3rd party cookie の段階的廃止、CACの上昇、既存顧客のLTV伸び悩み。これらが同時に押し寄せる中で、従来型のリターゲティング広告と単発SNSキャンペーンだけでは顧客との継続的な関係を築きにくくなっています。
NFT・SBT・トークングラフといったWeb3技術を用いたマーケティング施策は、この課題への具体的な処方箋として、消費財・小売・エンタメ・観光など幅広い業種で本格導入が進んでいます。
一方で、Web3マーケティング支援サービスはロイヤリティ基盤/広告配信/専業コンサルティングと機能軸が大きく分かれ、料金体系や連携チャネル(LINE/EC/自社アプリ)、ノーコード運用の可否も各社で異なります。自社の目的と体制に合わないサービスを選ぶと、NFTを配布して終わりの単発施策になり、稟議で示した効果に届きません。どのタイプの支援サービスを、どの観点で選ぶべきでしょうか。
Web3マーケティング支援サービスは、ロイヤリティ・会員基盤/広告配信・トークン配布アドネットワーク/Web3マーケ専業コンサル・代理店の3タイプに大別できます。本記事では11のサービスを比較表・診断ツール・タイプ別の紹介で整理し、選定観点・導入事例・関連法令までまとめてお届けします。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。目的タイプ・連携チャネル・予算・運用体制の設問に答えるだけで、11サービスから最適な候補が絞り込まれます。
目次
Web3マーケティングとは?
Web3マーケティングは、NFT・SBT・トークン・オンチェーンウォレットといったパブリックブロックチェーン基盤の技術を用いて、顧客との継続的な接点を作り、購買や来場などの行動履歴を検証可能な形で残し、次の施策に活用するマーケティング手法です。
従来のCookieや会員IDに依存した「事業者側が顧客データを一元的に保有・管理する」構造から離れ、顧客自身がウォレットに保有するオンチェーン資産(NFT/トークン)を通じてブランドとつながる、顧客主権型のCRM設計に近づきます。
Web3マーケティングの定義
Web3マーケティングを1文で定義すると、「NFT・SBT・トークン・ウォレット等のWeb3技術を用いて、顧客の保有履歴・行動履歴を検証可能な形で残しつつ、継続的な接点と行動連動施策を設計するマーケティング活動」となります。従来のマーケティングとの違いは、次の3点に集約されます。
- データの所在:従来は事業者側のCRM/DMPが一元的に保有。Web3では顧客自身のウォレットにNFT/トークンとして保有履歴が残り、事業者は保有状況を参照する
- 接点の継続性:従来はCookie/会員ID切れやチャネル間の分断で接点が途切れやすい。Web3では保有NFTを介して、ブランド横断・時間横断で顧客との接点が維持される
- 証明可能性:来場・購買・参加といった事実がブロックチェーン上に検証可能な形で記録され、キャンペーン設計のトリガーや二次流通での価値提示にも使える
NFT・SBT・トークングラフの基礎語彙
Web3マーケティングを検討する上で最低限押さえておきたい語彙を整理します。詳細な技術仕様よりも、マーケティング施策との対応関係が理解できることを優先しています。
| 定義 | |
|---|---|
| NFT(Non-Fungible Token) | ブロックチェーン上で発行される、1点1点が識別可能なデジタル資産。会員証・チケット・購入証明・来場証明・限定コンテンツのアクセス権など、識別性が重要な用途に用いる。 |
| SBT(Soulbound Token) | 譲渡不可能なNFTの一種。ウォレットに紐付いたまま二次流通できないため、本人証明・参加証明・修了証など、なりすまし防止が必要な用途に向く。 |
| ウォレット | ブロックチェーン上のNFT/トークンを保有・送受信するための鍵管理アプリ。エンドユーザー向けには、メール認証だけでバックエンドが自動生成する「クラウドウォレット」が主流化しつつある。 |
| トークングラフ | 特定のNFT/トークンの保有パターンから読み解ける、ユーザーの興味・関心・行動履歴の関係性データ。年齢・性別といったデモグラフィックに依存せず、実際の保有・参加履歴に基づくターゲティングに用いる。 |
| ゼロパーティデータ | ユーザーが明示的な同意のもとで、事業者に対して自ら提供したデータ。Web3マーケティングでは、NFTのミント(発行)やクレーム時のアンケート回答として取得されるケースが多い。 |
Web3マーケティングを導入するメリット
Web3マーケティングが単なる技術トレンドではなく、事業会社の稟議で採択される背景には、従来のマーケティングでは解決が難しい足元の課題があります。ここでは「なぜ今Web3マーケか」を課題起点で整理した上で、稟議で使えるメリットを4点に分けて解説します。
Cookieレス/LTV伸び悩みという背景
Googleは長らく3rd party cookieの段階的廃止方針を掲げ、実装スケジュールは何度も後ろ倒しされてきましたが、Safariでは既定でブロック、Firefoxでも既定でブロックされる状況が続いています。3rd party cookie の廃止有無に関わらず、リターゲティング広告の到達率と精度は年々低下しています。
同時に広告費単価は上がり続け、新規顧客獲得コスト(CAC)は多くの業種で悪化しています。
この結果、既存顧客のLTV改善で採算を確保する必要性が高まっていますが、単発SNSキャンペーンや会員ポイントだけでは顧客との継続的な接点が作りにくく、ブランド離反を防ぎきれない状況が生まれています。Web3マーケティングは、この「接点を持続させ、行動履歴を次の施策に接続する」設計を、NFT・SBTを介して技術的に実装するアプローチです。
継続接点でLTVを伸ばす(ロイヤリティ強化)
NFT/SBTを会員証やロイヤリティのステータスとしてウォレットに保有させると、顧客側が「自分はこのブランドの会員である」という状態を能動的に保ち続けることができます。従来のポイントカードや会員IDが「事業者側の管理下でしか意味を持たない」のに対し、NFT会員証は顧客のウォレットに存在し続け、ブランドを跨いだ相互送客やキャンペーンのトリガーにも使えます。
実装例としては、購買金額に応じたランク別NFT付与、限定コミュニティへのアクセス権としてのNFT、来店・体験ごとに追加ミントされる履歴NFTなどがあります。いずれも共通する狙いは、既存顧客の再購買サイクルと単価を引き上げ、CACに頼らない売上比率を高めることです。
トークングラフで新規リーチを広げる
トークングラフマーケティングは、ユーザーが保有するNFT/トークンのパターンから興味・関心を推定し、そこに広告や新規キャンペーンを届ける手法です。年齢・性別といったデモグラフィック情報や過去の閲覧履歴に依存しないため、Cookie規制の影響を受けにくく、既存顧客と類似する保有パターンを持つウォレットへピンポイントで配信できます。
NFT配布型アドネットワークはこの発想を広告配信に応用した実装で、Web広告のクリック導線からNFTを配布し、そのウォレット情報を起点に配布後のコミュニケーションを設計します。個人情報を取得することなく、実際に興味を持ってNFTを受け取った顕在顧客とだけつながれる点で、従来のリターゲティング広告とは異なる新規リーチ手段になります。
ゼロパーティデータでCRMを再構築する
NFTのミントやクレーム時にアンケートを組み合わせると、ユーザーが自らの意思で提供する属性・嗜好情報(ゼロパーティデータ)を取得できます。事業者が推定する3rd partyデータと異なり、ユーザー同意のもとで直接得られる情報のため、精度が高く、個人情報保護法上のリスクも管理しやすくなります。
取得したゼロパーティデータをCRMに連携すれば、既存の顧客プロファイルを補完し、より粒度の細かいセグメント設計と施策のパーソナライズが可能になります。Cookie廃止で失われるサードパーティデータの代替として、Web3経由のゼロパーティデータを組み込む動きは、大手広告代理店の実案件でも増えています。
ファンコミュニティを起点にしたブランド成長
NFT会員証を軸に、DiscordやX、独自コミュニティサイトへ参加できるトークンゲート型のファンコミュニティを設計すると、ブランドと顧客・顧客同士の対話が生まれ、UGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミの創出につながります。従来の一方通行の広告配信に対し、参加者が能動的に語り広めるコミュニティ型マーケティングは、認知拡大コストを構造的に下げる効果を持ちます。
コミュニティメンバーには限定コンテンツ、先行販売、共創企画への参加権など、NFT保有者だけの体験を段階的に提供することで、ロイヤリティ強化とブランド共創の両立を狙えます。
NFT会員証やトークンゲート型のファンコミュニティは、Web3時代のコミュニティ設計という広い潮流の一部でもあります。ブランド起点以外の運営パターンや事業活用事例も踏まえて設計を検討したい場合は、以下の記事もあわせて参考にしていただけます。
