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組込保険(エンベデッド保険)とは?主要サービスを提供形態・事例で比較|自社サービスへの組み込み方と選び方

組込保険(エンベデッド保険)とは? 提供形態・事例で主要サービスを比較のサムネイル画像

自社のアプリやECサイトで商品・サービスを提供する中で、「購入や利用の場面に保険を組み合わせられないか」と考えたことはないでしょうか。

旅行予約にキャンセル保険を、自転車の購入に事故補償を、といった具合に、事業者の商流のなかに保険を溶け込ませて提供する仕組みが組込保険(エンベデッド保険)です。海外では新しい保険販売のかたちとして急速に広がり、国内でも実装できるプラットフォームやAPI基盤が揃い始めています。

とはいえ、いざ自社で組込保険を始めようとすると、「そもそも保険を扱うには何が必要なのか」「保険会社と組むのか、専用の基盤を使うのか」「提供形態が違うサービスをどう見比べればよいのか」といった疑問に突き当たります。組込保険という言葉は知っていても、自社の商流にどう載せ、どのパートナーと組めば実装できるのかは、意外とつかみにくいものです。

本記事では、組込保険(エンベデッド保険)の仕組みと広がりの背景を整理したうえで、国内で実装できる主要な組込保険基盤を提供形態別に比較・解説します。提供形態の3タイプの違い・自社に合う選び方・保険業法上の実装の前提まで、プラットフォーム型/保険会社向けの実装基盤型/グローバルのイネーブラー型という区分に沿って、公式情報と一次情報にもとづいて整理しました。

自社サービスへの保険の組み込みを検討する事業会社や、保険をAPIで外部提供したい保険会社・少額短期保険業者の担当者が、パートナー選定と資料請求の判断材料として活用できる内容です。

また、自社に合う提供形態を最短で見極められるよう、「30秒でわかる組込保険基盤の選定診断をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

組込保険(エンベデッド保険)とは?

組込保険(エンベデッド保険)とは、事業者が提供する商品・サービス・アプリの購入や利用の文脈に、保険を一体的に組み込んで提供する仕組みです。保険を単独の商品として別途契約させるのではなく、旅行予約や商品購入といった顧客の行動の流れのなかで、必要な補償をその場で提示・付帯する点に特徴があります。

たとえば航空券の予約画面で欠航に備えたキャンセル保険を提示したり、自転車のECサイトで購入と同時に事故補償を申し込めるようにしたりする形が該当します。保険を「探して・比べて・契約する」手間を顧客に負わせず、購入体験に溶け込ませることで、事業者は顧客への付加価値と新たな収益源を、保険会社は新しい顧客接点を得られます。

組込保険は、保険業界のデジタル変革を指すインシュアテック(InsurTech)の代表的な潮流の一つと位置づけられます。インシュアテックが保険の引受・査定・販売などIT活用全般を広く指すのに対し、組込保険は「非保険の事業者の商流に保険を埋め込む」という提供のかたちに焦点を当てた概念です。

従来の付帯保険・インシュアテックとの違い(Embedded Insurance 1.0/2.0)

「商品に保険を付ける」こと自体は新しくありません。家電の延長保証やクレジットカードの付帯保険のように、以前から商品やサービスに保険を組み合わせる販売は行われてきました。こうした従来型は、後から振り返ってEmbedded Insurance 1.0と呼ばれることがあります。

1.0の課題は、補償内容が画一的でコモディティ化しやすく、事業者にとっての収益貢献も限られがちだった点にあります。顧客一人ひとりの状況に合わせるというより、一律の補償を上乗せする発想にとどまっていました。

これに対して、近年広がっている組込保険はEmbedded Insurance 2.0と呼ばれます。APIによる保険会社との連携や、顧客の購買・利用データの活用を前提に、「誰が・いつ・何を買ったか」という文脈に合わせて必要な補償を最適なタイミングで提示する点が異なります。

データと連携を軸に、保険を購入体験の一部として自然に組み込むのが2.0の考え方です。本記事で扱う組込保険基盤は、この2.0を実装するための仕組みを指します。

なぜ今、組込保険が注目されるのか

ここからは、組込保険の導入が近年これほど広がっている背景を整理します。

第一の要因は、EC・アプリ・サブスクリプションといったデジタルの顧客接点が事業の中心になったことです。顧客がオンライン上で商品やサービスを購入する流れが定着したことで、その導線に保険を組み込む余地が生まれました。購入データや利用データを保険の設計・提示に活かせるようになった点も、文脈に合った補償を届けられる土台となっています。

第二に、保険をAPIで外部サービスに接続する技術基盤が整い、非保険の事業者でも自社の商流に保険を載せやすくなったことがあります。従来は保険会社との個別のシステム連携に多大なコストがかかっていましたが、組込保険基盤を使えば、比較的短い期間で保険の申込・契約・請求までを自社サービスに組み込めるようになりました。

第三に、こうした環境変化を追い風に、事業会社と保険会社の双方が組込保険への取り組みを本格化させたことがあります。事業会社は顧客接点を収益機会として捉え、保険会社は新たな販売チャネルとして期待を寄せる形で、供給と需要の両側から市場が立ち上がってきました。個々の便益は次章で立場ごとに整理します。

組込保険の市場規模と今後の展望

組込保険の市場は、今後大きく拡大すると複数の業界アナリストが予測しています。組込保険を専門に取り上げた官庁統計は現時点で確認できないため、ここでは出所を明示したうえで代表的な予測を紹介します。

Simon Torrance氏によれば、損害保険市場における現在のエンベデッド・インシュアランスの元受保険料割合は全世界で2%程度だが、2030年には25%を占め、その額は7,220億ドルに達すると予測している

出典:エンベデッド・インシュアランス~新時代の保険販売手法「組込型保険」をどう見るか~|SOMPOインスティチュート・プラス(2021年9月3日)が引用するSimon Torrance氏の予測

