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出金伝票の書き方徹底ガイド|交通費精算のポイントから勘定科目一覧・インボイス対応まで解説

経費精算のたびにミスや差し戻しが発生し、月末に業務が集中して疲弊していませんか?登録番号の書き忘れや勘定科目の選択ミスは、経理担当者にとって大きな負担です。

本記事では、そうした課題を解決するために「出金伝票の正しい書き方」を分かりやすく解説します。

出金伝票は、領収書がない支出でも経費計上できる重要な手段ですが、誤った使い方は税務リスクにもつながります。

この記事を読めば、出金伝票を使うべき場面や、証拠として有効な記入方法が明確になります。あわせて、インボイス制度下での注意点や、経費精算を効率化するクラウドサービスも紹介します。

経費精算のストレスを減らし、業務をもっとスマートに進めたい方は、ぜひ参考にしてください。

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出金伝票とは何か?現金支出を記録する伝票の基礎

まず、出金伝票の基本から確認しましょう。出金伝票とは、その名のとおり会社から現金が出ていった取引を記録するための伝票です。言い換えれば、「現金で支払った経費の内容や金額」を後から帳簿に正確に反映させるための社内用書類です。

通常、企業の経理では取引ごとに伝票を起票し、それをもとに会計帳簿へ転記する伝票式会計という方法があります。出金伝票はこの伝票式会計で現金支出の内容を整理する役割を果たすものです。

例えば、社用で文具を現金購入した場合や、取引先との会食代を現金で支払った場合など、「現金が減った」取引に対応します。

出金伝票と領収書、その他伝票の違い

領収書は代金を受け取った側(支払先)が発行する公式な証憑、出金伝票は支払った側(自社)が作成する内部記録です。領収書は社外提出用の書類ですが、出金伝票は社内で経理処理のために使う書類という位置づけになります。

また、入金伝票や振替伝票との違いも押さえておきましょう。入金伝票は現金が「入ってきた」取引、振替伝票は現金を使わない取引(銀行振込や掛け取引など)を記録するもので、出金伝票とは用途が異なります。

  • 出金伝票:現金が出ていく(支出)取引の記録
  • 入金伝票:現金が入ってくる(収入)取引の記録
  • 振替伝票:現金の出入りを伴わない取引の記録(掛け売掛や銀行振込など)

このように出金伝票は、現金支出の内容を具体的に記録する社内伝票だと理解してください。後述するように、領収書が無かったり紛失してしまった場合でも、出金伝票を起票しておけば経費の支出事実を社内帳簿に残すことが可能です。

Tips: 出金伝票には法定の様式がありません。用紙のレイアウトや項目も各社で自由に決められます。文具店で市販されている伝票もありますし、Excelで自社用フォーマットを作成することも可能です(後述)。

出金伝票を使う主なケース

では、具体的にどんな場面で出金伝票が役立つのでしょうか。実務でよくあるケースをいくつか挙げ、その場面ごとのポイントを説明します。

領収書が用意できない経費の支出

出金伝票が活躍するのは、領収書が手に入らない支出を経費計上したい場合です。
「もらい忘れた」「紛失してしまった」といったケースは少なくありません。例えば出張先でタクシーを利用し、領収書を受け取れなかった場合でも、出金伝票に必要事項を記入すれば、領収書の代替として認められる可能性があります。

また、そもそも領収書を発行してもらえない取引も存在します。再発行に応じない店舗や、領収書発行機能のないネットサービス利用時などが代表例です。こうした証憑不足を補う社内書類として出金伝票は有効です。

ただし、出金伝票は自社作成書類である以上、信頼性を高める工夫が不可欠です。客観的な裏付け資料の添付など、適切な運用が求められます。

電車・バスなど公共交通機関の交通費精算

交通費精算は、出金伝票を使う代表的なケースです。電車やバスは領収書が発行されないことが多く、出張や営業時は出金伝票で支出を記録します。特に交通系ICカード利用時は、利用履歴を印刷・メモして出金伝票に添付するのが一般的です。

出金伝票の「摘要」欄には、乗車区間や利用目的を具体的に記載することが重要です。「〇月〇日 東京駅〜品川駅(取引先訪問)」のように、第三者が見ても業務目的と分かる表現を心がけましょう。

