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INOとは?NFTを活用した新たな資金調達方法を徹底解説

INOとは

近年、NFT(非代替性トークン)の普及に伴い、従来の資金調達方法に代わる新たな手段として「INO(Initial NFT Offering)」が登場しました。

従来のICO(Initial Coin Offering)やIEO(Initial Exchange Offering)とは異なり、INOはNFTの特性を活かし、NFTを活用した新たな資金調達の手法です。

本記事では、INOの仕組みやメリット・デメリット、市場の動向、さらには国内外の事例についても詳しく解説します。

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INOとは?仕組みと概要を解説

INOとは、企業やプロジェクトがNFTを発行し、そのNFTの販売収益によってプロジェクトが資金を調達する方法です。NFT市場の急成長に伴い、新たな資金調達の手段として注目を集めています。

INOではNFTの購入者が金銭を投じてプロジェクトの初期の支援者となり、その後の成長や値上がりなどが後に起きた際や、プロジェクトがリリースされた際、そのNFTを利用する等をして恩恵を受ける事ができます。

INOの基本概念

INOは、NFTを用いてプロジェクトが資金調達を行う方法で、特にクリエイティブ業界(漫画やエンターテイメント)やゲーム業界の資金調達に多く活用されています。

NFTはデジタルアート、音楽、映像、バーチャル不動産、ゲーム内アイテムなど、様々な形式で発行され、投資家はこれらを購入することでプロジェクトの初期支援を行います。

例えば、ブロックチェーンゲームにNFTを活用している場合、INOを通じてしか手に入らないゲーム内の限定NFTなどを購入し、ゲームのリリース後に購入者はゲーム内でそのNFTを利用する事ができるようになります。

INOの魅力は、NFTを通じて投資家やユーザーから、将来を期待しているサービスを通じて資金調達する点にあります。

INOの仕組みと資金調達の流れ

INOによる資金調達の流れは、以下のステップで構成されます。

1. プロジェクトがブロックチェーンゲーム等のコンセプトを企画し、詳細をホワイトペーパーやウェブサイトにまとめる。

2. NFTがブロックチェーン上に発行され、暗号資産取引所等が提供するINOプラットフォームを通じて販売し、資金調達を行う。

3. 投資家や支援者がNFTを購入し、資金調達を支援。リターンとして限定NFTを購入者に付与。

4. プロジェクトが集まった資金を活用し、開発やマーケティング費用に充て、サービスのローンチを目指す。

5. (ブロックチェーンゲーム等の場合)サービスのローンチ後、購入者はゲーム内でNFTを利用する事ができるようになる。

このプロセスを通じて、プロジェクト側はサービス開発に必要な資金を確保しつつ、NFTを所有するユーザーとの関係を強化できます。

従来の資金調達方法(ICO・IEO・STO)との違い

従来の資金調達方法として広く知られているICO(Initial Coin Offering)やIEO(Initial Exchange Offering)との主な違いは、トークンではなくNFTである点にあります。

ICOやIEOでは、プロジェクトが独自の暗号資産を発行し、投資家に提供する形ですが、INOではNFTという唯一無二のデジタル資産が提供されます。

それぞれの手法の特徴を解説します。

ICOの特徴

ICO(Initial Coin Offering)は、主にイーサリアムのスマートコントラクト機能を利用して独自トークンを発行し、投資家やユーザーに販売して開発資金を集める手法です。2017年頃にはEOSやFilecoin、Tezosなどが数億ドル規模の巨額調達を記録して注目を集め、イーサリアムのERC-20規格が事実上の標準として広く使われました。

しかし、詐欺的なプロジェクトの乱立や価格変動の激しさ、各国金融当局による規制強化により、多くのICOが失敗に終わったり、法的な問題でプロジェクトが停止するケースも相次いでいます。現在は法規制や投資家保護に配慮した代替的手段が台頭し、ICO自体は事実上下火になっている状況です。

実際に、規制の影響によって、ICOによって資金調達を行うプロジェクトはほとんどなくなりました。

出典:ICO Bench

IEOの特徴

IEO(Initial Exchange Offering)は、暗号資産取引所が主体となってトークンを販売し、資金調達を支援する手法です。ICOと比べて、取引所が上場の審査やマーケティングをサポートするため、詐欺的プロジェクトのリスク低減や投資家保護が期待されています。