また、EYは自社の見込みとして「2030年頃までには、全ての保険取引の約30%が組込チャネル内で発生する」と述べています。いずれも官庁統計ではなく業界アナリストやコンサルティング会社による予測ですが、損害保険を中心に、保険の販売チャネルとして組込型が一定の比重を占めていくという見方は共通しています。国内でも実装できるサービスが揃い始めた今、先行して取り組む意義が高まっている段階だといえます。

出典・参考資料(2件)

組込保険のメリット(事業者・消費者・保険会社の3者)

組込保険は、保険を提供する事業者・保険を利用する消費者・保険を引き受ける保険会社の3者それぞれに利点があります。ここでは立場ごとに便益を整理します。

事業者(自社サービス提供者)のメリット

自社サービスに保険を組み込む事業者にとって最大の利点は、既存の顧客基盤を活かした新たな収益源を得られることです。保険の販売手数料やレベニューシェアが収益に加わるうえ、購入・利用の文脈に合った補償を提示することで、顧客の安心感と満足度を高められます。

顧客との接点が増える点も見逃せません。補償という体験価値を提供することで、サービスの差別化や顧客の囲い込みにつながります。組込保険基盤を活用すれば、保険会社との複雑なシステム連携を自前で構築せずに、こうした価値を比較的短期間で実装できます。

消費者のメリット

消費者にとっては、保険を別途探して契約する手間なく、必要なタイミングで必要な補償を得られる点がメリットです。旅行の予約時や商品の購入時など、リスクを意識しやすい場面でその場に合った補償が提示されるため、「入り忘れ」を防ぎやすくなります。

補償内容が利用シーンに即して設計されるため、自分に不要な補償まで抱き合わせで契約するような無駄も生じにくくなります。購入と一体で申し込めることで、加入手続きの負担も軽くなります。

保険会社・少額短期保険業者のメリット

保険を引き受ける保険会社や少額短期保険業者にとっては、自社では届きにくかった顧客層に、事業者の商流を通じてアプローチできる点が利点です。代理店網や広告に頼らず、事業者のデジタル接点を新たな販売チャネルとして活用できます。

購入・利用データと連携することで、リスクに応じた商品設計や、これまで保険化しにくかった小口・短期のニーズへの対応もしやすくなります。新しい商品や顧客層の開拓を、事業者との提携を通じて進められる点が、供給側にとっての価値です。

組込保険の国内外の活用事例

ここからは、組込保険が実際にどのように使われているかを、国内外の事例で見ていきます。いずれも公式発表などをもとに整理しています。

国内の代表例が、ANAと東京海上日動火災保険による航空券のキャンセル保険「そらもよう」です。悪天候により欠航のおそれがある場合などに、航空券の取消・払戻手数料を補償するもので、航空券の購入という事業者の商流に保険を組み込んだ形です。

飲食予約の分野では、予約管理サービス「OMAKASE byGMO」に、レストラン予約のキャンセル料を補償する「OMAKASEキャンセル保険」が組み込まれた例があります。基盤の提供をFinatext、保険の引受をスマートプラス少額短期保険が担う形で、予約導線のなかで補償を提供しています。引受を少額短期保険業者が担う点は、後述する提携形態の一例としても参考になります。

ECの分野では、自転車販売のサカイサイクルが運営するオンラインショップに、楽天損害保険の自転車保険の申込機能が組み込まれた事例があります。simplesuranceの組込型保険ソリューションを通じて提供され、ECでの購入情報が保険の契約情報に反映される点が、購入体験と一体化した組込保険の特徴を表しています。

海外では、事業者自身が保険を提供する例も見られます。SOMPOインスティチュート・プラスのレポートによれば、自動車メーカーのテスラは車両データ(テレマティクス)を活用した自動車保険を自ら提供し、中国のアントグループは自社アプリ上で多数の保険商品を提供して多くの顧客を獲得しているとされます。

こうした事例は、非保険の事業者が自社のデータと顧客接点を保険に結びつける動きが世界的に広がっていることを示しています。

出典・参考資料(3件)

組込保険の提供形態とサービスのタイプ

組込保険を実装するサービスは、「自社が何を・どう組み込みたいか」という買い手の目的によって、大きく3つのタイプに分けられます。まず全体像を概観したうえで、それぞれの特徴を見ていきます。

ここで一点補足すると、保険の企画から契約管理までを幅広く担うフル機能型のサービスは、事業会社の組込と保険会社の基盤提供の両方にまたがることがあります。ここでは各サービスの主眼で分類しているため、自社の主目的でタイプの当たりをつけつつ、隣り合うタイプも確認すると見落としを防げます。

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特徴主な利用者詳細
事業会社向けプラットフォーム型保険の企画から引受連携・約款・募集導線までを一括で提供し、事業会社が自社アプリ・Webに保険を載せられる自社サービスに保険を組み込みたい事業会社比較表を見る
保険会社・保険DXの実装基盤型保険商品・契約・請求をAPIで外部接続する保険コア/ミドルオフィス。保険会社・少短のデジタル化を支えるデジタル化・API配信を進めたい保険会社・少額短期保険業者比較表を見る
グローバルイネーブラー型世界規模のライセンス網とディストリビューションで保険・保証を配信。越境ECやグローバル商流に向くグローバルに商品・サービスを展開する事業者比較表を見る

※上記は各タイプの一般的な傾向を整理したものです。実際の提供範囲は各サービスの情報をご確認ください。

自社サービスに保険を組み込みたい事業会社向けプラットフォーム型

事業会社が自社のアプリやWebサイトに保険を組み込むことを主眼にしたタイプです。保険の企画・設計から、保険会社との引受連携、約款や募集の導線づくりまでを一括で提供し、非保険の事業者でも自社の商流に保険を載せられるようにします。

