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ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いを図解付きで解説!会計処理から選び方も

ファイナンスリース オペレーティングリース 違い

「ファイナンスリースとオペレーティングリース、どちらも“借りる”契約なのは分かるけれど、実務ではどう違うのか」
「仕訳や会計処理が複雑そうで、経理担当として不安がある」

設備投資やIT機器の導入時、リース契約は多くの企業が検討する選択肢です。しかし、この2つの契約形態の違いを正しく説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では、ファイナンスリースとオペレーティングリースの本質的な違いを整理し、実務で迷わないための会計処理のポイント、自社に適した契約を選ぶための判断基準を解説します。

この記事のポイント
  • ファイナンスリースとオペレーティングリースの本質的な違いが図解でわかる。
  • 「会計処理の違い(オンバランス/オフバランス)」を明確に理解できる。
  • 具体的な仕訳例を通して、日々の経理業務に活かせる知識が身につく。
  • 「結局、自社はどちらを選ぶべき?」という疑問を解決できる。(実践的な選び方がわかる)
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【結論】ファイナンスリースとオペレーティングリースの違い早見表

まずは、両者の違いを一覧で確認し、全体像を掴みましょう。各項目の詳細については、後ほどじっくり解説します。

比較項目ファイナンスリースオペレーティングリース
契約の性質金融取引(実質的な売買に近い)賃貸借取引(レンタルに近い)
契約の基本条件中途解約不可 & フルペイアウト上記以外
会計処理(原則)オンバランス(資産・負債に計上)オフバランス(費用として処理)※
対象物件専用設備など(汎用性が低い)PC、自動車など(汎用性が高い)
契約期間中~長期(法定耐用年数に近い)短~中期
契約満了時の扱い再リース、買取、返却など原則として返却
※ IFRS(国際会計基準)適用企業や大企業では、オペレーティングリースも原則オンバランスとなります。多くの中小企業にとっては、上表の理解で問題ありません。

1.「リース取引」の仕組みとレンタルとの違い

違いを理解する前に、そもそも「リース」がどのような取引なのか、レンタルや割賦(分割払い)と比較しながら、基本をおさらいしましょう。

リースの基本構造

リース取引は、主に以下の三者間で成り立っています。

  1. ユーザー(借手): あなたの会社
  2. リース会社(貸手): ユーザーに代わって物件を購入し、貸し出す会社
  3. サプライヤー(販売会社): リース会社に物件を販売する会社

このように、ユーザーは多額の初期費用を支払うことなく、使いたい設備を導入できるのがリースの大きなメリットです。

レンタルとの違いは?

期間と物件の自由度が違います。

  • リース:ユーザーが選んだ新品の物件を、長期間(年単位)借りる契約です。
  • レンタル:レンタル会社が所有する在庫(中古品含む)の中から選び、短期間(日~月単位)借りる契約です。

割賦(分割払い)との違いは?

所有権が違います。

  • リース:契約期間中、所有権はリース会社にあります。
  • 割賦:支払いが完了すれば、所有権はユーザー(自社)のものになります。

この点を踏まえると、ファイナンスリースが割賦に、オペレーティングリースがレンタルに近い性質を持つことが、よりイメージしやすくなるでしょう。

2.ファイナンスリースは「実質的な購入に近い契約」

ファイナンスリースは、形式上は賃貸借ですが、その経済的な実態は「分割払いで資産を購入するのと同じ」と見なされる取引です。

2つの絶対条件「解約不能」と「フルペイアウト」

あるリースがファイナンスリースに分類されるには、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。

  1. ノンキャンセラブル(中途解約不能): 契約期間の途中で、一方的に解約することはできません。
  2. フルペイアウト:支払うリース料の総額で、リース会社が物件を買った代金と諸費用(金利、保険料など)のほとんどすべて(概ね90%以上)を賄える契約になっています。

つまり、「一度契約したら、物件代金のほぼ全額を支払うまでキャンセルはできない」という、貸手であるリース会社のリスクが非常に低い契約なのです。

メリット

  • 好きな物件を選べる:自社の業務に必要な専用設備など、自由に物件を選定できます。
  • 長期利用できる:法定耐用年数に近い期間で契約することが多く、長期にわたり安定して使用可能です。
  • 資金調達の代わりになる:銀行の借入枠を使わずに、大規模な設備投資ができます。