同日に複数の移動がある場合は、1枚の出金伝票にまとめて記載することも可能です。区間・金額を整理して記録し、社内ルールに沿った効率的な方法で運用しましょう。

自動販売機や個人商店など領収書が出ない支払い

自動販売機での購入も出金伝票の出番です。例えば社内会議用に自販機で飲料をまとめ買いした場合、レシート・領収書は出ません。それでもその支出はれっきとした会議用経費なので、出金伝票を作成して記録を残します。摘要欄に「〇〇会議の茶菓代(自販機購入)」等と書き、金額と日付を記入すればOKです。

同様に、街の個人商店や無人販売所などで支払いをした際に領収書が出ないケースにも対応できます。たとえば地方出張中に無人駅の売店で切符を買った場合などです。

重要なのは、「いつ・どこで・何のために・いくら支払ったか」を具体的に明らかにすることです。裏付け資料として状況を示すメモや写真があれば添付するとさらに良いでしょう(自販機購入ならその飲み物を利用した会議の議事録など)。

取引先への慶弔費を現金で支払ったとき

取引先や社内関係者の冠婚葬祭では、ご祝儀・香典を現金で支払うケースがあります。これらは領収書が発行されないため、出金伝票を使って経費処理します。

出金伝票には「〇〇株式会社 ○○部長 結婚式ご祝儀」「○○様 通夜 香典」など、支出内容が明確に分かる摘要を記載します。慶弔費は妥当な範囲であれば経費(損金)として認められる支出です。

ただし、社内規定の上限や対象範囲を守っていることが重要です。招待状などの補足資料を添付すると信頼性が高まります。

また、慶弔金は消費税の課税対象外となるため、摘要欄に「非課税」と記しておくと後の処理がスムーズです。

接待費を割り勘で支払ったとき

取引先との会食を割り勘で支払う接待費でも、出金伝票が有効です。代表者にまとめて発行された領収書は自社名義ではないため、自社負担分はそのまま経費処理できません

この場合、自社負担額で出金伝票を起票し、摘要欄に「○○株式会社との会食(割り勘・自社負担〇円)」などと支払い事実を具体的に記載します。勘定科目は通常、接待交際費(場合により会議費)とします。

重要なのは、領収書に載らない支出内容を明確に記録することです。相手先や参加者を記載し、領収書コピーや参加者リストを添付すれば信頼性が高まります。

このように、正式な領収書がない現金支出全般で、出金伝票は有効な手段となります。

出金伝票の書き方【項目別の記入方法】

それでは本題である出金伝票の具体的な書き方に移りましょう。出金伝票には決まった様式こそありませんが、一般的に以下の主要項目を設けて記入します。

  • 日付
  • 支払先(出金先)
  • 勘定科目
  • 摘要(支出の目的・内容)
  • 金額
  • 起票者(担当者印)

それぞれどのように記入すれば良いのか、順番に解説します。

日付の書き方

「取引した日付」を記入します。ここで言う取引日付とは、実際に現金を支払った日のことです。伝票を書いた日ではない点に注意しましょう。例えば、9月10日に支払った経費について9月15日に伝票を書いた場合、日付欄は「9/10」となります。

また、会社によっては日付の書き方(和暦・西暦のどちらを使うか、元号や年号の表記方法など)にルールがあるので、それに従ってください。どちらでも良い場合は他の帳簿と整合性が取れる形式を選びましょう。年月日は省略せず「2025年9月10日」のように書くのが基本です。

Tips: 出金伝票の管理上、後述する伝票番号と日付を関連付けておくと便利です。例えば日付順に番号を振っておけば、後から参照する際に探しやすくなります。

支払先の書き方

誰に(どこに)現金を支払ったのかを記入します。ここは略称や通称ではなく、できるだけ正式名称を使いましょう。たとえば「◯◯タクシー」「◯◯電鉄」など法人なら正式社名、飲食店なら店舗名をフルで記載します。個人に支払った場合(例:謝礼金を個人に現金支払)も氏名を正確に。