保険の専門知識やシステムを自前で持たない事業会社にとって、実装の負担を抑えながら保険を組み込める点が特徴です。何をどこまで代行してもらえるかはサービスによって幅があるため、後述する選び方の観点で見極める必要があります。

保険会社・保険DXの実装基盤(API・ミドルオフィス)型

保険会社や少額短期保険業者が、自社の商品・契約・請求といった業務をAPIで外部サービスに接続できるようにするタイプです。保険のコアシステムやミドルオフィスをAPI基盤として提供し、既存の保険商品を組込保険としてさまざまなチャネルに配信できるようにします。

保険を「供給する側」のデジタル化を支える基盤であり、自社商品を外部の事業者に組み込んで届けたい保険会社や、新しい保険商品を機動的に立ち上げたい少額短期保険業者に向いています。事業会社から見れば、この基盤の上に構築されたサービスと連携する形になります。

越境EC・グローバル商流向けの組込保険イネーブラー型

世界規模のライセンス網とディストリビューション基盤を持ち、複数の国・地域で保険や保証をデジタルに配信するタイプです。越境ECやグローバルに展開するプラットフォームに保険を組み込みたい場合の選択肢となります。

このタイプには、パートナー企業のチャネルに保険を配信する形態や、保険会社自身がグループの引受能力を背景に商品を組み込み提供する形態が含まれます。グローバルでの実績が豊富な一方、日本国内での提供範囲は限られる場合があるため、自社が使いたい地域・商材で実装できるかを確認することが重要です。

ここまでで3つのタイプの違いを整理しました。次の診断で、自社がどのタイプに向いているかを確認してみてください。

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自社に合う組込保険基盤の選び方

ここからは、組込保険基盤を選ぶ際の判断軸を整理します。提供形態のタイプを踏まえたうえで、自社の状況に当てはめて検討してください。

自前構築とプラットフォーム活用のどちらが自社に向くか

最初の分岐は、保険の仕組みを自前で構築するか、組込保険基盤を活用するかです。保険会社との連携から契約・請求の処理までを自社で作り込む方法は、自由度が高い反面、保険業法上の体制整備やシステム開発に相応の期間とコストがかかります。保険を扱う専門人材の確保も前提となります。

一方、組込保険基盤を活用すれば、保険会社との連携や募集の仕組みを既製の基盤に委ねられるため、実装までの期間と初期投資を抑えられます。保険をコア事業にするのでなく、自社サービスの付加価値として保険を組み込みたい事業会社であれば、プラットフォーム活用から始めるのが現実的です。まずは自社が保険にどこまで踏み込むのかを見極めることが、最初の判断軸になります。

提供形態・対応する保険商材・引受体制は自社の目的に合うか

次に確認したいのが、サービスの提供形態が自社の立場に合っているかです。自社が事業会社なのか保険会社・少短なのかによって、向いているタイプが変わります。事業会社が保険を載せたいならプラットフォーム型、保険会社が自社商品を外部配信したいなら実装基盤型が起点になります。

あわせて見ておきたいのが、自社が扱いたい保険商材(キャンセル保険・物損補償・自転車保険など)に対応しているか、引受をどのスキームで担うかという点です。

基盤の提供者が保険会社と連携して引受を用意するのか、少額短期保険業者と組む形なのか、事業者自身が募集の体制を整える必要があるのかは、後述する提携形態と直結する重要な選定ポイントです。自社が短期・少額の保険を扱いたい場合は、少額短期保険のスキームに乗せられるかも判断材料になります。

引受のかたちは、記事内のサービスでも分かれます。複数の保険会社の商品を1つの基盤から選べる中立性を重視するならプラットフォーム型やAPI基盤型が向き、特定の大手損保のブランドと引受力をそのまま自社サービスに載せたいなら、保険会社が自ら引き受ける保険会社主導型が選択肢になります。

国内での実装を前提とする場合は、国内実績のあるサービスか、それとも越境・グローバル向けで国内提供が限定的なサービスかも、早い段階で見極めておくと選定がぶれません。

料金・レベニューシェアの仕組みは収益設計に見合うか

組込保険基盤の多くは料金体系を公開しておらず、初期費用・運用費用に加え、保険料に応じたレベニューシェア(収益分配)を組み合わせる形が一般的です。導入時の費用だけでなく、保険が売れたときにどのように収益を分け合うかまで含めて、自社の収益設計に見合うかを確認する必要があります。

料金が非公開のサービスが多いため、実際の費用感は資料請求や問い合わせで確認するのが確実です。自社が見込む保険の販売規模と、基盤側に支払うコストのバランスを試算したうえで、複数のサービスを比較検討することをおすすめします。

組込保険を始めるまでの大まかな流れ

選ぶ観点を踏まえたうえで、実際に自社サービスへ保険を組み込むまでは、おおむね次のような流れで進みます。細部は選ぶ提供形態や商材によって変わりますが、全体像をつかんでおくと基盤の候補と相談しやすくなります。

組込保険を自社サービスに組み込むまでの5ステップ。STEP1:扱いたい保険と提供形態のあたりをつけ候補の組込保険基盤に相談・資料請求。STEP2:引受を担う保険会社・少額短期保険業者と、募集人として登録するか送客・情報提供にとどめるかの提携形態を決定。STEP3:提携形態に応じて募集人登録の要否を判断し募集体制や所属保険会社等の表示を整備。STEP4:基盤のAPI・SDKで購入・申込導線に保険の提示・申込・契約を実装しテスト。STEP5:提供を開始し契約・請求のデータ連携や実績を見ながら商品・導線を改善。
  1. 自社が扱いたい保険と提供形態のあたりをつけ、候補となる組込保険基盤に相談・資料請求する
  2. 引受を担う保険会社または少額短期保険業者と、どの提携形態で組むか(自社が募集人として登録するのか、送客・情報提供にとどめるのか)を決める
  3. 提携形態に応じて、募集人登録の要否判断や社内の募集体制・表示(所属保険会社等の明示など)を整える
  4. 基盤のAPIやSDKを使い、自社の購入・申込導線に保険の提示・申込・契約の流れを実装してテストする
  5. 提供を開始し、契約・請求のデータ連携や実績を見ながら商品・導線を改善する

