「カストディ(資産管理)サービス」を比較しようと調べ始めて、対象がひとつに定まらず戸惑っていないでしょうか。年金や運用会社の有価証券を預かる信託銀行・カストディ銀行のグローバルカストディ、証券・運用業務を自社で回すための有価証券管理システム、暗号資産やデジタル証券(セキュリティトークン)を分別保管する事業者まで、同じ言葉が指す領域は大きく分かれます。
それぞれ対象資産も、預ける相手も、根拠となる規制も異なります。自社が必要としているのがどの領域のカストディなのかを見極めないまま提供者を比べても、要件に合わない候補を並べてしまいがちです。
本記事では、カストディ(資産管理)サービスを3つの領域に整理したうえで、主要な提供者・サービス10社を対象資産・保管方式・規制・セキュリティ・料金の観点で横断的に比較します。自社に必要な領域を見極め、比較検討の候補を絞り込むための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
カストディ(資産管理)サービスとは?
カストディ(custody)は、投資家や事業者が保有する資産を、本人に代わって安全に保管・管理する業務を指します。有価証券であれば保管・決済・配当や利金の受け取り・議決権行使の取り次ぎまで、暗号資産であれば秘密鍵の管理と分別保管までが含まれます。資産の「運用」そのものではなく、資産を安全に「保管・管理」する機能を担う点が共通します。
ただし、日本語で「カストディ(資産管理)サービス」を調べると、対象とする資産や利用者の違いから、実際には性格の異なる3つの領域が同じ言葉で語られています。まず自社が必要としているのがどれなのかを切り分けることが、提供者選びの出発点になります。
- 有価証券のカストディ(機関投資家向け証券保管・グローバルカストディ):年金・運用会社・機関投資家などが保有する国内外の有価証券を、信託銀行・カストディ銀行が保管・決済・権利処理する領域
- 有価証券管理システム(自社で保有・管理する仕組みの導入):証券・運用業務の残高・評価・決済・会計・レポートを、自社が導入したベンダー製システムや運用プラットフォームで管理する領域
- 暗号資産・デジタル証券(ST)のカストディ:暗号資産交換業者・金融機関・事業会社が、暗号資産やセキュリティトークンを秘密鍵の管理・分別保管によって守る領域
世界のカストディサービス市場は拡大が続いています。国内でも、伝統的な信託銀行による証券保管に加え、暗号資産やデジタル証券を扱う事業者が台頭し、領域の裾野が広がっています。次章では、この3領域をそれぞれ誰が使い、どんな企業に向くのかを整理します。
カストディの3つの領域と、それぞれどんな企業に向くか
ここからは、カストディ(資産管理)サービスの3領域を、対象資産・利用者・向いている企業の観点で解説します。自社がどの領域に当てはまるかを確認してください。保管や管理の具体的な仕組み(信託保管・システム導入・秘密鍵管理)は次章で扱います。
① 有価証券のカストディ(機関投資家向け証券保管・グローバルカストディ)
年金基金・運用会社・機関投資家などが保有する株式や債券などの有価証券を、信託銀行やカストディ(資産管理)専門銀行が預かり、保管・決済・配当や利金の受け取り・議決権行使の取り次ぎ・時価評価やレポートまでを担う領域です。海外の有価証券を対象に、複数の国・市場をまたいで保管・決済を担うものは、グローバルカストディと呼ばれます。
資産の保管を信託の仕組みで担うため、信託業の免許を持つ信託銀行や、資産管理を専門とする信託銀行・カストディ専門銀行が中心的な担い手です。自社で大量の有価証券を保有・運用し、国内外の市場で決済や権利処理を正確に回す必要がある年金・運用会社・機関投資家に向いています。
② 有価証券管理システム(自社で保有・管理する仕組みの導入)
証券会社・運用会社・信託銀行・事業会社などが、有価証券や投資信託の残高・約定・時価評価・決済・会計・レポートを自社で管理するために導入する、ベンダー製のシステムや運用プラットフォームの領域です。第三者に資産を預ける「保管」ではなく、自社の資産管理業務を支える「仕組み」を選ぶ点が①と異なります。
証券・運用業務のバックオフィスを自社で内製したい、あるいは制度改正や商品の多様化に追従できる管理基盤を持ちたい金融機関・運用会社に向いています。導入形態はパッケージ・共同利用・クラウドなど製品により幅があります。
③ 暗号資産・デジタル証券(ST)のカストディ
暗号資産交換業者・金融機関・事業会社などが、暗号資産やデジタル証券(セキュリティトークン)を安全に保管・管理するための領域です。ブロックチェーン上の資産は、資産を動かすための秘密鍵をどう守るかが保管の核心になるため、秘密鍵の分別管理・アクセス制御・承認フローを備えた専用のウォレットシステムやカストディ事業者が使われます。
暗号資産を取り扱う交換業者、暗号資産やステーブルコイン・デジタル証券を事業に組み込む金融機関・事業会社に向いています。後述のとおり、日本では暗号資産の保管を業として担うこと自体が資金決済法上の規制対象で、規制やセキュリティの要件が①②とは異なる観点で問われます。
この領域が自社に該当するか判断する前提として、デジタル証券(セキュリティトークン)そのものの仕組みやメリット、発行事例を押さえておきたい場合は、以下の記事で基礎から整理しています。

