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所有権移転外ファイナンスリースの償却資産税申告|納税義務者の判定と申告実務を解説

所有権移転外ファイナンスリースの償却資産税申告のサムネイル画像

ファイナンスリースで複合機・社用車・製造設備などを利用していると、毎年1月末の償却資産税申告期には「このリース資産は自社が申告するのか、リース会社が申告するのか」という判断が悩みの種になります。2027年4月施行の新リース会計基準で借手のすべてのリースを資産計上する流れが広まる中、会計処理と税務申告を混同しやすい状況も生まれています。

本記事では、地方税法上の納税義務者の原則を整理したうえで、所有権移転ファイナンスリース・所有権移転外ファイナンスリース・オペレーティングリースの区分ごとに償却資産税の申告義務者を明らかにします。あわせて、新リース会計基準が施行されても申告義務者の判断が変わらない理由についても、条文の根拠とともに解説します。

さらに、リース資産の台帳管理とリース種別の区分管理を効率化する固定資産管理システムについても、リース管理機能を備えた代表的なサービスを比較しながらご紹介します。

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償却資産税(固定資産税)とは|申告制度と納税義務者の原則

ここからは、リース資産の申告義務者を判定する前提となる、償却資産税の課税対象と納税義務者の原則を確認します。

課税対象と申告の仕組み

固定資産税のうち、土地・家屋以外の事業用資産に課税されるものを償却資産に係る固定資産税(一般に「償却資産税」と呼ばれます)といいます。構築物・機械装置・船舶・航空機・車両運搬具・工具器具備品などの有形の事業用資産が対象です。耐用年数1年未満の資産、または取得価額が10万円未満で一時に損金算入する資産(少額償却資産)は原則として申告対象外となります。

申告は毎年1月31日が期限(土日祝の場合は翌開庁日)で、前年12月31日時点で所有している事業用償却資産について、資産の所在する市区町村に対して行います。申告書(地方税法第383条に定める「償却資産の申告書」、第26号様式)に資産の種類別明細を記載し、課税標準額を申告します。各市区町村が標準税率1.4%を適用して固定資産税を決定し、4月以降に納税通知書が送付される流れです。

本記事の主題に直結する原則として、償却資産税の納税義務者は「賦課期日(毎年1月1日)現在に当該資産を所有している者」と地方税法第343条・第359条で定められています。ここでいう「所有」は法律上の所有権に基づく判定であり、会計上の処理(自社が資産として計上しているかどうか)とは独立しています。この原則が、リース資産の申告義務者を決める際の根拠となります。

対象外となる主な資産

実務上、次の資産は償却資産税の課税対象から除かれます。土地・家屋は固定資産税の別区分(土地・家屋分)で課税されるため、償却資産税の申告書には記載しません。自動車税・軽自動車税の課税対象となる車両(普通自動車・軽自動車)も本税の対象外です。無形固定資産(ソフトウェア・特許権・商標権など)も非課税のため申告は不要です。

リース取引の種類と税務上の分類

償却資産税の申告義務者を判定するためには、まずリース取引が3つのどの区分に該当するかを押さえる必要があります。

ファイナンスリースとオペレーティングリースの違い

リース取引は会計・税務上、ファイナンスリースオペレーティングリースに大別されます。判定の基準は、リース取引の経済的実質が「実質的な資産購入に近いか」「純粋な賃貸借に近いか」のどちらに該当するかです。

ファイナンスリースは、リース期間中に解約できず(ノンキャンセラブル)、かつ借手がリース物件からの経済的利益を実質的にすべて享受し、コストを実質的にすべて負担する(フルペイアウト)リース取引です。これは現行の企業会計基準第13号でも、新基準である企業会計基準第34号でも共通する定義です。さらに会計上、一定の条件によって「所有権移転ファイナンスリース」と「所有権移転外ファイナンスリース」に区分されます。一方のオペレーティングリースは、解約可能または実質的にフルペイアウト・ノンキャンセラブルの条件を満たさないリース取引で、現行基準では賃貸借として処理されます。