このうち保険業法にかかわる募集体制や提携形態の判断は、記事後半の「組込保険を始める前に押さえる保険業法・募集規制と提携形態」で詳しく整理します。どこまでを自社で担い、どこからを基盤に委ねるかは、選ぶサービスによって変わります。

【比較表】組込保険基盤のおすすめ比較

ここでは、本記事で取り上げる組込保険基盤を提供形態の3タイプ別に比較します。主な組込方式・対応する保険と引受スキーム・導入実績・料金体系を、タイプごとに一覧化しました。自社の立場と目的に合うサービスを見極める材料としてご活用ください。

【比較表】事業会社向けプラットフォーム型

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サービス名FusionInspire
提供企業リードインクス株式会社株式会社Finatext(Finatextグループ)
主な組込方式・連携SaaS型ミドルウェア+API連携。既存の購買・予約動線に加入を差し込むシナリオ型/自社アプリに複数商品を並べるマーケットプレイス型の2方式SaaS型の保険基幹システム+API連携。ローコードで立ち上げるInspire Express、機能を単体導入するInspire Select など提供形態が豊富
対応する保険・引受スキーム複数の保険会社の商品を同一UIで提供。事業会社が保険代理店として加入導線を持つ。損保・第三分野・生保を横断第一・第二・第三分野すべてに対応。API連携で複数の保険会社の商品を同一画面で提供。少短/共済向けの立ち上げ支援パッケージあり
主な導入実績・提携国内。PayPayほけん(開始5年半で累計加入1,000万件超)、日本航空JMBアプリ、りそなHD(銀行業界初採用)、Yahoo!ほけん など国内。保険事業者13社(2025年6月末時点)。SmartHRとデジタル保険マーケットプレイスを共同開発、楽天少短・日新火災 など
料金体系要問い合わせ(非公開)要問い合わせ(非公開)
システム利用費は従量課金制
詳細情報公式資料を見る公式サイト

【比較表】保険会社・保険DXの実装基盤(API・ミドルオフィス)型

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サービス名InsureMOjoinsure
提供企業InsureMO株式会社株式会社justInCaseTechnologies
主な組込方式・連携マイクロサービス・APIファーストのPaaS(保険ミドルオフィス)。既存の基幹システムを止めず上位にAPI層を重ねて段階的に最新化SaaS型クラウド保険システム(joinsure)。全業務をまかなうフル活用型/申込フォームのみの部分活用型。SaaS+BPO+コンサルのBPaaSも提供
対応する保険・引受スキーム生保・損保・医療・共済・少額短期など幅広い商品に対応(グローバル本体)。異業種による組込型保険にも対応申込〜引受査定・契約管理・保険金請求を1システムで完結。少額短期保険の設立支援(少短設立Navi)まで一貫支援
主な導入実績・提携国内32社(2026年5月時点、JCB など)。グローバルでは50カ国以上・500社超、年間処理保険料250億米ドル超国内。Ponta保険(ロイヤリティ マーケティング)、伊藤忠オリコ保険サービス「オリコのあんしん保険」、au少額短期保険 など
料金体系要問い合わせ(非公開)
基本パッケージ+保険商品数に応じた課金
要問い合わせ(非公開)
初期開発費用を原則ゼロに抑える設計
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト

【比較表】越境EC・グローバル商流向けの組込保険イネーブラー型

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サービス名bolttechCover GeniusChubb Studio
提供企業bolttech Holdings LimitedCover Genius Pty LtdChubb Limited
主な組込方式・連携保険会社・事業会社・顧客をつなぐB2B2Cの「保険エクスチェンジ」。組込保険API・代理店ポータル・消費者/パートナーポータルなど複数の実装形態単一のAPI連携(XCover)で複数の保険を組込。請求受付〜支払いを自動化するXClaim。ホワイトラベル対応API・SDK・ホワイトラベルのマイクロサイトの3方式で組込。運用はChubb managed/Partner managed/Hybridから選択
対応する保険・引受スキーム数百社の保険会社ライブラリに単一接続し複数社の商品を配信。デバイス保護・旅行・モビリティ など(グローバル)60カ国超・米国全50州で保険免許・認可を保有し、パートナーは各国免許なしで国際展開。旅行保険・製品保証・配送保険 など引受はChubb自身が担う保険会社主導型(複数社を横断する中立型ではない)。旅行・傷害・サイバー・中小企業向け保険 など
主な導入実績・提携グローバル39か国。国内は東京海上HDが資本参画(2022年)、Back Market提携のデバイス保護「Back Up」(2024年〜)。国内提供はデバイス保護が中心グローバル。Booking Holdings・Amazon・eBay・Uber・Klarna など。日本国内の提供実績は公式に確認できず(SOMPOが2021年に出資)グローバル54カ国・地域。Nubank・Yettel など。国内は「Chubb Studio」名義の提携は未確認(2024年にSmartpay×Chubb損害保険の業務提携)
料金体系要問い合わせ(非公開)要問い合わせ(非公開)
レベニューシェア型が示唆される
要問い合わせ(非公開)
詳細情報サービス詳細を見る公式サイト公式サイト

