支払い期日を過ぎても入金がなく、電話をかけてもつながらない、督促状を郵送しても開封された形跡がない。未収金がそのまま滞留し、担当者の手が回らなくなる場面は少なくありません。
こうした状況で使われているのが、携帯電話番号あてにショートメッセージ(SMS)で支払い案内や督促の通知を送る「SMS督促」です。ただ、実際にどう送ればよいのか、そもそも法的に問題ないのかがわからず、踏み出せない担当者も多いはずです。
本記事では、SMS督促の3つのやり方と向き不向き、適法に送るための具体的な条件、そのままコピーして使える例文、電話・郵送との効果比較、サービスの選び方までを順に解説します。読み終えたときに、自社でSMS督促を始める判断ができる状態を目指します。
目次
SMS督促の3つのやり方(手動送信・SMS配信サービス・督促代行)の違いと向き不向き
ここからは、SMSで督促する具体的な手段を整理します。SMS督促のやり方は、大きく手動送信・SMS配信サービス・督促代行の3つに分かれます。送りたい件数と、社内でかけられる手間によって、向き不向きが変わります。
前提として、SMS督促が有効なのは、相手の携帯電話番号を把握している債権です。継続課金・EC・家賃・個人向けサービスなど、契約時に携帯番号を得ているBtoC向けの債権が代表例になります。
法人相手の売掛金でも、担当者の携帯電話番号が分かっていれば、同じようにSMSで支払い案内や督促を届けられます。まずは、送りたい相手の携帯番号を把握できているかが出発点になります。
手動送信は自社のスマートフォンやパソコンから1件ずつ送る方法です。SMS配信サービスは、管理画面やAPIから多数の宛先へ一斉に送る仕組みで、自社で督促を続けたい場合の中心的な手段になります。督促代行は、督促や回収の業務そのものを外部に委託する方法です。次の表で、それぞれの向き不向きを横並びに比べます。
| 手動送信(自社のスマホ・PCから個別送信) | SMS配信サービス(管理画面・APIで一斉送信) | 督促代行(督促・回収業務を外部に委託) | |
|---|---|---|---|
| 向くケース | ごく少数の相手に単発で送る | 自社で督促を続けたいが件数が多い | 督促の工数を手放したい・回収の難度が高い |
| 件数規模の目安 | 月に数件程度 | 月数十件〜数万件 | 件数を問わず委託できる |
| 手間 | 1件ずつ手入力。件数が増えると現実的でない | 宛先リストの登録と文面設定。差し込み・予約送信で効率化 | 委託先への情報連携が中心。送信・対応は代行 |
| コスト | 端末の通信料のみ | 1通あたり数円〜十数円の従量課金が中心 | 手数料・月額など委託内容により個別見積もり |
| できること | 個別の連絡のみ。一斉送信・送達管理・履歴の一元化は不可 | 一斉・予約送信、宛名の差し込み、送達確認、履歴管理 | 多チャネル督促の自動化、回収・保証まで委託 |
※上記は一般的な傾向です。実際の費用・機能は各サービスの情報をご確認ください。
まずは自社がどこに当てはまるかを見極めることが出発点です。件数が増えて手動では回らなくなったり、督促の工数そのものを手放したくなったりした段階では、SMS配信サービスや督促代行が候補になります。それぞれの費用や選び方は、記事の後半で詳しく取り上げます。
SMS督促は違法にならない?適法に送るための条件(時間帯・頻度・文言・第三者閲覧)
ここからは、SMS督促を適法に送るための条件を整理します。相手の携帯にメッセージを送ることになるため、どこまでが許されるのかを先に押さえておきましょう。
まず結論|一般債権者の支払い督促・請求通知は原則SMSで送れる(適用法は誰が督促するかで変わる)
結論から言うと、自社の売掛金や利用料について、支払いのお願いや請求の通知をSMSで送ること自体は、原則として問題ありません。
SMSは、広告・宣伝のメールを規制する特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)の適用対象です。ただし、同法が事前の同意(オプトイン)を求めるのは「広告又は宣伝を行うための手段」として送るメールで、支払いの督促や請求の通知はこれに当たりません。所管する総務省・消費者庁のガイドラインは、次のように明示しています。