デジタル証券(セキュリティトークン)とは?その仕組みとメリットを解説
「デジタル証券」(セキュリティトークン)という言葉を耳にしたことはありますか?これらは、従来の証券取引に比べて、はるかに効率的で透明性が高い新しい投資手段です。 これまで、証券取引といえば、仲介業者や金融機関を通すのが当たり前でした。そのた…
保管・管理方式の違い(信託保管・システム導入・秘密鍵管理)
ここからは、3領域で根本的に異なる「資産の守り方」を整理します。方式の違いを押さえると、比較すべき観点が領域ごとに変わる理由が見えてきます。
信託保管(信託の仕組みで資産を分別する)
領域①では、信託銀行が信託の仕組みを用いて顧客の有価証券を預かります。信託された資産は受託者である信託銀行自身の財産と法律上分別されるため、万一の場合でも顧客資産が受託者の債権者から切り離される保全効果が働きます。信託業は内閣総理大臣の免許または登録を受けた者が営む業と定められており、担い手が制度的に限定されています。
システム導入(自社で管理基盤を持つ)
領域②では、資産を第三者に預けるのではなく、自社が導入したシステムで残高・評価・決済・会計を管理します。守るべきは資産そのものというより、データの正確性・可用性と業務プロセスです。したがって比較の観点は、対応商品種別・制度改正への追従・既存システムとの連携・運用体制など、システム選定の観点が中心になります。
秘密鍵管理(HSM・MPC・マルチシグ)
領域③では、ブロックチェーン上の資産を動かす秘密鍵をどう守るかが保管の中心です。実装技術としては、鍵をハードウェア機器(HSM)内で扱う方式、鍵を複数に分割して単独では復元できないようにする方式(MPC)、複数の署名を必要とするマルチシグなどがあります。あわせて、秘密鍵を常時インターネットに接続しない機器で保管する運用(コールドウォレット)が基本となります。
これらは実装技術であり、次章で述べる法令上の要件とは区別して理解する必要があります。
暗号資産・デジタル証券カストディの規制とセキュリティ
3領域のうち、規制の観点で特に確認が必要なのが領域③です。暗号資産とデジタル証券(セキュリティトークン)は、日本では別々の法律で扱われ、保管を担う事業者に課される要件も異なります。ここでは制度上の位置づけと、利用者資産を守るための要件を、法令の条文にもとづいて整理します。
規制上の位置づけ(資金決済法・金融商品取引法)
暗号資産の保管は、資金決済に関する法律(資金決済法)で「暗号資産の管理」として定義され、これを業として行うことは暗号資産交換業に位置づけられます。売買や交換を伴わず、他人のために暗号資産を保管するだけでも規制の対象となる点が実務上の要点です。
四 他人のために暗号資産の管理をすること(当該管理を業として行うことにつき他の法律に特別の規定のある場合を除く。)。
出典:資金決済に関する法律 第2条第15項第4号|e-Gov法令検索
この「暗号資産の管理」を暗号資産交換業として取り込む枠組みは、2019年(令和元年)の資金決済法改正で導入され、2020年5月1日に施行されました。暗号資産を業として保管する事業者は、内閣総理大臣(金融庁)への暗号資産交換業の登録が必要です。
一方、デジタル証券(セキュリティトークン)は暗号資産とは別の枠組みで扱われます。資金決済法は「暗号資産」の定義から金融商品取引法上の権利を表示するものを除いており、両者は制度上切り分けられています。ブロックチェーン等で移転できるようトークン化された有価証券は、金融商品取引法の「電子記録移転権利」に該当し、有価証券として開示規制などの対象になります。
……電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示される場合(流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。)に限る。以下「電子記録移転権利」という。
出典:金融商品取引法 第2条第3項|e-Gov法令検索
また、トークン化された有価証券を包括して指す「電子記録移転有価証券表示権利等」という用語は、金融商品取引法の本体ではなく金融商品取引業等に関する内閣府令で定められた語です。つまり、暗号資産は資金決済法、デジタル証券は金融商品取引法と、根拠法から異なります。自社が扱う資産がどちらに当たるかで、選ぶべき提供者と確認すべき登録・免許が変わります。
出典・参考資料(3件)
セキュリティ・分別保管の要件
暗号資産交換業者には、利用者から預かった資産を自己の資産と分けて管理する分別管理が法律で義務づけられています。利用者の金銭は信託会社等への信託により、暗号資産は自己の暗号資産と分別したうえで、内閣府令で定める方法により管理しなければならないと定められています。
2 暗号資産交換業者は、その行う暗号資産交換業に関して、内閣府令で定めるところにより、暗号資産交換業の利用者の暗号資産を自己の暗号資産と分別して管理しなければならない。……当該暗号資産交換業者は、利用者の暗号資産(……)を利用者の保護に欠けるおそれが少ないものとして内閣府令で定める方法で管理しなければならない。
出典:資金決済に関する法律 第63条の11|e-Gov法令検索
ここでいう「内閣府令で定める方法」の実体が、秘密鍵を常時インターネットに接続していない機器などに記録して管理する方法、いわゆるコールドウォレットによる管理です。暗号資産交換業者に関する内閣府令は、利用者の暗号資産の移転に必要な情報を「常時インターネットに接続していない電子機器……その他の記録媒体」に記録して管理する方法などを求めています。
