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ビジネスで活用できるブロックチェーン技術とその仕組みを徹底解説!

ブロックチェーン技術とは

この記事をご覧いただいている方は、「ブロックチェーン技術のビジネス活用事例について知りたい」、「会社でブロックチェーンや暗号資産に関する事業を立ち上げることになったので、大枠の基礎知識を入れたい」というような動機をお持ちだと思います。

ブロックチェーン技術とは、取引履歴を鎖のように結びつけ、暗号技術によってその正確性を保つ画期的な技術です。この技術は金融、不動産、アート、物流、エネルギー、エンターテインメントなどの様々な業界におけるビジネスシーンで活用が進んでいます。

この記事は上記のような疑問や悩みを抱えている方に向けて、ブロックチェーン業界で3年以上の経験を持つ筆者が以下のポイントについて分かりやすく解説します。

この記事のポイント
  • ブロックチェーン技術の概要
  • ブロックチェーン技術の仕組み
  • ブロックチェーン技術の活用事例
  • ブロックチェーン技術のメリット・デメリット

ブロックチェーン技術は学習コストが非常に高く、その仕組みを短時間で理解するのは困難です。この記事では事前知識のない方でも分かりやすいように、かつ具体事例を多く取り上げることにより、ブロックチェーン技術をどのようにビジネスに活用していけばよいのかのヒントを提供していきます。

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ブロックチェーン技術とは

ブロックチェーン技術の概要

ブロックチェーン技術は、デジタル取引(トランザクション)の情報を分散的に記録・管理するための技術です。当該取引データを一定量格納したデータをブロックと呼び、そのブロックが連続的に生成され鎖(チェーン)のように繋がれていく、という意味で「ブロックチェーン」という名前がついています。また、ブロックチェーン技術は分散型台帳技術(Distributed Ledger Technology、DLT)とも呼ばれています。

ブロックチェーン技術には、改ざん耐性やデータの透明性の高さなど、さまざまな特徴があります。特に改ざん耐性は非常に重要な要素で、この特徴によりデジタル上での価値移転、主に暗号資産(仮想通貨)の安全な送金が可能になっています。

ブロックチェーンの4つの特徴

ブロックチェーンの特徴としては大きく4つ挙げられます。

ブロックチェーンの4つの特徴
  1. 対改ざん性
  2. 自律分散性(P2Pネットワーク)
  3. 透明性
  4. システムダウンへの耐性

以下にそれぞれの特徴についてまとめていきます。

特徴1.対改ざん性

ブロックチェーン技術は、ハッシュ、電子署名といった暗号技術、そしてコンセンサスアルゴリズム(合意形成の仕組み)を組み合わせることで、データの改ざんを防ぐ仕組みを実現しています。この技術により、デジタル上での価値移転(暗号資産の送受金)の安全性が担保されています。

もしこの安全性がなかった場合、二重支払いが発生したり、そもそも送金がなかったことになるなどの問題が生じる可能性があります。

特徴2.自律分散性(P2Pネットワーク)

ブロックチェーン技術のもう一つの重要な特徴は、中央管理者を必要とせずにネットワーク全体でデータを自律的かつ分散的に共有・保存できる点です。従来のシステムでは中央の管理者によってシステム全体を統括していましたが、ブロックチェーンではすべての参加者が独立して取引履歴のコピーを保持し、取引が正確に行われるよう常に監視しています。

この仕組みにより、取引データの不正や改ざんが非常に困難となり、システム全体の信頼性が確保されます。特に暗号資産取引など、信頼性が重視される分野でこの技術は不可欠です。

従来型の中央管理者が存在するネットワーク、そしてブロックチェーンのネットワークのイメージは以下の通りです。

出典元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133310.html

特徴3.透明性

ブロックチェーンは、従来の中央集権型システムとは異なり、分散型ネットワークによって運用されます。すべてのノードが同じデータを保持し、それを独立して検証することで、システム全体が攻撃されるリスクが大幅に低減されます。

さらに、ブロックチェーン上の取引は公開されており、誰でもその取引内容を確認できるため、高い透明性が確保されています。この透明性と分散型構造により、ブロックチェーンは信頼性の高いシステムとなっています。