※上記は一般的な傾向です。実際の機能・対応範囲・料金については各社の最新情報をご確認ください。

組込保険基盤サービスの個別紹介

ここからは、各サービスの特徴を提供形態のタイプ別に紹介します。公式情報をもとに、提供形態・対応する保険商材・引受スキーム・国内での実装可能性を整理しました。

自社サービスに保険を組み込みたい事業会社向けプラットフォーム型

自社のアプリ・Webに保険を載せたい事業会社が、保険の企画から募集導線までをまとめて任せられるサービスです。

1. Fusion(リードインクス株式会社)

Fusion(フュージョン)公式サイトのスクリーンショット

リードインクス株式会社が提供する、事業会社が自社のアプリやWebに複数の保険会社の商品を組み込んで販売できるデジタル保険プラットフォームです。SaaS型のミドルウェアとAPI連携により、銀行・EC・モビリティ・小売・旅行といった異業種の事業者が、保険代理店として自社チャネル内に保険の販売動線を持てるように設計されています。

保険の組み込み方は、既存の購買・予約フローにチェックボックス操作で加入を差し込む「シナリオ型」と、自社アプリ内に保険セクションを設けて複数商品を並べる「マーケットプレイス型」の2通りが用意されています。自社チャネル内の顧客情報を引き継いで個人情報の再入力なしに申込まで完結でき、複数の保険会社の商品を同一のUIで扱える点が特徴です。

導入先には、サービス開始から5年半で累計加入件数が1,000万件を超えたPayPayほけんをはじめ、日本航空のJMBアプリ、銀行業界で初めて採用したりそなホールディングス、LINE上で加入から保険金請求まで完結するYahoo!ほけんなどがあります。料金は公開されておらず、要件に応じたカスタマイズを前提とした個別見積もりのため、導入費用は問い合わせで確認する形になります。

2. Inspire(株式会社Finatext)

Inspire(インスパイア)公式サイトのスクリーンショット

2020年から提供されている、株式会社Finatext(Finatextグループ)のSaaS型デジタル保険基幹システムです。保険料の見積もりから申込・査定、契約管理、保険金請求、更改までの保険業務をクラウド上でワンストップに扱え、第一分野(生命保険)・第二分野(損害保険)・第三分野のすべての保険商品に対応します。

事業会社にとっての接点となるのが、API連携により複数の保険会社の商品を同一画面・同一フォーマットで提供できる仕組みです。これを使い、非保険の事業者が自社のUI・導線に保険の加入フローを組み込めます。クラウド人事労務のSmartHRとは、福利厚生サービス内にデジタル保険マーケットプレイスを共同開発する事例が2026年5月に発表されています。

導入規模に応じて、ローコードで短期間に立ち上げる「Inspire Express」、機能を単体で導入できる「Inspire Select」、少額短期保険会社・共済向けの立ち上げ支援パッケージ「Inspire for 少短/共済」といった提供形態が用意されています。

導入実績は保険事業者13社(2025年6月末時点)で、料金はシステム利用費が従量課金制である点のみ公表され、具体額は非公開のため個別の問い合わせが必要です。

保険会社・保険DXの実装基盤(API・ミドルオフィス)型

保険会社や少額短期保険業者が、自社商品をAPIで外部配信し、保険DXを進めるための基盤となるサービスです。

3. InsureMO(InsureMO株式会社)

InsureMO(インシュアモ)公式サイトのスクリーンショット

保険会社の基幹システム(Core)と販売チャネルの間に立つ「保険ミドルオフィス」を掲げる、InsureMO株式会社のAPI・マイクロサービス基盤です。原開発元はeBaoTech(イーバオテック)で、InsureMOのグローバル本社はシンガポールにあります。国内ではInsureMO株式会社のほか、NTTデータや日鉄ソリューションズも提供経路となっています。

申込・契約管理・保険金請求といった保険業務をマイクロサービス(部品)としてAPIで提供し、保険会社のコアシステム最新化から、旅行・不動産・ECなど異業種の事業者による組込保険まで対応します。既存の基幹システムを入れ替えずに、その上位へAPI層を重ねて段階的に最新化できる点が設計の中心で、既存資産を活かしながら新しい保険商品や販売チャネルを短期間で立ち上げたい保険会社に向いています。

グローバルでは50カ国以上・500社超で利用され、年間処理保険料は250億米ドル超とされます(いずれもグローバル本体の実績)。国内の導入は32社(2026年5月時点)です。料金は公開されておらず、プラットフォーム機能・インフラ費用・保守費用に保険商品数に応じた課金を組み合わせる構成のため、具体的な費用は問い合わせで確認する形になります。

こうした基盤を提供する立場から、同社の河上氏は、カタログ独自のインタビューで、大手ECサイトに保険を組み込んだ国内の実装例を挙げています。複数の事業者がAPIでつながりながら、利用者にはその存在を意識させない顧客体験を、次のように語っています。

河上氏
InsureMO株式会社 代表取締役
河上氏
独自インタビューより

サイトに入ると、お客様は最後まで保険会社の名前を一切意識せず、サイト中で完結して保険にお申し込みいただけます。背後で大手ECサイトのAPIとリトルファミリー様、そしてInsureMOがつながっています。お客様は住所や年齢、決済情報を再入力する必要がありません。これが、私たちが考える「正しい組込型保険」だと思っています。

4. joinsure(株式会社justInCaseTechnologies)

joinsure(ジョインシュア)公式サイトのスクリーンショット

保険の申込フォームから引受査定・契約管理・保険金請求までを1つのシステムでまかなえる、株式会社justInCaseTechnologiesが開発するSaaS型のクラウド保険システム「joinsure(ジョインシュア)」です。プラットフォーマーとの連携により、事業会社が自社サービスに保険を組み込む「エンベデッドインシュアランス」を主軸に据えています。

導入形態は、申込から契約管理・保険金請求までの業務フローをすべてjoinsureで完結する「フル活用型」と、申込フォームのみを導入して既存システムと併用する「部分活用型」の2通りから選べます。

2024年11月にはアグレックスとの資本業務提携により、システムにコールセンターなどのBPOや商品設計コンサルティングを組み合わせたBPaaSも提供し、運用体制を自社で持たずに組込保険や少額短期保険の事業を始められる形を整えています。

