入退社のたびの資格取得・喪失届、毎年の算定基礎届、育児休業給付の申請と、社会保険の手続きが特定の担当者に集中していないでしょうか。手続きは頻繁な法改正がからみ、担当者が代われば業務が止まるリスクもあります。日々の負担と属人化を解消する手段として、社会保険手続きの外部委託(アウトソーシング)を検討する企業が増えています。
ただ、いざ委託を考えると「自社のどの手続きを、どこまで任せられるのか」「誰に頼むのが正しく、費用はどのくらいかかるのか」が分かりにくいものです。社会保険の手続き代行には法律上の決まりもあり、委託先選びを誤ると想定した効果が得られません。
本記事では、社会保険手続きのアウトソーシングについて、委託できる業務の範囲、委託先の種類と法律上の可否、費用の目安、選び方を整理します。委託を検討する際の判断材料としてご活用ください。
目次
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社会保険手続きのアウトソーシング(外部委託)とは
社会保険手続きのアウトソーシングとは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険にかかわる各種届出の作成や行政機関への提出を、社会保険労務士事務所やアウトソーシング会社などの外部に委託することです。入退社や賞与支給、毎年の定時決定など、発生のたびに正確さと期限が求められる事務を専門家に任せ、自社の担当者を本来の業務に振り向ける狙いがあります。
給与計算と社会保険手続きは、従業員の入退社や報酬の変動という同じ情報を起点にするため、まとめて委託されることが多い領域です。まずは、社会保険手続きのうち何を外に出せて、何が自社に残るのかを具体的に見ていきます。
社会保険手続きのうちアウトソーシングできる業務・自社に残る業務
ここでは、委託できる手続きを保険の種類ごとに整理し、そのうえで自社に残りやすい業務を確認します。自社が抱えている手続きが、どこまで任せられるのかを把握する手がかりになります。

保険の種類別・委託できる主な手続き
社会保険手続きの外部委託では、届出書類の作成から行政機関への提出までを、保険の種類をまたいで一括して任せられます。委託の対象になる主な手続きと提出先は、次のとおりです。
| 保険の種類 | 健康保険・厚生年金保険 | 雇用保険 | 労働保険(労災・雇用) |
|---|---|---|---|
| 委託できる主な手続き | 被保険者資格取得届・資格喪失届、被扶養者(異動)届、報酬月額算定基礎届(算定基礎届)、報酬月額変更届(月額変更届)、賞与支払届 | 被保険者資格取得届・資格喪失届、育児休業給付・介護休業給付の申請 など | 年度更新(概算保険料・確定保険料の申告・納付) |
| 主な提出先 | 日本年金機構(年金事務所・事務センター) | ハローワーク(公共職業安定所) | 労働基準監督署・都道府県労働局 |
※手続きの正式名称・提出先は各行政機関の公式情報にもとづきます(2026年8月時点)。
健康保険・厚生年金保険の届出は、入社・退社に伴う資格の取得・喪失や、毎年の定時決定(算定基礎届)、報酬が大きく変わったときの月額変更届、賞与支給時の賞与支払届などが代表的です。これらはいずれも日本年金機構への提出となり、委託の中心になります。
「育休・産休まわり」は、同じ場面の手続きでも申請の内容によって提出先(窓口)が分かれる点に注意が必要です。代表的な例は次のとおりです。
- 育児休業給付・介護休業給付(雇用保険の給付):ハローワーク(公共職業安定所)
- 出産手当金・出産育児一時金(健康保険の給付):協会けんぽ、または加入する健康保険組合
- 産前産後・育児休業中の社会保険料の免除:日本年金機構への申出
委託先にどこまで任せるかを決めるときは、この窓口の違いも確認しておくと安心です。
労災保険と雇用保険の保険料をまとめて精算する「年度更新」は、毎年6月1日から7月10日までに申告・納付する手続きで、労働基準監督署・都道府県労働局が提出先です。
出典・参考資料(3件)
- 出典:健康保険・厚生年金保険 主な届書様式の一覧|日本年金機構
- 出典:事業主の皆様へ ~雇用保険の手続きについて~|厚生労働省
- 出典:労働保険料の申告・納付(年度更新)|厚生労働省
自社に残りやすい業務
手続きの作成・提出を委託しても、その前段にあたる情報のとりまとめは自社に残ります。届出の根拠となる従業員情報がなければ、委託先も手続きを進められないためです。
- 入退社・扶養家族の変更・住所変更など、従業員からの情報や必要書類の収集
- 勤怠の締めや給与・賞与データの確定(給与計算とあわせて委託する場合を除く)