もし支払先が自社従業員(立替精算で社員に現金を渡す場合)であっても、その社員の氏名を支払先欄に書きます。「支払先に自分の名前を書いていいの?」と疑問が出るかもしれませんが、そのケースは「(従業員名)さんに立替経費を払い戻した」ことを示すためです。要するに、自社の誰それに渡した=その人が以前立替えた分を返した、ということですね。

なお、支払先と金額は対の情報です。後で帳簿付けする際に、「どこにいくら払ったか」が分かるよう、出金伝票1枚につき基本的には1件の支払先・金額を対応させます(※交通費など複数まとめる場合は摘要に明細記載)。

勘定科目の書き方

勘定科目とは、その支出が会計上どのカテゴリーに属する経費かを示す項目です。ここには適切な費用科目を記入します。たとえば:

  • 取引先訪問の電車代 → 旅費交通費
  • 取引先との会食代 → 接待交際費
  • 社内会議の飲料代 → 会議費(社内規程で会議費扱いの場合)
  • PC用プリンターインク購入 → 消耗品費
  • 取引先の結婚式ご祝儀 → 慶弔費(※自社内で接待交際費に含めるケースも)
  • 業界団体の会費支払い → 諸会費

このように出金伝票で使われる主な勘定科目には以下のようなものがあります(一例)

  • 旅費交通費:電車・バス・タクシー代、社用車のガソリン代、高速道路料金、宿泊費など出張・移動に伴う費用
  • 接待交際費:取引先等の社外関係者との懇親目的の支出(会食代、ゴルフ接待、贈答品、ご祝儀香典も場合によっては含む)
  • 会議費:社内外の会議や打合せでの軽飲食代(社内規程で一人当たり◯円以下など条件あり)、会議室利用料等
  • 消耗品費:文房具やコピー用紙、インクカートリッジなど、金額が小さく資産計上しない消耗品の購入費用
  • 諸会費:商工会議所や業界団体の年会費、法人会費など、継続的に支払う会費
  • 慶弔費:社員や取引先の冠婚葬祭に伴う支出(祝儀、香典、供花代など)

会社によって勘定科目の細かい区分は異なります。科目選択に迷ったときは自社の会計ルール(科目科目の定義)に照らして判断してください。経理部門に確認すれば適切な科目を教えてもらえます。

なお、出金伝票の科目欄には借方科目のみを書くのが普通です。後述するように仕訳上は貸方が常に「現金」なので、現金が出て行った先である費用科目(借方)をここに記入するイメージです。

摘要(適用欄)の書き方

摘要欄(適用欄とも言う)には、その支出の目的や内容をできるだけ具体的に記載します。第三者が見ても「何の支出か」ひと目で理解できるように書くことが大切です。

記入のコツは5W1Hを意識することです。すなわち「いつ(When)、どこで(Where)、誰に(Who)、何のために(Why)、何を(What)、どうやって(How)いくら支払ったか」が推測できる情報を盛り込むと親切です。

摘要記入の具体例

  • 旅費交通費の場合:「○月○日 新宿駅〜渋谷駅(営業訪問)」
  • 接待交際費の場合:「○○株式会社 △△部長との会食(銀座○○にて)
  • 慶弔費の場合:「○○社 長谷川部長 結婚式 ご祝儀
  • 消耗品費の場合:「プリンターインクカートリッジ購入(◯◯店)
  • 会議費の場合:「社内会議(プロジェクトKickoff)お茶代

上記のように、科目だけでは分からない具体的な使途を補足します。例えば同じ交通費でも営業なのか研修なのかでニュアンスが違いますし、接待交際費も相手先を明記することで正当性が裏付けられます。

また、割り勘の場合はその旨を摘要に記しましょう(「総額○円のうち自社負担○円」等)。こうしておけば税務調査で「この領収書半分は架空経費では?」と疑われるリスクを下げられます。

Tips: 手書き伝票の場合、摘要欄が狭くて書ききれないこともあります。その場合は裏面や別紙に詳細を書く、または2行に渡って記入するなどしても構いません。とにかく内容を省略しすぎないことが重要です。

金額の書き方

実際に支払った金額を記入します。ここでは消費税込の金額を記載するのが一般的ですが、社内ルールで税抜金額を使っている場合はそれに従ってください(どちらで記入したか分かるようにしておき、帳簿と一致させます)。

