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本人確認の代行(BPO)とは?依頼できる会社・サービスと代行範囲・料金・委託の可否を解説

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オンラインでの口座開設や会員登録、契約を始めると、法令上どうしても本人確認(犯罪収益移転防止法にもとづく取引時確認やeKYC)が必要になります。ところが、確認作業を担う人員や仕組みが社内にないまま運用を始めると、書類の目視チェックや不備対応、郵送手続きが回らなくなるケースは少なくありません。

そこで検討されるのが、本人確認の業務そのものを外部に代行してもらう選択肢です。代行には、確認・審査の運用ごと丸ごと委託する形と、自社で使うeKYCシステムだけを導入する形の2つがあり、依頼できる会社もそれぞれ異なります。

この記事では、本人確認を代行できる主なサービスと各社の代行範囲、料金・課金体系の見方、そして「本人確認を外部に委託して法的に問題ないのか」という論点までを整理します。自社に合う依頼先を絞り込むための判断材料としてご活用ください。

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本人確認は外部に代行(委託)できる|代行の型は2つ

結論から示すと、本人確認の業務は外部の事業者に代行(委託)できます。金融機関などの本人確認義務を負う事業者が、確認作業を自社ですべて抱える必要はありません。ただし、後述するとおり確認義務と最終的な責任は委託した事業者に残るため、「丸投げすれば責任も移る」わけではない点は先に押さえておく必要があります。

代行の形は、大きく2つに分かれます。ひとつは、書類の目視確認・不備対応・審査・郵送といった人手の運用まで含めて丸ごと委託する「BPO丸投げ型」。もうひとつは、自社の画面やアプリに組み込んで使うeKYC(オンライン本人確認)のシステムを導入する「eKYCツール型」です。

どちらを選ぶかで依頼先も費用の考え方も変わります。この記事ではまず依頼先の一覧を示し、続いて2つの型の違い・料金・法的な位置づけを順に解説します。

本人確認の前提となるeKYC(オンライン本人確認)そのものの仕組みや、書類撮影・ICチップ読み取り・公的個人認証(JPKI)といった確認方式の違いを基礎から押さえておきたい場合は、以下の記事で整理しています。

本人確認を代行できる会社・サービス一覧【比較表】

以下は、本人確認を代行できる主なサービスの比較表です。代行の型(丸ごと委託か、システム導入か)、対応する確認方法、料金の考え方、対応業種を横並びで整理しました。自社が「運用ごと任せたい」のか「システムだけ使いたい」のかを起点に見比べてください。

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サービス比較ネクスウェイの本人確認ソリューションTRUSTDOCKDNPのオンライン本人確認(eKYC)イー・ガーディアン 本人確認代行サービスアディッシュ 本人確認サービスLIQUID eKYCGMO顔認証eKYCProTech ID Checker
代行の型BPO・ツール両対応BPO丸投げ型BPO・ツール両対応BPO丸投げ型BPO丸投げ型BPO・ツール両対応eKYCツール型eKYCツール型
対応する確認方法eKYC(公的個人認証・ICチップ読取)
書類の目視確認・後工程審査(BPO)
法人確認・転送不要郵便
eKYC(公的個人認証・ICチップ読取、APIで組込)
24時間365日の有人審査(目視)
法人確認(KYB)
eKYC(公的個人認証・ICチップ読取+容貌照合)
全国拠点での審査代行(24時間365日・目視のダブル審査)
対面窓口向けSDK・端末
eKYC(Liquid連携)+書類の目視確認・不備対応
反社チェック・取引モニタリング併用
24時間365日対応・多言語サポート
書類・登録情報の目視確認と審査判定(有人代行)
年齢確認・反社チェック
人材派遣型/運営代行型を選択可
eKYC(公的個人認証・ICチップ読取+容貌照合)
AI-OCR・顔認証・不正検知
目視審査を含むBPOプランも用意
eKYC(AI顔認証・書類確認、API提供)
反社チェック(BPO連携)・年齢判定
電子契約GMOサインとAPI連携
eKYC(ICチップ読取・撮影認証を切替)
AI自動審査・OCR(タグ設置型・開発不要)
BPOサービスも提供
料金の目安初期50,000円〜
月額25,000円〜(従量制)
要問い合わせ要問い合わせ要問い合わせ初月100,000円〜/月120,000円〜
(会員制向け価格例・要問い合わせ)
初期50,000円〜
月額30,000円〜(従量制)
初期費用なし
月額22,000円(税込)/50件〜
要問い合わせ
対応業種金融・不動産・リユース・シェアエコ 等行政・金融・古物/リユース・通信・不動産CF 等銀行・証券・保険・リユース・人材派遣・マッチング 等EC・フィンテック・マッチング・ゲーム・メディア 等フリマ・マッチング・オンライン決済 等(特定事業者も対応)金融・通信・古物買取・シェアエコ・暗号資産・マッチング 等金融・仮想通貨・古物商/リユース・不動産・マッチング 等金融・古物買取/販売・通信・不動産・シェアリング 等
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