Web3マーケティングの主な施策タイプ
Web3マーケティングは1つの決まった型があるわけではなく、目的とチャネルに応じて多様な施策パターンが存在します。ここでは、自社で検討しやすいように7つの代表的な施策パターンに整理しました。実際のプロジェクトでは複数を組み合わせて設計されることが一般的です。
会員証・ロイヤリティ施策
購買金額・利用回数・エンゲージメント指標に応じてランク別NFTを付与し、ランクごとに特典・限定商品・優先予約枠などを提供する施策です。従来のポイントカード/ロイヤリティプログラムをNFTに置き換えることで、二次流通・相互送客・ブランド横断キャンペーンといった新しい設計余地が広がります。既存の自社アプリやLINE公式アカウントと連携させ、既存会員基盤の上に段階的に導入するケースが増えています。
チケット・入場権施策
ライブ・イベント・展示会などの入場権をNFTチケットとして発行する施策です。転売の追跡・制限、二次流通での手数料還元、来場後のコレクタブル化まで、従来の紙・電子チケットにはない特性を活かせます。オフィシャルグッズや限定コンテンツと組み合わせて、来場体験のパッケージとして提供する事例が増えています。
参加証明・来場証明施策
特定のイベント・体験・キャンペーンに参加した事実を、譲渡不可能なSBT(Soulbound Token)として証明する施策です。参加履歴は本人のウォレットに紐付いたまま残り、次回イベントの優先案内・アップグレード権・シリーズ完走特典など、履歴を活かした階段設計が可能になります。展示会・スポーツ観戦・カンファレンスなど、ロイヤリティのある顧客ほど繰り返し参加する領域で相性が良い施策です。
購入証明・実物連動施策
実物商品の購入と連動してNFTを発行し、シリアルナンバー・保証書・アフターサービスの本人証明として使う施策です。ラグジュアリーブランド・アパレル・電子機器・限定コレクタブルなど、商品の真贋確認と長期関係が重要な業界で導入が進んでいます。実物と連動することで、二次流通市場での正規品プレミアムを維持する狙いも兼ねます。
周遊・スタンプラリー施策
複数店舗・複数エリアを周遊してNFTスタンプを集める観光・地方創生型の施策です。従来の紙のスタンプラリーと比べ、リアルタイムでの進捗共有・SNS連動・コンプリート特典の自動配布ができ、来訪データも取得できます。自治体・観光協会・鉄道会社との共同キャンペーンで、実装事例が積み上がっています。
自治体・地域プレイヤーによるWeb3活用は、スタンプラリー型キャンペーンに加えて、DAOを用いた地域運営や関係人口の可視化にも広がっています。地方創生の視点で事例や支援サービスを整理した記事は以下をご覧ください。
コミュニティ参加・共創施策
NFT保有をトークンゲートとし、Discord・X・独自コミュニティサイトへの参加権として活用する施策です。限定コンテンツ配信、新商品開発への意見募集、投票による意思決定など、ブランドと顧客の共創的なコミュニケーションを設計できます。熱量の高いファンを可視化し、ブランドの一次情報発信拠点として運用するケースが増えています。
NFT配布型広告・トークングラフ広告
Web広告の到達導線からNFTを配布し、受け取ったウォレットへの再アプローチを設計する新しい広告手法です。個人情報を取得することなく、実際に興味を持ってNFTを受け取った顕在顧客だけを追跡でき、A/Bテストや配信最適化も可能です。既存のリターゲティング広告に対し、Cookie規制の影響を受けにくい代替チャネルとして注目されています。
Web3マーケティング支援サービスの種類・タイプ
Web3マーケティングを支援するサービスは、提供する機能軸と読者の利用目的から3タイプに整理できます。単に「NFTを扱えるツール」で並べるのではなく、「自社顧客の継続接点を作るのか(ロイヤリティ)」「新規リーチを広げるのか(広告)」「戦略から運用までを伴走してほしいのか(コンサル・代理店)」で分けると、自社の目的に合うタイプを短時間で自己同定できます。
| 特徴 | 該当する主なサービス | 詳細 | |
|---|---|---|---|
| ロイヤリティ・会員基盤 | 自社顧客の継続的な接点をNFT/SBTで作り、既存顧客のLTV改善とファンコミュニティ形成を支援するSaaS/プラットフォーム。ノーコードの管理画面と、LINE・EC・自社アプリへの配布機能が主軸。 | 24karat, MintMonster, Marbullコネクト, SBINFT Mits, beyondClub, NFTカード, ソシャマ, murket | 比較表を見る |
| 広告配信・トークン配布アドネットワーク | Web広告からNFTを配布して新規リーチを広げるアドネットワーク型サービス、および広告視聴×NFTのメディア型サービス。個人情報非取得で顕在顧客とつながる設計。 | W3AP ViewFi, SUSHI TOP MARKETING | 比較表を見る |
| Web3マーケ専業コンサル・代理店 | Web3マーケティングの戦略設計・NFT設計・キャンペーン運用・効果測定までを企画から実装まで伴走する代理店型サービス。特定のSaaSに縛られず、目的に応じたツール選定と実装を担う。 | PARDEY WEB3 Consultings&Marketings | 比較表を見る |
※上記は各タイプにおける一般的な機能の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や提供形態については各社情報をご確認ください。
ロイヤリティ・会員基盤(自社顧客の継続接点をNFT/SBTで作る)
自社の既存顧客に対して、NFT会員証・履歴NFT・SBTを配布し、LTV改善とファンコミュニティ形成を狙うタイプです。ノーコードの管理画面から非エンジニアがキャンペーンを設計でき、LINE公式アカウント・自社アプリ・ECカートといった既存チャネルに組み込む形で運用されます。ユーザー側は、メール認証のみでウォレット準備不要という低UX障壁の設計が主流化しています。
向く企業は、すでに一定規模の会員基盤や購買履歴を持ち、既存顧客からの売上比率を高めたい消費財・小売・エンタメ・アパレル・ホテル・観光事業者です。料金体系は月額固定+キャンペーンごとの従量課金が中心で、初期構築費と伴走支援の有無で総額が変わります。
広告配信・トークン配布アドネットワーク(新規リーチをWeb広告×NFTで作る)
Web広告の到達導線からNFTを配布し、受け取ったウォレットに対して継続的なコミュニケーションを設計するタイプです。個人情報を取得せずに顕在顧客と継続的につながれるため、Cookie規制下でも実装できる新規リーチ手段として広告主の関心を集めています。動画広告完全視聴課金モデルや、NFT配布アンケートによるゼロパーティデータ取得など、実装機構は各社で異なります。
向く企業は、ロイヤリティ基盤とは別に、Web3層への新規リーチや暗号資産関連事業者などGoogle広告・主要SNS広告で出稿制限を受けやすい業種の広告主です。料金は広告配信の従量課金(配布1件あたりの単価、動画完全視聴あたりの単価)が中心で、案件別のカスタマイズ費用が加わります。
Web3マーケ専業コンサル・代理店(戦略〜運用を伴走)
Web3マーケティングの戦略設計、NFT・トークンの設計、配布基盤の選定、キャンペーン運用、効果測定、法務・税務対応までを企画から実装まで一気通貫で伴走するタイプです。SaaSツールの販売に縛られず、案件ごとに最適なプラットフォーム・パートナーを組み合わせる柔軟性が特徴です。
向く企業は、社内にWeb3の専門知識・実装リソースがなく、初回導入で戦略設計から運用体制までを外部に委ねたい大手企業・新規事業部門です。料金体系は案件別の見積もりが中心で、戦略設計・実装・運用・効果測定を役務単位で発注する形式が一般的です。
Web3マーケティング支援サービスの選び方・比較ポイント
Web3マーケティング支援サービスは、料金・機能の一覧比較だけでは自社適合が見えにくい領域です。稟議で「なぜこのサービスか」を説明できる選定軸を、次の5観点で整理しました。
目的タイプへの適合(ロイヤリティ/広告/伴走)
最も重要な選定軸は、前節の3タイプ分類に照らして「自社が今回のWeb3施策で解決したい課題」がどのタイプに対応するかを見極めることです。既存顧客のLTV改善が主目的ならロイヤリティ・会員基盤タイプ、Web3層への新規リーチが主目的なら広告配信タイプ、社内リソースが不足していて戦略から丸ごと委託したいなら専業コンサル・代理店タイプが第一候補となります。
複数の目的を同時に狙う場合は、ロイヤリティ基盤SaaSと専業コンサルを組み合わせる、といったハイブリッド構成も選択肢に入ります。稟議書上でも「なぜこのタイプなのか」を先に説明できると、費用対効果の判断がしやすくなります。
連携チャネル(LINE/EC/自社アプリ)
