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Revolut、オープンバンキング決済「Pay by Bank」を提供開始―カードネットワークに挑む「A2A決済」とは

2025年9月10日、英国のFinTech企業Revolutが、オープンバンキングを活用した事業者向け決済機能「Pay by Bank」の提供を開始したと発表しました。「Pay by Bank」は、クレジットカードネットワークなどの仲介業者を介さずに銀行口座を用いた直接決済を行う「A2A(Account-to-Account)決済」に分類されるサービスです。このようなオープンバンキングを活用した決済は欧州で急速に拡大しており、決済インフラの今後の方向性を示唆する重要な動向です。

今回はこのニュースについて、A2A決済の動向を踏まえて詳細に解説します。


※本記事の内容は、マネックスクリプトバンクが週次で配信しているニュースレター「MCB FinTechカタログ通信」の抜粋です。毎週月曜17時に配信しており、無料でご購読いただくと、FinTech・Web3の注目トピックスを解説するニュースレターに加え、注目の特集記事、ビットコイン最新動向や相場予想などもお読みいただけます。

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「A2A決済」とは何か?

まずは、「A2A(Account-to-Account)決済」について解説します。A2A決済は、銀行が提供するAPIを通じて第三者企業に口座アクセスを許可する「オープンバンキング」の仕組みを利用し、消費者の銀行口座から事業者(加盟店)の口座へ直接資金を移動させる決済方法を指します。

技術的には、Revolutのような事業者が、消費者の同意に基づき、銀行APIを用いて銀行に支払い実行をリクエストすることで成立します。EU域内では決済サービス指令(Payment Services Directive)という支払いサービスに関する枠組みが存在するため、A2A決済を提供するためにはPISP(Payment Initiation Service Provider)としての登録・認可が必要になります。

A2A決済の最大の特徴は、VisaやMastercardといった従来のカードネットワークを完全に介さない点にあります。これが、決済業界に構造的な変化をもたらす可能性を秘めているのです。

Revolutの発表詳細と市場の現状

Revolutの新機能「Pay by Bank」は、同社が提供する決済ゲートウェイにA2A決済を導入するものです。まずは英国、ドイツ、フランスなど欧州14カ国で提供が開始され、今後順次拡大される予定です。事業者側のメリットとして、顧客が自身の銀行アプリで直接支払いを承認するため、不正利用やチャージバックのリスクが大幅に低減される点を挙げています。また、リアルタイムで着金するため、キャッシュフローの改善にも繋がります。

A2A決済は「Pay by Bank」とも呼ばれており、今回発表された新機能はこの名称をそのまま採用していると考えられます。

RevolutがA2A決済を提供開始した背景には、英国市場でのオープンバンキングの急速な普及があります。英国の競争規制当局であるCMA(Competition and Markets Authority:競争市場庁) の命令によって設立された主体であるOpen Banking Limitedのデータによると、英国の成人人口の約3分の1にあたる1,560万人以上が既にオープンバンキングを利用しており、その利用回数は2025年7月単月で20億回を超えるなど、英国では普及が進んでいます。

また、Revolutの公式発表によると、A2A決済(Pay by Bank)の英国における月間取引件数は、直近1年間で1,500万件から2,700万件に増加したことが示されています。

なぜA2A決済が注目されるのか

事業者がA2A決済に注目する最大の動機は、決済にかかるコストにあります。一般的なクレジットカード決済では、事業者は売上の2〜3%程度をカード会社や決済代行事業者に手数料として支払います。これに対し、A2A決済の手数料は、多くの場合、低額な固定料金か、0.5%以下などといった低い料率で提供されます。この差は、利益率の低いビジネスにとっては無視できないインパクトを持ちます。

消費者側としても、A2A決済には入力操作の簡略化といったメリットがあります。カード番号や有効期限、セキュリティコードなどを都度入力する必要がなく、銀行アプリでの認証操作のみで支払いを完了できる点が特徴です。また、クレジットカードを発行できない消費者にとっても、銀行口座だけで利用できる支払い手段であることは大きなメリットです。

一方で、A2A決済には、一度実行されると原則的に取り消しが困難であるという課題もあります。カード決済であれば「チャージバック(返金)」のような消費者保護の仕組みが整備されていますが、A2A決済ではまだ確立された仕組みがありません。

また、サブスクリプションのような定期的な支払いが困難であることも課題のひとつです。現行のA2A決済はユーザーが都度認証を行う仕組みとなっているため、定期支払いには向いていません。ただし、この課題についてはVRP(Variable Recurring Payments)という新しい支払いプロトコルの導入によって解決される見込みです。英国ではCMA主導でVRP用APIの実装が進められており、A2A決済においても定期支払いが可能になる予定となっています。

考察

注目すべきは、カードネットワーク大手であるVisa自身が、A2A決済ソリューションの開発に積極的に取り組んでいる点です。これは、決済手数料という既存の収益源に固執するのではなく、次世代の決済インフラにおける優位性を確保するための戦略的な動きと見ることができます。

Visaは、自社が長年培ってきた不正検知システムやチャージバック、ブランドの信頼性をA2A決済に組み合わせ、「カードレベルの消費者保護」を提供することで、A2A決済の課題を解決し、新たな付加価値を創出しようとしています。

欧州で先行するこの動きは、日本市場にも影響を与える可能性があります。日本でも、日本電子決済推進機構が運営する「Bank Pay」のように、銀行口座から直接決済できるサービスがすでに提供されています。

しかし、英国のように規制当局がAPIの提供と標準実装を義務化しているわけではないため、A2A決済を提供するためには各銀行のAPI個別対応が求められるという課題があります。さらに、先述したVRPを導入するとなると、APIの仕様についてはある程度統一されている必要があると考えられます。

このまま規制当局によるAPI標準化が進まない場合は、米国におけるPlaidのように、日本でもAPIアグリゲーターを民間が提供することへの期待が高まるかもしれません。

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