特徴4.システムダウンへの耐性

ブロックチェーン技術にはシステムダウンへの高い耐性が備わっています。これは、中央管理者に依存しない分散型の構造と、各ノードが独立して取引データを保持・管理しているためです。もし一部のノードが障害を起こしたとしても、ネットワーク全体が機能不全に陥ることはありません。この耐障害性はビザンチン将軍耐性とも呼び、特に金融システムや重要なインフラにおいて大きなメリットとなります。

ブロックチェーンと暗号資産(仮想通貨)、ビットコインの関係

しばしば『ブロックチェーン』、『暗号資産(仮想通貨)』、『ビットコイン』という用語が混同される事例を見かけますが、各用語はそれぞれ異なる意味を持つ用語です。この3つの用語の関係性を簡潔に言うと、ビットコインはブロックチェーン技術を基にして作られた暗号資産(仮想通貨)の一種である、と表現できます。

注意すべき点として、『ビットコイン』という用語には2つの異なる使われ方があります。1つは、暗号資産としてのビットコイン(BTC)、もう1つはブロックチェーンの名前としてのビットコインです。暗号資産としてのビットコイン(BTC)は、ブロックチェーンとしてのビットコイン上で取引される暗号資産(仮想通貨)のことです。ただし、一般的に『ビットコイン』と呼ばれる場合は、BTCを指すことが多いです。

ブロックチェーン技術の仕組み

ブロックチェーンは従来の中央集権型のシステムとは違い、分散台帳技術を用いて各個人がシステムを所有し、さまざまなデータを集団で管理する仕組みになっています。

ブロックチェーンを利用した代表的な技術にビットコインがありますが、ビットコインでは主に以下の3つの技術が使用されています。

ビットコインの仕組みを支えている技術
  • ハッシュ化
  • 電子署名
  • コンセンサスアルゴリズム

以下でそれぞれの技術の概要を解説します。

ハッシュ化

ハッシュ化とは『ハッシュ関数』と呼ばれる計算式を使って、入力されたデータを固有の値(ハッシュ値)に変換する技術のことです。ハッシュ値は不可逆的で、元のデータからハッシュ値を生成できますが、ハッシュ値から元のデータを復元することはできません。このため、データの改ざんや破損を瞬時に検出できる仕組みとして非常に有効です。

出典元:https://jba-web.jp/blogs/sugii_20200618

ハッシュ値は、変換元のデータが少しでも変わると値が大幅に変化するため、データの一意のIDとして機能します。入力されたデータが同じであれば、いつどこで誰がハッシュ関数にかけても、常に同じハッシュ値が得られます。また、入力するデータの長さや内容に関係なく、ハッシュ値は一定の桁数で返されるため、データとしての取り扱いも容易です。

例えば、ビットコインでは『SHA-256』というハッシュアルゴリズムが採用されています。どんなに異なるデータを入力しても、出力されるハッシュ値は常に256ビットの長さです。たった一文字違うだけでも全く異なるハッシュ値が生成されるため、出力結果を正しいハッシュ値と比較することで容易に改ざんを検出することが可能です。以下にSHA-256での入力⇒出力の例を記載しましたので、参考にしていただければ幸いです。

マネックスクリプトバンク ⇒ bb1605336427416829001513e111a0a6141e22eeaaf3509449f78b8470784997

マネックスクリプトパンク ⇒ cd3eb05a9e4aad837d890a63252cee1aa9c14efd9bedf7d78181a83accf54731

マネックス・クリプト・バンク ⇒ 1f44745229cedec563fd1727156448c7970f39e176a595222556d8bc1f9d29df

電子署名

電子署名とは、電子文書の作成者を証明する電子的な署名であり、デジタル空間におけるサインや印鑑の役割を果たす技術です。電子署名を利用することで、データが署名者によって作成されたこと、データが改ざんされていないこと、の2つが証明されます。

電子署名は『公開鍵』と『秘密鍵』というペアの鍵を用いて行われます。署名者は、自分だけが保持する秘密鍵を使ってデータに署名し、その電子署名を送ります。受信者は、事前に受け取っていた公開鍵を使い、署名されたデータを確認します。公開鍵は秘密鍵で暗号化されたデータの復号にしか使えず、誰にでも公開しても問題ありません。

データの受信者が公開鍵を用いて署名を検証できた場合、それは署名者が確かに秘密鍵を持っており、署名者自身がそのデータを作成したことを確認できます。このように、電子署名はデータの送信者を特定し、同時にデータが改ざんされていないことも証明する仕組みとなっています。

 

