決済代行会社との契約書や、3Dセキュアの案内資料を読んでいて「ライアビリティシフト」という言葉に行き当たり、正確な意味が取れずに手が止まっていませんか。カタカナで長く、なんとなく「責任が移る」ことらしいと察しはついても、誰の責任が・誰に・どの場面で移るのかまでは自信が持てない言葉です。
ライアビリティシフトとは、不正利用によるチャージバックの損失を負う責任が、加盟店(EC事業者)からカード発行会社(イシュアー)へ移ることを指します。EC(非対面)取引では、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証が成立していることが、この責任移転の条件になります。
本記事では、この定義を起点に、責任が移る条件(3Dセキュアのあり・なし)、移る責任と移らない責任の線引き、対面のIC決済で使われる同名の仕組みとの違い、そして自社で3Dセキュアを導入するための決済代行の選び方までを整理します。
目次
ライアビリティシフトとは(誰の責任が・誰に・何の場面で移るか)
ライアビリティシフト(liability shift)とは、不正利用(なりすまし)によるチャージバックの損失を負担する責任が、加盟店からカード発行会社(イシュアー)へ移ることをいいます。「ライアビリティ(liability)」は賠償責任・債務、「シフト(shift)」は移転を意味し、直訳すると「責任の移転」です。
前提として、チャージバックとは、第三者による不正利用や、商品が届かないといった理由でカード利用者が支払いに同意しない場合に、カード会社が売上を取り消して利用者に返金する仕組みを指します。この返金分を最終的に誰が負担するのか、という点が実務上の焦点になります。
通常、EC(非対面・カード非提示)取引で不正利用によるチャージバックが起きると、その損失は加盟店(EC事業者)が負担します。ここで加盟店が3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証を導入し、認証が成立していれば、不正利用に関するチャージバックの負担がカード発行会社側へ移ります。
これがEC取引におけるライアビリティシフトです。カードネットワークは、この責任移転をEMV 3-Dセキュア導入の便益として位置づけています。

カードブランドの規定でも同様に整理されています。Visaは、本人認証(Visa Secure)に成功した取引について、加盟店が特定の不正関連ディスピュート(係争)から保護されると定めています。責任移転の具体的な運用ルールはカードブランドや地域ごとに異なるため、詳細は各ブランドの規定と加盟店契約で確認する必要があります。
まず、この責任移転が発動する条件から確認します。
出典・参考資料(2件)
ライアビリティシフトが発動する条件(3Dセキュアあり/なしの責任対比)
ここからは、EC取引でライアビリティシフトが発動する条件を確認します。結論として、責任が移るかどうかは3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)を導入し、本人認証が成立しているかで分かれます。
3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)とは、EC決済時にカード会員が本人であることを確認する本人認証の仕組みです。EMV 3-Dセキュアは3Dセキュア2.0とも呼ばれ、取引情報からリスクを判定し、リスクが高い取引のみ追加認証を求める方式を採ります。
この認証が成立した取引で不正利用が起きた場合に、損失の負担がカード発行会社側へ移ります。逆に3Dセキュアを導入していない場合、不正利用によるチャージバックの損失は加盟店が自己負担することになります。
ここでいう本人認証の「成立」には、追加認証(パスワード等の入力)を通過した場合だけでなく、リスクが低いと判定されて追加認証が省かれた場合も含まれます(後述のリスクベース認証)。反対に、3Dセキュアを導入していても、利用者が認証を完了しなかったなど本人認証が成立しなかった取引は、責任移転の対象になりません。
3Dセキュアの「あり・なし」で、不正利用が起きたときに誰が損失を負うかを対比すると、次のとおりです。
| 3Dセキュアあり(本人認証が成立) | 3Dセキュアなし(未導入) | |
|---|---|---|
| 損失を負担するのは | カード発行会社(イシュアー) | 加盟店(EC事業者) |
| 加盟店の売上損失リスク | 抑えられる(原則チャージバックの対象外) | 自己負担として残る |
※責任移転の適用ルールはカードブランド・地域により異なります。詳細は各ブランドの規定と加盟店契約をご確認ください。
3Dセキュアそのものの仕組みや、旧方式(3Dセキュア1.0)との違い、導入後にカゴ落ちを招かないための運用まで、認証の中身から知りたい場合は、次の記事で具体的に解説しています。
EMV 3-Dセキュアとは?3Dセキュア1.0との違い・仕組み|導入後にカゴ落ちを防ぐ運用
社内資料や決済代行会社からの案内で「EMV 3-Dセキュア」という言葉を目にする機会が増えたものの、これが結局のところ何を指すのか、腑に落ちないまま対応を進めていないでしょうか。 EMV 3-Dセキュアは、オンラインのクレジットカード決済で…