※「BPO・ツール両対応」は、運用ごと委託するBPO型と、自社導入するeKYCツール型のどちらでも利用できるサービスを指します。上記は各社公式情報にもとづく整理です。犯罪収益移転防止法(犯収法)の取引時確認(口座開設など厳格な本人確認)が必要な場合は、「対応する確認方法」でeKYC方式(公的個人認証・ICチップ読取など)への対応を確認してください。最新の対応範囲・料金は各社情報をご確認ください。

本人確認を代行できる主なサービス(各社の代行範囲)

ここからは、各サービスが「どこまで代行するのか」を具体的に見ていきます。書類の目視確認だけを担うのか、eKYCシステムを提供するのか、審査や郵送まで運用ごと引き受けるのかは、サービスによって差があります。まずは運用まで委託できるサービスから、続いてeKYCツール型を中心とするサービスを紹介します。

1. ネクスウェイの本人確認ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

ネクスウェイの本人確認ソリューションの公式サイト

eKYCによるオンライン本人確認に、目視確認や後工程の審査を代行するBPO、そして書類の郵送(転送不要郵便)までを1つのサービスにまとめているのが、株式会社ネクスウェイの本人確認ソリューションです。システムだけでは完結しない人手の運用を含めて任せられるため、社内に確認体制を持たない事業者でも導入しやすい構成になっています。

本人確認書類の画像を担当スタッフが目視で確認する運用や、後工程の審査までをオプションで組み合わせられる点が特徴です。料金は初期費用50,000円から、月額25,000円からの従量課金制で公開されています(2026年6月時点の公式料金ページによる)。犯収法上の特定事業者での利用実績もあり、資料請求で料金表や事例をまとめて確認できます。

2. TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

TRUSTDOCKの公式サイト

デジタル本人確認を専門とする独立系のサービスがTRUSTDOCKです。株式会社TRUSTDOCKが提供し、個人の本人確認から法人確認(KYB)まで対応し、必要な確認だけをAPIで組み込める柔軟さを備えています。行政から金融、古物・リユース、通信、マッチングまで対応業種が広いことも特徴です。

システム提供にとどまらず、実際のチェック業務を24時間365日、専任スタッフが目視で対応するBPO体制を自社で持つ点が、丸ごと委託を検討する事業者にとっての強みです。料金はヒアリングにもとづく個別見積もり型で、公式に定価表は掲載されていません。まずは無料トライアルや問い合わせで自社の要件に合う運用を確認する流れになります。

3. DNPのオンライン本人確認(eKYC)サービス(大日本印刷株式会社)

DNPのオンライン本人確認サービスの公式サイト

大日本印刷株式会社(DNP)のオンライン本人確認サービスは、印刷事業で培った基盤をもとに認証分野へ展開したサービスです。本人確認SDKを軸に、アプリ・SDK・店頭端末といった複数の提供形態を用意し、犯収法にもとづく口座開設のような厳格なシーンから、非金融分野のライトな本人確認まで幅広く対応します。

システムを提供するだけでなく、DNPが全国のBPO拠点を活用して24時間365日体制で本人確認(審査)業務そのものを代行する点を公式に明示しています。100%子会社の株式会社DNPコアライズが、オペレーターによる目視のダブル審査(不一致時は第三者が最終判定)を専業メニューとして提供しています。

