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クラウドファンディングのeKYC|不動産・株式投資型・融資型で満たすべき本人確認要件とサービス比較

クラウドファンディングのeKYCのサムネイル画像

クラウドファンディングの投資家登録に、スマホで完結するオンライン本人確認(eKYC)を組み込みたい。設計を詰める段になると、必ず突き当たるのが「自社の業種では、法律上どこまでeKYCで本人確認義務を満たせるのか」という問いです。

不動産クラウドファンディング(不動産特定共同事業)も、株式投資型・融資型のクラウドファンディング(金融商品取引業)も、犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)にもとづく本人確認義務を負います。加えて、業を営むための金融商品取引法・不動産特定共同事業法の規制もかかります。

本記事では、クラウドファンディングに導入できる主要なeKYCサービスを比較したうえで、業種ごとの法令要件、犯収法が認める本人確認方式と2027年4月の改正、選び方・費用・導入の流れ、そして実際の導入事例までを整理します。

読み終えたとき、自社の業種で使える本人確認方式を確定し、候補となるeKYCサービスを絞り込んで資料請求・問い合わせに進める状態を目指します。まずは、選択肢となる製品を並べて見ていきましょう。

KYC・eKYCサービスの関連サービス資料
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本セクションにはプロモーションが含まれており、表示順は当社独自の基準や提携状況に基づいています。

クラウドファンディングに導入できる実在eKYCサービスの比較

クラウドファンディングの投資家登録で使われるeKYCサービスのうち、金融・クラウドファンディング領域での導入・対応実績を持つ主要な3サービスに絞って比較します。eKYC全体を俯瞰したい場合は、eKYCサービスの比較記事もあわせてご覧ください。

対応する本人確認方式、公的個人認証(JPKI)への対応、有人での目視審査の有無、料金、実装形態を並べました。表中の「ホ・ヘ・ト・カ」などの記号は犯収法が定める本人確認方式で、意味は後半の法令解説で説明します。「ホ方式」は2027年4月に廃止される点に留意してください。各サービス名から、記事後半の個別紹介に移動できます。

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サービス名ネクスウェイの本人確認(eKYC)TRUSTDOCKLIQUID eKYC
対応する主な確認方式ホ・ヘ・カ(JPKI)方式
SMS認証・転送不要郵便
ホ・ヘ・ト方式ほか
公的個人認証(カ)
ヘ・カ(JPKI)・ル方式
公的個人認証(JPKI)
有人審査・目視代行(BPO)目視・後工程を代行24時間365日 自社運用審査管理ツールを提供(有人代行は要確認)
初期費用50,000円〜要問い合わせ50,000円〜
月額費用25,000円〜
(従量課金制)
要問い合わせ
(個別見積り型)
30,000円〜
従量50〜150円/件
実装形態アプリ提供
API・ライブラリ組み込み
API連携
JavaScript(アップローダー)
JavaScript埋め込み
API・SDK(アプリ)
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト

業種別(不動産型・株式投資型・融資型)の根拠法と本人確認方式の対応表

クラウドファンディングは類型によって事業者区分の根拠法が異なりますが、投資家の本人確認そのもののルールは共通しています。オンライン本人確認(eKYC)で満たせる確認方法を定めているのは、いずれの類型でも犯収法の施行規則だからです。

業種別の根拠法と本人確認方式の役割分担を示す図。不動産型は不動産特定共同事業者(不特法)、株式投資型は第一種少額電子募集取扱業者(金商法)、融資型・ファンド型は第二種少額電子募集取扱業者(金商法)と事業者区分の根拠法(業規制)は類型ごとに異なるが、3類型とも犯収法上の特定事業者にあたり、本人確認(eKYC)の方式は犯罪収益移転防止法施行規則第6条が業種共通で定めることを示す。

金融商品取引法(以下、金商法)や不動産特定共同事業法(以下、不特法)は、その事業者を犯収法上の「特定事業者」に位置づける業規制であり、本人確認の方式そのものを定める法律ではありません。この役割分担を整理したのが次の表です。