前章で挙げたHSM・MPC・マルチシグは、この要件を満たすための実装技術にあたります。分別保管は事業者の任意ではなく法定の義務である点が、利用者にとっての安心材料になります。
登録審査や分別管理・セキュリティの運用解釈については、金融庁が事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係「16 暗号資産交換業者関係」)で監督上の考え方を示しています。提供者を比較する際は、暗号資産交換業の登録の有無に加えて、こうした監督実務に沿った運用体制が備わっているかも確認したい観点です。
出典・参考資料(3件)
自社に合うカストディの選び方
ここからは、領域を問わず共通して確認したい選定の観点を整理します。まず自社が該当する領域を見極め、そのうえで各観点を自社の要件に当てはめて候補を絞り込んでください。
対象資産:自社が保管・管理したいのが有価証券か、暗号資産か、デジタル証券かをまず確定することが出発点になります。対象資産が決まれば、前章までで整理した領域と、必要な登録・免許(信託業の免許か、暗号資産交換業の登録か)が定まります。複数種類の資産を扱う場合は、どこまでを1つの提供者でまかなうかも検討しておきたいところです。
規制・免許と準拠基準:暗号資産を預けるなら暗号資産交換業の登録、有価証券の信託保管なら信託業の免許といった、法令上の資格を満たしているかを確認することが欠かせません。あわせて、金融情報システムセンター(FISC)の安全対策基準やISO/IEC 27001、SOC報告書といった業界標準・第三者認証への準拠状況も見ますが、これらは法令上の登録・免許とは別のものとして区別して押さえておく必要があります。
セキュリティ:暗号資産カストディでは秘密鍵の管理方式(コールドウォレット運用、鍵の分割やマルチシグ)と分別管理の実装、保険の有無が確認したい点です。有価証券管理システムでは、データの可用性・災害対策・アクセス制御が中心の観点になります。
料金・サポート・導入実績:料金は非公開で個別見積もりとなる提供者が多いため、公開情報だけで判断せず要問い合わせを前提に比較するのが現実的です。導入後の運用サポート体制や、自社と近い規模・業種での導入実績も、実務での使い勝手を見極める材料になります。
外部委託・システム導入・内製のどれが妥当か
そもそも資産の保管・管理をどう持つべきかを決めきれていない場合は、次の視点で整理すると判断しやすくなります。自社に保管の免許・体制がなく、資産の保全を第三者に委ねたいなら、信託銀行や暗号資産カストディ事業者への外部委託が選択肢になります。業務プロセスを自社で回しつつ効率化したいなら、有価証券管理システムの導入が中心です。
規制対応や専門人材の確保まで自社で完結できる大規模な体制があるなら内製も選べますが、規制の変化への追従と運用負荷が継続的にかかる点を織り込む必要があります。
カストディの料金・費用の考え方
ここでは、領域ごとに料金の見方が異なる点を整理します。いずれの領域も、機関・法人向けのため料金は個別見積もりとなることが多く、公開されている金額は限られます。
有価証券管理システムの導入では、初期費用と月額利用料に加えて、データ配信料・既存データの移行費用・保守・制度改定対応の費用などが積み上がります。総額は対応範囲や連携の有無で大きく変わるため、見積もりの際は運用開始後にかかる費用まで含めて比較することが重要です。
信託銀行によるカストディや暗号資産カストディは、預かり資産の規模や取引内容に応じた個別の料金体系が一般的で、公開料金表がないケースがほとんどです。料金の詳細は各提供者への問い合わせで確認してください。
このように料金や要件が非公開・個別見積りのことが多く、自社に合う領域と提供者の当たりを付けにくい場合があります。そこで、扱う資産や利用主体から適した領域・提供者を絞り込める選定診断ツールを以下にご用意しました。
主要カストディ提供者・サービスの比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、主要なカストディ(資産管理)サービス10製品を、3つの領域別に分類してご紹介します。対象資産・保管方式・規制や免許・セキュリティ・料金の目安・日本での提供実態を横並びで確認してください。
① 有価証券のカストディ(機関投資家向け証券保管・グローバルカストディ)の比較
| サービス名 | 日本カストディ銀行 | 三井住友信託銀行 グローバルカストディ |
|---|---|---|
| 対象資産 | 国内外の有価証券 (株式・債券等) | 海外有価証券 (グローバルカストディ) |
| 保管・管理方式 | 信託保管 (受託資産を分別管理) | 信託保管 (現地法人経由・基盤業務は日本カストディ銀行へ再信託) |
| 規制・免許・準拠 | 信託銀行(信託業免許) 金融庁監督下 | 信託銀行(信託業免許) 金融庁監督下 |
| セキュリティ | 信託による分別管理 JCR格付AA+(安定的) ISO/SOC等の認証は非公表 | 信託による分別管理 ISO/SOC等の認証は非公表 |
| 料金の目安 | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) |