自社で審査体制を持たずに委託することも、SDKだけを組み込んで自社審査を維持することも選べる構成です。累計2,000万件以上のeKYC審査実績があり、りそな銀行・みずほ銀行・大和コネクト証券などの申込アプリに採用されています。

料金は初期費・運用固定費に加えて処理件数による従量費がかかる形で、金額は要問い合わせです。

4. 本人確認代行サービス(イー・ガーディアン株式会社)

イー・ガーディアンの本人確認代行サービスの公式サイト

オンライン決済やマッチングサービスの事業者向けに、本人確認業務をアウトソーシングで請け負うのが、イー・ガーディアン株式会社の本人確認代行サービスです。eKYCのシステムを活用しつつ、システムだけでは完結しない書類の目視確認や不備対応をオペレーターが担う、システムと人手を組み合わせたハイブリッド運用が特徴です。

本人確認と並行して反社チェックや取引モニタリングにも対応でき、24時間365日体制で案内メールや不備確認、カスタマーサポートを引き受けます。フィリピン拠点を活用した多言語対応や、ISMS(ISO/IEC 27001、登録番号IS 575950)の取得による情報管理体制も明示されています。料金は非公開で、見積もりは無料と案内されているため、まずは問い合わせで代行範囲と費用を確認する流れになります。

5. 本人確認サービス(アディッシュ株式会社)

アディッシュの本人確認サービスの公式サイト

アディッシュ株式会社の本人確認サービスは、インターネットモニタリング事業「MONI」の一メニューとして本人確認・年齢確認の有人代行を提供します。24時間365日体制で、収集した本人確認書類や登録情報を人手による目視でチェックし、適正・不適正を判定します。書類スキャンの照合ツールを渡すだけでなく、確認・審査という運用オペレーションそのものを委託できる点が特徴です。

提供形態は、自社に人員を派遣する形と、ISMSを取得した専用ルームで運営を代行する形の2つが案内されています。身分証確認・生年月日確認・住所確認・反社会的勢力チェックなどの確認項目に対応し、フリマ・マッチング・オンライン決済の事業者を主な対象としています。

公式サイトには価格の一例として、会員制サービス向けに初月100,000円から、月額120,000円から(月間1,000件・30分以内対応の場合)という数値が示されています。ただし正式な料金表ではなく、実際は業務範囲と件数に応じた個別見積もりです。

6. LIQUID eKYC(株式会社Liquid)

LIQUID eKYCの公式サイト

株式会社LiquidのLIQUID eKYCは、本人確認書類やICチップの読み取りと自撮り顔写真の照合をオンラインで完結させるeKYCサービスです。自社の画面やアプリに組み込んで使うツール型が基本で、JavaScriptライブラリの組み込みやAPI連携、SDK提供による実装に対応します。金融・通信・古物・マッチングなど幅広い業種で導入されています。

顔認証の自動判定精度や不正検知機能を強みとしつつ、目視審査を含むBPOプランも用意しているため、ツール導入と運用委託の両面から検討できます。料金はベーシックプランで初期費用50,000円・月額30,000円、従量課金は書類撮影のみ50円、書類と容貌撮影で150円(いずれも1件あたり)と公開されています(2026年6月時点の公式サイトによる)。

7. GMO顔認証eKYC(GMOグローバルサイン株式会社)

GMO顔認証eKYCの公式サイト

GMOグローバルサイン株式会社のGMO顔認証eKYCは、電子認証局として培ったノウハウを背景に提供されるオンライン本人確認サービスです。スマートフォンで撮影した容貌と本人確認書類をAIが自動判定し、結果を事業者に提供します。銀行・証券・保険のほか、古物商や不動産契約、マッチングサービスなどで利用されています。

初期費用がかからず、月額22,000円(税込)・50件からの従量課金で始められるため、少ない件数から任せてみたい事業者が導入しやすい料金体系です(2026年6月時点の公式サイトによる)。反社チェックは外部のBPOと連携して提供される仕組みで、本人確認とあわせた運用も検討できます。

