「どの航空機リース会社が自社に最適か、比較軸が分からない」
「費用相場(ブロックアワー単価・ミニマムユース・MR・デポジット)の妥当性を判断できない」
「ドライ/ウェット、ACMIの使い分けや、契約で揉めやすいポイントが不安」
巨額の投資判断だからこそ、「間違えたくない」「社内を説得できる根拠が欲しい」という思いは当然です。
相場感が曖昧なまま進めてしまえば、数千万円〜数億円規模の想定外コストに直結しかねません。
本記事では、航空機リースを成功させるために不可欠な「仕組み」「費用」「契約管理」の3つの視点から、失敗しないためのノウハウを提供します。
「SMBC Aviation Capital」や「AerCap」などの主要なリース会社を比較し、短時間で有力候補を絞り込めるようにしました。
また、ドライ/ウェット/ACMIの最適な使い分け方をケース別に提示し、契約トラブルを未然に防ぐためのチェックポイントも解説しています。
この記事を読むことで、自社に最適なリース会社を見極め、見積もりの妥当性や隠れたコストを判断することが可能です。
また、契約リスクを回避しながら数千万円規模の損失を防ぎ、社内の合意形成もスムーズに進められるようになります。
先におすすめのリース会社をチェックしたい方は、下記をご覧ください。
目次
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サービス掲載を相談する航空機リースとは?
航空機リースとは、エアラインが航空機を購入せずに賃借する契約形態です。
数十億円の初期投資を回避しながら、運航に必要な機材を確保できる資金調達手段として、世界中の航空会社で広く活用されています。
航空機リースには、主にオペレーティングリースとファイナンスリースの2つの方式があります。
それぞれ契約条件・会計処理・リスク負担が大きく異なるため、エアラインの事業戦略に応じた適切な選択が重要です。
次でオペレーティングリースとファイナンスリースの違いを詳しく解説します。
【契約形態】オペレーティングリースとファイナンスリースの違い
航空機リースには、オペレーティングリースとファイナンスリースの契約形態があります。
オペレーティングリースは航空機を「借りる」契約であり、短期から中期の利用に適しています。
一方、ファイナンスリースは表向きはリース契約ですが、実態は分割購入に近い仕組みの契約です。
ファイナンスリースは契約期間が長期に及び解約や返却が難しいため、航空会社は機体を所有するのとほぼ同じです。
世界全体ではオペレーティングリースが主流で、シェアは約60%に達しています。
ファイナンスリースとオペレーションリースの違いについては『ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを図解付きで解説!会計処理から選び方も』で詳しく解説しています。
ドライリースとウェットリースの違い|運航形態で使い分ける2つのリース
航空機リースは、大きく ドライリース と ウェットリース の2種類に分けられます。
両者の違いは「どこまでサービスが含まれるか」にあり、エアラインの運航体制や使用期間、さらには事業戦略によって選択が分かれます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ドライリースの特徴と利用シーン
ドライリースは、機体のみを貸し出すシンプルなリース契約で、長期的に航空機を運航するエアラインに適しています。
ドライリースは航空会社が乗務員・保険・整備をすべて自社で手配する必要があります。
そのため、既に運航体制が整っている会社にとっては、コストを抑えながら自由度の高い運航が可能です。
たとえば、国内の大手航空会社が新機材を導入する際にドライリースを選ぶケースがあります。
自社のパイロットや整備士を抱えているため、追加サービスが不要で、純粋に機体だけを長期利用することが効率的だからです。
ドライリースは「体制が整ったエアラインが長期利用するための選択肢」であり、コスト効率と運航の自由度を重視する企業に適しています。
ウェットリースの特徴と利用シーン
ウェットリースは機体に加えて乗務員・保険・整備までをセットで借りられる契約で、短期利用や緊急時に強みを発揮します。
航空会社は自前で人員や保険を用意する必要がなく、契約すればすぐに運航を開始できます。
そのため、繁忙期や予期せぬ機材トラブルに対応する「即戦力」として活用されてきました。
欧州のLCCでは、夏の観光シーズンに一時的に需要が急増する際、他社からウェットリースを活用して増便しています。
自社の乗員訓練を待たずに座席供給力を確保できるため、機会損失を防げます。
つまりウェットリースは「人員や整備まで一括で外部に頼れる仕組み」であり、緊急対応や短期増便に最適な選択肢といえるでしょう。
どちらを選ぶべきか?ケース別シナリオ
ドライリースとウェットリースの選択は、利用期間・運航体制・目的によって決まります。