| 日本での提供実態 | 国内で提供 (機関投資家向けBtoB専業) | 国内から提供 日本語24時間サポート |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年9月時点の各社公式情報等に基づきます。最新の対応範囲・料金は各社公式ページをご確認ください。料金が非公開のサービスは「非公開(要問い合わせ)」と記載しています。
② 有価証券管理システム(自社で保有・管理する仕組みの導入)の比較
| サービス名 | XNETサービス(エックスネット) | NRI 資産運用ソリューション | Aladdin(BlackRock) |
|---|---|---|---|
| 対象資産 | 株式・債券などの有価証券 (投資信託の計理業務にも対応) | 投資信託・株式・債券・外国証券・デリバティブ等 | 株式・債券・為替・デリバティブ・オルタナティブ等のマルチアセット |
| 保管・管理方式 | 有価証券管理システムの提供・BPO (資産の第三者保管ではない) | 共同利用型ASP(システム提供)+BPO (資産の第三者保管ではない) | 運用・リスク・会計の統合プラットフォーム (資産保管は外部カストディアンが担う) |
| 規制・免許・準拠 | —(システム提供) IFRS対応機能あり | —(システム提供) GIPS準拠支援・インボイス制度対応 | —(システム提供) GAAP・IFRS等のマルチ会計基準/GIPS準拠に対応 |
| セキュリティ | プライバシーマーク取得・CISO設置 (ISO27001等は公式サイト上で確認できず) | 権限管理・ログイン履歴管理・耐災害構成 (ISO27001等は公式サイト上で確認できず) | — (ISO27001等は公式サイト上で確認できず) |
| 料金の目安 | 要問い合わせ (月額定額制と説明。金額は非公開) | 要問い合わせ (初期・月額とも非公開) | 要問い合わせ (個別見積もり。金額は非公開) |
| 日本での提供実態 | 国内企業が直接提供 機関投資家約180社が導入(生損保中心) | 国内企業が直接提供 投信・証券バックオフィスで広く導入 | ブラックロック・ジャパンが窓口 信託銀行経由の間接利用ルートもあり |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※ 上記3サービスは、資産を第三者として保管するカストディアンではなく、有価証券の運用・管理業務を担う「自社導入型のシステム/プラットフォーム」です。料金はいずれも非公開のため、金額は各社への問い合わせが必要です(2026年9月時点)。各項目は各社公式サイトの公開情報に基づきます。
③ 暗号資産・デジタル証券(ST)のカストディの比較
| サービス名 | Ginco Enterprise Wallet | SETTLENET CUSTODY | Komainu | Fireblocks | BitGo |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象資産 | 暗号資産 (対応通貨62種類以上・2024年9月時点) | 暗号資産(デジタルアセット) (対応資産の一覧は非公開。ステーキングはETH対応) | 暗号資産 (40以上のチェーン・6,000以上のトークン) | 暗号資産・ステーブルコイン (150のパブリックチェーン・2026年2月時点) | 暗号資産 (1,550以上・2025年9月時点、SEC提出書類) |
| 保管・管理方式 | コールド/ホット両対応の業務用ウォレット 秘密鍵をHSMと専用署名端末に分散(署名端末は完全オフライン)・マルチシグ対応 | 顧客ごとに分別保管する口座で管理 (鍵管理の技術方式は非公開。OES機能あり) | 倒産隔離した分離オンチェーンウォレット MPC+HSMによる鍵管理 | MPCベースの鍵管理インフラ 顧客自身が鍵を管理するself-custody型(規制対象カストディは別法人Fireblocks Trust) | 規制信託でコールドストレージ保管 (100%コールド・破産隔離)。マルチシグとMPCを資産特性で使い分け |
| 規制・免許・準拠 | ウォレットシステムの提供事業者 (暗号資産交換業の登録は導入する交換業者・金融機関側が保有) | 暗号資産交換業の登録あり (関東財務局長第00029号) | 日本の登録なし 海外はJFSC(ジャージー)・VARA(ドバイ)・FCA(英国)等で登録・ライセンス | 日本の暗号資産交換業登録なし 規制下カストディは別法人Fireblocks Trust(米NYDFS認可) | 日本の暗号資産交換業登録なし 米OCC国法信託銀行(BitGo Bank & Trust)・NYDFS・MAS・VARA・BaFin等 |
| セキュリティ | ISO/IEC 27001・SOC2 Type II(いずれも社本体で保有) ※2025年1月に自社インフラへのサイバー攻撃を公表(詳細は個別紹介を参照) | 分別保管口座に保険付保 (保険会社名・上限額は非公開)・第三者認証は非公開 | ISO 27001・ISAE 3402 Type 1 保険プログラムあり(内容は非公開) | SOC2 Type II・ISO 27001他・CCSS QSP Level 3 保険付保(保険会社名・上限額は非公開) | SOC2 Type2監査・CCSS Level 3 保険最大2.5億ドル(Lloyd’s等・コールド保管分に限定) |
