社内のPCやソフトウェアが増え続け、「どの端末を誰が使い、どのライセンスが何本残っているか」をExcel台帳では追いきれなくなっていませんか。棚卸しのたびに実台数と帳簿がずれ、退職者のPCやアカウントの回収漏れがセキュリティ監査で指摘される——情報システム部門が抱えるこうした悩みは、PCの増加に部門ごとのSaaS契約が重なることで年々深刻になっています。
IT資産管理ツールは、PC・モバイル端末・ソフトウェア・SaaSアカウントといった社内のIT資産を自動で収集し、台帳として一元管理する仕組みです。ただし製品によって得意領域は大きく異なり、資産の可視化に絞ったものから、操作ログ・USB制御まで担うもの、SaaSライセンス管理まで広げたものまで幅があります。
自社が何を管理したいかを見極めないまま選ぶと、機能過多で使いこなせなかったり、逆に必要な範囲をカバーできなかったりします。
本記事では、IT資産管理ツール21サービスを機能範囲の3タイプに分けて比較・解説します。基本機能や料金相場に加え、課金モデル別の費用感、エージェント方式の選び分け、企業規模別の推奨タイプといった、実際の選定で迷いやすい観点を整理しました。自社に合うツールを判断するための材料としてご活用ください。
また、自社の状況に合わせて最適なタイプを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。どのタイプから比較すべきか迷う場合は、ぜひこちらもご活用ください。
目次
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IT資産管理ツールとは?対象範囲と隣接領域(MDM/ITSM/EDR)との違い
ここでは、IT資産管理ツールが何を管理する仕組みなのかを整理し、混同されやすい隣接ツールとの守備範囲の違いを確認します。
IT資産管理ツール(ITAM:IT Asset Management)とは、企業が保有するPC・サーバー・モバイル端末などのハードウェアと、OS・業務ソフト・ライセンス・SaaSアカウントといったソフトウェア資産を自動で収集し、台帳として一元管理するためのツールです。
導入・利用・更新・廃棄までの資産のライフサイクルを追跡し、「誰が・どの端末で・何のソフトを・どのライセンスで使っているか」を可視化します。
手作業のExcel台帳では、端末の増減やソフトの入れ替えに更新が追いつかず、実態と帳簿が乖離しがちです。IT資産管理ツールは各端末に導入したエージェント(常駐プログラム)やネットワーク経由の探索で情報を自動収集するため、台帳の鮮度を保ちながら棚卸しの工数を大きく削減できます。
IT資産管理ツールは、目的の近い複数のツールと機能が一部重なります。導入を検討する際は、自社が本当に必要としているのがどれかを見極めることが出発点になります。次の表で、代表的な隣接領域との守備範囲の違いを整理します。
| ツールの種類 | 主な目的 | IT資産管理との関係 |
|---|---|---|
| IT資産管理(ITAM) | PC・ソフト・ライセンスの台帳を自動作成し、資産のライフサイクルを管理する | 本記事の対象 |
| MDM(モバイルデバイス管理) | スマートフォン・タブレットの設定配布・リモートロック・紛失対策に特化 | モバイル端末の管理範囲が重なる。PC資産の台帳機能は持たない製品が多い |
| ITSM(ITサービス管理) | 問い合わせ対応・インシデント管理・変更管理など情シスの業務プロセスを管理 | 資産情報(CMDB)を扱うが、主眼は業務フロー。ITAM機能を別モジュールで持つ製品もある |
| EDR(エンドポイント検知・対応) | マルウェアなどの脅威をPC上で検知・遮断するセキュリティ対策 | 端末情報を収集する点は共通だが、目的は脅威対応。資産台帳の作成は主機能ではない |
実際の製品では、これらの機能が組み合わさっているものも少なくありません。たとえばPCの資産管理に操作ログやUSB制御を加えた製品、モバイル管理(MDM)とPC資産管理を1つにまとめた製品などがあります。どこまでを1つのツールでまかなうかは、後述する3タイプの選び分けにつながります。
公的な位置づけでは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」の中で、IT資産管理の考え方と、それを支援する手段としてのツール導入を示しています。
IT 資産管理とは、社内で利用している IT 機器やソフトウェア、ライセンス、クラウドサービスなどを正確に把握し、適切に管理することです。具体的には、以下の活動が含まれます。
●何の機器やソフトウェアが、どこで、誰によって使われているかの把握
●購入・廃棄・更新の履歴管理
●ライセンスや契約の期限管理
●セキュリティ更新やパッチ適用の状況確認また、事業にリソースを集中する中で IT 資産管理に労力を割くことが難しい場合は、IT 資産管理をすべて自社で賄おうとするのではなく、以下の選択肢についても検討しましょう。
中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版|独立行政法人情報処理推進機構(最終更新 2026年7月3日)(コラム「IT 資産管理について」)
●一元管理を可能とする IT 資産管理ツールの導入やクラウドサービスの利用
● IT 資産管理代行サービスの利用(IT 資産管理の外部委託)
隣接領域のうちITSMは、問い合わせ対応やインシデント管理といった情シスの業務プロセスそのものを効率化する領域で、資産情報(CMDB)の持ち方も資産管理ツールとは異なります。資産台帳の整備よりヘルプデスク運用の改善が先だという場合は、以下の記事でITSMツールのタイプ別の機能・料金・選び方を確認できます。
IT資産管理ツールの主な機能
ここからは、IT資産管理ツールが備える主な機能を6つに分けて解説します。製品によって搭載範囲は異なるため、自社が優先したい機能から候補を絞る参考にしてください。
インベントリ自動収集(PC/モバイル/サーバー/ネットワーク機器)
各端末にインストールしたエージェント、あるいはネットワーク経由の探索で、機種名・OS・CPU・メモリ・IPアドレス・インストール済みソフトなどのハードウェア・ソフトウェア情報を自動収集します。Excel台帳を手入力で更新する必要がなくなり、常に最新の資産状況を把握できるようになります。
収集対象は製品によって異なります。オンプレサーバーやWindowsクライアントに強い製品、Mac・Linux・モバイル端末まで幅広く対応する製品、ネットワーク機器やIoT機器まで検出する製品があります。管理対象の広がりが自社のIT環境と合っているかを確認します。
ライセンス管理・ソフトウェア資産管理(SAM)
ソフトウェアのインストール数と保有ライセンス数を突き合わせ、過剰契約や不足を検知します。ライセンスの購入日・契約期間・単価・使用ユーザーを台帳として持ち、更新時期のアラートや監査対応の資料を出力できる製品もあります。ライセンス違反が発覚したときの追徴コストや法的リスクを避けるうえで、この機能は導入目的の中核になりやすい領域です。
ソフトウェア配布・パッチ管理
Windows Updateや業務アプリケーションのアップデートを対象端末に一斉配布する機能です。管理サーバーから配布計画を組み、拠点ごと・部門ごとに時間差で適用できます。脆弱性の未対応端末を一覧で把握し、期限を切って強制配布する運用が可能になり、セキュリティパッチの適用漏れを減らせます。
PC操作ログ・内部統制対応
ファイル操作・Webアクセス・印刷・USB接続などのPC操作を記録し、内部不正の追跡や監査ログとして保存します。情報漏洩の予防と、発生時の原因追跡の両方で活用されます。取得できるログの種類・保持期間・検索性は製品差が大きく、詳細ログが必要な業種(金融・医療・製造の設計部門など)ではこの機能の充実度が選定の決め手になります。
SaaSアカウント・利用状況管理
Google Workspace・Microsoft 365・Slackなどの主要SaaSと連携し、アカウントの棚卸し・利用状況の可視化・退職者のアカウント一括停止を行う機能です。部門ごとにバラバラに契約されたSaaSを一元的に把握でき、休眠アカウントの発見によるコスト最適化と、退職時のアカウント回収漏れ防止の両方に効きます。近年新たに登場した領域で、対応可否が製品によって大きく分かれます。
レポート・棚卸し支援
資産一覧・利用状況・アラートを定型レポートとして出力する機能です。棚卸し時にはバーコードやICタグでの現物確認と台帳の突合を支援するオプションを持つ製品もあり、月次・四半期の棚卸し工数を削減できます。監査対応や役員報告の資料作成に必要な出力形式(CSV・PDF・グラフ)が揃っているかも確認ポイントです。
IT資産管理ツールを導入するメリット
IT資産管理ツールを導入すると、Excel台帳の運用では実現しにくい効率化と統制が同時に得られます。稟議で説明する主な価値は次の4つに整理できます。
1. 棚卸し工数の削減:エージェントがハードウェア・ソフトウェア情報を定期的に収集するため、Excelの手入力による棚卸しが不要になります。公表されている導入事例では、Windows更新作業を年間約550時間削減した物流企業(PC約4,500台)や、ソフトウェア配布等の作業を500時間から12時間程度に短縮した自治体(PC約4,500台)があります。
台帳の鮮度が保たれるので、経営層から急に「保有PCは何台か」と聞かれてもその場で答えられるようになります。
2. ライセンス費用の最適化:契約ライセンス数と実際のインストール数を常時突合できるため、余剰ライセンスの整理や不足の解消を根拠を持って判断できます。SaaS管理機能を持つ製品では、部門ごとに契約された休眠アカウントを見つけ、月次・年次の削減額を明示できます。
3. セキュリティ・内部統制の強化:OSやアプリの脆弱性を放置している端末を一覧で把握し、パッチを一斉配布できます。USB外部記憶媒体の禁止、Webアクセスの制限、操作ログの記録により、内部不正の抑止と、監査で求められる証跡の提示ができます。
財務報告に係るIT統制(金融庁の内部統制基準および経済産業省のIT統制ガイダンス)の説明資料としても活用でき、経済産業省の「システム管理基準 追補版(財務報告に係るIT統制ガイダンス)」(令和6年12月25日)では、退職者のアクセス権が退職後即座に削除されていることをサンプル抽出で確認する運用例が示されています。
出典・参考資料(1件)
4. 退職者アカウント・端末の回収漏れ防止:入退社イベントに合わせて端末の割当変更、アカウントの停止、ライセンスの再割当を自動化できる製品も増えています。人事異動が多い企業ほど、退職者PCが放置される、ライセンスが遊休化する、といったリスクを構造的に減らせます。
IT資産管理ツールの3タイプ(機能範囲で分類)
ここからは、IT資産管理ツールを機能範囲で3タイプに分類し、それぞれの特徴と向いている企業を整理します。まず全体像を掴めるよう、本記事で紹介する21サービスがどのタイプに該当するかを一覧で示します。
| タイプ | 守備範囲 | 該当する主なサービス |
|---|---|---|
