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無料で使える給与計算ソフト15選|何人まで・年末調整まで無料かを条件で比較

無料で使える給与計算ソフト15選 何人まで・年末調整まで無料かを条件で比較のサムネイル画像

給与計算ソフトを探していて、「うちは5人だから無料のままで足りるはずだ」と考えていませんか。無料で使える給与計算ソフトは実際に複数ありますが、無料の続き方は同じではありません。人数の上限内なら期限なく0円のものもあれば、30日で終わるお試しもあり、年末調整だけが有料の壁になっているものもあります。

自社の人数で本当に0円のまま運用できるのか、無料の範囲でどこまでの業務が終わるのか、そして無料が終わったときに月いくら払うことになるのか。この3点が分からないまま選ぶと、給与計算の途中で使えなくなって手作業に戻ることになります。

本記事では、無料プランまたは無料お試しを提供している給与計算ソフト15本を比較・解説します。何人まで無料か、年末調整や賃金台帳まで無料の範囲に入るか、上限を超えたときの月額はいくらかを整理しています。従業員数が一桁台の事業者が、無料で始められるかを判断するための材料としてご活用ください。

また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツールをご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。

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本記事で紹介するソフトに共通する条件

本記事で取り上げる15本は、いずれも無料プランまたは無料のお試し期間を公式に提供している給与計算ソフトです。給与と賞与の計算に加え、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税・住民税の控除を自社の製品内で自動計算でき、日本の給与制度に標準対応しているものに限定しています。

比較する条件は、人数の上限・無料期間・機能の制限・無料を抜けた後の費用の4つです。表や本文の「公式に記載なし」は、各社の公式サイトで可否を確認できなかった項目を指します。

想定しているのは、従業員が5〜10名前後で、給与計算を代表者や管理部門の兼務担当が回している事業者です。導入予算をかけずに始めたい段階の会社が、無料で足りるかどうかを判断できることを目的にしています。

読み進めるうちに「無料にこだわらず、有料も含めて見比べた方が早い」と感じた場合は、次の記事が向いています。無料かどうかで絞らずに、主要な給与計算ソフトを機能・料金・対応できる従業員規模から比較しています。

無料で使える給与計算ソフトとは

ここからは、給与計算ソフトの「無料」がどう分かれるのかを整理します。無料と書かれていても続き方は同じではなく、大きく3通りに分かれるためです。この違いを先に押さえておくと、後半の比較表を自社の状況に当てはめて読めるようになります。

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タイプ人数が上限内なら無期限で無料のソフト期間を区切って有料版をそのまま試せるソフト無料の上限を超えたときに移りやすい低価格ソフト
無料が続く条件登録する従業員数が上限を超えないこと定められた期間内であること(30日〜2か月が中心)無料は体験版のみ(30〜60日程度)
向いている状況従業員が5〜10名で、当面は増える予定がない有料での導入を前提に、自社の運用に合うかを見極めたい無料枠を抜けた後の毎月の負担をできるだけ抑えたい
該当する主なソフトフリーウェイ給与計算
ジョブカン給与計算
円簿給与
PayBook
弥生給与 Next
マネーフォワード クラウド給与
freee人事労務
給与奉行クラウド
ほか
かんたんクラウド給与
給料王

人数が上限内なら無期限で無料のソフト

登録できる従業員数に上限を設ける代わりに、期間の区切りなく0円で使い続けられるタイプです。上限は5名または10名が中心で、上限を超えない限りは毎月の支払いが発生しません。

各社は人数以外にもどこかで線を引いており、その位置が製品ごとに違います。年末調整を有料側に置くもの、データの保存期間を区切るもの、問い合わせ窓口を有料契約者に限るものがあり、人数の上限だけを見て選ぶと導入後に足りない部分が出てきます。

期間を区切って有料版をそのまま試せるソフト

有料プランとほぼ同じ機能を、30日から2か月程度の期間に限って無料で使えるタイプです。機能の制限が少ないため、自社の給与体系や勤怠の運用に合うかを実際のデータで確かめられます。

期間が終われば有料契約が前提になるので、0円で運用し続ける用途には向きません。試用期間中に入力したデータを契約後に引き継げるかどうかは製品によって異なり、契約しなければ復元できない形で削除されるものもあります。

無料の上限を超えたときに移りやすい低価格ソフト

無料の入口は体験版のみで短いものの、有料になった後の負担が軽いタイプです。従業員が増えて無料枠を抜けたときの移行先として検討する価値があります。

月額課金だけでなく、パッケージを買い切って毎月の支払いをなくす選択肢もこのタイプに含まれます。買い切りの場合は購入後の法令改正への対応が保守契約に紐づくことがあるため、本体価格だけで判断しないよう注意が必要です。

クラウド型とインストール型(買い切り)で「無料」の意味が変わる

クラウド型の無料は「毎月の利用料が0円」を指します。ソフトの更新は提供元が行うため、保険料率や源泉徴収税額表が改定されても利用者側の作業は発生しません。

これに対しインストール型の買い切りは、購入時に代金を払えば毎月の利用料はかかりませんが、法令改正に追従するための保守契約が別料金になっている場合があります。「無料」という言葉が指している範囲が両者で異なる点を踏まえて比べてください。

従業員数で見た、0円で続けられる選択肢の数

本記事で取り上げる15本のうち、期限なく0円で使い続けられるのは4本だけです。残りは期間を区切ったお試しか、有料での利用を前提にした低価格のソフトになります。

従業員数によって、その4本のうち何本が候補になるかが変わります。先に結論を示します。

従業員数別に0円で使い続けられる給与計算ソフトの本数を示した図。5名以下はフリーウェイ給与計算・ジョブカン給与計算・円簿給与・PayBookの4本、6〜10名はPayBookの1本のみ、11名以上は期限なく0円で使える製品がないことを示している。
  • 5名以下: フリーウェイ給与計算・ジョブカン給与計算・円簿給与・PayBookの4本が候補になります
  • 6〜10名: 0円のままでいけるのはPayBook(管理者本人を含めて10名まで)の1本だけです。ただし無料の範囲では賃金台帳を出力できないため、後述する法定帳票の扱いを別に用意する必要があります
  • 11名以上: 期限なく0円で使える製品はありません。無料のお試しで見極めてから有料に移るか、無料枠を抜けた後の負担が軽い製品を選ぶことになります

予算をかけずに始めることが最優先であれば、比較表とサービス紹介のうち最初のタイプ(人数が上限内なら無期限で無料のソフト)だけを読めば判断できます。

従業員数・費用の考え方・無料で済ませたい業務の範囲の3つを選ぶだけで候補を絞れる診断ツールを以下に置いています。自社がどのタイプに当てはまるか迷う場合は、こちらから始めてください。

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【比較表】何人まで無料か・どこまで無料でできるか・超えたら月いくらか

ここからは、15本の無料の条件を3つのタイプごとに比較します。無料で登録できる人数と、上限を超えたときの料金を同じ行に並べているので、0円で始めてから支払いが発生するまでの流れをそのまま追えます。

人数が上限内なら無期限で無料のソフトの比較

上限人数だけでなく、年末調整・法定帳票・振込データ・データの保存期間まで並べています。同じ「5名まで無料」でも、無料の範囲に含まれる業務が製品ごとに違うことが読み取れます。

