毎月の請求書発行、山積みの振込作業、消込の確認に追われる日々…中小企業の経理担当者様や経営者様にとって、企業間決済業務は時間と手間がかかる大きな課題ではないでしょうか?月末月初は特に業務が集中し、ヒューマンエラーのリスクや残業の常態化に悩まされている方も少なくないはずです。
この記事では、そんな企業間決済の仕込みと重要性について解説します。業務を劇的に効率化する方法も紹介しているため、最後までご覧ください。
目次
企業間決済とは?基本を徹底解説
企業間決済は、日々の事業活動において不可欠な要素です。その定義を正確に理解し、一般的な消費者向け決済との違いを把握することが、業務効率化への第一歩となります。
企業間決済の定義とBtoC決済との主な違い
企業間決済とは何か?
企業間決済とは、その名の通り、企業と企業の間(BtoB:Business to Business)で行われる取引における請求・決済業務全般を指します。製品の原材料の仕入れ、部品の購入、業務委託、サービスの利用など、企業が事業を運営していく上で他の企業や個人事業主との間で行うあらゆる商取引に伴う代金のやり取りがこれに該当します。
単に金銭を支払う・受け取るという行為だけでなく、請求書の発行、送付、入金確認、そして会計システムへの記録といった一連のプロセス全体を含む概念です。
この企業間決済は、取引規模や決済金額が個人向けの取引(BtoC決済)と比較して大きくなる傾向があり、一つ一つの取引が企業の資金繰りに与える影響も大きいため、効率的かつ確実な決済プロセスの構築が事業運営の安定と成長の鍵を握ると言えるでしょう。
取引金額、決済タイミング、信用の重要性:BtoC決済との比較
企業間決済(BtoB決済)と消費者向け決済(BtoC決済)を比較すると、いくつかの明確な違いが見られます。
- 取引金額の違い
- 企業間取引では、一度に大量の商品を仕入れたり、高額な設備投資を行ったりするため、BtoC取引と比較して決済金額が非常に高額になるのが一般的です。このため、決済の遅延や未回収が発生した場合の経営へのインパクトはBtoC取引よりも格段に大きくなります。
- 決済タイミングの違い
- BtoC取引では、商品購入時やサービス利用時に即時で支払いが行われるケースがほとんどです。一方、企業間取引では、「掛け払い(掛売り)」と呼ばれる、商品やサービスの提供後に一定期間分の取引をまとめて後で支払う仕組みが主流です。
- 例えば、「月末締め翌月末払い」といった形で、1ヶ月分の取引を翌月の末日までに支払うといったケースが多く見られます。これにより、買い手企業は支払いまでの猶予期間を持つことができ、売り手企業は都度の請求・入金確認の手間を省けるというメリットがあります。しかし、この時間差が資金繰りの課題や未回収リスクを生む要因ともなります。
- 信用の重要性の違い
- BtoC取引では、クレジットカードの与信審査などを除けば、個々の取引における「信用」の比重は相対的に低いと言えます。しかし、企業間決済、特に掛け払いにおいては、取引相手との信頼関係が極めて重要です。商品やサービスを先に提供し、後から代金を回収するという性質上、売り手企業は買い手企業の支払い能力を信用する必要があります。
- このため、新規取引を開始する際には「与信審査」が行われるのが一般的です。この与信審査自体が、中小企業にとっては手間や時間のかかる業務となることも少なくありません。
BtoC取引における後払い決済の仕組みについては『BNPL(後払い)の仕組みとクレジットカードとの違いは?法規制やメリット・デメリットも徹底解説』をご覧ください。
なぜ企業間決済の理解が中小企業の成長に不可欠なのか
企業間決済の効率化は、中小企業の成長を左右する重要な戦略です。人手不足や生産性の課題を抱える中小企業にとって、決済業務の非効率は「見えないコスト」として経営を圧迫します。特に、請求書の発行や入金確認などを手作業で行っていると、本来注力すべき分析業務や改善活動に時間を割けなくなります。
また、決済の遅延や未回収は資金繰りを直撃し、最悪の場合、黒字経営にもかかわらず資金がショートして倒産に至るリスク(いわゆる「黒字倒産」)を引き起こす恐れもあります。これらのリスクは、効率的な決済プロセスを導入することで大きく軽減できます。
さらに、企業間決済の精度は取引先との信頼関係にも直結します。スムーズで正確な決済対応は、相手企業からの信用を高め、良好なビジネス関係の維持・発展につながる一方、請求ミスや支払いの遅延は信用失墜の原因になり得ます。
このように、企業間決済を正しく理解し、自社に最適な形で整備・運用することは、単なる業務改善にとどまらず、中小企業の持続的な成長を支える経営基盤の強化につながります。
