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暗号資産・ステーブルコイン決済サービス比較9選|法人の導入メリット・手数料・適法性と選び方を解説

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クレジットカードの決済手数料や、売上が入金されるまでのサイクルに負担を感じていませんか。訪日客や海外顧客への対応を広げたい実店舗・ECでは、暗号資産やステーブルコインを支払い手段として受け入れる動きが少しずつ広がっています。一方で、「自社で受け取っても適法なのか」「価格変動や会計処理はどうなるのか」といった不安から、導入に踏み切れない事業者も少なくありません。

暗号資産・ステーブルコイン決済を自社に導入すべきか、導入するならどの決済サービスを選べばよいのか。手数料や対応通貨、日本円への転換方法、そして適法性まで含めて、どのように比較すればよいのでしょうか。

本記事では、実店舗・EC・越境事業者に向けて、暗号資産・ステーブルコイン決済サービス9種類を比較・解説します。ただし国内で現に導入できる選択肢は限られ、海外中心・実証段階のサービスも混在します。導入のメリットと注意点、資金決済法にもとづく適法性、会計・税務の実務に加え、自社に合うサービスを選ぶための観点を整理しました。導入の可否と選定の判断材料としてご活用ください。

また、自社の業態や受け取りたい通貨に合わせて適したサービスを最短で見つけられるよう、30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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【比較表】おすすめ暗号資産・ステーブルコイン決済サービス比較

ここからは、暗号資産・ステーブルコイン決済サービス9種類の手数料・対応通貨・受取通貨(日本円やステーブルコインへの転換)・導入手段・日本での提供実態を横並びで比較します。国内で現在導入できるサービスと、海外を中心に提供されているサービスを分けて確認できるよう整理しているため、自社の業態に合う候補を絞り込む出発点としてご利用ください。

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サービス名Zaif PaymentTriple-ABitPayCoinGateNOWPaymentsCrypto.com PayJPYC AppsStarPay / StarPay-XSBI VCトレード×アプラス
提供形態取引所系の暗号資産QR決済(店頭)海外の決済ゲートウェイ海外の決済ゲートウェイ海外の決済ゲートウェイ海外の決済ゲートウェイ(非カストディアル)海外取引所系の決済円建てステーブルコイン(通貨レイヤー)店舗決済ゲートウェイ(実証〜拡大)店舗決済(実証)
対応通貨BTC・MONABTC・ETH・USDT・USDC ほかBTC・ETH・USDC ほかBTC・ETH・USDT・USDC ほか300種類以上の暗号資産多数(400以上のエコシステム)JPYC(日本円ステーブルコイン)USDC(JPYSC連携を視野)USDC
受取・日本円転換取引所口座を通じて日本円に換金指定の現地法定通貨で精算(日本円は要確認)現地法定通貨で銀行入金(日本円は要確認)最短翌営業日〜数営業日でEUR/USDに精算(日本円は要確認)加盟店ウォレットへ直接(日本円換金は要確認)エコシステム内で受取(日本円精算は要確認)1JPYC=1円で円建て(換算不要)USDCで受取(日本円精算は要問い合わせ)USDC→日本円を想定(未定)
決済手数料0%(無料訴求)要問い合わせ2%+$0.25〜(取扱高で逓減、最小1%+$0.25)1%0.5%3.99%との情報あり(加盟店決済分は要確認)送金はチェーンのガス代のみ要問い合わせ未定
導入手段店頭QRコードAPI・ECプラグインAPI・EC・請求書ECプラグイン・APIECプラグイン・API・請求書API・Stripe連携 ほかweb3ウォレットで保有・送金店頭QRコード(利用者提示型)店頭決済(実証)
日本での提供実態国内で申込可(受付状況・加盟店審査は要確認)海外中心(日本提供は要確認)海外中心(日本提供は要確認)海外中心(日本提供は要確認)海外中心(日本提供は要確認)海外中心(日本の加盟店決済は要確認)国内で購入・利用可国内で実証中(順次拡大)国内で実証予定(2026年春めど)
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式資料を見る公式サイト公式サイト

※上記は各社の公式情報等をもとにした2026年7月時点の一般的な傾向です。手数料・対応通貨・日本での提供状況は変動するため、実際の内容は各社の最新情報をご確認ください。

各サービスの詳細

比較表で気になったサービスについて、提供会社・特徴・日本での提供実態を、導入方式のタイプ別に紹介します。国内で現に導入できるものと、海外を中心に提供されているものが混在するため、自社が使える範囲かどうかを確認しながらご覧ください。