移る責任・移らない責任の線引き(不正利用は移る/未着・品違いは対象外)
ライアビリティシフトを理解するうえで誤解しやすいのが、「3Dセキュアを入れれば、あらゆるチャージバックの責任から解放される」という受け止め方です。実際に移るのは、あくまで不正利用(なりすまし)に関するチャージバックの責任だけです。
チャージバックには複数の発生理由があり、カードブランドの規定でも区分が分かれています。Visaはディスピュート(係争)を、不正(Fraud)・オーソリゼーション(Authorization)・処理エラー(Processing Errors)・消費者との係争(Consumer Disputes)の4区分に整理しています。
ライアビリティシフトが関わるのは、このうち「Fraud(不正)」の区分です。商品が届かない(未着)、届いた商品が説明と違う・不良品といった理由は「Consumer Disputes(消費者との係争)」に分類され、責任移転の対象にはなりません。
発生理由ごとに、ライアビリティシフトの対象になるかどうかを整理すると次のとおりです。
| 第三者によるなりすまし(不正利用) | 商品が届かない(未着) | 商品が説明と違う・不良品 | |
|---|---|---|---|
| ライアビリティシフトの対象 | 対象(責任がカード発行会社へ移る) | 対象外(加盟店側での対応が必要) | 対象外(加盟店側での対応が必要) |
| Visaのディスピュート区分 | Fraud(不正・10.x) | Consumer Disputes(13.1) | Consumer Disputes(13.3) |
※区分名・Condition番号はVisaのディスピュート区分にもとづく一例です。詳細な適用は各ブランドの規定によります。
自社のケースが対象かどうかを判断するときは、まず「そのチャージバックが第三者による不正利用(なりすまし)に起因するものか」を確認しましょう。不正利用が原因で、かつ3Dセキュアの認証が成立していれば、責任移転の対象になり得ます。一方、商品の未着や品違いといった取引内容そのものへの申し立ては、3Dセキュアの有無にかかわらず加盟店側での対応が求められます。
出典・参考資料(2件)
対面EMVとEC(3Dセキュア)— 2つのライアビリティシフトを切り分ける
「ライアビリティシフト」という言葉は、EC(非対面)取引の3Dセキュアの文脈だけでなく、店頭での対面カード決済(IC・EMV)の文脈でも使われます。2つは別の場面を指すため、最初に切り分けておくと混乱を避けられます。
もともと「EMVライアビリティシフト」という考え方は、対面のIC(EMV)決済への移行を促すために国際ブランドが導入した仕組みが起源です。偽造(カウンターフィット)カードによる不正の負担を、ICに対応していない当事者(IC非対応の決済端末を使う加盟店側)に負わせることで、IC対応を後押しする狙いがありました。
米国の主要な決済ネットワークでは、この対面(POS)のライアビリティシフトが2015年10月に発効しています。Visaの規定でも、対面の責任移転は「EMV Liability Shift Counterfeit Fraud(Condition 10.1)」「EMV Liability Shift Non-Counterfeit Fraud(Condition 10.2)」として区分されています。
ここで注意したいのは、この「2015年10月」は米国の対面(POS)取引についての発効日であり、日本の対面決済に同じ日付が適用されるわけではない点です。日本では、対面のIC対応は割賦販売法(かっぷはんばいほう)の改正(2018年6月施行)と、クレジット取引セキュリティ対策協議会の「実行計画」による決済端末のIC化(2020年3月末までに100%を目標)という枠組みで進められてきました。
対面決済の安全対策は、この国内の制度にもとづいて整理するのが正確です。
一方、本記事で主に扱っているEC(非対面)取引のライアビリティシフトは、この対面EMVとは別に、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証を条件として成立するものです。「カード端末をIC対応にする話」と「ECサイトに3Dセキュアを入れる話」は、同じ言葉で語られても対象が異なります。自社がEC事業者であれば、関係するのは後者(3Dセキュア)の文脈です。
出典・参考資料(4件)
具体例と注意点で見るライアビリティシフト(不正利用時に誰が損失を負うか)
ここまでの定義・条件・線引きを、実際の取引に当てはめて確認します。以下の金額はいずれも仕組みを理解するための例示です。
3Dセキュアあり/なしの基本ケース
あるECサイトで、第三者が盗んだカード情報を使って5万円の商品を購入し、後日カード会員から「身に覚えがない」と申し立てがあったとします。この不正利用にともなうチャージバックの負担は、3Dセキュアの有無で次のように分かれます。
3Dセキュアを導入し、本人認証が成立していた場合、この5万円の損失負担はカード発行会社側へ移ります。加盟店は商品と代金を失うリスクを抑えられます。一方、3Dセキュアを導入していなかった場合、同じ5万円の損失は加盟店の自己負担として残ります。売上が取り消されたうえに、すでに発送した商品も戻らないという二重の損失になり得ます。