8. ProTech ID Checker(株式会社ショーケース)

ProTech ID Checkerの公式サイト

対象ページにタグを設置するだけで導入でき、システム開発を伴わずに本人確認を組み込めるのが、株式会社ショーケースのProTech ID Checkerです。ユーザーは既存のWebサイト上で本人確認を完結でき、専用アプリのインストールや別サイトへの遷移が不要な実装が特徴です。

AIを活用して申込情報と本人確認書類の突合・承認を自動化し、目視による確認工数を削減します。公式には「AI自動審査とBPOサービス」を掲げており、目視工数の代行要素も持ちます。累計400社以上の導入実績があり、最短1週間で導入できると案内されています。料金は公式サイトに具体額の掲載がなく、要問い合わせです。

BPO丸投げ型とeKYCツール型の違い|自社に必要なのはどちらか

依頼先を絞り込むうえで最初に決めたいのが、「運用ごと委託するのか、システムだけ導入するのか」です。ここでは2つの型の違いを整理します。

1つのサービスで両方の型に対応する事業者もあります。型を決めたうえで候補が複数残る場合は、対応業種が自社に近いか、料金が公開されているか、24時間365日の審査体制があるかといった観点で二段目の絞り込みを行うと、依頼先を2〜3社まで絞りやすくなります。

本人確認代行の2つの型を比較した図解。eKYCツール型は撮影・顔写真の照合・ICチップ読み取りをAPIやSDKで自社サイトやアプリに組み込む形で、不備対応・目視確認・郵送などの人手の運用は自社に残る。BPO丸投げ型はeKYCシステムに加え書類の目視確認・不備対応・審査・郵送・問い合わせ対応まで外部に委託し、専任担当を置かずに本人確認を始められる。

eKYCツール型:自社で使う本人確認システムを導入する

eKYCツール型は、本人確認書類の撮影や顔写真の照合、ICチップの読み取りといった確認機能を、自社のWebサイトやアプリにAPIやSDKで組み込んで使う形です。少ない件数から従量課金で始めやすく、確認のスピードや不正検知の精度を自社のサービス体験に合わせて設計しやすいのが利点です。

ただし、ツールを導入しても本人確認業務が自動ですべて片付くわけではありません。撮影された書類が不鮮明だった場合の再取得の案内、システムが自動で判定しきれない書類の目視確認、確認が取れないユーザーへの対応、書類の郵送といった人手の運用は自社に残ります。想定する申込件数に対して、これらの運用を回せる体制が社内にあるかどうかが、ツール型を選ぶ際の分かれ目です。

BPO丸投げ型:確認・審査の運用ごと委託する

BPO丸投げ型は、eKYCのシステムに加えて、書類の目視確認・不備対応・審査・郵送・問い合わせ対応といった人手の運用まで含めて外部に委託する形です。社内に確認の専任担当を置かなくても本人確認を始められるため、立ち上げ直後で人員が薄い場合や、申込件数が繁忙期に大きく変動する場合に向いています。

24時間365日体制で審査を代行するサービスや、多言語での本人対応、反社チェックを並行して行う体制を持つサービスもあります。自社は確認基準(どこまでを本人確認済みとするかの業務設計)を握り、実際の確認・審査は委託先に任せるという分担になるため、「ツールだけでは運用が回らない」という課題を根本から解消しやすい選択肢です。

eKYCツール型を軸に検討する場合は、主要なeKYCサービスを本人確認方式・導入費用・不正対策の観点で比較し、失敗しない選び方まで解説した以下の記事もあわせてご覧ください。

本人確認代行の料金・課金体系の見方

本人確認代行の料金は、初期費用と、月額の基本料金、確認件数に応じた従量課金を組み合わせる形が一般的です。ここでは費用を見比べるときの観点を整理します。

eKYCツール型は、初期費用と月額基本料に加えて、1件あたりの確認単価が公開されているサービスが比較的多く、想定件数を当てはめれば月あたりの費用を見積もりやすい傾向にあります。撮影のみか、撮影と顔写真の照合まで行うかで1件あたりの単価が変わる場合もあるため、自社が必要とする確認方法に対応する単価を確認することが重要です。