企業間決済の主な種類と特徴、メリット・デメリット
企業間決済には、伝統的な方法から近年注目される新しい方法まで、様々な種類が存在します。それぞれの特徴、メリット、デメリットを理解し、自社の状況や取引先のニーズに合わせて最適な手段を選択することが重要です。
伝統的な企業間決済方法と課題
長年にわたり利用されてきた決済方法も、現代のビジネス環境においてはいくつかの課題を抱えています。
1.銀行振込:依然として主流だが、手間とコストが課題
銀行振込は、企業間決済において最も広く利用されている決済手段の一つです。請求書に基づいて指定された口座に代金を振り込むというシンプルな仕組みで、特に高額な取引や取引回数が少ない場合には有効です。
- メリット
- 普及率が高く、ほとんどの企業で利用可能
- 高額取引にも対応しやすい
- 売り手は請求業務をまとめて処理できる
- 買い手は支払いを月単位で集約でき、振込手数料の負担を軽減可能
- デメリット
- 請求書発行〜郵送までの作業に時間と手間がかかる
- 取引件数が多いと振込手数料がかさむ
- 入金確認や消込が手作業になりがちで、ミスのリスクあり
- 売り手は未回収リスクを常に抱える
- 買い手は支払い遅延により信用を失う可能性がある
このように、銀行振込は馴染み深い反面、特に取引件数が多い中小企業にとっては、手作業による業務負荷やコスト、未回収リスクといった課題を抱えています。
2.約束手形・小切手:減少傾向も、依然残る慣習と廃止に向けた動き
約束手形や小切手は、かつて企業間決済の主要な手段の一つでしたが、近年はその利用が減少傾向にあります。しかし、一部の業界や企業間では依然として慣習として残っています。
これらの決済手段には、以下のような課題があります。
- 現金化までの時間
- 受け取った手形は支払期日まで現金化できず、期日前に現金化しようとすると割引料が発生するため、資金繰りを圧迫する可能性があります。
- 管理の負担とコスト
- 紙媒体であるため、発行、郵送、保管、管理に手間がかかります。また、紛失、盗難、偽造のリスクも伴います。
- 印紙税
- 手形の発行には金額に応じた収入印紙が必要となり、コスト負担となります。
- 事務手続きの煩雑さ
- 手形帳への記入や銀行への持ち込みなど、事務手続きが煩雑です。
このような背景から、政府は2026年度末までに紙の約束手形・小切手の利用を廃止し、電子的な決済手段への移行を推進しています。この動きは、手形や小切手を依然として利用している中小企業にとって、決済方法の見直しを迫る大きな転換点となります。(出典:全国銀行協会より)
近年注目される企業間決済方法と「掛け払い」の重要性
伝統的な決済方法の課題を背景に、より効率的で安全な新しい決済方法が注目されています。その中でも、企業間取引の基本となる「掛け払い」の仕組みを理解し、それを支える現代的なソリューションを知ることが重要です。
1.【重要】掛け払い(後払い)決済:企業間取引の主流な決済方法
「掛け払い(かけばらい)」は、企業間取引(BtoB)における最も基本的かつ主流な決済方法です。これは、商品やサービスを先に提供し、代金は後日、一定期間の取引分をまとめて受け取る仕組みを指し、「請求書払い」や「後払い」とも呼ばれます。
例えば、「月末締め翌月末払い」という形式では、1ヶ月間の取引代金を翌月の末日までに支払います。
この掛け払いは、BtoC(企業対消費者)取引における「後払い」とは性質が異なります。BtoCの後払いは都度決済が基本ですが、BtoBの掛け払いは一定期間の取引をまとめて決済する点が特徴です。また、掛け払いは取引相手の信用を担保に行われるため、利用限度額もBtoCの後払いより高額に設定されるのが一般的です。
- 売り手側のメリット
- 取引の都度請求書を発行する必要がなく、一定期間分をまとめて処理できるため、請求・入金業務を効率化できます。
- 買い手にとって支払いやすい条件を提示することで、取引の機会損失を防ぎ、新規顧客の獲得や取引拡大に繋がる可能性があります。
- 買い手側のメリット
- 支払いを月に一度などに集約できるため、支払い業務の負担や振込手数料を軽減できます。
- 商品やサービスを受け取ってから支払いまでの期間(支払いサイト)があるため、資金繰りに余裕が生まれ、予算管理がしやすくなります。
- 高額な取引でも、支払いサイトを利用することで購入のハードルが下がります。
企業間取引において掛け払いが主流である背景には、継続的な取引が多いこと、取引金額が高額になりやすいこと、そして何よりも取引相手との信頼関係(与信)に基づいて取引が行われるという商習慣があります。この「掛け払い」の仕組みをいかに効率よく、低リスクで運用するかが鍵になります。