長期的な戦略機材として導入するならドライリース、短期的に座席供給を確保したい場合や緊急時にはウェットリースが合理的です。
- 新規路線を試験的に運航する → ウェットリースでリスクを最小化
- 新機材を長期的に運用する → ドライリースでコスト効率化
- 繁忙期だけの増便 → ウェットリースで短期的に対応
ドライリースは「長期・自社体制あり」ウェットリースは「短期・即戦力が必要」と覚えるとわかりやすく、状況に応じた最適な選択が可能になります。
緊急事態に頼れるACMIリース:機体、乗務員、整備、保険をまとめて借りる「究極の短期解決策」
ACMIリースとは、Aircraft(機体)・Crew(乗務員)・Maintenance(整備)・Insurance(保険) を一括で提供するウェットリースの一種です。
航空会社が自前の体制を整えることなく、すぐに運航を開始できるため、繁忙期や突発的な機材トラブル時の「最後の切り札」として活用されています。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ACMIの仕組み(機体・乗務員・整備・保険のセット)
ACMIは航空会社に代わって必要な要素をすべてセットで提供する「フルサービス型リース」です。
通常のドライリースでは、乗務員・保険・整備は借り手が準備する必要がありますが、ACMIならそれらを含めて契約できるため、借り手は運航計画をすぐに実行できます。
たとえば、ある国内航空会社がエンジントラブルで機材不足に陥った際、海外からACMI契約を結んだ機材を導入した結果、自社のパイロット訓練を待たずに増便を維持でき、欠航による数億円規模の損失を回避しました。
ACMIは「機体・人員・保険・整備を丸ごと外部から調達できる仕組み」であり、即時性が求められる場面で威力を発揮します。
ACMIリースの費用相場と注意点
ACMIは利便性が高い一方、コストが割高で、契約条件にも注意が必要です。
費用はブロックアワー単価(飛行時間ごとの料金)で計算され、小型機で 約 €2,500/時間(約35〜38万円/時間)、大型機では約 €10,000/時間(約140〜150万円/時間)以上が目安です。
加えて、以下のコストが上乗せされます。
- ミニマムユース保証(最低利用時間の設定)
- フェリーフライト費用(機体を配置するための移動コスト)
- デポジットや整備予備費(MR)
欧州のLCCが繁忙期にACMIを導入した際、1か月で250時間の最低利用保証があり、想定以上の固定コストが発生しました。
運航計画を緻密に組まなければ「空気を運ぶ」だけで損失につながる可能性があります。
ACMIは「緊急時の救世主」ですが、相場感の把握と条件交渉が不可欠です。
費用の裏側まで確認することが失敗回避の鍵です。
導入事例(LCCや繁忙期の短期導入)
ACMIは突発的な需要や機材不足を乗り切るための「短期ブリッジ」として成功事例が多数あります。
緊急対応に即効性があるため、欠航や減便を防ぎ、収益を守る効果が大きいからです。
中東のフルサービスキャリアは、繁忙期の巡礼需要に合わせてACMIを導入し、収益機会を最大化しました。
欧州では、LCCが夏季の観光シーズンにACMIで数機を追加導入し、訓練期間を短縮しながら供給力を確保しています。
ACMIは「短期間で穴を埋める実務的な解決策」として世界的に広く利用されています。
特に、日本の中小航空会社や新規参入エアラインにとっても有効なオプションとなり得ます。
航空機リースの費用と相場を徹底解説
航空機リースを検討する際に、最も気になるのは「費用はいくらかかるのか」という点です。
リース費用はブロックアワー単価(飛行時間あたりの料金)を基本に、ミニマムユース保証、フェリーフライト費用、整備予備費(MR)などが加算されて決まります。
以下にポイントをまとめました。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
【実勢相場】ブロックアワー単価の目安(A320クラスは〇〇円から)
ACMIリースは、飛行時間ごとに料金が設定され、小型機と大型機で相場が大きく異なります。
リース会社は機体の減価や整備コスト、乗務員給与、保険料を含めた総合コストを「1時間あたりの単価」で設定するためです。
- 小型機(リージョナルジェット〜A320クラス):約€2,500/時間(35〜38万円)
- 大型機(A330・B777クラス):約€10,000/時間(140〜150万円以上)
繁忙期や短期契約ではこの相場を上回ることもあります。
ブロックアワー単価は「小型=約35万円」「大型=150万円前後」と覚えておくと、見積りを取った際に妥当性をすぐ判断できます。
ミニマムユース保証・デポジット・MR(整備予備費)の仕組み
リース契約では、飛ばなくても最低限の費用が発生し、保証金や将来整備のための積立も求められます。