導入先には、ロイヤリティ マーケティングの「Ponta保険」、東京海上日動の医療・がん・介護保険をWeb完結で扱う伊藤忠オリコ保険サービスの「オリコのあんしん保険」、au少額短期保険などがあります。

少額短期保険業への新規参入を構想段階から支援する「少短設立Navi」も用意し、保険商品の配信だけでなく事業の立ち上げまで一気通貫で支援できる点が特徴です。料金は公開されていないため、詳細は問い合わせが必要です。

保険会社・少額短期保険業者が、組込保険への対応とあわせて基幹システムそのものの刷新・選定も検討する場合は、生命保険など業態別の選び方をまとめた以下の記事も参考になります。

越境EC・グローバル商流向けの組込保険イネーブラー型

グローバルに商品・サービスを展開する事業者が、世界規模のライセンス網を通じて保険・保証を組み込むためのサービスです。日本での提供範囲は各社で異なり、現時点では国内での実装実績が限定的・未確認のものが中心です。国内向けの導入を検討している場合は、越境ECやグローバル展開の選択肢として参考にしつつ、自社の対象地域・商材での実装可否を各社に確認してください。

5. bolttech(bolttech Holdings Limited)

bolttech(ボルテック)公式サイトのスクリーンショット

2020年にシンガポールで創業したbolttech(ボルテック)は、保険会社・流通パートナー(事業会社)・顧客の三者をつなぐ「保険エクスチェンジ」を運営するインシュアテック企業です。通信キャリア・Eコマース・デバイスメーカーなどの購入やチェックアウトの場面に保険を組み込む配信基盤を、APIや代理店ポータルなど複数の実装形態でグローバルに提供しています。

日本では2022年に東京海上ホールディングスと資本業務提携を結び、翌2023年のシリーズBでは同社がリード投資家として資本参画しています。2024年には中古デバイスマーケットプレイスのBack Marketと提携し、スマートフォン・タブレット向けの保護サービス「Back Up」で国内での商用提供を開始しました。

一方で、代理店ポータルや消費者向けポータルといったグローバルで展開する機能を、日本国内で同等に利用できるかは公式情報からは確認できていません。現時点で国内での提供が確認できるのはBack Market提携によるデバイス保護サービスにとどまるため、自社が使いたい商材・機能が日本で提供されているかは個別に確認する必要があります。

6. Cover Genius(Cover Genius Pty Ltd)

Cover Genius(カバージーニアス)公式サイトのスクリーンショット

Cover Genius(カバージーニアス)は、EC・旅行・フィンテック・物流などのデジタルプラットフォームに保険・保証を組み込む「エンベデッド・プロテクション」を専門とする、2014年にオーストラリア・シドニーで創業したインシュアテック企業です。

中核は、単一のAPI連携で旅行保険・製品保証・配送保険・キャンセル保証などを組み込める「XCover」と、保険金請求の受付から支払いまでを自動化する「XClaim」です。

特徴は、60カ国超・米国全50州で保険免許・認可を保有し、パートナー企業が各国ごとに免許を取得しなくても国際展開できる点にあります。Booking Holdings・Amazon・eBay・Uber・Klarna など、越境で事業を展開するEC・旅行・決済プラットフォームとの提携を中心に、複数国・複数通貨に対応した保険をまとめて組み込めます。

日本には2017年設立のCover Genius Japan株式会社が登記されていますが、国内向けの具体的な提供実績や提携先は公式には確認できません。日本のSOMPOホールディングスが2021年に戦略的出資を行っているものの、これは資本関係であり国内での保険提供を示すものではないため、日本の商流で使う場合は対応可否を個別に確認する必要があります。

7. Chubb Studio(Chubb Limited)

Chubb Studio(チャブ・スタジオ)公式サイトのスクリーンショット

Chubb Studioは、スイス・チューリッヒに本社を置きニューヨーク証券取引所に上場する損害保険グループChubb Limitedが2020年に立ち上げた、B2B2C型のエンベデッド保険基盤です。銀行・フィンテック・Eコマース・通信・旅行などのデジタル事業者の顧客導線に、API・SDK・ホワイトラベルのマイクロサイトを通じてChubbの保険商品を組み込みます。

これまで紹介した中立的なプラットフォーム型やAPI基盤型が複数の引受保険会社をつなぐのに対し、Chubb Studioで組み込む保険の引受はChubb自身が担う保険会社主導型です。複数社から商品を選ぶ中立性よりも、大手損保のブランドと引受力をそのまま自社サービスに載せたい事業者に向いています。取り扱う商品は旅行保険・個人向け傷害保険・サイバー保険・中小企業向け保険などです。

日本ではChubb損害保険株式会社が事業を展開していますが、「Chubb Studio」ブランドを冠した国内での提携は今回の調査では確認できませんでした。

2024年にはフィンテック企業のSmartpayとChubb損害保険株式会社がデジタル保険商品の開発・提供で業務提携していますが、この発表にChubb Studioの名称はなく、国内での提供体制は公式情報だけでは判断できないため、個別の確認が必要です。

組込保険を始める前に押さえる保険業法・募集規制と提携形態

組込保険を自社で始める際に避けて通れないのが、保険業法上の募集規制です。保険を扱う行為には法律上のルールがあり、自社がどこまで関与するかによって必要な手続きや提携のかたちが変わります。概念やサービスの比較だけでなく、この実装の前提を理解しておくことが、現実的な検討には欠かせません。

保険を「売る」には募集人登録と引受主体(所属保険会社等)が必要

保険業法上、保険契約の締結の代理または媒介を行うことを「保険募集」と定義しています。組込保険で顧客に保険を勧めて申し込みを受ける行為は、原則としてこの保険募集にあたります。保険募集は誰でも行えるわけではなく、生命保険募集人・損害保険募集人・少額短期保険募集人などとして登録した者に限られます(保険業法第275条)。