暗号資産・ステーブルコイン決済は、どの方式で自社に取り入れるかで、対応通貨・導入の手間・日本での使いやすさが変わります。まず3つの導入方式の違いを押さえたうえで、各方式の代表的なサービスを見ていきます。

  • 取引所・決済事業者型:国内の暗号資産交換業者などが提供し、申し込みだけで店頭決済を始められる型です。ただし新規受付の終了・撤退が相次ぎ、国内で現に使える選択肢は乏しくなっています。
  • 決済代行・ゲートウェイ型:複数の通貨・チェーンをAPIやECプラグインで受け付けるグローバル決済基盤です。越境ECに向きますが、多くは海外中心で日本の加盟店提供・日本円精算は要確認です。
  • ステーブルコイン決済基盤:円建てステーブルコインなど価格の安定した通貨で受け取る基盤です。国内は実店舗での実証段階の取り組みが中心で、商用化の状況を確認して検討します。
暗号資産・ステーブルコイン決済の3つの導入方式を比較した図解。取引所・決済事業者型(国内の交換業者が提供、申込だけで店頭決済を始められるが選択肢は乏しい)、決済代行・ゲートウェイ型(複数通貨をAPIやECプラグインで受け付ける海外中心のグローバル基盤、日本提供は要確認)、ステーブルコイン決済基盤(価格の安定した円建てステーブルコインで受け取る、国内は実証段階が中心)の3方式を示す。

取引所・決済事業者が提供する暗号資産決済サービス

まず国内で暗号資産・ステーブルコイン決済を始めたい実店舗・ECに向く、申し込みだけで使える国内の決済サービスです。受け取った暗号資産を日本円へ換金する仕組みまで一体で提供する型が代表例です。

1. Zaif Payment(株式会社カイカエクスチェンジ)

Zaif Paymentのウェブサイト

暗号資産取引所Zaifを運営する株式会社カイカエクスチェンジが提供する、店頭向けのQRコード決済サービスです。ビットコイン(BTC)とモナコイン(MONA)での支払いに対応し、受け取った暗号資産は取引所口座を通じて日本円に換金する流れまで一体で利用できます。

決済手数料は0%を掲げており、支払いを受ける加盟店側に決済手数料の負担が生じない設計です。国内発のモナコイン(MONA)での支払いに対応する数少ない決済で、個人事業主による申し込みも可能とされています。

過去に一度サービスを停止し、加盟店審査を改めて行う形で再開した経緯があります。取引所系の決済は加盟店の受付状況が変動しやすいため、導入を検討する際は現在の受付状況や費用の最新条件を公式サイトで確認しておくと安全です。

決済代行・ゲートウェイ型(グローバル決済基盤)

越境ECや海外顧客の比率が高く、複数の通貨・チェーンに対応したい事業者に向く、グローバルな決済ゲートウェイです。海外を中心に展開しており、日本の加盟店向けの提供状況や日本円での精算可否は各社への確認が必要になります。

2. Triple-A(Triple A Technologies Pte. Ltd.)

Triple-Aのウェブサイト

シンガポールのTriple A Technologies Pte. Ltd.が運営する暗号資産・ステーブルコイン決済ゲートウェイです。ビットコイン・イーサリアム・USDT・USDC(米ドル建てステーブルコイン)・Binance Payでの支払いを受け付け、加盟店には指定した現地の法定通貨で精算します。

換算には保証レートを用いるため、価格変動の影響を抑えた受け取りに対応します。SaaS・EC・ゲーム・旅行など海外に分散した顧客を持つ事業者を主な対象とし、Yunoとの連携によるステーブルコイン受入も提供します。

拠点はアジア太平洋・MENA地域が中心で、料金は要問い合わせです。保証レートで現地通貨に精算する設計は価格変動を抑えたい越境事業者に向きますが、日本の加盟店を対象とするか・日本円で精算できるかは提供状況を個別に確かめておきたい点です。

3. BitPay(BitPay, Inc.)

BitPayのウェブサイト

BitPay, Inc.(米国)は、2011年に開始した初期の暗号資産決済ゲートウェイの1つです。加盟店の暗号資産受入と、暗号資産から現地法定通貨への換算・銀行口座への入金を扱います。

近年は6つのチェーン上でネイティブUSDCの受入を加え、ステーブルコイン対応を広げています。決済手数料は月間取扱高に応じて逓減し、50万ドル未満は2%+$0.25、100万ドル以上では1%+$0.25まで下がります