- 手続きを進めるかどうかの社内判断や、従業員への説明・窓口対応
委託すると、届出書類の作成や提出そのものは担当者の手元から離れ、残るのは主に従業員情報を集めて委託先へ渡す部分になります。手続きの実務がまるごと減るぶん、担当者はその情報連携と社内対応に集中できます。どこまでを委託し、どこからを自社で担うかは委託先やプランによって線引きが変わるため、契約前に、情報の受け渡し方法とあわせて範囲をすり合わせておくことが大切です。
社会保険手続きの委託先の種類と依頼できる範囲
ここからは、委託先の種類ごとに、依頼できる業務と法律上の可否を整理します。同じ「アウトソーシング」でも担い手によって任せられる範囲が変わり、委託先選びの土台になる部分です。
社会保険労務士・社労士法人
社会保険労務士(社労士)は、労働・社会保険に関する手続きの専門資格です。届出書類の作成から行政機関への提出代行まで一貫して任せられ、就業規則の整備や労務相談まで幅広く相談できるのが強みです。社会保険手続きそのものを中心に委託したい場合の、基本の選択肢になります。
BPO・給与計算アウトソーシング会社
給与計算を主軸とするアウトソーシング会社(BPO会社)は、勤怠集計・給与賞与計算・年末調整といった計算業務を得意とします。社会保険手続きについては、社内に社労士を抱えるか、社労士事務所と提携して提供する形が一般的です。給与計算とまとめて委託したいときに向いています。
一般事務代行・オンラインアシスタント
オンラインアシスタントなどの事務代行サービスは、データ入力や書類の記入補助といった事務作業を柔軟に任せられます。ただし、社会保険手続きの届出書類の作成や提出代行そのものを、資格のない事業者が業務として請け負うことはできません。この点は次の独占業務の説明で詳しく整理します。
委託先の種類と法律上の可否(比較)
三つの委託先について、依頼できる主な業務と、社会保険手続きの届出代行の可否、料金体系の傾向を並べると次のようになります。
| 委託先の種類 | 社会保険労務士・社労士法人 | BPO・給与計算アウトソーシング会社 | 一般事務代行・オンラインアシスタント |
|---|---|---|---|
| 依頼できる主な業務 | 社会保険手続きの書類作成・提出代行、労務相談、就業規則の整備、給与計算(対応する事務所) | 給与賞与計算、勤怠集計、年末調整。社会保険手続きは社内・提携の社労士が担当 | データ入力、書類の記入補助などの事務作業 |
| 社会保険手続きの届出代行 | ○(有資格) | △(社労士が担当する体制なら可) | ×(無資格での業としての代行は不可) |
| 主な料金体系 | 月額顧問料+手続き件数など | 従業員数連動・月額固定など | 時間課金・月額固定など |
※料金体系は各社の提供形態により異なります。実際の対応範囲・料金は各社にご確認ください。
届出の作成・提出代行は社会保険労務士の独占業務
委託先を選ぶうえで最初に押さえたいのが、この法律上の線引きです。社会保険・労働保険に関する届出書類の作成と、その提出手続きの代行は、社会保険労務士法により社会保険労務士の業務と定められています。
社会保険労務士は、次の各号に掲げる事務を行うことを業とする。一 別表第一に掲げる労働及び社会保険に関する法令(略)に基づいて申請書等(略)を作成すること。一の二 申請書等について、その提出に関する手続を代わつてすること。
出典:社会保険労務士法 第二条(現行版)|e-Gov法令検索
そのうえで、資格のない者がこれらの事務を請け負うことについては、次のように制限されています。
社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、第二条第一項第一号から第二号までに掲げる事務を業として行つてはならない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び政令で定める業務に付随して行う場合は、この限りでない。
出典:社会保険労務士法 第二十七条(業務の制限)|e-Gov法令検索
この条文が示すのは、無資格の事業者が報酬を得て、社会保険手続きの書類作成や提出代行を業務として引き受けることは認められない、ということです(弁護士など他の法律に定めがある場合を除きます)。違反した場合の罰則も定められています。
一方で、給与計算そのものや労務相談は独占業務にはあたりません。給与計算アウトソーシング会社が計算業務を担うこと自体は問題なく、社会保険手続きの部分を社内や提携の社労士が担当していれば適法に提供できます。「BPO会社だから頼めない」のではなく、社会保険手続きの届出を担うのが社労士(提携を含む)かどうかが確認のポイントになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:社会保険労務士法(第二条・第二十七条・第三十二条の二)|e-Gov法令検索
