取引先や顧客が法人の場合の本人確認は、個人の本人確認と大きく異なります。会社そのものの確認書類だけでなく、実際に手続きをする取引担当者の確認、さらに会社の背後にいる「実質的支配者」の確認まで、確認の対象が3層に分かれるためです。どの層で何の書類が必要かを取り違えると、口座開設や契約の手続きが差し戻され、取引の開始が遅れてしまいます。
この記事では、犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)にもとづく法人の本人確認について、「会社・取引担当者・実質的支配者」の3層それぞれで必要な書類と有効期限・原本の要否、確認の方法(対面・非対面・eKYC)を、条文の根拠とあわせて一覧で整理します。確認を求められた側が書類を準備するときにも、自社が確認する側として手続きを設計するときにも、両方の視点から使える内容にしています。
まずは3層の必要書類を早見表で確認し、そのうえで各層の細かい条件と、法人の本人確認をオンラインで完結させる方法までを見ていきます。
目次
法人の本人確認書類とは?会社・取引担当者・実質的支配者の3層で必要書類が決まる
法人の本人確認(犯収法では「取引時確認」と呼びます)で必要な書類は、確認する対象ごとに3つの層に分かれます。第1に会社そのもの、第2に窓口で手続きをする取引担当者、第3に会社を実質的に支配している個人(実質的支配者)です。個人の本人確認が1人分の書類で済むのに対し、法人ではこの3層をそろえて初めて確認が完結します。

まず全体像を早見表で示します。各層の詳しい条件は、この後のセクションでそれぞれ解説します。
| 確認の対象 | 会社(法人)そのもの | 取引担当者(手続きをする個人) | 実質的支配者 |
|---|---|---|---|
| 主な確認書類 | 登記事項証明書/印鑑登録証明書/官公庁発行の書類(いずれも名称・本店所在地の記載があるもの) | 運転免許証・マイナンバーカード等の本人確認書類+(代表者以外は)委任状など取引権限を示すもの(委任状は法令必須ではなく実務上の運用) | 代表者等からの申告(ハイリスク取引では登記事項証明書等の書類も) |
| 有効期限 | 作成後6か月以内 | 各本人確認書類の有効期限内 | — |
| 原本・写しの別 | 対面は原本を提示/非対面は写し送付+転送不要郵便など | 提示または写しの送付+転送不要郵便など | 申告が原則 |
※上記は一般的な整理です。実際に必要な書類・様式は取引の種類や各事業者の運用により異なるため、取引先の案内もあわせてご確認ください。
この3層のうち、会社の書類は法令で認められる種類が明確に定められています。取引担当者と実質的支配者は、会社の書類だけでは確認が終わらない部分であり、法人特有の確認事項です。次のセクションから、それぞれの中身を詳しく見ていきます。
会社(法人)の本人特定事項の確認書類
ここからは、3層のうち1つめ「会社そのもの」の確認書類について解説します。法人の本人特定事項は、犯収法上「名称及び本店又は主たる事務所の所在地」と定められており、これらの記載がある書類で確認します。
会社の確認書類として認められるのは、犯収法施行規則第7条第2号に列挙された次の書類です。
イ 当該法人の設立の登記に係る登記事項証明書(当該法人が設立の登記をしていないときは、当該法人を所轄する行政機関の長の当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地を証する書類)又は印鑑登録証明書(当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるものに限る。)
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条第2号|e-Gov 法令データ
ロ イに掲げるもののほか、官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに類するもので、当該法人の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるもの
具体的には、登記事項証明書(履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書など)、印鑑登録証明書(印鑑証明書)、これらに準じる官公庁発行の書類が該当します。印鑑登録証明書は「法人の名称及び本店所在地の記載があるもの」に限られる点に注意が必要です。
有効期限は「作成後6か月以内」、原本の要否は確認方法で変わる
会社の確認書類には有効期限があります。登記事項証明書や印鑑登録証明書は、施行規則第7条の柱書ただし書により提示または送付を受ける日の前6か月以内に作成されたものに限られます。これは各金融機関の運用ではなく法令上の要件です。