稼働地域は200以上の国・地域に及ぶとされますが、日本の加盟店に向けた日本円精算や国内提供の実態は公表情報だけでは判断できません。取扱高で逓減する手数料の適用条件とあわせ、導入前に個別に問い合わせておきたい点です。

4. CoinGate(UAB CoinGate)

CoinGateのウェブサイト

2014年設立のCoinGate(UAB CoinGate、リトアニア)は、オンライン事業者向けに暗号資産決済を処理し、最短翌営業日〜数営業日でEURまたはUSDに法定通貨精算するゲートウェイです。

決済手数料は1%で、初期費用はかかりません。主要なECカート向けのプラグインとAPIを備え、MiCA準拠を掲げて欧州の規制に対応します。精算通貨はEUR・USDが中心です。

精算通貨がEUR/USD中心のため、円建てで受け取りたい場合は日本円精算の可否が導入判断の分かれ目になります。日本の加盟店向けに日本円で精算できるかは、利用検討時に個別に確認しておきたい点です。

5. NOWPayments(Zomia OÜ)

NOWPaymentsのウェブサイト

300種類以上の暗号資産に対応する、非カストディアル型(事業者が資金を預からず自社ウォレットで管理する方式)の決済ゲートウェイです。ChangeNOW系のグローバル暗号資産事業として展開しており、受け取った資金は加盟店のウォレットへ直接届く仕組みです。

対応チェーンはTronを含む15以上で、ECプラグイン・API・請求書・寄付ボタンをそろえます。決済手数料は1取引あたり0.5%で、初期費用はかかりません。

対応通貨の広さが強みで、日本での換金経路を確認できれば越境ECの候補になります。日本の加盟店での提供実態は公表情報だけでは分からないため、事前に確かめておきたい点です。

6. Crypto.com Pay(Crypto.com)

Crypto.com Payのウェブサイト

暗号資産取引所Crypto.comが提供する加盟店向けの決済サービスです。400以上のデジタル資産を扱うエコシステムと連動し、暗号資産の受入やCrypto.com Visa Cardによる支払いに対応します。

カードで暗号資産を購入するon-ramp機能は日本を含む複数国で利用できるとされ、Stripeとの提携により、Stripe利用者が暗号資産で支払える連携も提供します。

一方で、加盟店が決済を受け入れる機能の日本での提供可否や、公表されている手数料が加盟店決済のものかon-ramp(暗号資産購入)のものかは切り分けが必要です。導入を検討する際は、公式の加盟店向けドキュメントで手数料と提供範囲を確認してください。

ステーブルコイン決済基盤

価格変動を抑えたステーブルコインで受け取りたい、あるいは既存の店舗決済オペレーションにステーブルコインを組み込みたい事業者に向く決済基盤です。決済に使う円建てステーブルコインそのものの利用基盤や、実店舗での実証段階の取り組みを含みます。

7. JPYC Apps(JPYC株式会社)

JPYC Appsのウェブサイト

1 JPYC=1円で価値が連動する、日本円建てのステーブルコインです。JPYC自体は加盟店の受入システムではなく、決済に使う円建て通貨(通貨・決済レイヤー)にあたります。保有には残高を自分で管理するweb3ウォレット(暗号資産用の財布アプリ)を使いますが、対応アプリを入れれば操作自体は難しくありません。

JPYC Appsから銀行振込で購入を申し込むと、最短5分で自社のウォレットにJPYCが着金します。これは自社がJPYCを入手する際の速さであり、顧客からの受取スピードを指すものではありません。

発行体のJPYC株式会社は2025年に金融庁へ資金移動業者として登録しています。JPYCには従来の前払式支払手段型(JPYC Prepaid)と、資金移動業登録に基づく電子決済手段型があり、利用時は扱うトークンの種別と対応チェーンを確認しておくと安全です。

店頭やECで顧客からJPYCで受け取るには、JPYC単体ではなく、JPYCに対応した決済サービス(受入システム)と組み合わせる必要があります。ただし国内で使える受入手段はまだ限られるのが現状です。JPYCはEthereum・Polygon・Avalancheなど複数のパブリックチェーンで保有・送金でき、価格が円に連動するため計算単位が円で完結します。

8. StarPay / StarPay-X(株式会社ネットスターズ)

StarPay / StarPay-X(ネットスターズ)のウェブサイト

株式会社ネットスターズは、国内外のQRコード決済などを店舗に一括導入できるマルチキャッシュレス決済基盤「StarPay」を運営する決済ゲートウェイ事業者です。このStarPayに、USDCの店舗決済を組み込む取り組みを進めています。