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クラウドファンディングの類型不動産クラウドファンディング株式投資型クラウドファンディング(ECF)融資型・ファンド型クラウドファンディング
事業者区分と根拠法(業規制)不動産特定共同事業者(不特法)。オンライン完結は不特法第31条の2の「電子取引業務」第一種少額電子募集取扱業者=金融商品取引業者(金商法)第二種少額電子募集取扱業者=金融商品取引業者(金商法)。貸付を自ら行う類型は貸金業者も兼ねる
犯収法上の位置づけ特定事業者(犯収法第2条第2項第27号)特定事業者(犯収法第2条第2項第21号)特定事業者(犯収法第2条第2項第21号・第29号)
本人確認方式を定める法令犯収法施行規則第6条(業種共通)犯収法施行規則第6条(業種共通)犯収法施行規則第6条(業種共通)

※事業者区分の根拠法は業種で異なりますが、本人確認方式は犯収法施行規則第6条が業種共通で定めます。

したがって、自社がどの類型でも、確認すべきは「犯収法施行規則第6条が認める方式のうち、どれを自社の登録フローに実装するか」に集約されます。金商法・不特法は事業者としての登録・業務体制の根拠であり、eKYCの可否を判断する軸ではありません。

クラウドファンディングの本人確認に関わる法令要件(犯収法・番号法)

ここからは、対応表で示した「本人確認方式を定める法令」を条文レベルまで掘り下げます。クラウドファンディング事業者は、顧客(投資家)との取引を始めるにあたり、犯収法にもとづく取引時確認(本人確認)を行う義務があります。

特定事業者(中略)は、顧客等との間で、別表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(中略)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。(一)本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居及び生年月日をいい(後略))

出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第1項|e-Gov法令検索

この「主務省令で定める方法」が、犯収法施行規則第6条です。非対面でのオンライン本人確認(eKYC)で認められる方式も、ここに列挙されています。

犯収法の本人確認方式(ホ・ヘ・ト・カ)

犯収法施行規則第6条第1項第1号は、非対面の本人確認方法をイからヨまで多数の号に分けて定めています。オンラインのクラウドファンディングで使われる主な方式を、内容の実質にそって見ていきます。号の記号は2027年4月の改正で割り当てが変わるため、ここでは現行規則(2026年時点)の号を補助的に併記します。

ホ方式(容貌+写真付き本人確認書類の画像送信)

事業者が提供するソフトウェアで、利用者の容貌(セルフィー)と写真付き本人確認書類の画像を撮影・送信してもらい照合する方式です(現行規則第6条第1項第1号ホ)。運転免許証などを撮影し、あわせて顔写真を撮る、いわゆる「書類撮影+セルフィー」型で、現在もっとも普及していますが、後述のとおり2027年4月に廃止されます。

ヘ方式(容貌+本人確認書類のICチップ情報送信)

利用者の容貌の画像に加え、写真付き本人確認書類のICチップに記録された情報を読み取って送信してもらう方式です(現行規則同号ヘ)。マイナンバーカードや運転免許証などのICチップを読み取るため、書類画像のみの方式より偽変造に強く、改正後も存置される中核の方式です。

ト方式(本人確認書類の読み取り+銀行等への照会・転送不要郵便など)

本人確認書類の画像またはICチップ情報の送信を受けたうえで、金融機関などが持つ顧客情報との照合や、本人名義口座への少額振込、住居あての転送不要郵便の送付といった追加の行為を組み合わせる方式です(現行規則同号ト)。書類の確認に別ルートの照合を重ねることで、確認の確度を高めます。

カ方式(公的個人認証・JPKI=マイナンバーカードの署名用電子証明書)

マイナンバーカードのICチップに搭載された署名用電子証明書を使い、公的個人認証(JPKI)によって本人確認を行う方式です(現行規則同号カ)。事業者が公的個人認証法にもとづく署名検証者である場合に用いることができ、書類の目視や画像照合を介さないため、なりすましのリスクが低い方式として2027年改正後の移行先の柱になります。