原本か写しかは、確認の方法によって変わります。窓口での対面確認では原本の提示を求められるのが一般的で、たとえばみずほ銀行は法人の確認書類について「作成後6ヵ月以内」「原本をご提示ください」と案内しています。非対面では、書類の写しを送付し、その所在地宛てに転送不要郵便を送る方法などが用いられます(確認方法の詳細は後述のセクションで解説します)。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条(柱書ただし書)|e-Gov 法令データ
- 出典:本人確認書類(法人のお客さま)|みずほ銀行
本店所在地の記載がない場合の補完書類
確認書類に現在の本店所在地の記載がないなど、住所を補う必要がある場合には「補完書類」を追加します。犯収法施行規則第6条第2項では、補完書類として次のものが挙げられており、いずれも領収日付や発行年月日から6か月以内のものに限られます。
- 国税または地方税の領収証書・納税証明書
- 社会保険料の領収証書
- 公共料金(電気・ガス・水道など)の領収証書
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条第2項|e-Gov 法令データ
外国法人の場合
外国に本店または主たる事務所を有する法人は、日本の登記事項証明書がない場合があります。この場合は、日本国政府が承認した外国政府または権限のある国際機関が発行した書類で、名称と本店所在地の記載があるものによって確認できます(施行規則第7条第4号)。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条第4号|e-Gov 法令データ
取引担当者(手続きをする人)の本人確認と委任状
会社の書類をそろえても、法人の本人確認は完結しません。実際に取引の窓口に立つ担当者(自然人)についても、本人確認が必要になるためです。ここでは3層の2つめ「取引担当者」の確認を解説します。
犯収法第4条第4項は、現に取引にあたっている自然人が顧客である法人と異なるときは、その自然人についても本人特定事項の確認を行わなければならないと定めています。会社の確認に「加えて」、手続きをする個人の運転免許証・マイナンバーカードなどによる本人確認が必要です。その確認方法は、個人(自然人)の本人確認方法(施行規則第6条第1項第1号)を準用します(同規則第12条)。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第4項|e-Gov 法令データ
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第12条|e-Gov 法令データ
担当者が代表者本人でない場合には、その担当者が会社のために取引を行う権限を持つことの確認が実務で求められます。委任状はこの目的で使われる書類で、法令の確認方法として条文に明記されているものではなく、事業者の運用として用いられています。
たとえば三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、法人取引について「面談や委任状等により法人のお客さまのために取引きを行っていることを確認」し、「社員証等による確認はできません」と案内しています。取引先ごとに求められる様式が異なるため、事前に確認しておくと手続きがスムーズです。
- 出典:お取引時の確認について(法人のお客さま)|三菱UFJモルガン・スタンレー証券
実質的支配者の確認
3層の3つめが、実質的支配者の確認です。実質的支配者(Beneficial Owner)とは、会社の事業経営を実質的に支配できる立場にある個人を指します。会社の背後にいる真の支配者を確認することで、資金洗浄などに法人が悪用されるのを防ぐ狙いがあります。
誰が実質的支配者に該当するか(判定フロー)
株式会社のように議決権で意思決定する法人(資本多数決法人)では、施行規則第11条第2項が定める順序で、上から順に該当者を判定します。

- 議決権の50%超を直接または間接に持つ個人がいれば、その個人
- 50%超の個人がいなければ、議決権の25%超を直接または間接に持つ個人
- 議決権では該当者がいない場合、出資・融資・取引などを通じて事業活動に支配的な影響力を持つ個人
- 上記のいずれにも該当者がいない場合、法人を代表し業務を執行する個人(代表取締役など)
この「25%超」「50%超」は、条文では次のように表現されています。
資本多数決法人……のうち、その議決権の総数の四分の一を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人(当該資本多数決法人の事業経営を実質的に支配する意思又は能力を有していないことが明らかな場合又は他の自然人が当該資本多数決法人の議決権の総数の二分の一を超える議決権を直接若しくは間接に有している場合を除く。)があるもの 当該自然人
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第2項第1号|e-Gov 法令データ
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第2項|e-Gov 法令データ