金額欄を記入するときは改ざん防止の観点でいくつか注意があります。具体的には、先頭に通貨記号「¥」を付ける、末尾に不要な隙間があれば訂正線やカンマで埋める、といった慣行です。

例えば「10000」と書くと後から「910000」に書き変えられる恐れがあるため、「¥10,000-」のように書いておくと安全です。もっとも、伝票によっては金額欄に¥マークや桁区切りの印刷があらかじめされているので、その場合は普通に数字を書くのみで問題ありません。

割り勘の場合の金額

前述のとおり、割り勘で支払った場合は自社が実際に負担した分の金額のみを記載します。よくある間違いとして、領収書に書かれた総額をそのまま書いてしまうケースがありますが、それでは自社の支出額を超える経費計上となり不適切です。必ず自社が支払った金額を把握し、その額を記入してください。

なお、もし出金伝票に複数の支出項目(例えば交通費500円と切手代300円を一緒に処理する等)を記載した場合は、各項目ごとに金額を分けて書き、最後に合計金額欄に合計額を記入する形式になります。市販の伝票には「金額(合計)」欄が用意されていますので、その欄があれば合計額を忘れずに。

起票者欄(係印)の書き方

起票者とは、出金伝票を作成し、経費を申請する担当者のことです。多くの伝票には「起票者」「係」欄があり、記名や押印によって申請者を明確にします。

この欄の目的は、「誰が責任をもって経費申請しているか」を示すことです。社内ルールによっては、起票者とは別に上長や経理部の承認印欄が設けられています。

電子申請では押印の代わりに電子契約システムによる承認を行いますが、紙の伝票では起票者の押印が信頼性確保の役割を果たします。会社ごとに押印・サインの扱いは異なるため、必ず自社ルールに従いましょう。

出金伝票はシンプルですが、日付・摘要・科目などを正確に記入することが重要です。不備があると差し戻しや経費否認につながるため、漏れなく記載する意識が欠かせません。

出金伝票の勘定科目一覧と仕訳の基礎

前章で勘定科目の書き方に触れましたが、ここで出金伝票で頻出する勘定科目をまとめておきます。経費精算時に迷いやすい科目を一覧で確認し、選択ミスを防ぎましょう。

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主な該当支出補足
旅費交通費電車・バス代、タクシー代、社用車ガソリン代、高速料金、宿泊費、出張旅費交通機関利用や出張に伴う費用全般。ICカード利用分も含む。
接待交際費取引先等との会食代、ゴルフや接待旅行費、贈答品費用、ご祝儀・香典社外との懇親・交際目的の支出。社内(社員のみ)の飲食は交際費にならない点に注意。慶弔金も対外的なら交際費扱い可。
会議費社内外の会議で提供するお茶や弁当代、会議室レンタル代社内規程で一人当たり○○円以下など基準あり。少額の飲食(軽食)は会議費になる場合がある。
消耗品費文具、コピー用紙、インク、電池、清掃用品など消耗品購入費使用期間1年未満、金額が小さい物品。規程で資産計上基準額(例えば10万円以上)は固定資産にする等あり。
諸会費業界団体会費、商工会議所会費、研究会参加費、月額サービス利用料など継続的に発生する会費や会費制サービス料金。内容により「新聞図書費」「通信費」等で処理する場合も。
慶弔費祝儀、香典、葬儀花輪代、見舞金社内外の慶弔に対する支出。接待交際費の一種とも言えるが、社内規程で独立科目にしている企業も多い。非課税取引である点に留意。
雑費上記いずれにも当てはまらない少額雑多な費用例:文具以外の事務用品や、特定の科目に分類しにくい経費。頻繁に使う場合は科目設定の見直しを。

※上記は一例です。企業によって科目体系が異なるため、自社の勘定科目一覧に従ってください。特に接待交際費 vs 会議費は社内基準で振り分けが変わることがありますので、迷ったら経理担当者に確認すると確実です。

出金伝票の仕訳

最後に出金伝票の仕訳について補足します。出金伝票は現金支出を記録するため、仕訳に起こすと必ず貸方に「現金」が来ます。例えば旅費交通費1,000円を支払った場合の仕訳は「旅費交通費 1,000円(借方)/現金 1,000円(貸方)」です。