列が多いので、まずは「無料で登録できる従業員数」の列だけを見て自社が枠に入るかを確かめ、そのうえで年末調整と賃金台帳の列に目を移すと絞り込みやすくなります。

表の記号は、●が無料の範囲で使える、△が条件つきで使える、×が有料プラン側または非対応、「公式に記載なし」が公式サイトで可否を確認できなかったものです。

列にある「振込用FBデータ」は、計算した給与額をインターネットバンキングへ取り込むための全銀協(全国銀行協会)フォーマットのファイルを指します。

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サービス名フリーウェイ給与計算ジョブカン給与計算円簿給与PayBook
無料で登録できる従業員数5名まで
退職者もデータを削除するまで枠を占有
登録できる会社は1社まで
5名まで
6名目以降は画面に表示されない
5名まで
1組織・管理者1名まで
無料版は各画面に広告が表示される
10名まで
管理者本人を含めた人数
無料期間無期限期間の定めは公式に記載なし
有料プランに申し込まない限り料金は発生しないと明記
登録から30日間は全機能のお試しプラン
無期限無期限
登録から3か月間は上位プラン相当の機能を試せる(下の保存期間とは別の制限)
年末調整××年末調整ソフトへのデータ出力は有料プラン
Web給与明細公式に記載なし
一斉メール配信は無料プラン対象外と明記。明細発行自体の可否は制限一覧に記載がない
自動一括メール送信は有料プラン
賃金台帳・源泉徴収票公式に記載なし
無料版の使える機能として年末調整・支払調書は明記。賃金台帳の可否は記載がない
公式に記載なし
無料プランの制限一覧に記載がなく可否を確認できず
×賃金台帳は有料プラン。源泉徴収票の可否は公式に記載なし
振込用FBデータ公式に記載なし
同上
×プランを問わず非対応
マイナンバー管理×別ソフト「フリーウェイマイナンバー」との連動が必要公式に記載なし
同上
×プランを問わず非対応公式に記載なし
無料枠のデータ保存期間無期限直近30日間無期限直近3か月
それ以前の給与データは表示されない(削除はされない)
無料時のサポートマニュアル・FAQ・AIチャット
電話・メール・画面共有は有料版
利用できない
メール・電話・チャットとも対象外
サイト内のメールフォーム
電話サポートは提供なし
よくある質問の閲覧のみ
アプリ内の問い合わせは登録から3か月まで
上限を超えたときの料金月額1,980円(税区分は公式に記載なし)
1社定額・従業員数無制限
1ユーザー月額400円(税抜)
最低利用料金2,000円(税抜)
年額19,800円(税抜)〜
ベーシックは従業員60名まで
月額1,100円(税込)
従業員数は無制限
詳細情報公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

2026年8月時点、各社公式サイトの記載にもとづく

出典・参考資料(7件)

期間を区切って有料版を試せるソフトの比較

無料で使える期間と、その期間に入力したデータを契約後に引き継げるかを軸に比較しています。有料に移った後の初期費用と月額も同じ表に載せました。

このタイプは有料版とほぼ同じ範囲を試せるため、年末調整や法定帳票が使えるかという線引きは、人数の上限で無料にしているタイプほど問題になりません。代わりに効いてくるのが、期間が終わったときにデータが残るかどうかと、そのときの金額です。

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サービス名弥生給与 Nextマネーフォワード クラウド給与freee人事労務ジンジャー給与給与奉行クラウドKING OF TIME 給与PCAクラウド 給与オフィスステーション 給与給与ワークス
無料期間最大2か月1か月1か月(公式ヘルプは「30日間のお試しプラン」とも表記)1か月30日間30日間2か月30日間申込月の翌月末まで
無料期間中に使える人数公式に記載なし
無料お試しの案内は従業員20名未満の事業者向け
公式に記載なし公式に記載なし
登録時に入力した従業員数に応じたプランで開始
公式に記載なし公式に記載なし
利用者1ライセンスで機能制限なしとの記載のみ
制限なし
1名からでも利用可
公式に記載なし公式に記載なし公式に記載なし
有料プランは従業員数に関係なく月額固定の料金体系
無料期間に使える範囲ベーシックプラスプラン相当の全機能
電話サポート・労務相談・マイナンバー相談は対象外
法人向けビジネスプラン相当
1事業者につき1回限り・カード登録不要
有料プランの機能を一部制限つきで利用可
給与明細・総合振込依頼ファイル・算定基礎届・月額変更届・年末調整書類はファイル出力不可
公式に記載なし
ジンジャーの全製品の機能を体験できるとの記載のみ
利用者1ライセンスで機能制限なし
サンプルデータが用意されている
利用人数の制限なし(1名から利用可)
電話・フォーム・チャットのサポートも利用できる
公式に記載なし
体験版固有の機能制限は記載されていない
給与を含むトライアル対象モジュール
勤怠モジュールは対象外
公式に記載なし
サポートはメールとオンラインマニュアルのみ
体験データの引き継ぎ公式に記載なし
期間終了後は給与システムが閲覧のみの無料プランへ移行
退会しない限りデータは残る×終了後は「プラン未契約」となり給与計算の結果が閲覧不可有料契約後もそのまま利用できると明記×終了後に復元不可能な状態で削除される体験で設定した環境をそのまま使い続けられる体験した環境のまま本番稼働できると明記期間中に有料プランへ変更した場合のみ引き継げる公式に記載なし
解約の申し出がない場合は本契約へ自動的に切り替わる
初期費用0円0円0円公式に記載なし0円〜70,000円
20名までのiEシステムは0円
0円0円110,000円(税込)
初回契約時のみの登録料
30,000円(税抜)
有料化後の料金年額20,400円〜84,000円(税抜)
4プランから選択
月額3,980円〜7,980円(税抜)
ひとり法人・スモールビジネス・ビジネスの3プラン
月額2,000円(税抜、年払い・5名まで)〜
6名目から1名につき400円
月額300円〜(税別)
利用製品と利用人数で決まる
月額5,500円(20名まで)〜
法人単位の年間契約
1名あたり月額300円
税込・税別の別は公式に記載なし
月額16,200円(税抜)〜
給与のみを利用する場合
従業員1名あたり月額440円(税込)
10名以下は一律4,400円(税込)
月額10,000円(税抜)
従業員数に関係なく固定
給与単体での契約勤怠・労務は別製品を連携させる形マネーフォワード クラウドの基本料金に給与が含まれる形給与だけを切り出した製品ではない公式に記載なし給与単体の製品として契約できる公式に記載なし
勤怠管理の契約者に付帯するサービス
給与のみの料金プランがある公式に記載なし
必要な機能だけを選んで見積もる料金設計
公式に記載なし
料金表では主契約にできる構成
詳細情報公式資料を見る公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト公式サイト

2026年8月時点、各社公式サイトの記載にもとづく

無料の上限を超えたときに移りやすい低価格ソフトの比較

無料枠を抜けた後の移行先として検討できる2本です。月額課金と買い切りでは費用の考え方が変わるため、料金と対応従業員数、法令改正への対応条件を並べています。

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サービス名かんたんクラウド給与給料王
無料体験60日間
クレジットカードの登録は不要
30日間
パッケージ版の体験版。クラウド版の日数は公式に記載なし
初期費用0円公式に記載なし
パッケージ版は本体価格に含まれる
料金月額2,160円(Basic)
月額3,000円(Plus、いずれも税抜)
クラウド版 年額32,780円〜54,780円
税込・税別の別は公式に記載なし
パッケージ版は44,000円(税込)の買い切り
対応従業員数在職50名まで
51名以降は10名ごとに月額1,800円、最大100名
1社あたり100,000名まで
年末調整Plusプランのみ対応クラウド版ライトは非対応。ベーシック以上で対応
法改正対応の条件公式に記載なし年額38,500円(税込)の保守契約「バリューサポート」への加入
未加入時の扱いは公式に記載なし
詳細情報公式サイト公式サイト

2026年8月時点、各社公式サイトの記載にもとづく

タイプ別に見る無料で使える給与計算ソフト

ここからは、15本それぞれの無料の条件を個別に見ていきます。人数の上限だけでなく、無料の範囲に何が含まれ、何が有料側に置かれているかまでを個別に記載しています。

人数が上限内なら無期限で無料のソフト

登録する従業員が上限を超えない限り、期間の区切りなく0円で使える4本です。上限は5名が3本、10名が1本で、削られている機能の位置がそれぞれ異なります。

1. フリーウェイ給与計算(株式会社フリーウェイジャパン)

フリーウェイ給与計算のウェブサイト

会計・勤怠管理・マイナンバー管理などのクラウドソフトを展開する株式会社フリーウェイジャパンが、給与計算領域を担う製品として提供しています。同社の勤怠管理ソフトから勤怠情報を取り込み、会計ソフトへ仕訳を渡す使い方ができます。

無料版で登録できるのは従業員5名まで、会社は1社までです。期間の区切りはなく、公式サイトには一定期間後に使えなくなることも自動で有料契約になることもないと明記されています。データの保存期間にも制限はありません。ただし退職者は、就業状況を「退職」に変更しただけでは枠から外れず、従業員データを削除しない限り5名のうち1名分を占め続けます。

料金プランページは無料版と有料版の違いを従業員数・登録会社数・サポート範囲の3点として説明しており、年末調整と支払調書、Web給与明細、全銀協フォーマットの振込データ出力はいずれも無料版で使えます。一方でマイナンバーの入力は同社の別ソフトとの連動が前提で、社会保険の月額算定基礎届を電子申請するためのCSV出力には対応していません。