2026年に羽田空港第3ターミナルの店舗でUSDCの実店舗決済の実証を始め、同年4月2日にはトレーディングカード専門店「TCG BW姫路店」で第2弾を導入しました。支払いは、提携先のWEA JAPANが開発した利用者提示型のQRコードを店舗が読み取る方式です。

2026年4月には、マルチチェーン・マルチウォレット対応や、JPYCとは別の円建てステーブルコインJPYSCとの連携を視野に入れた構想「StarPay-X」も発表しています。ただし現状は実証・順次拡大の段階で、料金体系や商用提供の範囲は公表されていません。自社の店舗が対象になるか、商用化の見通しとあわせて確かめる段階です。

9. SBI VCトレード×アプラス USDC店舗決済(SBI VCトレード株式会社・株式会社アプラス)

SBI VCトレード×アプラス USDC店舗決済(実証)のウェブサイト

USDCを使った店舗決済を、SBI VCトレード株式会社と株式会社アプラスが実証実験として計画している取り組みです。SBI VCトレードは国内でUSDCを取り扱う電子決済手段等取引業者、アプラスはSBI新生銀行グループの信販会社で、両社の加盟店網を組み合わせて店舗でのUSDC受入を検証する構想です。

2025年12月に、2026年春をめどに実証実験を開始する方針が公表されました。初期費用や決済手数料、USDCから日本円への精算方法などは未定で、商用化の有無や時期も確定していない段階です。導入を見据える場合は、実証の結果と商用化の方針が示されるのを待つことになります。

暗号資産・ステーブルコイン決済とは?仕組みと導入の流れ

暗号資産・ステーブルコイン決済とは、実店舗やECサイト、事業者が、ビットコインなどの暗号資産や、USDC・円建てステーブルコインなどのステーブルコインを、支払い手段として受け入れたり自社の決済に用いたりする仕組みです。加盟店は価格変動を避けるために、受け取りを日本円やステーブルコインへ換算でき、QRコード・ECプラグイン・API などで導入します。

支払いは、購入者のウォレット(暗号資産を保管・送信するアプリ)から加盟店側の受取先へ送金され、ブロックチェーン上で取引が承認されることで成立します。近年は、価格変動の大きいビットコインなどの暗号資産に代えて、法定通貨に価値を連動させたステーブルコインを使う流れが強まっており、受け取り側の負担を抑える方向で仕組みが整理されつつあります。

受け取りの軸になりつつあるステーブルコインそのものの仕組みや種類、日本円建てのJPYCをはじめとする国内の事例は、以下の記事で基礎から整理しています。

導入までの流れ

導入の流れは決済サービスによって異なりますが、大まかな手順は共通しています。はじめに決済サービスへ申し込み、加盟店としての審査や本人確認を受けます。次に、受け取った暗号資産・ステーブルコインをどの通貨で保持するか(そのまま保有するか、日本円やステーブルコインへ転換するか)を設定します。

続いて、販売チャネルに合わせて決済手段を組み込みます。実店舗ではレジ横に決済用のQRコードを表示し、ECサイトではショッピングカートにプラグインやAPIを連携させて、購入者が支払える状態を用意します。運用開始後は、入金サイクルや日本円への転換のタイミングを確認しながら、受け取った資金を管理していきます。

国内で使えるサービスが限られる背景

暗号資産・ステーブルコイン決済は関心が高まっている一方で、日本の事業者が現時点で実際に導入できるサービスは多くありません。かつて店舗向けのビットコイン決済を提供していた複数の国内取引所系や海外大手が、2023年前後から相次いで新規受付終了・撤退に踏み切りました。

新たに立ち上がる国内の取り組みは、実店舗向けのステーブルコイン決済を中心にまだ実証段階のものが多く、商用化の時期が未定のものも目立ちます。現状は導入可能な選択肢というより、検討候補として動向を注視する段階といえます。

また、地域制限で日本から利用状況を確認できなくなったり、公式サイトが失効して現況をたどれなくなったりする例もあります。掲載時点で使えていたサービスが、後から確認しづらくなることもある点に注意が必要です。

背景には、価格変動の大きい暗号資産だけの決済が定着しにくかったことに加え、軸足が価格の安定したステーブルコインへ移りつつある事情があります。2023年6月の改正資金決済法の施行や、日本円連動ステーブルコインの発行体が資金移動業者として登録されたことで、円建てステーブルコイン決済の法的基盤が整い始めました。国内で使えるサービスが限られること自体が、提供実態の確認を選定で重視すべき理由になります。