リース会社は安定収入を確保するため「最低利用時間(ミニマムユース)」を設定し、さらに契約履行を担保するデポジットや、エンジン交換など大規模整備のためのMRを加算します。
- ミニマムユース:月60〜250時間(A320で250時間が一般的)
- デポジット:月額リース料の2〜3か月分
- MR:飛行1時間あたりの整備費を積立(具体額は交渉次第)
「最低これだけ払う」「保証金が必要」「将来整備費も積み立てる」と理解しておくことで、実際のキャッシュアウトを見誤らずに済みます。
ポジショニング費用・燃料負担の扱い
契約機材を運航開始地点まで移動させる「ポジショニング(フェリーフライト)」費用や燃料代は、借り手が負担するケースが多いです。
リース会社は世界中の顧客に機材を提供しているため、配置コストを全額負担することはなく、通常は借り手に転嫁されます。
ある国内エアラインが海外からACMI機材を導入した際、フェリーフライト費用として数千万円規模の追加コストが発生しました。
リース料以外に「配置コスト+燃料代」が発生する前提で見積もりを確認することが、予算超過を防ぐポイントです。
初期費用を抑える方法(交渉ポイント・ブローカー活用)
ブローカーを活用し、契約条件の交渉余地を探ることで初期費用を抑えることが可能です。
直接リース会社と交渉するより、複数の案件に精通したブローカーを通す方が相場感を把握しやすく、デポジットやMRの条件緩和を引き出せる場合があります。
あるスタートアップ航空会社は、ブローカーを介して交渉した結果、デポジットを標準の3か月から2か月に圧縮し、数千万円規模の資金を温存できました。
「費用は相場だから仕方ない」と考えるのではなく、ブローカーを味方につけることがコスト最適化の第一歩です。
【比較表】おすすめ航空機リース会社を徹底比較
航空機リース市場は、世界的に見ても巨大で競争が激しい分野です。
国内外の有力企業を把握することは、最適なリース契約を結ぶうえで欠かせません。
ここでは、日本企業を中心に、世界トップクラスのリース会社も含めて比較します。
| 航空機リース会社名 | SMBC Aviation Capital | 三菱HCキャピタル株式会社 | ORIX Aviation | 株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー | 株式会社FPG | AerCap Holdings N.V. | Avolon Holdings |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 本社所在地 | アイルランド・ダブリン | 東京都千代田区丸の内 | アイルランド・ダブリン | 東京都千代田区霞が関 | 東京都千代田区丸の内 | アイルランド・ダブリン | アイルランド・ダブリン |
| 拠点 | 日本、ニューヨーク、マイアミ、アムステルダム、トゥールーズ、シンガポール、北京、上海、香港 | 日本、欧州、米州、中東、アジア、オセアニア | 日本、ドバイ | 日本国内 | 日本国内 | ・ダブリン(本社) ・シャノン(アイルランド) ・マイアミ(米国) ・シンガポール ・メンフィス(米国) ・アムステルダム(オランダ) ・上海(中国) ・アブダビ(UAE) ・シアトル(米国) ・トゥールーズ(フランス) ・その他複数のグローバル拠点 | ・ダブリン(本社) ・香港 ・上海 ・シンガポール ・ドバイ ・米国(複数拠点) ・欧州(ロンドンなど) |
| 上場or非上場 | 非上場 | 上場 | 非上場 | 上場 | 上場 | 上場 | 非上場 |
| 保有・管理機数 | 710機超 | 244機 | 220機 | 非公開 | 非公開 | ・約1,700機の航空機 ・1,000基以上のエンジン ・300機以上のヘリコプター | 約1,076機 |
| 顧客規模 | 世界50か国以上の航空会社、投資家(取引先は150社超) | 世界各国・地域の航空会社や航空機整備会社(具体数非公表) | 30カ国、50社以上の航空会社および航空機投資家向けにリース提供 | 日本の中堅・中小企業や投資家 | 中小規模の投資家・世界中の航空会社や海運会社 | 約300社の世界中の航空会社および投資家 | 約140の航空会社 60か国以上に顧客 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) | ・オペレーティングリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) | ・オペレーティングリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース |
| 強み・特徴 | ・世界50か国以上、150社超の航空会社・投資家と取引経験あり。 | ・三菱グループの幅広いネットワークと信用力 ・グローバル展開・各地域に最適化したリース提案 | ・ORIXグループの強力なファイナンス基盤 ・ドバイオフィスの開設で中東・北アフリカ市場対応強化 ・航空機リースに加え多分野リースなど経営基盤の多様性 | 日本型オペレーティングリースに特化し、国内の中堅・中小企業向けに投資商品を組成・販売 | ・日本型オペレーティング・リース事業をリードする独自の組成力 ・航空機・船舶・コンテナのリース案件組成サポートや投資管理サービスに強み | ・世界トップクラスの航空機リース企業であり幅広い種類の航空機を保有。 ・2013年にAIGのインターナショナル・リース・ファイナンス・コーポレーションを買収し規模を拡大 | ・2016年のBohai Leasingによる買収により急成長 ・2017年のCIT航空機リース事業買収で規模拡大 ・2025年に航空機118機のポートフォリオ買収 ・世界初のBoeing 737 MAX 航空機納入など先進的な導入事例多数 |
| 実績・事例 | ・500機超を100社以上へ売却 | ・ボーイング・エアバス両社の新旧型機導入をサポート | ・グローバル市場での拡大を続け、多数の航空機リース契約を遂行 ・ドバイの戦略的拠点設置により中東及びアジア市場でのシェア拡大 | 投資家と連携した多様なオペレーティングリース案件の組成実績多数 | ・国内外で多くのリース案件の組成・管理実績 ・航空貨物機など特殊機材のリース案件多数 ・アセットマネジメントやリマーケティングに注力 | ・2019年時点での保有機材は約1,340機、多岐にわたるエアバス機やボーイング機を保有 ・世界90カ国以上、200社超の航空会社にサービス提供 | ・包括的なリース資産管理、顧客サービス、資金調達支援 ・グローバルチームによる24時間体制の対応と技術サポート ・顧客のリースニーズに即応する柔軟なソリューション提供 |
| 公式サイト情報 | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください | 公式サイトをご覧ください |
SMBC Aviation Capital

SMBC Aviation Capitalは、世界第2〜3位の規模を誇る大手航空機リース会社です
約710機超の若い機材を保有し、50か国以上の航空会社に提供しています。
三井住友フィナンシャルグループの金融基盤を背景に、国際市場で高い信用力を持つのが特徴です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | SMBC Aviation Capital |
| 主な特徴・強み | ・世界第2位の保有・管理機数 ・平均機齢の若い高流動性ポートフォリオ(平均4.1歳) ・三井住友フィナンシャルグループ・住友商事の資本力を背景とした強固な信用 ・グローバルな取引ネットワーク(世界50カ国・150社超の航空会社や投資家) ・環境配慮型の次世代機への投資 |
| 本社所在地 | アイルランド・ダブリン |
| 展開地域 | 東京、ニューヨーク、マイアミ、アムステルダム、トゥールーズ、シンガポール、北京、上海、香港 |
| 保有・管理機数 | 合計710機以上 |
| 顧客規模 | 世界50カ国以上、150社超の航空会社・投資家 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) |
| 実績・事例 | ・航空機売却実績500機以上、納入実績710機超 ・近年はボーイング737 MAXなど次世代機の大型追加発注 ・大規模M&A(2022年にGoshawk買収で世界2位へ) ・CDPQとの次世代機特化のファイナンス合弁(2024年~) |
| サポート体制 | ・グローバル拠点による24時間対応サポート ・各地域ごとに専門チームを配置し、保守・運航・リース管理からカスタマイズ提案までフルサポート ・提供サービスは取引開始から契約終了・再販まで一貫支援 |
三菱HCキャピタル株式会社

三菱HCキャピタル株式会社は、日本発の総合リース会社で航空機ファイナンス分野でも強みを持ちます。
新興国のエアライン支援や、長期リース契約の柔軟性が評価されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | 三菱HCキャピタル株式会社 |
| 主な特徴・強み | ・業界トップクラスのグローバル総合力(世界12位。保有機齢平均5年、若いポートフォリオ) ・新造・新型機ナローボディ中心で流動性・資産価値維持に注力 ・グループによるフルラインナップ展開(航空機/エンジンリース、パーツアウト、日本型オペリ等) ・資金調達力・与信管理力・商品多様性による安定成長 |
| 本社所在地 | 東京都千代田区丸の内 |
| 拠点 | ・国内 ・米州、欧州、中東、アジア、オセアニア |
| 保有・管理機数 | 約244機 |