公的個人認証(JPKI)による確認を提供するには、事業者自身が公的個人認証法にもとづく署名検証者の認定を受けるか、認定を受けたeKYC事業者に確認を委ねる形をとります。自社で認定を取得するか、対応済みのサービスを利用するかは、選定時の論点になります。

2027年4月の犯収法改正(ホ方式・リ方式の廃止と移行先)

犯収法施行規則は改正され、一部の本人確認方式が廃止されます。警察庁および共管各省庁が公表した意見募集結果によれば、施行日は2027年(令和9年)4月1日です。廃止されるのは、書類画像を送信する方式と、書類の写しを郵送する方式です。

規則第6条第1項第1号ホに掲げる方法については、本人確認書類の画像情報の送信を受ける点で、本人確認書類の偽変造等によるなりすまし等のリスクが高いと考えられることから、原案のとおり廃止することとします。

出典:「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令案」に対する意見の募集結果について(令和7年6月・警察庁 共管各省庁)|e-Govパブリック・コメント

あわせて、本人確認書類の写しの送付を受けるリ方式も、偽変造のリスクが低いとはいえないとして廃止されます。一方で、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を利用する方式や、ICチップ付きの本人確認書類のICチップ情報を読み取る方式など、なりすましのリスクが低い方式は引き続き存置されます。

現在「書類撮影+セルフィー」のホ方式で投資家登録を運用している事業者は、2027年4月までにICチップ読み取り(ヘ方式)や公的個人認証(カ方式=JPKI)へ移行する必要があります。号の記号は改正後に再割り当てされるため、資料やベンダー説明で号の記号を見るときは、それが現行規則のものか、2027年4月以降の新規則のものかを確認することをおすすめします。

2027年4月の犯収法改正で廃止される方式と移行先を対比した図。廃止されるのは書類の画像を送るホ方式(容貌+写真付き本人確認書類の画像送信)と、書類の写しを郵送するリ方式で、偽変造によるなりすましリスクが高いことが理由。移行先として存置されるのは、容貌と本人確認書類のICチップ情報を読み取るヘ方式と、公的個人認証(JPKI/マイナンバーカード)を使うカ方式で、なりすましリスクが低い方式。

2025年・2027年の犯収法改正で本人確認の運用がどう変わるのか、ホ方式の廃止から公的個人認証(JPKI)への移行ポイントまでを通して押さえたい場合は、次の記事で詳しく解説しています。

投資家のマイナンバー取得と公的個人認証

クラウドファンディング事業者は、投資家に分配金・利子・償還金などを支払う際、支払調書(法定調書)にマイナンバーを記載して税務署へ提出する必要があります。このため、本人確認と同時にマイナンバーを取得する運用が一般的です。

マイナンバーの提供を受けるときには、番号法(マイナンバー法)にもとづく本人確認が求められます。具体的には、個人番号カードの提示や、カードに搭載された電子証明書による確認などが定められています(番号法第16条)。マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を使えば、本人確認とマイナンバー取得を1つの手続きにまとめられるため、eKYCと組み合わせる利点があります。

eKYC事業者が公的個人認証(JPKI)による確認を提供する際の根拠となるのは、公的個人認証法にもとづく署名検証者の認定です(同法第17条第1項)。「17条1項6号」といった条項番号はこの公的個人認証法を指すもので、番号法の同じ番号の条文とは別のものです。