暗号資産・ステーブルコイン決済を導入するメリット

暗号資産・ステーブルコイン決済を導入する利点は、コスト面と顧客対応の両方にあります。ここでは、実店舗・EC・越境事業者に共通するメリットを整理します。

1つ目は、決済コストと入金サイクルの見直しです。クレジットカード決済では数パーセントの手数料と、売上が入金されるまでの待ち時間が発生します。暗号資産・ステーブルコイン決済のなかには手数料を低く抑えたサービスがあり、入金までの流れも自社で管理しやすくなる場合があります。粗利の薄い業種や取引件数の多い事業者では、手数料差が積み重なって影響します。

2つ目は、決済手段の選択肢を増やせることです。訪日客や海外顧客のなかには、暗号資産やステーブルコインでの支払いを希望する層があり、両替の手間なく決済できる手段を用意することで取りこぼしを減らせます。越境ECでは、国境をまたぐ送金を簡素にできる点も利点になります。こうした先行的な取り組みは、宿泊・飲食・小売や越境ECなど、海外顧客との接点が多い事業者から広がりつつあります。

導入前に押さえる注意点とデメリット

導入には利点がある一方で、事前に確認しておくべき論点もあります。価格変動と運用負担を中心に、注意点を概観します。適法性と会計・税務については、それぞれ専用のセクションで詳しく整理します。

最大の注意点は、暗号資産の価格変動です。ビットコインなどの価格は短期間でも上下するため、受け取ったまま保有していると、売上の円換算額が想定と変わる可能性があります。あわせて、ウォレットや口座の管理、入金の確認といった運用の手間や、社内の会計・税務処理の整備も必要になります。導入して終わりではなく、受け取った資金をどう管理するかまで見通しておくことが欠かせません。

非カストディアル型のサービスなど、受け取った資金を自社のウォレットで管理する場合は、ウォレットの種類や選び方、安全に保管するための対策を押さえておくと安心です。基礎から確認したい方は、以下の記事もご覧ください。

価格変動対策としてのステーブルコイン決済・法定通貨への即時転換

価格変動リスクは、受け取る通貨と転換の仕組みを工夫することで抑えられます。1つは、法定通貨に価値を連動させたステーブルコインで受け取る方法です。日本円に連動するステーブルコインは、資金決済法上は電子決済手段として整理されており、価格が安定しているため、受け取り後に円換算額が大きく動く懸念を減らせます。

もう1つは、受け取った暗号資産を即時に日本円へ転換する仕組みを持つサービスを選ぶ方法です。受け取りと同時に日本円へ換算されれば、保有期間中の価格変動の影響を受けにくくなります。自社が価格変動をどこまで許容できるかに応じて、受取通貨の選択と転換のタイミングを決めることが、注意点への現実的な対策になります。

暗号資産・ステーブルコイン決済の適法性と関連法令

暗号資産・ステーブルコイン決済で多くの事業者が最初に気にするのが、「そもそも自社で受け取ってよいのか」という適法性です。結論から言えば、規制の重さは「自社の商品・役務の対価として受け取るだけか」「決済代行を挟むか」で変わります。ここでは資金決済に関する法律(以下、資金決済法)などの条文にもとづいて整理します。

暗号資産・ステーブルコイン決済の適法性を立場別に整理した図解。加盟店が対価として受け取るだけなら暗号資産交換業・電子決済手段等取引業の登録は不要と考えられる。決済代行を挟む場合は前払式支払手段や資金移動業などの規制が事業者側にかかり加盟店は負担しない。円建てステーブルコインを自ら発行する立場は資金移動業者や信託銀行等に限られる別の規制である、と示す。資金決済法にもとづく整理。

加盟店が暗号資産を受け取るだけなら暗号資産交換業の登録は不要

資金決済法は、登録が必要となる「暗号資産交換業」を、次のように定義しています。

この法律において「暗号資産交換業」とは、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、(略)

  • 一 暗号資産の売買又は他の暗号資産との交換
  • 二 前号に掲げる行為の媒介、取次ぎ又は代理
  • 三 その行う前二号に掲げる行為に関して、利用者の金銭の管理をすること。
  • 四 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)。
出典:資金決済に関する法律 第2条第15項|e-Gov法令検索

暗号資産交換業に当たるのは、条文が列挙する「売買・交換」「その媒介・取次ぎ・代理」「利用者の金銭や暗号資産の管理」を業とする場合です。加盟店が商品・役務の対価として暗号資産を受け取る行為はこのいずれにも当たらないため、登録は不要と考えられます。金融庁も、登録が必要になるのは「暗号資産と法定通貨との交換サービスを行う」場合だと説明しており、受け取るだけの加盟店は該当しません。

