律のポイント

最初に結論を述べると、完全キャッシュレス(現金お断り)で営業しても現行の日本の法律では原則違法ではありません。ただし、これはお店とお客さまの間で支払い方法について事前に合意がある場合に限る点に注意が必要です。

キャッシュレス決済の仕組みについては『キャッシュレス決済とは?仕組みから導入メリット・デメリットまで徹底解説』をご覧ください。

日本銀行法第46条2項(出典:日本銀行法より)には「日本銀行券は法貨として無制限に通用する」と規定されており、硬貨についても「額面価格の20倍まで法貨として通用する」(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律第7条)と定められています。つまり現金(日本円)は法律上いつでも支払いに使えるお金であり、原則としてお店側は現金での支払い提案を拒否できない仕組みとなっています(これを「強制通用力」といいます)。

しかしこの強制通用力は「特別の取り決めがない場合」に適用されるルールです。裏を返せば、売買契約が成立する前に「うちは現金払い不可です」といった取り決め・表示があれば、店舗側はその合意に従った決済方法(電子マネーやカード等)で支払いを受け付けることが可能になります。

日本の民法でも契約は原則自由に内容を決められるとされ(契約自由の原則、民法521条)ます。ただし「法令の制限内」でと定められているため解釈に議論はありますが、少なくとも現状の政府見解では契約自由を尊重し、現金支払いの強制は法的に考えていないとされています(*)。つまり、店舗が「現金お断り」と掲示し客が了解して購入した場合は、現金の強制通用力より契約の自由が優先されるということです。

要するに、お客さまが入店・注文する時点までに「この店は現金不可である」と認識していれば、その合意のもとで売買契約が成立するため、現金払いを拒否しても法律違反にはならないわけです。一方、そうした事前告知がなく会計段階になって「現金は受け付けません」と伝えるのは、法律の趣旨に反し、トラブルの原因にもなります。

完全キャッシュレス(現金お断り)で営業する際の注意点

完全キャッシュレス店舗として営業するには、法的な条件を満たすだけでなく実務的な配慮も欠かせません。ここでは「現金お断り」でスムーズに運営するための注意点をいくつか解説します。

違法にならないための前提条件(事前の明示)

まず何より重要なのは、お客さまへの事前告知を徹底することです。店頭の入口やレジ付近に「現金でのお支払いはお受けしておりません(電子決済のみ)」といった掲示を出し、誰が見ても分かるようにすることが重要です。必要に応じてメニューやチラシ、公式サイトにも支払い方法の注意書きを記載しましょう。

こうした周知によって、来店時点でお客が支払い条件を理解・同意した状態となり、契約自由の原則に基づいて現金以外の決済のみを認めることが可能になります。逆に、告知が不十分でお客さまが知らなかった場合、法律上は現金での支払い意思を示されたら受け取らざるを得なくなる(拒否すれば債務不履行などのトラブルになり得る)ため注意が必要です。

具体的な対策として、たとえば、目立つ位置に「キャッシュレス決済専用」「現金はご利用いただけません」などと書かれたステッカーやポスターを貼ると良いでしょう。レジ横にも同様の案内表示を置き、会計時に「当店はキャッシュレスのみです」と声がけするのも効果的です。要は、「現金が使えない」ことを事前にしっかり周知することで、お客さまにも支払い方法を理解・納得してもらうことが重要です。

利用客への影響とトラブル防止策

次に、完全キャッシュレス化によるお客さまへの影響を考えてみます。便利なキャッシュレス決済ですが、店舗によっては現金を好む客層が多いことも少なくありません。特にクレジットカードを持てない未成年者や、スマホ決済に不慣れな高齢者の方などは現金しか持ち合わせていない場合もあるでしょう。

こうしたお客さまを完全に排除してしまうと、売上機会を逃すだけでなくお店の評判にも影響します。実際に京都市のある飲食店では「完全キャッシュレス宣言」をして開業したものの、「えっ、現金が使えないの?」と驚くお客さまが想像以上に多かったために現金払いの受付を開始したという事例もありました(*)。