Web3マーケティング施策は、既存の顧客接点チャネルに組み込めるかどうかで運用実装コストと効果が大きく変わります。LINE公式アカウントに追加機能として組み込めるサービス、自社ECカートと連携して購入時にNFTを自動発行できるサービス、自社モバイルアプリにウォレット機能をSDK/APIで組み込めるサービスなど、対応チャネルは各社で異なります。
既存の会員基盤やチャネルを最大限に活かすには、その基盤との連携パターンが既に用意されているサービスを選ぶことが実装期間の短縮に直結します。自社に主要チャネルがLINE公式アカウントであれば、LINE連携を前提とした設計のサービスが第一候補です。
ノーコード運用可否と伴走支援の有無
導入後の運用主体を「社内マーケチームで回すのか」「代理店に伴走してもらうのか」で、必要なサービス要件が変わります。
社内運用を前提とするなら、非エンジニアがキャンペーンを設計・配信できるノーコード管理画面と、日常運用でのカスタマーサポートの手厚さが重要です。伴走を前提とするなら、専業コンサル・代理店タイプの起用か、SaaS型でも初期構築・キャンペーン設計のプロフェッショナルサービスを併用できるかを確認します。
料金体系(初期/月額/トランザクション課金/案件別)
Web3マーケティング支援サービスの料金体系は、SaaS型と代理店型で構造が大きく異なります。SaaS型は初期費用+月額固定+キャンペーンごとの従量課金(NFT発行数・配布数に応じた単価)が中心で、月額数万円から数十万円のレンジが多く見られます。代理店型は案件別の見積もりが中心で、戦略設計・実装・運用の役務単位で費用が積み上がります。
NFT発行のガス代(ブロックチェーン手数料)は、Flow・Polygon・Astar zkEVMなど低コストチェーンを採用するサービスであれば事業者側の負担を最小化できます。稟議書上では「初期費用」「月額固定」「変動費(配布数連動)」「代理店フィー」の4区分で試算するのが分かりやすくなります。
BtoB/BtoCの得意領域と導入実績
各サービスにはBtoB向け・BtoC向けの得意領域と、業種別の導入実績があります。消費財・小売・エンタメ・観光・スポーツ・アパレルなど、自社と近い業種での実装事例を持つサービスは、稟議での説得材料としても、実装ノウハウの点でも有利です。特に、ブランド名を出せる形での実案件メトリクス(配布数・エンゲージメント率・購買連動率など)を公表しているサービスは、社内説明での納得感が違います。
資料請求段階では、自社の業種・規模に近い導入実績を優先的に確認するとよいでしょう。導入実績の公開範囲は各社NDAの制約もあるため、公式サイト・プレスリリースだけでなく、商談時にヒアリングする前提で候補を絞り込むことをおすすめします。
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
Web3マーケティング支援サービスの選定診断
【比較表】Web3マーケティング支援サービスおすすめ11選
ここからは、自社の課題や要件に合わせた客観的な比較・選定ができるよう、Web3マーケティング支援サービス11社を3つのタイプ別に整理して比較表としてご紹介します。サービス名/タイプ/対応施策/連携チャネル/料金体系/導入実績/CTAの7列で横並びに比較できます。
| サービス名 | 24karat | MintMonster | Marbullコネクト | W3AP ViewFi | PARDEY WEB3 | SBINFT Mits | beyondClub | NFTカード | ソシャマ | murket | SUSHI TOP MARKETING |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| タイプ | ロイヤリティ | ロイヤリティ | ロイヤリティ | 広告 | コンサル | ロイヤリティ | ロイヤリティ | ロイヤリティ | ロイヤリティ | ロイヤリティ | 広告 |
| 対応施策 | NFT会員証・キャンペーン ミッション・ロイヤリティポイント TOKEN SPOT(自販機連動) | NFT配布・クーポン トークンゲート・ミッション 効果測定・お知らせ配信 | 会員証・クエスト NFT EC・クーポン デジタルマップ | 動画広告配信 完全視聴課金 AI不正検知・広告最適化 | 新規事業プランニング マーケティング支援 クリエイティブ/イベント企画 | キャンペーン・アンケート スタンプラリー・投票・抽選 クエスト・NFT配布・実物発送 | NFTスタンプラリー ロイヤリティプログラム (ダイナミックNFT)・SNS施策 | 物理NFCカード配布 スタンプラリー・チケット 会員証 | フォロー&RTキャンペーン インスタントウィン ハッシュタグキャンペーン | 音楽EC+NFT販売 シリアル限定・抽選特典 会員CRM | NFT配布型アドネットワーク トークングラフSaaS SUSHI TOP OCR |
| 連携チャネル | 自社アプリ(API) 24k ZAPアプリ オフライン(自販機) | Webブラウザ (QR+メール認証) | LINE公式アカウント (SMS認証) | ViewFiアプリ (Web3ユーザー向け配信) | 案件別 (NFT・メタバース・XR・ リアルイベント) | X(旧Twitter) ヤマト運輸配送API | 案件別 (Base・Astar zkEVM・ Farcaster 等) | リアル配布(物理カード) クレカ決済 | X(旧Twitter)・Discord Threads・MetaMask | 自社ECストア (法定通貨決済) | Webバナー広告 SUSHI TOPマイアプリ ATM・OCR等 |
| 料金体系 | 要お問い合わせ | 初期25万〜50万円 月額5万〜20万円 (プランによる) | 要お問い合わせ | 初期0円 完全視聴課金 (単価は要お問い合わせ) | 初期5万〜30万円(役務別) 月額・案件単価は 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (案件別見積もり) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 初期0円/月額0円 販売手数料型 (率は要お問い合わせ) | 要お問い合わせ |
| 導入実績 | 上新電機・ロッテ・伊藤忠商事 エイベックス・テレビ朝日 ほか | 明和町 竹神社・KDDI 電気通信大学・GYDA ほか | JTBパブリッシング・大井川鐵道 掛川市・浦安D-Rocks トヨタ自動車PoC ほか | H.I.S.・NEOTOKYOPUNKS Altlier・Airbits カバードピープル ほか | 東急・東急電鉄・KDDI NTTドコモ・朝日放送テレビ Oasys ほか | LIFULL・ローソンチケット 東北新社・双葉社 (βパートナー43社) | 東急 SHIBUYA Q DAO ハウス食品 CURRY PASSPORT JAL×博報堂 KOKYO NFT ほか | 非公表 (ONIちゃんず等の 個別NFT販売事例) | #KISARAGI(GuildQB) キャプテン翼 GENSOKISHI ONLINE ほか | AniTone Digital Store 徳間電子商店 ビクターオンラインストア ほか | 千葉銀行・電通・DNP KDDI・セブン銀行・東急電鉄 日本郵政グループ・京都府 ほか |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は2026年7月時点の各社公式情報による整理です。個別のサービスにおける最新の機能・料金・実績については各社情報をご確認ください。
Web3マーケティング支援サービスの個別紹介
ここからは、比較表に掲載した11サービスをタイプ別に個別紹介します。各サービスの提供会社・主要機能・対象企業・料金傾向・導入実績を、稟議準備で必要となる粒度で整理しました。
ロイヤリティ・会員基盤タイプ
自社顧客の継続接点をNFT/SBTで作り、既存顧客のLTV改善とファンコミュニティ形成を狙う企業に向くタイプです。ノーコード管理画面と、LINE・EC・自社アプリへの配布機能を軸に、8サービスを紹介します。
1. 24karat(24karat株式会社)

24karat株式会社が提供する、ブランド・クリエイター向けのWeb3ロイヤリティ/ファンエンゲージメント基盤。ノーコード管理画面「Brand Management Console」、ユーザー向けモバイルウォレット「24k ZAP」、自社アプリ組み込み用のAPI群で構成され、Flowブロックチェーンを採用することでガス代負担を事業者・ユーザーとも軽減する設計としています。
料金型は初期費用+月額固定型のSaaS構成と想定されますが、具体的な金額は公式非公開で要お問い合わせです。上新電機・ロッテ・伊藤忠商事・エイベックス・テレビ朝日・大和リース・シヤチハタなど、業種を横断した大手企業の導入発表が確認できます。