所有権移転・所有権移転外の判定基準

ファイナンスリースのうち、次のいずれかの条件に該当するものが所有権移転ファイナンスリースとして扱われます(企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」)。

  • リース期間終了時または途中で、リース物件の所有権が借手に移転する条件が定められている
  • 借手に廉価購入選択権(リース期間終了時に著しく有利な価格でリース物件を買い取る権利)が与えられている
  • リース物件が借手の用途に特化して製造または改造されており、他者への転用が困難である

これらの条件のいずれにも該当しないファイナンスリースが所有権移転外ファイナンスリースです。日本企業が締結するファイナンスリースの大半はこの所有権移転外型に分類され、リース期間終了後にリース物件を返却するか再リース契約を結ぶ形態が一般的です。

リース種別ごとの償却資産税申告義務者

ここからは、3つのリース区分それぞれについて、地方税法上どちらが申告義務者となるかを整理します。判定の軸は会計処理の方法ではなく、リース物件の法的所有権が誰に帰属しているかです。

所有権移転ファイナンスリース:借手(賃借人)が申告する

所有権移転ファイナンスリースは、会計・税務上「実質的な売買取引」として取り扱われます。リース期間終了後にリース物件の所有権が借手に移転する条件があるか、廉価購入選択権により実質的に借手に所有権が帰属する取引であるため、地方税法第343条の解釈上も借手が「所有者」に該当するとみなされます。

そのため、所有権移転ファイナンスリースの対象資産については、借手が償却資産税の申告書を各市区町村に提出する義務を負います。借手の固定資産台帳にリース資産として計上し、減価償却計算と同様に課税標準額を管理する運用が必要です。法人税法上も売買取引として扱われ、借手が減価償却を行います。

所有権移転外ファイナンスリース:リース会社(賃貸人)が申告する

所有権移転外ファイナンスリースでは、リース期間終了後の所有権がリース会社(賃貸人)に残ります。廉価購入選択権も借手専用製造という特殊性もないため、法的所有権は契約期間を通じてリース会社に帰属したままとなります。

地方税法第343条に定める「所有者」は法律上の所有権者を指すことから、所有権移転外ファイナンスリースの対象資産の償却資産税申告義務者はリース会社です。借手は申告書を提出する必要がなく、申告漏れに問われるリスクもありません。借手が会計上、当該リース資産を自社の固定資産台帳に「リース資産」または「使用権資産」として計上していたとしても、償却資産税の申告自体はリース会社側が行います。

実務上は、リース会社から借手に対して「当社がリース資産の償却資産税申告を行います」という旨の通知が発行される場合があります。判断に迷う際は、リース契約書のリース取引の区分やリース会社との覚書を確認するか、リース会社の窓口へ問い合わせることが確実です。

オペレーティングリース:リース会社(賃貸人)が申告する

オペレーティングリースは、法律上も会計上も純粋な賃貸借取引です。リース物件の法的所有権はリース会社(賃貸人)が保有し続けるため、償却資産税の申告義務者はリース会社となります。借手は申告不要で、支払リース料を費用(賃借料)として計上するのみです。

新リース会計基準(2027年4月施行)と償却資産税への影響

2024年9月13日にASBJが公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、従前の第13号「リース取引に関する会計基準」を置き換える新基準です。強制適用対象は、金融商品取引法の適用を受ける上場会社等、および会社法上の会計監査人設置会社(資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社を含む)とその子会社で、2027年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

新基準では、借手はファイナンスリース・オペレーティングリースを問わず、原則としてすべてのリース取引を使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上(オンバランス処理)することとなります。IFRS第16号と同様のアプローチに変更する改正です。

この変更により、従来オペレーティングリースとして賃借料で費用処理していた取引も貸借対照表に資産・負債として計上されます。しかし、償却資産税(固定資産税)の申告義務者の判断には影響しません。理由は、地方税法上の納税義務者の判定が会計処理ではなく法的所有権の帰属に基づいているためです。