ステーブルコインは電子決済手段。受け取るだけなら取引業の登録も不要

日本円などの法定通貨に価値を連動させたステーブルコインは、資金決済法上、暗号資産とは別の「電子決済手段」として整理されています。条文では次のように定義されています。

この法律において「電子決済手段」とは、次に掲げるものをいう。

一 物品等を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されている通貨建資産に限り、(略)第三条第一項に規定する前払式支払手段その他これらに類するもの(略)を除く。(略))であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(第三号に掲げるものに該当するものを除く。)

出典:資金決済に関する法律 第2条第5項|e-Gov法令検索

電子決済手段の売買・交換や、その媒介・取次ぎ・代理、他人のための管理を業として行う場合は「電子決済手段等取引業」の登録が必要ですが、これも暗号資産交換業と同じ構造の限定列挙です。加盟店が対価としてステーブルコインを受け取るだけであれば、この列挙のいずれにも当たらず、登録は不要と考えられます

なお、日本円に連動するステーブルコイン(電子決済手段)を発行できるのは、資金移動業の登録を受けた者や信託銀行等に限られており、これは「受け取る」立場の加盟店ではなく「発行する」側にかかる規制です。円建てのデジタルマネーには前払式支払手段として発行されるものもあり、法的な類型は発行のスキームによって異なります。

決済代行を挟む場合と、本人確認義務の所在

自社で直接受け取るだけなら登録が不要でも、決済代行事業者を挟む形態では、その事業者に前払式支払手段や資金移動業などの規制がかかる場合があります。もっとも、これらの規制を負うのは登録を受けた事業者側であり、加盟店が負担するわけではありません。

犯罪による収益の移転防止に関する法律(以下、犯収法)にもとづく取引時確認(本人確認)の義務も、暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者といった登録事業者に課されるもので、対価として受け取るだけの加盟店には及びません。登録された事業者を通す形にすれば、こうした確認や管理を事業者側に委ねられる点が、決済サービスを利用する意味の1つになります。

なお、海外の顧客・取引先との越境決済で受け取る場合は、外国為替及び外国貿易法(外為法)などにもとづく報告や確認が必要になることがあります。取引の規模や態様によって扱いが変わるため、越境で受け入れる際は個別に確認することをおすすめします。

会計・税務と入金オペレーションの実務注意

導入後につまずきやすいのが、受け取った暗号資産・ステーブルコインの会計・税務と、入金の運用です。ここでは、法令・国税庁の資料にもとづいて実務上の注意点を整理します。個別の処理は自社の税理士等に確認したうえで進めてください。

受け取った暗号資産・ステーブルコインの会計処理を3ステップで示した流れ図。STEP1受領時は対価として受け取った時価で売上を計上する(法人税法22条)。STEP2期末はそのまま保有する市場暗号資産を事業年度末に時価法で評価し評価損益を益金・損金に算入する(法人税法61条)。STEP3円転時は受領時に計上した売上額と実際に日本円へ転換した額との差を転換時の損益として計上する。個別の処理は税理士等に確認。

まず売上の計上です。商品・役務の対価として暗号資産・ステーブルコインを受け取った場合、受領時の時価で売上を計上するのが基本的な考え方です。これは法人税法22条の収益の額および一般に公正妥当な会計処理の考え方によるもので、売上計上そのものは一般原則にもとづきます。

受け取った後にそのまま保有する市場暗号資産(活発な市場が存在する暗号資産)については、事業年度末に時価法で評価し、評価損益を益金または損金に算入する必要があります。この期末時価評価は法人税法61条を根拠とし、国税庁も取扱いを示しています。

消費税については、受け取った暗号資産・ステーブルコインを後日、暗号資産交換業者等を通じて譲渡(換金)する場面で扱いが定まっています。国税庁のFAQは、次のように示しています。

国内の暗号資産交換業者を通じた暗号資産の譲渡には、消費税は課されません。

令和5年6月1日以後に国内において行われる電子決済手段の譲渡についても、上記と同様に、支払手段等の譲渡に該当しますので、消費税は非課税となります。

出典:暗号資産及び電子決済手段等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)|国税庁

これは、消費税法上、支払手段およびこれに類するものの譲渡が非課税とされ、暗号資産・電子決済手段が政令で「支払手段に類するもの」に指定されていることが根拠です。非課税取引であるため、暗号資産・ステーブルコインそのものの譲渡には適格請求書(インボイス)の交付は不要ですが、商品・役務の販売自体は通常どおり課税取引となる点は区別して扱います。