確認の方法は「申告」が原則
実質的支配者の確認は、代表者等からの申告を受ける方法が原則です(施行規則第11条第1項)。会社側は、判定フローにもとづいて自社の実質的支配者を特定し、その氏名・住居・生年月日を申告します。ただし、なりすましの疑いがあるハイリスク取引では、申告に加えて登記事項証明書等の書類による確認が求められます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第1項|e-Gov 法令データ
実質的支配者リスト制度
実質的支配者を客観的に示す仕組みとして、法務省の実質的支配者リスト制度があります。株式会社(特例有限会社を含む)が、実質的支配者に関する情報を記載したリストを商業登記所に保管してもらい、登記官の認証文付きの写しの交付を受けられる制度です。令和4年1月31日から運用が始まっており、無料で利用できます。金融機関から実質的支配者の証明を求められた際に、この写しを提出することで確認を円滑に進められます。
- 出典:実質的支配者リスト制度について|法務省
3層それぞれで確認事項が多く、書類の受領から記録の保管まで自社だけで回すと負担が大きくなりがちです。オンラインでの効率化を検討する場合は、法人確認に対応したサービスの資料もあわせて確認してみてください。
法人確認の方法:対面・非対面(eKYCを含む)
ここまでの3層の書類を、どのような方法で確認するかを解説します。法人の本人特定事項の確認方法は施行規則第6条第1項第3号に定められており、大きく対面と非対面に分かれます。
ここで解説する対面・非対面の手段は、主に「会社そのもの」の確認方法です。取引担当者(個人)の確認は、対面での書類提示のほか、非対面ではマイナンバーカードのICチップ読取や公的個人認証などのeKYC(オンライン本人確認)で行います。実質的支配者は書類確認ではなく申告が原則で、非対面のときは会社の確認とあわせて手続きします。
対面での確認
窓口などで、法人の代表者等から確認書類(登記事項証明書・印鑑登録証明書など)の原本の提示を受ける方法です。もっとも基本的な確認方法で、その場で原本を確認できるため、書類の有効性を直接チェックできます。
非対面・オンラインでの確認
来店せずに確認を完結させる方法として、施行規則は次のような手段を認めています。オンラインで法人の本人確認を進めたい場合の入口になります。
- 登記情報提供サービスの利用:代表者等から名称・本店所在地の申告を受け、指定法人から登記情報の送信を受ける方法
- 法人番号による確認:申告を受けた名称・本店所在地を、国税庁が公表する法人番号の公表事項と照合する方法
- 書類の写し送付+転送不要郵便:確認書類の写しの送付を受け、そこに記載された本店所在地宛てに取引関係文書を転送不要郵便で送る方法
- 商業登記電子証明書:登記官が作成した電子証明書と、それによる電子署名が行われた情報の送信を受ける方法
非対面で申告を受ける場合には、登記情報提供サービスや法人番号による方法でも、原則として本店所在地宛ての転送不要郵便の送付が組み合わされます。取引担当者(個人)側の非対面確認では、マイナンバーカードのICチップ読取や公的個人認証などのeKYC(オンライン本人確認)の方式が使われます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条第1項第3号|e-Gov 法令データ
取引担当者(個人)の非対面確認で使われるeKYCの各方式(ホ・ヘ・ワ方式など)の仕組みや、それぞれの危険性・セキュリティは、以下の記事で詳しく解説しています。
自社ケースへの当てはめチェックリスト
3層の書類と確認方法を、自社の取引に当てはめて整理すると、必要な準備が見えてきます。次の3点を確認してみてください。
- 取引先は株式会社か、それ以外の法人(一般社団法人・合同会社など)か → 実質的支配者の判定順序が変わります
- 手続きをする担当者は代表者本人か、委任された社員か → 代表者以外なら取引権限を示す書類(委任状など)が必要になります
- 確認は対面か、非対面か → 非対面なら書類の写しや転送不要郵便、eKYCの準備が必要です
そもそも法人の本人確認(取引時確認)とは
ここまで見てきた書類・方法の前提として、法人の本人確認がどのような制度なのかを整理します。法人の本人確認は、犯収法上の「取引時確認」の一部です。犯収法第4条第6項は、同条にもとづく一連の確認を総称して「取引時確認」と定めています。
取引時確認では、本人特定事項(法人は名称と本店所在地)だけでなく、取引を行う目的や事業の内容、そして実質的支配者まで確認します。第4条第1項は、確認すべき事項を次のように定めています。
一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居……及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。……)