一方で、次のような電子メールについては、広告又は宣伝のための手段として送信されたものとは考えられず、特定電子メールには当たらないものもある。ア)取引上の条件を案内する事務連絡や料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知であって広告又は宣伝の内容を含まず、広告又は宣伝のウェブサイトへの誘導もしない電子メール
特定電子メールの送信等に関するガイドライン|総務省・消費者庁
この基準に照らせば、料金請求や支払い案内に徹したSMSであれば、事前の同意がなくても送れます。一方で、督促のメッセージに自社サービスの宣伝やキャンペーンサイトへの誘導を混ぜると「広告宣伝の手段」とみなされ、オプトイン規制の対象に転じます。督促は督促だけで完結させるのが原則です。
ただし、督促に適用されるルールは「誰が督促するか」で変わります。銀行や消費者金融などの貸金業者には貸金業法が、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)にはサービサー法が、それぞれ取立て行為に特有の規制を課しています。賃貸・EC・医療・自治体などが自社の債権を督促する一般債権者の場合、これらの業法は直接は適用されませんが、無制限に送ってよいわけではありません。
守るべき4つのライン(①時間帯 ②頻度 ③文言 ④第三者に内容を知られない)
一般債権者がSMS督促を送る際に、実務上守っておきたいラインは次の4つです。順に確認します。

①時間帯|夜間・早朝を避ける。貸金業者とその委託先には、午後9時から午前8時までの取立て連絡を禁じる明文規制があります(貸金業法施行規則第19条)。一般債権者にこの時間帯の法的な禁止が直接かかるわけではありませんが、深夜・早朝の連絡は社会通念上の相当性を欠き、トラブルのもとになります。常識的な時間帯に送るのが安全です。
②頻度|短期間に繰り返し送らない。1日に何度も、あるいは連日しつこく送ると、相手を困惑させる嫌がらせと受け取られかねません。期日前のリマインド、期日超過後の再通知というように段階を踏み、間隔を空けて送ります。
③文言|威迫や、事実と異なる法的措置の示唆をしない。貸金業法は取立てにあたって人を威迫することを禁じており(第21条第1項)、これは一般債権者にとっても守るべき目安になります。予定していない差し押さえや訴訟を示唆する、強い調子で不安をあおるといった表現は避けます。
④第三者に内容を知られない配慮をする。督促に使う携帯電話番号は個人情報です。個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)は、利用目的の特定・明示や安全管理を求めています。誤送信で別人に支払いの事実を知られることのないよう、宛先の確認や送信ルールを整えます。家族や勤務先など本人以外に内容が伝わる送り方は避けます。
また、契約時に別の目的で取得した携帯電話番号を督促の連絡に使う場合は、その利用目的の範囲に督促連絡が含まれるかを、あらかじめ確認しておくと安心です。
ここまでの4つのラインは、自社の債権を自ら督促する一般の債権者を前提にしています。実際に適用される規制は「誰が督促するか」で変わるため、主体別に整理したのが次の表です。自社がどの立場に当たるかをまず確認してください。
| 一般の債権者(自社の売掛金・利用料を自ら督促) | 貸金業者(銀行・消費者金融など) | サービサー(債権回収会社)/弁護士に委託して回収 | 請求書発送・消込などの事務を代行に委託 | |
|---|---|---|---|---|
| SMSでの督促可否 | 可(料金請求・支払い案内に徹する) | 可 | 回収の代行は弁護士・サービサーに限る(サービサーは特定金銭債権のみ) | 可(回収行為の代行ではない事務の委託) |
| 時間帯・頻度の規制 | 明文の時間帯規制なし(社会通念上相当な時間帯に送る) | 午後9時〜午前8時の連絡禁止ほか明文規制あり | — | — |
| 取立て行為の規制 | 威迫などは避ける(実務上の目安) | 威迫の禁止など明文規制あり(貸金業法21条) | — | — |
| 根拠法 | 特定電子メール法・個人情報保護法 | 貸金業法・同施行規則19条 | 弁護士法72条・サービサー法 | — |
※上記は一般的な整理です。個別の督促・回収の適法性は、対象となる債権の種類や委託する内容によって異なります。
そのまま使える督促SMSの例文(初回リマインド・期日超過の再督促・最終通告)
ここからは、場面別にそのまま使える督促SMSの例文を紹介します。【会社名】【金額】【期日】【URL】【電話番号】などは自社の情報に置き換えてお使いください。いずれも強い調子を避け、前項の適法ラインに触れない表現にしています。