公開されている料金を見ると、初期費用は0円〜5万円台、月額基本料は2万円台〜3万円台、確認1件あたりは数十円〜が一つの目安です。まずは公開料金のあるサービスで自社の想定件数を当てはめ、費用感の当たりをつけてから各社に問い合わせると、比較検討を進めやすくなります。

一方、運用まで委託するBPO丸投げ型は、代行する業務範囲や対応時間、確認項目によって費用が大きく変わるため、料金を公開せず個別見積もりとしているサービスが少なくありません。公開されている金額があっても、特定の件数・対応条件を前提とした「価格例」であることが多く、そのまま自社に当てはまるとは限らない点に注意が必要です。

費用を正確に把握するには、想定件数と依頼したい業務範囲を伝えたうえで見積もりを取り、初期費用・固定費・従量費の内訳を確認するのが確実です。

本人確認を外部に任せるとき、多くの担当者が気にするのが「そもそも委託して法的に問題ないのか」「確認義務は自社に残るのか」という点です。ここは根拠にあたって確認しておく必要があります。

本人確認業務は外部の代行会社に委託できるが、確認義務と最終的な責任は委託した特定事業者(自社)に残ることを示す関係図。特定事業者(自社)は法令上の本人確認義務を負い、本人確認業務を代行会社(受託者)に委託して書類の目視確認・不備対応・審査などを実施してもらえる。ただし確認を確実に行う責任と確認義務そのものは自社に残り、委託先の選定・管理も自社の責任であり、自社でeKYCツールを導入する場合も確認の実施主体と最終的な責任は自社に残る。

まず、オンラインでの口座開設や一定の取引に際して本人確認(取引時確認)を行う義務を負うのは、金融機関や暗号資産交換業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者などの「特定事業者」です。犯罪収益移転防止法(犯収法)第4条第1項が、特定事業者に対して顧客の本人特定事項などの確認を義務づけています。

そのうえで、本人確認業務を外部に委託できるかについては、金融庁が公表している「取引時確認等に関するQ&A」が明確に示しています。回答では、委託は可能である一方で、確認が的確に行われない場合には委託した特定事業者が監督上の措置の対象になるとされています。

従来から、本人特定事項の確認業務の委託については、あくまで、委託した特定事業者の責任において受託者により確実に行われるのであれば可能と考えられており、このことに変更はありません。

また、本人確認用画像情報の保存を受託者が行うことも認められますが、委託した特定事業者が、自社の営業所で保存している場合と同様に、必要に応じて直ちに確認記録を検索できる状態を確保しておく必要があります。

そして、当該措置が的確に行われない場合には、当該特定事業者が監督上の措置の対象となります。

出典:取引時確認等に関するQ&A(No.54)|金融庁

本人確認業務そのものは外部の代行会社に委託できますが、確認が確実に行われるようにする責任と、確認義務そのものは委託した事業者に残ります。「代行に任せれば責任も移る」わけではなく、委託先の選定と管理まで含めて自社の責任だと理解しておく必要があります。

犯収法第11条も、特定事業者に対して取引時確認などを的確に行うための体制整備(使用人への教育訓練、規程の作成、統括管理者の選任など)に努めることを求めています。

この考え方は、自社でeKYCツールを導入する場合も同じです。金融庁のQ&Aでは、第三者が開発したソフトウェアを使う場合でも、そのソフトウェアは特定事業者がその責任において提供しなければならず、問題があれば特定事業者が監督上の措置の対象になるとされています。ツールを導入しても、確認の実施主体と最終的な責任は自社に残るという点は変わりません。

2027年4月の犯収法改正で確認方法が変わる点にも注意

依頼先を選ぶときは、対応する本人確認方法が今後の制度改正に耐えるかも確認しておきたいところです。

2027年4月1日に施行される改正では、なりすまし等のリスクが高いとされる「顔写真と写真付き本人確認書類の画像を送信する方法」(現行のいわゆるホ方式)が廃止されます。代わりに、本人確認書類のICチップ読み取りや、マイナンバーカードの電子証明書を用いる公的個人認証(JPKI)といった、より厳格な方法へ移行します。

画像送信による確認を前提にしている場合は、改正後に見直しが必要になります。代行会社やeKYCサービスを選ぶ際は、ICチップ読み取りや公的個人認証への対応が進んでいるかを、対応方式の将来性としてあわせて確認しておくと安心です。

