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企業の暗号資産保有、BTCだけでなくETHやSOLにも広がる―足元に潜む負債リスクとは

2025年に入り、暗号資産を企業として保有する、いわゆる暗号資産トレジャリーが増加しています。その中でも、2025年6月6日に公開されたGalaxy Researchのレポートにて、上場企業が準備資産としてETHやSOLなどのBTC以外の暗号資産を取得する動きがあることが示されています。これまで企業の暗号資産保有戦略は、主にBTCの取得によるものが中心でしたが、その流れが変化しつつあるようです。

今回は、この新しいトレンドの詳細と、その背景にある資金調達手法のリスクについて見ていきましょう。


※本記事の内容は、マネックスクリプトバンクが週次で配信しているニュースレター「MCB FinTechカタログ通信」の抜粋です。毎週月曜17時に配信しており、無料でご購読いただくと、FinTech・Web3の注目トピックスを解説するニュースレターに加え、注目の特集記事、ビットコイン最新動向や相場予想などもお読みいただけます。

BTCからETH、SOLへと拡大する暗号資産トレジャリー

Galaxy Researchによると、先週、新たに3社が暗号資産を企業の資産としてバランスシートに加えることを発表しました。具体的には、VivoPower社が1億ドル、Nasdaqに上場しているWebus社が3億ドルのXRPを、そしてSharpLink社が4億2500万ドルのETHをそれぞれ取得する意向を示しています。

企業の暗号資産保有は、Strategy社(旧MicroStrategy社)の積極的なBTC購入戦略が先行事例として知られていますが、今回の動きは、その対象がより多様な資産へと拡大していることを示しています。Galaxy Researchの調査では、これまでに28社が暗号資産を保有しており、うちBTCが20社、SOLが4社、そして今回の発表でETHとXRPがそれぞれ2社となりました。

なぜ企業は「負債」で暗号資産を買うのか

このトレンドを理解する上で重要なのが、資金調達の方法です。一部の企業は、資産購入の原資を「負債」、特に「転換社債」の発行によって賄っています。

転換社債とは、満期までの自由なタイミングで、企業の株式に転換できる権利が付いた社債のことです。企業としては、低い金利で資金を調達できるといったメリットがあります。投資家は、将来的に企業の株価が上昇すれば、社債を株式に転換して値上がり益を狙えるため、この仕組みに応じるのです。

この戦略の根底には、購入した暗号資産の価値が、将来的に負債の返済額や株式への転換価値を大きく上回るだろうという強い期待があります。つまり、企業の株価と暗号資産の価格が連動して上昇することを前提とした、積極的な財務戦略となっています。

負債を用いた戦略に潜むリスク

しかし、この負債を活用した戦略には懸念も指摘されています。問題となるのは、転換社債の満期を迎えた時点で企業の株価が定められた転換価格を下回っている場合です。この状況では投資家が株式への転換を選ばず、企業は社債の償還資金を現金で用意しなければなりません。

その際に企業が取り得る選択肢としては、保有している暗号資産を売却して現金を確保する方法、新たな負債を発行して既存の負債を借り換える方法、新株を発行して返済資金を調達する方法、そして返済できずに債務不履行に陥る可能性といったものがあります。

特に暗号資産をトレジャリーとして保有する企業にとって懸念されるのは、暗号資産を売却して現金を確保するケースです。市場価格が下落している局面で大規模な売却が行われれば、さらなる価格下落を招くおそれがあります。その結果、同じ資産を保有する他の企業の財務状況をも悪化させ、連鎖的なリスクへと発展しかねません。

Galaxy Researchの分析によると、現在発行されている負債の多くは満期が2027年6月から2028年9月となっているため、直近で危機が訪れる可能性は低いと見られています。とはいえ、今後暗号資産トレジャリー企業が増え、負債発行が増加すれば、リスクが高まる可能性は否定できません。

考察

暗号資産トレジャリーの代表格であるStrategy社は、これまでに数十億ドル規模の転換社債を発行し、20万BTC以上を取得してきました。同社の株価はBTC価格と強く連動しており、この戦略が投資家に受け入れられている側面もあります。

しかし、今回のVivoPower社やWebus社の動きは、MicroStrategy社とは異なる文脈で捉える必要があります。BTCが「デジタル・ゴールド」として価値の保存手段と見なされることが多いのに対し、ETHやSOL、XRPはそれぞれスマートコントラクトの実行や国際送金といった明確なユースケースを持つブロックチェーンのネイティブトークンです。

企業がBTC以外の暗号資産の保有を選択したことは、暗号資産トレジャリー戦略を取るといった選択肢が、投資家サイドだけでなく企業サイドからも一般的なものとして受け入れられ始めた兆候と見ることもできるでしょう。

一方で、負債を原資とする暗号資産トレジャリー戦略は、暗号資産市場のボラティリティ(価格変動の大きさ)と相まって、新たな金融リスクの要因となる可能性も否定できません。各企業の財務状況はもちろんのこと、その資金調達の構造にも目を向ける必要があると考えられます。

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