| 自動収集特化タイプ | PC・ソフトウェアの台帳自動化と資産のライフサイクル管理に絞り、シンプルな運用を目指す | Assetment Neo/デクセコ(dxeco)/Watchy |
| セキュリティ一体タイプ | 資産管理に加え、操作ログ・USB制御・パッチ配布・内部統制まで1製品で一元管理 | SKYSEA Client View/AssetView/LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版/SS1/MCore/QND/JP1 IT Desktop Management 2/ISM CloudOne/MaLionCloud/Eye”247″ Work Smart Cloud/PalletControl/Microsoft Intune/ManageEngine Endpoint Central/IIJセキュアエンドポイントサービス |
| SaaS管理拡張タイプ | PC資産に加え、SaaSライセンス・シャドーIT・退職者アカウントまで守備範囲を広げる | マネーフォワードAdmina/ジョーシス/OPTiM Biz Premium/Freshservice |
自動収集特化タイプ(PC・ソフトウェア資産の可視化と台帳自動化に絞る)
資産の可視化と台帳作成に機能を絞ったタイプです。USB制御やソフトウェア配布による統制を主目的にせず、「何がどこに何本あるか」を正確に把握することに徹しています。エージェントを配布しない設計や、他社のIT資産管理ツールが収集したデータを取り込んで台帳化する構成もあり、機能過多を避けて必要な範囲だけを揃えたい企業に向きます。
ただしこのタイプの中にも、SaaSアカウントの棚卸しやシャドーIT検知まで担う製品があります。SaaS管理を主目的にする場合は、後述のSaaS管理拡張タイプと合わせて比較してください。
物品管理・貸出返却・契約管理・棚卸しなど、資産のライフサイクルを追う機能に強みがあります。既存のセキュリティ製品と役割を分担し、資産台帳の役割を独立させたい企業に適しています。IT機器だけでなく什器や作業用端末など幅広い資産を扱いたいケースにも合います。
なお、PCやソフトウェアよりも什器・工具・貸出機材といった現物資産の棚卸しのほうが主な課題であれば、RFIDやバーコードで現物と台帳を突合する物品管理システムのほうが要件に合うことがあります。現物管理の仕組みから比較したい場合は、以下の記事が参考になります。
セキュリティ一体タイプ(操作ログ・USB制御・パッチ配布・内部統制まで一元管理)
資産管理に加え、操作ログ・USB制御・ソフトウェア配布・パッチ管理・情報漏洩対策までを1つの管理コンソールで扱えるタイプです。国内で長年利用されてきたオンプレミス製品と、クラウド提供の統合エンドポイント管理製品の双方が含まれ、本記事で紹介する21製品のうち14製品がこのタイプに該当します。
製品数が多いため、選定では「自社の運用体制と規模にどう合わせるか」で3つの絞り方に分けられます。
オンプレミス中心に大規模・多拠点へ展開する場合
自社サーバーで作り込む必要があり、数千〜数万台規模の配布に耐える構成が求められる大企業向けです。
このグループの製品は、エージェント配布の堅牢性と、多拠点・多部門を階層的に管理できる仕組みを備えています。
このグループは運用の中心が似通うため、絞り込みには次の観点が使えます。必要な機能を後から足していきたいならモジュール単位で追加購入できる製品、拠点をまたぐ配布のネットワーク負荷が課題ならP2P分散配信に対応した製品、既存の運用基盤(Windows Update・パッチ配布)との統合を優先するなら統合運用基盤系の製品、専任者を置かずに運用したいなら操作画面の学習コストが低い製品が候補になります。
どの製品がどれに当たるかは、後述の比較表と選定診断で確認できます。
SKYSEAは国内シェア上位で第三者評価が豊富な安全策としての選択肢です。
クラウド完結で少人数の情シスが運用する場合
管理サーバーの構築や保守が不要で、SaaSとして小さく始められるクラウド型です。少人数の情シスでも短期間に導入でき、中堅企業や拠点分散が少ないケースに合います。台数に応じた月額従量制が中心で、初期費用を抑えて始められます。
スマホ・Mac などマルチOSまで管理する/運用そのものを外部に任せる場合
Windows以外のOS(Mac・iOS・Android・Linux)まで幅広く対象にしたい場合や、社内に運用リソースが乏しくマネージド提供を選びたい場合の選択肢です。統合エンドポイント管理として複数OSを標準対応する製品と、通信事業者などが運用支援まで含めて提供する製品があります。
SaaS管理拡張タイプ(オンプレ資産に加え SaaS ライセンス・シャドー IT まで可視化)
PC資産管理を出発点としつつ、Google Workspace・Microsoft 365・Slackなど社内で使われているSaaSアカウントの棚卸し、シャドーITの検知、退職者アカウントの一括停止まで守備範囲を広げたタイプです。部門ごとにSaaSを個別契約している企業や、SaaS利用が急拡大している企業の課題に応えます。
従来のオンプレIT資産管理が主にセキュリティ・内部統制を目的にしていたのに対し、SaaS管理拡張タイプはコスト最適化と入退社対応の自動化に軸足を移しています。同じ「IT資産管理」でも、狙う成果と関与する部門(情シスに加え、人事・経理も関わる)が変わる点に注意が必要です。
IT資産管理ツールの選び方
ここからは、IT資産管理ツールを比較する際に必ず押さえたい7つの選定軸を解説します。ツールの機能一覧を眺めるだけでは自社に合うかを判断しにくいため、それぞれの軸を自社の状況に当てはめて絞り込む使い方を想定しています。
管理対象で選ぶ(PCのみ/PC+モバイル/SaaSまで)
まず「何を管理したいか」を明確にします。社内貸与のWindows PCだけで足りるのか、スマホ・タブレットまで含むのか、Google Workspace や Microsoft 365 などのSaaSアカウントも対象にするのかで、候補となる製品群が大きく変わります。PCのみで良ければオンプレの国産製品でも十分ですが、SaaSまで含めたい場合はSaaS管理拡張タイプに絞り込まれます。
Mac・Linuxを業務で使う場合は、対応OS一覧を必ず確認します。
機能範囲で選ぶ(3タイプのどれが自社に必要か)
資産の可視化だけで十分か、操作ログ・USB制御まで統制したいか、SaaSライセンス管理まで広げたいかによって、前述の3タイプのどれに絞るかが決まります。自社で情報セキュリティのポリシーをどこまで内製化しているか、既存のセキュリティ製品と役割が重ならないかを判断材料にします。既にEDRやDLPを導入済みの企業では、資産管理側は自動収集特化タイプに絞る選択も現実的です。
反対にEDRをまだ導入していない場合は、資産管理ツールのセキュリティ機能でどこまで賄い、脅威検知の仕組みをどの層から整備するかを併せて考えることになります。エンドポイントとネットワークのどちらから手を付けるかの判断材料は、以下の記事で整理しています。
導入形態(クラウド/オンプレミス)で選ぶ
提供形態はコスト構造・カスタマイズ性・セキュリティ要件で選び分けます。オンプレミスは初期投資が大きい代わりに保守費用が読みやすく、社内ポリシーで管理サーバーを外部に置けない場合の唯一の選択肢になります。クラウドは初期コストが抑えられ、少人数の情シスでも短期間に運用開始できますが、月額課金の総額が長期で見るとオンプレを上回るケースもあります。次の表で主な違いを整理します。
| 比較項目 | クラウド型(SaaS) | オンプレミス型 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 低〜無料 | 台数に連動(100台構成で50万円台の製品から、1,000台規模では数百万円台) |
| 月額費用 | 1端末(1ID)あたり月額300〜1,100円程度の従量制 | 年間保守(買切額の15〜20%目安) |
| 導入期間 | 数日〜数週間 | 数ヶ月〜 |
| カスタマイズ性 | 制限あり(提供機能の範囲内) | 柔軟(自社要件に合わせて構築) |
| データ保管場所 | クラウドベンダー側 | 自社サーバー |
| アップデート | 自動 | 手動(計画停止が必要) |
| 向いている企業 | 中堅・中小、少人数運用、拠点分散が少ない | 大企業、多拠点、ポリシー上外部保管不可、詳細ログ要件 |
エージェント方式で選ぶ(エージェント/エージェントレス/併用)
資産情報の収集方式は、大きく分けてエージェント型・エージェントレス型・両者の併用の3つがあります。情シスの実運用でカバレッジと保守負担を左右する重要な判断軸ですが、選び方の解説記事ではあまり踏み込まれない領域です。ここでは3方式の特徴と、それぞれが向く場面を整理します。
エージェント方式の特徴と向く場面
管理対象の各端末に常駐プログラムをインストールする方式です。ハードウェア情報・インストール済みソフト・操作ログ・USB接続履歴といった詳細な情報をリアルタイムに収集でき、社外に持ち出されたPCも継続して管理できます。国内オンプレ製品の多くがこの方式で、詳細ログや厳格な内部統制を求める業種(金融・医療・製造の設計部門)で選ばれます。
デメリットは、エージェントの初期配布・バージョン更新・不具合対応が情シス側の運用負担になる点です。数千台規模ではキッティングや配布のオペレーションが軽視できない工数になります。
エージェントレス方式の特徴と向く場面
Active Directory・ネットワーク探索・SaaSのAPI連携などを通じて資産情報を収集する方式で、端末側にプログラムを入れる必要がありません。導入・撤退が短時間で済み、社内ネットワークに接続する端末やクラウドサーバー、IoT機器のように「エージェントを載せられない対象」までカバーできます。SaaS管理拡張タイプの製品や、資産の棚卸しに絞った製品でよく採用されます。
ただしオフラインで社外に持ち出されたPCの情報は取得できず、操作ログのような詳細な行動情報も取れません。詳細ログの要件が薄く、SaaSやサーバーを含めた広い範囲を薄く見たいケースに合います。
併用(ハイブリッド)で運用する場合の判断基準
社内貸与のPCにはエージェントを入れて詳細ログを取り、SaaSアカウントやサーバーはエージェントレスで管理する組み合わせです。両方の強みを取れる一方、収集データの統合設計や重複排除が必要になるため、情シスの運用リソースが一定以上ある企業向けです。
単一の管理画面で複数の収集方式をまとめられる統合エンドポイント管理型の製品が、この構成に適しています。
課金モデルと予算で選ぶ(端末課金/サーバー包括/SaaS従量)
IT資産管理ツールの課金モデルは製品ごとに大きく異なり、単純に月額表示を比較しても妥当な判断ができません。端末台数で課金する製品、サーバー1台に対して包括的に課金する製品、監視対象SaaS数やユーザー数で従量課金する製品があります。判断の目安は次のとおりです。
台数が今後増える見込みなら、端末課金は5年で総額が大きく効いてきます。台数がほぼ読める企業や、多拠点で数千台規模になる場合は、初期投資は重くてもサーバー包括のオンプレ買い切りが有利になりやすくなります。従業員数の増減連動で管理範囲を広げたい(人事異動・入退社対応を含む)なら、SaaS従量型がフィットします。