リスクベース認証(フリクションレス)で認証が省かれた場合の注意
EMV 3-Dセキュアは、取引ごとにリスクを判定し、リスクが低いと判定された取引ではパスワード入力などの追加認証を求めずに決済を完了させます。この方式はリスクベース認証と呼ばれ、追加認証のない流れはフリクションレスフローと呼ばれます。ここで「認証画面が出なかったから責任は移らないのでは」と誤解しやすいため、注意が必要です。
経済産業省のガイドラインでは、リスクベース認証のうち低リスクと判定されたフリクションレスフローについて「パスワード等の入力なしに認証が完結する」と説明されています。この説明のとおり、追加認証が省かれても、それは認証が完結した取引として扱われる場合があります。
したがって「認証チャレンジが表示されなかった=必ず自己負担」でも「必ず責任が移る」でもなく、実際の扱いはカードブランドや地域のプログラム規則によって変わります。自社の取引でどう扱われるかは、決済代行会社やカードブランドの規定で確認するのが確実です。
出典・参考資料(2件)
3Dセキュア導入の義務化とライアビリティシフトの関係
ライアビリティシフトは、EC事業者にとって「不正利用の損失を抑えられる便益」であると同時に、3Dセキュア導入が制度上求められている背景ともつながっています。ここでは、その関係を整理します。
クレジットカード取引に関わる事業者が実施すべきセキュリティ対策は、経済産業省が主導するクレジット取引セキュリティ対策協議会の「クレジットカード・セキュリティガイドライン」で定められています。このガイドラインでは、EC加盟店に対してカード決済時の対策としてEMV 3-Dセキュアの導入を求めています。現行の【6.0版】(2025年3月)は、次のように定めています。
本ガイドライン【6.0版】では、EC加盟店の指針対策は「線の考え方」を基本として、従前の「オーソリゼーション処理の体制整備」「加盟店契約上の善良なる管理者の注意義務の履行」に加え、カード決済前の対策として「適切な不正ログイン対策の実施」、カード決済時の対策として「EMV 3-Dセキュアの導入」を求めることとしている。
出典:クレジットカード・セキュリティガイドライン【6.0版】|クレジット取引セキュリティ対策協議会(日本クレジット協会)
導入の期限については、その前身にあたる【5.0版】で「2025年3月末までに、原則すべてのEC加盟店にEMV 3-Dセキュアの導入が求められる」と示されていました。この期限を経て、現在は原則としてすべてのEC加盟店にEMV 3-Dセキュアの導入が求められる状態になっています。
まだ導入していない場合は、契約している決済代行会社やアクワイアラー(加盟店契約会社)に、自社の対応状況と必要な手続きを確認するとよいでしょう。ライアビリティシフトは、この求められる対策を導入したEC加盟店が得られる効果でもあり、導入を後押しする位置づけになっています。
出典・参考資料(2件)
ライアビリティシフトに対応するには(3Dセキュア対応の決済代行を選ぶ)
ライアビリティシフトの効果を得るには、EC決済に3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)を導入する必要があります。自社でゼロから本人認証の仕組みを構築するのは負担が大きいため、実務では3Dセキュアに対応した決済代行サービスを利用するのが一般的です。ここでは、選定の観点と、EMV 3-Dセキュアに標準対応した決済代行を紹介します。
3Dセキュア対応の決済代行を選ぶポイント
決済代行を選ぶ際は、まずEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)に対応しているか、追加費用の有無はどうかを確認することが基本です。対応が標準機能か有償オプションかでコストが変わるため、料金体系とあわせて見ておくと安全です。あわせて、カード情報を安全に扱うための国際基準であるPCI DSSへの準拠状況も確認しておくと、セキュリティ面の判断材料になります。
次に、自社のビジネスモデルに合った決済手段や課金方式に対応しているかも確認しておきましょう。都度の単発決済か、継続課金(サブスクリプション)か、請求書ベースの決済かによって、必要な機能は変わります。導入のしやすさ(開発の要否)や、導入時から運用までのサポート体制も、実務では見落とせない観点です。
以下は、EMV 3-Dセキュアに標準対応(追加費用なし)した決済代行の比較です。都度決済・継続課金・請求書決済など、自社の決済スタイルに合う対応範囲もあわせて確認してください。
| サービス名 | サブスクペイ | Paysys(ペイシス) |
|---|---|---|
| 提供会社 | 株式会社ROBOT PAYMENT | 株式会社ペイメントフォー |
| EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0) | ●標準対応・追加費用なし | ●標準対応・追加費用なし |
| PCI DSS準拠 | ● | ● |
| 主な決済手段 | クレジットカード/口座振替/コンビニ/銀行振込(バーチャル口座)/掛け払い ほか | クレジットカード5ブランド/PayPay/コンビニ/ペイジー/バーチャル口座 ほか |