| 顧客規模 | ・1,300社超の航空会社・投資家・パートナー企業 ・世界の大手から新興航空会社、航空機整備/エンジン関連会社 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) |
| 実績・事例 | ・エンジンリース世界トップクラス ・Jackson Square Aviationによる新造機・大型案件契約多数 ・長期契約のみならず、期中売却・資産回転型ビジネスで効率化 |
| サポート体制 | ・グループ各社が連携したワンストップサービス ・各拠点・現地法人による地域密着型・24時間バックアップ |
ORIX Aviation

ORIX Aviationは、日本のオリックスが展開する国際的リース会社です。
アイルランドを拠点に200機以上を運用し、幅広いエリアでの実績があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | ORIX Aviation |
| 主な特徴・強み | ・40年以上の航空機リース事業の歴史と豊富なノウハウを持つ ・強力なオリックスグループの資金力とグローバルな営業ネットワーク ・日本市場で20年以上続く日本型オペレーティングリース(JOLCO)に特化 ・投資家と航空会社双方のニーズに柔軟に対応、投資機会の提供を重視 |
| 本社所在地 | アイルランド・ダブリン |
| 拠点 | 日本・ドバイ |
| 保有・管理機数 | 220機 |
| 顧客規模 | 30カ国、50社以上の航空会社および航空機投資家向けにリース提供 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) |
| 実績・事例 | ・1991年に航空機リース会社を設立以来、全世界で毎年140件以上の航空機取引を実行 ・2018年に世界第3位のAvolonへの出資でリース事業のバリューチェーン拡大 |
| サポート体制 | ・国内約60拠点の営業ネットワークで投資家ニーズを吸い上げ、迅速に具体提案 ・多様な人材構成(約30名の航空事業グループのうち半数は女性、外国籍スタッフも在籍) ・ORIX Aviationとの密な連携により、グローバルかつ迅速な対応力を保持 |
株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー

ジャパンインベストメントアドバイザーは、日本国内で投資型の航空機リースを展開しています。
個人投資家向け商品を組成し、リース事業を拡大しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | 株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー |
| 主な特徴・強み | ・税務繰延べメリットを活かした日本型オペレーティングリース商品が柱 ・中堅・中小企業を中心に投資商品を組成、販売しており金融ソリューションに強み |
| 本社所在地 | 東京都千代田区霞が関 |
| 拠点 | 日本国内 |
| 保有・管理機数 | ・非公開 ・主に中小型機やヘリコプター、部品リースなど幅広く対応 |
| 顧客規模 | 国内外多数の航空会社および投資家 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) |
| 実績・事例 | ・投資家連携による多様なリース商品を提供し、退役機のリサイクル事業も推進 ・国内市場に根ざした安定的な成長を続けている |
| サポート体制 | ・国内複数拠点体制による顧客対応と投資家支援 ・専門チームによる一貫サービス |
株式会社FPG

株式会社FPGは、金融商品と組み合わせた航空機リース投資を展開する日本の金融グループです。
投資家向け商品組成に強みを持ち、法人・個人双方に対応しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | 株式会社FPG |
| 主な特徴・強み | ・日本型オペレーティング・リース事業をリードする独自の組成力 ・投資家(中小企業経営者や個人富裕層)向けに安定したリース商品を提供 ・航空機・船舶・コンテナのリース案件組成サポートや投資管理サービスに強み |
| 本社所在地 | 東京都千代田区丸の内 |
| 拠点 | 日本国内 |
| 保有・管理機数 | 非公開 |
| 顧客規模 | 主に中小企業経営者層や個人投資家、世界の航空会社や海運会社 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・JOLCO(日本型オペレーティングリース) |
| 実績・事例 | ・国内外で多くのリース案件の組成・管理実績 ・航空貨物機など特殊機材のリース案件多数 ・アセットマネジメントやリマーケティングに注力 |
| サポート体制 | ・全国拠点を通じて地域密着の投資家・航空会社支援 ・専門チームによる投資及び運用管理支援 |
AerCap Holdings N.V.