詳しいレンジと具体的な年間費用の計算例は本記事後半の「IT資産管理ツールの料金相場」を参照してください。
既存システム連携で選ぶ(ITSM・MDM・IdP・EDRとの連携)
すでに導入済みのシステムとの連携範囲を確認します。
ITSM(ServiceNow・Jira Service Management)とCMDBを共有できるか、MDM(Microsoft Intune・OPTiM Biz)と資産情報を突合できるか、IdP(Azure AD・Okta)から従業員情報を受け取れるか、EDR(CrowdStrike・SentinelOne)の端末情報と連携できるかが典型です。
連携がAPI/CSV連係/画面連携のどのレベルかで、運用時の手作業量が変わります。
このうちIdPは、従業員情報の受け渡しと退職時のアカウント停止を自動化する土台になる部分です。IdP(IDaaS)自体をこれから選ぶ段階であれば、以下の記事で主要サービスの機能・料金・導入事例を比較できます。
IDaaSとは?おすすめ6選を徹底比較|メリットや選び方・導入事例も紹介
「IDaaSを比較したい」「IDaaSとは何?どのサービスがおすすめ?」 IDaaSとは、ID管理と認証をクラウド上で統合できる仕組みで、複数のクラウドサービスをまとめて管理したい企業に広がっています。 クラウドサービスの利用が増えた近年で…
企業規模別の推奨タイプ(100名未満/100〜1,000名/1,000名超)
同じタイプでも、企業規模によって運用体制・エージェント配布方式・ライセンス管理の粒度が大きく変わります。自社の規模から絞り込むための目安を次の表に整理しました。
| 企業規模 | 推奨タイプ | 選定の勘所 |
|---|---|---|
| 100名未満 | 自動収集特化タイプ/SaaS管理拡張タイプ(クラウド型) | 情シス人員が兼務のケースが多く、初期構築・運用の負担が軽いクラウド型が現実的。SaaS利用が主ならSaaS管理拡張タイプで台帳とライセンス管理を一体化 |
| 100〜1,000名 | セキュリティ一体タイプ(クラウド/オンプレ)/SaaS管理拡張タイプ | 棚卸し・ライセンス管理・セキュリティ統制の需要が全体的に上がる帯。上場準備や監査対応があれば操作ログの取得が必要になるためセキュリティ一体タイプが有力 |
| 1,000名超 | セキュリティ一体タイプ(オンプレミス中心) | 多拠点・多部門を階層管理でき、エージェント配布の堅牢性が高い国内オンプレ製品が中心。マルチOSや外部委託の要件がある場合はマネージド提供や統合エンドポイント管理製品を追加検討 |
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【比較表】IT資産管理ツールをタイプ別に比較
ここでは、21サービスを機能範囲の3タイプに分けて横並びで比較します。サービス名をクリックすると、記事後半の個別紹介にジャンプします。
自動収集特化タイプの比較表
| サービス名 | Assetment Neo | デクセコ(dxeco) | Watchy(ウォッチー) |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド |
| 管理対象 | PC・モバイル (什器・備品も対象) | PC・モバイル・SaaS | PC |
| 収集方式 | エージェントレス (外部ツール連携で取込) | エージェントレス (API連携・ブラウザ拡張) | エージェント |
| 課金モデル | SaaS従量 (管理資産数で変動) | 要お問い合わせ | 端末課金 (1台1機能単位) |
| SaaS管理対応 | △(クラウド契約の台帳管理) | ● | × |
| 操作ログ・USB制御 | × | × | △(ログ監視が中心) |
| 料金 | 月額47,000円〜442,000円 (Standard、初期費用は要お問い合わせ) | 要お問い合わせ | 基本料+1台1機能50〜100円 (初期費用は月額の6ヶ月分) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報に基づく。公式に金額が公開されていない項目は「要お問い合わせ」と記載
セキュリティ一体タイプの比較表
| サービス名 | SKYSEA Client View | AssetView | LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版 | SS1 | MCore | QND | JP1/IT Desktop Management 2 | ISM CloudOne | MaLionCloud | Eye"247" Work Smart Cloud | PalletControl | Microsoft Intune | ManageEngine Endpoint Central | IIJセキュアエンドポイントサービス |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド・オンプレ両対応 | クラウド・オンプレ両対応 | オンプレミス | クラウド・オンプレ両対応 | オンプレミス | オンプレミス (Premiumはハイブリッド) | クラウド・オンプレ両対応 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド・オンプレ両対応 | クラウド | クラウド・オンプレ両対応 | クラウド・オンプレ両対応 |
| 管理対象 | PC・モバイル (MDMはオプション) | PC・SaaS (SaaS管理はCloud+) | PC(Windows・Mac) | PC・サーバー (Mac管理はオプション) | PC・モバイル (Mac・スマートデバイス対応) | PC・モバイル (スマホはISM CloudOne連携) | PC・サーバー・モバイル | PC・モバイル | PC・モバイル (MDMはオプション) | PC(Windows・Mac) | PC・モバイル | PC・モバイル (マルチOS対応) | PC・サーバー・モバイル (マルチOS対応) | PC・モバイル (モバイルはクラウド版) |
| 収集方式 | エージェント | エージェント | エージェント | エージェント | エージェント | エージェント | 併用 (モバイルはIntune連携) | エージェント | エージェント (オフライン端末はUSB経由) | エージェント | エージェント | エージェント (MDM/MAMのデバイス登録) | エージェント | エージェント |
| 課金モデル | サーバー包括+端末課金 | 端末課金 (モジュール別) | 端末課金 (機能・台数のカスタマイズ制) | 端末課金 (オンプレは買い切り+保守15%) | サーバー包括+端末課金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 端末課金 | 端末課金 (1ライセンス単位) | 端末課金 (台数の階段制) | 端末課金 (買い切り・サブスクから選択) | SaaS従量 (ユーザー単位) | 端末課金 (エンドポイント数の段階制・年間) | 端末課金 (品目・台数で個別見積) |
| SaaS管理対応 | × | ●(Cloud+のSaaS管理プラン) | × | △(Microsoft 365管理はオプション) | × | × | × | × | × | × | × | × | × | × |
| 操作ログ・USB制御 | ● | ●(モジュール選択制) | ●(デバイス制御はオプション) | ●(オプション) | ● | ●(Premiumは標準、Standardはオプション) | ● | ●(ログ・メディア制御はオプション) | ● | ● | ● | △(ポリシー制御。PC操作ログは非搭載) | △(デバイス制御はSecurity Edition) | ● |
| 料金 | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 端末1台9,800円〜(税別) (統合パッケージ「パック1000」) | 1ライセンス5,500円〜 (100台構成で55万円が目安) | 300台で初年度230万円〜 (2年目以降70万円/年〜) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ (公式は価格表PDFを配布) | 月額900円/ライセンス〜 (100ライセンス想定、初期費用0円) | 月額400〜1,100円/台(税別) (初期費用無料) | 要お問い合わせ | Plan 2アドオン 599円/ユーザー・月 (Plan 1はMicrosoft 365バンドル) | 50台で年21.8万円〜 (Enterprise Edition、保守込み) | 要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報に基づく。公式に金額が公開されていない項目は「要お問い合わせ」と記載
SaaS管理拡張タイプの比較表
| サービス名 | マネーフォワードAdmina | ジョーシス(Josys) | OPTiM Biz Premium | Freshservice |
|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド |
| 管理対象 | PC・モバイル・SaaS | PC・モバイル・SaaS | PC・モバイル・SaaS | PC・サーバー・SaaS |
| 収集方式 | エージェントレス (MDM・API連携) | エージェントレス (MDM・API連携) | エージェント (MDMのデバイス登録) | エージェントレス (継続的な自動検出) |
| 課金モデル | SaaS従量 (ID課金) | 要お問い合わせ | SaaS従量 (ID課金) | SaaS従量 (管理者エージェント単位) |
| SaaS管理対応 | ● | ● | ● | ●(ソフトウェアライセンス管理) |
| 操作ログ・USB制御 | × | × | △(MDMのセキュリティ設定) | × |
| 料金 | 50IDまで無料 (51ID以上は月額300円/ID・税別) | 要お問い合わせ (ヘルプデスク代行は10万円から) | 月額980円/ID(税別) | 19〜99ドル/エージェント・月 (年間契約、日本円は代理店見積) |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※2026年8月時点の各社公式サイトの公表情報に基づく。公式に金額が公開されていない項目は「要お問い合わせ」と記載
IT資産管理ツールおすすめ21選(サービス個別紹介)
ここからは、比較表で扱った21サービスの特徴・料金・向いている企業を1サービスずつ紹介します。3タイプ別のグルーピングで解説し、各サービスの末尾にはサービス固有の資料請求・ミーティング予約・公式サイトへの動線を配置しています。
自動収集特化タイプのおすすめ3選
1. Assetment Neo(株式会社アセットメント)

