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中国IT大手がオフショア人民元ステーブルコインを提言、デジタル人民元と異なる「第二の矢」の狙いとは

2025年7月3日、中国のEコマース大手JD.com(京東)とアリババ傘下のAnt Group(アントグループ)が、中国人民銀行(中央銀行)に対し、オフショア人民元(CNH)に連動するステーブルコインの認可を働きかけているとする報道がありました。今回は、このニュースの背景と、米ドルがシェアを持つデジタル通貨市場に与える影響について解説します。


※本記事の内容は、マネックスクリプトバンクが週次で配信しているニュースレター「MCB FinTechカタログ通信」の抜粋です。毎週月曜17時に配信しており、無料でご購読いただくと、FinTech・Web3の注目トピックスを解説するニュースレターに加え、注目の特集記事、ビットコイン最新動向や相場予想などもお読みいただけます。

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なぜ今「人民元ステーブルコイン」なのか?

まずは、今回のニュースを理解する上で重要な2つのキーワード、「ステーブルコイン」と「オフショア人民元」について見ていきましょう。

ステーブルコインは、米ドルなどの法定通貨や、金(ゴールド)のような特定の資産と価値が1:1で連動するように設計された暗号資産のことです。ブロックチェーン上で取引できるため、24時間365日、低コストかつ国境を越えた即時決済が可能であることが特徴のひとつです。

オフショア人民元(CNH)は、中国本土外(主に香港)で取引される人民元のことです。中国本土で取引されるオンショア人民元(CNY)よりも金融規制が緩やかで、海外市場での自由な取引が可能です。

この動きの背景には、デジタル決済市場における米ドルの影響力があります。国際決済銀行(BIS)によると、世界のステーブルコイン市場の99%以上が米ドル建てで占められています。また、香港の暗号資産取引所HashKey GroupのCEOであるXiao Feng氏によると、中国の輸出業者でさえ、決済手段としてUSDT(テザー)のようなドル連動型ステーブルコインを利用していると述べています。

JD.comによる具体的な提案内容

ロイターの報道によれば、JD.comとAnt Groupは、香港で8月1日に施行される新しいステーブルコイン規制の枠組みを活用し、まずは香港ドル建てのステーブルコイン発行を計画しています。

さらに言えば、両社の最終的な狙いはその先にあります。JD.comは人民銀行との非公開協議の場で、「香港ドルは米ドルにペッグしているため、香港ドル建てステーブルコインを発行しても人民元の国際化には直接つながらない」と指摘しており、その上で、人民元の国際的な利用を促進する切り札として、オフショア人民元建てステーブルコインの必要性を強く訴えたとされています。

JD.comは、まず香港で人民元ステーブルコインの試験運用を開始し、将来的には中国国内の自由貿易区へ展開するという段階的な計画も提案しており、規制当局から前向きな反応を得ているとの情報もあります。

米中デジタル通貨覇権の最前線

今回の提言は、米中間のデジタル通貨における覇権争いという大きな文脈の中で捉える必要があります。

決済プラットフォームSWIFTのデータでは、2025年5月時点の国際決済における人民元のシェアは2.89%にとどまり、48.46%を占める米ドルに大きく水をあけられています。一方、ステーブルコインの市場規模は、スタンダードチャータード銀行の予測によれば、現在の約2470億ドルから2028年には2兆ドル規模へ成長する見込みです。この巨大な成長市場が、ほぼ米ドルに独占されている状況に中国は強い危機感を抱いていると考えられます。

また、米国ではトランプ政権後、ステーブルコインを含む暗号資産を支持し、その枠組みを整備することで、民間の力を活用してドルの影響力をデジタル空間でも維持・拡大する戦略を取っています。

中国はこれまで、中央銀行が直接発行するデジタル通貨(CBDC)である「e-CNY」の開発を国家プロジェクトとして推進してきました。その一方で、2021年に暗号資産の取引およびマイニングを禁止するなど、ステーブルコインを含む暗号資産については消極的な立場を取ってきました。 e-CNYは国内の決済効率化や金融システムの統制強化を主な目的としていますが、国際的な普及には課題も残ります。

今回の民間主導によるオフショア人民元ステーブルコインの提言は、政府主導のe-CNYとは異なる「第二の矢」として、より市場原理に近く、国際的に受け入れられやすいアプローチで人民元の影響力拡大を目指すものと解釈できます。

考察

JD.comとAnt Groupによる今回のロビー活動が成功すれば、2021年に暗号資産の取引およびマイニングを禁止して以来の、中国のデジタル資産に対する政策の転換点となる可能性があります。人民元の国際化という国家的な目標を達成するため、伝統的な金融ルートだけでなく、ブロックチェーンという新たなフロンティアを活用しようとする現実的な判断が働いているのでしょう。

今回のニュースは、単なる新技術の導入提案ではなく、米ドルが築いた金融覇権に対し、中国が「CBDC(e-CNY)」と「民間ステーブルコイン」という二つの戦略をもって、より多角的かつ巧妙に挑もうとしているシグナルと捉えるべきだと考えられます。この動きがデジタル通貨における覇権争いにどのように影響を与えるのか、今後の動向から目が離せません。

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