サイネージ型自販機と連携した「TOKEN SPOT」を全国1,500台以上に展開しており、オンラインとオフラインを横断した配布導線を持つ点が特徴です。累計ウォレット数は100万件を突破(2025年12月発表、24karatプラットフォーム全体)、DAU約4万人・WAU約24万人という運用規模も公表されています。
主要機能
- Brand Management Console:NFTリワード/キャンペーン設計、クイズ・アンケート形式のミッション、コミュニティダッシュボード、保有状況に応じたメッセージ配信
- 24k ZAP:ブランドトークン・NFTの受け取り、家族・友人への送付、他ブランドトークンとのリアルタイム交換
- Points Program:監査機能を備えたロイヤリティポイント基盤
- TOKEN SPOT:サイネージ自販機経由のNFT実物連動販売(全国1,500台以上)
- API連携:ウォレット・トークン・ブロックチェーンインフラの管理を委ねる形で、自社アプリに機能を組み込み
こんな企業におすすめ
- 既存の自社アプリにNFT・ウォレット機能をAPI経由で組み込みたいエンタープライズ
- 店舗・自販機・イベントなどオフライン接点までWeb3施策に組み込みたい消費財・小売・エンタメ事業者
- 大手企業への導入発表実績を稟議の説明材料として重視する企業
2. MintMonster(株式会社アツラエ)

2024年2月に株式会社クリプトリエ(日本能率協会グループ)が提供開始し、2026年のグループ内事業統合を経て、現在は株式会社アツラエが運営するNFTビジネス活用プラットフォーム。企業側は暗号資産を保有せずにNFTを配布でき、受け取るユーザー側もウォレット準備不要で、QRコード読み取りとメールアドレス入力のみでNFTを取得できる導線を提供します。
料金は初期費用25万〜50万円、月額5万〜20万円(プランによる、公式発表ベース)で、アクティブユーザー数・NFT配布種類数に応じてStarter/Basic(Standard)/Premiumのプランが用意されています。三重県明和町 竹神社の「e御朱印」、KDDIの社内イベント、電気通信大学の履修証明NFT、マークスタイラー「GYDA」など、自治体・企業・教育機関の導入事例が公表されています。
主要機能
- NFT配布(QRコード読み取り+メールアドレス入力、暗号資産・ウォレット不要)
- クーポン機能(NFT保有者への店舗利用クーポン付与)
- トークンゲート機能(特定NFT保有者限定のコンテンツ公開)
- ミッション機能(来店・購入・SNS連携等の条件達成者にのみNFTを配布)
- 効果測定・分析(配布数、ユーザー行動履歴、クーポン/トークンゲート利用状況)
- お知らせ機能(管理画面から全ユーザーへの通知配信)
こんな企業におすすめ
- 暗号資産・ウォレットの前提知識がないファン層に対して、負担なくNFTを配布したい企業・自治体
- 来店・購入・SNS連携などの行動条件に紐付けた条件付き配布を設計したいマーケティング部門
- 初期費用25万〜50万円・月額5万〜20万円の目安が事前に把握できる中小〜中堅規模のプロジェクト
3. Marbullコネクト(Marbull X株式会社)

既存のLINE公式アカウントに機能を追加実装する形で導入できるBtoBtoC型SaaS。運営はMarbull X株式会社で、エンドユーザーはSMS認証のみで登録完了できるため、メールアドレス・パスワード・ウォレット情報の入力が不要です。企業・自治体・スポーツチーム・地域コミュニティ運営者が、会員証・デジタルノベルティ・クーポン・証明書などをノーコードで発行・配布できます。
料金型は初期費用+月額固定型(NFT発行企画支援/Web3コンサルティングの2プラン、いずれも要問い合わせ)です。
公式noteでは「NFT発行そのものを目的化せず、会員証・クエスト達成・EC購入といった顧客接点データを蓄積し、継続的な関係構築の手段としてNFTを扱う」位置付けと説明されています。料金型は初期費用+月額固定型のSaaS構成と想定されますが、具体的な金額は公式非公開で要お問い合わせです。
JTBパブリッシング(時刻表100周年キャンペーン)、大井川鐵道、掛川市(スモールモビリティ×スタンプラリー)、浦安D-Rocks、エコパ MEMBERS、トヨタ自動車のPoCなど、観光・自治体・スポーツ・製造業を横断した提供事例が公表されており、導入時はプロコンサルタントによる伴走サポート(クエスト設計・段階的エンゲージメント施策の共同検討)も提供されます。
主要機能
- 会員証機能(ステータスランク、トークン保有情報、来訪履歴、参加回数を自動反映)
- クエスト機能(行動を促すミッション設計、達成時にNFT・クーポン・証明書をリワード付与)
- EC機能(チケット、NFTグッズ、デジタルコンテンツをLINE内で販売)
- クーポン機能
- デジタルマップ機能(掛川市の周遊型施策で稼働を確認)
こんな企業におすすめ
- LINE公式アカウントを既に主要チャネルとして運用しており、その基盤にWeb3機能を追加したい企業
- 観光・自治体・スポーツクラブ・地域コミュニティなど、周遊・来訪・イベント参加を軸にしたエンゲージメント設計を検討する主体
- クエスト設計・エンゲージメント施策の伴走支援を外部プロコンサルタントから受けたい担当部門
4. SBINFT Mits(SBI VCトレード株式会社)

2023年7月にSBINFT株式会社が発表し、2024年4月17日に有償プラン2種類を含む正式サービスとして提供開始されたNFT運営支援プラットフォーム。2026年7月1日付でSBINFT株式会社がSBI VCトレード株式会社に吸収合併され、「SBI Mits」として運営を継続すると公式発表されています(本記事執筆時点で、サービスサイトのブランド表示は「SBINFT Mits」のまま)。
自社データとNFTを組み合わせて、ロイヤルカスタマーの可視化から育成・獲得までを単一プラットフォーム上で扱う設計です。料金型は有償プラン2種類による月額固定型(案件別カスタム見積もり)で、プレスリリースでは有償プラン2種の存在は明示ですが具体金額は非公開で要お問い合わせです。
β版ローンチパートナー43社の一部として、LIFULL、ローソンチケット、東北新社、双葉社、あるやうむ、ガイエ、BONSAI NFT PROJECT、GOLFINが公表されています。
2024年1月にはヤマト運輸の配送APIを統合し、NFT保有者への実物商品発送(伝票作成・集荷手配・Mits利用料との一括請求)を管理画面から完結できる仕組みも追加されました。SBIグループの暗号資産事業基盤(暗号資産交換業)と統合されている点が、他社と異なる特徴です。
主要機能
- キャンペーン機能(X投稿でNFT・特典を獲得できる仕組み)
- アンケート機能(プロジェクトへの意見・感想の直接取得、ダイレクトマーケティング用途)
- スタンプラリー機能/投票機能/抽選機能/クエスト機能/NFT配布機能
- 実物商品配送機能(ヤマト運輸配送API統合、2024年1月〜)
- X(旧Twitter)連携による反響分析、UGCを活用したキャンペーン開催機能
こんな企業におすすめ
- 不動産・エンタメ・出版・チケット販売など、業種横断のNFTキャンペーン運営実績を選定材料としたい企業
- NFT保有者への実物商品発送(会員特典・限定グッズ)を、伝票作成から請求まで一つの管理画面で扱いたいプロジェクト
- SBIグループの暗号資産・金融インフラとの将来的な連携余地を視野に入れる新規事業部門
5. beyondClub(PONT株式会社)

NFTを活用したSNSプロモーション・スタンプラリー・ロイヤリティプログラムを設計できるWeb3ロイヤリティ/会員基盤プラットフォーム。運営はPONT株式会社の主力プロダクトの1つで、ブランドや事業者が、ファン・顧客とのより深い関係を構築するための「デジタル会員証」としてのNFTを、案件ごとにカスタマイズして発行・管理できます。
料金型は案件別カスタム見積もり型で、公式サイトに料金表の掲載はなく、大型ブランドキャンペーン単位のプロジェクト見積もりとなります。大手企業とのタイアップ実績が特徴で、以下のような案件が公表されています。
- 東急「SHIBUYA Q DAO」×博報堂キースリー(体験型NFTゲーム「SHIBUYA CHECKIN POKER」、2024年11〜12月)
- ハウス食品グループ「CURRY PASSPORT」(Bronze/Silver/Gold/BlackランクのダイナミックNFT、Base基盤、2024年12月〜2025年1月)
- JAL×博報堂「KOKYO NFT」実証実験第2弾(Astar zkEVM基盤、6地域でNFT発行)
2024年5月には博報堂キースリー・米SmartMedia Technologiesとともに、アジア地域のロイヤリティプログラム変革を目指すアライアンス「Loyalty X」を発足しています。
主要機能
- NFTを活用したSNSプロモーション企画・設計
- NFTスタンプラリー(周遊・チェックイン型キャンペーン)