出典元:https://jba-web.jp/blogs/sugii_20200618

ブロックチェーン技術は、この電子署名技術を活用して各取引の署名を検証することで、取引が改ざんされていないことを確かめ、ネットワーク全体の信頼性を高めています。

コンセンサスアルゴリズム

コンセンサスアルゴリズムは、不特定多数の参加者間で合意形成を得るための仕組みです。この仕組みは、ブロックチェーンネットワーク上に接続して取引情報の保存やブロック生成を行っているコンピュータ(ノード)同士で、どのブロックをブロックチェーン上に追加するかを決定するために使われます。これにより、中央管理者がいないネットワークにおいても信頼性と整合性を保ちながら、データの共有と更新を行うことが可能になります。

コンセンサスアルゴリズムは多くの種類が存在していますが、その中でも主要なのは『Proof of Work(プルーフ・オブ・ワーク、一般的にはPoWと略される)』と『Proof of Stake(プルーフ・オブ・ステーク、一般的にはPoSと略される)』の2種類です。

プルーフ・オブ・ワーク(以下PoWと記載)が採用されているブロックチェーンの例としては、ビットコインやドージコインなどが挙げられます。PoWは、ノードが複雑な計算問題を解くことで新しいブロックを追加します。計算リソースが多いほど有利ですが、大量の電力を消費する点がデメリットです。

プルーフ・オブ・ステーク(以下PoSと記載)が採用されているブロックチェーンの例としては、イーサリアムやアバランチなどが挙げられます。PoSはノードの計算能力ではなく、保有する暗号資産の量に応じて新たなブロックの生成を担当できる確率が決定されます。

以下表にPoWとPoSの特徴を簡単にまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。

PoWPoS
ブロック生成方法計算能力(ハッシュパワー)に基づいて競争し、一番最初に計算問題を解けたノードがブロック生成の権利を得る保有する暗号資産の量に基づいて生成できる確率が決定
電力の消費量非常に多い少ない
トランザクション速度遅い早い
初期コストASICといった高性能な計算機器が必要ブロック生成が可能となる条件を満たす分の暗号資産の保有量が必要
採用事例ビットコイン、ライトコイン、ドージコインイーサリアム、アバランチ、ポリゴン

コンセンサスアルゴリズムはPoWやPoSだけではありません。著名なブロックチェーンの例で言うと、ソラナで採用されているPoH、コスモス・ハブで採用されているDPoS、といったものも存在しています。

ブロックチェーン技術の種類

ブロックチェーンには、主に以下の3つの種類があります。

ブロックチェーンの種類
  • パブリックチェーン
  • プライベートチェーン
  • コンソーシアムチェーン

それぞれどのような特徴を持っているのか、以下で解説していきます。

パブリックチェーン

パブリックチェーンは、管理者が存在せず、誰でも参加できるオープンなブロックチェーンです。この特徴から、参加者に制限がなく、不特定多数のユーザーが自由にネットワークに参加したり脱退したりできます。不特定多数の参加者がネットワークに加わることが可能であるため、システムは不正行為や正常に動作しないノードの存在を前提として設計されています。

取引データはすべて公開されており、透明性が非常に高いという特徴があります。しかし、パブリックチェーンでは単独でルールを変更することはできず、参加者の一定数以上の合意が必要となるようなガバナンス体制が敷かれているため、合意形成までに長い時間を要することもあります。

パブリックチェーンの具体例としては、ビットコインやイーサリアムのようなブロックチェーンが挙げられます。

プライベートチェーン

プライベートチェーンは、管理者が存在し、参加者が限定されたブロックチェーンです。パブリックチェーンとは異なり、参加するためには管理者の承認が必要で、利用できるユーザーが明確に制限されています。このため、参加者の数を常に把握でき、悪意を持つユーザーが含まれるリスクが低いため、取引の承認プロセスは非常にスムーズです。また、中央集権的な要素が含まれており、透明性や公共性はパブリックチェーンに比べてやや低くなっています。

プライベートチェーンでは、厳格なコンセンサスアルゴリズムを必要とせず、参加者同士の多数決による合意形成が行われることが一般的です。これにより、PoWのような複雑な経済的インセンティブを与える必要がなく、迅速な取引処理が可能となります。主な用途としては、企業や組織内での利用が挙げられ、特に金融機関などでの取引記録やデータ管理において活用されています。