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社会保険手続きアウトソーシングの費用の目安と料金体系
ここでは、費用の考え方を料金体系の型から整理し、従業員規模別のおおまかな目安を確認します。各社が「お見積り」とだけ示すことが多い費用感を、少しでもつかむための材料です。
料金体系の型(月額固定・件数課金・スポット)
費用は、従業員数や委託範囲に応じた月額固定と、手続きの発生件数に応じた課金を組み合わせて決まるのが一般的です。入退社の多い時期だけ依頼するスポット契約に対応する委託先もあります。
おおまかには、従業員数が多いほど月額は上がり、入退社や算定・月額変更などの手続き件数が多い会社ほど件数課金分が積み上がります。自社の従業員数と、年間の手続き発生量のどちらが費用に効くかを押さえておくと、各社の見積もりを比べやすくなります。
従業員規模別の費用の目安(公表例)
実際の料金は委託範囲やオプションで変わるため各社の個別見積もりが基本ですが、公表している例もあります。たとえば社会保険手続きアウトソーシングを手がける小林労務(KBRグループ)は、次の料金を公表しています。
| 従業員規模 | 1〜19名(スモールプラン) | 100名 | 5,000名 |
|---|---|---|---|
| 月額費用の目安(公表例) | 20,000円〜(+税) | 150,000円〜 | 650,000円〜 |
※小林労務(KBRグループ)の公表料金(2026年8月時点)の一例です。実際の料金は従業員数・委託範囲・オプションにより変動し、個別の見積もりが基本となります。
この例は1社の公表料金であり相場そのものではありませんが、規模が上がるほど月額が上がる一方で、1人あたりの単価は下がっていく傾向は読み取れます。ここに載っていない20〜99名ほどの規模は、おおむねこの1〜19名と100名の間に位置づき、委託範囲や手続き件数によって上下します。
多くの委託先が料金を公表せず個別見積もりとしているのは、委託範囲と手続き件数によって金額が大きく変わるためです。小林労務は、本記事の後半で紹介する委託先の1社でもあります。
費用面で候補を絞るときは、複数の委託先から、同じ委託範囲・同じ想定件数を前提に見積もりを取って比べることをおすすめします。
出典・参考資料(1件)
- 出典:社会保険手続きアウトソーシング(料金)|株式会社小林労務
社会保険手続きをアウトソーシングするメリット
ここでは、委託によって何が改善するのかを、効果の理由とあわせて整理します。主なメリットは次の三つです。
担当者への集中と属人化を解消できます。社会保険手続きは知識と経験が必要なため、特定の担当者に業務が偏りがちです。外部に委託すれば、その担当者が休職・退職しても手続きが止まらず、事業継続のリスクを下げられます。
手続きのミスや漏れを減らせます。専門家が電子申請にも対応して処理するため、提出期限の管理や記載内容の正確さが安定します。誤りは従業員の保険給付や会社の信頼に直結するので、正確さが担保される効果は小さくありません。
法改正への対応負担が軽くなります。社会保険の制度は改正が頻繁で、自社で最新の取り扱いを追い続けるのは負担です。改正を業務として把握している委託先に任せることで、キャッチアップの手間を委ねられます。
アウトソーシング導入前に押さえたい注意点
メリットの一方で、委託後に起こりがちな落とし穴もあります。契約前に次の三点を押さえておくと、想定外のつまずきを避けられます。
完全な丸投げは避け、社内にも最低限の知識を残しましょう。すべてを任せきると、制度の勘所や自社の運用が社内に蓄積されず、委託先を変えるときや内製に戻すときに苦労します。手続きの内容を把握できる担当を社内に置いておくと安心です。
対応範囲が曖昧にならないよう、契約前に線引きを確認しましょう。「社会保険手続き一式」と言っても、どの届出まで含むか、給付申請や労働保険の年度更新まで対応するかは委託先によって異なります。自社が任せたい手続きが範囲に入っているかを、具体的な手続き名で確かめておきましょう。
情報連携のルールは事前に決めておきましょう。入退社や扶養変更の情報を、誰が・いつ・どの方法で委託先に渡すかが決まっていないと、手続きの遅延やミスの原因になります。連絡手段と締め日を運用に落とし込んでおくことが、スムーズな委託の前提になります。
社会保険手続きの委託先の選び方