AerCapは、世界最大の航空機リース会社です。
世界最大級の航空機リース会社として幅広い資産と顧客を持ち、先進かつ包括的なサービスをグローバルに展開しています。
2,000機以上を保有し、全世界の航空会社と取引しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | AerCap Holdings N.V. |
| 主な特徴・強み | ・世界最大規模の商業航空機、エンジン、ヘリコプターの保有者兼リース会社 ・2014年のILFC買収、2021年のGE Capital Aviation Services(GECAS)買収により業界トップの規模を確立 ・先進的で燃費効率の高い航空機に特化し、若く魅力的なポートフォリオを維持 |
| 本社所在地 | アイルランド・ダブリン |
| 拠点 | ・ダブリン(本社) ・シャノン(アイルランド) ・マイアミ(米国) ・メンフィス(米国) ・シンガポール ・アムステルダム(オランダ) ・上海(中国) ・アブダビ(UAE) ・シアトル(米国) ・トゥールーズ(フランス) |
| 保有・管理機数 | ・約1,700機の航空機 ・約1,000基のエンジン ・約300機のヘリコプター |
| 顧客規模 | 世界約300社の航空会社・投資家 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース |
| 実績・事例 | ・2014年にILFC買収で世界最大の航空機リース会社に ・2021年GEのGECAS買収による業界最大規模確立 ・世界90カ国以上、200社超への航空機リース提供実績 |
| サポート体制 | ・包括的資産管理サービス(ポートフォリオ、保険、税務、財務管理など) ・技術的支援、リース契約管理、投資家対応など一貫した管理 |
Avolon Holdings

Avolon Holdingsは若い機材構成で環境対応を進めつつ、グローバルな資産運営と信頼性の高い顧客基盤を持つ航空機リース会社です。
世界第3位規模のリース会社で、次世代機材導入にも積極的です。
eVTOL(空飛ぶクルマ)など新規分野にも投資しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 航空機リース会社名 | Avolon Holdings |
| 主な特徴・強み | ・2016年のBohai Leasingによる買収により急成長 ・2017年のCIT航空機リース事業買収で規模拡大 ・2025年に航空機118機のポートフォリオ買収 ・世界初のBoeing 737 MAX 航空機納入など先進的な導入事例多数 |
| 本社所在地 | アイルランド・ダブリン |
| 拠点 | ・ダブリン(本社) ・香港 ・上海 ・シンガポール ・ドバイ ・米国(複数拠点) ・欧州(ロンドンなど) |
| 保有・管理機数 | 約1,076機 |
| 顧客規模 | 約140社の航空会社、60か国以上に顧客 |
| 取扱リース形態 | ・オペレーティングリース ・ファイナンスリース |
| 実績・事例 | ・2017年CIT航空機リース事業買収による規模拡大 ・2025年に計90機のエアバスA321neo、A330neoを追加発注 ・航空機ポートフォリオの継続的増強と環境負荷低減への注力 |
| サポート体制 | ・グローバルに展開するサポートチームによる包括的なリース資産管理 ・投資家と顧客に迅速に対応できる体制を構築 |
契約前に必ず確認!失敗しないための契約チェックリスト
航空機リースは巨額の投資判断であり、契約条件を読み違えると数億円規模の損失につながりかねません。
特に注意すべきポイントは以下の5つです。
それぞれ順に解説していきます。
リース期間の設定と柔軟性
リース期間は「短すぎても長すぎてもリスク」になるため、柔軟性を持たせた設定が必要です。
航空需要は景気や社会情勢に左右されやすく、契約期間が需要変動と合わなければ、稼働率が下がり損失が出る可能性があります。
あるアジアのLCCは、長期契約で導入した機材が需要減退で稼働率50%まで低下し、結果的に高額な固定費負担を抱えました。