3つの段階は、送るタイミングと文面のトーン、盛り込む要素が少しずつ異なります。次の表で各段階の要点を一覧にまとめました。実際の文面は、このあとの例文をそのまま使えます。
| 初回リマインド(期日前後) | 期日超過の再督促 | 最終通告 | |
|---|---|---|---|
| 送信の目安タイミング | 支払い期日の直前・直後 | 期日を過ぎても入金が確認できないとき | 再三の連絡でも入金がないとき |
| 文面のトーン | 責める調子を避けた柔らかい表現 | 未入金の事実を伝えつつ行き違いへの配慮を添える | 事実と今後の連絡予定を淡々と伝える(予定のない法的措置はほのめかさない) |
| 記載する主な要素 | 会社名・金額・期日・確認用URL | 会社名・金額・期日・確認用URL | 会社名・金額・入金確認の期限・問い合わせ電話番号 |
※【会社名】【金額】【期日】【URL】【電話番号】は自社の情報に置き換えてご利用ください。
初回リマインド(期日前後)
支払い期日の直前や直後に、支払い忘れを防ぐために送る通知です。責める調子を避け、行き違いの可能性に配慮した柔らかい表現にします。
【会社名】です。ご利用料金【金額】円のお支払い期日が【期日】となっております。お手続きがお済みでない場合は、こちらからご確認ください。【URL】
期日超過の再督促
期日を過ぎても入金が確認できない場合の再通知です。未入金の事実を伝えつつ、行き違いへの配慮を一言添えます。
【会社名】です。【金額】円のお支払いが【期日】時点で確認できておりません。行き違いの際はご容赦ください。恐れ入りますが、下記より状況をご確認ください。【URL】
最終通告
再三の連絡でも入金がない場合の通知です。事実と今後の連絡予定を淡々と伝え、予定のない法的措置をほのめかす表現は使いません。
【会社名】です。【金額】円のお支払いについて、本メッセージが最終のご案内です。【期日】までにご入金の確認ができない場合は、改めてご連絡のうえ今後の対応についてご相談させていただきます。ご不明な点は【電話番号】までお願いいたします。
文字数(70字/全角)と規制に触れない書き方の注意
標準的なSMSは、全角70文字(半角160文字)が1通の目安です。多くのSMS配信サービスはこの範囲を1通として課金し、超えると長文SMSとして扱われます。まずはこの文字数に収まるよう、要点だけを簡潔にまとめます。
文面を短く保つことには、実務上の意味もあります。長文で圧をかけないことは威迫と受け取られる余地を減らし、要点だけを伝える書き方は不要な個人情報を載せずに済みます。あわせて、冒頭で【会社名】を名乗って送信元をはっきりさせておくと、次に述べる詐欺との誤認も防ぎやすくなります。
詐欺(スミッシング)と誤認されないための送り方
正規の督促SMSであっても、受け取った側が詐欺のメッセージと疑えば、リンクは開かれず支払いにもつながりません。SMSを悪用した詐欺は「スミッシング」と呼ばれ、総務省もSMSを使った手口に注意を促しています。
フィッシング詐欺とは、送信者を詐称したメールやSMSを送りつけ、貼り付けたリンクをクリックさせて偽のホームページに誘導することで、クレジットカード番号やアカウント情報(ユーザID、パスワードなど)などの重要な情報を盗み出す詐欺のことです。
国民のためのサイバーセキュリティサイト|総務省
正規の督促として受け取ってもらうために、次の点を押さえます。送信元の番号を固定し、毎回同じ番号から送ります。本文に不審に見える短縮URLを多用せず、リンクは必要最小限にします。宛名に氏名を差し込み、本人あての正規連絡だと分かるようにします。詐欺を疑われやすい要素を減らすほど、督促は届きやすくなります。
後半で紹介するサービスの中には、携帯4社が公認する共通番号や、送信元の正当性を示す認証済みマークで、なりすましSMSと区別されやすくする仕組みを持つものもあります。詐欺との誤認が心配な場合は、こうした機能の有無も選定の材料になります。
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電話・郵送・メールと比べたSMS督促の効果と費用(到達率・開封率・コスト・回収への効果)
SMS督促に切り替える価値は、他の手段と並べると見えてきます。届きやすさ、気づいてもらえる度合い、1通あたりのコスト、回収面での特徴を、電話・郵送・メール・SMSで比べます。