移行先の柱となる公的個人認証(JPKI)について、認証の仕組みや署名検証者・認証局の役割の違いをより深く理解したい場合は、次の記事で図解とともに解説しています。

クラウドファンディング向けeKYCの選び方・費用・導入の流れ

ここからは、候補となるeKYCサービスを2〜3社に絞り、導入判断へ進むための実務を整理します。判断材料となる比較軸、費用の考え方、導入の流れの順に見ていきます。

選び方の比較軸

クラウドファンディングの投資家登録で使うeKYCは、次の観点で比較すると自社に合うサービスを絞り込めます。

  • 2027年改正後も使える方式に対応しているか:ICチップ読み取り(ヘ方式)と公的個人認証(カ方式=JPKI)に対応していれば、ホ方式の廃止後もそのまま使い続けられます。ホ方式のみのサービスは、改正前提で移行計画が必要です。
  • 本人確認の完了率・離脱率:投資家登録の途中離脱は機会損失に直結します。対応書類の幅、撮影・読み取りのしやすさ、不鮮明画像の再撮影率などが完了率に影響します。
  • 目視審査(BPO)を代行してもらえるか:自動照合だけでなく、有人の目視確認を代行するサービスを選べば、審査体制が薄い立ち上げ期でも運用を回せます。24時間対応かどうかも、登録受付のスピードに関わります。
  • 公的個人認証(JPKI)の確認を委ねられるか:JPKIによる確認は署名検証者の認定が前提です。自社で認定を取得せず、認定済みのeKYC事業者に委ねられるかを確認します。
  • マイナンバー取得や法人確認まで一括で対応できるか:投資家のマイナンバー取得を同じフローで行えるか、法人投資家の確認(法人KYC)に対応するかは、運用の手間を左右します。

審査体制を自前で持ちにくい立ち上げ期には、有人の目視審査を外部に任せる本人確認代行(BPO)が選択肢になります。依頼できる会社や代行してもらえる範囲・料金、犯収法上の委託の可否をより詳しく知りたい場合は、次の記事で整理しています。

費用・料金の考え方

eKYCの費用は、初期費用・月額のランニング費用・本人確認1件あたりの従量課金の3要素で構成されるのが一般的です。従量課金は方式によって単価が分かれることがあり、たとえば書類撮影のみと、書類撮影に容貌撮影を加える場合とで単価が異なる料金設計もあります。

投資家登録の件数が読みにくい立ち上げ期は、月額と従量の水準が総額を大きく左右します。公開されている料金の目安としては、初期費用が数万円台から、月額が2〜3万円台からといった水準のサービスがあります。

一方で、料金を「要問い合わせ」とし、規模や要件に応じた個別見積りをとる形のサービスもあります。件数あたりの単価やプラン別の内訳は公開情報だけでは分からないことも多いため、複数社から見積りをとって比較することをおすすめします。

導入の流れ(API/SDK・手順)

eKYCの実装は、既存の会員登録・出資フローへの組み込み方によって、大きくJavaScriptライブラリの埋め込み、API連携、ネイティブアプリ向けSDKの3通りに分かれます。Webで完結させたい場合はJavaScript埋め込みやAPI、スマホアプリに組み込む場合はSDKが選択肢になります。一般的な導入は次の流れで進みます。

  1. 自社の業種と登録フローを整理し、必要な本人確認方式(ヘ方式・カ方式など)を確定する
  2. 候補サービスに資料請求・問い合わせを行い、対応方式・料金・実装方式の見積りを取り寄せる
  3. 実装方式(JavaScript埋め込み・API・SDK)を決め、既存の会員登録/出資フローへの組み込みを設計する
  4. テスト環境で本人確認フローと審査運用(目視代行の有無を含む)を検証する
  5. 本番リリース後、確認記録の保管や審査運用を継続し、2027年4月改正に向けた方式の移行計画を用意する

開発期間は、対応方式の数やカスタマイズの範囲によって変わります。JavaScript埋め込み型は比較的短期間で導入できる一方、複数方式をネイティブアプリに組み込む場合は相応の工数を見込む必要があります。

API連携・JavaScript埋め込み・SDKといった実装方式ごとの違いや、自社アプリ・Webへの具体的な組み込み方をより詳しく比較したい場合は、次の記事が実装設計の参考になります。