| 料金の目安 | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) | 非公開(要問い合わせ) | Essentials 月額999ドル(最大6か月) Custom 年額36,000ドル〜 | 非公開(要問い合わせ) (取引手数料は25/20bpsを開示) |
| 日本での提供実態 | 国内で提供 (暗号資産交換業者・金融機関向け。信託銀行との協業実績あり) | 国内で提供 (2023年4月〜。登録済みの国内事業者) | 協業合意のみ(2023年11月・Crypto Garage) 国内での商用提供は未確認 | 2024年12月に東京オフィス開設 国内窓口はマクニカ。交換業への提供実績を公式表明 | 国内は間接採用モデル(HashHub等が技術採用) BitGoによる直接提供は未確認 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年9月時点の各社公式情報等に基づきます。最新の対応範囲・料金は各社公式ページをご確認ください。料金が非公開のサービスは「非公開(要問い合わせ)」と記載しています。
サービス個別紹介
ここからは、主要な提供者を領域別に個別紹介します。自社が該当する領域から読み進めてください。
① 有価証券のカストディ(機関投資家向け証券保管・グローバルカストディ)
年金・運用会社・機関投資家の有価証券を、信託の仕組みで保管・決済・権利処理する提供者です。
1. 日本カストディ銀行(株式会社日本カストディ銀行)

三井住友トラストグループ系とみずほフィナンシャルグループ系の資産管理専門信託銀行が2020年7月に統合して発足した、資産管理業務に特化した信託銀行です。年金基金・投資信託委託会社・信託銀行などの機関投資家から、株式や債券といった有価証券の保管・決済・権利処理事務の委託を受けます(個人向けサービスは扱わないBtoB専業)。
信託財産総額476兆円、口座管理業務等を含む総預かり資産696兆円(2025年3月末時点)を管理する、国内最大級の資産管理専門銀行です。三井住友トラストグループ・みずほフィナンシャルグループ・りそな銀行の3グループと生命保険会社が株主に名を連ね、特定の運用会社・証券会社の系列に偏らない中立的な位置付けにあります。
証券の保管・決済にとどまらず、店頭デリバティブ取引の担保管理、証券レンディング、ファンド管理事務まで、資産管理に付随する事務を一括して受託しています。日本格付研究所(JCR)からは長期発行体格付AA+(安定的)、短期格付J-1+の評価を受けています。料金は機関投資家向けの個別契約のため公開されておらず、個別の問い合わせが必要です。
② 有価証券管理システム(自社で保有・管理する仕組みの導入)
証券・運用業務の残高・評価・決済・会計・レポートを自社で管理するための、ベンダー製システム・運用プラットフォームです。
2. XNETサービス(株式会社エックスネット)

株式会社エックスネットが、生命保険会社・損害保険会社・信託銀行・投資信託会社・投資顧問会社などの機関投資家向けに提供する有価証券管理システムです。有価証券の発注・約定から残高管理、時価評価、会計仕訳、投資信託の計理までを、月額定額のサブスクリプション型で外部に委託できます。
フロント(発注・約定)からミドル(残高管理・リスク計測・運用パフォーマンス測定)、バック(時価評価・会計仕訳)までを単一の枠組みで担う点が特徴です。導入実績は約180社、顧客数は160社超で、バックオフィス業務を自社開発せずに整えたい金融機関に向いています。
料金は月額定額制と説明されているものの、初期費用・月額費用とも公開されていないため、導入時は要問い合わせで確認してください。
3. NRI 資産運用ソリューション(株式会社野村総合研究所)

投信・証券のバックオフィス業務を共同利用型(ASP)で支える、株式会社野村総合研究所(NRI)のシステム群です。投資信託の信託財産管理を担う「T-STARファミリー」と、ホールセール証券のバックオフィス・カストディ業務を支援する「I-STARファミリー」を中心に、投信会社・信託銀行・証券会社・資産運用会社を対象としています。
投信バックオフィスのT-STAR/TXは投信会社・信託銀行88社が採用し、証券バックオフィスのI-STAR/COREは1987年の提供開始以来のべ100社以上に導入されています。システム提供に加えて、子会社のNRIプロセスイノベーションが資産運用会社向けのBPO(業務委託)も受託しており、システムと運用の両面を委ねられる点が特徴です。
料金はいずれのソリューションも公開されておらず、要お問い合わせとなります。共同利用型でサーバーの保守・運用をNRI側に委ねられるため、運用負荷を抑えながら投信・証券のバックオフィスを整えたい金融機関に向いています。
4. Aladdin(BlackRock/ブラックロック・ジャパン株式会社)

Aladdin(アラディン)は、資産の保管・決済そのものを担うカストディアンではなく、BlackRock(ブラックロック)が開発・提供する資産運用テクノロジープラットフォームです。ポートフォリオ管理・リスク分析・トレーディング・オペレーション・投資会計を、共通のデータ基盤上で一元的に扱います。日本ではブラックロック・ジャパン株式会社が窓口となります。