株式会社アセットメントが提供するクラウド型の資産管理システムで、PC・スマートフォンから什器備品・ソフトウェアライセンスまで、対象を限定せずに台帳管理と現物管理の双方を担う設計です。累計導入は「800社80万人」を突破しています(同社2026年5月1日付プレスリリース)。
PCの構成情報を自身のエージェントで自動収集する仕組みは持たず、AssetView・LANSCOPE Cat・Microsoft Intune など外部のIT資産管理ツールが収集した情報を「IT資産連携」機能で取り込む構成です。既にセキュリティ製品を導入済みで、資産台帳の役割を独立させて棚卸し・貸出返却・保守/ライセンス管理に注力したい企業に合います。
2026年5月に業務別3シリーズ(for 情シス/for 経理/for 貸出)へ再編され、部門ごとの運用フローに合わせて機能セットを選べます。棚卸しはバーコード・QRコード・RFID・紙リストに対応。料金はStandardエディションで月額47,000円〜442,000円(管理対象資産数とオプションで変動)、Enterpriseは個別見積、初期費用は要お問い合わせです。
2. デクセコ(dxeco)(株式会社オロ)

東証プライム上場の株式会社オロ(証券コード3983)が提供するSaaS管理・IT資産管理ツールです。クラウドERP「ZAC」やクラウドPSA「Reforma PSA」を展開する同社のクラウドソリューション事業の一つで、PC・スマートフォンなどのITデバイスとSaaSアカウントを利用者に紐付けて一元管理します。
IT資産管理とSaaS管理を1つのプラットフォームで扱えるため、台帳を分散させずに済むのが構成上の特徴です。ブラウザ拡張機能・アンケート機能によるシャドーIT検知、2,000以上の対応SaaSデータベース、API連携による退職者アカウントの自動検知など、SaaS利用が広がった企業の棚卸し・アカウント回収の課題に応えます。
2025年9月にはHENNGE OneとのAPI連携(アカウント連携・メンバーマスタ連携・デバイス証明書確認)が発表され、退職時のアカウント削除・証明書失効処理までを支援する構成に広がりました。料金は公式サイトに公表がなく、初期費用・月額とも問い合わせベースの個別見積です。IT資産とSaaSを1本の台帳に統合したい企業の検討候補になります。
3. Watchy(ウォッチー)(株式会社スタメン)