BtoB後払いサービスの仕組みや種類についての詳細は『BtoB後払い・掛け払い決済サービスのおすすめ比較6選!仕組みや導入メリットも解説』をご覧ください。
2.口座振替:定期的な支払いを自動化する安定した手段
口座振替は、事前に登録した買い手の銀行口座から、定期的に代金が自動で引き落とされる決済方法です。特に、毎月定額の支払いが発生するサブスクリプションサービスやリース料金、保守費用などの決済に適しています。
- メリット
- 売り手側
- 買い手の支払い忘れを防ぎ、未回収リスクを低減できます。
- 入金確認や消込作業の負担が軽減されます。
- 安定的な代金回収が期待できます。
- 買い手側
- 支払いの手間が省け、支払い忘れを防ぐことができます。
- 振込手数料がかからない場合が多いです。
- 売り手側
- デメリット
- 売り手側
- 口座振替依頼書の回収や金融機関への提出など、導入時の手続きが煩雑な場合があります。
- 引き落とし日に口座残高が不足している場合、引き落としができず未回収となるリスクがあります。
- 買い手側
- 口座振替依頼書の記入・提出といった初期手続きが面倒だと感じる場合があります。
- 自動引き落としのため、利用状況を意識しづらくなる可能性があります。
- 売り手側
口座振替は、特に継続的な取引において、双方の業務効率化と安定した決済を実現する有効な手段です。口座振替サービスの料金や機能の詳細は『口座振替代行サービスおすすめ8社|手数料・機能を徹底比較』をご覧ください。
3.法人クレジットカード決済:BtoBにおけるキャッシュレス化の推進力と経費管理の効率化
近年、BtoC取引だけでなく、BtoB取引においても法人クレジットカードの利用が拡大しています。これは、企業の経費支払いだけでなく、企業間の商品・サービスの対価の支払いにも利用されるケースが増えていることを意味します。
- メリット
- 売り手側
- クレジットカード会社による与信が担保されるため、未回収リスクを軽減できます。
- 請求書発行や消込作業、未入金時の督促といった煩雑な業務を削減できる可能性があります。
- 買い手にとって利便性が高いため、販売機会の拡大に繋がる可能性があります。
- 買い手側
- 銀行振込のような手間がなく、オンラインで迅速に支払いを完了できます。
- 支払いサイトをクレジットカード会社の引き落とし日まで延長できるため、キャッシュフローに余裕が生まれます。
- 利用明細が一元管理されるため、経費管理が効率化されます。
- ポイント還元や付帯サービスといったメリットを享受できる場合があります。
- 売り手側
- デメリット
- 売り手側
- 決済金額に応じて数パーセントの決済手数料が発生します。
- 入金サイクルが現金取引よりも長くなる場合があります。
- チャージバック(不正利用などによる売上取消)のリスクがあります。
- 買い手側
- クレジットカードの利用限度額を超える高額な取引には不向きな場合があります。
- 売り手側
法人クレジットカード決済は、特に少額かつ頻繁な取引や、オンラインでのサービス利用料の支払いなどで利便性が高く、企業間決済のキャッシュレス化を推進する上で重要な役割を担っています。
なお、クレジットカード決済サービスと似たような支払い手段に請求書カード払いサービスがあります。クレジットカード決済に対し請求書カード払いでは、請求する側が発行した請求書をもとに支払うため、請求する側がクレジットカード決済に対応しなくても利用できる点が請求書カード払いのメリットです。
請求書カード払いの詳細は『請求書カード払いサービス比較5選!メリット・デメリットも紹介』をご覧ください。
4.でんさい(電子記録債権):手形・小切手に代わる次世代の電子的決済手段
「でんさい(電子記録債権)」は、紙の約束手形や小切手が抱える紛失・盗難リスク、管理コスト、事務負担といった課題を解決するために生まれた、電子的な決済手段です。株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)が記録機関となり、電子的な記録によって債権の発生・譲渡・支払などを行います。
- 主なメリット
- コスト削減
- 手形発行に必要な印紙税や用紙代、郵送費などが不要になります。
- 業務効率化
- 手形の作成、交付、保管、取立といった煩雑な事務作業が大幅に削減されます。支払期日には自動的に資金が振り込まれるため、取立手続きも不要です。
- 安全性向上