入金オペレーションで押さえたいのは、受領時に売上計上した金額と、実際に日本円へ転換したときの金額の差です。両者に差があれば、その差額は転換時の損益として計上します。転換のタイミングをいつにするかで損益の生じ方や入金サイクルが変わるため、いつ・どの金額で円転したかを記録し、経理処理に反映できるようにしておきます。

失敗しない暗号資産・ステーブルコイン決済サービスの選び方

ここからは、自社に合うサービスを絞り込むための観点を解説します。萌芽期の市場のため選択肢は限られますが、だからこそ提供実態や受取通貨の確認が重要になります。

手数料と入金サイクルは自社の粗利に見合うか?

決済手数料は、暗号資産・ステーブルコイン決済を導入する動機の1つです。クレジットカードの手数料と比較して、自社の取引件数・客単価でどの程度の差が出るかを試算します。取引件数が多いほど手数料差の影響は積み重なるため、料率だけでなく、売上が入金されるまでのサイクルや、日本円へ転換する際に別途コストがかかるかまで含めて確認します。少額決済が中心か高額決済が中心かで、効いてくる項目が変わります。

対応通貨・受取通貨は自社の顧客と価格変動方針に合うか?

顧客が支払いたい通貨に対応しているか、自社が受け取りたい通貨で受け取れるかを確認します。注意点で述べた価格変動方針を選定軸に落とすと、価格変動を避けたい事業者はステーブルコイン受取や日本円への即時転換の有無を、幅広い暗号資産を受けたい越境ECは対応通貨・対応チェーンの多さを、それぞれ優先軸に据えることになります。

導入手段は自社の販売チャネルに合うか?

実店舗なら店頭のQRコード決済、ECサイトならショッピングカートへのプラグインやAPI連携と、必要な導入手段は販売チャネルによって異なります。実店舗とECの両方で受け付けたい場合は、両対応のサービスかを確認します。自社で使っているECカートや店舗の決済端末との相性、開発の手間の大きさも、運用開始までの期間を左右する要素になります。

日本での提供実態を確認できるか?

この市場では、海外を中心に展開するサービスや、国内で実証段階のサービスが混在しています。海外のゲートウェイは対応通貨が豊富でも、日本の加盟店向けの提供や日本円での精算に対応していないことがあります。導入を前提に検討する場合は、日本の事業者が契約・利用できるか、日本円で受け取れるか、実証段階なら商用化の見通しを各社に確認します。提供実態の裏づけが取れないサービスは、導入直前でつまずく原因になります

初期・月額費用と運用体制は無理がないか?

手数料だけでなく、初期費用や月額費用の有無も総コストに影響します。あわせて、ウォレットや口座の管理、入金確認、会計処理といった運用を、自社の体制で継続できるかを見ます。運用の手間を抑えたい場合は、日本円への転換や本人確認などを事業者側で代行してくれるサービスが向きます。導入後に無理なく回せる体制かどうかを、費用と一体で判断します

まとめ

暗号資産・ステーブルコイン決済は、クレジットカードの手数料や入金サイクルの負担を見直したい事業者や、訪日客・海外顧客の決済手段を広げたい事業者にとって、新たな選択肢になります。価格変動という懸念は、ステーブルコインでの受け取りや日本円への即時転換で抑えられるようになってきました。

自社の商品・役務の対価として受け取るだけであれば、暗号資産交換業や電子決済手段等取引業の登録は不要と考えられ、会計・税務の扱いも法令・国税庁の資料で整理されています。一方で、国内で現に導入できるサービスは限られ、海外中心のサービスや実証段階のものが混在するため、提供実態の確認が欠かせません。

そのうえで、いま自社が現実に取れる第一歩を業態別に整理すると、次のようになります。

  • 暗号資産・web3ネイティブ/円建てで受けたい:JPYCなどの円建てステーブルコインを軸に、JPYC対応の決済サービスと組み合わせて小さく始めます。ただし国内で使える受入手段はまだ限られるため、対応状況の確認から入ります。
  • 訪日客・越境EC:海外の決済ゲートウェイが選択肢になりますが、日本の加盟店提供・日本円精算の可否を各社に確認したうえで、資料請求や問い合わせで最新の提供状況を押さえます。
  • いずれの業態も:現状は本格導入の前夜です。まず資料請求と各社への問い合わせで最新の提供可否を確かめるのが、いま踏み出せる現実的な第一歩になります。

手数料・対応通貨・受取通貨・導入手段・日本での提供実態という観点で、自社の業態に合うサービスを絞り込むことが、失敗しない導入への近道です。比較表と選定診断ツール、各サービスの資料を活用し、自社の要件に合った暗号資産・ステーブルコイン決済の導入を進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 暗号資産・ステーブルコイン決済とは何ですか?