1機能・1台単位で選んで契約できる従量課金モデルを採用した、クラウド型のIT資産管理・操作ログ管理ツールです。組織エンゲージメントSaaS「TUNAG」も展開する東証グロース上場の株式会社スタメン(証券コード4019)が、2023年2月から提供しています。
ハードウェア資産管理・ソフトウェア資産管理(SAM)、フォルダ操作・USBデバイス利用・Webブラウザ閲覧の操作ログ、アラート通知、リモートコントロール、勤務時間管理などを、必要な機能だけ組み合わせる設計です。月額は基本料+1台1機能あたり50〜100円が目安で、10台×2機能なら月額8,000円(税抜)から始められ、初期費用は月額利用料の6ヶ月分がかかります。
パッケージ販売ではなく小規模から積み上げる価格構造のため、情シス専任者を置きにくい中小企業を主なターゲットに据えています。台数制限なく全機能を試せる7日間の無料トライアルが用意されており、費用感と操作性を先に確認してから本契約に進む流れが取れます。
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4. SKYSEA Client View(Sky株式会社)

1990年代から続く国内オンプレ型IT資産管理・情報漏洩対策ソフトとして長年利用されている製品で、Sky株式会社が開発・提供しています。PC・ネットワーク機器の資産管理、操作ログ、USBデバイスの個体識別による使用制限、ソフトウェアライセンス管理、リモート操作、モバイル機器管理(MDM)を1つの管理コンソールで扱えます。
富士キメラ総研「2024 ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」で2023年度の端末管理・セキュリティツール市場のベンダーシェア1位を獲得し、累計26,156社・13,426,549台の導入実績を持ちます(オンプレミス版とクラウド版の合計、2026年7月31日時点)。政府情報システムのセキュリティ評価制度ISMAPへの登録もあり、官公庁・自治体での採用が多い点も特徴です。
オンプレミス版は最大50,000台まで対応する複数のエディションを揃え、サーバー構築が不要なCloud Edition(Microsoft Azure上、ISO/IEC 27017認証取得)も並行提供されています。2026年時点の最新Ver.21では、蓄積ログを分析する「AI働き方分析」など、AIを活用した機能が追加されています。
富士キメラ総研調査で国内シェア1位(2023年度)の実績があり、監査対応や情シスの説明責任が重い上場企業・準備企業の候補になります。
5. AssetView(株式会社ハンモック)

必要な機能だけを「モジュール」の単位で組み合わせて導入できる、株式会社ハンモックの統合型IT運用管理ツールです。IT資産管理・PC操作ログ・デバイス制御・ファイル暗号化・PC更新管理など11のモジュールから、自社で必要なものだけを選んで契約する構成で、全部入りパッケージを強制されない設計になっています。
オンプレミス版と2018年提供開始のCLOUD版に加え、2022年10月に発表された「AssetView Cloud+」は「ヒト」を軸に人事情報と連携し、従業員・デバイス・SaaSを一元管理する構成へと守備範囲を広げています。情報漏洩対策/PC更新管理/IT資産管理/SaaS管理の4プランから必要なものを選び、各プラン最低50台から契約できます。
2026年3月のバージョンアップでは、ChatGPT等への送信ログ取得による生成AI利用の可視化、無線LAN環境下の不正端末検知・遮断、BitLocker To Go情報取得といった機能が追加されました。ITreview Grid Awardは8年連続で受賞しています(ITreview Grid Award 2026 Summer時点)。
モジュール制のため必要な機能だけ選んで導入したい情シスや、資産管理と操作ログ・USB制御を段階的に足していきたい中堅〜大企業に向いています。
6. LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版(エムオーテックス株式会社)