ここからは、自社に合う委託先を絞り込むための確認ポイントを挙げます。それぞれの観点を自社の状況に当てはめて、候補を2〜3社まで絞る材料にしてください。
対応してほしい業務範囲に合っているか
まず、自社が委託したい手続きが対応範囲に含まれるかを確認しましょう。社会保険手続きだけを任せたいのか、給与計算や年末調整までまとめて委託したいのかで、選ぶべき委託先は変わります。将来的に委託範囲を広げる可能性があるなら、段階的にプランを選べる委託先だと拡張しやすくなります。
社会保険労務士の資格を持つ体制か
前述のとおり、社会保険手続きの届出代行は社会保険労務士の業務です。委託先が社労士事務所・社労士法人であるか、あるいは社労士と提携して手続きを担う体制かを確認しましょう。給与計算会社に依頼する場合は、社会保険手続きの部分を誰が担当するのかを見ておくと、法律上の可否で迷いません。
電子申請・システム連携に対応しているか
社会保険・労働保険の手続きは、国の電子申請システム「e-Gov(イーガブ)」を通じてオンラインで申請できます。日本年金機構によれば、資格取得届・喪失届・被扶養者異動届・算定基礎届・月額変更届・賞与支払届など、主要な届書は電子申請に対応しています。
電子申請には電子証明書またはGビズIDが必要で、電子申請に対応した委託先ほど処理が速く、進捗も追いやすくなります。自社が使う勤怠・給与システムとのデータ連携ができるかも、実務の効率を左右します。
出典・参考資料(1件)
- 出典:電子申請(e-Gov)|日本年金機構
実績とセキュリティ体制は十分か
社会保険手続きでは、マイナンバーをはじめとする従業員の個人情報を委託先に預けます。プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の取得状況、情報の受け渡し方法を確認しましょう。自社と近い規模・業種での受託実績があるかも、任せたときの安心感につながります。
料金体系が自社の手続き量に合うか
月額固定と件数課金のどちらが自社に有利かは、手続きの発生量によって変わります。入退社が多い会社は件数課金だと費用がかさみやすく、逆に手続きが少なければ月額固定が割高になることもあります。見積もりを取るときは、同じ委託範囲・同じ想定件数をそろえて比べると、料金差の理由が見えてきます。
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社会保険手続きのアウトソーシングを始めるまでの流れ
委託先の目星がついたら、契約から実際の運用開始までは次のように進むのが一般的です。着手のイメージをつかんでおくと、社内での調整もしやすくなります。

- 問い合わせ・相談:委託したい業務範囲と従業員規模を伝え、対応可否を確認します。
- 現状のヒアリング:現在の手続きの進め方、使っているシステム、課題を共有します。
- 見積もり・プランの提示:委託範囲に応じた料金と対応内容の提案を受け、比較します。
- 契約・情報連携ルールの取り決め:担当窓口、情報の受け渡し方法、締め日を決めます。
- 移行・運用開始:従業員情報や過去データを引き継ぎ、順次委託を開始します。
問い合わせから運用開始までは、委託範囲や現状の整理状況にもよりますが、一般に数週間から数か月程度をみておくとよいでしょう。移行には現状の把握とデータの引き継ぎが必要なため、繁忙期を避けて余裕をもって進めると、スムーズに切り替えられます。
社会保険手続きの委託に対応するサービス
ここからは、社会保険手続きの委託に対応するサービスを紹介します。いずれも給与計算とあわせて社会保険手続きを担う委託先で、運営体制・委託できる範囲・対応規模・料金体系といった観点で特徴が分かれます。
以下はご紹介するサービスの比較表です。
| サービス名 | BPOソリューション | アクタス | エスペイロール | 小林労務 |
|---|---|---|---|---|
| 運営・体制 | 日本郵政コーポレートサービス (BPO・日本郵政グループ) | アクタス社会保険労務士法人 (アクタスグループ) | 社会保険労務士法人 エスネットワークス | 社会保険労務士法人小林労務 (KBRグループ) |
| 委託できる主な範囲 | 給与計算・社会保険手続き 年末調整・住民税 マイナンバー管理・総務/経理 | 給与計算・社会保険手続きの一元化 (会計・税務との連携) | 給与計算・社会保険手続き 年末調整・有給管理 (上位パッケージで人事制度企画まで) | 社会保険手続き・給与計算 労務相談・メンタルヘルス |
| 対応従業員規模の目安 | 中堅〜大企業 | 中小〜中堅 | 中小〜中堅 | 中小〜大企業 |