出金伝票1枚につき、このような仕訳1本(または複数科目なら借方複数に対し貸方現金合計)が起票されることになります。入金伝票なら貸方が常に現金、振替伝票なら現金勘定が出てこない、と対比で覚えておきましょう。

出金伝票を利用する際の注意点

正しく記入すれば、領収書がない経費でも計上可能ですが、使い方を誤るとリスクがあります。出金伝票は適切に運用し、税務調査でも問題にならない管理を心がけましょう。

出金伝票は必要以上に多用しない

出金伝票はあくまで補助的な手段です。原則は「経費=領収書添付」であり、安易な多用は経費管理が甘い印象を与えかねません。

特に接待交際費や慶弔費は、社内規程で上限や対象が定められていることが多く、領収書のない支出ほど慎重な管理が必要です。

税務調査では、出金伝票が多いほどチェックが厳しくなる傾向があります。自己作成書類は証拠能力が弱いと判断されるケースもあるため、本当に領収書が取得できない場合の最終手段と考えましょう。

必要事項を正確にもれなく記入する

出金伝票は、日付・支払先・科目・摘要・金額を漏れなく記載することが重要です。一部でも欠けると、支出内容が不明確になり信頼性が下がります。

特に摘要欄は、「交通費」「お茶代」などの曖昧な記載はNGです。誰が見ても業務内容が分かる具体的な記述を意識しましょう。

また、承認欄がある場合は、必ず上長や経理の確認を経ることが重要です。ダブルチェック体制を徹底することが、不正防止と信頼性向上につながります。

出金伝票の修正方法

万一書き間違えた場合、修正液は使わず二重線を引いて訂正印を押すのが原則です。修正液で塗りつぶされた伝票は改ざんを疑われるためNGです。この辺りのルールは社内であらかじめ周知しておきましょう。

必ず証拠書類を添付し、裏付けを残す

繰り返しになりますが、出金伝票単独では客観的な証明力が弱いです。そこで大切なのが裏付け資料の添付です。可能な限り、その支出の事実を示す証拠を出金伝票にホッチキス留めするか、電子保存なら関連ファイルを紐付けておきましょう。

  • 交通費なら…ICカードの利用履歴票、乗車券控え、出張命令書コピーなど
  • 慶弔費なら…結婚式の招待状、葬儀の会葬礼状、式次第など
  • 会議費なら…会議の議事録、出席者リスト、会議室予約票など
  • 自販機購入なら…その会議やイベントの案内資料(そこで飲料提供が必要だったと示すため)
  • 割り勘接待なら…先方からもらった領収書のコピー、参加者リスト、名刺のコピー等

これらを出金伝票とセットで保管することで、「出金伝票に書かれた内容は確かに実在する支出だ」という裏付けになります。税務調査の際も、出金伝票だけポンと見せるより証拠付きで提出した方が圧倒的に信頼度が高いです。「将来の監査や税務調査に備えられる」という意味でも、証拠とのセット保管にはメリットがあります。

消費税区分の記載とインボイス制度への対応

2023年10月からインボイス制度が開始され、仕入税額控除には適格請求書(インボイス)の保存が原則必須となりました。まず重要なのは、出金伝票はインボイスの代替にはならないという点です。

出金伝票で経費(損金)計上は可能でも、消費税の控除には原則インボイスが必要です。領収書がない支出にはインボイスもないため、通常は消費税控除ができません。ただし、一部例外として帳簿のみで控除が認められるケースがあります。