そして、募集人が保険募集を行うには、その保険の引受主体となる「所属保険会社等」、すなわち保険会社または少額短期保険業者が背後に必要です。

つまり事業会社が自社サービスに保険を組み込んで販売する場合、事業会社自身が募集人として登録し、保険会社や少額短期保険業者と組んで引受を担ってもらう、という提携の構図が基本になります。募集の際には、所属保険会社等の名称や、代理か媒介かの別を顧客にあらかじめ明示する義務もあります(同法第294条)。

どこまで関与すると募集規制がかかるか(保険募集該当性と募集関連行為)

実務で重要になるのが、事業会社の関与の度合いによって募集規制の適用が変わる点です。金融庁の監督指針は、保険募集にあたる行為と、そこには至らない「募集関連行為」を区別しています。募集にあたるかどうかは、次の2つの要件に照らして総合的に判断されます。

ア. 保険会社又は保険募集人などからの報酬を受け取る場合や、保険会社又は保険募集人と資本関係等を有する場合など、保険会社又は保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があること。/イ. 具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること。

出典:金融庁「保険会社向けの総合的な監督指針」II-4-2-1(https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/ins/02d.html
組込保険で保険募集にあたるかは監督指針の2要件(ア:報酬受取や資本関係などで募集行為との一体性・連続性がある、イ:具体的な保険商品の推奨・説明を行う)で総合判断される。両要件に該当する場合は保険募集にあたり、募集人登録(保険業法第275条)と引受主体である所属保険会社等が必要。該当しない送客・情報提供や情報転載の比較サイトなどは募集関連行為とされ直ちには募集規制の対象外だが、報酬を得て特定商品の推奨・説明を行うと保険募集に該当し得る点に注意が必要。

この2要件に照らして募集に該当しない行為は「募集関連行為」と呼ばれ、直ちに募集規制が適用されるわけではありません。監督指針は、保険商品の推奨・説明を行わずに見込み客の情報を保険会社に提供するだけの行為や、保険会社からの情報を転載するにとどまる比較サイトなどを、募集関連行為の例として挙げています。

事業会社が保険会社への送客や情報提供にとどめる設計であれば、募集関連行為従事者として扱われ、募集人登録までは求められない場合があります。

ただし、この線引きは「事業会社なら登録不要で保険を売れる」という意味ではありません。監督指針は、特定の保険会社の商品のみを積極的に紹介して報酬を得る行為や、報酬を得て具体的な保険商品の推奨・説明を行う行為は、保険募集に該当し得ると注意を促しています。

自社の設計がどちらに当たるかは、報酬の有無や推奨・説明の度合いを踏まえて慎重に判断する必要があります。プラットフォーム型のサービスが募集の体制づくりまで支援するのは、事業会社がこの規制の前提を満たしながら保険を組み込めるようにするためでもあります。

少額短期保険業者と組む・立ち上げるという提携形態

組込保険で扱われるキャンセル保険や自転車保険のような小口・短期の保険は、少額短期保険業者(少短)のスキームに乗せやすいのが特徴です。少額短期保険業は、保険会社の「免許」ではなく内閣総理大臣の「登録」で参入でき、扱える保険に上限が定められています。

具体的には、保険期間は原則1年以内(傷害・疾病の一部は2年以内)とされます。被保険者1人あたりの保険金額の上限は、死亡保険で300万円、傷害疾病による医療補償で80万円、損害保険で1,000万円などと保険の種類ごとに定められ、これらを合算した1人あたりの総額の上限が1,000万円とされています。

さらに、少額短期保険業者は年間に収受する保険料が50億円以下の小規模事業者でなければなりません(金額はいずれも保険業法および同法施行令にもとづく)。組込保険では、既存の少額短期保険業者と組む形のほか、基盤の支援を受けて自社グループで少額短期保険業を立ち上げる形もあり、扱いたい保険の性質に応じて提携のかたちを選ぶことになります。

海外の記事では、組込保険の担い手として「MGA」という語が使われることがありますが、これは海外の概念であり、日本の保険業法にMGAという免許・登録の区分は存在しません。国内で事業会社が保険を組み込む提携形態は、保険会社と組んで代理店(募集人)として登録する、少額短期保険業者と組む・立ち上げる、あるいは送客・情報提供にとどめて募集関連行為従事者となる、のいずれかに整理して考えるのが実務的です。

出典・参考資料(3件)

また、保険会社と提携して代理店(募集人)として自社サービスで保険を扱う道を検討する場合は、非保険の事業者が保険代理店へ参入する際のメリットや業務の実態を押さえておくと、自社がどこまで保険に踏み込むかを判断しやすくなります。異業種からの参入の流れは以下の記事で具体的に解説しています。

まとめ

組込保険(エンベデッド保険)は、事業者の商流に保険を溶け込ませて提供する仕組みで、事業者には新たな収益と顧客価値を、保険会社には新しい販売チャネルをもたらします。市場は今後の拡大が見込まれ、国内でも実装できる基盤が揃い始めた今、先行して取り組む意義が高まっています。

サービスを選ぶ際は、自社が事業会社か保険会社かという立場と、自前構築かプラットフォーム活用かという方針を起点に、提供形態のタイプ・対応する保険商材・引受スキーム・料金の仕組みを見比べることが大切です。あわせて、保険業法上の募集規制と提携形態という実装の前提を押さえておくと、検討がぐっと具体的になります。

本記事の比較表と診断を手がかりに、自社に合う提供形態のあたりをつけたうえで、気になるサービスの資料を取り寄せて詳細を確認してください。複数のサービスを並べて比較することが、失敗のない選定への近道です。

よくある質問(FAQ)

