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給与計算のやり方を6ステップで解説!事務初心者が「難しい」と感じるポイントも紹介

給与計算やり方

初めて給与計算を担当することになったものの、専門用語の多さや計算の複雑さに、何から手をつけてよいか分からず戸惑っていませんか。

従業員の生活に直結し、計算ミスが許されない重要な業務だけに、大きなプレッシャーを感じている方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、給与計算の経験がない方や、改めて基本から確認したいと考えている担当者の皆様に向けて、業務の基本的な流れから、総支給額の計算、社会保険料や税金といった各種控除の仕組み、そして手取り額の算出方法まで、2025年最新の情報に基づき、一つひとつ丁寧に解説します。

はじめに:給与計算とは?企業の責務と業務の重要性

給与計算とは、従業員の労働の対価である給与を、労働基準法や所得税法、社会保険関連法規などの法律に基づいて正確に計算し、支払うまでの一連の業務を指します。

この業務は、単にお金を計算するだけではありません。企業が果たすべき「労働基準法」「社会保険」「税金」に関わる重要な責務と密接に結びついています。正確な給与計算は、従業員との信頼関係を維持し、企業の社会的信用を守るための根幹となる、極めて重要な業務です。

給与計算の全体像:年間スケジュールと毎月の流れ

給与計算は毎月発生する業務ですが、年に数回、特別な手続きが必要になります。まずは業務の全体像を把握しましょう。

毎月の給与計算で行う6つのステップ

毎月の給与計算は、一般的に以下の6つのステップで進められます。この記事では、このステップに沿って具体的なやり方を詳しく解説していきます。

  1. ステップ1:勤怠情報の収集・集計
  2. ステップ2:総支給額の計算
  3. ステップ3:社会保険料の計算
  4. ステップ4:税金(所得税・住民税)の計算
  5. ステップ5:差引支給額(手取り額)の確定と給与明細の作成
  6. ステップ6:給与の支払いと社会保険料・税金の納付

年に一度発生する主な業務

毎月の業務に加えて、以下の業務が年に一度発生します。これらの業務は毎月の給与計算と密接に関連しているため、年間スケジュールとして把握しておくことが重要です。

  • 労働保険の年度更新(6月~7月): 前年度の労働保険料(労災保険・雇用保険)を確定・清算し、新年度の概算保険料を申告・納付します。
  • 社会保険料の算定基礎届の提出(7月): 4月~6月の給与額を基に、その年の9月から適用される新しい標準報酬月額を決定し、届け出ます。
  • 年末調整(11月~1月): 毎月の給与から源泉徴収した所得税の過不足を、年間の所得が確定する年末に精算します。

ステップ1:勤怠情報の収集・集計

給与計算の最初のステップは、従業員一人ひとりの労働時間を正確に把握することです。

給与計算の基礎となる勤怠項目

タイムカードや勤怠管理システムから、以下の情報を集計します。これらのデータが、残業代や各種手当、控除の計算の基礎となります。

  • 出勤日数、欠勤日数
  • 労働時間(所定労働時間、時間外労働時間、休日労働時間、深夜労働時間)
  • 有給休暇の取得日数
  • 遅刻、早退の時間

この段階で集計ミスがあると、その後のすべての計算に影響が出てしまいます。特に、労働時間の集計は1分単位で行うのが原則です。打刻漏れや申請不備がないか、締め日までにしっかりと確認しましょう。

ステップ2:総支給額の計算

勤怠情報を基に、会社が従業員に支払う給与の総額である「総支給額」を計算します。一般的に「額面」と呼ばれる金額がこれにあたります。

「総支給額」を構成する要素とは?

総支給額は、主に以下の3つの要素で構成されています。

総支給額 = ①基本給 + ②各種手当 - ③欠勤・遅刻早退控除

  • 1 基本給:職種、年齢、勤続年数などに応じて定められる給与の基本部分です。
  • 2 各種手当
    • 固定手当:役職手当、資格手当、住宅手当など、毎月固定で支払われる手当。
    • 変動手当:時間外手当(残業代)、通勤手当、インセンティブなど、月によって変動する手当。
  • 3 欠勤・遅刻早退控除:就業規則に基づき、欠勤や遅刻、早退した時間分の給与を差し引きます。

時間外手当(残業代)の正しい計算式

特に計算が複雑になりがちなのが時間外手当です。残業代は、労働基準法で定められた割増率を用いて計算する必要があります。

  • 計算式:1時間あたりの基礎賃金 × 対象となる労働時間 × 割増率
  • 1時間あたりの基礎賃金:(基本給 + 主要な固定手当)÷ 1ヶ月の平均所定労働時間
  • 主な割増率
    • 時間外労働(法定労働時間超): 25%以上
    • 深夜労働(22時~翌5時): 25%以上
    • 休日労働(法定休日): 35%以上