それが「3万円未満」の一定取引です。代表例は以下の通りです。

  • 公共交通機関の運賃(電車・バス代など)
  • 自動販売機・無人販売機での購入

これらは、取引日・内容・金額・税率区分などを帳簿に正確に記載していれば、出金伝票のみで消費税控除が可能です。

一方、それ以外の取引は原則インボイスがなければ消費税控除不可です。出金伝票で経費にはできますが、消費税は戻りません。

「経費にできる」と「消費税を控除できる」は別物である点は、必ず押さえておきましょう。

消費税まで含めて処理したい場合は、可能な限りインボイスの取得を徹底する必要があります。出金伝票に頼りすぎると、消費税で損をするリスクがあります。

なお、出金伝票には税率区分(10%/軽減税率8%)を明記することが重要です。取引内容に応じた正確な記載を心がけましょう。

インボイス制度についての詳細は『インボイス制度で業務ミスが増える前に!経理担当がやるべきことを徹底解説』で解説しています。

出金伝票の保存期間と管理

作成した出金伝票は他の証憑類と同じく法定期間保存する義務があります。法人税法では7年間、会社法では10年間の保存が必要です。これは領収書や請求書と同じ扱いです。個人事業主の場合も青色申告なら原則7年(白色申告なら5年)保存しなければなりません。

保存方法は紙でも電子でも構いませんが、少なくとも期間内は紛失や破棄をしないよう厳重に管理しましょう。紙で保管する場合は日付順や伝票番号順に綴り、証拠書類とセットでファイリングします。電子化する場合は電子帳簿保存法の要件(検索機能確保やタイムスタンプ等)を満たしているか確認が必要です。

最近はスキャンして電子データ保存し、紙原本は廃棄する企業も増えています。その際は事前に税務署等への届出や適切な運用が前提となります(電子帳簿保存法対応)。もし煩雑であれば紙のまま保管でも構いません。要は後からいつでも提示できる状態で7年間保存しておくことが肝要です。

電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件に関しては『電子帳簿保存法におけるスキャナ保存の要件を完全解説!タイムスタンプ不要の条件からおすすめサービスも紹介』をご覧ください。

社内ルールの整備と不正防止

最後に、社内ガバナンスの観点です。出金伝票は自己申告で作れる分、不正経費計上の温床になりやすいとも言えます。そこで社内で以下のようなルールを設けると良いでしょう。

  • 起票できる人を限定
    • 誰でも自由に出金伝票を起票できる状態は避け、経費申請可能者や上長承認者を定めておく。
  • 必ず上長または経理の承認を要件に
    • 係印+承認印のプロセスをルール化し、一人の判断で経費計上させない
  • 伝票の通し番号管理
    • 伝票に番号を振って管理し、欠番や重複が出ないようチェックする。番号順にファイリングしておけば管理漏れ防止に。
  • 修正時の取り扱い
    • 前述のように修正液禁止、訂正は二重線+訂正印で行うことを周知。改ざん痕跡を残さない運用を徹底する。
  • 定期的な監査
    • 経理部門や内部監査担当が、出金伝票の内容を定期的にチェック。不自然なもの(大きすぎる額の頻出、特定社員による連発など)をモニタリングする。

このような社内統制を効かせることで、出金伝票が「架空経費の温床」にならないようにできます。特に昨今はコンプライアンス重視ですので、「できる限り領収書ベースで処理し、出金伝票対応は最小限に」という風土を作ることも大切です。

以上、出金伝票を使う際の注意点をまとめました。適切に使えば便利な出金伝票ですが、乱用せず・丁寧に記録し・証拠を揃えることがポイントです。

業務効率化におすすめの経費精算システムを紹介

ここまで出金伝票の手書き運用について詳しく見てきましたが、「チェック項目が多くて大変」「紙で保管するのも一苦労」と感じられたかもしれません。しかし現在では、経費精算のデジタル化・自動化を実現するクラウドサービスが数多く登場しています。これらを導入すれば、出金伝票処理の手間やミスを大幅に削減可能です。

ここでは国内の主要なクラウド経費精算システムをいくつか取り上げ、その特徴を紹介します。ぜひ「経費精算をもっと楽に、正確にしたい」という潜在ニーズに照らして比較検討してみてください。

Bill One経費(Sansan株式会社)

出典元:https://bill-one.com/

Bill One経費は、Sansan株式会社が提供するクラウド型の経費精算サービスで、従来の立替払い中心の精算業務を根本から見直す設計になっています。全社員に発行可能な「Bill Oneビジネスカード」を使うことで、従業員の立替支払いをなくし、領収書提出〜承認〜仕訳〜保管までをオンライン上で完結させることができます。

リアルタイムで利用状況や証憑突合を管理でき、経理部門の工数削減や月次決算スピードの向上にもつながります。また、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応するほか、2025年9月からは経費の事前申請内容をカード利用設定に自動連携する新機能も提供開始予定で、誤利用や不正リスクの低減にも配慮されています。