Q. 組込保険(エンベデッド保険)とは何ですか?

A. 組込保険(エンベデッド保険)とは、事業者が提供する商品・サービス・アプリの購入や利用の文脈に、保険を一体的に組み込んで提供する仕組みです。

保険を単独の商品として別途契約させるのではなく、旅行予約や商品購入といった顧客の行動の流れのなかで、必要な補償をその場で提示・付帯する点に特徴があります。保険を「探して・比べて・契約する」手間を顧客に負わせないことで、事業者は付加価値と新たな収益源を、保険会社は新しい顧客接点を得られます。

Q. 組込保険は従来の付帯保険と何が違いますか?

A. 組込保険(Embedded Insurance 2.0)は、APIによる保険会社との連携と購買・利用データの活用を前提に、顧客の文脈に合わせて必要な補償を最適なタイミングで提示する点が、従来の付帯保険(1.0)と異なります。

家電の延長保証やクレジットカードの付帯保険のように一律の補償を上乗せする従来型は、補償が画一的でコモディティ化しやすく収益貢献も限られがちでした。組込保険は「誰が・いつ・何を買ったか」というデータと連携し、保険を購入体験の一部として自然に組み込む点で従来型と一線を画します。

Q. 組込保険基盤にはどのような提供形態(タイプ)がありますか?

A. 組込保険基盤は、自社サービスに保険を載せたい事業会社向けの「プラットフォーム型」、保険会社・少額短期保険業者が商品をAPIで外部配信する「保険DXの実装基盤(API・ミドルオフィス)型」、越境ECやグローバル商流に保険を配信する「グローバルイネーブラー型」の大きく3つに分かれます。

自社が事業会社なのか保険を供給する保険会社・少短なのか、対象地域が国内かグローバルかによって向いているタイプが変わるため、まず自社の立場と目的を起点に絞り込むのが選定の出発点になります。

Q. 組込保険を始めるには保険会社と組む必要がありますか?

A. 事業会社が自ら保険を引き受けることはできないため、組込保険では保険会社または少額短期保険業者と組んで引受を担ってもらうのが基本の構図です。保険業法上、保険を募集するには引受主体となる「所属保険会社等」(保険会社または少額短期保険業者)が背後に必要とされます。

したがって事業会社が自社サービスに保険を組み込む場合は、保険会社や少額短期保険業者と提携して引受を任せる形が前提となります。プラットフォーム型のサービスは、この引受先との連携や約款・募集の体制づくりまで一括で支援するため、保険会社との連携を自前で構築せずに始められます。

Q. 事業会社が組込保険を扱うには募集人登録が必要ですか?

A. 顧客に保険を勧めて申し込みを受ける「保険募集」にあたる行為を行う場合は、募集人としての登録が必要です。保険業法は保険契約の締結の代理・媒介を「保険募集」と定義し、これを行えるのは生命保険募集人・損害保険募集人・少額短期保険募集人などとして登録した者に限られます(同法第275条)。

一方、保険商品の推奨・説明を行わず、見込み客の情報を保険会社に提供する送客などにとどまる「募集関連行為」であれば、登録が求められない場合もあります。ただし報酬を得て特定商品の推奨・説明を行うと保険募集に該当し得るため、自社の設計がどちらに当たるかは慎重な判断が必要です。

出典・参考資料(2件)

Q. 組込保険と少額短期保険(少短)は何が違いますか?

A. 少額短期保険は保険金額や保険期間に上限が定められた保険業の一区分であり、組込保険はその少額短期保険を含む保険を事業者の商流に組み込む「提供のかたち」を指す概念で、両者は対立するものではありません。

少額短期保険業は保険会社の「免許」ではなく内閣総理大臣への「登録」で参入でき、保険期間は原則1年以内、被保険者1人あたりの保険金額の合計は原則1,000万円以下などの上限があります。組込保険で扱われるキャンセル保険や自転車保険のような小口・短期の補償はこの少額短期保険のスキームに乗せやすく、既存の少短業者と組む形のほか、基盤の支援を受けて自社グループで少短を立ち上げる形もあります。

出典・参考資料(2件)

Q. 組込保険は自前で構築するのとプラットフォームを使うのはどちらがよいですか?

A. 保険をコア事業にするのではなく自社サービスの付加価値として組み込みたい事業会社であれば、組込保険基盤(プラットフォーム)の活用から始めるのが現実的です。保険会社との連携から契約・請求の処理までを自前で構築する方法は自由度が高い反面、保険業法上の体制整備やシステム開発に相応の期間とコストがかかり、保険の専門人材の確保も前提になります。

組込保険基盤を使えば、募集や引受連携の仕組みを既製の基盤に委ねられるため、実装までの期間と初期投資を抑えられます。まずは自社が保険にどこまで踏み込むのかを見極めることが、最初の判断軸になります。

Q. 組込保険基盤の導入にはどのくらいの費用がかかりますか?

A. 組込保険基盤の多くは料金を公開しておらず、初期費用・運用費用に加え、保険料に応じたレベニューシェア(収益分配)を組み合わせる形が一般的です。導入時の費用だけでなく、保険が売れたときにどのように収益を分け合うかまで含めて、自社の収益設計に見合うかを確認する必要があります。

本記事で紹介したサービスはいずれも料金が非公開で個別見積もりが前提のため、自社が見込む保険の販売規模と基盤側に支払うコストのバランスを試算したうえで、複数のサービスの資料を取り寄せて比較するのが確実です。

Q. 海外の組込保険サービスは日本国内でも使えますか?

A. 海外の組込保険サービスはグローバルでの実績が豊富な一方、日本国内での提供範囲は限られる場合が多く、自社が使いたい地域・商材で実装できるかを個別に確認する必要があります。

たとえば海外発のサービスには、国内提供がデバイス保護など特定の商材に限られるものや、日本法人や資本関係はあるものの国内向けの具体的な提供実績が公式には確認できないものがあります。越境ECやグローバル商流での組込には強みがある一方、日本国内の商流で使う場合は、対象地域・商材での対応可否を必ず確認することをおすすめします。

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