- NFTロイヤリティプログラム(会員ランク制、ダイナミックNFTによる状態変化)
- ブロックチェーン基盤のポイントプログラム設計
- 3Dモデル制作を含むクリエイティブ制作、企画設計・開発実装のコンサルティング・受託
こんな企業におすすめ
- 大手広告代理店(博報堂キースリー等)と連携する形で大型ブランドキャンペーンを設計したい企業
- SaaSパッケージ導入ではなく、案件ごとにチェーン(Base/Astar zkEVM等)や機能をカスタマイズしたい大手ブランド
- ダイナミックNFTを用いた会員ランク制ロイヤリティプログラムをブランド横断で設計したい消費財・エンタメ企業
6. NFTカード(株式会社カイカフィナンシャルホールディングス)

NFTローンチパッド「Zaif INO」(運営:株式会社カイカフィナンシャルホールディングス)が提供する、NFT購入のハードルを下げるための物理カード型ソリューション。Bacoor dApps株式会社のハードウェアウォレット「PiGET」の簡易版技術を採用しており、暗号資産の保有やウォレットのダウンロードといった事前準備なしに、スマートフォンにカードをかざすだけでNFTの保有確認・利用ができます。
通常のNFT購入で必要な6ステップを「カードを購入する→受け取る」の2ステップに簡略化した点を公式サイトで訴求しています。料金型は単価型(カード価格レンジ ¥7,150〜¥462,000/税込、印刷オプションあり)で、業界メディアの掲載値ですが公式サイトでの直接掲載は取れておらず、確定金額は要お問い合わせです。
2024年1月にZaif INO内で「NFTカード」形式での配送を開始し、2025年10月には企業向け特設ページを公開して「ファンマーケティングを加速するソリューション」として位置付けを打ち出しました(限定性演出・来場促進・コミュニティ形成・データ活用の4点を訴求)。
親会社の株式会社CAICA DIGITALは東証スタンダード上場企業(証券コード2315)で、暗号資産交換所Zaifや金融機関向けシステム開発を手がけるグループの一員です。
主要機能
- WEB NFC技術を用いたNFT搭載物理カード(PiGET簡易版ベース)
- スマートフォンにカードをかざすだけでNFTの保有確認
- クレジットカード決済対応(暗号資産購入不要)
- カードへの印刷オプション(企業ロゴ・デザイン反映、業界メディア記事の言及ベース)
- スタンプラリー・イベントチケット・会員証などファンマーケティング施策への活用
こんな企業におすすめ
- リアル店舗・イベント会場での物理配布による来場促進・限定性演出を狙う消費財・エンタメ企業
- 暗号資産・ウォレットに不慣れな一般ファン層に、クレジットカード決済のみでNFTを届けたい事業者
- 東証上場グループ(CAICA DIGITAL)の提供体制を稟議上の安心材料として重視する企業
7. ソシャマ(ソーシャルマーケティング株式会社)

ソーシャルマーケティング株式会社が2023年6月1日に提供を開始した、Web3特化型マーケティングSaaSツール。暗号資産・NFT関連事業者が既存の広告出稿チャネル(Google広告・主要SNS広告等)で制限を受けやすいという課題を踏まえ、SNS上でのコミュニティドリブンな施策(フォロー&リツイート、インスタントウィン、ハッシュタグキャンペーン等)でトレンド形成・認知拡大を狙う設計です。
【情報鮮度に関する重要な注記】機能情報は2023年時点、現況は要確認:2026年時点の運営継続はNFT Media等の業界メディアで継続扱いとして確認できるものの、公式サイトの機能プレスは2023年7月で更新が停止しており、料金改定・新機能追加の公式発表もそれ以降確認できていません。導入検討にあたっては、まず公式サイトへの手動アクセスまたは問い合わせで、現行の提供状況・機能構成をご確認ください。
料金型は月額固定型(業界メディア掲載で5万円/月〜、一次ソースでの裏取り未了)で、公式サイトからは金額を確認できず要問い合わせが実態と見られます。導入事例として業界メディアで挙げられているのは「#KISARAGIキャンペーン」(GuildQB主催、Xでのトレンド入りを公表)、「キャプテン翼」「GENSOKISHI ONLINE」等ですが、具体の効果指標は公表されていません。
主要機能(2023年7月時点で公表されたもの)
- フォロー&リツイートキャンペーン(X/旧Twitter)
- インスタントウィンキャンペーン(SNS上でその場に当落結果を表示)
- ポイント式ハッシュタグキャンペーン
- Discord参加を条件に設定できるキャンペーン設計
- MetaMask連携によるウォレットアドレス取得
- Threadsアカウント連携によるキャンペーン参加
こんな企業におすすめ
- 暗号資産・NFT・Web3ゲーム関連事業者で、既存の広告チャネル制限を受けにくい代替のSNSキャンペーン基盤を検討する企業
- X・Discord・Threads・MetaMask連携を条件にしたSNSキャンペーンを組み合わせたいプロジェクト
- 導入前に公式サイト・問い合わせによる現況確認を丁寧に行える体制のある企業
8. murket(株式会社レコチョク)

音楽事業者(レコード会社・アーティストマネジメント会社等)向けのワンストップECソリューションで、株式会社レコチョクが提供しています。Web3マーケティング専業ツールではなく、既存のECソリューションに2022年1月にNFT販売機能が追加された構成である点は選定時に留意が必要です。
デジタル音源・映像などのデジタルコンテンツとCD・グッズなどのフィジカル商材を組み合わせて販売できるECストアの上に、NFT発行・二次流通機能が組み込まれた形で提供されます。
NFT発行基盤はPolygon(Ethereum L2)で、購入時はウォレット作成・暗号資産購入が不要で法定通貨のみで完結する設計です。二次流通はSBINFTとの提携により「murket Second Market」をSBINFT Market内に開設していました(※SBINFT Marketは2026年6月30日でサービス終了しており、現行の二次流通の仕組みは要確認)。
料金型は「初期費用0円+月額利用料0円+販売手数料型(従量課金)」で、公式に「ストア開発費&月額利用料 0円」と明記されており、販売実績に伴う販売手数料のみ(率は個別見積もり)で運用できます。導入事例には AniTone Digital Store、徳間電子商店、クラウンミュージックストア、ビクターオンラインストア等の音楽レーベル・ストアが並びます。
主要機能
- ECストア開設・運営(デジタル・フィジカル商材の組み合わせ販売)
- デジタル音源・音楽映像データの販売および著作権処理サポート
- NFT発行(Polygon基盤)、法定通貨のみでの購入
- ストア専用会員IDによる顧客管理・メール配信(CRM機能)
- 数量限定商品の購入権利抽選、シリアルコード限定販売、ライブ会場来場者限定施策
- 販売・会員レポート機能、物流倉庫とのデータ連携、既存サイトからのデータ移行
こんな企業におすすめ
- 音楽レーベル・アーティストマネジメント・エンタメ事業者で、既存EC上にNFT販売機能を一体運用したい企業
- 暗号資産に不慣れな一般ファン層に対し、クレジットカード等の法定通貨のみでNFTを販売したいレーベル
- 初期費用・月額固定費を抑え、販売手数料型で始めたい中小規模のストア運営者
広告配信・トークン配布アドネットワークタイプ
Web広告からNFTを配布して新規リーチを広げる、あるいは動画広告完全視聴とNFT配布を組み合わせる、といった広告配信・アドネットワーク型のサービスを紹介します。Web3層への直接リーチや、Cookie規制下での代替配信チャネルを検討する広告主に向いています。
9. W3AP ViewFi(Blocksky株式会社)

Blocksky株式会社が2025年にローンチしたweb3広告プラットフォーム「W3AP(Web3 Advertising Platform)」上のフラッグシップアプリです。ユーザーが動画広告を視聴してトークン「ViewP」を獲得しETH等の暗号資産へスワップできる消費者向けアプリの色合いが強く、広告主にとってはこの動画完全視聴の接点でweb3ユーザー層に直接リーチできる媒体となっています。
料金型はセルフサーブ型の動画広告CPCV(完全視聴課金)で、動画広告が最後まで視聴された場合にのみ費用が発生します。初期費用は0円、視聴単価は広告主が自ら設定でき、ターゲティングは性別・年齢・居住国のオーディエンス設定に対応します。ViewFi単体での視聴単価レンジ・月額費用・最低出稿額は公開されておらず、資料請求時に個別確認が必要です。
導入実績としては、H.I.S.・NEOTOKYOPUNKS・Altlier・Airbits・カバードピープル・NoggleChangerといったweb3事業参入企業・NFTプロジェクトの名前がカタログページに列挙されています。