1996年発売の「LanScope Cat」を起源に持つ統合型エンドポイント管理ツールで、エムオーテックス株式会社(MOTEX)が提供しています。IT資産管理・内部不正対策(操作ログ・Webアクセス管理・デバイス制御)・外部脅威対策(マルウェア対策・脆弱性対策)を1つの管理コンソールで運用できる点が特徴です。
2016年に外部脅威対策機能を追加して「統合型エンドポイントマネジメント」へ守備範囲を広げた経緯があり、2022年4月に親会社KCCSのセキュリティ事業を統合したことを契機に、同年10月1日付で旧「LanScope Cat」から「LANSCOPE」ブランドへ製品名を統一しました。
導入実績は国内20,000社以上と公表されていますが、これはLANSCOPEシリーズ全体(オンプレミス版・クラウド版の合算値)であり、オンプレミス版単体の数値ではない点に注意が必要です。
料金は必要な機能・台数に応じたカスタマイズ制で、IT資産管理・操作ログ管理・Webアクセス管理・デバイス制御を統合したパッケージ「パック1000」を顧客の80%が選択しています。統合パッケージの目安単価は端末1台あたり9,800円(税別)、機能単体購入時は資産管理・操作ログ取得それぞれ4,500円(税別)で、30日間の無料体験版も用意されています。
自社サーバーで細かく作り込みたい大規模拠点や、パック1000のような統合パッケージで運用工数を抑えたい情シスに向いています。
7. SS1(株式会社ディー・オー・エス)

Excel風の管理画面インターフェースを採用したIT資産管理・ログ管理ツールで、株式会社ディー・オー・エスが提供しています。PC・サーバーなどのハードウェア/ソフトウェア情報を自動収集して一元管理し、専門知識が乏しい担当者でも扱いやすい設計を訴求しています。
提供形態は買い切り型のオンプレミス版と、PC1台から導入可能なサブスク型「SS1クラウド」の2種類です。オンプレミス版は1ライセンス5,500円から、初回25ライセンス以上・保守は製品価格の15%(1年契約、複数年契約による割引あり)で、100台構成なら基本機能で55万円という目安が公式料金ページに示されています。
基本機能(機器管理・ソフトウェア管理・Windows Update配信等)に加え、操作ログ・USB制御・リモートコントロール・Active Directory連携などを必要に応じてオプションで追加できます。導入実績は2026年1月時点で5,100社を超え、大日本印刷34,210台・バンダイナムコホールディングス10,000台といった大規模導入事例が公式に紹介されています。
Excel風の操作性でオンプレを運用したい中規模企業や、専任者を置きにくく学習コストを抑えたい情シスに向いています。
8. MCore(住友電工情報システム株式会社)

住友電工情報システム株式会社(住友電工グループのシステムインテグレーター)が自社開発する統合型IT資産管理・セキュリティ管理ツールで、IT資産管理・パッチ管理・USB制御・操作ログ・ネットワーク検疫までを1つのシステムで扱います。開発元自身が属する住友電工グループの数万台規模の端末環境で運用されている実績が、製品設計に反映されている点が特徴です。
大規模運用に対応する仕様として、資産管理サーバは最大50,000台まで対応し、住友電気工業は全世界約40,000台のエンドポイントをMCoreで一元管理しています。三菱マテリアル約14,000台、SBS東芝ロジスティクス約4,500台での運用も公表されており、SBS東芝ロジスティクスの事例ではWindows更新作業で年間約550時間の工数削減を実現しています。
料金は300台規模で初年度230万円〜・2年目以降70万円/年〜、1,000台規模で初年度740万円〜・2年目以降155万円/年〜が公式サイトの目安価格です(正式な見積もりは個別問い合わせ)。IT資産管理基本ライセンスとエージェント追加ライセンスの組み合わせで、台数増加時はサーバ再構築不要でライセンス変更と設定調整のみで対応できます。
P2P分散配信でネットワーク負荷を抑えたい多拠点企業、10,000台超の配布運用が必要な大企業に向いています。
9. QND(クオリティソフト株式会社)

1998年2月に「QND Plus」として発売され、四半世紀にわたって開発が続けられているIT資産管理ツールで、クオリティソフト株式会社が提供しています。PC・スマートデバイスを含むIT資産情報の「管理」「制御」「可視化」をワンストップで扱う構成です。
現行ラインナップはオンプレミス型の「QND Standard」と、ハイブリッドクラウド型の「QND Premium」の2エディションです(旧上位版「QND Advance」は2021年12月末で販売終了し、Premiumへの切り替え案内が行われています)。
Premiumは Standardの全機能に加え、クイックリモコン・インターネットリモコン・Web閲覧コンソール・操作ログ標準搭載・外部メディア制御・URLフィルタリング等を利用できます。
WSUS連携によるWindows Update管理では、Windows 10の品質更新プログラム(QU)と機能更新プログラム(FU)の可視化・制御まで対応します。中小企業向けセキュリティアワード2015 IT資産管理の部で総合満足度No.1を獲得しています。料金は非公開で、公式製品ページから無料トライアルの申込導線が用意されています。
オンプレで長く安定運用されてきた製品を選びたい中堅〜大企業や、Windows Update管理を確実に回したい情シスに向いています。
10. JP1/IT Desktop Management 2(株式会社日立ソリューションズ)

株式会社日立製作所が開発し、株式会社日立ソリューションズが販売する統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」シリーズの中で、エンドポイント管理・IT資産管理領域を担う製品です。PC・サーバー・仮想デスクトップ・シンクライアント・スマートデバイスの資産情報を自動収集し、ソフトウェア配布・セキュリティリスク対応までを扱います。
オンプレミスの「JP1/IT Desktop Management 2 – Manager」に加え、マネージャー環境の構築・保守が不要なSaaS型「JP1 Cloud Service」でも同等機能を利用できます。Microsoft Intuneと連携してスマートデバイスの情報をPC・サーバーと統合管理する構成も取れます。
JP1/Integrated Management 2など監視・自動化を担う他のJP1製品と組み合わせ、大規模組織の統合運用管理基盤の一部として使えるのが強みです。1,000台以下の管理を想定した廉価版「JP1/ITDM2 – Operations Director」も別ラインで用意されています。
料金は非公開で、日立ソリューションズおよび販売代理店(アシスト・大塚商会・NTT東日本など)経由の個別見積もりとなります。
以上の7製品は、いずれもオンプレミス配布を前提とした国内オンプレ主力の選択肢です。ここからは、管理サーバーの構築や保守を省き、少人数の情シスでも短期間に立ち上げられるクラウド型4製品を紹介します。
11. ISM CloudOne(クオリティソフト株式会社)