クラウドファンディングでのeKYC導入事例

オンライン本人確認は、不動産型・株式投資型・融資型のいずれのクラウドファンディングでも、すでに実運用されています。各サービスが公表する導入事例を紹介します。

  • 不動産投資型クラウドファンディング「CREAL」:運営するブリッジ・シー・キャピタルが、投資家の本人確認をオンライン完結する「LIQUID eKYC」を導入しています。
  • 株式投資型クラウドファンディング「イークラウド」:投資家登録の本人確認手続きをオンラインで完結するため「LIQUID eKYC」を導入しています。
  • 融資型クラウドファンディング「CAMPFIRE Owners」:運営するコモサスが、本人確認をオンライン完結する「LIQUID eKYC」を導入しています。
  • 株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」:本人確認をオンライン完結する「LIQUID eKYC」の導入により、最短当日での口座開設を可能にしたと公表しています。

これらの事例は、3つの類型すべてで非対面の本人確認が実務として定着していることを示しています。郵送による本人確認では口座開設まで数営業日を要していた工程を、eKYCによって当日〜短期間へ短縮できる点が、共通の導入効果として挙げられています。

公表されているクラウドファンディングの導入事例はLIQUID eKYCによるものが中心ですが、事例の多寡がそのまま自社への適合を意味するわけではありません。導入を検討する際は、対応方式・審査体制・料金をあわせて確認し、自社の業種と登録フローに合うサービスを選ぶことが大切です。

クラウドファンディングに対応した主要eKYCサービス

ここからは、比較表で取り上げたeKYCサービスを個別に紹介します。犯収法の複数方式に対応し、金融・クラウドファンディング領域での実績を持つサービスを取り上げます。

1. ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューションの公式サイト

ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューションは、犯収法に準拠したオンライン本人確認を、書類確認・法人確認・目視審査の代行(BPO)まで含めて一括で支援するクラウド型サービスです。ホ方式・ヘ方式・公的個人認証(JPKI)・SMS認証・転送不要郵便と、複数の確認方式を1つのサービスでまかなえる構成が特徴です。

2027年4月の改正で原則化される公的個人認証(JPKI)については、デジタル庁のデジタル認証アプリを活用するアプリ提供型と、自社システムへ組み込むAPI(ライブラリ)提供型の2系統を用意しています。Webで完結させたい場合と、既存の出資フローに組み込みたい場合のどちらにも対応できます。

目視確認や後工程の審査を代行するBPOを組み合わせられるため、審査体制を自前で持ちにくい立ち上げ期の事業者にとって有力な選択肢になります。導入実績は300社以上で、うち犯収法の特定事業者は100社以上とされています(公式料金ページ)。

金融・不動産・リユース・シェアリングエコノミーなど、本人確認義務を負う業種を横断して導入されています。料金は初期費用50,000円から、月額25,000円からの従量課金制です(2026年6月時点)。

2. TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

TRUSTDOCKの公式サイト

本人確認とデジタルIDを専門とする独立系サービスがTRUSTDOCKです。写真付き身分証やICチップ読み取り、マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)まで、犯収法施行規則が定める複数の方式に対応し、履歴事項全部証明書や法人番号を使った法人確認(KYB)も提供します。必要な確認だけをAPIで組み込めるため、自社の登録フローに合わせて柔軟に設計できます。

最大の差別化点は、24時間365日の有人BPO審査を自社で運用していることです。AIによる自動照合と専任スタッフの目視チェックを組み合わせ、規制業種で求められる審査品質に応えます。対応業種は行政・金融・古物/リユース・割賦販売・通信・不動産クラウドファンディングまで広く、公式サイトでも不動産クラウドファンディングを対応業種に挙げています。

各省庁や業界のワーキンググループに参画し、2027年4月改正に向けたICチップ読み取り・JPKIへの移行支援を打ち出している点も特徴です。料金は公開されておらず、要件のヒアリングにもとづく個別見積り型です。無料トライアルの用意もあります(期間・条件は要問い合わせ)。導入実績は300社以上(2024年12月時点、東京商工リサーチ調べ)と公表されています。

3. LIQUID eKYC(株式会社Liquid)

LIQUID eKYCの公式サイト

口座開設・アカウント登録時の本人確認をオンラインで完結するeKYCサービスがLIQUID eKYCです。運営元の株式会社Liquidは、東証グロース上場のELEMENTSグループに属します。ICチップ読み取りと容貌撮影を照合するヘ方式、公的個人認証(カ方式=JPKI)、スマホ搭載のマイナンバーカード機能を使うル方式に対応し、2027年に廃止されるホ方式からの移行先を網羅しています。