部門や海外拠点をまたいで同一のデータを共有し、重複入力や事務リスクを抑える設計です。導入実績は国内外450社以上・13万人のユーザーとされ、資産運用会社・保険会社・年金基金・銀行など運用業務に携わる金融機関を対象としています。
日本国内では、三菱UFJ信託銀行と日本マスタートラスト信託銀行がAladdinを基盤とした資産運用BPOサービスを提供しており、直接契約のほか信託銀行経由で間接的に機能を利用する経路もあります。料金は公開されておらず、個別見積もりとなります。
③ 暗号資産・デジタル証券(ST)のカストディ
暗号資産やデジタル証券を、秘密鍵の分別管理・アクセス制御によって保管する提供者です。日本での提供形態(直接提供か協業経由かなど)にも注目して確認してください。ここで紹介するのは暗号資産の保管・鍵管理を主軸とする提供者です。
金融商品取引法上の有価証券にあたるセキュリティトークン(デジタル証券)の保管は、現状は信託銀行の信託スキームやデジタル証券の発行・記録基盤と組み合わせて担われる例が中心で、専業の担い手はこれから広がる領域です。
5. Ginco Enterprise Wallet(株式会社Ginco)

株式会社Gincoが開発・提供する、暗号資産交換業者や金融機関向けの業務用ウォレットシステムです。秘密鍵をHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)と、完全にオフラインで保管する専用の署名端末に分散して管理し、利用者を生体認証で識別します。コールドウォレットとホットウォレットの両方に対応します。
送金業務はトランザクションの作成・署名・内部承認・ブロードキャストの工程に分割され、各担当者が管理範囲外の工程を進められないよう権限が分散されます。送金先を登録済みアドレスに限定するホワイトリスト送金や、署名に必要な鍵数を調整できるマルチシグ(2-of-3、3-of-5など)にも対応します。
情報セキュリティの国際規格ISO/IEC 27001(2022年取得・2025年3月更新)とSOC2 Type II(2025年2月受領)を会社本体で保有しています。料金は要問い合わせです。
2025年1月には、同社が自社サービスへのサイバー攻撃を公表し、本ウォレットを構成するインフラの一部が侵害を受け、株式会社DMM Bitcoinの正規の取引指図に不正なデータが加えられたと説明しています。被害の規模については複数の報道が約482億円・約4,502.9BTCと伝えていますが、これらの金額や数量は公式発表には記載されていません。
インシデント後の対応や現在の運用状況は、選定の判断材料として公式発表を確認することをおすすめします。
6. SETTLENET CUSTODY(株式会社Crypto Garage)

法人向けデジタルアセット金融サービス群「SETTLENET」のうち、保管・管理を担うサービスで、株式会社Crypto Garageが2023年4月から提供しています。同社は資金決済法にもとづく暗号資産交換業の登録(関東財務局長第00029号)を持つ規制対象事業者です。富裕層・ファミリーオフィス、Web3・NFT関連の事業法人、デジタルアセットファンドの運用会社を対象顧客に挙げています。
顧客のデジタルアセットを顧客ごとに分別して保管し、分別保管口座には保険を付保しています(保険会社名・上限額は非公開)。保管中のイーサリアム(ETH)を保有したままステーキング報酬を得られる機能や、取引所を介さずに決済してカウンターパーティリスクを抑えるOES(Off Exchange Settlement)機能を備えます。運営会社は東証プライム上場のデジタルガレージの子会社です。
料金は要問い合わせです。
同社は2026年6月には、NECと国産のデジタル資産カストディシステムの共同開発に向けた協業を発表していますが、これは2027年中の稼働を見込む開発段階の別案件であり、現在提供中のSETTLENET CUSTODYとは異なります。
7. Komainu(Komainu Holdings Limited)

野村ホールディングス(現在はデジタル資産子会社Laser Digital経由)・CoinShares・Ledgerの3社が2018年に設立し、2020年6月に稼働した、機関投資家向けデジタル資産カストディの専業事業者です。本社はジャージー島に置かれています。顧客資産を倒産隔離された分離オンチェーンウォレットで保管し、鍵管理にはMPC(マルチパーティ計算)とHSMを用います。
カストディ内の資産を移動させずにトレーディングや貸借へアクセスできるKomainu Connect、資産を保管したまま報酬を得るステーキング、担保化機能のCOREなどを揃えます。対応範囲は40以上のブロックチェーンと6,000以上のトークンにおよび、ジャージー金融サービス委員会(JFSC)やドバイのVARA、英国FCAなど複数の法域で規制当局への登録・ライセンス取得を進めています。
料金は要問い合わせです。
日本市場については、2023年11月に株式会社Crypto Garageとの協業合意を発表していますが、2026年9月時点で、実際にサービス提供が始まったことを確認できる公式情報はありません。国内での利用を検討する場合は、契約形態や提供状況を個別に確認する必要があります。