クオリティソフト株式会社がオンプレミス型「QND」の姉妹製品として提供する、クラウド型のIT資産管理・エンドポイントセキュリティ管理ツールです。管理サーバーの自社構築を避けたい企業向けの選択肢という位置づけで、公式サイトには「15年以上の運用実績」と記載されています。
対応するのはPC(Windows/Mac)とスマートデバイス(iOS/Android)で、社内・テレワーク・海外拠点の端末をインターネット経由で一元管理できます。
自動脆弱性診断・禁止ソフトウェアの起動制御・外部デバイス制御・操作ログ収集・URLフィルタリング・ふるまい検知といったセキュリティ機能から、ハードウェア/ソフトウェア資産管理、Windows Update管理支援、BitLocker管理、MDMまでを単一の管理コンソールで扱います。
料金は公式サイトが価格表PDFのダウンロード配布に統一しており、大塚商会・ライセンスオンラインなど代理店の参考情報では1OS 450円/月(5〜99ライセンス時、税別)などの表記が確認できます。正式な単価は要問い合わせで、30日間の無料トライアルも用意されています。
12. MaLionCloud(株式会社インターコム)

初期費用0円・最小5ライセンスからスモールスタートできる、株式会社インターコム(1982年設立)のクラウド型統合運用管理ツールです。PC(Windows/Mac)とスマートフォン・タブレットを一元管理でき、同社は買い切り型のオンプレミス「MaLion 7」も並行提供しています。
情報漏洩対策23機能・IT資産管理13機能・労務管理支援4機能・運用管理支援12機能の計50超を標準搭載し、勤怠管理システム11種(KING OF TIME・ジョブカン勤怠など)との連携や、所定終業時刻後の強制シャットダウンも扱えます。
2025年2月提供のVer.7.2では、社員端末側の操作なしでリモート接続を開始できる「RemoteOperator Helpdesk」のエンジンが標準搭載されました。
料金は100ライセンス想定で月額900円/ライセンス(保守サポート費用込み)、フィルタリング機能は月額250円/ライセンス、BizMobile Go!連携によるMDMは月額300円/ライセンスなどをオプションで追加できます。最大30日間・5クライアントまでの無料トライアルも用意されており、契約規模は5〜10,000クライアントまで対応します。
オンプレ版のMaLion 7からクラウドへ移行したい既存ユーザーや、5ライセンスから小さく試したい中堅企業に向いています。
13. Eye”247″ Work Smart Cloud(株式会社フーバーブレイン)

PCの操作ログから「誰が・いつ・どこで・どれだけ・何を操作したか」を記録・可視化することに軸足を置いた、株式会社フーバーブレインのクラウド型サービスです。内部不正による情報漏洩対策、PCログに基づく客観的な労働時間の把握、テレワーク・オフショア管理、IT資産管理を主用途として訴求しています。
IT資産管理では43項目のクライアント情報を自動収集し、インストール済みソフトウェア・Officeバージョン・ソフトウェアライセンス数の一元管理まで扱います。加えてPC操作時間と勤怠打刻時間の乖離をチェックする機能を持ち、隠れ残業の把握など労務管理の視点からも活用できる設計です。
料金は初期費用無料・月額従量制で、5〜9台1,100円/台、10〜49台800円/台、50〜99台500円/台、100台以上400円/台(いずれも税別)です。ログ管理単体からセキュリティ全般まで拡張したい場合には、エンドポイントセキュリティ・駆けつけ対応・サイバー保険をまとめた「セキュリティワイドパック」も選べます。導入実績は3,000社以上(2025年9月30日時点)と公表されています。
台数に応じた単価下がりの構造が明確で、100台以上に育つ見込みのある中堅企業に向いています。
14. PalletControl(JALデジタル株式会社)

1995年のJALオフィス移転で約4,000台のPCを48時間で展開する必要から社内開発され、1996年に外部への一般販売を開始した経緯を持つIT資産管理ソフトウェアです。提供元は2025年4月に株式会社JALインフォテックから社名変更した、JALデジタル株式会社。JALグループ自身の大規模PC運用ノウハウが、製品設計の起点にある点が特徴です。
「資産管理」「配布管理」「セキュリティ」「ユーザーサポート」の4機能を標準搭載し、標準モデル(オンプレミス・ライセンス購入型)・サブスクリプションモデル・PalletControlクラウドモデルの3形態から選べます。
いずれのモデルでも搭載機能に差はなく、配布タイミングを電源ON時・ログオン時・シャットダウン時・指定時刻・Wake on LANから選ぶ運用の柔軟性、P2P配信・BITS配信・サーバー間帯域制御によるネットワーク負荷対策までを標準機能として持ちます。
導入事例では山梨県(PC約4,500台)でソフトウェア配布等の作業を500時間から12時間程度に短縮、住友信託銀行(PC約7,000台)でバッチ展開を平均数十秒で自動処理、シグマクシス・グループ(PC約1,000台、PalletControlクラウド)で年間50本以上のソフトウェア配布工数を半減、といった数値効果が公表されています。料金は非公開で、クラウド版は30日間の無料体験を用意しています。
数千〜1万台規模で配布運用を回したい大企業や、公共部門の実績が求められる自治体・大手金融に向いています。
ここまでの11製品はいずれも国内ベンダーによる製品を中心に紹介してきました。最後に、Windows以外のOS(Mac・iOS・Android・Linuxなど)まで幅広くカバーする、あるいは運用そのものを外部の事業者に任せられる、性格の異なる3製品を紹介します。
15. Microsoft Intune(日本マイクロソフト株式会社)

Windows・macOS・iOS/iPadOS・Android・Linux・tvOS・visionOSを単一の管理コンソールで扱えるマルチOS対応のクラウドベース統合エンドポイント管理(UEM)サービスで、Microsoft Corporationが開発し日本マイクロソフト株式会社が国内窓口を務めます。
オンプレミスインフラを持たずに完全クラウドで実行される点が国内オンプレ主力の各製品との大きな違いです。
モバイルデバイス管理(MDM)とモバイルアプリケーション管理(MAM)の両方式に対応し、会社支給デバイスとBYODを同じ基盤で管理できます。
Microsoft Entra ID(旧Azure AD)と連携した条件付きアクセス、Windows Autopilotによる新規PCのゼロタッチ展開、Microsoft Security Copilotを基盤とする「Intune の Copilot」によるポリシー要約・競合検出などが標準機能として組み込まれています。
料金はサブスクリプション課金で、Intune Plan 1はMicrosoft 365 E3/E5などのバンドル経由で提供されるのが基本です。Intune Plan 2アドオンは599円/ユーザー/月、Microsoft 365 E3(Teams込み)は5,847円/ユーザー/月が公式料金ページの掲載価格です。
ただし主機能はデバイス・アプリ・アクセスの管理と保護で、資産の減価償却・契約管理・ライセンス費用管理といった狭義のITAM機能は標準搭載ではないため、専業ITAMツールとの機能分担を意識して選定する必要があります。
16. ManageEngine Endpoint Central(ゾーホージャパン株式会社)

Zoho Corporationグループの日本法人ゾーホージャパン株式会社が販売する統合エンドポイント管理(UEM)ソフトウェアで、旧称は「Desktop Central」(2023年3月にリブランディング)。Windows/Mac/Linux/iOS/Android/ChromeOSといった幅広いOSを1つのコンソールで扱えるマルチOS対応が特徴です。
主な機能はインベントリ管理・パッチ管理・ソフトウェア配布・リモートコントロール・モバイルデバイス管理の5つで、パッチ管理はWindows/Macに加え1,100種類以上のサードパーティ製品(Adobe Reader・Firefox・Chrome・MS Office for Mac・Zoom等)の自動適用にも対応します。
2023年のリブランディングでMDMがオプションから標準機能へ統合され、追加費用なしで利用できるようになりました。
料金は年間ライセンス制で、オンプレミス版の50エンドポイント構成でEnterprise Editionが21.8万円〜、UEM Editionが33.2万円〜、Security Editionが38.8万円〜(保守サポート込み)です。
導入事例ではアイペット損害保険株式会社がマルチOS/アプリのパッチ管理工数を80%削減、株式会社カカクコムが2,000台のPC管理で3年20人月の工数削減を見込むなどの実績が公表されています。
17. IIJセキュアエンドポイントサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