前提として、SMSはほぼ全世帯に届き得る手段です。総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年のモバイル端末全体の世帯保有率は97.0%、そのうちスマートフォンは90.5%でした。携帯電話番号さえ分かれば、多くの相手に直接届けられます。
| 電話 | 郵送 | メール | SMS | |
|---|---|---|---|---|
| 届きやすさ | 不在や着信拒否でつながらないことが多い | 住所が正しければ届く | 迷惑メール振り分けで埋もれやすい | 携帯番号あてで直接届きやすい |
| 気づかれやすさ | 出てもらえれば確実に伝わる | 開封されたか分からない | 他のメールに紛れ、見られにくい | プッシュ通知で気づかれやすい |
| 1通あたりのコスト | 人件費が中心で高くなりやすい | はがき・封書代に印刷・封入の手間が加わる | ほぼ無料 | 1通あたり数円〜十数円 |
| 回収面の特徴 | 直接交渉できるが1件ずつの工数が大きい | 内容証明は証拠力があるが即時性は低い | 安価だが読まれにくく反応が鈍い | 短時間で一斉に送れ、リンクから支払いに誘導しやすい |
※上記は一般的な傾向です。実際の費用・効果は各サービスの情報をご確認ください。
SMSの到達率や開封率については、各SMS配信サービスが自社の数値を公表しています。たとえばKDDI Message Castは、到達率98%以上・開封率80%以上を自社調査値として掲げています。こうした数値は提供各社の公表値で、調査条件によって幅があるため、導入前に各社の資料で前提を確認するのが確実です。
回収面の効果も、公表事例として示されています。AI CROSS株式会社の絶対リーチ!SMSの導入事例では、豊島区が税金の滞納者1,009人にSMSを配信し、261人が自主納付、収納金額は約871万円に上ったと報告されています。数値の水準は債権の性質や運用によって変わるため、自社に近い事例を目安にするとよいでしょう。
SMSがこうした督促の場面で選ばれる背景について、メディア4uの原澤氏は、導入企業が抱える連絡手段の課題を次のように話しています。
連絡手段としては、メールが読まれない、電話に出てもらえない、郵送はコストも時間もかかるといった課題を抱える企業が非常に多いです。その中で、SMSはプッシュ通知で気づいてもらいやすく、最終連絡手段としての確実性が高い点を評価いただいています。
SMSに限らず、電話・郵送・メールも含めてBtoC向けの督促チャネルをどう組み合わせるかを検討したい場合は、チャネルごとの到達率・開封率・コストを横断的に比べた次の記事も参考になります。
SMS配信サービス・督促代行の選び方と費用
ここからは、SMS配信サービスと督促代行を選ぶ際の費用感と比較のポイント、そして自社送信から代行へ切り替える判断について解説します。
費用相場と督促用途での選び方の比較ポイント
SMS配信サービスの費用は、1通あたりの従量課金が中心です。初期費用・月額基本料が0円のサービスもあり、送信した分だけ支払う形が主流になっています。督促用途では、次の観点で比べると自社に合うサービスを絞り込めます。
- 1通あたりの単価と最低利用料:単価は数円〜十数円が目安。最低利用料の有無で、少件数のときの実質コストが変わります。
- 初期・月額の固定費:0円のサービスなら、送信のない月にコストが発生しません。
- 接続方式(到達性):国内キャリアと直接接続しているサービスは、督促が届かないリスクを抑えやすくなります。
- 支払い機能への連携:決済ページのURLを送り、その場で支払いへ誘導できると回収につながりやすくなります。
- 差し込み配信:宛名・金額・期日を宛先ごとに自動で差し込めると、大量送信でも1通ずつの精度を保てます。
- 双方向のやり取り:相手の返信を受けられると、支払い相談や問い合わせに対応できます。
- セキュリティ:個人情報を扱うため、提供企業がISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークを取得しているかを確認します。
まずは、SMSを自社の管理画面やAPIから送るSMS配信サービスです。督促の連絡そのものは自社で行い、送信の仕組みだけを使います。費用や連絡チャネルを横並びで確認できます。なお表中のRCSは、SMSに加えて画像やボタンも送れる次世代のメッセージ規格です。
| サービス名 | 絶対リーチ!RCS | オーロラSMS by メディアSMS | SMSLINK | KDDI Message Cast |