2026年にはAI不正検知(高速連続視聴・複数アカウントの同一IP利用等の異常検知)・AIキャンペーン最適化・コンテンツモデレーションの機能拡張が発表され、広告主予算の保護と配信品質の担保に踏み込んでいます。NFT・暗号資産・ブロックチェーンゲームに関心を持つWeb3ネイティブ層へ直接リーチしたい広告主に向く設計です。
主要機能
- 完全視聴課金(CPCV)方式の動画広告配信(動画広告が最後まで視聴された場合のみ課金)
- 広告主が視聴単価を自ら設定できるセルフサーブ型入稿導線
- 性別・年齢・居住国別のオーディエンスターゲティング
- AI不正検知(高速連続視聴・同一IP異常検知等)・AIキャンペーン最適化・コンテンツモデレーション(2026年拡張)
- 暗号資産(ETH等)・日本円での支払い対応(BackWallet時代の記載ベース)
こんな企業におすすめ
- Web3ネイティブ層(NFT・暗号資産・BCG関心層)へ直接リーチしたいNFTプロジェクト・Web3事業参入企業
- 完全視聴課金・視聴単価自己設定型で、代理店を介さず直接出稿したい広告主
- Cookie規制下で既存のリターゲティング広告が到達しづらいWeb3ユーザー層への代替配信チャネルを検討する広告主
10. SUSHI TOP MARKETING(SUSHI TOP MARKETING株式会社)

NFTの保有情報を活用した「トークングラフマーケティング」を掲げるWeb3マーケティング支援企業です。SUSHI TOP MARKETING株式会社が2023年10月に幻冬舎のWeb3専門メディア「あたらしい経済」との提携でNFT配布型アドネットワークを運用開始した、国内でこの領域を切り開いた先行プレイヤーにあたります。
中核は、受信者がウォレットや暗号資産を保有していなくてもNFTを受け取れる独自配布技術「NFT Shot」(特許出願中)です。
Webバナー広告のクリック先でNFTを無償配布する広告プロダクトを軸に、配布するNFTのデザインを出し分けてABテストを実施できる「AB配布」、NFT送付処理中の待機時間(約1分前後)に企業動画・製品紹介を表示する「受信待ち広告」など独自の広告フォーマットを備え、Astar Network・Oasys・Polygonでの配布実績があります。
料金型はNFT配布実行課金型(キャンペーン単位)で、公式サイトに具体的な金額の掲載はなく要問い合わせ。英語版サービスページには基盤技術「NFT Shot」で「約10万円から、準備期間は約2週間」との記載がありますが、国内の各プロダクト(NFT配布型アドネットワーク/トークングラフマーケター)正式料金との整合は要確認です。
提携先には千葉銀行・電通・DNP・KDDI・セブン銀行・東急電鉄・日本郵政グループ・京都府・イードなど大手企業・自治体が並び、NFT配布型アドネットワークに加え、NFT発行から配布後のロイヤルティ可視化までを担うSaaS「トークングラフマーケター」、レシート画像をAI解析して条件を満たした購買者にNFTを配布する「SUSHI TOP OCR」など複数プロダクトを展開します。
個人情報を取得せず顧客の行動履歴を可視化できる設計で、Web3層への新規リーチと配布後の継続コミュニケーションを一気通貫で設計したい広告主に向きます。
主要機能
- NFT Shot(ウォレット・暗号資産保有なしでNFTを受け取れる独自配布技術、特許出願中)
- NFT配布型アドネットワーク(Webバナー広告クリック先でNFT無償配布、AB配布・受信待ち広告等の独自フォーマット)
- トークングラフマーケター:NFT発行から配布後のロイヤルティ可視化までを担うSaaS
- SUSHI TOP OCR:レシート画像をAI解析して条件充足者にNFTを配布する購買連動配布
- 対応チェーン:Astar Network・Oasys・Polygonでの配布実績
こんな企業におすすめ
- Web3層への新規リーチと配布後の継続コミュニケーションを一気通貫で設計したい広告主・大手金融・通信・小売
- ウォレット・暗号資産の前提知識がない一般ユーザーにも配布できる「NFT Shot」型の広告フォーマットを試したい企業
- 個人情報を取得せずに顧客の行動履歴(トークングラフ)を可視化したい大手金融・自治体・広告主
Web3マーケ専業コンサル・代理店タイプ
Web3マーケティングの戦略設計から実装・運用まで一気通貫で伴走するコンサル・代理店タイプのサービスを紹介します。社内にWeb3実装リソースがなく、初回導入で戦略・企画・実装・効果測定を外部に委ねたい企業に向いています。
11. PARDEY WEB3 Consultings&Marketings(PARDEY株式会社)

PARDEY株式会社が東京・渋谷を拠点に運営する、NFT・メタバース・XR等のWeb3技術を活用したプロモーション・PR・コンサルティングを一貫提供する広告代理店サービスです。管理画面型のSaaSツールではなく、新規事業プランニング/マーケティング支援/クリエイティブ企画制作/イベント企画・実行を役務単位で組み立て、企画から制作・運営までを伴走します。
料金型は案件別・役務単位の見積もり型(代理店型)で、初期費用は新規事業プランニング・マーケティング支援がそれぞれ30万円、クリエイティブ企画制作が5万円、イベント企画・実行が10万円と役務ごとに公開されています。月額費用・案件単価は要お問い合わせで、企画から制作・運営までを役務単位で組み立てる建付けです。
公式PORTFOLIOには、東急株式会社(渋谷スクランブル交差点大型モニターでのNFT展示)、東急電鉄(新横浜線開業記念NFT)、KDDI(NFTを活用した地域共創実証実験)、NTTドコモ(音楽NFTマーケットプレイス「Sound Desert」のAMAプロモーション)、朝日放送テレビ(VRドラマ「TOKYO CASE」のSNSキャンペーン企画)など、業種横断で大手企業からの発注実績が並びます。
医療法人翔舞会のリクルーティングイベント運営やOasys案件(渋谷でのブロックチェーンゲーム体験ポップアップ)など、事業会社と業界プロジェクトの双方に関与しています。
東急株式会社の特別協力による自社主催イベント「PARDEY BASE SHIBUYA」を渋谷で複数回開催し、Web3企業・クリエイター・一般来場者をつなぐ場を継続運営している点も、単発案件では作れない生活者接点として差別化になっています。
主要機能
- 新規事業プランニング(Web3領域を活用した新規事業の企画立案支援、初期費用30万円)
- マーケティング支援(Web3プロモーション戦略の立案・実施、SNSマーケティング、初期費用30万円)
- クリエイティブ企画制作(3Dモデル・NFTアート・映像等のWeb3クリエイティブ、初期費用5万円)
- イベント企画・実行(渋谷「PARDEY BASE SHIBUYA」等のリアルイベント・体験ポップアップ、初期費用10万円)
- 大手企業・自治体・メディア企業のWeb3・NFT・メタバース・XR施策の伴走運営(東急・KDDI・NTTドコモ等の発注実績)
こんな企業におすすめ
- 社内にWeb3実装リソースがなく、戦略から制作・運営まで一気通貫で伴走してほしい大手企業のマーケ・IR・広報部門
- SaaSツールの導入ではなく、案件ごとに独自のNFT/メタバース/XR施策をゼロから企画したい事業会社
- 渋谷「PARDEY BASE SHIBUYA」等のリアル来場者接点を活用したい消費財・エンタメ・自治体
Web3マーケティングの導入事例
Web3マーケティングは、単発の実証実験の段階から、大手ブランドが購買・ロイヤリティ設計に組み込む段階へ移りつつあります。ここでは、実装したブランド/キャンペーン名をベースに、実装機構と結果を確認できる範囲で国内外の事例と、注意すべき失敗事例を紹介します。
国内成功事例
カルビー「NFTチップス」キャンペーン:カルビーは博報堂・CryptoGames・DataGatewayと共同で、購買回数と連動してNFTが成長する日本初のキャンペーンを2023年4月に実施しました。
データウォレット「wappa」(博報堂×DataGateway共同開発)と Astar Network を活用し、対象ポテトチップスのパッケージ登録で「ポテトNFT」を配布、5回スキャンで「じゃがバース」キャラクターへ成長する設計です。
「金のキャラクター」を獲得した100名にはカルビー公式オンラインショップ限定商品を進呈する仕組みで、購買データとNFT保有データを紐付けた次世代CRMの実装事例です(博報堂プレスリリース)。
ANA「ANA GranWhale NFT MarketPlace」:ANAグループは、航空写真家ルーク・オザワ氏らによる空撮写真NFT(各10万円)や、現役パイロットが立ち上げたNFTプロジェクト「Airbits」の3Dボクセルアートなどをコレクタブルとして販売しました。
航空券・マイレージ以外の顧客接点を作る新規事業として、Web3をブランド体験の拡張に活用した事例です(同マーケットプレイスは事業採算の観点から2025年2月28日にサービス終了)。