出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第1項|e-Gov 法令データ
二 取引を行う目的
三 当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容
四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項
法人の本人確認が必要になるケース・対象事業者
取引時確認の義務を負うのは、犯収法が定める「特定事業者」です。銀行・証券会社などの金融機関、貸金業者、暗号資産交換業者、古物商、宅地建物取引業者、士業(司法書士・行政書士など)といった事業者が該当します。
これらの事業者が、口座開設や一定額を超える取引などの「特定取引」を法人と行う際に、本記事で解説した確認が必要になります。自社が確認する側であれば、まず自社が特定事業者に当たるか、対象取引が何かを確認するところから始まります。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第2条第2項(特定事業者の範囲)|e-Gov 法令データ
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令 第7条(特定取引)|e-Gov 法令データ
通常の特定取引とハイリスク取引の違い
取引時確認には、通常の特定取引と、より厳格な確認が求められるハイリスク取引の2区分があります。なりすましの疑いがある取引や、特定国等が関係する取引などがハイリスク取引に当たり、この場合は通常の確認事項に加えて、一定額を超える財産の移転を伴うときは資産及び収入の状況まで確認する必要があります(第4条第2項)。実質的支配者についても、申告だけでなく書類での確認が求められます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第2項|e-Gov 法令データ
「確認する側」と「される側」で読み分ける
法人の本人確認の情報は、立場によって使い方が変わります。確認する側(特定事業者)にとっては、3層の書類をどう集め、どの方法で確認するかを設計するための情報です。確認される側(口座開設や契約を申し込む法人)にとっては、求められた書類を漏れなく準備するためのチェックリストになります。自社がどちらの立場かを意識すると、必要な準備がはっきりします。
2027年4月の犯収法改正が法人確認に与える影響
非対面の本人確認については、2027年4月1日施行予定の犯収法改正で見直しが予定されています。改正命令はすでに公布されています(2026年3月31日公布、警察庁〔JAFIC〕公表)。パブリックコメントの結果(2025年6月24日公表)では、なりすましなどのリスクが高い本人特定事項の確認方法を廃止し、新たな技術を用いた確認方法を新設する方向が示されています。
実務的には、本人確認書類の画像送信による方式や書類の写し送付による方式が見直され、ICチップの読取を用いる方式への移行が進む見通しです。この流れは、取引担当者(個人)側の非対面確認に影響し、法人側の確認書類そのものの種類を直ちに変えるものではありませんが、オンラインでの確認手段を検討する際には押さえておきたい動きです。改正内容の詳細は、専門の解説記事もあわせて確認してください。
- 参考資料:犯罪収益移転防止法の解説・パブリックコメント|警察庁 犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)
この2027年4月改正について、ホ方式の廃止やワ方式(JPKI)への移行など、本人確認方法の具体的な変更点は以下の記事で詳しく解説しています。
法人KYCをオンラインで完結する(サービス活用)
3層の確認を自社の体制だけで運用しようとすると、書類の受領・目視チェック・記録の保管まで手間がかかります。ここからは、法人の本人確認をオンラインで効率化する選択肢として、法人KYC(法人確認)に対応した本人確認ソリューションを紹介します。個人の本人確認だけでなく、会社の確認・実質的支配者の確認まで見据えて選ぶと、法人取引での取りこぼしを防げます。
まずは、法人の本人確認に対応するサービスを一覧で比較します。
| サービス名 | ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション | TRUSTDOCK |
|---|---|---|
| 法人確認(KYB) | ● | ● |
| 対応する本人確認方式 | ホ・ヘ・カ(JPKI) SMS・郵送(リ) | ホ・ヘ・ト・チ・リ・ヌ・ル +公的個人認証(ワ/JPKI) |
| 目視審査・BPO | ●書類突合・後工程を代行 | ●24時間365日 有人審査 |
| 実装形態 | API・アプリ提供 | API提供 |
| 初期費用 | 50,000円〜 | 要問い合わせ |
| 月額費用 | 25,000円〜 (従量課金制) | 要問い合わせ (個別見積り) |
