2025年8月5日、米証券取引委員会(SEC)は、特定の条件下でリキッドステーキングを行うエンティティについては、証券法に基づく登録義務の対象外であるとの見解を明らかにしました。
この見解は、先日SECのポール・アトキンス委員長により発表された、金融市場のオンチェーン化を推進する規制改革構想である「Project Crypto」の一部となっています。今回はこの発表について、その背景と市場に与える影響について解説していきます。
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目次
規制明確化への大きな一歩
SECは2025年5月にも、個人が直接行うステーキング活動については証券取引に該当しないとの見解を示していましたが、今回の発表はそれに続く形で、リキッドステーキングにまで踏み込んだものとなります。
今回のSECの判断は、すでに巨大な市場規模を持つリキッドステーキング分野にとって、さらなる追い風となるでしょう。
データ分析プラットフォームDeFiLlamaによると、2025年8月時点で、リキッドステーキングプロトコルにロックされている資産総額(TVL)は約780億ドルに達しています。その中でも、Ethereumのリキッドステーキング市場においてはLidoが約62%のシェアを占めています。
今回の規制明確化は、Lidoの競合であるRocket Poolや、Solanaブロックチェーン上のJitoSOL、Marinade Financeといった他のプロトコルにとっても好材料です。機関投資家やコンプライアンスを重視する企業が市場に参入しやすくなることで、プロトコル間の競争が増えて、サービス品質の向上や手数料の引き下げにつながる可能性があります。
さらに、LSTを再利用して追加の利回りを得るEigenLayerなどのリステーキングプロトコルの成長も加速する可能性があります。
考察
今回のSECのガイダンスがもたらす影響として考えられるのは、Ethereum ETF(上場投資信託)にステーキングを組み込むことへの承認期待が高まることです。現在は、運用会社が信託資産となるETHをステーキングし、得られた報酬を投資家に分配するような、いわゆるステーキングETFは米国において承認されていません。ETHのステーキングETFが承認されれば、従来のEthereum ETFと比較して商品の魅力は格段に向上し、Ethereumそのものの需要が高まる可能性があります。
ただし、課題が全て解消されたわけではありません。今回のガイダンスは「特定の条件下における活動」に限定されており、LSTを利用したより複雑なDeFiプロトコルでの活動・取引や、プロトコルのガバナンストークンが証券法の対象外となるかどうかといった論点は、依然として未解決のままです。
また、Lidoのような特定のプロトコルに市場シェアが集中することは、Ethereumネットワーク全体の分散性を損なうリスクが存在します。規制の明確化によって、Lidoだけでなく競合プロトコルを含めたリキッドステーキング市場全体が成長し、分散性も維持されることがEthereumにとって最良のシナリオといえるでしょう。
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