デメリット

  • 途中でやめられない:経営状況が変わっても、原則として解約できません。
  • 陳腐化のリスク:IT機器など、モデルチェンジの早い製品は契約期間中に古くなってしまうリスクを自社で負います。
  • 維持管理コストがかかる:メンテナンスや修繕の費用は、原則ユーザー負担です。

3.オペレーティングリースは「レンタルに近い純粋な賃貸借」

オペレーティングリースは、ファイナンスリースに当てはまらない、それ以外のすべてのリース取引を指します。レンタルに近く、純粋な「賃貸借」として扱われるのが特徴です。

最大の特徴は「残価設定」

オペレーティングリースの料金設定で最も重要なのが「残価」です。残価とは、リース期間が終わった時点での、その物件の中古価値(予想売却価格)のことです。

リース会社は、物件の購入価格からこの「残価」を差し引いた金額を元にリース料を計算します。

【計算イメージ】リース料総額 = (物件の購入価格 - 残価) + 金利・諸経費

この仕組みにより、中古市場で人気があり、高い残価が見込める物件(例:自動車、PC、建設機械など)ほど、月々のリース料が安くなるというわけです。

メリット

  • 費用(オフバランス)処理できる(中小企業の場合): 賃貸借として扱われるため、資産計上が不要です。決算書の資産をスリムに見せ、ROA(総資産利益率)などの財務指標を良く見せる効果があります。
  • 短期利用や入れ替えが容易:必要な期間だけ借りて、契約が終われば新しい機種に入れ替える、といった柔軟な使い方が可能です。
  • 陳腐化リスクを回避できる:常に最新の設備を使いたい場合に非常に有効です。

デメリット

  • 対象物件が限られる:中古市場がないような特殊な専用設備は、残価設定が難しく、対象になりにくいです。
  • 割高になることも:長期間、契約更新を繰り返すと、結果的に購入するより総支払額が高くなるケースがあります。
  • 自社の資産にはならない:契約満了後は、原則として物件を返却する必要があります。

4.会計・税務上の違いは「オンバランス or オフバランス」

ファイナンスリースは貸借対照表(B/S)へ計上(オンバランス)

次に、大企業や会計監査を受ける会社で適用される原則的な処理です。ファイナンスリースは「資産の購入」とみなすため、リース物件を資産、リース料の支払総額を負債として、貸借対照表(B/S)に計上(オンバランス)します。

【ポイント】

  1. 契約時: 「リース資産」と「リース債務」をB/Sに計上する。
  2. 支払時: 支払うリース料を「元本(リース債務)の返済」と「利息」に分けて処理する。
  3. 決算時: 計上したリース資産を、自己資産と同じように「減価償却」する。

この処理は複雑に見えますが、「設備を借金して買った場合」と同じ処理をしている、とイメージすると分かりやすいでしょう。

【中小企業の特例】ファイナンスリースでも「費用処理(オフバランス)」が可能なケース

まず、多くの中小企業の皆様に関係する、実務上非常に重要な特例から説明します。

本来、ファイナンスリースは後述する「オンバランス処理」が原則です。しかし、「中小企業の会計に関する指針」では、実務上の負担を考慮し、所有権移転外ファイナンスリース(※)については、オペレーティングリースと同様に、支払ったリース料をそのまま費用として計上する「賃貸借処理(オフバランス)」が認められています。

(※)所有権移転外とは、契約終了後も所有権がユーザーに移らない、日本で最も一般的なファイナンスリースのことです。

この特例を適用すれば、ファイナンスリースでも経理処理は非常にシンプルになります。

※仕訳例:月額リース料100,000円を支払った時

勘定科目借方貸方
リース料100,000
現金預金100,000

オペレーティングリースは損益計算書(P/L)へ計上(オフバランス)

オペレーティングリースは、純粋な賃貸借なので、支払ったリース料を「リース料」や「賃借料」などの勘定科目で、損益計算書(P/L)の費用として計上するだけです。B/Sに資産や負債が載ることはありません(オフバランス)。

※仕訳例:月額リース料30,000円を支払った時

勘定科目借方貸方
リース料30,000
現金預金30,000

税務上の取り扱いと節税効果は?