|---|---|---|---|---|
| 督促での役割 | RCS・SMSを自社配信 | SMSを自社配信 | SMSを自社配信 | SMS・RCSを自社配信 |
| 主な連絡チャネル | RCS/SMS(非対応端末はSMSへ自動切替) | SMS/IVR(自動音声) | SMS(不達時は自動音声通話へ切替) | SMS/RCS/+メッセージ |
| 初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 | 0円 |
| 月額費用 | 1,000円/アカウント〜 | 0円 | 0円(標準プラン) | 0円 |
| 従量料金・手数料 | 従量課金(単価は要問い合わせ) | 従量課金(単価は要問い合わせ) | 1通6円〜 | 1通9.35円〜(税込・到達課金) |
| 外部システム連携 | API連携(CRM・コンタクトセンター) | API連携(Salesforce・kintone等) | API連携(簡易API・最短3日) | API連携(Salesforce・ServiceNow) |
| 回収・保証への対応 | 配信のみ(回収代行なし) | 配信のみ(回収代行なし) | 配信のみ(回収代行なし) | 配信のみ(回収代行なし) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※料金・機能は各社の公表情報にもとづく2026年7月時点の情報です。「要問い合わせ」の項目や最新の料金・仕様は、各社の資料でご確認ください。
次に、督促や回収そのものを外部に委ねる督促代行・自動化サービスです。SMSを主な連絡手段とせず、メール・電話・オートコールなどで督促を自動化したり、回収まで代行したりします。自社でSMSを送りたいのか、督促そのものを手放したいのかを軸に読み分けてください。
| サービス名 | DHKクラウド オートコールIVR | 請求まるなげロボ | 債権回収ロボ |
|---|---|---|---|
| 督促での役割 | オートコールで督促を自動化 | 請求〜回収を代行 | 多チャネル督促を自動化 |
| 主な連絡チャネル | 自動音声(IVR)/SMS/メール | メール/電話(+弁護士法人対応) | メール/SMS/オートコール(IVR) |
| 初期費用 | 50,000円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 50,000円〜(月1,000件まで含む) | 請求件数に応じ変動 | 要問い合わせ |
| 従量料金・手数料 | 固定21円・携帯32円/件(応答課金・1,001件目〜) | 手数料1.0%〜 | 要問い合わせ |
| 外部システム連携 | API連携(債権管理システム) | API連携(基幹システム) | 請求管理ロボと連携 |
| 回収・保証への対応 | 督促架電の自動化(回収代行なし) | 回収代行+売掛金100%保証(適格・与信通過債権) | 督促・回収を自動化(多チャネル) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | オンライン相談を予約 |
※料金・機能は各社の公表情報にもとづく2026年7月時点の情報です。「要問い合わせ」の項目や最新の料金・仕様は、各社の資料でご確認ください。
自社送信を続けるか、督促代行に切り替えるかの判断
件数が増え、督促の工数が重くなってきたら、督促代行への切り替えが視野に入ります。判断の軸は、督促する件数の規模、社内でかけられる工数、そして回収の難しさです。少件数で自社対応できるうちはSMS配信サービスで足り、件数や難度が上がるほど代行の価値が増します。
ここで注意したいのが、委託できる業務の範囲です。SMSや督促状の発送、架電システムの提供、入金の消込といった事務作業は、外部の事業者に委託できます。一方、債権回収そのもの、つまり相手との交渉や和解といった法律事務を報酬を得て他人に任せられるのは、原則として弁護士に限られます。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件(略)その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
弁護士法 第72条|e-Gov法令検索