無料版で使える問い合わせ手段は、マニュアルと導入前FAQ、自動応答のAIチャットです。電話・メール・画面共有によるサポートは有料版に移ってから利用できます。有料版は月額1,980円(年払い23,760円)の1社定額で、従業員数は無制限、複数の会社を登録しても追加料金はかかりません。

2. ジョブカン給与計算(株式会社DONUTS)

ジョブカン給与計算のウェブサイト

勤怠管理・労務HRなどを揃えるジョブカンシリーズのうち、給与計算を担うクラウドサービスです。株式会社DONUTSは、シリーズ全体の累計導入社数が2025年4月時点で5万社を超えたと発表しています。

無料の入口は2つに分かれています。登録から30日間は従業員数無制限で全機能を使える「お試しプラン」、その後は有料プランに申し込まない限り、従業員5名までの「無料プラン」へ自動的に移ります。移行した時点で従業員が6名以上登録されている場合は、登録順で先着5名だけが表示され、6名目以降は画面に出てきません。

無料プランでは年末調整と、ジョブカン勤怠管理を含む外部サービスとのAPI連携が利用できません。給与明細の公開通知などを一斉に送るメール配信と、従業員情報のCSV一括登録も対象外です。データの保証期間は直近30日間と定められているため、過去分を長く残す前提の運用には向きません。

問い合わせ窓口も無料プランは対象外で、メール・電話・チャットのいずれも使えません。有料プランは1ユーザーあたり月額400円(税抜)、最低利用料金は2,000円(税抜)です。課金の対象は在職中と休職中の従業員に限られ、内定者と退職済みの従業員は人数に含まれません。

3. 円簿給与(株式会社円簿インターネットサービス)

円簿給与のウェブサイト

会計・青色申告・営業支援と同じ「クラウド円簿」上で提供されている給与計算サービスです。運営する株式会社円簿インターネットサービスは2025年7月1日に機能をリニューアルし、同時に有料プランを新設して、無料版に従業員5名までの上限を設けました。

無料の「一般」プランで登録できるのは1組織・管理者1名・従業員5名までで、利用期間に区切りはありません。データの保存期間にも制限を設けていないと公式FAQに記載があります。無料で提供している理由は広告収入によるもので、ソフト内の各画面に広告が表示されると公式FAQに明記されています。

年末調整、賃金台帳(一人別)、給与支払報告書、源泉徴収票の出力は、無料版でも有料プランと同じ範囲で使えます。打刻用のタイムカードとWeb給与明細の参照も無料の範囲です。会計仕訳のCSV生成だけはベーシック以上のプラン限定で、無料版では利用できません。

全銀協フォーマットの振込データ出力とマイナンバー管理は、有料プランを含めてプランを問わず対応していません。振込作業とマイナンバーの保管は別の手段で行うことになります。問い合わせ窓口も電話は用意されておらず、サイト内のメールフォームからの受付に限られます。

5名を超える場合は有料プランへの切り替えになります。ベーシックは年額19,800円(税抜)で従業員60名まで、スタンダードは年額39,800円(税抜)で150名までです。従業員を1名だけ追加するオプションも年額1,200円(税抜)で用意されています。

4. PayBook(合同会社Pay-book.jp)

PayBookのウェブサイト

税理士が代表社員を務める合同会社Pay-book.jpが運営しており、公式サイトでも税理士事務所の監修による開発体制を掲げています。社会保険料・所得税・住民税の控除額を自動で計算するクラウド型で、Windows・Mac・タブレットのブラウザから利用します。

フリープランで登録できるのは管理者本人を含めて10名までで、期間の定めはありません。加えて登録から3か月間は、有料のスタンダードプランと同じ機能をクレジットカードの登録なしで試せます。3か月が過ぎると自動的にフリープランへ移り、請求は発生しません。

注意しておきたいのがデータの保持期間です。フリープランは3か月と定められており、それより前の給与データは無料のままでは画面に表示されなくなります。ただし公式FAQには、表示されなくなるだけでデータ自体は削除されていないと記載されています。

給与計算・賞与計算、給与データのCSV出力、全銀フォーマットの振込データ出力はフリープランでも使えます。一方、賃金台帳の出力、給与明細の自動一括メール送信、年末調整ソフトへ渡すデータの出力は有料プラン側の機能です。アプリ内の問い合わせも3か月のトライアルを過ぎると使えなくなり、よくある質問ページの閲覧だけが残ります。

10名を超えるか、有料側の機能が必要になった場合は、月額1,100円(税込)のスタンダードプランへの切り替えになります。従業員数によらない定額制のため、人数の上限はなくなります。複数の会社をまとめて管理する場合は、月額3,300円(税込)のプロプランが選択肢です。

期間を区切って有料版をそのまま試せるソフト

有料プランに近い機能を一定期間だけ無料で使える9本です。期間は30日から2か月が中心で、試用中のデータを契約後に引き継げるかどうかに差があります。

5. 弥生給与 Next(弥生株式会社)

弥生給与 Nextのウェブサイト

デスクトップ版「弥生給与」の後継にあたるクラウド型のサービスで、給与計算に加え、プランに応じて勤怠管理・労務管理も同じ契約の中で扱えます。公式サイトでは300名未満の中小企業向けと位置づけられています。

無料で使えるのは最大2か月間で、この間はベーシックプラスプラン相当のすべての機能を試せます。ただし電話サポートと労務相談、マイナンバー相談は対象外となり、問い合わせ手段はチャットとメールのみです。公式サイトでは従業員20名未満の事業者向けの導線として案内されています。

無料期間が終わると無料プランへ移行し、給与システムは閲覧のみになります。有償プランは年額20,400円〜84,000円(税抜)の4段階で初期費用はかからず、これより下位のエントリーライトプランは2026年7月28日に新規受付を終了しています。

勤怠管理の「弥生勤怠 Next」はエントリー以上、労務管理の「弥生労務 Next」はベーシック以上のプランで連携でき、Web給与明細の配信人数などが基本人数を超えた分は1名ごとの従量課金になります。

6. マネーフォワード クラウド給与(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド給与のウェブサイト

勤怠・会計・社会保険といったマネーフォワード クラウドの各サービスとデータをやり取りする前提で設計されたクラウド給与計算ソフトです。給与・賞与の計算からWeb明細の発行、賃金台帳や源泉徴収簿の出力までを1つの画面で扱えます。

料金ページに恒久的な無料プランはなく、無料で使えるのは法人向けにビジネスプラン相当の機能を1か月間試せるトライアルです。1事業者につき1回限りで、クレジットカードの登録は不要です。個人事業主向けのパーソナルプランには給与計算機能自体が含まれません。

トライアルが終わっても有償契約に移らなければ「無償利用状態」が期限なく続き、退会しない限りデータも残ります。ただし給与計算の確定処理は対象人数が1名以下か、支給日から30日以上経過した場合に限られ、年末調整はすべての機能が使えません。

有償プランは月払いでひとり法人3,980円、スモールビジネス5,980円、ビジネス7,980円(いずれも税抜)で、初期費用は0円です。基本料金に含まれる人数は順に1名・3名・5名、ビジネスプランのみ6名目から1名あたり月額300円(税抜)が加算されます。

7. freee人事労務(フリー株式会社)

freee人事労務のウェブサイト

勤怠から給与計算、年末調整、入退社手続き、電子申請までを1つのシステムで扱う労務管理サービスです。給与計算だけを切り出した製品ではなく、労務まわりの手続きをまとめて載せる設計になっています。

恒久的な無料プランはなく、無料で使えるのは新規登録後のお試しだけです。公式ヘルプは「freee人事労務にサインアップ後、はじめの1ヶ月間は有料プランの機能を無料でお試し利用できます」と案内しており、同じページで「30日間のお試しプラン終了後」とも書かれています。お試しが始まるプランは、登録時に入力した従業員数に応じて決まります。

お試し中も「一部機能制限があります」と明記されており、公式ヘルプの一覧では、個別の給与明細・総合振込依頼ファイル・算定基礎届・月額変更届・所得税徴収高計算書・年末調整の各書類がいずれもファイル出力不可とされています。給与計算そのものは試せても、振込データや届出書類を出すところまでは無料で到達しません。

お試しが終わると「プラン未契約」に切り替わります。この状態では給与計算の結果が閲覧できなくなるほか、勤怠一覧・給与明細一覧・賞与明細一覧も閲覧不可になると公式ヘルプに記載があります。