犯収法改正で本人確認の手続きが具体的にどう変わるのか、画像送信方式(ホ方式)の廃止や公的個人認証(JPKI)への移行の全体像を詳しく確認したい場合は、以下の記事で整理しています。

本人確認代行を依頼してから始まるまでの流れ・期間

実際に依頼する場合、問い合わせから利用開始までの流れは、型によって多少異なります。おおまかな進み方を押さえておくと、社内での検討スケジュールを立てやすくなります。

まず問い合わせや資料請求を行い、自社の業種・想定件数・必要な確認方法を伝えます。これを受けて、対応可能な方式や料金、代行できる業務範囲の提案・見積もりが提示されます。

eKYCツール型は、タグの設置やSDKの組み込みといった実装が中心で、要件がはっきりしていれば短期間で導入できるサービスもあります。タグ設置型のように最短1週間程度での導入を掲げるサービスもあり、システム開発の負担が小さいほど立ち上げは早くなります。

一方、運用まで委託するBPO丸投げ型は、確認基準の設計や業務フローのすり合わせが加わるため、その分の準備期間を見込んでおきます。社内で検討する際は、ツール型なら数週間、運用委託を含むBPO型ならより長めの準備期間を一つの目安にすると計画しやすくなります。

導入までにかかる期間はサービスや要件によって幅があります。既存のシステムとの連携が必要かどうか、確認基準をどこまで細かく設計するかによっても変わるため、検討の初期段階で「最短でいつから始められるか」を見積もりとあわせて確認しておくとよいでしょう。

本人確認代行の対応業種・活用シーン

本人確認の代行は、金融機関だけのものではありません。犯収法上の特定事業者は、金融機関や暗号資産交換業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者など幅広い業種に及び、それぞれの場面で本人確認が求められます。

具体的には、銀行・証券・保険などの口座開設や申込、暗号資産交換業やクラウドファンディングの登録、不動産取引、フリマ・マッチングサービスの利用者確認、通信や古物・リユースの取引など、オンラインで本人確認が必要になる場面は多岐にわたります。年齢確認や在留カードの確認、外国籍ユーザーへの多言語対応が必要な事業では、人手の運用まで委託できるかが依頼先選びのポイントになります。

自社の業種でどの確認方法が必要になるか、どこまでを代行に任せたいかを整理したうえで、対応業種や導入実績が近いサービスを候補に選ぶと、導入後のミスマッチを避けやすくなります。

まとめ

本人確認は外部に代行(委託)でき、その形は、確認・審査の運用ごと任せるBPO丸投げ型と、自社で使うシステムを導入するeKYCツール型の2つに分かれます。社内に確認体制がなく運用ごと任せたいならBPO丸投げ型、自社のサービス体験に合わせて確認機能を組み込みたいならeKYCツール型が起点になります。

ただし、どちらの形でも確認義務と最終的な責任は委託した事業者に残るため、委託先の代行範囲・料金・対応方式に加えて、2027年4月の改正で求められるICチップ読み取りや公的個人認証への対応まで含めて見比べることが大切です。気になるサービスの資料を取り寄せ、自社の業種・想定件数に照らして比較検討してください。

よくある質問(FAQ)

Q. 本人確認代行とは何ですか?

A. 本人確認代行とは、法令上必要になる本人確認(犯収法の取引時確認やeKYC)の業務を、外部の事業者に委託する仕組みです。書類の目視確認・不備対応・審査・郵送まで運用ごと任せる「BPO丸投げ型」と、自社の画面やアプリに組み込んで使うeKYCシステムを導入する「eKYCツール型」の2つに大きく分かれ、依頼できる会社もそれぞれ異なります。

Q. 本人確認は外部に委託して法的に問題ないですか?

A. 本人確認業務は、委託した特定事業者の責任のもとで受託者が確実に確認を行うのであれば、外部に委託して差し支えありません。本人確認(取引時確認)の義務を負うのは犯収法上の特定事業者ですが、その業務そのものを代行会社に任せることは禁じられておらず、金融庁の「取引時確認等に関するQ&A」も本人特定事項の確認業務の委託が可能である旨を明示しています。