例外として、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)は回収を受託できます。ただしその対象は、金融機関の貸付債権やリース・クレジットなどの特定金銭債権に限られ、一般の売掛債権のすべてが含まれるわけではありません。
整理すると、回収そのものを任せたい場合は弁護士または許可を受けたサービサーが窓口になります。請求書の発行・送信や入金管理といった事務を効率化したい場合は、SMS配信サービスや請求代行サービスが選択肢になります。この切り分けを踏まえて委託先を選ぶと安心です。
回収そのものを外部に委ねる場合は、委託先によって手数料や売掛金保証の有無、対応できる債権の範囲が大きく異なります。督促代行・回収代行を本格的に比較して選びたい場合は、選び方の観点とおすすめサービスをまとめた次の記事もあわせてご覧ください。
督促に使える主なSMS配信サービス・督促代行
ここからは、督促に使える主なSMS配信サービスと督促代行を個別に紹介します。自社で送るためのSMS配信サービスから、督促や回収そのものを任せられる代行まで、順に取り上げます。
絶対リーチ!RCS(AI CROSS株式会社)

絶対リーチ!RCSは、電話番号あてに画像やボタン付きのメッセージを送れるRCS配信サービスです。提供元のAI CROSS株式会社は東証グロース上場で、SMS版の「絶対リーチ!SMS」と同じ基盤で管理できます。
RCSに対応していない端末には自動でSMSに切り替えるフォールバック機能を備え、督促状の事前通知や支払いリマインドを届けやすい設計です。全国のキャリアと直接接続し、到達率99.9%を掲げています。
督促・回収の文脈では、RCSの画像やボタンで支払い方法を分かりやすく提示でき、非対応端末にはSMSへ切り替えて届けられます。折り返しの連絡はチャットボットで受けて支払い案内まで自動で返せるため、入電(コールセンターへの折り返し)の削減にもつなげられます。
オーロラSMS by メディアSMS(株式会社メディア4u)

株式会社メディア4uが2011年から提供する法人向けSMS配信サービスが、オーロラSMSです。国内4キャリアと直接接続し、督促を含む幅広い業務連絡に使われています。
デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査では、国内法人向けSMS配信数シェアで4年連続の首位とされ、用途別のシェアでも督促分野で48.5%と首位を占めます(2023年度)。初期費用・月額基本料は0円で、送信が成功した分だけの従量課金から始められます。
SMSが届かない相手には自動音声(IVR)でも連絡でき、文面設計や運用改善まで踏み込んだサポートを受けられる点も強みです。金融機関や行政機関でも利用されており、提供元のメディア4uはISMS(ISO/IEC 27001)やプライバシーマークを取得しています。
SMSLINK(株式会社ネクスウェイ)

SMSLINKは、TISインテックグループの株式会社ネクスウェイが提供するSMS配信サービスです。管理画面から3ステップで送れる操作性を重視し、後発ならではの使いやすさを打ち出しています。
国内4キャリアと直接接続しながら、SMS送信料は1通6円からと低価格帯です。初期費用・月額費用が0円のスタンダードプランがあり、少額の督促連絡から無理なく始められます。
電話がつながらなかった相手に自動でSMSを送る運用で、コールセンターの接続率を高めた事例もあります。督促の一次接触として、電話や郵送を補う手段として活用できます。
KDDI Message Cast(KDDI株式会社)

通信事業者のKDDI株式会社が、Supership株式会社と共同で運営する法人向けメッセージ配信サービスがKDDI Message Castです。公式のユースケースに料金未納者への督促連絡が挙げられており、支払いを促す通知に使えます。
初期費用・月額は0円で、到達した分だけ課金される到達課金を採用します。通信事業者であるKDDIの国内キャリア網接続(直収)による配信で、最大660文字の長文SMS配信にも対応します。
詐欺との誤認対策が手厚い点も特徴です。携帯4社が公認する共通番号「0005」や、送信元の正当性を示す認証済みマーク付きメッセージにより、なりすましSMSと区別されやすくなります。督促を正規の連絡として届けたい場合に向いています。
DHKクラウド オートコールIVR(株式会社電話放送局)