A. 事業者が、ビットコインなどの暗号資産や、USDC・円建てステーブルコインを支払い手段として受け入れる仕組みです。購入者のウォレットから加盟店の受取先へ送金され、ブロックチェーン上で取引が承認されて決済が成立します。加盟店は価格変動を避けるため受け取りを日本円やステーブルコインへ換算でき、QRコード・ECプラグイン・APIなどで導入します。

Q. ステーブルコインと暗号資産(ビットコインなど)は何が違いますか?

A. 最大の違いは、ステーブルコインが法定通貨に価値を連動させた「電子決済手段」であるのに対し、暗号資産は価格が変動する点です。資金決済法上も、日本円に連動するステーブルコインは暗号資産とは別の「電子決済手段(通貨建資産)」として整理されています。円換算額を安定させたい事業者はステーブルコイン受取が、幅広い通貨を受け付けたい事業者は暗号資産対応が向くなど、受取方針で選ぶ通貨が変わります。

Q. 加盟店が暗号資産・ステーブルコイン決済を受け入れるのに暗号資産交換業などの登録は必要ですか?

A. 加盟店が商品・役務の対価として暗号資産・ステーブルコインを受け取るだけであれば、暗号資産交換業や電子決済手段等取引業の登録は不要と考えられます。登録が必要になるのは、資金決済法が定義する「売買・交換」「その媒介・取次ぎ・代理」「利用者の資産の管理」を業として行う場合で、受け取るだけの加盟店は当たりません。ただし決済代行事業者を挟む形態では、その事業者側に規制がかかる場合があります。

Q. 受け取った暗号資産・ステーブルコインの会計・税務はどう扱いますか?

A. 対価として受け取った暗号資産・ステーブルコインは、受領時の時価で売上に計上するのが基本です。そのまま保有する市場暗号資産(活発な市場が存在する暗号資産)は、事業年度末に時価法で評価し評価損益を益金・損金に算入します。後日、暗号資産交換業者等を通じて換金(譲渡)する取引自体に消費税は課されませんが、商品・役務の販売自体は通常どおり課税取引です。個別の処理は自社の税理士等にご確認ください。

Q. 暗号資産・ステーブルコイン決済で価格変動リスクを抑えるにはどうすればよいですか?

A. 価格変動リスクは、日本円などに連動するステーブルコインで受け取るか、受け取った暗号資産を即時に日本円へ転換する仕組みを持つサービスを選ぶことで抑えられます。ステーブルコインは価格が安定しているため、受け取り後に円換算額が大きく動く懸念を減らせます。自社が価格変動をどこまで許容できるかに応じて、受取通貨と転換のタイミングを決めるのが現実的です。

Q. 暗号資産・ステーブルコイン決済の手数料はクレジットカードより安いですか?

A. 手数料はサービスによって0%台から数%まで幅があり、クレジットカードより低いものもありますが、一律に安いとは言い切れません。料率に加えて初期・月額費用の有無、日本円へ転換する際のコスト、入金までのサイクルも総コストに影響します。取引件数が多いほど手数料差は積み重なるため、自社の取引件数・客単価で試算し、各社の最新の料金条件を確認して比較することが重要です。

Q. 暗号資産・ステーブルコイン決済は日本国内で今すぐ導入できますか?

A. 国内で今すぐ導入できるかはサービスの提供実態によって分かれ、国内で現に申し込めるもの、海外中心で日本の加盟店向け提供が要確認のもの、実証段階のものが混在します。国内の取引所系や一部のステーブルコイン決済は申し込めますが、海外のゲートウェイは日本の加盟店向け提供や日本円精算の可否を各社に確認する必要があります。実店舗向けには実証段階の取り組みもあり、商用化の見通しの確認が欠かせません。

Q. 暗号資産・ステーブルコイン決済の導入にはどのような準備や期間が必要ですか?

A. 導入は決済サービスへの申し込みと加盟店審査・本人確認から始まり、受取通貨の設定、販売チャネルへの決済手段の組み込みという流れで進みます。実店舗ならレジ横にQRコードを表示し、ECサイトならカートへプラグインやAPIを連携させます。導入までの期間は、ECカートや決済端末との相性、開発の手間によって変わります。運用開始後は入金サイクルや日本円への転換のタイミングを確認しながら管理します。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
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