プライベートチェーンの具体例としては、アメリカのR3社によって開発された企業間取引での利用に特化したブロックチェーン『Corda(コルダ)』やアメリカの大手金融機関であるJPモルガンによって開発された『Quorum(クオラム)』が挙げられます。Cordaは、三菱UFJフィナンシャル・グループやマイクロソフトなどの400以上の企業や公的機関が参加する『R3コンソーシアム』によって運用されています。

出典元:https://r3.com/products/corda/

コンソーシアムチェーン

コンソーシアムチェーンは、複数の企業や組織が管理者となり、限定されたユーザーのみが参加できるブロックチェーンです。パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間に位置し、参加者がパブリックチェーンより少ないため合意形成は迅速ですが、プライベートチェーンのように単独でルールを変更することはできず、複数の管理者による一定数以上の合意が必要です。

セキュリティ面でも、コンソーシアムチェーンは単一企業の運営に依存せず、複数の企業がそれぞれセキュリティ対策を講じるような体制となっています。そのため、パブリックチェーンやプライベートチェーンに比べて高いセキュリティを確保できるとされています。さらに、複数の管理主体が存在するため、データの改ざんが難しく、検閲耐性も高い点が特徴です。プライベートチェーンが単一の企業や組織によって運営されるのに対して、コンソーシアムチェーンは複数の組織が共同で運営し、異なるステークホルダーが協力する形で信頼性と透明性を両立させたシステムを提供します。

コンソーシアムチェーンの具体例としては、Linux Foundationが主導するオープンソースのブロックチェーン『Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャー・ファブリック』が挙げられます。このブロックチェーンにはアメリカの大手IT企業であるIBMも関わっています。IBMが提供しているエンタープライズ向けに提供しているブロックチェーンソリューションである『IBM Blockchain Platform』は、Hyperledger Fabricを基盤として構築されています。 

チェーン比較表

以下表に各種類のチェーンの特徴をまとめました。参考にしていただければ幸いです。

パブリックチェーンプライベートチェーンコンソーシアムチェーン
参加者の制限誰でも参加可能管理者による承認が必要限定された複数の企業や組織のみ参加可能
管理者存在しない単一の企業または組織複数の企業や組織
データの透明性取引データが全て公開される管理者によってデータが管理されるブロックチェーンネットワークの参加者間では共有されるが、外部には公開されない
合意形成の方法不特定多数のネットワーク参加者における一定数以上の合意が必要管理者が単独で可能参加企業間・組織間での合意が必要
用途暗号資産の送受金、分散型アプリケーションの構築企業内部のデータ管理複数企業間の共同プロジェクト
具体例ビットコイン、イーサリアムCorda、QuorumHyperledger Fabric

また、実際のパブリックチェーンは単一のものではなく、数多くのブロックチェーンプラットフォームが存在しており、それぞれが独自の特性と目的を持っています。例えば、ビットコインのブロックチェーンは価値の移転に特化している一方で、イーサリアムはスマートコントラクトの実行に重点を置いています。このように、各ブロックチェーンは特定のニーズや要件に応じて設計され、それぞれの用途に最適化されているのです。

ブロックチェーンプラットフォームの詳細は、以下の記事で解説しています。

ブロックチェーン技術のメリット

ブロックチェーンには、以下のようなメリットがあります。

ブロックチェーンのメリット
  • データ改ざんへの耐性がある
  • システムの安定的な稼働ができる

どのような内容なのか、以下で詳細に解説します。

データ改ざんへの耐性がある

ブロックチェーン技術の最大のメリットの一つは、データ改ざんに対する強い耐性です。ブロックチェーンは、取引データをブロックという単位で管理し、各ブロックに前のブロックのハッシュ値を含めて鎖のようにリンクすることで、過去のデータが改ざんされた場合、その影響がすべての後続ブロックに及ぶため、改ざんが即座に検知されます。これにより、一度記録されたデータは改ざんが非常に難しくなります。

また、複数のノード(参加者)がネットワーク全体でデータの整合性をチェックするため、中央集権的な管理者がいなくてもデータの信頼性が保たれます。

この特徴により、ブロックチェーンは金融取引や契約管理、サプライチェーン管理など、データの信頼性が重要視される分野での利用が広がっています。

システムの安定的な稼働ができる

ブロックチェーン技術は、自律分散的なネットワークのもと運用されるため、システムの安定的な稼働を実現します。ブロックチェーンでは、データがネットワークに接続されている各ノードに分散して保存されているため、一部のノードが停止する、あるいは悪意のある行動をしたとしても、システムが停止することはありません。さらに、コンセンサスメカニズムにより、不正なブロックがネットワークに取り込まれる可能性を大きく減らしています。