強みは、生体認証・画像処理技術による本人確認の精度と、不正検知機能の厚みです。容貌の真贋判定やカメラインジェクション攻撃の検知、過去申請との顔の照合など、ディープフェイクやなりすましへの対策を備えています。実装はJavaScriptライブラリの組み込み、API連携、ネイティブアプリ向けSDKに対応し、クラウドファンディングの会員登録フローに合わせて選べます。

導入実績は、グループ累計で契約事業者数約700社・本人確認件数約1.5億件に達しています(2026年6月時点)。前掲のとおり、不動産投資型のCREAL、株式投資型のイークラウド、融資型のCAMPFIRE Ownersと、3つの類型すべてで導入事例があります。

料金はベーシックプランで初期費用50,000円・月額30,000円から、従量課金は書類撮影のみ50円/件、書類+容貌撮影150円/件です(2026年6月時点)。

ここではクラウドファンディングでの実績を軸に3サービスを取り上げましたが、金融・EC・行政まで含めたeKYC全体を、対応する本人確認方式・導入費用・不正対策・選び方の観点で広く比較したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

クラウドファンディングのeKYC選びは、業種の違いにかかわらず「犯収法施行規則第6条が認める方式のうち、どれを実装するか」に集約されます。金商法・不特法は事業者を犯収法の特定事業者に位置づける業規制であり、本人確認の方式そのものは犯収法が定めているためです。

2027年4月には、現在主流の「書類撮影+セルフィー」のホ方式と、書類の写しを郵送するリ方式が廃止されます。これから導入する事業者は、ICチップ読み取り(ヘ方式)と公的個人認証(カ方式=JPKI)に対応したサービスを選んでおくと、改正後もそのまま使い続けられます。

まずは自社の業種と登録フローで必要な方式を確定し、対応サービスの資料を取り寄せて、対応方式・料金・実装方式・審査運用を比較してください。

よくある質問(FAQ)

Q. クラウドファンディングのeKYC(オンライン本人確認)とは何ですか?

A. クラウドファンディングのeKYCとは、投資家登録時に義務づけられる犯収法上の本人確認(取引時確認)を、スマホやPCで完結するオンライン手続きで行う手法です。運転免許証やマイナンバーカードの撮影・ICチップ読み取りと容貌(セルフィー)の照合などで本人性を確認し、郵送を挟まずに口座開設・投資家登録を完了できます。

不動産型・株式投資型・融資型のいずれのクラウドファンディングでも、非対面の本人確認手段として実運用されています。

Q. クラウドファンディングの本人確認は、業種によって使えるeKYCの方式が変わりますか?

A. クラウドファンディングで使えるeKYCの本人確認方式は、不動産型・株式投資型・融資型のいずれの業種でも共通で、犯収法施行規則第6条が定める方式に従います。金融商品取引法や不動産特定共同事業法は、その事業者を犯収法上の「特定事業者」に位置づける業規制であり、本人確認の方式そのものを定める法律ではありません。

したがって自社の業種にかかわらず、確認すべきは「犯収法が認める方式のうち、どれを自社の登録フローに実装するか」に集約されます。

Q. 2027年4月の犯収法改正で、クラウドファンディングのどのeKYC方式が使えなくなりますか?

A. 2027年(令和9年)4月1日の改正で廃止されるのは、本人確認書類の画像を送信する「ホ方式」と、書類の写しを郵送する「リ方式」の2つです。書類の偽変造によるなりすましリスクが高いことが理由とされています。

一方、ICチップ情報を読み取る「ヘ方式」や、マイナンバーカードの公的個人認証(カ方式=JPKI)など、なりすましのリスクが低い方式は引き続き利用できます。号の記号は改正後に再割り当てされるため、資料やベンダー説明で号を確認する際は、現行規則のものか2027年4月以降の新規則のものかを確かめてください。