逆に短期すぎる契約では、訓練や導入準備コストを回収できず赤字に陥った例もあります。
リース期間は「需要の見通し+社内体制」を踏まえて設計するのが重要です。
オプション条項(延長・短縮)を交渉に盛り込むのが安全策です。
途中解約と違約金のリスク
途中解約は高額な違約金が発生するのが一般的で、慎重な契約設計が求められます。
リース会社は安定収益を前提に機体を調達しているため、借り手が途中で放棄すると損失をカバーするための違約金を請求します。
ある欧州キャリアは、需要急減に伴い途中解約を希望しましたが、残存期間分の賃料に相当する違約金を支払うことになり、財務に深刻な影響を及ぼしました。
契約前に「解約条項の有無」「違約金の算定方法」を必ず確認し、想定外のコストを避けることが重要です。
返却(レデリバリー)条件で揉めないために
リース返却時の「レデリバリー条件」を事前に確認しないと、多額の追加費用で揉める原因となりかねません。
リース会社は機体を次の顧客に出すため、整備状態や塗装・内装を指定水準に戻すことを要求します。
基準が曖昧だと、返却直前に数億円規模の整備費を請求されるリスクがあります。
ある航空会社は、塗装の再施工やキャビン内装の原状回復費用で予想以上のコストを負担し、契約時に条件を詰めておかなかったことを後悔しました。
返却条件は「整備状態」「塗装・内装」「書類一式」まで詳細に定め、曖昧さを残さないことがトラブル防止につながります。
メンテナンスリザーブ(MR)の注意点と交渉余地
MR(整備予備費)は必須項目ですが、金額や返還条件に交渉余地があります。
リース会社は将来の整備費を見越して時間当たりで徴収しますが、実際の整備費との差額や返還条件を巡ってトラブルになることがあるためです。
ある中東キャリアは、エンジンオーバーホールにMRを充当しきれず、超過分を全額負担する羽目になりました。
一方で、交渉により「未使用分は返還」と合意できたケースもあります。
MRは「単価」「返還条件」「対象範囲」を明確にし、できる限り交渉して余計なキャッシュアウトを防ぎましょう。
保険(戦争リスク含む)の取り扱い:万が一に備えるリスク管理
保険の範囲、とりわけ「戦争リスク保険」の有無を確認することが欠かせません。
近年は地政学リスクが高まっており、通常保険の対象外となるケース(戦争・テロ・制裁対象国での運航など)があるためです。
ある東欧エアラインは、戦争リスク保険が適用外となり、紛争地域で損傷した機体の損害を全額負担せざるを得ませんでした。
保険範囲は「通常保険+戦争リスク」を必ず確認し、カバーされないリスクを洗い出してから契約することが重要です。
オペレーティングリース活用の税務・会計戦略
オペレーティングリースは「資金効率の高さ」だけでなく、税務処理・会計戦略の観点でも大きなメリットがあります。
適切に活用することで、節税、財務指標の改善、キャッシュフローの最適化を実現できます。
それぞれ解説します。
オペレーティングリースの節税効果が高い理由|減価償却との比較シミュレレーション
オペレーティングリースは、購入と比べて大きな節税効果をもたらします。
購入では資産計上して減価償却する必要がありますが、リースでは支払った賃料をそのまま損金算入できます。
これにより、利益圧縮=税負担軽減が可能です。
たとえば、100億円の機材を購入した場合、耐用年数10年で毎年10億円ずつ償却します。
一方、オペレーティングリースなら年間リース料12億円を全額損金算入でき、結果として初年度の課税所得は購入よりも小さく抑えられます。
オペレーティングリースは「リース料=経費」で処理できるため、購入に比べ節税メリットが大きいのが特徴です。
IFRS16でのオペレーティングリース処理|オンバランス/オフバランスの判定
IFRS16の導入により、従来オフバランス処理されていたリースも、原則オンバランスに計上する必要があります。
国際会計基準IFRS16では、リース契約を「使用権資産」と「リース負債」として認識するルールが採用され、財務諸表への影響が明確化しました。