このような特徴により、特定のサーバーに依存する従来のシステムに比べ、耐障害性が高く、ネットワーク全体の一貫性が保たれます。このため、ブロックチェーン技術は高い可用性を必要とする金融システムや公的機関のデータ管理など、24時間365日の運用が求められる領域において効果的です。

ブロックチェーン技術のデメリット

一方で、ブロックチェーンには次のようなデメリットもあります。

記録されたデータが削除できない

ブロックチェーン技術の大きなデメリットの一つは、記録されたデータが削除できないことです。ブロックチェーンは一度書き込まれたデータを永続的に保存し、後から改変や削除ができない構造になっています。これにより、データの信頼性や透明性は向上しますが、誤った情報や不必要なデータが一度記録されると、それを取り消すことができないため、プライバシー保護やデータ管理の観点から課題になることがあります。

先ほどブロックチェーン技術のメリットとして紹介したデータ改ざんへの体制は、ケースによってはデメリットにもなり得るということです。

データの確定までに時間が掛かる

データの確定に時間がかかることもブロックチェーン技術のデメリットです。ブロックチェーンは、ネットワーク全体で取引を検証し、合意に達したら取引を確定する(永続的に記録される)というプロセスを経るため、データが確定するまでに時間がかかります。例えば、ビットコインのブロック生成には約10分かかり、これが多くの取引が発生する場合にはトランザクションの遅延を引き起こします。さらに、取引量が増加するとネットワーク全体の処理能力が追いつかず、トランザクション処理の遅延とトランザクション手数料(ガス代)の高騰が生じます。

上記の問題を解決するため、ビットコインではオフチェーンでのトランザクション処理を通じて取引速度を向上させる試み(ライトニングネットワークの開発)が進められています。また、イーサリアムではLayer 2ソリューション(一般的にはL2と呼ばれる)が導入され、メインネットワークの負荷を軽減し、取引の処理速度を向上させる流れがあります。

法律が未整備

ブロックチェーン技術を活用したビジネスを展開する際、法的整備が不十分であることがビジネスを進める上での障壁となる可能性があります。ブロックチェーン技術や暗号資産の事業を推進する場合は、事業に関連する金融系の法規制(金融商品取引法、改正資金決済法、信託法など)を考慮する必要がある場合があるため、本格的に事業展開する前段階において、専門の弁護士への相談が求められます。ブロックチェーン技術の急速な発展に合わせて、今後さらに法整備が進むことが期待されていますが、現時点では多くの不安要素があることは否めません。

ブロックチェーンの市場規模

平成28年4月28日、経済産業省はブロックチェーンの市場規模に関する予測を発表しました。

この予測では、以下5つの分野においてブロックチェーン技術の活用が進むとしています。5つの分野の市場規模を合わせると67兆円になり、ブロックチェーンが67兆円もの市場規模にアクセスできる可能性が示されました。

分野詳細市場規模
価値の流通・ポイント化・プラットフォームのインフラ化各自治体が発行する地域通貨や電子クーポン、ポイントサービスをブロックチェーン上で運用・管理する1兆円
権利証明行為の非中央集権化の実現土地登記や電子カルテ、出生・婚姻・転居などの登録をブロックチェーン上で管理・公示する1兆円
遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現デジタルコンテンツやチケット、C2Cオークションなどの利用権利移転や評価をブロックチェーンに記録する13兆円
オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現小売りや貴金属管理、美術品の真贋認証において、製造から流通、販売までをブロックチェーンで追跡する32兆円
プロセス・取引の全自動化・効率化の実現遺言やIoT、電力サービスなどで発生する契約条件やプロセスをブロックチェーン上に記録し、自動化・効率化を図る20兆円

出典元:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料

ただし、上記の数値を確認する際には2点注意が必要です。

1点目は、この予測が平成28年4月28日に発表されたものだという点です。記事執筆時点(2024年9月)において、ブロックチェーン技術は平成28年(2016年)から格段に進化しており、より様々なユースケースへの対応が可能になっています。そのため、ブロックチェーン技術の活用が進む分野は、上記5つにとどまらないと考えられます。