例えば、時間外労働が深夜に及んだ場合は、25%+25%=50%以上の割増率で計算する必要があります。

ステップ3:社会保険料の計算

総支給額から差し引かれる「控除」。その代表格が社会保険料です。社会保険料は、会社と従業員がそれぞれ負担し、会社がまとめて国に納付します。従業員負担分を給与から天引きします。

社会保険料は、「標準報酬月額」に保険料率を掛けて算出します。標準報酬月額とは、4月~6月の給与の平均額を基に、区切りの良い幅で区分したものです。

健康保険料・介護保険料

  • 対象:全従業員(介護保険料は40歳以上65歳未満の従業員のみ)
  • 計算式:標準報酬月額 × 健康保険料率(÷2) 標準報酬月額 × 介護保険料率(÷2)
  • 特徴:料率は加入している健康保険組合や都道府県によって異なります。毎年見直しがあるため、最新の保険料額表を確認する必要があります。

厚生年金保険料

  • 対象:全従業員
  • 計算式:標準報酬月額 × 厚生年金保険料率(18.3%)÷ 2
  • 特徴:料率は現在18.3%で固定されています。

雇用保険料

  • 対象:全従業員
  • 計算式:総支給額 × 雇用保険料率(従業員負担分)
  • 特徴:標準報酬月額ではなく、その月の「総支給額」を基に計算します。料率は事業の種類によって異なり、毎年見直されます。

ステップ4:税金(所得税・住民税)の計算

社会保険料と並んで、給与から控除されるのが所得税と住民税です。

源泉所得税の計算方法と「源泉徴収税額表」の見方

所得税は、1年間の所得に対して課される税金ですが、会社が毎月の給与から概算額を天引きし、年末調整で精算します。この仕組みを「源泉徴収」と呼びます。

  1. 課税対象額の算出
    • 課税対象額 = 総支給額 - 非課税通勤手当 - 社会保険料合計額
  2. 源泉徴収税額表で税額を確認
    • 国税庁が毎年発行する「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使用します。
      • 1 で算出した「課税対象額」
      • 従業員から提出された「扶養控除等(異動)申告書」に記載されている「扶養親族等の数」

この2つの情報が交差する欄に記載されている金額が、その月の源泉所得税額となります。

住民税の計算と納付方法

住民税は、前年の所得を基に市区町村が税額を計算し、その年の6月から翌年5月までの12回に分けて徴収します(特別徴収)。

会社には、毎年5月頃に市区町村から「特別徴収税額決定通知書」が届きます。担当者は、その通知書に記載されている月々の納付額を、対象となる従業員の給与から天引きするだけでよく、会社側で計算する必要はありません。

ステップ5:差引支給額(手取り額)の確定と給与明細の作成

すべての計算が終わったら、いよいよ従業員に実際に支払われる金額、「差引支給額(手取り額)」を確定させます。

最終チェック:総支給額 – 控除合計額 = 差引支給額

以下の計算式で、最終的な手取り額を算出します。

差引支給額 = 総支給額 - (社会保険料合計額 + 所得税 + 住民税)

計算ミスがないか、複数の目でダブルチェックすることが理想です。

給与明細への記載が義務付けられている項目

計算結果を基に、給与明細を作成します。所得税法により、以下の項目は必ず記載しなければなりません。

  • 支給項目:基本給、各種手当などの金額と合計額
  • 控除項目:社会保険料、所得税、住民税などの項目ごとの金額と合計額
  • 勤怠項目:労働日数、労働時間など
  • 差引支給額

ステップ6:給与の支払いと社会保険料・税金の納付

最後に、確定した金額を従業員に支払い、控除した社会保険料と税金を国や自治体に納付します。

従業員への給与支払い

就業規則で定められた給与支払日に、各従業員の指定口座へ差引支給額を振り込みます。振込手数料を考慮し、余裕を持った手続きが必要です。

社会保険料・税金の納付期限と方法

給与から預かった社会保険料と税金には、それぞれ納付期限があります。

  • 社会保険料:翌月末日までに、年金事務所へ納付します。
  • 所得税・住民税:給与支払月の翌月10日までに、それぞれ税務署と市区町村へ納付します。

期限に遅れると延滞金が発生する場合があるため、厳守しましょう。

なぜ給与計算は「難しい」?担当者がつまずく3つの理由と対策

ここまで流れを解説してきましたが、なぜ多くの担当者が給与計算を「難しい」「事務作業の中でも特に大変」と感じるのでしょうか。その理由と対策を知ることで、業務への心構えができます。