- 紛失・盗難のリスクがなく、偽造も困難です。電子的に記録・管理されるため、セキュリティが向上します。
- 柔軟性
- 必要に応じて債権を分割して譲渡したり、割引したりすることが可能です。
- 資金繰り改善
- 手形割引と同様に、期日前に資金化することも可能です。
- コスト削減
- 導入時の留意点
- 取引先もでんさいを利用している(または導入に同意する)必要があります。
- 利用には金融機関を通じた申し込みと、場合によっては会計システムの対応が必要になることがあります。
- 小規模な取引が中心の場合、コスト削減メリットが限定的になることもあります。
先述した通り、2026年度末に予定されている紙の手形・小切手の利用廃止に向けて、でんさいは中小企業にとっても重要な代替手段の一つとして注目されています。
中小企業が抱える企業間決済の課題
中小企業の経理担当者や経営者の多くが、日々の企業間決済業務において様々な課題に直面しています。これらの課題は、単に業務の非効率性を招くだけでなく、企業の資金繰りや成長機会にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
手作業による請求・支払い業務の非効率性:時間とコストの浪費
多くの中小企業では、請求書の作成、印刷、封入、郵送といった一連の請求業務や、受け取った請求書に基づく支払い処理を手作業で行っています。これらの作業は、特に取引件数が多い場合、膨大な時間と労力を要します。
例えば、「請求書の発行、封入れに半日かかってしまう」といった声や、「事務員の急病で請求書作成が滞ってしまった」というエピソードは、手作業に依存する業務の脆弱性を示しています。
このような手作業中心の請求・支払い業務は、人件費という直接的なコストだけでなく、担当者が他のより付加価値の高い業務(例えば、財務分析や経営戦略の立案サポートなど)に時間を割けないという機会損失も生み出しています。決済管理業務が膨大になりがちな現状は、中小企業の限られたリソースを圧迫する大きな要因です。
煩雑な入金確認と消込作業の負担:ミスと遅延の温床
売り手企業にとって、請求書を発行した後の入金確認と消込作業は、特に負担の大きい業務の一つです。取引先からの入金が、どの請求に対するものなのかを一件一件確認し、会計システム上で消し込んでいく作業は、非常に手間がかかります。
特に、振込名義が請求先と異なっていたり、複数の請求分がまとめて振り込まれたりする場合には、特定作業がさらに困難になります。
「得意先が多すぎて未入金の対応が後手後手になってしまう」あるいは「入金確認が取れず、催促電話に一日費やした」といった状況は、多くの経理担当者が経験する悩みでしょう。
このような煩雑な手作業は、確認漏れや消込ミスといったヒューマンエラーを引き起こしやすく、結果として売掛金の管理が不正確になったり、取引先への二重請求や誤った督促といったトラブルに発展したりするリスクも抱えています。BtoB決済代行サービスの中には、この入金消込作業を自動化する機能を提供するものもあります。
ダブルチェックに伴う残業の常態化:従業員の疲弊と生産性低下
ヒューマンエラーを防止するためのダブルチェックやトリプルチェックは、さらなる業務時間の増加を招きます。月末月初などの繁忙期には業務が集中し、残業が常態化している企業も少なくありません。
このような状況は、経理担当者の疲弊を招き、モチベーションの低下や離職にも繋がりかねません。結果として、企業全体の生産性の低下という悪循環に陥ることも懸念されます。
企業間決済の決済手段別 比較表
以下に、これまで見てきた主な企業間決済方法の特徴をまとめます。自社のビジネスモデルや取引先の状況、解決したい課題に応じて、最適な決済手段の組み合わせを検討する際の参考にしてください。
| 決済方法 | 概要 | 主なメリット | 主なデメリット | 中小企業にとってのポイント |
|---|---|---|---|---|
| 銀行振込 | 請求書に基づき、買い手が売り手の指定口座に送金する。 | 広く普及、高額対応、売り手・買い手双方で支払い・請求業務をまとめられる場合がある。 | 手作業が多く非効率、振込手数料、未回収リスク(売り手)、支払い忘れリスク(買い手)。 | 最も基本的な方法だが、件数が増えると負担大。手作業によるミスや時間的コストが課題。 |
| 掛け払い(従来型手作業) | 商品・サービス提供後、一定期間の取引をまとめて後日決済。請求書払いが一般的。 | 【売り手】請求業務の集約、取引拡大の可能性。 【買い手】支払いサイト確保による資金繰り改善、予算管理の容易化。 | 【売り手】未回収リスク、与信管理の負担、資金回収までの期間。 【買い手】支払い遅延による信用失墜リスク。 | BtoB取引の基本だが、与信管理、請求書発行・送付、入金確認、督促といった一連の業務負担が大きい。未回収リスクは常に懸念事項。 |