有料プランは従業員5名までの基本料金と、6名目以降の1名あたり課金を組み合わせる体系です。年払いの場合、最も安いミニマムプランが5名まで月額2,000円、6名目からは1名につき400円(いずれも税抜)で、初期費用はかかりません。

出典・参考資料(1件)

8. ジンジャー給与(jinjer株式会社)

ジンジャー給与のウェブサイト

統合型人事システム「ジンジャー」シリーズの給与計算システムで、同シリーズの勤怠・人事労務と従業員データを共有します。勤怠データや従業員情報を給与計算へ自動で反映し、Web給与明細の発行まで続けられる構成です。

無料で使えるのは1か月のトライアルで、恒久的な無料プランは公式サイト上に見当たりません。申込みはフォーム経由で、「個人事業主、競合他社、ひやかし目的等明らかに導入の意思がないと判断した場合、お申し込みをお断りさせていただくことがあります」と明記されており、誰でもその場で使い始められる形式ではありません

トライアル中に入力したデータは有料契約後もそのまま利用でき、期間が終わっても自動で有料プランへ切り替わることはないと案内されています。一方で料金は「月額300円〜(税別)」という表記のみで、1人あたりの単価や初期費用、給与だけで契約する場合の条件は公式サイトでは確認できません。

9. 給与奉行クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)

給与奉行クラウドのウェブサイト

従業員20名までのiEシステムから300名までのiSシステムまで、登録できる人数でプランが分かれるクラウド給与計算システムです。上位プランは下位プランの機能をすべて含むため、選ぶ基準は機能差ではなく人数になります。

無料体験は30日間です。サンプルデータが用意されており、自社のデータを一から入力しなくても操作を確かめられます。公式ページには、利用者1ライセンスで機能制限はないと記載されています。

気をつけたいのは体験終了後のデータの扱いで、入力したデータは完全に復元不可能な状態で削除されると公式ページに明記されています。体験中に作り込んだデータをそのまま本番へ持ち込む使い方はできません。

有料契約は法人単位の年間契約です。20名までのiEシステムが月額5,500円・年額66,000円で初期費用0円、50名までのiAシステムが月額9,000円・年額108,000円で初期費用50,000円です。税込・税別の別は公式に記載がありません。Web給与明細の一斉配信は、別売りの「奉行Edge 給与明細電子化クラウド」と連携して実現する機能にあたります。

10. KING OF TIME 給与(株式会社ヒューマンテクノロジーズ)

KING OF TIME 給与のウェブサイト

クラウド勤怠管理「KING OF TIME」の契約者に、追加料金なしで付帯する給与計算サービスです。勤怠と人事労務のデータをそのまま給与計算に取り込み、年末調整やWeb給与明細の発行まで行えます。

30日間の無料体験には利用人数の制限がなく、1名からでも申し込めます。体験で設定した環境は終了後もそのまま使い続けられるため、本番用に作り直す手間はかかりません。

ただし公式ページの案内は、すでにKING OF TIMEに申し込んでいる利用者が給与サービスを利用できる、という書き方になっています。勤怠管理の契約がない状態で給与だけを新規に申し込めるかは公式サイトでは確認できず、申込み前の問い合わせが必要です。

料金は勤怠管理・人事労務・給与・データ分析を含めて1名あたり月額300円で、初期費用は0円、最低利用人数の定めもありません。この300円が税込か税別かについては、公式の料金ページに記載がありません。

11. PCAクラウド 給与(ピー・シー・エー株式会社)

PCAクラウド 給与のウェブサイト

ピー・シー・エー株式会社が提供するクラウド型の給与計算ソフトです。同社にはダウンロード型の「PCAサブスク 給与」や、人事労務全般を扱う「PCA Arch 人事労務」といった名称の近い別製品もあり、提供形態も料金も異なります。

無料体験は2か月間で、給与に限らずPCAクラウドの全製品に共通する体験プログラムとして用意されています。恒久的に使える無料プランは、料金ページにも体験ページにも記載がありません。

体験から契約に進んだ場合は、その環境のまま本番稼働できると公式のFAQに記載されています。契約に進まなかった場合のデータの保存期間や削除時期については、公式サイトで確認できませんでした。

有料契約は初期費用0円で、給与のみの利用が月額16,200円(税抜)から、人事管理と組み合わせる場合が月額20,400円(税抜)からです。この料金には、ソフトの利用ライセンスに加えて月額12,000円のサーバー利用ライセンスが含まれます。

12. オフィスステーション 給与(株式会社エフアンドエム)

オフィスステーション 給与のウェブサイト

人事労務クラウド「オフィスステーション」の給与計算モジュールです。労務・年末調整・給与明細・勤怠などが機能ごとのモジュールに分かれており、必要なものを選んで契約する形をとっています。

無料トライアルは、企業が自社で使う通常版が30日間、社労士事務所向けの「オフィスステーション Pro」が14日間です。トライアル中に有料プランへ切り替えた場合に限りデータを引き継げ、期間が終わってしまうと引き継ぎはできないとヘルプセンターに明記されています。

有料化の際は登録料110,000円(税込)が初回のみかかります。月額は従業員1名あたり440円(税込)で、10名以下の場合は一律4,400円(税込)です。初期費用0円のクラウド型が多いなかでは、この登録料の扱いが比較のポイントになります。

給与モジュール単体でWeb給与明細の発行・法定帳票の出力・マイナンバー管理まで賄えるかは、公式サイトでは確認できませんでした。年末調整や電子申請は別モジュールの機能として案内されているため、自社に必要な業務の範囲を申込み前に確かめてください。

13. 給与ワークス(株式会社スマイルワークス)

給与ワークスのウェブサイト

クラウドERP「SmileWorks」を構成する給与計算モジュールです。勤怠の提出・承認から給与計算、賞与計算、年末調整、賃金台帳の出力、社会保険手続きまでを担い、会計ワークスへの自動仕訳連携にも対応します。

無料で使えるのは申込月の翌月末までで、月初に申し込めば2か月近くになります(公式サイトの表記は「最大2ヶ月無料」)。無料期間中に解約すれば料金は発生しませんが、申し出がない場合は本契約へ自動的に切り替わると案内されています。

無料期間中のサポートはメールとオンラインマニュアルに限られ、電話サポートは有償です(標準プランで月額5,000円・税別)。有料契約は初期費用30,000円と月額10,000円(いずれも税抜)で、従業員数に関係なく月額は固定になります。

料金表の構成からは、給与ワークスだけを主契約にできると読み取れます。販売ワークス・会計ワークスを追加する場合は1モジュールにつき月額7,000円が加わりますが、給与単体で契約できると明示した記載は公式サイトにはありません。

無料の上限を超えたときに移りやすい低価格ソフト

無料枠を抜けた後の移行先になる2本です。従業員が増えても負担が急に重くならない料金体系を持っています。

14. かんたんクラウド給与(株式会社ミロク情報サービス)

かんたんクラウド給与のウェブサイト

株式会社ミロク情報サービスのクラウド型業務ソフト「かんたんクラウド」シリーズのうち、給与計算を担うモジュールです。会計とのセット契約は条件になっておらず、給与だけを単体で契約できます。会計も併用する場合は、給与側で行った支払い処理を仕訳として会計側へ渡せます。

期限なく使える無料プランはなく、無料で試せるのは申込から60日間(公式サイトでは2か月間とも表記)の試用期間です。試用中はクレジットカードの登録が不要で、有料プランへ移る段階で登録します。これとは別に置かれている体験版は、複数の利用者とデータ環境を共有し不定期に初期化されるため、実際の給与データを入れる用途とは切り分けて考えてください。

有料プランは初期費用がかからず、給与・賞与計算と賃金台帳・源泉徴収票の出力までを含むBasicが月額2,160円、年末調整とマイナンバー管理が加わるPlusが月額3,000円(いずれも税抜)です。標準の従業員枠は在職50名までで、51名以降は10名ごとに月額1,800円が加算されます。年払いにするとBasicは年額21,600円、Plusは年額30,000円になります。

15. 給料王(ソリマチ株式会社)

給料王のウェブサイト

買い切りのパッケージ版と、2026年4月1日に提供が始まったクラウド版のどちらかを選べる給与計算ソフトです。販売元のソリマチ株式会社は会計ソフト「会計王」なども手がけており、給与・賞与計算から年末調整、賃金台帳や源泉徴収票の出力までを1本でまかないます。