| 導入実績 | 300社以上 (うち特定事業者100社以上) | 300社以上 (2024年12月時点・TSR調べ) |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト |
※2026年6月時点の各社公式情報にもとづきます。最新の料金・対応範囲は各社の公式情報をご確認ください。
ネクスウェイの本人確認(eKYC)ソリューション(株式会社ネクスウェイ)

個人・法人の本人確認をワンストップで支える、クラウド型の本人確認(KYC)トータル支援サービスです。オンライン本人確認(eKYC)に加えて、公的個人認証(JPKI)、書類確認、法人確認、目視確認を代行するBPO、転送不要郵便までを1つのサービスでカバーします。
法人確認に対応しており、登記情報や代表者の確認を含めた法人KYCを提供している点が特徴です。書類の突合や後工程の審査をスタッフが代行するBPOを組み合わせられるため、確認業務の体制が薄い場合でも運用しやすい構成になっています。
導入は300社以上、うち犯収法の特定事業者は100社以上とされ、金融・不動産・リユースなど本人確認義務のある業種で使われています。料金は初期費用50,000円〜、月額25,000円〜の従量課金制です(2026年6月時点、公式料金ページ)。
TRUSTDOCK(株式会社TRUSTDOCK)

オンライン本人確認(eKYC)・KYCを専門に手がける独立系のサービスです。個人の本人確認に加え、履歴事項全部証明書や法人番号を使った法人確認(KYB)にも対応しており、法人取引の確認をオンラインで進められます。
API提供により、事業者は必要な確認だけを選んで自社システムに組み込めます。24時間365日の有人によるBPO審査体制を自社で持ち、目視審査まで一気通貫で対応できる点を特徴として打ち出しています。行政から金融、古物・リユース、通信、不動産クラウドファンディングまで、規制業種を幅広くカバーします。料金は取引内容に応じた個別見積り型で、公開の定価表はありません(2026年6月時点)。
ここで取り上げたサービスのほかにも、法人確認に対応するeKYCサービスは複数あります。以下の記事では、主要なeKYCサービスを導入費用・本人確認方式・不正対策の観点で比較し、失敗しない選び方まで解説しています。複数のサービスを見比べて選びたい場合は、あわせてご覧ください。
まとめ
法人の本人確認は、「会社そのもの・取引担当者・実質的支配者」の3層で必要書類が決まります。会社は登記事項証明書や印鑑登録証明書(作成後6か月以内)、取引担当者は本人確認書類と(代表者以外は)委任状などの権限確認、実質的支配者は判定フローにもとづく申告が基本です。確認方法は対面と非対面があり、非対面では登記情報提供サービス・法人番号・転送不要郵便・eKYCなどを組み合わせます。
自社の取引が株式会社かどうか、担当者が代表者本人か、対面か非対面かを整理すれば、必要な書類と手続きが見えてきます。3層の確認をオンラインで効率化したい場合は、法人確認に対応した本人確認サービスの資料を取り寄せて、自社の取引に合うか確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人の本人確認書類とは何ですか?
A. 法人の本人確認書類とは、会社の名称と本店所在地を確認するための登記事項証明書・印鑑登録証明書・官公庁発行の書類を指します。ただし法人の本人確認は会社の書類だけでは完結せず、実際に手続きをする取引担当者の本人確認書類と、実質的支配者の申告を加えた「会社・取引担当者・実質的支配者」の3層で確認するのが特徴です。これらは犯収法上の「取引時確認」として求められます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条第2号|e-Gov 法令データ
Q. 法人の本人確認書類の有効期限は何か月ですか?期限が切れていたらどうすればよいですか?
A. 登記事項証明書や印鑑登録証明書は、提示または送付を受ける日の前6か月以内に作成されたものに限られます。これは各金融機関の運用ではなく法令上の要件のため、作成から6か月を過ぎた書類は本人確認に使えません。期限が切れている場合は、登記所などで新しく取得し直してから提出する必要があります。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条(柱書ただし書)|e-Gov 法令データ
Q. 法人の本人確認書類は原本が必要ですか?コピー(写し)でも大丈夫ですか?
A. 原本か写しかは確認方法によって変わり、対面での確認では原本の提示、非対面での確認では書類の写しの送付と転送不要郵便などの組み合わせが基本です。窓口での対面手続きでは原本の提示を求められるのが一般的で、その場で書類の有効性を直接確認できます。非対面では、写しを送付したうえで記載の本店所在地宛てに取引関係文書を転送不要郵便で送る方法などが用いられます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条第1項第3号|e-Gov 法令データ