| 約束手形・小切手 | 将来の特定日に支払うことを約束する有価証券。 | 伝統的な信用供与手段。支払サイトを長く設定しやすい(買い手)。 | 現金化に時間とコスト、紛失・盗難リスク、管理負担、印紙税。2026年度末で利用廃止の動き。 | 廃止が予定されており、早急な代替手段への移行検討が必須。資金繰りや事務負担の課題が大きい。 |
| 口座振替 | 買い手の口座から定期的に自動引き落とし。 | 【売り手】未回収リスク低減、入金確認・消込の効率化。 【買い手】支払い忘れ防止、手間削減。 | 【売り手】残高不足による未引落リスク。 【買い手】初期手続きの煩雑さ。 | 定期・定額の取引(サブスクリプション等)には有効。ただし、取引先への依頼や手続きが必要。 |
| 法人クレジットカード | 企業名義のクレジットカードで決済。 | 【売り手】未回収リスク低減(カード会社保証)、請求・消込業務削減の可能性。 【買い手】支払いサイト延長、経費管理効率化、ポイント還元。 | 【売り手】決済手数料負担、入金サイクル、チャージバックリスク。 【買い手】利用限度額、使いすぎリスク。 | 経費精算の効率化や少額決済に適している。売り手としては手数料負担がデメリットになることも。 |
| でんさい | 手形・小切手に代わる電子記録債権。 | コスト削減(印紙税不要)、業務効率化(発行・管理の電子化)、安全性向上(紛失・盗難リスクなし)、分割譲渡可能。 | 取引先もでんさい利用が前提、システム対応が必要な場合あり、小規模取引ではコストメリットが薄い可能性。 | 手形廃止の有力な代替手段。ペーパーレス化と業務効率化に貢献。取引先の協力とシステム環境の確認が必要。 |
後払い決済・掛け払い決済サービスの導入方法や料金については、『BtoB後払い・掛け払い決済のおすすめ比較6選!仕組みや導入メリットも解説』をご覧ください。
企業間決済の市場動向と今後の展望
企業間決済の領域は、テクノロジーの進化や社会情勢の変化とともに、大きな変革期を迎えています。キャッシュレス化の波はBtoB取引にも及び、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)がその動きを加速させています。こうした市場動向を理解することは、中小企業が将来を見据えた決済戦略を立てる上で非常に重要です。
BtoB決済におけるキャッシュレス化の進展と政府の後押し
日本全体でキャッシュレス決済の普及が進んでおり、政府も「2025年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度にする」という目標を掲げていましたが、2024年には既に42.8%に達し目標を前倒しで達成しています。(出典:経済産業省より)
このキャッシュレス化の流れは、BtoC取引だけでなく、BtoB取引の領域にも広がりつつあります。企業間取引においても、従来の現金や手形、銀行振込といった手段から、法人クレジットカードや決済代行サービスを利用したキャッシュレス決済への移行が進んでいます。背景には、業務効率化やコスト削減、資金繰り改善といった企業側のニーズがあります。
しかし、中小企業においては、依然としてアナログな取引慣行が根強く残っているケースも少なくありません。こうした状況に対し、政府はキャッシュレス化推進のための様々な施策を打ち出しており、今後BtoB分野でもキャッシュレス決済の導入がさらに加速することが予想されます。
特に、「請求書カード払い(BIPS)」と呼ばれる、クレジットカード決済に対応していない売り手に対しても買い手がカードで支払いを行えるようにするサービスが登場し、市場が拡大しています。
デジタル化(DX)がもたらす企業間決済の変革と中小企業の対応
デジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業間決済のあり方を根本から変えつつあります。紙ベースの請求書や手作業による入金確認といった従来のプロセスは、クラウドベースの請求書発行システム、AIを活用した消込作業の自動化、API連携による会計ソフトとのシームレスなデータ連携など、デジタル技術によって大きく効率化されています。
企業間決済に関連するSaaSも多数登場しており、これらのサービスを活用することで、中小企業でも大企業並みの効率的な決済システムを比較的低コストで導入できるようになりました。
