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Solanaが新コンセンサス「Alpenglow」への移行を可決、ファイナリティ時間の大幅短縮へ

2025年9月2日、Solanaのバリデータコミュニティは、Solanaブロックチェーンの基幹技術であるコンセンサスプロトコルを刷新する提案を、賛成多数で可決しました。新しいコンセンサスプロトコルは「Alpenglow」と呼ばれており、今回の可決により、Solanaの次期アップグレードで実装されることになります。

Solanaのノードクライアント開発を行うAnza社は、このアップグレードによりトランザクションの最終確定(ファイナリティ)にかかる時間の大幅な短縮を目指すとしています。今回は、この発表の技術的な背景と影響を解説します。


※本記事の内容は、マネックスクリプトバンクが週次で配信しているニュースレター「MCB FinTechカタログ通信」の抜粋です。毎週月曜17時に配信しており、無料でご購読いただくと、FinTech・Web3の注目トピックスを解説するニュースレターに加え、注目の特集記事、ビットコイン最新動向や相場予想などもお読みいただけます。

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現行コンセンサスの課題

今回のアップグレードの背景を理解するため、Solanaの現行の仕組みを確認しておきましょう。Solanaは「Proof of History(PoH)」というメカニズムでトランザクションにタイムスタンプを付けて順序を記録し、この順序について「TowerBFT」でバリデータの投票を受け付け、段階的に承認することでブロックチェーンの整合性を担保しています。

この構成により、Solanaは高いTPS(Transaction Per Second:1秒間あたりトランザクション処理数)を実現していますが、その一方でTowerBFTによるファイナリティには平均で約12.8秒を要していました。これは他の高速なレイヤー1ブロックチェーンや、既存のWeb2インフラと比較した際に、改善の余地がある領域と見なされていました。

また、Solana上のトランザクションのうち約75%はバリデータの投票トランザクションとなっており、Solanaの特徴である高いTPSが投票トランザクションによって圧迫され、実質的なTPS(True TPS)が低くなっているという課題がありました。

Alpenglowは、このコンセンサスプロトコルを根本から再設計する試みとなります。

Alpenglowが導入する2つの新技術

Alpenglowの主要な構成要素は「Votor」と「Rotor」です。

Votorは、これまでTowerBFTによってブロックごとに行っていたバリデータの投票を、ブロックチェーンの外(オフチェーン)で処理する仕組みです。これにより、バリデーターの運用コストを削減しつつ、ファイナリティを現在の約12.8秒から0.1〜0.15秒まで短縮することができると公表されています。また、投票トランザクションが削減されることによって、True TPSの向上も期待できます。

一方のRotorは、ブロックデータの伝播方式を刷新する技術です。ステーキングされたトークンの量に応じて帯域幅を決定することによって、帯域幅の最適化を行うことができ、ネットワークの安定性向上を図ることができるとされています。また新たに導入される「20+20」と呼ばれる設計により、悪意ある参加者やオフラインのバリデータがそれぞれ最大で20%存在する場合でも、ネットワークが稼働を継続できるような耐障害性の向上が見込まれるとされています。

レイヤー1ブロックチェーンの性能競争

SolanaのDEX(分散型取引所)における取引高を見ると、2025年に入りほぼすべての期間でEthereumを上回る水準を維持しており、オンチェーンでの活動は非常に活発です。このようにオンチェーン活動の面では順調といえますが、今回Solanaの開発者コミュニティがこのような決定に至った背景には、ブロックチェーン基盤における性能競争の激化があります。

たとえば、AptosやSuiといった後発のレイヤー1ブロックチェーンは、設計段階から1秒未満のファイナリティを前提としています。また、直近ではGoogle CloudやStripe、Circleなどの企業が独自レイヤー1の立ち上げを発表しており、これらの後発レイヤー1についても高速なファイナリティを備えている可能性があります。

Alpenglowが計画通り実装されれば、Solanaのファイナリティはこれらの競合と同等、あるいはそれ以上の水準に達する可能性があります。Anza社は、2025年12月に開催されるSolanaコミュニティの年次カンファレンス「Breakpoint」までにテストネットにてリリースし、2026年第1四半期にメインネットへの実装を予定しているとしています。

今後の展望

今回のアップグレードは、Solana開発コミュニティによる、継続的なプロトコル改善方針の一環と捉えることができます。かつてネットワークの安定性に課題を抱えていた時期にも、QUICの導入やFiredancerクライアントの開発など、一連の改善を積み重ねてきた経緯があります。

しかし、コンセンサスアルゴリズムの変更という大規模なアップグレードを、すでに安定稼働しているネットワークに適用する試みには相応のリスクが伴います。移行プロセスにおけるバグについて、テストネット上での慎重な検証が求められるでしょう。

このAlpenglowアップグレードが成功した場合、Solanaは性能面における競争力を一層高めることになります。今回の事例は、先行する大規模ブロックチェーンであっても、競争力を維持するためにはプロトコルの継続的な改善を行う必要性があるということを示しています。今後のSolanaの動向は、他の多くのレイヤー1プロジェクトにとっても参考事例となる可能性があります。

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