お店としては、できる限り多様なキャッシュレス決済に対応することで、お客さまの利便性を向上することができます。たとえば交通系ICカードやQRコード決済、電子マネーなどを幅広く導入すれば、「〇〇ペイは持っていないが交通系なら使える」といったケースにも対応しやすくなります。

とはいえ、一定数存在する現金派のお客さまからの不満を最小限に抑える工夫も欠かせません。そのためには、店頭で現金お断りに関する丁寧な案内表示を行うことに加え、スタッフからキャッシュレス決済のメリットを伝えて利用をサポートするなどの配慮が欠かせません。

非常時や例外対応の重要性

完全キャッシュレスを導入する際には、非常時のリスク対策も忘れてはいけません。デジタル上での決済はネット環境や電力に依存するため、機器トラブルや災害でシステムが使えなくなる可能性があります。実際、東日本大震災の時には停電や通信障害によって多くの店舗でキャッシュレス決済が一時的に使えなくなる事態が発生しました。こうしたトラブルの際には、現金が最後の頼みの綱となるケースが現実にありえます。

対策として、日頃はキャッシュレスであっても、非常時に備えて予備の現金を用意しておくと安心です。たとえば、レジに多少の現金つり銭を用意し、端末故障時には一時的に現金決済に切り替える手順を決めておくなどです。スタッフにも緊急時のマニュアルを共有し、「通信障害時は現金対応可」の張り紙を出す段取りを決めておけば慌てずに済みます。

また、停電対策としてモバイルバッテリーや予備端末を用意する、特定サービスの障害発生に備えて複数の決済サービスを用意しておく(例えばクレジットカード端末とQRコード決済の両方を使えるようにする)ことも有効でしょう。

さらに、顧客からの特別な要望に応じる柔軟性も大切です。例えば常連客から「どうしても現金で払いたい」と相談された場合、規則だからと突っぱねるより、理由を聞いた上で可能な範囲で対応を検討する方が信頼関係の構築につながります。

法律的には現金拒否が許される場面でも、サービス業としてのホスピタリティを忘れずにお客さまと向き合うことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1.キャッシュレス店舗は違法ですか?

いいえ、違法ではありません。 現行の日本の法律では、店舗側が事前に「現金お断り」を明示し、お客様がそれに合意して支払うのであれば、完全なキャッシュレス店舗を営業しても法令違反にはなりません。ただし、明示・合意がない場合には現金の強制通用力が優先され、支払いとしての現金提示を拒否できなくなる点に注意しましょう。

Q2.現金を拒否すると罰則はありますか?

現時点で罰則はありません。 「現金お断り」を直接禁止・処罰する日本の法律はなく、行政罰や刑罰の規定も存在しません。したがって、適法にキャッシュレス限定を行っている限り、罰金等の処分を科される心配はありません(海外ではキャッシュレス強制を禁止する条例がある地域もありますが、日本にはそのような規制はありません)。

Q3.お店はキャッシュレス決済を導入しないといけませんか?

いいえ、その必要はありません。 キャッシュレス決済の導入は各店舗の任意であり、法律上の義務は課されていません。極端に言えば「現金のみ可」のお店も合法ですし、逆にどんな決済手段を採用するかは契約自由の範囲内です。ただし、消費者の利便性向上やニーズに応える意味で、政府もキャッシュレス推進策を展開しています。法律では強制されませんが、ビジネス上はキャッシュレス対応を検討する価値があるでしょう。

Q4.硬貨をたくさん出された場合は断れますか?

場合によっては断れます。 日本の通貨法では、硬貨の法定通貨としての通用は「一度に20枚まで」と制限されています。例えば1円玉を50枚出されたようなケースでは、20枚を超える分について受け取りを拒否することが法律上認められます。ただし、実際の接客ではお客様に丁寧に事情を説明した上で対応することが望ましいでしょう。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋 真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。

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