Q. 現在ホ方式で投資家登録を運用していますが、どう移行すればよいですか?

A. 2027年4月までに、ICチップ読み取りの「ヘ方式」または公的個人認証(カ方式=JPKI)に対応したeKYCサービスへ移行する必要があります。現在「書類撮影+セルフィー」のホ方式のみで運用している場合、改正後は同方式が使えなくなるため、既存の登録フローの切り替えが必須になります。

これから新規に導入する事業者も、はじめから改正後に存置される方式に対応したサービスを選んでおくと、移行の手戻りを避けられます。

Q. クラウドファンディングのeKYCで、投資家のマイナンバーも同時に取得できますか?

A. マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)に対応したeKYCなら、本人確認とマイナンバー取得を1つの手続きにまとめられます。クラウドファンディング事業者は、投資家に分配金・利子・償還金を支払う際、支払調書(法定調書)にマイナンバーを記載して税務署へ提出する必要があるため、本人確認と同時にマイナンバーを取得する運用が一般的です。

マイナンバーの提供を受ける際には、番号法にもとづく本人確認(個人番号カードの提示や電子証明書による確認など)が求められます。

Q. 公的個人認証(JPKI)を使うには、自社で認定を取得する必要がありますか?

A. 公的個人認証(JPKI)による確認は署名検証者の認定が前提ですが、自社で認定を取得しなくても、認定を受けたeKYC事業者に確認を委ねる形で利用できます。自社で公的個人認証法にもとづく署名検証者の認定を取得するか、対応済みのサービスを利用するかは、eKYC選定時の論点になります。

JPKIはホ方式廃止後の移行先の柱となるため、候補サービスがJPKIによる確認を提供しているかは、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。

Q. クラウドファンディング向けeKYCの費用はどのくらいかかりますか?

A. eKYCの費用は、初期費用・月額のランニング費用・本人確認1件あたりの従量課金の3要素で構成されるのが一般的です。公開されている料金の目安としては、初期費用が数万円台から、月額が2〜3万円台からといった水準のサービスがあります。

従量課金は「書類撮影のみ」と「書類撮影+容貌撮影」で単価が分かれる料金設計もあり、料金を「要問い合わせ」とするサービスもあります。件数あたりの単価やプラン別の内訳は複数社から見積りをとって比較することをおすすめします。

Q. eKYCの導入にはどのくらいの期間がかかり、どう実装しますか?

A. eKYCの実装は、JavaScriptライブラリの埋め込み・API連携・ネイティブアプリ向けSDKの3通りに大別されます。Webで完結させたい場合はJavaScript埋め込みやAPI、スマホアプリに組み込む場合はSDKが選択肢になります。

開発期間は対応方式の数やカスタマイズの範囲によって変わり、JavaScript埋め込み型は比較的短期間で導入できます。複数の確認方式をネイティブアプリに組み込む場合は相応の工数を見込み、必要な方式と実装形態を早めに確定しておくと導入がスムーズです。

Q. 法人の投資家の本人確認(法人KYC)にも対応できますか?

A. 法人投資家の本人確認は、履歴事項全部証明書や法人番号を用いた法人KYC(KYB)で行います。犯収法は法人について、名称・所在地の確認に加えて実質的支配者の確認も求めます。法人確認に対応するサービスと、対応可否を公式サイトで明示していないサービスがあるため、法人投資家を想定する場合は各サービスの対応範囲を個別に確認してください。

Q. マイナンバーカードを持たない投資家や外国籍の投資家はどう本人確認しますか?

A. マイナンバーカードを持たない投資家は、ICチップ付きの本人確認書類を読み取る「ヘ方式」などが選択肢になります。公的個人認証(カ方式=JPKI)はマイナンバーカードの電子証明書を使うため、カード非保有者には利用できません。

外国籍の投資家であれば、ICチップ内蔵の在留カードの読み取りに対応したサービスかを確認します。2027年4月以降はICチップ読み取り系が本人確認の中心になるため、対応書類の幅を選定時に確かめておくとよいでしょう。

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