DHKクラウド オートコールIVRは、株式会社電話放送局が提供する自動架電サービスで、SMSと自動音声を組み合わせて督促を自動化します。ここまでの配信サービスが人手での送信を効率化するのに対し、こちらは架電の工程そのものを無人化します。
あらかじめ用意した名簿へ、1時間に5,000件以上の自動架電が可能で、在宅率の高い時間帯にまとめて連絡できます。応答した分だけ課金されるため、全件にコストがかかる郵送よりも督促単価を抑えやすい構造です。
後払い決済のAGミライバライでは、債権数が150%に増えるなかで架電数を50%削減し、IVRだけで70%の対応を完結させたと公表しています。債権管理システムと連携し、対象リストの登録から結果の取り込みまで自動化できます。
督促を自動化する際にどこまで配慮すべきかについて、電話放送局の前田氏は次のように話しています。

入金案内や督促は、伝える内容が定型化しやすい一方で、案内の仕方によってはトラブルや苦情につながりやすい業務です。オートコールは使い方を間違えると社会問題になりかねません。だから当社としては、用途の相性を見極めて、やめた方がいいケースは止める。その線引きも含めて一緒に考えています。
請求まるなげロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

自社でSMSを送らず、督促を含む請求・回収の工程ごと任せたい企業に向くのが請求まるなげロボです。東証グロース上場の株式会社ROBOT PAYMENTが提供する、企業間取引向けの請求業務代行サービスです。
与信審査から請求書の発行・送付、代金回収、入金消込、督促までを代行します。督促はメール・電話に加え、弁護士法人による対応まで含みます。手数料は1.0%からで、請求まわりの工数をまとめて手放せます。
自社の審査で適格と判断し与信を通過した債権については、回収の結果にかかわらず売掛金を100%保証します。未回収のリスクそのものを移転できる点が特徴です。
債権回収ロボ(株式会社ROBOT PAYMENT)

債権回収ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが2026年3月に提供を開始した、督促・回収を自動化するサービスです。メール・SMS・オートコールを組み合わせた督促シナリオを設計し、自動で実行します。
債務者の属性や債権額に応じて督促の手順を分岐でき、送信・返信の履歴を一元管理できます。決済手段や過去の支払い履歴から最適な連絡タイミングを導く技術で特許を出願しています。
個人向けカーサブスクの月額利用料回収など、消費者向け債権での導入事例もあります。同社の請求管理ロボと連携すれば、請求から督促・回収までを一つの流れで管理できます。
まとめ|SMS督促は条件を守れば送れる。手段と費用を押さえて選ぶ
SMS督促は、自社の売掛金や利用料の督促・請求通知であれば、原則としてSMSで送れます。宣伝を混ぜないこと、夜間・早朝を避けること、威迫にあたる表現をしないこと、第三者に内容を知られないよう配慮することが、守るべき基本のラインです。
送り方は、件数と工数に応じて手動送信・SMS配信サービス・督促代行の3つから選べます。少額から始めるならSMS配信サービスが、督促や回収そのものを手放したいなら督促代行が向きます。費用は1通あたり数円からの従量課金が中心で、代行は委託内容によって個別見積もりになります。
まずは自社の督促件数と手放したい工数を整理し、候補となるサービスの資料を取り寄せて、費用と機能を比べてください。
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SMS督促のよくある質問(FAQ)
Q. SMS督促とは何ですか?
A. SMS督促とは、携帯電話番号あてにショートメッセージ(SMS)で支払い案内や督促の通知を送る督促方法です。電話がつながらない、郵送では開封されたか分からないといった課題に対し、携帯番号さえ分かれば相手に直接届けられる手段として、未収金の回収や支払いリマインドに使われています。
送り方は手動送信・SMS配信サービス・督促代行の3つに分かれ、送りたい件数と社内でかけられる手間によって向き不向きが変わります。
Q. SMS督促は違法ではありませんか?
A. 自社の売掛金や利用料について、支払いのお願いや請求の通知をSMSで送ること自体は、原則として問題ありません。広告・宣伝メールに事前の同意(オプトイン)を求める特定電子メール法も、料金請求のお知らせなど取引関係に係る通知は規制の対象外としています(総務省・消費者庁のガイドライン)。