税務上も、会計処理の考え方とほぼ同じです。

  • ファイナンスリース:売買とみなし、リース資産の減価償却費が損金(税務上の費用)になります。
  • オペレーティングリース:賃貸借とみなし、支払ったリース料が損金になります。

長期間で見れば損金になる総額に大きな差はありませんが、費用化のタイミングが異なります。一般的に、ファイナンスリースの方が契約初期に多くの費用を計上できる傾向があるため、短期的な利益圧縮効果を狙う場合は有利に働くことがあります。ただし、最適な選択は企業の利益状況によるため、顧問税理士への相談をお勧めします。

5.【実践編】自社に最適なのはどっち?状況別の選び方

ここからは、どちらのリースを選ぶべきか、具体的なケースで考えてみましょう。

こんな場合は「ファイナンスリース」がおすすめ

  • ケース1:特殊な機械や専用設備を導入したい
    • 自社の生産ラインに合わせた専用機など、中古市場がない物件はファイナンスリースが基本となります。
  • ケース2:とにかく長期間、安定して使いたい
    • 法定耐用年数いっぱいまで、じっくり使い込みたい設備はこちらが向いています。
  • ケース3:いずれは自社の資産にしたい
    • 契約満了時に買い取れるオプションを付ければ、最終的に自社資産とすることが可能です。

こんな場合は「オペレーティングリース」がおすすめ

  • ケース1:パソコンなど、モデルチェンジの早いIT機器を導入したい
    • 常に最新のスペックを使いたい、陳腐化リスクを避けたい、というニーズに最適です。
  • ケース2:3年間のプロジェクトなど、利用期間が決まっている
    • 必要な期間だけ借りる、という柔軟な使い方ができます。
  • ケース3:決算書をスリムに見せたい(中小企業)
    • オフバランスのメリットを活かし、ROAなどの財務指標を良く見せたい場合に有効です。

意思決定のためのチェックリスト

最終判断のために、以下の質問に答えてみましょう。

  1. 使いたい期間は短い(3年以内など)ですか? → YESならオペレーティングリース
  2. パソコンや自動車など、汎用性の高い製品ですか? → YESならオペレーティングリース
  3. 将来的に買い取って自社の資産にしたいですか? → YESならファイナンスリース
  4. 会計処理をシンプルにしたいですか? → YESならオペレーティングリース(または特例適用のファイナンスリース)

よくある質問(FAQ)

Q1. リースとレンタル、結局どちらがお得ですか?

A1. 一概には言えません。利用期間が大きな判断基準になります。一般的に、数日~数ヶ月といったごく短期間であればレンタル、数年単位の利用であればリースの方が総支払額で有利になることが多いです。

Q2. リース期間が満了したらどうなりますか?

A2. 契約形態によって異なります。

  • ファイナンスリース:「再リース(格安の料金で契約延長)」「物件の返却」「買取(オプションがある場合)」から選択します。
  • オペレーティングリース:原則として物件をリース会社に返却します。

Q3. リース契約の審査は厳しいですか?

A3. 金融機関の融資と同様に、リース会社による審査があります。企業の財務状況や事業の継続性などが確認されますが、一般的には銀行融資よりは柔軟な審査が期待できると言われています。

まとめ:本質を理解し、自社の戦略に合った選択を

今回は、ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いについて、基本から実践までを解説しました。最後に、最も重要なポイントを振り返りましょう。

  • ファイナンスリースは「購入」に近い金融取引。長期利用が前提で、原則オンバランス
  • オペレーティングリースは「レンタル」に近い賃貸借取引。短期・中期利用に向き、原則オフバランス(中小企業の場合)。
  • 中小企業には特例があり、ファイナンスリースでもシンプルな費用処理(オフバランス)が可能。
  • どちらを選ぶかは、「何を」「どれくらいの期間」「どうしたいか」という自社の事業戦略・財務戦略によって決まります。

リース契約は、賢く使えば経営の自由度を高める強力な武器となります。この記事が、あなたの会社の最適な意思決定の一助となれば幸いです。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋 真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。

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