Tenbook(テンブック)クラウド型経理代行サービス

出典元:https://www.shine-accounting.co.jp/

Tenbook(テンブック)は、シンアカウンティングサービス株式会社が提供するクラウド型の経理代行サービスで、会計・経理の専門家が企画したクラウド会計・経理ソフトを活用して日常の経理業務を一括してアウトソーシングできるサービスです。請求書発行、支払処理、給与計算、立替精算といったバックオフィスの煩雑な作業をまとめて代行し、経理担当者の負担を大幅に軽減します。

クラウドソフトを基盤に業務を進めるためデータ連携やミス防止にも配慮されており、振込ミスの低減や債権・債務の見える化、電子帳簿保存法への対応なども支援します。こうした代行機能により、中小企業でも経理の属人化を防ぎつつ効率的に日次・月次の財務処理が可能になります。

楽楽精算(株式会社ラクス)

楽楽精算は、株式会社ラクスが提供するクラウド型の経費精算システムで、交通費・出張費・交際費などの経費処理をまとめてオンラインで効率化できます。申請者はスマホで領収書を撮影してAI-OCRで自動データ化し、承認者はシステム上でチェック・承認、経理は仕訳や支払データを自動出力できるため、手作業や紙管理の手間を大幅に削減します。

交通系ICカード読み取りや定期区間控除などの機能も備え、既存の承認フローをそのまま電子化できる柔軟なカスタマイズ性も特長です。国内で累計導入社数No.1の実績を持ち、電子帳簿保存法対応や会計ソフト連携など、業務負荷の低減と内部統制の強化にも対応します。

マネーフォワード クラウド経費(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド経費は、マネーフォワードが提供するクラウド型の経費精算サービスで、スマホ完結の申請・承認・会計連携機能により経費精算業務をデジタル化・自動化します。領収書の撮影によるOCR入力や交通費の自動算出、柔軟なワークフロー設定を備え、ペーパーレスでの申請から承認までを実現します。

会計ソフトとの連携や仕訳データの自動生成により経理作業を効率化し、電子帳簿保存法にも対応。多くの企業で導入されている実績があり、中小企業から大企業まで幅広い規模・業種で利用されています。

バクラク経費精算(株式会社LayerX)

バクラク経費精算は、株式会社LayerXが提供するクラウド型の経費精算システムで、領収書やレシートのAI-OCR自動読み取りを強みにしたサービスです。スマホで撮影した複数枚の領収書を一括で高速にデータ化できる高精度AIを搭載しており、手入力の手間を大幅に削減します。バクラク独自の自動判定機能により、軽減税率やインボイス制度の登録番号のチェックや重複検知も可能で、ミス防止や入力不備の削減に寄与します。

また、承認ワークフロー、申請・承認のモバイル対応、会計ソフト連携、自動仕訳出力など、経費申請から精算・会計処理までを一気通貫で管理できます。電子帳簿保存法にも対応しているため、領収書原本のファイリング不要でペーパーレス運用が可能です。シリーズ累計導入社数は15,000社以上と広く採用されています。

以上、代表的な経費精算システムの概要を紹介しました。いずれのサービスも出金伝票に頼ったアナログ業務から脱却し、経費精算の効率と正確さを飛躍的に高めてくれるツールです。読者の皆様の企業規模・ニーズに合ったものを比較検討してみてください。