8. Fireblocks(Fireblocks Ltd.)

Fireblocksは、MPC(マルチパーティ計算)を基盤とする鍵管理・ウォレットインフラを機関投資家向けに提供する企業です。中核となるのは顧客企業が自ら秘密鍵を管理するための技術基盤で、Fireblocks自身が顧客資産を保有・移動する権限は持ちません。
規制下の適格カストディは、別法人でニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の認可を受けたFireblocks Trust Company, LLCが担います。
承認ワークフローを細かく設計できるPolicy Engineや、2,400以上の機関が参加する送金・決済ネットワークのFireblocks Networkを備え、2026年2月時点で150のパブリックブロックチェーンに対応します。認証はSOC2 Type IIやISO/IEC 27001をはじめ複数を取得しています。
料金はEssentialsプランが月額999ドル(最大6か月)、Customプランが年額36,000ドルからです。
日本では2024年12月に東京オフィスを開設し、国内の問い合わせ窓口はマクニカ(Macnica)が務めています。公式には、国内の暗号資産交換業への提供実績があるとしています。
9. BitGo(BitGo Inc.)

BitGoは、規制カストディ(Qualified Custody)やマルチシグ・MPCウォレット、ステーキング、取引所を介さない決済網Go Networkなどを機関投資家向けに提供するデジタル資産インフラ企業です。2013年にビットコイン向けのマルチシグウォレットを商用化し、UTXO型の資産にはマルチシグ、アカウント型の資産にはMPCと、資産の特性に応じて鍵管理方式を使い分けます。
顧客資産を破産隔離した信託主体でコールドストレージ保管し、コールドストレージ資産には最大2億5,000万ドルの保険(Lloyd’s of London等の引受)を付保しています。2025年12月には中核の信託会社が米通貨監督庁(OCC)の承認を得て国法信託銀行BitGo Bank & Trust, N.A.へ転換し、2026年1月にはニューヨーク証券取引所へ上場しました(ティッカー:BTGO)。
日本では、BitGo Japan株式会社という登記法人の存在は確認できるものの、事業内容や金融庁の登録の有無は公式に確認できていません。国内ではHashHubがBitGoの適格カストディを採用した事例があるように、事業者がBitGoの技術を自社サービスの基盤として採用する間接的な形が中心とみられ、BitGoが国内で直接カストディを提供していることは確認できていません。料金は要問い合わせです。
まとめ
カストディ(資産管理)サービスは、有価証券のカストディ、有価証券管理システム、暗号資産・デジタル証券のカストディという3つの領域に分かれ、対象資産・保管方式・根拠となる規制がそれぞれ異なります。まず自社が扱う資産からどの領域に当てはまるかを見極め、そのうえで規制・免許・セキュリティ・料金・導入実績の観点で候補を比較することが、失敗しない選び方の基本です。
特に暗号資産・デジタル証券の領域では、暗号資産交換業の登録や分別管理といった法令上の要件を満たしているかが前提条件になります。自社の要件を整理したうえで、複数の提供者から資料を取り寄せて比較検討を進めてください。
よくある質問(FAQ)
Q. カストディ(資産管理)サービスとは何ですか?
A. カストディ(資産管理)サービスとは、投資家や事業者が保有する資産を、本人に代わって安全に保管・管理する業務やその提供者を指します。有価証券であれば保管・決済・配当や利金の受け取り・議決権行使の取り次ぎまで、暗号資産であれば秘密鍵の管理と分別保管までを担います。
日本語では、①機関投資家向けの証券保管(グローバルカストディ)、②有価証券管理システム、③暗号資産・デジタル証券のカストディという、性格の異なる3つの領域が同じ言葉で語られます。そのため、まず自社が必要とするのがどの領域かを切り分けることが提供者選びの出発点になります。