無料で使い続けられるプランはなく、パッケージ版「給料王25」に30日間の無料体験版が用意されています。クラウド版にも無料体験期間があると案内されていますが、日数は公式に記載がありません。製品版は44,000円(税込、2025年11月21日発売)の買い切りで、購入から3か月間は無料のユーザーサポートが付きます。

買い切った後も法令改正への対応や次期製品の無償提供を受けるには、年額38,500円(税込)の保守契約「バリューサポート」への加入が前提になります。未加入の場合に法令改正対応が提供されるかは公式に記載がないため、長く使う前提であれば保守料を含めて費用を見ておくほうが安全です。

毎年の支払いを抑えたい場合は、クラウド版のライトが年額32,780円(月払いを選ぶ場合は月額3,278円)から使えます。ただしライトは年末調整と電話サポートに対応していません。年末調整まで行うなら年額43,780円のベーシック、扱う会社数を増やすなら年額54,780円のプロフェッショナルが対象です。いずれも税込・税別の別は公式に記載がありません。

無料の範囲で終わる業務と、有料の壁になる業務

比較表の各項目が実務で何を意味するのかを、業務ごとに見ていきます。自社の給与業務が無料の範囲で完結するかを判断するための材料になります。

給与計算そのものをこれから初めて担当するのであれば、総支給額の求め方から各種控除の差し引き方までの手順を先に押さえておくと、以下の業務ごとの説明が読み取りやすくなります。

月次の給与計算と賞与計算

毎月の給与計算と賞与計算は、無料プランを持つ4本すべてで使えます。健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・所得税の控除額も自動で計算されるため、月次の支給作業そのものは0円で回せます。

月給・時給・日給といった給与形態の違いにも無料の範囲で対応します。パートやアルバイトを含む事業者でも、支給形態が理由で有料になることは基本的にありません。

年末調整

年末調整は、無料プランを持つソフトの中で対応が最も分かれる業務です。フリーウェイ給与計算と円簿給与は無料の範囲で年末調整まで対応しますが、ジョブカン給与計算は無料プランでは年末調整機能を利用できません。

PayBookは給与計算そのものは無料でできますが、年末調整ソフト用のデータ出力が有料プラン側の機能になっています。年末調整を別のソフトや税理士に渡す前提であれば、この出力が使えるかどうかが12月の作業量を左右します。

年1回の業務のために有料へ切り替えるか、その月だけ手作業で済ませるかは判断が分かれるところです。従業員が数名であれば手作業も選択肢になりますが、扶養控除申告書の回収から源泉徴収票の作成までを毎年繰り返すことを踏まえて決めてください。

Web給与明細の発行と配付

給与明細を画面上で発行する機能自体は、無料プランでも使えるものが多くあります。差が出るのは、発行した明細を従業員へ一斉にメール送信できるかどうかです。

ジョブカン給与計算の無料プランは一斉メール配信が対象外で、PayBookのフリープランも給与明細の自動一括メール送信は利用できません。従業員が数名なら個別に渡す運用でも回りますが、人数が増えるほど毎月の手間として効いてきます。

賃金台帳・源泉徴収票などの法定帳票の出力

賃金台帳は作成と保存が、源泉徴収票は作成と交付が、それぞれ事業者に義務づけられています。円簿給与は賃金台帳・給与支払報告書・源泉徴収票のいずれも全プランで出力できると公式の料金比較表に明記されています。

フリーウェイ給与計算は、無料版で使える機能として年末調整・支払調書・Web給与明細・全銀協フォーマットの振込データ出力が公式に挙げられていますが、賃金台帳そのものの出力可否は公式に記載がありません。

一方でPayBookのフリープランは賃金台帳の出力ができません。給与の計算自体は0円で終わっても、義務のある帳票をソフトから出せない状態になるため、別途Excelなどで作成する必要が出てきます。

ジョブカン給与計算については、無料プランで法定帳票を出力できるかどうかを明示した記載を公式ヘルプで確認できませんでした。導入前に提供元へ確認することをおすすめします。

振込用FBデータの出力と電子申請

振込用FBデータは、計算した給与額を全銀協のフォーマットで書き出し、インターネットバンキングへ取り込むためのファイルです。フリーウェイ給与計算とPayBookは無料の範囲で出力できますが、円簿給与は全銀協フォーマットへの対応自体がなく、プランを問わず出力できません。

円簿給与は給与の振込機能そのものも通常メニューでは提供しておらず、楽天銀行と連携した専用メニューでのみ明細から直接振込ができる形になっています。振込作業まで含めて効率化したい場合は、この点が判断材料になります。

電子申請の対応範囲も製品によって異なります。フリーウェイ給与計算は源泉徴収票や法定調書のe-Tax用ファイル出力と、給与支払報告書のeLTAX用ファイル出力に対応する一方、社会保険の月額算定基礎届を電子申請するためのCSV出力には対応していません。

マイナンバーの管理は無料枠の外に置かれていることが多い機能です。円簿給与はプランを問わず非対応、フリーウェイ給与計算は同社の別ソフトとの連動が前提になります。

無料が終わる3つのタイミングと、そのときの月額

0円で始めたとしても、無料の状態は永久に続くわけではありません。無料が終わる条件は3つに分かれ、どれに先に当たるかによって支払いが始まる時期が変わります。

無料の給与計算ソフトで無料が終わる3つのタイミングを示した図。従業員数が上限を超えたとき、無料期間が満了したとき、データの保存期間を過ぎたときの3条件と、各条件における主なソフトの上限や期間を示している。

従業員数が上限を超えたとき

最も多いのが、採用によって登録人数が上限を超えるケースです。フリーウェイ給与計算・ジョブカン給与計算・円簿給与は5名、PayBookは管理者本人を含めて10名が上限になっています。

注意したいのは、退職者の扱いです。フリーウェイ給与計算では、就業状況を退職に変更しただけでは上限のカウントから外れず、従業員データそのものを削除しない限り5名の枠を占め続けます。

上限を超えたときにどうなるかも製品によって違います。ジョブカン給与計算は無料プランへ移行した時点で6名以上いる場合、登録順で先着5名だけが表示され、6名目以降は画面に出てこない仕様です。

無料期間が満了したとき

期間を区切って試すタイプでは、30日から2か月で無料が終わります。弥生給与 Nextは最大2か月、給与奉行クラウドとKING OF TIME 給与は30日、PCAクラウド 給与とかんたんクラウド給与は2か月(60日)が無料の期間です。

期間の終わり方には差があります。弥生給与 Nextは無料期間の終了後に無料プランへ移行し、給与システムは閲覧のみになる仕組みです。マネーフォワード クラウド給与は有償契約に移らなくても「無償利用状態」が期限なく残る一方、給与計算の確定処理は対象人数が1名以下か、支給日から30日以上経過している場合に限られます。

多くの製品は、無料期間が終わっても自分で契約しない限り請求は発生しません。マネーフォワード クラウド給与とジンジャー給与は、自動で有料プランへ切り替わることはないと公式に明記しています。

ただし例外があります。給与ワークスは、無料期間中に解約を申し出なければ本契約へ自動的に切り替わると公式の導入フローに書かれています。初期費用30,000円と月額10,000円(いずれも税抜)が発生するため、試すだけのつもりなら期限を意識しておいてください。

申し込む前に、自動更新の有無を各社の利用規約か申込画面で確認してください。予算をかけずに試したい段階では、ここが最も金額的な影響の大きい確認事項になります。

無料枠のデータ保存期間を過ぎたとき

人数も期間も余裕があるのに使えなくなる条件が、データの保存期間です。ジョブカン給与計算の無料プランはデータの保証期間が直近30日間、PayBookのフリープランは3か月と定められています。

PayBookの場合、3か月を過ぎた給与データは無料プランでは表示されなくなりますが、削除されるわけではないと公式に説明されています。有料プランに切り替えれば過去分を再び参照できる形です。

これに対しフリーウェイ給与計算と円簿給与は、保存期間に制限を設けていません。

ここで押さえておきたいのは、賃金台帳を保存する義務を負うのは使用者であって、ソフトの提供元ではないという点です。無料枠の保存期間が3か月であっても、期限が来る前に自分で出力して手元に残せば、義務そのものは果たせます。

裏を返せば、保存期間の短い無料枠を使う場合は、その出力と保管の作業が毎回発生します。無料で得た分の手間がどこに戻ってくるかを見ておくと、判断を誤りにくくなります。