| 料金体系 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ (3パッケージ制) | 要問い合わせ (規模別料金を一部公表) |
| 特徴 | グループ約40万名規模の 大量処理ノウハウ・広い委託範囲 | 社労士法人が届出代行を担当 会計・税務まで連携 | 3パッケージで 委託範囲を段階的に選べる | 社会保険手続き代行に注力 電子申請対応・全国7拠点 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る |
※各社の公式情報にもとづきます(2026年8月時点)。料金・対応範囲は変動するため、詳細は各社にご確認ください。
BPOソリューション(日本郵政コーポレートサービス)

日本郵政グループの日本郵政コーポレートサービス株式会社が提供するBPOソリューションは、給与計算に社会保険手続き・年末調整・住民税・マイナンバー管理まで含めた広い委託範囲が特徴です。グループ約40万名規模の業務を担ってきた大量処理のノウハウを背景に、自動化や二重化、処理の単純化を徹底して品質を担保します。
総務・経理まで含めてまとめて任せたい中堅〜大企業に向いています。社会保険手続きの届出は社会保険労務士の業務にあたるため、届出をどの体制(社内・提携の社労士など)で担うかは、問い合わせ時に確認しておくとよいでしょう。
アクタス(アクタス社会保険労務士法人)

アクタスは、社会保険労務士法人が母体となり、給与計算と社会保険手続きを一元化して委託できるサービスです。社労士法人が届出代行を担うため、法的な可否の面で安心して任せられます。税理士法人・会計事務所を含むアクタスグループの連携基盤を持ち、会計・税務まで見据えた委託を考える中小〜中堅企業に適しています。
エスペイロール(社会保険労務士法人エスネットワークス)

社会保険労務士法人エスネットワークスが運営するエスペイロールは、委託範囲を段階的に選べる点が持ち味です。給与計算・年末調整を担う標準パッケージから、社内規程の構築支援を含むビジネス、人事制度の企画まで踏み込むマネージメントまで、3つのパッケージが用意されています。「まずはどこまで任せるか」を決めきれない企業でも、必要な範囲から始めやすい構成です。
小林労務(社会保険労務士法人小林労務/KBRグループ)

KBRグループの社会保険労務士法人小林労務は、社会保険手続きのアウトソーシングに専用サイトを設けるほど手続き代行に力を入れているサービスです。従業員規模別の料金を公表しており、費用感をつかみやすいのも特徴です。全国に複数拠点を構え、労務相談やメンタルヘルスのサポートまで含めた幅広い労務支援を、中小から大手まで受託しています。
ここで取り上げたのは、社会保険手続きに対応する委託先の一部です。給与計算とあわせて委託できるサービスをより広く比較し、料金体系や従業員規模別の選び方まで確認したい場合は、次の記事も参考になります。
給与計算アウトソーシングおすすめ34選を比較|業務範囲・料金体系・規模別の選び方
毎月の給与計算や賞与計算、年末調整、社会保険の手続きに、特定の担当者が追われていないでしょうか。社会保険料率や税制は毎年のように改正され、その都度の確認作業まで含めると、経理や人事、総務の少人数体制では業務が属人化しやすくなります。担当者が…
まとめ
社会保険手続きのアウトソーシングは、資格取得・喪失届や算定基礎届、月額変更届、育児休業給付の申請などの届出書類の作成・提出を、専門家に委ねる方法です。属人化の解消とミスの削減、法改正への対応負担の軽減が期待できます。
委託先を選ぶときは、届出の作成・提出代行が社会保険労務士の業務であることを踏まえ、社労士(提携を含む)が手続きを担う体制かを確認するのが出発点です。そのうえで、対応してほしい業務範囲・電子申請への対応・実績とセキュリティ・料金体系を見比べ、同じ条件で複数社から見積もりを取り、自社に合う委託先を見つけてください。
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よくある質問(FAQ)
Q. 社会保険手続きのアウトソーシング(外部委託)とは何ですか?
A. 社会保険手続きのアウトソーシングとは、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険にかかわる各種届出の作成や行政機関への提出を、社会保険労務士事務所やアウトソーシング会社などの外部に委託することです。入退社や賞与支給、毎年の定時決定など、正確さと期限が求められる事務を専門家に任せることで、担当者の負担や属人化を軽くする狙いがあります。