Q. グローバルカストディとは何ですか?通常のカストディと何が違いますか?
A. グローバルカストディとは、海外の有価証券を対象に、複数の国・市場をまたいで保管・決済・権利処理を担うカストディです。年金基金・運用会社などの機関投資家が海外の株式や債券に投資する際、各国の市場ごとに個別の保管体制を持たなくても、単一の窓口で国内外の証券をまとめて保管・決済できる点が特徴です。
国内の証券だけを対象とする保管と異なり、複数の法域の決済・権利処理に対応する必要があるため、担い手は信託業の免許を持つ信託銀行・カストディ銀行が中心となります。
Q. 有価証券管理システムと信託銀行のカストディは何が違いますか?
A. 信託銀行のカストディが資産そのものを第三者(信託銀行)に預けて保管を委ねる仕組みであるのに対し、有価証券管理システムは資産を自社で保有したまま、残高・評価・決済・会計などの管理業務を支える仕組みを導入するものです。前者では顧客資産が信託の仕組みで受託者の財産と法律上分別され、保全効果が働きます。
後者で守るべきは資産そのものというより、データの正確性・可用性と業務プロセスであり、比較の観点も対応商品種別・制度改正への追従・既存システムとの連携など、システム選定の観点が中心になります。
Q. 暗号資産のカストディを事業として行うには、どのような登録が必要ですか?
A. 暗号資産を業として保管・管理する事業者は、資金決済法上の暗号資産交換業として、内閣総理大臣(金融庁)への登録が必要です。資金決済法は「他人のために暗号資産の管理をすること」を暗号資産交換業に位置づけており(第2条第15項第4号)、売買や交換を伴わず預かるだけでも規制の対象になります。この枠組みは2019年(令和元年)の資金決済法改正で導入され、2020年5月1日に施行されました。
暗号資産カストディの提供者を選ぶ際は、この登録の有無が前提条件になります。
Q. セキュリティトークン(デジタル証券)の保管は、暗号資産のカストディと何が違いますか?
A. セキュリティトークン(デジタル証券)は金融商品取引法上の有価証券として扱われ、資金決済法で規制される暗号資産とは根拠法が異なります。資金決済法は「暗号資産」の定義から金融商品取引法上の権利を表示するものを除いており、両者は制度上切り分けられています。
ブロックチェーン等で移転できるようトークン化された有価証券は、金融商品取引法の「電子記録移転権利」に該当し、有価証券としての開示規制などの対象になります。自社が扱う資産がどちらに当たるかで、確認すべき登録・免許と選ぶべき提供者が変わります。
Q. カストディにおける分別管理・コールドウォレットとは何ですか?
A. 分別管理とは、事業者が利用者から預かった資産を自己の資産と分けて管理することで、暗号資産交換業者には資金決済法で義務づけられています。コールドウォレットとは、秘密鍵を常時インターネットに接続していない機器などに記録して管理する運用を指します。
資金決済法第63条の11は、利用者の暗号資産を自己の暗号資産と分別し、内閣府令で定める方法で管理するよう求めており、その方法の実体がコールドウォレットによる管理です。前章で挙げたHSM・MPC・マルチシグは、この要件を満たすための実装技術にあたります。分別保管は事業者の任意ではなく法定の義務である点が、利用者にとっての安心材料になります。
Q. カストディ(資産管理)サービスの料金・手数料の目安はどのくらいですか?
A. いずれの領域も機関・法人向けのため、料金は預かり資産の規模や取引内容に応じた個別見積もりとなることが多く、公開されている金額は限られます。有価証券管理システムの導入では、初期費用と月額利用料に加えて、データ配信料・既存データの移行費用・保守・制度改定対応の費用などが積み上がり、総額は対応範囲や連携の有無で大きく変わります。
信託銀行によるカストディや暗号資産カストディは、公開料金表がないケースがほとんどです。運用開始後にかかる費用まで含めて、各提供者への問い合わせで比較してください。
Q. 海外のカストディ事業者は日本国内でも利用できますか?
A. 海外のデジタル資産カストディ事業者は、国内事業者との協業や技術基盤の採用という間接的な形で使われることが多く、日本で直接カストディを提供しているかは事業者ごとに個別の確認が必要です。暗号資産を業として保管・管理するには日本国内で暗号資産交換業の登録が必要となるため、海外事業者がそのまま直接提供しているとは限りません。
実際、国内では海外事業者の技術を自社サービスの基盤として採用する事例が中心で、直接提供の有無や契約形態は各社の公式情報で確かめる必要があります。
Q. 資産の保管・管理は、外部委託・システム導入・内製のどれを選ぶべきですか?
A. 自社に保管の免許・体制がなく資産の保全を第三者に委ねたいなら外部委託、業務プロセスを自社で回しつつ効率化したいならシステム導入、規制対応や専門人材まで自社で完結できる大規模な体制があるなら内製が選択肢になります。外部委託では信託銀行や暗号資産カストディ事業者に保管を委ねられ、システム導入では有価証券管理システムでバックオフィスを整えられます。
内製は自由度が高い一方、規制の変化への追従と運用負荷が継続的にかかる点を織り込む必要があります。まず自社が該当する領域と扱う資産を確定したうえで、この3つの持ち方を比べると判断しやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。