無料が終わったあとの月額の相場

無料枠を抜けた後の料金は、1名あたりで課金する方式と、人数に関係なく1社定額の方式に分かれます。1名あたりの課金では、KING OF TIME 給与が300円、ジョブカン給与計算が400円(税抜、最低利用料金2,000円)、オフィスステーション 給与が440円(税込)です。

1社定額の方式では、フリーウェイ給与計算が従業員数無制限で月額1,980円、PayBookのスタンダードプランが従業員数無制限で月額1,100円(税込)となっています。人数が増えるほど定額方式のほうが有利になるため、増員の見込みがある会社は課金の単位まで含めて比べる価値があります。

年額での契約が前提の製品もあります。円簿給与のベーシックプランは年額19,800円(税抜)で従業員60名まで、給料王クラウドのライトプランは年額32,780円です。月額に直すと前者が1,650円、後者が2,732円ほどです。

初期費用の扱いも確認しておきたい点です。多くのクラウド型は初期費用0円ですが、オフィスステーション 給与は初回契約時に登録料110,000円(税込)、給与ワークスは初期費用30,000円(税抜)がかかります。

無料のまま使い続ける場合のリスク

ここからは、0円で使い続けることの代償にあたる部分を見ていきます。無料枠では何かが削られており、それが自社にとって許容できるかどうかが判断の分かれ目になります。

無料枠でのサポート範囲

問い合わせ手段は、無料枠で最も削られやすい要素です。ジョブカン給与計算の無料プランはメール・電話・チャットのいずれも利用できず、PayBookのフリープランもアプリ内の問い合わせは無料お試し期間の3か月間に限られます。

フリーウェイ給与計算の無料版で使えるのは、マニュアル・よくある質問・自動応答のAIチャットです。電話・メール・画面共有によるサポートは有料版の利用者向けになっています。円簿給与は電話サポートを提供しておらず、メールフォームからの問い合わせに限られます。

給与計算は締め日から支給日までの日数が限られる業務です。処理が止まったときに聞ける窓口がない状態を許容できるかは、担当者が1人で回している事業者ほど重く効いてきます。

削られるのは機能やサポートだけとは限りません。円簿給与は広告収入で無料版を成り立たせているため、無料のまま使う間は各画面に広告が表示されます。毎日開く画面に広告が出ることをどう受け止めるかも、無料で使い続けるかどうかの判断材料の1つです。

法改正・保険料率と税額表の改定にソフトが追従するか

給与から差し引く金額のうち、毎年変わるものと変わらないものは分かれています。厚生年金保険料率は平成29年9月を最後に引き上げが終わり、現在は18.3%で固定されています。

厚生年金保険の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、平成29年9月を最後に引上げが終了し、厚生年金保険料率は18.3%で固定されています。

出典:厚生年金保険料額表|日本年金機構

これに対し、協会けんぽの健康保険料率と介護保険料率は毎年度改定され、健康保険料率は都道府県ごとに異なります。改定の時期は毎年決まっています。

令和8年度の協会けんぽの健康保険料率及び介護保険料率は、本年3月分(4月納付分)*からの適用となります。

出典:令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます|全国健康保険協会

源泉所得税の計算に使う源泉徴収税額表は、年分ごとに作り替えられます。国税庁が公開している令和8年分の税額表には、令和7年分以前の給与について使わないよう注意書きが添えられています。

この源泉徴収税額表は、令和8年分の給与等について、所得税と復興特別所得税を併せて源泉徴収する際に使用するものです。令和7年度税制改正において、所得税の基礎控除の見直し等が行われたことに伴い、税額や扶養親族等の数の算定方法が変更となっています。……令和7年分以前の給与等について税額を算出する際には、この税額表はご使用にならないでください。

出典:令和8年分 源泉徴収税額表|国税庁

クラウド型の給与計算ソフトはこれらの更新を提供元が行うため、無料プランであっても利用者側で料率や税額表を差し替える作業は発生しません。ソフトを使う実質的な理由の1つがここにあります。

注意が必要なのは、インストール型の買い切り製品です。給料王の場合、法令改正への対応は年間保守「バリューサポート」(年額38,500円・税込)の提供内容に含まれています。保守に加入しない場合に改正対応が受けられるかは公式ページで確認できなかったため、購入前に提供元へ確認してください。

出典・参考資料(3件)

提供が終了した場合にデータをどう引き継ぐか

無料で提供されているサービスは、収益構造の変更によって条件が変わることがあります。円簿給与は広告収入によって無料を成り立たせてきましたが、2025年7月1日に有料プランを追加し、無料プランの従業員数上限を5名に設定しました。

条件が変われば、それまで無料で使えていた規模の会社が有料に移るか、別のソフトへ乗り換えるかを迫られます。従業員データや過去の給与データをCSVなどで書き出せるかを、導入時点で確認しておくと選択肢を残せます。

従業員の個人情報を扱う以上避けられないセキュリティの確認

給与計算ソフトが扱うのは、氏名・住所・生年月日・口座情報・扶養家族の情報といった、漏えいすれば影響の大きいデータです。無料であっても、この点の確認を省く理由にはなりません。

提供元が情報セキュリティマネジメントシステムやプライバシーマークの認証を取得しているか、取得している場合にその範囲へ給与サービスが含まれるかを確認してください。認証の対象範囲が別サービスに限られている例もあります。

実際に確認してみると、範囲の書かれ方は一様ではありません。ジョブカン給与計算を提供する株式会社DONUTSはジョブカン事業部を対象にISO/IEC 27001の認証を取得していますが、認証範囲に給与計算だけを名指しした記載はありません。

株式会社マネーフォワードは2015年に給与を含むクラウドシリーズでの取得を発表した一方、現在公開されている登録情報では登録範囲がデジタルインボイスサービスに限られています。

認証の有無だけでなく、いつ時点の・どの範囲の認証かまで見ないと判断材料になりません。0円で始める場合でも、扱うデータの性質は有料契約と変わらない点を踏まえて確認してください。

Excel・ダウンロード型フリーソフトで済ませる場合との違い

ソフトを導入せずに0円で済ませる方法とは、前提が異なります。Excelのテンプレートやダウンロード型のフリーソフトも選択肢ではありますが、給与計算に使ううえでの前提が異なります。

無料の給与計算ソフトを使うメリット(Excel・手計算と比べて何が変わるか)

最も大きい違いは、保険料率と源泉徴収税額表の更新をソフト側が引き受ける点です。Excelでは改定のたびに料率と税額表を調べて計算式を直す必要がありますが、クラウド型のソフトではその作業がなくなります。

賃金台帳や源泉徴収票を計算結果からそのまま出力できる点も変わります。Excelで管理していると、給与の計算表と法定帳票を別々に作ることになり、転記のたびに誤りが入り込む余地が生まれます。

給与明細を従業員へ配付する手段も広がります。Web明細に対応したソフトなら、印刷して手渡す運用から、画面で確認してもらう運用に切り替えられます。

Excelテンプレートで給与計算をする場合に対応しきれなくなる場面

税理士事務所や会計事務所が配布している給与計算用のExcelテンプレートは、無料で入手できます。従業員が数名で給与体系が単純な場合には、当面これで足りることもあります。

ただし、テンプレートが最新の料率や税額表に更新され続ける保証はありません。配布が止まった時点で、以降の改定には自分で対応することになります。

もう1つの弱点はセルの書き換えやすさです。計算式が入ったセルを誤って上書きしても警告は出ないため、間違いに気づかないまま支給まで進んでしまう可能性があります。

ダウンロード型フリーソフト・OSSを選ばない方がよい理由

ダウンロード型のフリーソフトやオープンソースの給与計算ソフトも存在します。これらを業務で使う場合に問題になるのは、法令改正への追従を誰が保証するのかがはっきりしない点です。

個人が開発しているソフトでは、更新が止まった時期を利用者側から把握しづらく、気づいたときには数年分の改定が反映されていないという事態も起こりえます。給与計算は誤ると従業員と税務・年金の双方に影響が及ぶ業務です。

提供元が法人として更新を続けている無料プランであれば、この不確実性は小さくなります。0円という条件が同じでも、誰が更新の責任を負っているかで安心して使える範囲が変わります。

古い料率・税額表のまま計算していた場合に起きること

Excelや更新の止まったソフトで計算を続けていると、改定に気づかないまま古い数値を使ってしまうことがあります。そのときに何が起きるかを、税と社会保険の両側で見ておきます。