JAL×博報堂「KOKYO NFT」:JALと博報堂が共同で、地域の伝統文化・工芸品をNFT化して観光振興に活用するプロジェクトを展開しました。訪問地でしかミントできない地域限定NFTや、複数拠点をコンプリートすることで得られる特典NFTなど、旅行体験と組み合わせた設計が特徴です。
そごう・西武「NFTマーケットプレイス」:百貨店運営のそごう・西武は、独自のNFTマーケットプレイスを立ち上げ、館内アートや限定商品と連動したNFT販売を展開しました。既存の百貨店顧客層に対して、実物商品×NFTの新しい購買体験を提示した国内先行事例の一つです。
サンリオ×NTT Digital「はぴウェル応援団」:サンリオは2025年1月、NTT Digital と共同で22社横断のウェルネス(健康)企業連携キャンペーン「はぴウェル応援団」を開始しました。
サンリオ人気ユニット「はぴだんぶい」がキャプテンを務め、参加企業各社のミッション達成でスタンプを集めると譲渡不可のSBT(Hapi-Wellカード)が受け取れる設計で、IPを軸にしたクロスカンパニー型ロイヤリティ施策の実装事例です。
海外成功事例
Starbucks Odyssey:Starbucksは、既存のロイヤリティプログラム「Starbucks Rewards」の拡張として、NFTベースのメンバーシップ「Odyssey」を2022年12月にベータローンチしました。ゲーミフィケーションされたチャレンジをクリアすることで「Journey Stamp」NFTを獲得し、限定体験・イベント招待などの特典と交換できる設計でした。
2024年3月にベータ終了となりましたが、大手ブランドがWeb3ロイヤリティを本格運用した先行事例として、多くの後続プロジェクトに参照されています。
NBA Top Shot:NBA公式ライセンスの試合ハイライト動画をNFT化し、Dapper Labs(Flow基盤)が運営するマーケットプレイスで販売する取り組みです。伝統的なトレーディングカードの発想をデジタルコレクタブルに移し、二次流通市場を含めた累計取引額が大規模に到達したスポーツ×Web3の実装事例です。
Adidas「Into The Metaverse」:Adidasは、Bored Ape Yacht Club・PUNKS Comic・gmoneyといったNFTコミュニティと共同で、物理商品とNFTを組み合わせたコレクション「Into The Metaverse」を展開しました。既存のWeb3ネイティブコミュニティを取り込みながらブランド認知を広げたコミュニティ×コラボの事例です。
失敗事例と回避の観点
Porsche「PORSCHΞ 911」NFT ミント失敗:Porscheは2023年1月、フラッグシップモデル911にインスパイアされたジェネラティブNFTコレクションを発表しましたが、ミント価格(0.911 ETH)が市場から高すぎると評価され、初期需要が想定を下回りました。
加えてWeb3コミュニティとのコミュニケーション不足も指摘され、Porscheは早期にミントを一時停止して価格・供給量を再設計するに至りました。
失敗を回避する観点として、次の3点が業界内で共有されています。
- 市場価格・供給量の事前検証:Web3コミュニティの相場観と乖離した高価格設定は、初期需要の未達につながる
- コミュニティとの継続対話:発表・販売直前だけでなく、企画段階からのコミュニティエンゲージメントが成否を左右する
- NFT配布だけで終わらせない設計:配布後の継続接点・特典・体験がなければ、単発キャンペーンとして忘れ去られる
Web3マーケティングの導入ステップと運用上の注意点
Web3マーケティングを稟議通過後にスムーズに実装するため、標準的な導入フローと、NFT配布後にありがちな失敗を先回りで回避する運用視点を整理します。
導入・実施フロー
Web3マーケティングの導入は、次の5ステップで進めるのが一般的です。SaaS導入型/代理店伴走型のいずれでも、この流れは共通します。
- 戦略設計:解決したい課題(LTV改善/新規リーチ/ファン形成)、対象セグメント、KPIを定義し、Web3施策としての位置づけを明確にする
- NFT設計:発行するNFT/SBTの種類、ユーティリティ(何ができるか)、デザイン、供給量、配布方法を設計する。トークンゲート機能や、二次流通の可否もここで決める
- 配布基盤選定:既存の顧客接点チャネル(LINE/EC/自社アプリ)との連携要件、ノーコード運用の可否、料金体系を突き合わせ、支援サービスを選定する
- キャンペーン設計と告知:配布のトリガー(購買・来場・視聴・参加)、告知チャネル、コミュニティエンゲージメント設計、法令チェック(景表法・特商法・個人情報保護法)を行い、キャンペーンを公開する
- 効果測定と改善:配布数・受け取り率・保有継続率・再購買率・エンゲージメント率などをKPIに沿って測定し、次回キャンペーンの改善サイクルに繋げる
運用上の注意点
NFT配布キャンペーンでよく見られる失敗パターンと、その回避のための運用ポイントを整理します。
- 配布のみで終わらせない設計:NFTを配ることが目的化すると、受け取ったユーザーがそれ以降ブランドと関わる理由がなくなる。配布後の継続接点(限定コンテンツ・優先案内・シリーズ化)まで初期設計に含める
- 初心者に優しいUX:Web3・NFT初心者にとってウォレット準備・秘密鍵管理は大きな障壁となる。メール認証だけでウォレットが自動生成されるクラウドウォレット方式や、既存のLINE/アプリに組み込まれた形での提供が現実的
- 効果測定KPIの設定:Web3マーケの成果は「配布数」だけでなく「保有継続率」「再購買率」「トークンゲートコンテンツへのアクセス率」といった継続指標で測る。稟議書上でも複数KPIを併記して、単発キャンペーンとしての評価に閉じないようにする
- 法令チェックの前倒し:景表法・特商法・個人情報保護法、場合によっては資金決済法の該当性判断は、キャンペーン公開直前ではなく、企画段階から法務・支援サービスと共に確認する
Web3マーケティングに関わる関連法令・ガイドライン
NFT・トークンを販促や特典として発行する際は、通常のマーケティング活動で必要となる法令に加え、NFTの設計次第で金融商品該当性の判断が必要になる場合があります。ここでは、稟議・法務相談の土台として整理しておくべき主な法令・ガイドラインを、業種共通と金融商品該当リスクがある場合の2グループで整理します。
本節は一般論の整理であり、個別の案件については必ず弁護士・所轄官庁への確認を行ってください。
全業種共通(景品表示法・ステルスマーケティング規制・特定商取引法・個人情報保護法)
景品表示法
景品表示法は、商品・サービスの取引に付随して提供する「景品類」の最高額・総額を規制する法律です。購買連動のNFT配布キャンペーンでは、NFTが「景品類」に該当する可能性があり、該当する場合は取引価額に応じた景品規制(一般懸賞・共同懸賞・総付景品)を守る必要があります。NFTの経済的価値(二次流通での市場価格)が景品規制上の価額とみなされる可能性についても、事前確認が必要です。
ステルスマーケティング規制
2023年10月1日、景品表示法上の「不当表示」として「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難であると認められるもの」が追加され、いわゆるステルスマーケティング規制が施行されました。NFT保有者インフルエンサーによる商品紹介、コミュニティ内でのブランド発信などについて、事業者の関与を明示する必要があります。
Web3施策はコミュニティ主導のUGCが発生しやすいため、事業者提供コンテンツと自然発生コンテンツの区別を運用ガイドラインで明確にすることが重要です。
特定商取引法
NFTを有償で販売する場合、通信販売としての特定商取引法の適用対象となります。事業者名・所在地・代表者名・返品特約・返金条件などの表示義務があり、NFTの特性上「デジタル商品でクーリングオフ非対象」となる場合も、その旨を明示する必要があります。二次流通市場での取引に事業者が関与する場合の表示要件も、案件ごとの整理が必要です。
個人情報保護法
ウォレットアドレス単体が個人情報に該当するかどうかは、他の情報と紐付けて特定の個人を識別できる状態かどうかで判断されます。NFT配布時にメールアドレス・氏名・購買履歴と紐付けて管理する場合は、個人情報保護法の適用対象となり、利用目的の特定・通知、第三者提供の制限、安全管理措置などの義務が発生します。ゼロパーティデータの取得時も、同意取得のプロセスを含めて設計時に組み込む必要があります。
金融商品該当リスクがある場合(資金決済法・改正暗号資産法・金商法)
資金決済法(暗号資産該当性・前払式支払手段該当性)
資金決済法上、発行するNFT/トークンが「暗号資産」に該当するかどうかは、金融庁の事務ガイドラインで判断基準が示されています。決済手段としての性質を持つ、不特定の者に対して発行・移転される、といった要件を満たすと暗号資産に該当し、暗号資産交換業の登録が必要になります。