2点目は、この市場規模の数値はブロックチェーン技術自体の市場規模の数値ではなく、ブロックチェーン技術が活用されると予測される分野の市場規模であるという点です。

ブロックチェーン技術は既存の産業に組み入れることで新たな価値を創出し得る技術であるため、ブロックチェーン技術そのものの市場規模の算出は困難です。そのため、この市場規模予測はあくまでも参考程度に見ておくことをオススメします。

出典元:https://www.meti.go.jp/main/infographic/pdf/block_c.pdf

ブロックチェーン技術がビジネスで活用される業界

ブロックチェーンは、主に次のような業界で活用されています。

ブロックチェーンが活用されている業界
  • 金融
  • 不動産
  • アート
  • 物流
  • 教育
  • エネルギー
  • ゲーム

各業界で具体的にどのように活用されているのか、以下で解説します。

金融

金融分野での最も代表的なブロックチェーンの活用例はビットコインです。2008年にサトシ・ナカモトと名乗る人物がビットコインの概要を示した論文を発表し、これが代表的なブロックチェーン技術の実用例となりました。ビットコインは、金融機関を介さずに安全な送受金を行うP2P(ピアツーピア)決済システムを提供し、ブロックチェーンの可能性を示しました。

加えて、金融分野で注目すべきもう一つの活用例は、DeFi(分散型金融)です。DeFiは、スマートコントラクト技術を活用し、資金の貸し付けやトークン交換などの金融サービスを自動化します。これにより、従来の金融機関の仲介を必要とせずに、ユーザー同士が直接金融取引を行うことが可能となりました。DeFiでは、貸付や借入、流動性の提供、暗号資産の交換などのサービスが、金融機関に依存せず、透明性と効率性を持って提供されており、中央集権的な金融機関の役割を根本から変革しつつあります。

さらに、近年注目されているのが、RWA(Real World Assets)のブロックチェーン上でのトークン化です。RWAは直訳すると『現実世界の資産』です。RWAは現実世界の資産(不動産、株式、債券など)をブロックチェーン上にトークン化することで、その資産をデジタル上で取引可能にする取り組みです。RWAは、資産の流動性を高め、より多くの投資家に対して投資機会を提供できるようにし、なおかつ取引の透明性を向上させるメリットがあります。今後RWAが発展すれば、DeFiとの連携によりトークン化された現実世界の資産がDeFi上の担保として使用されることも考えられ、ブロックチェーン技術がより現実社会の金融取引に深く関与していくことが考えられます。

不動産

不動産分野での活用事例は、三井物産デジタル・アセットマネジメントが展開しているデジタル証券の資産運用サービス『ALTERNA(オルタナ)』が挙げられます。

ユーザーはALTERNAを通して、安定資産がデジタル証券化された金融商品へ投資可能となっています。ALTERNAにおける安定資産とは、三井物産グループが厳選した都心の大型不動産や物流施設、発電所といったインフラなど安定的な賃料等収入が期待できる実物資産を指しています。

今まで機関投資家などの大口投資に投資機会が限られていたさまざまな安定資産に関して、ALTERNAはブロックチェーン技術を活用したトークン化(デジタル証券化)を行うことで1口10万円での投資機会の創出を可能にしました。

出典元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000056997.html

なお、ALTERNAでの資産運用総額は2023年2月末時点で2,000億円以上となっています。

他の金融・不動産活用事例が気になる方は、以下の記事をご覧ください。

アート

アート分野では、ブロックチェーン技術を活用したNFT(Non Fungible Token、非代替性トークン)アートが普及しています。

NFTアートは、デジタル作品に唯一無二の識別情報を付与し、作品の所有権をブロックチェーン上で記録します。この技術により、デジタル作品の所有権や取引履歴を明確に証明することができます。また、二次流通での取引においてアーティストへの手数料を設定することで、アーティストの新たな収益化の機会につなげることも可能です。

具体例として、スタートバーン株式会社は、アート作品のブロックチェーン認証プラットフォーム『Startrail』を提供し、アート作品の信頼性と真正性の担保が行えるサービスを展開しています。NFTを活用することで、アーティストが作品の所有権や二次販売時のロイヤリティを管理することが可能となり、アート市場の更なる進化のきっかけになり得ると考えられます。