理由1:頻繁な法改正への対応

社会保険料率や税制は毎年、あるいは不定期に改正されます。古い料率のまま計算してしまうと、追徴や還付といった煩雑な手続きが発生します。厚生労働省や国税庁のウェブサイトを定期的に確認し、常に最新の情報をキャッチアップする姿勢が不可欠です。

理由2:従業員ごとの個別事情の多さ

入退社、昇給、扶養家族の変動、育児休業など、従業員一人ひとりのライフイベントによって、給与計算の条件は変わります。全従業員の状況を正確に把握し、個別に計算へ反映させるきめ細やかさが求められます。

理由3:計算ミスが許されないプレッシャー

給与は従業員の生活の基盤です。1円の計算ミスが、従業員の会社に対する信頼を損なうことにつながりかねません。この「絶対に間違えられない」というプレッシャーが、担当者の大きな負担となります。

給与計算の効率を劇的に上げる3つの方法

これらの課題を乗り越え、正確かつ効率的に業務を行うためには、やり方を見直すことも重要です。

方法1:Excelテンプレートを活用する

コストをかけずに始められる方法です。インターネット上には無料でダウンロードできるテンプレートも多数あります。ただし、計算式を自分で設定・更新する必要があり、法改正への対応も手動で行わなければならないため、人的ミスが起こりやすい点には注意が必要です。

方法2:給与計算ソフトを導入する

現在、最も一般的な方法です。クラウド型の給与計算ソフトを導入すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 自動計算: 勤怠データを入力するだけで、総支給額や控除額を自動で計算。
  • 法改正への自動対応: 保険料率や税制の改正に合わせて、システムが自動でアップデートされる。
  • Web給与明細: 給与明細の印刷・封入・配布といった手間を削減できる。
  • 他システムとの連携: 勤怠管理システムや会計ソフトと連携し、業務全体を効率化できる。

方法3:アウトソーシング(専門家への外部委託)を検討する

社会保険労務士や給与計算代行業者に、業務そのものを委託する方法です。

  • メリット: 専門家による正確な計算、法改正への確実な対応、担当者の業務負担の大幅な軽減。
  • デメリット: 外部委託コストが発生する。社内にノウハウが蓄積されにくい。

コア業務に集中したい企業や、専任の担当者を置く余裕がない企業にとっては、有力な選択肢となります。

給与計算に関するよくある質問(FAQ)

Q. パート・アルバイトの給与計算で気をつけることは何ですか?

A. 基本的な計算の流れは正社員と同じですが、社会保険の加入要件(所定労働時間や賃金月額など)を満たすかどうかを確認する必要があります。また、所得税については、年収が103万円を超えると課税対象となるため、扶養の範囲内で働きたい従業員の労働時間管理には特に注意が必要です。

Q. 給与計算を間違えてしまった場合、どうすればよいですか?

A. ミスに気づいた時点で、速やかに対象の従業員に謝罪し、状況を説明します。不足分があった場合は、次回の給与で調整するか、別途速やかに支払います。多く払い過ぎた場合は、従業員の同意を得た上で次回の給与で相殺するのが一般的です。社会保険料や税金の計算に誤りがあった場合は、年金事務所や税務署に連絡し、修正申告の手続きを行ってください。

Q. 役員報酬の計算方法は従業員の給与と違いますか?

A. 役員報酬は従業員の給与と異なり、「労働の対価」ではないため、雇用保険や労災保険の対象外となります。また、法人税法上、原則として毎月同額でなければ損金として認められない(定期同日給与)などの制約があります。ただし、健康保険、厚生年金、所得税、住民税の計算と控除は従業員と同様に行います。

まとめ:正確な給与計算は、健全な企業経営の土台

本記事では、給与計算のやり方について、6つのステップに沿って網羅的に解説しました。

  • 給与計算の基本:勤怠集計から始まり、総支給額、控除額を順に計算し、手取り額を確定させる。
  • 正確性が最重要:法律に基づいた正確な計算が、従業員との信頼関係と企業の信用を守る。
  • 業務効率化も視野に:煩雑でミスの許されない業務だからこそ、給与計算ソフトやアウトソーシングの活用が有効。

正確な給与計算は、単なる事務作業ではなく、従業員が安心して働ける環境を支え、健全な企業経営を実現するための重要な土台です。この記事が、あなたの給与計算業務の一助となれば幸いです。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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