ただし、督促のメッセージに自社の宣伝やキャンペーンサイトへの誘導を混ぜると「広告宣伝の手段」とみなされ、オプトインが必要になります。
また、貸金業者には貸金業法、債権回収会社(サービサー)にはサービサー法という取立て行為に特有の規制があり、適用されるルールは「誰が督促するか」で変わります。
Q. 個人や一般の事業者がSMS督促を送ってもよいですか?
A. 自社の債権を自ら督促する一般の債権者であれば、SMS督促を送っても差し支えありません。他人の債権を委託を受けて回収する「債権管理回収業」は法務大臣の許可を受けたサービサーに限られますが、自社の未収金を自分で督促する行為はこれに当たらず、許可は不要です。
一方で、債権回収そのもの(相手との交渉や和解といった法律事務)を報酬を得て第三者に委託する場合は、その委託先が原則として弁護士に限られる点に注意してください。SMSや督促状の発送といった事務作業の委託は、この制限の対象外です。
Q. SMS督促を送ってよい時間帯の目安はありますか?
A. 一般の債権者に法律上の時間帯規制はありませんが、深夜・早朝を避け、常識的な時間帯に送るのが安全です。午後9時から午前8時までの取立て連絡を禁じる明文規制があるのは貸金業者とその委託先で(貸金業法施行規則第19条)、賃貸・EC・医療・自治体などの一般債権者に直接は適用されません。
ただし、深夜・早朝の連絡は社会通念上の相当性を欠き、クレームやトラブルのもとになります。この時間帯を避けて送るのが実務上の目安です。
Q. SMS督促の費用相場はどのくらいですか?
A. SMS配信サービスの費用は、1通あたり数円〜十数円の従量課金が中心で、初期費用・月額基本料が0円のサービスもあります。送信した分だけ支払う形が主流のため、少件数の督促連絡からでも無理なく始められます。督促や回収そのものを任せる督促代行の場合は、手数料率や月額など委託内容に応じた個別見積もりになります。郵送に比べて1通あたりのコストを抑えやすい点も、SMSに切り替える利点のひとつです。
Q. SMS督促が詐欺(スミッシング)と誤認されないためにはどうすればよいですか?
A. 送信元の番号を固定し、不審に見える短縮URLを多用せず、宛名に氏名を差し込んで正規の連絡だと分かるようにすることが基本です。SMSを悪用した詐欺は「スミッシング」と呼ばれ、総務省もSMSを使った手口に注意を促しています。
毎回同じ番号から送る、リンクは必要最小限にする、本文の冒頭で会社名を名乗るといった工夫で、詐欺を疑われる要素を減らせます。携帯4社が公認する共通番号や、送信元の正当性を示す認証済みマークに対応したサービスを使うと、なりすましSMSと区別されやすくなります。
Q. SMS督促を無視・拒否された場合はどうすればよいですか?
A. SMSで反応がない場合は、内容証明郵便による催告書の送付に切り替え、それでも応じなければ支払督促や少額訴訟といった法的手続きを検討します。SMSの受信拒否設定などで届かないこともあるため、郵送や電話と組み合わせて連絡を試みることも大切です。回収の難度が高い場合や社内の工数が足りない場合は、弁護士への相談や、督促・回収を任せられる代行サービスの利用も選択肢になります。
Q. SMS督促に時効を止める(時効の完成猶予)効果はありますか?
A. SMS督促だけで時効の完成を確実に止められると考えるのは避けたほうがよいでしょう。民法では、催告があるとその時から6か月を経過するまで時効が完成しない「完成猶予」の効果が定められていますが(民法第150条)、SMSがこの催告に当たると認めた確定的な公式見解や裁判例はなく、送達や内容の立証も課題になります。
時効管理を確実に行うなら、証拠が残る内容証明郵便で催告し、その6か月の間に支払督促や訴訟などの手続きを取るのが確実です。SMSは、あくまで連絡・リマインドの手段と位置づけておくのが安全です。
Q. SMS督促は電話や郵送とどちらが効果的ですか?
A. どれか一つが万能というわけではなく、SMSは到達性・開封率・コストの面で電話や郵送を補い、併用すると効果が高まります。電話はつながれば直接交渉できる一方で不在や着信拒否に弱く、郵送は証拠力がある反面で開封されたか分かりません。
SMSは携帯番号あてに直接届いてプッシュ通知で気づかれやすく、1通数円からと低コストです。電話がつながらない相手へSMSを送る、支払い期日にリマインドを送るといった形で使い分けると、回収につなげやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修者は記事の内容について監修しています。

