出典元:https://startrail.io/

他のNFT活用事例が気になる方は、以下の記事をご覧ください。

物流

物流分野でのブロックチェーンの活用は、他分野と比べると特に盛んに議論されています。代表的な事例としては、LVMH社、プラダ・グループなどが共同で主導するラグジュアリー業界に特化したブロックチェーンコンソーシアム『AURA Blockchain Consortium 』が挙げられます。

AURA Blockchain Consortiumは、世界中のラグジュアリーブランド及びその消費者に対して、透明性とトレーサビリティの提供を掲げています。具体的には、原材料が調達された国や製造工程などの記録を追跡できるようなソリューション、消費者がブランドバッグの真贋を確認できるようなソリューションの開発などを進めています。

すでに世界各国のラグジュアリーブランドが同コンソーシアムへの加入を表明しており、その数は25ブランド以上に上ります。

出典元:https://auraconsortium.com/

物流とブロックチェーンを組み合わせたソリューションの提案は古くから行われてきており、アマゾン、マイクロソフト、IBMといったアメリカの大手IT企業も開発を進めています。

教育

教育分野での活用事例は、慶応義塾大学が共同開発しているブロックチェーンを活用した学生向けプラットフォームが挙げられます。

慶應義塾大学では、学生の成績情報や指導教員からの評価を管理するシステムにブロックチェーンを組み込むことで、学生自身が個人情報の公開範囲をコントロールできるようになるような取り組みを行っています。

ブロックチェーンと教育を掛け合わせることで、学位や成績などの対外的な証明行為が簡単になり、かつ証明の信頼性向上にもつながります。

エネルギー

エネルギー業界での活用例としては、PowerLedgerというオーストラリアの企業が推進しているブロックチェーン技術を活用した分散型エネルギー取引『xGrid』が挙げられます。ブロックチェーンを用いることで、個々の家庭や企業が太陽光などで生成した余剰エネルギーを、P2Pで他のエネルギー消費者と直接取引できる仕組みが実現しています。

xGridはブロックチェーン技術を使ったエネルギーの売買を通して透明性のある効率的なエネルギー市場の提供が可能となっており、エネルギーの有効活用とコスト削減に寄与しています。

ゲーム

ブロックチェーン技術は、ゲーム業界でもその活用が進んでいます。特に注目されているのが、ブロックチェーンゲームと呼ばれる新しいゲームの形態です。これらのゲームでは、プレイヤーがゲーム内で取得したアイテムやキャラクターが暗号資産として発行され、プレイヤーがその所有権を保有することが可能です。ブロックチェーンゲームはweb3NFTゲームDAppsと呼ばれることもあります。

代表的な例としては、Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)というブロックチェーンゲームが挙げられます。このゲームでは、プレイヤーはNFT化されたキャラクターである『Axie(アクシー)』を収集し、集めたAxieを用いて対戦バトルを行います。対戦で勝利するとゲーム内通貨(暗号資産)で報酬を得ることができます。

出典元:https://axieinfinity.com/

ブロックチェーンゲームはゲームにブロックチェーン技術を応用することで、従来のゲーム体験とは異なる価値を提供しています。

日本の大手ゲーム会社もブロックチェーンゲームへの参入を行っています。具体例としては、スクウェア・エニックスの『SYMBIOGENESIS(シンビオジェネシス)』、DMMの『かんぱに☆ガールズ RE:BLOOM』などです。

他のブロックチェーンゲーム活用事例が気になる方は、以下の記事をご覧ください。

ブロックチェーンの将来性

ブロックチェーンは、改ざん耐性、データの透明性を強化する技術として、さまざまな業界での活用が進んでいます。特に近年では、現実資産のトークン化(RWA)やAIとの相互活用など、その適用範囲がさらに広がっています。この基本的な仕組みや活用事例を理解することで、今後のビジネスチャンスに活かすこともできるでしょう。

以下の記事では、今後のWeb3成長を牽引する注目企業が紹介されています。ぜひご覧ください。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

大阪大学経済学部卒業。都市銀行退職後に暗号資産関連スタートアップの創業メンバーとして業界調査や相場分析に従事。2018年、マネックスグループ入社。マネックスクリプトバンクでは業界調査レポート「中国におけるブロックチェーン動向(2020)」や「Blockchain Data Book 2020」などを執筆し、現在はweb3ニュースレターや調査レポート「MCB RESEARCH」などを統括。国内メディアへの寄稿も多数。2021年3月より現職。
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監修者は記事の内容について監修しています。
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