  • 固定資産税は法的所有権に基づく課税:地方税法第343条の「所有者」は法律上の所有権者を指します。新リース会計基準は企業会計の処理方法を変える基準であり、リース物件の法的所有権の帰属を変えるものではありません
  • 使用権資産は「所有権」ではない:借手が新基準で計上する使用権資産(Right-of-Use Asset)は、リース期間中にリース物件を使用する権利を貸借対照表に表示するための会計上の概念です。法的所有権とは別の概念であるため、所有権移転外リースの場合は引き続きリース会社が申告義務を負います
  • オペレーティングリースの借手側にも申告義務は生じない:新基準でオペレーティングリースの使用権資産を計上するようになっても、法的所有権は依然としてリース会社にあります。借手側に新たな償却資産税の申告義務は生じません

所有権移転ファイナンスリースに該当する取引については、新基準前と同様に借手が申告義務者となります。新リース会計基準の導入に合わせてリース台帳の整備を進める際には、各リース取引が所有権移転型か所有権移転外型かを改めて確認し、申告義務者を区分管理しておくことが実務上の重要ポイントです。

リース資産の台帳・申告作業に対応した固定資産管理システム

所有権移転外ファイナンスリース・オペレーティングリースは申告義務者がリース会社側ですが、借手側でも台帳上でリース資産を区分管理しておくことには大きな意義があります。リース契約の期間・契約相手・リース料・利息相当額を一元管理しておくことで、2027年4月以降に強制適用される新リース会計基準への対応(使用権資産・リース負債のオンバランス計上)を円滑に進められます。

一方、所有権移転ファイナンスリースに該当する場合は、借手自身が償却資産税申告書を提出する義務があり、台帳と申告書の整合性を確認する管理体制が欠かせません。固定資産管理システムを活用することで、リース種別ごとの台帳分類・減価償却計算・償却資産申告書の出力が一元化できます。

以下では、リース管理機能と償却資産申告機能を備えた代表的な固定資産管理システムを比較します。

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サービス名マネーフォワード クラウド固定資産Galileopt DX 固定資産・リース管理ProPlus 固定資産システム
提供会社株式会社マネーフォワード株式会社ミロク情報サービス株式会社プロシップ
対象規模中堅企業(年商数十億〜数百億円規模)中堅企業(年商50億〜500億円)大企業・上場企業(IFRS適用企業を含む)
リース管理機能別製品「クラウドリース会計」で新リース会計基準に対応(2025年11月提供開始)ファイナンスリース・オペレーティングリース両対応、リース期間定額法・再リース・解約管理リース資産管理システム(スイート構成)、IFRS第16号に標準対応
償却資産申告書出力
eLTAX対応電子申告データ(CSV)出力対応電子申告データ作成対応電子申告データ作成対応
月額費用要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ
詳細情報ミーティングを予約する公式サイト公式サイト

※上記は各社公式情報に基づく一般的な傾向です。実際の機能搭載の有無・料金については各社にご確認ください。

また、以下の記事では固定資産管理システムについて、選び方や機能などを詳細に解説しています。導入を検討される方は、ぜひこちらもご覧ください。

マネーフォワード クラウド固定資産(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド固定資産のウェブサイト

株式会社マネーフォワード(東証プライム上場)が提供するクラウド型の固定資産管理システムです。固定資産台帳の登録・管理、減価償却の自動計算、償却資産申告書(種類別明細書を含む)の出力、eLTAX電子申告向けデータの出力までを一元管理できます。

2027年4月施行の新リース会計基準への対応は、同社が2025年11月に提供開始した別製品「マネーフォワード クラウドリース会計」が担う設計です。リース取引の自動判定・使用権資産およびリース負債の自動計算・会計仕訳の作成機能を備えており、クラウド固定資産と連携して運用できます。借手が所有権移転ファイナンスリースを保有している場合は、クラウド固定資産の台帳にリース区分を登録し、償却資産申告書へ正確に反映する運用が可能です。

Galileopt DX 固定資産・リース管理(株式会社ミロク情報サービス)