ある欧州キャリアは、IFRS16適用後にリース機材が資産・負債として計上され、ROAが一時的に悪化しました。
ただし、リースを活用する戦略自体は継続し、財務開示の透明性を高めています。
IFRS16下ではオフバランス効果は限定的になりましたが、「費用の平準化」や「キャッシュフローの安定化」というリースのメリット自体は変わりません。
【CFO必見】航空機リース活用による財務インパクト|ROA・ROE改善手法
オペレーティングリースは、ROA・ROEといった財務指標を改善する強力な手段です。
購入では総資産が膨らみROAが低下しますが、リースでは資産計上を抑えられるためROAが高くなります。
また、リース料は損金計上されるため、自己資本比率やROEにもプラスの影響を与えます。
あるLCCは、成長期にオペレーティングリースを多用し、総資産を軽く保ちながらROAを10%以上で維持しました。
その結果、投資家からの資金調達も有利に進みました。
ROA・ROEを改善し、投資家にアピールするうえでも、オペレーティングリースは重要な財務戦略の一環となります。
キャッシュフロー最適化|リース vs 購入の損益分岐点はどこか?
購入とリース、どちらが有利かは「キャッシュフローの安定性」と「損益分岐点」で判断すべきです。
購入は長期的に資産が残るメリットがある一方、初期投資が巨額でキャッシュ流出が集中します。
リースは初期負担を抑えられる代わりに、長期的には総コストが高くなる傾向があります。
あるエアラインは、需要が読みにくい新路線にはリースを使い、安定したドル箱路線では購入を選びました。
これにより、キャッシュフローの安定と資産形成の両立に成功しました。
「短期・不確実性=リース」「長期・安定需要=購入」と切り分け、キャッシュフローを最適化するのが損益分岐点の見極め方です。
よくある質問(FAQ)
Q1. オペレーティングリースとファイナンスリース、実務上どちらを選ぶべきですか?
A. 不確実性が高い新路線・季節要因への対応や最新機材の素早い導入が目的なら、柔軟性と初期負担の軽さに優れるオペレーティングリースが有利です。
長期にわたって安定需要が見込め、資金調達力があり機材の資産価値も活かしたい場合は、実質購入に近いファイナンスリース(または自社購入)が候補になります。
判断は「需要見通し(不確実=オペ、安定=ファイナンス/購入)」「資金調達力」「会計・税務方針(IFRS16の影響含む)」の3点で行うのが実務的です。
Q2. 見積もりの妥当性は何で判断すればよいですか? 隠れコストはありますか?
A. まずブロックアワー単価だけでなく、ミニマムユース(最低利用時間)、デポジット、MR(整備予備費)、フェリーフライト(ポジショニング)費用、燃料負担、返却(レデリバリー)条件を合算した総コストで比較します。
特にミニマムユースの時間設定やMRの単価・返還条件、返却時の塗装/内装/整備水準の明確化は、想定外コストを防ぐ要注意ポイントです。
相場感が掴みにくい場合は、複数社見積もりとブローカー活用で条件を「横串」比較しましょう。
Q3. ドライ/ウェット/ACMIはどう使い分ければよいですか?
A. 自社に乗員・整備・保険の体制があり、長期的に機材を運用するならドライが基本。
短期の増便や体制が未整のフェーズ、緊急時の座席確保にはウェットが機動的です。
その中でもACMIは機体・乗員・整備・保険を一括調達できる「即応型」。
一方でコストは割高になりやすく、ミニマムユースや配置コストの影響も大きいので、期間・想定飛行時間・収益計画を具体化してから採否を判断するのが安全です。
まとめ
本記事では、航空機リースの「仕組み」「費用」「契約管理」を軸に、失敗を避けるための実務ポイントを整理しました。
最後に重要なポイントをおさらいします。
最適な契約形態とリース会社を見極めることで、巨額投資のリスクを抑えつつ、自社の成長戦略を加速させる一歩を踏み出せます。
※おすすめの船舶リース会社は『船舶リース会社おすすめ比較9選|リース料金と購入との違いも解説』をご覧ください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋 真倫