Q. 社会保険手続きの代行は社会保険労務士でないと依頼できないのですか?
A. 社会保険手続きのうち、届出書類の作成と行政機関への提出代行は社会保険労務士(社労士)の業務とされ、無資格の事業者が報酬を得て業として引き受けることはできません。社会保険労務士法により、社労士・社労士法人でない者がこれらの事務を業として行うことは制限されているためです(弁護士など他の法律に定めがある場合を除く)。
したがって、一般の事務代行会社や税理士に社会保険手続きの届出代行そのものを頼むことはできず、社労士(提携を含む)が担う委託先を選ぶ必要があります。ただし、給与計算そのものやデータ入力の補助は独占業務にあたらないため、これらを事務代行会社に任せることは可能です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:社会保険労務士法(第二条・第二十七条)|e-Gov法令検索
Q. 社会保険手続きだけをスポットで委託できますか?
A. 社会保険手続きのみ、あるいは繁忙期だけといったスポットでの委託に対応する委託先もあります。入退社が集中する時期や算定基礎届のシーズンだけ依頼する、といった使い方もできます。ただし対応可否や最低料金は委託先によって異なるため、単発・部分的な委託を考えている場合は、範囲と料金を事前に確認しておくと安心です。
Q. 小規模な会社でも社会保険手続きのアウトソーシングを依頼できますか?
A. 従業員数名〜十数名の小規模な会社でも依頼でき、小規模向けのプランを用意する委託先もあります。たとえば従業員1〜19名向けに月額2万円台からのプランを公表している事務所もあります。担当者が一人で兼務していて属人化しやすい小規模企業ほど、委託によって業務が止まらなくなるメリットは大きくなります。
Q. 給与計算と社会保険手続きはまとめて委託したほうがよいですか?
A. 給与計算と社会保険手続きは同じ従業員情報を起点にするため、まとめて委託すると情報連携の手間が減り効率的です。入退社や報酬の変動はどちらの業務にも影響するため、別々の委託先に分けると同じ情報を二重に受け渡す必要が生じます。給与計算も外に出したい場合は、両方に対応する委託先を選ぶと運用が一本化できます。
Q. 社労士事務所とBPO・給与計算会社のどちらに頼めばよいですか?
A. 社会保険手続きを中心に任せたいなら社労士事務所・社労士法人、給与計算をまとめて委託したいなら社労士が手続きを担う体制のあるBPO会社が基本の選び方です。BPO・給与計算会社でも、社内または提携の社労士が届出を担当していれば適法に依頼できます。いずれの場合も、社会保険手続きの届出を社労士が担う体制になっているかを確認するのが要点です。
Q. 社会保険手続きのアウトソーシングの費用はどのくらいかかりますか?
A. 費用は、従業員数や委託範囲に応じた月額固定と、手続きの発生件数に応じた課金を組み合わせて決まるのが一般的です。公表例では従業員100名で月15万円台から、1〜19名で月2万円台からといった水準もありますが、委託範囲やオプションによって変わるため、個別の見積もりが基本になります。同じ委託範囲・想定件数をそろえて複数社から見積もりを取ると、料金差の理由が見えて比べやすくなります。
Q. 委託先にマイナンバーなどの個人情報を預けても安全ですか?
A. プライバシーマークやISMS認証の取得状況、情報の受け渡し方法を確認すれば、リスクを抑えて委託できます。社会保険手続きではマイナンバーを含む従業員の個人情報を預けるため、セキュリティ体制は委託先選びの重要な確認項目です。認証の有無に加えて、データの受け渡し手段やアクセス管理のルールも契約前に確かめておきましょう。
Q. 委託の申し込みから運用開始までどのくらいかかりますか?
A. 問い合わせ・ヒアリング・見積もり・契約・データ移行という流れを踏むため、運用開始までには一定の準備期間が必要です。現状の手続きの棚卸しや従業員情報の引き継ぎに時間がかかるため、繁忙期を避けて余裕をもって進めるとスムーズに切り替えられます。具体的な期間は、委託範囲や自社の準備状況によって変わります。
Q. 一度委託した社会保険手続きを自社に戻す(内製化する)ことはできますか?
A. 内製化は可能ですが、完全に丸投げしていると社内に知識やノウハウが残らず、戻す際に苦労します。委託後も手続きの内容を把握できる担当を社内に置き、最低限の知識を残しておくと、委託先の変更や内製への切り替えがしやすくなります。内製化に向けたアドバイスや支援に応じる委託先もあります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