古い税額表のまま計算して源泉所得税が不足すると、税務署はその不足分を給与の支払者から徴収します(所得税法221条1項)。法定納期限までに納付されなかった場合には、原則として10%の不納付加算税が課されます(国税通則法67条1項)。

逆に古い料率のまま社会保険料を多く控除してしまった場合は、労働基準法24条1項の全額払いの原則に触れる可能性があります。同法120条1号により30万円以下の罰金の対象となる条文です。

すでに誤っていたかもしれない、と気づいた場合の対処も決まっています。源泉所得税が不足していたときは、給与の支払者が本人に請求して控除できると所得税法222条が定めており、実務上は次回以降の給与で精算します。税務署からの告知を受ける前に自主的に納付した場合、不納付加算税は5%に軽減されます(国税通則法67条2項)。

社会保険料を多く控除していた場合も、次回の給与で従業員に返す形で調整します。金額が大きい場合や年をまたぐ場合は、所轄の税務署・年金事務所に相談してから処理してください。

出典・参考資料(3件)

給与計算を無料のソフトで行う場合でも守る必要がある法令

ここからは、どのソフトを使っても事業者側に残る義務を確認します。無料の範囲で帳票が出せない、データの保存期間が短いといった制約は、この義務を減らす理由にはなりません。

賃金台帳の作成・保存義務と保存年数

賃金台帳は、労働基準法108条によって作成が義務づけられている帳簿です。給与を支払うたびに、遅滞なく記入することが求められます。

使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

出典:労働基準法 第108条|e-Gov法令検索

記入すべき項目は労働基準法施行規則54条1項が定めており、氏名・性別・賃金計算期間・賃金の種類ごとの額に加えて、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜の労働時間数が含まれます。給与額だけを扱うソフトでは、勤怠のデータを別に用意しないと記載事項を満たせません。

保存年数については、条文を2段で読む必要があります。労働基準法109条は5年間と定める一方、同法附則143条1項が「当分の間」これを3年間に読み替えているため、2026年8月時点で実際に適用されるのは3年間です。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。(第109条)

第百九条の規定の適用については、当分の間、同条中「五年間」とあるのは、「三年間」とする。(附則第143条第1項)

出典:労働基準法 第109条・附則第143条第1項|e-Gov法令検索

この3年をいつから数えるかも決まっています。労働基準法施行規則56条1項2号により、賃金台帳の起算日は「最後の記入をした日」とされているため、毎月の記入が続いている間はカウントが始まりません。運用を続ける限り手元に残し続けることになります。

賃金台帳の保存年数の読み方を示した図。労働基準法109条は5年間と定めるが、附則143条1項が当分の間これを3年間と読み替えるため、2026年8月時点で適用されるのは3年間であること、起算日は最後の記入をした日であることを示している。

賃金台帳の作成や保存の義務に違反した場合は、労働基準法120条1号により30万円以下の罰金の対象となります。

ここで、無料枠の制限と義務がぶつかる場合があります。6〜10名の事業者が0円で使える唯一の選択肢であるPayBookは、無料の範囲では賃金台帳を出力できません。円簿給与とジョブカン給与計算にも、それぞれ別の制約があります。

義務を負うのはソフトではなく事業者なので、この場合は賃金台帳をExcelなどで別に作るか、出力できるソフトへ切り替えることになります。従業員が6名以上で賃金台帳までソフトで完結させたいのであれば、月額1,980円のフリーウェイ給与計算の有料版のように、1社定額で人数の上限がない製品に移るのが現実的です。

出典・参考資料(2件)

年末調整・源泉徴収票の交付義務と、源泉徴収簿の位置づけ

税務の側で事業者に課されているのは、給与を支払う際の源泉徴収(所得税法183条)、年末調整(同190条)、そして源泉徴収票の作成と交付(同226条1項)です。源泉徴収した所得税は、徴収した日の属する月の翌月10日までに納付する必要があります。

源泉徴収票については、税務署への提出と本人への交付が別の話になります。税務署への提出には金額の基準がありますが、本人への交付は受給者全員に対して必要です。

給与所得の源泉徴収票は、上記の提出範囲に関わらず、すべての受給者に対し、その年の翌年の1月31日まで(年の中途で退職した方の場合は、退職の日以後1か月以内)に交付しなければなりません。

出典:No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁

年末調整の作業でよく使われる源泉徴収簿は、法律で作成が義務づけられた帳簿ではありません。国税庁が実務の便宜を考慮して様式を公開しているもので、所得税法にも同法施行規則にもこの語は出てきません。

(注) 源泉徴収簿は、源泉徴収事務の便宜を考慮して、国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp)に掲載しているものですが、以下の説明は、便宜上この源泉徴収簿の様式を用いて行うことにします。

出典:令和7年分 年末調整のしかた(令和7年8月)17ページ|国税庁

無料のソフトが源泉徴収簿を出力できないこと自体は、法令違反ではありません。ただし年末調整と源泉徴収票の交付を正しく行うための土台を自前で用意することになるため、12月から1月にかけての作業量に直接効いてきます。

保存年数は労働基準法側と別建てになっている点にも注意が必要です。従業員から回収した扶養控除等申告書などは、所得税法施行規則76条の3により提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間保存することとされています。

出典・参考資料(4件)

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自社の条件に合う無料の給与計算ソフトの選び方

ここからは、ここまでに見てきた条件を自社に当てはめる観点をまとめます。5つの問いに答えていくと、候補を2〜3本まで絞り込めます。

従業員数で見て、無料のままで足りるか早めに有料へ移るか

無料枠の上限は5名または10名なので、この人数が最初の分岐になります。現時点で5名以下であれば、恒久無料のプランを持つ4本がそのまま候補です。

6名から10名の場合は、無料枠が10名のPayBookを軸に検討するか、1社定額の有料プランへ移るかの選択になります。人数に関係なく定額の製品なら月額1,980円で済むため、5名を超えた時点で有料に切り替えても負担は限定的です。

採用の予定がある場合は、無料で始めても数か月で上限に当たります。無料枠に収まる本数を数えるより、上限を超えた後の料金体系が自社の増員ペースに合うかを先に見てください。

年末調整までソフト内で終わらせたいか

年末調整は年に1回しかない業務ですが、扶養控除申告書の回収から源泉徴収票の作成までを含むと工程が多く、手作業で処理すると負担が集中します。ここをソフト内で完結させたいかどうかで候補が変わります。

完結させたいのであれば、無期限無料のタイプのうち年末調整が無料の範囲に入っている製品に絞られます。年末調整を税理士や別のソフトに渡す運用であれば、月次の計算だけができれば足りるため、候補は広がります。

勤怠管理や会計と連携させたいか

賃金台帳には労働日数・労働時間数・時間外や深夜の労働時間数を記入する必要があるため、勤怠のデータをどう取り込むかは避けて通れません。タイムカードを手で集計して入力するのか、打刻データを取り込むのかで毎月の作業量が変わります。

ただし無料枠では連携が外されていることがあります。ジョブカン給与計算の無料プランは同社の勤怠管理を含む外部サービスとのAPI連携が利用できないため、勤怠と給与をまとめたい場合は有料プランが前提になります。

期限なく0円で使える4本のうち、打刻の機能まで無料で持っているのは円簿給与です。タイムカード機能が全プラン共通で使え、スマホからの打刻にも対応します。

フリーウェイ給与計算は給与計算に機能を絞っており、勤怠は同社の別ソフトから取り込む形です。ジョブカン給与計算とPayBookは、無料の範囲では勤怠のデータを手で入力することになります。

会計側との連携も同様です。仕訳の受け渡しを自動化したい場合は、その機能が無料の範囲に入っているかを確認してから決めてください。

兼務で運用するなら無料枠のサポートで足りるか

給与計算は締め日から支給日までの日数が決まっており、途中で止まると支給に間に合いません。担当者が兼務で1人しかいない場合、聞ける窓口の有無は無料かどうかと同じくらい重い条件になります。

無料枠で電話サポートまで使える製品はほとんどありません。マニュアルと自動応答で自力運用できるかを、導入前に実際の画面を触って判断しておくと安全です。

人数が増えた後の移行しやすさを見て選ぶ

無料で始めたソフトを使い続けられる保証はありません。人数の増加、無料条件の変更、機能の不足のいずれかで、いずれ移行を検討する場面が来ます。

そのときに効いてくるのが、従業員データ・過去の給与データ・法定帳票を自分で書き出せるかどうかです。同じ提供元の有料プランへ上がるだけならデータはそのまま引き継げますが、他社へ移る場合は書き出しの手段がないと入力し直しになります。