まとめ

出金伝票の基礎知識から具体的な書き方、注意点、さらには経費精算システムによる効率化まで一挙に解説してきました。最後に要点を振り返ります。

  • 出金伝票とは
    • 現金払いの経費取引を記録する社内伝票で、領収書が無い場合でも経費計上を可能にするツールです。ただし自社発行のメモに過ぎないため、信頼性を保つ使い方が求められます。
  • 使う場面
    • 領収書をもらい忘れた支出、電車やバス代など領収書が出ない交通費、自販機購入費、慶弔費、割り勘負担分など多岐にわたります。「領収書が無いなら出金伝票」が基本的な考え方ですが、多用は禁物です。
  • 書き方
    • 日付・支払先・勘定科目・摘要・金額・起票者の項目ごとに、漏れなく具体的に記入します。特に摘要欄は誰が見ても分かる内容を心掛け、証拠資料も添付して裏付けましょう。勘定科目は自社ルールに沿って適切なものを選びます(旅費交通費、接待交際費等)。
  • 注意点
    • 出金伝票は記入ミスや不備があると信頼性が落ちるため、正確な記載と承認フローが重要です。保存は7年間(会社法では10年)必要で、税務調査ではインボイス無しの経費は基本消費税控除不可である点にも留意が必要です。不正防止の社内統制も整えましょう。
  • 経費精算の効率化
    • 手作業の出金伝票処理には限界があるため、クラウド経費精算システムの活用が有効です。Bill One経費に代表されるサービスは立替や紙処理を無くし、入力ミスや確認作業を劇的に削減します。他にも楽楽精算マネーフォワード等、多彩なソリューションがあり、経理業務のDXによって月末の疲弊から解放される企業が増えています。

出金伝票の正しい扱い方を理解しつつ、「そもそも出金伝票が必要になる状況自体を減らす」ことにも目を向ければ、経費精算業務は格段にスムーズになります。本記事の内容が、あなたの会社の経費精算フローを見直す一助になれば幸いです。

煩雑な経費処理に悩んでいるなら、ぜひ一度最新の経費精算クラウドも検討してみてください。資料請求やデモ体験を通じて、自社にフィットする仕組みを見つければ、経理部の働き方がきっと変わるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 領収書が無い経費でも本当に出金伝票で経費にできますか?

A. はい、可能です。出金伝票に日付・支払先・金額・内容(目的)などの必要事項を正確に記載し、事業に関連する支出であることが説明できれば、領収書がなくても経費として認められます。

ただし出金伝票は自社作成書類のため証明力は弱く、ICカード利用履歴や案内状などの客観的資料を添付することが重要です。また、インボイス制度下では、原則として消費税の仕入税額控除はできない点に注意が必要です(公共交通機関の少額運賃など一部例外あり)。

Q2. 出金伝票に書く勘定科目はどうやって選べばいいですか?

A. 基本は支出内容に最も近い勘定科目を選びます。たとえば交通費は「旅費交通費」、取引先との飲食は「接待交際費」、文具購入は「消耗品費」といった具合です。

勘定科目の定義や使い分けは会社ごとに異なるため、迷った場合は自社の勘定科目一覧や経理担当者に確認するのが確実です。経費精算システムを利用すれば、選択式で入力できるため科目ミスの防止にもつながります。

Q3. インボイス制度が始まったら出金伝票は使えなくなりますか?

A.出金伝票自体は引き続き使用できますが、消費税の扱いが変わります。インボイス制度では、原則として適格請求書がない支出は仕入税額控除の対象になりません。

そのため、出金伝票で経費計上はできても、消費税は控除できないケースが多い点に注意が必要です。ただし、公共交通機関の運賃や自販機購入など、一定の少額取引については帳簿(出金伝票)のみで控除が認められる例外があります。

Q4. 出金伝票はパソコンで作成しても問題ないですか?手書きじゃないとダメ?

A. 問題ありません。ExcelやWordで作成した出金伝票でも法的に有効で、必要項目が漏れなく記載されていれば形式は問いません。

テンプレートを使えば記入ミスの防止や作業効率の向上にもつながります。電子データで保存する場合は、電子帳簿保存法の要件(検索性・改ざん防止など)を満たすよう注意しましょう。

Q5. 出金伝票は何年間保存する必要がありますか?

A. 法人の場合、原則7年間の保存義務があります(法人税法)。会社法では10年とされていますが、税務対応としては7年間を目安に管理するケースが一般的です。

紙・電子いずれで保存しても構いませんが、税務調査などで求められた際にすぐ提示できる状態で保管しておくことが重要です。電子保存の場合は、改ざん防止措置や検索機能の確保を忘れないようにしましょう。

以上です。本記事を参考に、出金伝票を正しく活用すると共に、経費精算全体の効率化もぜひ検討してみてください。経理業務の負担軽減と正確性向上に役立つ情報がお届けできていれば幸いです。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。
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