Galileopt DX 固定資産・リース管理 公式サイト

株式会社ミロク情報サービス(東証プライム上場)が提供する中堅企業向けERP「Galileopt DX」の固定資産・リース管理モジュールです。ファイナンスリース・オペレーティングリースの両対応を公式に明示しており、リース期間定額法による償却費計算、リース解約・再リースの管理、リース物件の減損対応など、専門性の高いリース管理機能を備えています。

1資産あたり複数の簿価・償却方法を並行管理できる設計のため、日本基準とIFRSの並行管理を要する上場企業にも適しています。制度改正への対応版は施行日の前月までにリリースする方針が公式に明示されており、新リース会計基準への対応アップデートも踏まえた運用が可能です。メインターゲットは年商50億〜500億円規模の中堅企業です。

ProPlus 固定資産システム(株式会社プロシップ)

ProPlus 固定資産システム 公式サイト

株式会社プロシップ(東証プライム上場)が1994年から提供している、固定資産管理専門のシステムです。「ProPlus Fixed Assets Suite」としてリース資産管理システムを独立モジュールで提供しており、IFRS第16号(新リース会計基準に対応した国際会計基準)への対応を標準機能として明示しています。

最大6帳簿(財務会計・税務・IFRS等)の同時管理が可能で、IFRSを早期適用している上場企業を主要顧客としています。所有権移転ファイナンスリースを含む複合的なリース管理要件にも対応できる設計で、東証プライム上場企業を中心とした大企業の固定資産・リース管理に採用例があります。

まとめ

リース資産にかかる償却資産税の納税義務者は、リース取引の種類によって明確に異なります。所有権移転ファイナンスリースでは、法的所有権が実質的に借手に帰属するとみなされるため、借手が申告義務者となります。一方、所有権移転外ファイナンスリースおよびオペレーティングリースでは、法的所有権が契約期間を通じてリース会社側に残るため、申告義務はリース会社が負います。

2027年4月に強制適用となる新リース会計基準では、借手のすべてのリースをオンバランス化することが求められます。ただし、これは企業会計上の処理を変更する基準改正であり、地方税法上の納税義務者の判定は「法的所有権の帰属先」という原則のもとで変わりません。新基準対応を進める際にも、会計上の使用権資産計上と税務上の申告義務者判定は分けて管理することが重要です。

リース資産の区分管理や申告作業の自動化を実現するには、リース管理機能・償却資産申告書出力・eLTAX対応を備えた固定資産管理システムの活用が有効です。自社が保有するリース取引の種類と規模に合わせ、資料請求や導入相談を通じて最適なシステムの選定を進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 所有権移転外ファイナンスリース資産は、借手側で償却資産税を申告する必要がありますか?

A. 申告は不要です。所有権移転外ファイナンスリースでは、法的所有権がリース会社(賃貸人)に帰属し続けるため、地方税法第343条・第383条に基づく申告義務もリース会社が負います。借手側は申告書を提出する必要はなく、申告漏れに問われることもありません。ただし、所有権移転ファイナンスリースに該当する場合は借手が申告義務を負うため、各リース契約の区分確認が欠かせません。

Q. オペレーティングリースと所有権移転外ファイナンスリースで、償却資産税の扱いに違いはありますか?

A. どちらもリース会社(賃貸人)が申告義務者となる点は同じです。ただし会計処理上は違いがあります。所有権移転外ファイナンスリースは現行の企業会計基準ですでに資産計上が求められていますが、オペレーティングリースは2027年4月施行の新リース会計基準で初めてオンバランス化が必要になります。会計処理が変わっても、地方税法上の申告義務者が変わるわけではありません。

Q. 新リース会計基準(2027年4月施行)で使用権資産を計上すると、借手に償却資産税の申告義務が生じますか?

A. 申告義務は生じません。新リース会計基準は企業会計上の処理(貸借対照表への計上方法)を変える改正であり、リース物件の法的所有権の帰属を変えるものではありません。地方税法上の「所有者」は法律上の所有権者を指すため、所有権移転外ファイナンスリースおよびオペレーティングリースの借手は、新基準導入後も申告義務を負いません。

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