Q. 確認書類に現在の本店所在地の記載がない場合はどうすればよいですか?
A. 納税証明書・社会保険料の領収証書・公共料金の領収証書などの「補完書類」を追加して、本店所在地を補います。いずれも領収日付や発行年月日から6か月以内のものに限られる点に注意が必要です。会社の確認書類だけでは現在の所在地を確認できないときに用います。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条第2項|e-Gov 法令データ
Q. 外国法人の本人確認書類は何を使えばよいですか?
A. 日本の登記事項証明書がない外国法人は、日本国政府が承認した外国政府または権限のある国際機関が発行した、名称と本店所在地の記載がある書類で確認します。外国に本店または主たる事務所を有する法人向けの確認方法です。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第7条第4号|e-Gov 法令データ
Q. 手続きをする担当者が代表者以外のとき、委任状は必ず必要ですか?
A. 委任状は犯収法に明記された必須書類ではありませんが、代表者以外の担当者が手続きする場合、その担当者が会社のために取引を行う権限を持つことの確認が実務で求められ、その手段として委任状が使われます。ただし、手続きをする担当者本人の本人確認(運転免許証・マイナンバーカード等)は、代表者が窓口に立つ場合も含め、法令上必要です。
求められる委任状の様式は取引先ごとに異なるため、事前に取引先へ確認しておくと手続きがスムーズです。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第4項|e-Gov 法令データ
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第12条|e-Gov 法令データ
Q. 法人の実質的支配者は誰まで確認すればよいですか?
A. 株式会社では、議決権の50%超を持つ個人→いなければ25%超を持つ個人→それもいなければ事業活動に支配的な影響力を持つ個人→誰も該当しなければ代表取締役等、の順で該当者を判定して確認します。上位の基準に該当者がいれば、そこで判定は確定します。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第2項|e-Gov 法令データ
Q. 実質的支配者が複数いる場合は全員を確認しますか?
A. 判定基準に該当する個人が複数いる場合は、その全員が実質的支配者となり、全員分の氏名・住居・生年月日を確認・申告します。たとえば議決権を30%持つ人と28%持つ人がいれば、両者とも「25%超」に該当し、2人とも実質的支配者として扱われます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第2項|e-Gov 法令データ
Q. 実質的支配者の確認は申告だけでよいですか?書類も必要ですか?
A. 通常の特定取引では、代表者等からの申告を受ける方法が原則で、書類の提出までは求められません。ただし、なりすましの疑いがあるなどのハイリスク取引では、申告に加えて登記事項証明書等の書類による確認が必要になります。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第1項|e-Gov 法令データ
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律 第4条第2項|e-Gov 法令データ
Q. 株式会社以外の法人(一般社団法人・合同会社など)の実質的支配者はどう判定しますか?
A. 議決権で意思決定しない法人では、収益の配当や財産の分配を受ける権利の25%超を持つ個人などを基準に判定し、該当者がいなければ代表者等を確認します。株式会社(資本多数決法人)の議決権を基準とする判定とは、基準や順序が異なる点に注意してください。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第11条第2項|e-Gov 法令データ
Q. 法人の本人確認は非対面・オンラインだけで完結できますか?
A. 完結できます。登記情報提供サービスの利用、法人番号による確認、確認書類の写し送付と転送不要郵便、商業登記電子証明書などの方法が認められています。取引担当者(個人)の確認は、マイナンバーカードのICチップ読取や公的個人認証などのeKYCで行います。非対面で申告を受ける場合は、原則として本店所在地宛ての転送不要郵便の送付が組み合わされます。
- 出典:犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則 第6条第1項第3号|e-Gov 法令データ
Q. 2027年4月の犯収法改正で法人の必要書類は変わりますか?
A. 改正の中心は非対面での確認方法の見直しであり、登記事項証明書・印鑑登録証明書といった法人の確認書類の種類そのものが直ちに変わるわけではありません。ただし、本人確認書類の画像送信や写し送付による方式が見直され、ICチップの読取を用いる方式への移行が進む見通しのため、取引担当者(個人)の非対面確認をオンラインで行う場合は影響を受けます。
改正命令はすでに公布されており、2027年4月1日の施行が予定されています。
- 参考資料:犯罪収益移転防止法の解説・パブリックコメント|警察庁 犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)
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