期間限定で試すタイプでは、試用中のデータの扱いも確認してください。給与奉行クラウドは無料体験の終了後、入力したデータが復元できない状態で削除されると明記しています。

無料の上限を超えたときの進み方

無料では足りないと判断した場合、取れる方向は大きく2つあります。

低価格帯のソフトに移る

給与計算そのものは自社で続けたい場合、毎月の負担が軽い製品へ移るのが現実的です。1名あたりの単価が低い製品と、人数に関係なく定額の製品では、増員したときの伸び方が変わります。

毎月の支払いをなくしたいのであれば、買い切りのパッケージという選択肢もあります。その場合は本体価格だけでなく、法令改正への対応が保守契約に紐づいていないかを確認してください。

給与計算そのものを外部に委託する

無料のソフトを探す動機が「費用をかけたくない」だけでなく「担当できる人がいない」「毎月の時間を割けない」にある場合、ソフトを替えても課題は残ります。この場合は給与計算の業務そのものを外部に委託する方法が候補になります。

委託先は、社会保険労務士事務所や給与計算を専門に請け負う事業者です。ソフトの利用と代行をまとめて提供する事業者もあり、計算から明細の配付、社会保険の手続きまでを任せられます。

費用は従業員1名あたりで設定されることが多く、人数が少ないうちは割高に見えます。担当者の時間を他の業務に充てられる価値と合わせて比べてください。

委託先を具体的に探す段階では、任せられる業務範囲が月次の計算までか年末調整・社会保険手続きまで含むか、料金が1名あたりの従量制か定額制か、といった違いが判断の分かれ目になります。次の記事では、こうした観点で委託先を比較しています。

まとめ

給与計算ソフトの「無料」は、人数の上限内なら期限なく使えるもの、期間を区切って有料版を試せるもの、無料の入口は短いが有料になった後が軽いものの3通りに分かれます。従業員が5〜10名で当面増える予定がなければ、1つ目のタイプが選択肢になります。

選ぶときは人数の上限だけで判断せず、年末調整・賃金台帳・振込データ・データの保存期間・サポートのどこが無料の範囲から外れているかを確認してください。無料の範囲は製品ごとに線の位置が違い、自社の給与業務のどこで止まるかもそれによって変わります。

そして、無料で使えるかどうかにかかわらず、賃金台帳の作成と保存、源泉徴収票の交付といった義務は事業者に残ります。ソフトの保存期間が短い場合は、自分で出力して保管する作業が毎回発生する点まで見込んで選ぶと、導入後に困りません。

次の一手として現実的なのは、候補を2本に絞って両方に登録し、直近1か月分の給与を実際に入力してみることです。5名以下で年末調整までソフト内で終わらせたいなら年末調整が無料の範囲に入っている無期限無料のタイプ、6名以上で0円を優先するなら上限が10名の無期限無料のタイプ、人数が増える見込みがあるなら1社定額の有料プランを持つ製品が、それぞれ出発点になります。

MCB FinTechカタログでは、これらの給与計算ソフトの資料を無料でまとめて請求できます。無料で使える範囲と有料に切り替わったときの料金を各社の資料で見比べて、自社に合う1本の絞り込みを進めてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. 無料で使える給与計算ソフトとは何ですか?

A. 無料で使える給与計算ソフトとは、費用をかけずに給与・賞与の計算や給与明細の作成ができるソフトのことで、無料の続き方は「登録人数が上限内なら期限なく0円で使えるもの」「一定期間だけ有料版とほぼ同じ機能を試せるもの」「無料の入口は短いが有料になった後の負担が軽いもの」の3通りに分かれます

0円で運用し続けられるのは1つ目のタイプだけです。3つ目のタイプは、人数が増えて無料枠を抜けたときの移行先になります。

本記事で取り上げた15本のうち、期限なく0円で使い続けられる無料プランを持つのはフリーウェイ給与計算・ジョブカン給与計算・円簿給与・PayBookの4本です。登録できる従業員数の上限は前者3本が5名、PayBookが管理者本人を含めて10名で、それ以外の製品は期間を区切ったお試しが中心で、期間が終わった後も0円で給与計算を回し続ける用途には向きません。

Q. 無料の給与計算ソフトでも、パートやアルバイトの時給計算に対応できますか?

A. 無料の給与計算ソフトでも、月給・時給・日給といった給与形態の違いには無料の範囲で対応できます。支給形態がパートやアルバイトであることを理由に有料プランへ切り替わることは基本的にありません。

差が出るのは、勤務時間をどう集計して入力するかです。手集計で運用する場合は、労働日数と労働時間数に加えて、時間外・休日・深夜のそれぞれの時間数を分けて記録しておく必要があります。賃金台帳にこれらを分けて記入することが求められているためです(労働基準法施行規則54条1項)。

集計表を先に整えておくと、月末にまとめて入力する運用でも記載事項の抜けが起きにくくなります。時給者の比率が高い事業者ほど、この準備の有無が毎月の作業量を左右します。

Q. 会計ソフトを使っていれば、無料の給与計算ソフトは不要ですか?

A. 会計ソフトと給与計算ソフトは扱う対象が違うため、会計ソフトだけで給与計算を代替することはできません。会計ソフトは仕訳や決算書といった会社全体のお金の動きを記録するもので、給与計算ソフトは従業員一人ひとりの支給額と社会保険料・所得税の控除額を計算し、給与明細・賃金台帳・源泉徴収票を作るためのものです。

同じ提供元が会計と給与の両方を出していても、契約は別建てになっているのが通例です。マネーフォワード クラウドの個人事業主向けパーソナルプランには給与計算機能自体が含まれず、かんたんクラウド給与のように会計とのセット契約を条件とせず給与だけ単体で契約できる製品もあります。

会計側へ仕訳を渡したい場合は、その連携が無料の範囲に入っているか(円簿給与は会計仕訳のCSV生成が有料プラン限定)まで確認してください。

Q. 無料の給与計算ソフトは、年の途中から使い始めても問題ありませんか?

A. 年の途中から使い始めること自体に問題はありませんが、その年の1月からの支給額と源泉徴収税額をソフトに引き継げるかを導入前に確認してください。年末調整はその年に支払うことが確定した給与等の金額をもとに計算するためです(所得税法190条)。

源泉徴収票もその年の合計額で作成します。提出範囲にかかわらず、すべての受給者へ翌年1月31日まで(中途退職者は退職の日以後1か月以内)に交付する必要があります。

導入前の月の給与データを登録できない場合、その年の年末調整と源泉徴収票だけを手作業や別の手段で処理することになります。年末調整が無料の範囲に入っていないソフト(ジョブカン給与計算の無料プランなど)を選ぶ場合も同じで、切り替えるなら年末調整の作業が始まる前が動きやすいタイミングです。

出典・参考資料(2件)

Q. 無料の給与計算ソフトで、複数の会社の給与計算をまとめて扱えますか?

A. 無料の給与計算ソフトで扱えるのは1社分に限られるのが基本で、複数の会社をまとめて管理するには有料プランが必要になります。

フリーウェイ給与計算の無料版は登録できる会社が1社までで、複数社を登録しても追加料金がかからないのは月額1,980円の有料版です。円簿給与の無料プランも1組織・管理者1名までとなっており、PayBookで複数の会社をまとめて管理する場合は月額3,300円(税込)のプロプランが対象になります。

複数の法人を持つ経営者や顧問先の給与を扱う事務所は、従業員数の上限だけでなく、登録できる会社数と管理者数まで見て選んでください。

Q. 無料の給与計算ソフトで、社会保険や雇用保険の手続きまでできますか?

A. 給与計算ソフトの守備範囲は支給額と控除額の計算とその帳票までで、社会保険・雇用保険の届出まで無料の範囲で完結するとは限りません

健康保険・厚生年金の資格取得届や算定基礎届といった書類の作成までは、無料の範囲で対応する製品もあります。ただし作成と、e-Govなどでの電子申請は別の話です。フリーウェイ給与計算は、月額算定基礎届を電子申請するためのCSV出力に対応していないと公式FAQに明記されています。

資格取得届や算定基礎届までまとめて扱いたい場合は、人事労務まで含む有料プランを検討するか、届出はe-Govなどの電子申請で別に行う前提で選ぶことになります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
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