| 継続課金(サブスク決済) | ●自動継続課金に特化 | ●クレカ・WEB口座振替に対応 |
| 初期費用 | 要問い合わせ | 0円〜(BtoB限定プラン。BtoCは個別見積) |
| 月額費用 | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 決済手数料 | クレジットカード2.5%〜(+トランザクション7円/件) | 〜1.99%(BtoB限定プラン。BtoCは個別見積) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る |
※料金・手数料・対応状況は各社公式サイトおよびカタログ掲載情報にもとづく2026年6月時点の内容です。最新の条件は各社の資料・お問い合わせでご確認ください。
サブスクペイ(株式会社ROBOT PAYMENT)

サブスクリプション・継続課金ビジネスに特化した決済サービスが、株式会社ROBOT PAYMENTの「サブスクペイ」です。自動継続課金の仕組みを中心に、クレジットカード決済をはじめとする複数の決済手段と、顧客・契約・請求の管理を一元的に扱えます。運営会社は東京証券取引所グロース市場に上場しており(証券コード4374)、累計導入企業は14,000社以上と公式サイトに記載されています。
EMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)に標準機能として追加料金なしで対応している点が特徴です。リスクベース認証を活用し、不正に入手されたカード情報によるなりすまし利用のリスク低減が期待できると公式に説明されています。カード情報を扱う国際セキュリティ基準であるPCI DSSにも準拠しています。
継続課金では、決済失敗時の自動リトライやカード有効期限切れ前の更新URL自動送付など、回収漏れを抑える機能もそなえています。
Paysys(ペイシス)(株式会社ペイメントフォー)

株式会社ペイメントフォーが提供する「Paysys(ペイシス)」は、システム開発をせずにオンライン決済を導入できるサービスです。管理画面から請求URLを作成し、メールやSMS、SNSで取引先へ案内できるため、専門知識がなくても始められます。導入方式は、開発不要のメールリンクタイプ・フォームタイプに加え、自社システムと連携するAPI連携も選べ、事業の成長段階に応じて使い分けられます。
EMV 3-Dセキュアに追加費用なしの標準機能として対応しているほか、PCI DSS準拠、ISMS認証、プライバシーマークといったセキュリティ体制を整えています。規模を問わず専任担当による有人サポートを付ける運用も特徴で、導入前の提案から設定・運用までを継続して支援します。B2B向けの料金プランも用意されており、請求業務の効率化を求める事業者にも適しています。
選定の観点として先に触れた「導入のしやすさ(開発の要否)」に関して、開発を前提とする従来の決済導入がどのような負担になっていたのか、提供元は現場で見られた課題を次のように述べています。

もともと当社は決済システムのみを販売する決済代行会社でした。お客様に導入いただく際は、お客様側でサイトやシステムをご用意いただき、開発をしていただいたうえでご利用いただくという流れでした。ただ、そうなると開発コストが数百万円かかったり、システム担当者がいない会社では人を雇わなければいけなかったり、外注しなければいけなかったりと、結局「こんなにコストや手間かかるなら導入できない」というケースが多くありました。そういった方々にも決済サービスをご利用いただきたいという思いから、誰でも簡単に導入できる決済サービスとしてPaysysを開発しました。
ここで触れた3Dセキュア対応の決済サービスも含め、実店舗・EC・サブスクといった提供形態ごとにオンライン決済システムを比較検討したい場合は、次の記事で選び方から詳しく整理しています。導入を具体的に進める段階でご活用ください。
オンライン決済システムおすすめ36選を徹底比較|実店舗・EC・サブスク別の選び方
ECサイトやWebサービスの決済手段が少なく、購入直前の離脱(カゴ落ち)に悩んでいませんか。クレジットカードに加えてコンビニ払いやQRコード決済、後払いまで顧客の希望に応えようとすると、決済会社ごとの個別契約や入金管理の手間が膨らみ、決済手…
まとめ
ライアビリティシフトとは、不正利用によるチャージバックの損失を負う責任が、加盟店(EC事業者)からカード発行会社(イシュアー)へ移る仕組みです。EC取引では、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証が成立していることが、その発動条件になります。
移るのは不正利用(なりすまし)に関するチャージバックの責任であり、商品の未着や品違いといった不正利用以外の申し立ては対象外です。また、店頭の対面EMVで使われる同名の仕組みとは、対象とする場面が異なる点にも注意が必要です。3Dセキュアの導入はガイドライン上も求められており、その効果としてライアビリティシフトが位置づけられています。
自社のECで不正利用の損失を抑えたい場合は、EMV 3-Dセキュアに対応した決済代行の導入・切り替えを検討してください。
よくある質問(FAQ)