例として、Binance LaunchpadというBinanceが実施したIEOが代表例として有名で、Binance Launchpadを通じて多くのプロジェクトがIEOをBinanceの顧客向けに実施し、Binanceのサービスを通じて資金調達が行われました。

国内でもCoincheck、GMOコインなどがIEOを実施し、多くのプロジェクトの資金調達を支援しました。

注意点として、審査を通過したからといって必ず成功するわけではなく、プロジェクトの進捗状況や市場環境次第でトークン価格が大きく変動する点には留意が必要です。

出典:Coincheck

STOの特徴

STO(Security Token Offering)は、有価証券や不動産などを裏付け資産としてトークンを発行し、金融商品として扱う資金調達の手法です。発行元は証券法など各国の法規制を遵守しながら販売する必要があるため、IEOやICOに比べて投資家保護や規制面が重視されています。
裏付け資産があるため、商品の透明性や信頼性、価格の安定などは一定程度保証されますが、手続きが複雑でコストが高くなるデメリットもあります。

ICO、INO、STOとの比較

下記ではINOとICO・IEO・STOとの違いをまとめています。
比較項目INO(Initial NFT Offering)ICO(Initial Coin Offering)IEO(Initial Exchange Offering)STO(Security Token Offering)
資産の種類NFT(非代替性トークン)暗号資産・ユーティリティトークン暗号資産・ユーティリティトークンセキュリティトークン(デジタル証券)
特徴ゲーム内アイテムや漫画等、オリジナル性がある独自のトークンを発行して資金調達

審査はなく、誰でも発行可能

取引所が審査を行うため、一定の信頼がある証券の規制の下で発行されるため、最も信頼が高い
販売プラットフォームNFTマーケットプレイス

(暗号資産取引所など)

公式Webサイト

Ethereum(イーサリアム)

暗号資産取引所証券会社
規制の有無比較的未整備、柔軟性が高いほぼ規制なし暗号資産の規制を受ける証券の規制を受ける
主な投資家層コレクター、NFT愛好家、投資家個人投資家、投機家個人投資家、投機家機関投資家、個人投資家
流動性低(プロジェクトの人気度に依存)中(市況に依存)中(取引所に依存)低〜中(規制に依存)
プロジェクトの透明性プロジェクトにより異なるプロジェクトにより異なる取引所による審査があるため、比較的高い証券規制の下であるため、透明性が高い

そのほか、Web3領域における資金調達方法は『Web3における資金調達方法とは?暗号資産やDAO、助成金による調達を解説』をご覧ください。

INOが暗号資産・NFT市場で注目される理由

NFT市場の成長とともに、INOが注目を集める理由として、下記のような理由が挙げられます。

NFT市場の急成長

近年、NFT市場は成長を遂げており、特にアートやゲーム業界では数億ドル規模の取引が行われています。

例えば、NFTアート作品のオークションでは数千万ドルの価格がつけられることもあり、その人気の高さはすでに証明されています。

プロジェクトの資金調達手段の多様化

従来の資金調達方法では、VC(ベンチャーキャピタル)などの支援が必要でしたが、INOにより一般投資家から直接資金を募ることが可能になりました。

また、ICOやIEOに比べた際、トークンではなくNFTを通じて資金調達を行うため、トークンの将来的な売り圧力などが発生しない点も大きな特徴です。

投資家の関心の高まり

投資家の間でもNFTへの関心が高まっており、INOを通じて将来的に価値が高騰するNFTを手に入れるチャンスとして期待されています。

INOを活用した事例

実際にINOを活用したプロジェクトは数多く存在します。ここでは、国内外のINOを実施した事例を紹介します。

CoincheckのINO事例

Coincheckは、2024年にブロックチェーンゲーム「Brilliantcrypto」内で使用される「つるはしNFT」のINOを実施しました。

Brilliantcrypto(ブリリアンクリプト)は、株式会社コロプラの100%子会社である株式会社Brilliantcryptoが開発・運営するブロックチェーンゲームです。

ゲーム内では「Proof of Gaming」という新しいモデルが導入されており、持続可能なPlay to Earnを目指して開発されました。

ゲーム内ではBrilliantcrypto Token(ティッカー:BRIL)と呼ばれる暗号資産がPolygonチェーン上で発行されています。最大発行枚数は10億枚で、ユーザーはゲーム内マーケットで購入できるつるはしNFTを使ってトークンや宝石NFTを採掘できます。宝石NFTは売買やメタバース間での持ち運びができます。