マーケティング施策としてのコレクタブルNFT・会員証NFTは、通常は暗号資産に該当しないと整理されるケースが多いものの、設計次第で該当性判断が変わるため、案件ごとの確認が必要です。
また、事前に対価を得て発行し、商品・サービスの購入に使えるトークンは「前払式支払手段」に該当する可能性があり、発行体制・供託・利用者保護の観点からも法規制の対象となります。
改正暗号資産法(資金決済法・金商法の改正)
2023年6月、資金決済法および金融商品取引法の改正により、電子決済手段(いわゆるステーブルコイン)の発行・仲介についての新しい枠組みが導入されました。マーケティング目的のNFT/ユーティリティトークンは通常この範囲外ですが、ステーブルコインや証券トークン的な設計を含む場合は、資金移動業・電子決済手段等取引業・第一種金融商品取引業などの登録が必要となる可能性があります。
設計の段階で「決済・投資的性質」を持たせない整理が重要です。
金融商品取引法(有価証券該当性)
NFT/トークンが「収益分配権」や「事業への出資・持分」を表章する設計になっている場合、金融商品取引法上の「電子記録移転権利」または「みなし有価証券」に該当する可能性があります。該当する場合、第一種金融商品取引業の登録や、開示義務・勧誘規制などが適用されます。
マーケティング目的でのコレクタブルNFT・会員証NFTでは通常この範囲外ですが、収益分配・配当類似の設計を含む場合は、事前の適合性判断が必須です。
まとめ
Web3マーケティング支援サービスは、目的とチャネルの違いから「ロイヤリティ・会員基盤」「広告配信・トークン配布アドネットワーク」「Web3マーケ専業コンサル・代理店」の3タイプに整理できます。
既存顧客のLTV改善が主目的ならロイヤリティ・会員基盤タイプ、Web3層への新規リーチが主目的なら広告配信タイプ、社内リソース不足で戦略から実装まで委ねたいなら専業コンサル・代理店タイプが第一候補となります。
サービス選定にあたっては、目的タイプへの適合/連携チャネル(LINE・EC・自社アプリ)/ノーコード運用可否と伴走支援の有無/料金体系(初期・月額・従量・案件別)/導入実績の5観点で稟議書上の説明を組み立てるとよいでしょう。関連法令については、景表法・ステマ規制・特商法・個人情報保護法を基本とし、NFTの設計次第で資金決済法・改正暗号資産法・金商法の該当性判断が必要となる場合があります。
Web3マーケティングは、Starbucks Odyssey・NBA Top Shot・カルビー・ANA・JAL・そごう西武・サンリオといった国内外の代表事例を経て、単発の実証実験フェーズから、既存マーケティング資産と組み合わせた実装フェーズへと移りつつあります。自社の目的に合うタイプと選定観点を整理した上で、複数の候補サービスに資料請求を行い、比較検討の材料としてご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. Web3マーケティングと従来のデジタルマーケティングの違いは何ですか?
A. Web3マーケティングの本質的な違いは、顧客データを事業者側が一元管理する従来型と異なり、顧客自身のウォレットに保有されたNFT・トークンを介してブランドとつながる「顧客主権型のCRM」設計にある点です。
Cookieや会員IDに依存しないため、Cookie廃止やチャネル分断で失われがちだった継続接点を、保有NFTを介してブランド横断・時間横断で維持できます。来場・購買・参加の履歴もブロックチェーン上に検証可能な形で残り、次の施策のトリガーや二次流通での価値提示にも活用できる点が、単発SNSキャンペーンや従来型リターゲティング広告との明確な相違点です。
Q. Web3マーケティング支援サービスの費用感はどれくらいですか?
A. Web3マーケティング支援サービスの費用は、ロイヤリティ・会員基盤SaaSで月額数万円〜数十万円、専業コンサル・代理店タイプは案件別の見積もりで数百万円規模からが中心的なレンジです。
SaaS型は「初期費用+月額固定+NFT配布数に応じた従量課金」の3階建てが一般的で、公式発表がある例ではMintMonsterが初期25万〜50万円・月額5万〜20万円のプラン体系を提示しています。広告配信・トークン配布アドネットワーク型は、配布1件あたりの単価や動画完全視聴あたりの単価が中心となり、キャンペーン規模により総額が変動します。
稟議書上では「初期費用」「月額固定」「変動費(配布数連動)」「代理店フィー」の4区分で試算しておくと、総額の把握と社内説明がしやすくなります。
Q. Web3マーケティングの導入から施策開始までどれくらいの期間がかかりますか?
A. Web3マーケティングの導入期間は、既存のLINE公式アカウントや自社アプリに機能を追加するノーコード型SaaSで1〜2ヶ月程度、フルカスタマイズや代理店伴走を伴う場合は3〜6ヶ月程度が目安となります。
ノーコードの管理画面から非エンジニアがキャンペーンを設計できるサービスであれば、契約後の初期構築・キャンペーン設計・テスト配布までを短期に立ち上げられます。一方、既存CRMや基幹システムとのAPI連携、ダイナミックNFTを用いた会員ランク制の実装、複数チェーンをまたぐ設計を伴う場合は、要件定義・法務確認・クリエイティブ制作に時間を要します。
稟議上のスケジュールを組む際は、法務・情報セキュリティ審査と社内システム連携の工数を余裕を持って見込んでおくことが重要です。
Q. Web3マーケティングの効果はどのKPIで測定すればよいですか?
A. Web3マーケティングの効果測定は、「配布数」「NFT保有者数」といった一次指標に加え、「保有継続率」「再購買率」「トークンゲートコンテンツへのアクセス率」「LTV改善率」といった継続関与指標を組み合わせて評価するのが基本です。
配布数だけを追うと「NFTを配って終わり」の単発キャンペーンとして評価が閉じてしまい、稟議で継続予算を通しにくくなります。
既存顧客のLTV改善が目的ならリピート購買率と客単価の推移、新規リーチが目的なら配布後のサイト回遊率とゼロパーティデータの取得率、コミュニティ形成が目的ならDiscord・X連携でのアクティブ率など、施策目的ごとに複数KPIを併記し、段階的な成果を可視化する設計にしておくと稟議・振り返りの説明がしやすくなります。
Q. Web3マーケティング支援サービスは中小企業や自治体でも導入できますか?
A. Web3マーケティング支援サービスは、メール認証やSMS認証だけでユーザー登録が完結するノーコード型SaaSが増えており、月額数万円台から中小企業・自治体でも導入可能な選択肢が広がっています。
実際に、自治体(神社の御朱印NFT・履修証明NFT・スモールモビリティ×スタンプラリー等)や中堅事業者への導入事例も、掲載サービス各社から公表されています。大手ブランドと同じ機能を、企業規模に応じたプラン設定と伴走支援で導入できるため、まずは1つのキャンペーンや会員証施策で効果検証したうえで段階的に展開する進め方が現実的です。
Q. Web3マーケティングで使うブロックチェーンはどう選べばよいですか?
A. Web3マーケティングで用いるブロックチェーンは、「ガス代(発行手数料)の低さ」「エンドユーザーがウォレット準備なしで利用できるUX」「サービス提供者による日本国内での運用実績」の3点を軸に選ぶのが実務的です。
掲載サービスでは、Flowを採用してガス代を最小化する例や、案件に応じてBase・Astar zkEVMなどを使い分ける例が確認できます。マーケティング目的の会員証NFT・コレクタブルNFTは、事業者側で発行コストを負担しても採算が合う低コストチェーンの採用が主流です。
多くの場合、事業者・ユーザーともにチェーンの種別を意識しないUX(クラウドウォレット・メール認証)で提供されるため、実務では技術仕様よりも「サービス側が自社に合うチェーンで既に運用実績を持っているか」を優先軸として問い合わせるとよいでしょう。
Q. NFT・トークンをマーケティング施策で発行する際に注意すべき法規制は何ですか?
A. NFT・トークンをマーケティング施策で発行する際は、景品表示法・ステマ規制・特定商取引法・個人情報保護法が全業種共通の基本となり、NFTの設計次第で資金決済法・改正暗号資産法・金商法の該当性判断が加わります。
購買連動で配布するNFTは景表法上の「景品類」に該当する可能性があり、二次流通での市場価格が景品規制上の価額とみなされるケースにも留意が必要です。決済手段としての性質や不特定多数への発行・移転を含む設計、収益分配や事業への出資持分を表章する設計は、それぞれ暗号資産・電子記録移転権利に該当する可能性があります。
マーケティング目的のコレクタブルNFT・会員証NFTは通常これらの範囲外と整理されるケースが多いものの、判断は案件ごとに変わるため、企画段階から法務部門と支援サービス側で確認することが重要です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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