Q. ライアビリティシフトとは何ですか?
A. ライアビリティシフトとは、EC(非対面)取引で不正利用(なりすまし)によるチャージバックの損失を負担する責任が、加盟店(EC事業者)からカード発行会社(イシュアー)へ移ることです。「責任(liability)の移転(shift)」を意味し、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証が成立している取引で不正利用が起きた場合に適用されます。
ただし、実際の運用ルールはカードブランドや地域ごとに異なります。
出典・参考資料(2件)
Q. ライアビリティシフトはどのような場合に発生しますか?
A. EC取引でライアビリティシフトが発生するのは、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)を導入し、本人認証が成立している取引で不正利用によるチャージバックが起きた場合です。認証が成立していれば、その不正利用分の損失負担がカード発行会社側へ移ります。逆に、3Dセキュアを導入していない取引や認証が成立していない取引では、この責任移転は発生しません。
Q. 3Dセキュアを導入していないと、不正利用の損失は誰が負担しますか?
A. 3Dセキュアを導入していない場合、EC取引での不正利用によるチャージバックの損失は、加盟店(EC事業者)が自己負担します。売上が取り消されたうえに発送済みの商品も戻らず、代金と商品の両方を失うことになりかねません。ライアビリティシフトによる保護を受けられるのは、3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)の本人認証が成立した取引に限られます。
Q. 3Dセキュアを導入すれば、すべてのチャージバックの責任が移りますか?
A. いいえ。責任が移るのは不正利用(なりすまし)に関するチャージバックだけで、商品未着や品違い・不良品といった申し立ては対象外です。カードブランドの区分でも、ライアビリティシフトが関わるのは「Fraud(不正)」であり、商品未着や品違いは「Consumer Disputes(消費者との係争)」として別に扱われます。これらは3Dセキュアの有無にかかわらず、加盟店側での対応が必要です。
Q. 認証画面が表示されないフリクションレス取引でも、ライアビリティシフトは適用されますか?
A. フリクションレス取引(追加認証が省かれた低リスク取引)でも、通常は認証が成立した取引として扱われ、ライアビリティシフトの対象になり得ます。EMV 3-Dセキュアはリスクベース認証で低リスクと判定した取引の追加認証を省きますが、経済産業省のガイドラインはこれを「パスワード等の入力なしに認証が完結する」ものと位置づけています。
したがって「認証画面が出なかったから責任は移らない」とは限りません。ただし、最終的な扱いはカードブランドや地域のプログラム規則によるため、自社の取引での扱いは決済代行会社やカードブランドの規定で確認してください。
出典・参考資料(2件)
Q. 対面(店頭)決済のライアビリティシフトと、EC取引のライアビリティシフトは同じものですか?
A. いいえ、両者は別の場面を指します。対面決済のライアビリティシフトは店頭のIC(EMV)カード対応をめぐる仕組みで、EC取引のライアビリティシフトは3Dセキュア(EMV 3-Dセキュア)による本人認証を条件とするものです。
対面のEMVライアビリティシフトは、米国では2015年10月にPOS(店頭)取引で発効した偽造カード対策が起源です。日本の対面IC化は割賦販売法や「実行計画」にもとづく別の枠組みで進められており、EC事業者が自社で関わるのは3Dセキュアの文脈です。
出典・参考資料(2件)
Q. EC事業者に3Dセキュアの導入は義務付けられていますか?
A. 経済産業省が主導するクレジット取引セキュリティ対策協議会のガイドラインが、EC加盟店にEMV 3-Dセキュアの導入を原則として求めています。前身の【5.0版】で「2025年3月末までに原則すべてのEC加盟店に導入」という期限が示され、現行の【6.0版】(2025年3月)でもカード決済時の対策としてEMV 3-Dセキュアの導入を求めています。
ライアビリティシフトは、この求められる対策を導入したEC加盟店が得られる効果として位置づけられています。
出典・参考資料(2件)
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