『魔法使いと黒猫のウィズ』や『白猫プロジェクト』など多数のヒット作を生み出したコロプラの子会社による新作ということで、大きな注目を集めました。

この、ゲームの中で利用される「つるはしNFT」のINOを「Coincheck INO」の第1号案件として実施し、販売個数100個に対して申込み総数11,385個、申込み倍率113.8倍という記録を残しました。

出典:PRtimes

ZaifのINO事例

Zaif INOははCoincheck INOと同様に、日本国内の金融庁に認可された暗号資産取引所であるZaifが提供するNFT販売・資金調達のプラットフォームです。

INOを実施したいプロジェクトがZaifを通じてNFTを新規発行・販売し、ユーザーは日本円や暗号資産で手軽に購入できる仕組みになっています。このINOを通じて、プロジェクトは資金調達やコミュニティ形成を図り、ユーザーは国内環境で安心してNFTを購入・活用できるメリットがあります。

Zaif INOでは、ゲームや漫画、イラストなどに関連する多様なNFTの販売が可能なプラットフォームになっており、資金調達をしたいプロジェクトと支援者のマッチングを主な目的としています。

出典:Zaif INO

BinanceのINO事例

国外の事例として、BinanceグローバルもINOプラットフォームを提供しています。過去にはStepnの限定NFTなど、BNBを利用した多くのINO案件を実施しています。

出典:Binance

INOのサービス一覧

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Tempura Technologies株式会社:『Sakaba Whitelabel』ロイヤリティプラットフォーム

Tempura Technologies株式会社は、飲食業界などのサービス業に特化したロイヤリティプラットフォーム「Sakaba Whitelabel」を提供しています。ポイントプログラムや顧客データ管理を通じて、長期的な顧客リテンションと収益拡大をサポートします。

Web3技術を活用することで、高い透明性と安全性を確保しながら、個別のビジネスニーズに合わせたカスタマイズを実現します。これにより、企業は新規顧客の獲得やリピーター育成を効率的に行うことができます。

項目内容
会社名Tempura Technologies株式会社
所在地大阪府大阪市中央区心斎橋2-4-9 心斎橋ビル4階
設立年月日2019年9月1日
主要サービス
  • 「Sakaba Whitelabel」:飲食業界向けのロイヤリティプラットフォーム
実績
  • 大手居酒屋チェーンへの導入:ポイントプログラムを通じて顧客リピート率を大幅に向上。

Tempura Technologiesの詳細はこちら

株式会社IndieSquare:HAZAMA BASE

株式会社IndieSquareが提供する「HAZAMA BASE」は、Web3技術を活用した新しいコミュニティプラットフォームです。ユーザー同士の交流や情報共有を促進する場として、ファンコミュニティや企業向けオンラインサロンなど幅広いシーンに対応します。

「HAZAMA BASE」はNFTやトークンを活用することで、独自のインセンティブ設計が可能です。ユーザーの貢献度に応じて特典や報酬を設定し、コミュニティの活性化と持続的な成長を実現します。

項目内容
会社名株式会社IndieSquare
所在地東京都渋谷区2丁目2-17
設立年月日2015年8月
主要サービス
  • 「HAZAMA BASE」:Web3コミュニティプラットフォーム
実績
  • 国内外のNFTプロジェクトとの連携:トークンを利用したコミュニティ運営をサポートし、ユーザーエンゲージメントを向上。

HAZAMA BASEの詳細はこちら

株式会社IndieSquare:MARUNAGE NFT

「MARUNAGE NFT」は、株式会社IndieSquareが提供するNFTの発行・運用を手軽に行うためのプラットフォームです。多様なデジタルコンテンツをNFT化し、市場の拡大と収益化をサポートします。

専用の管理画面でNFTの発行や販売、ユーザー管理を一元化できるため、クリエイターや企業は運営コストを削減しつつ柔軟なNFT戦略を展開可能です。

項目内容
会社名株式会社IndieSquare
所在地東京都渋谷区2丁目2-17
設立年月日2015年8月
主要サービス
  • 「MARUNAGE NFT」:NFT発行・管理プラットフォーム
実績
  • 国内アートギャラリーとのコラボ:作品のNFT化による新たな収益源確立をサポート。

MARUNAGE NFTの詳細はこちら

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋 真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。
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