また、2022年1月の改正電子帳簿保存法(出典:国税庁より)や2023年10月のインボイス制度の施行(出典:国税庁より)といった法制度の変更も、企業間取引におけるデジタル化を後押ししています。これらの制度に対応するためには、請求書や帳簿の電子的な保存・管理が不可欠となり、結果として企業間決済プロセスのデジタル化が促進されています。
日本の企業間決済関連市場規模の概観と成長性
日本の企業間決済関連市場は、非常に大きな規模を持ち、今後も成長が見込まれています。例えば、BtoBのEC(電子商取引)市場規模は2023年に465兆円を超えており、EC化の進展に伴い、オンラインでの企業間決済の重要性も増しています。(出典:経済産業省より)
特に注目されるのが、「掛け払い」に関連するサービス市場です。矢野経済研究所の調査によると、国内のBtoB掛け払いサービス市場規模は2022年度に約1,990億円に達し、2027年度には約7,400億円まで拡大すると予測されています。これは、前述の通り、中小企業における業務効率化ニーズや法制度への対応、DX推進といった要因が背景にあります。
また、矢野経済研究所によれば、より広義のオンライン決済サービス市場全体で見ても、2028年度には約63兆円規模に達するとの予測があり、その中で後払い決済サービス市場も約2.8兆円規模への拡大が期待されています。
これらの市場データは、企業間決済の効率化やデジタル化が単なるトレンドではなく、経済全体に大きな影響を与える成長分野であることを示しています。中小企業がこの分野の動向を注視し、適切なソリューションを導入することは、市場の成長とともに自社の成長機会を捉えることにも繋がります。
企業間決済の未来は、キャッシュレス化、デジタル化、そしてデータ活用が一層進む方向へと向かっています。中小企業にとっては、これらの変化に柔軟に対応し、時には先んじて新しい仕組みを取り入れることが、これからの時代を勝ち抜くための重要な戦略となるでしょう。
FAQ(よくある質問)
Q1.企業間決済とBtoB決済は同じですか?
A1.はい、基本的に同じ意味で使われます。企業間決済は、企業と企業の間で行われる取引の決済(BtoB決済)を指します。
Q2.中小企業にとって最も一般的な企業間決済方法は何ですか?
A2.依然として銀行振込が最も一般的ですが、掛け払い(請求書払い)が企業間取引の基本です。近年は業務効率化のため、決済代行サービスや法人クレジットカードの利用も増えています。
Q3.掛け払い決済の最大のメリットは何ですか?
A3.売り手にとっては、一定期間の取引をまとめて請求できるため請求業務が効率化できます。買い手にとっては、支払いサイト(期間)を確保できるためキャッシュフロー管理がしやすくなり、高額な取引もしやすくなる点がメリットです。
Q4.企業間決済サービスを導入する際の注意点は何ですか?
A4.手数料体系(初期費用、月額費用、決済手数料など)、対応している決済手段、セキュリティ対策、サポート体制、既存の会計ソフトとの連携可否などを総合的に比較検討することが重要です。また、取引先への説明や理解も必要になる場合があります。
Q5.手形や小切手はもう使えなくなるのですか?
A5.政府の方針として、2026年度末までに紙の約束手形や小切手の利用を廃止し、電子的な決済手段への移行が推奨されています。完全に使えなくなるわけではありませんが、利用は大幅に減少すると予想され、でんさい(電子記録債権)などへの移行準備が推奨されます。
これらのFAQが、企業間決済に関する皆様の疑問解消の一助となれば幸いです。決済業務の効率化は、企業の成長を支える重要な基盤です。ぜひこの機会に、自社の決済プロセスを見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ:自社の決済業務改善への第一歩
本記事では、「企業間決済とは何か」という基本的な定義から、その種類、中小企業が抱える典型的な課題、そして決済業務を効率化しキャッシュレス化を進めることの多大なメリット、さらには市場全体の動向に至るまで、幅広く解説してきました。
企業間決済は、BtoC決済とは異なり、取引金額が大きく、掛け払いが主流であるなど、特有の性質を持っています。
2026年度末に予定されている手形・小切手の廃止や、インボイス制度、改正電子帳簿保存法への対応といった外部環境の変化も、企業間決済のあり方を見直す大きなきっかけとなるでしょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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