Q. 本人確認を代行に任せると、確認義務も委託先に移りますか?

A. いいえ、代行に任せても、確認義務と最終的な責任は委託した特定事業者(自社)に残ります。犯収法は特定事業者に本人確認を的確に行うための体制整備を求めており、確認が的確に行われない場合は委託した特定事業者が監督上の措置の対象になります。「代行に任せれば責任も移る」わけではなく、委託先の選定と管理まで含めて自社の責任だと理解しておく必要があります。

Q. eKYCツールを導入すれば、本人確認業務はすべて自動化できますか?

A. いいえ、eKYCツールを導入しても、システムが自動で判定しきれない書類の目視確認や不備対応、確認が取れないユーザーへの対応、書類の郵送といった人手の運用は自社に残ります。想定する申込件数に対してこれらの運用を社内で回せる体制があるかが、ツール型を選ぶか、運用ごと委託するBPO丸投げ型を選ぶかの分かれ目になります。

Q. 本人確認代行のBPO丸投げ型とeKYCツール型は、どちらを選ぶべきですか?

A. 社内に確認・審査の体制がなく運用ごと任せたいならBPO丸投げ型、自社のサービス体験に合わせて確認機能を組み込みたいならeKYCツール型が起点になります。立ち上げ直後で人員が薄い場合や、繁閑で件数が大きく変動する場合はBPO丸投げ型が向き、確認のスピードや不正検知の精度を自社で設計したい場合はeKYCツール型が向きます。

まずは自社が「運用ごと任せたい」のか「システムだけ使いたい」のかを起点に依頼先を絞り込むのがおすすめです。

Q. 本人確認代行の料金の相場・課金体系はどうなっていますか?

A. 本人確認代行の料金は、初期費用・月額基本料・確認件数に応じた従量課金を組み合わせる形が一般的です。eKYCツール型は1件あたりの確認単価が公開されているサービスが多く想定件数から見積もりやすい一方、運用まで委託するBPO丸投げ型は業務範囲や対応時間・確認項目で費用が変わるため、料金を公開せず個別見積もりとしているサービスが少なくありません。

公開されている金額も特定の件数を前提とした「価格例」であることが多いため、正確な費用は想定件数と依頼したい業務範囲を伝えて見積もりを取り、初期費用・固定費・従量費の内訳を確認するのが確実です。

Q. 本人確認代行の導入にはどのくらいの期間がかかりますか?

A. 導入期間はサービスや要件によって幅がありますが、eKYCツール型はタグ設置やSDKの組み込みが中心で比較的短期間に導入できる一方、BPO丸投げ型は確認基準の設計や業務フローのすり合わせが加わる分の準備期間を見込む必要があります。

既存システムとの連携の要否や、確認基準をどこまで細かく設計するかによっても変わるため、検討の初期段階で「最短でいつから始められるか」を見積もりとあわせて確認しておくとよいでしょう。

Q. 本人確認代行は金融業以外の業種でも使えますか?

A. はい、本人確認代行は金融機関に限らず、EC・マッチング、不動産、通信、古物・リユース、人材・シェアリングなど幅広い業種で利用できます。犯収法上の特定事業者は金融機関や暗号資産交換業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者など多岐にわたり、それぞれの場面で本人確認が求められます。

年齢確認や外国籍ユーザーへの多言語対応が必要な事業では、人手の運用まで委託できるかが依頼先選びのポイントになります。

Q. 2027年の犯収法改正で本人確認の方法は何が変わりますか?

A. 2027年4月1日に施行される改正で、なりすまし等のリスクが高いとされる「顔写真と写真付き本人確認書類の画像を送信する方法」が廃止されます。代わりに、本人確認書類のICチップ読み取りや、マイナンバーカードの電子証明書を用いる公的個人認証(JPKI)といった、より厳格な方法へ移行します。

画像送信による確認を前提にしている場合は改正後に見直しが必要になるため、代行会社やeKYCサービスを選ぶ際は、ICチップ読み取り・公的個人認証への対応が進んでいるかを対応方式の将来性としてあわせて確認しておくと安心です。

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