複数の「品目(メニュー)」を選択・組み合わせて契約するクラウド型統合エンドポイントセキュリティサービスで、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が2018年10月から提供しています。外部からのマルウェア等の脅威防御と、内部からの情報漏えいの抑止・可視化を目的とし、IT資産管理はそのうちの1メニューという位置づけです。
IT資産管理メニューはエムオーテックス社の「LANSCOPE エンドポイントマネージャー」をベースにしたOEM提供で、PC中心のオンプレミス版と、PCとスマートデバイス(iOS/Android)を同一コンソールで扱える「IT資産管理モバイル」(クラウド版、中継サーバ構築不要)から選べます。中小企業向けには管理端末500台以下向けの廉価版「IT資産管理/CE」も用意されています。
通信キャリアとしてのIIJの強みは、セキュリティ監視サービス「IIJ C-SOCサービス」と連携すれば、エンドポイントのインシデント検知から調査まで外部に一括委託できる構成が取れる点にあります。
料金は品目・端末台数に応じた個別見積もりで、過去のプレスリリース時点ではIT資産管理/CEが50アカウントで月額41,000円(税抜)〜、IT資産管理モバイルが500アカウント・ベーシックプランで初期45,000円・月額229,000円(税抜)〜という参考価格が示されています。
SaaS管理拡張タイプのおすすめ4選
18. マネーフォワードAdmina(マネーフォワードi株式会社)

マネーフォワードi株式会社(株式会社マネーフォワードの100%子会社)が提供する、SaaSアカウントとPC・モバイル端末を従業員情報を軸に一元管理するIT資産管理ツールです。旧称「マネーフォワード IT管理クラウド」として2021年に提供が始まり、2023年2月に現行名へ改称。SaaS管理を出発点にデバイス管理機能を段階的に拡張してきた経緯を持ちます。
連携可能なSaaS数は2025年2月時点で300件を突破し、Google Workspace・Microsoft 365・Slack・SmartHRなどとの従業員マスタ連携に対応します。入社時のアカウント発行から退職時の削除までをID単位で追跡し、シャドーIT検知や退職済みSlackアカウント残存のアラートまで一連の管理下に置ける点が特徴です。
50IDまでは全機能を永年無料で利用でき、51ID以上は1IDあたり月額300円(税別)の従量制という料金設計で、小規模からのスモールスタートに向きます。SaaS/IaaSのコスト最適化を代行するVendorプラン、デバイス管理業務を委託するDevice倉庫プラン、情シス業務を外部化するDigital Workforceなど、BPO型の有償支援メニューも用意されています。
19. ジョーシス(Josys)(ジョーシス株式会社)

ラクスル株式会社の社内プロジェクトとして2021年に立ち上がり、2022年2月に分社化・法人化されたジョーシス株式会社が運営する、ITデバイスとSaaSアカウントの統合管理クラウドです。従業員情報にひも付けてPC・モバイル・SaaSを一元管理し、棚卸・入退社対応の自動化からキッティング・ヘルプデスクの外部委託までを1つのプラットフォームでカバーします。
Intune・Jamf・NinjaOne・Lanscopeなど既存MDMやスプレッドシートからの自動同期に対応するデバイス管理と、部署別のシャドーIT可視化を含むSaaS管理に加え、独自の「AI連携ビルダー」(特許出願中、2026年4月一般提供開始)により未対応SaaSでも画面操作で連携を自動構築できます。
ISO/IEC 27001を2023年11月に、SOC 2 Type 2報告書を2024年5月に取得しています。
日本向けの月額プランは公式サイト上では非公開で、資料請求または営業への問い合わせベースの見積もりが前提となります。キッティングやヘルプデスクの代行はチケット制で10万円から利用可能で、PC購入・保管・廃棄・台帳更新の代行まで含めた運用委託を選択できます。情シス数名で数百〜数千名のSaaS運用を回したい成長企業や、入退社対応を人事とワンストップで自動化したいスタートアップに向いています。
20. OPTiM Biz Premium(株式会社オプティム)

東証プライム上場の株式会社オプティムが2025年10月に提供開始した統合IT資産管理サービスです。MDM製品「OPTiM Biz(旧 Optimal Biz)」を中核に、SaaS管理・ID管理・物品管理・リモートサポート・AIチャットボットを1ライセンスへ統合したバンドル型として展開されています。
中核のOPTiM Bizは、デロイト トーマツ ミック経済研究所の調査で国内MDM市場シェアNo.1を15年連続で獲得しています(2025年10月時点。シェア実績はMDM単体製品のOPTiM Bizに対するもの)。
Biz Premiumはこの母体の上にSaaS・ID・物品・AIチャットボットまで管理範囲を広げた構成で、2026年1月には無通信端末・シャドーIT・退職者アカウント削除漏れを1画面で確認できる統合ダッシュボードが発表されました。
料金は月額980円/ID(税別)で、モバイル1端末・PC1端末・SaaS管理1ID・物品管理5物品分・ID管理1ID・遠隔支援2端末分・チャットボット2テーマ分のライセンスがひとつの契約に含まれます。初期費用や最低利用期間は公式ページに明記がなく、詳細は問い合わせベースでの確認になります。
モバイル管理(MDM)から統合的にPC・SaaS管理へ広げたい中堅〜大企業や、既存のOPTiM Bizユーザーに向いています。
21. Freshservice(Freshworks Inc.)

Freshworks Inc.(米国NASDAQ上場、本社カリフォルニア州サンマテオ)が開発するITIL準拠のクラウド型ITサービスマネジメント(ITSM)プラットフォームで、IT資産管理はその上に載る一機能群として提供されます。
サービスデスク(インシデント管理・変更管理)とCMDB・自動検出・ソフトウェアライセンス管理を同一基盤で連携させ、インシデント発生時に関連資産を即座に参照できる構成にあります。
オンプレミス・クラウド・ハイブリッド環境を継続的にスキャンする自動検出(Automated Discovery)と、全構成アイテムの単一の真実源となるCMDB、依存関係マッピング、IPアドレス管理、リソース使用率管理までを包含します。
2026年4月には継続的インフラ検出と依存関係マッピングをFreshserviceへ統合する機能拡張が発表され、公式サイトでは世界120か国・20,000社超への導入を発表しています。
エージェント(管理者)単位の年間契約課金で、Starter 19ドル/月、Growth 49ドル/月、Pro 99ドル/月、Enterpriseは個別見積もりです。
日本市場ではFreshworks本体の日本法人登記が確認できず、総代理店OrangeOne株式会社およびダイワボウ情報システム株式会社を介した販売・サポート体制となるため、日本円建ての見積もりや国内サポート窓口は代理店経由で確認する形になります。ヘルプデスク・チケット管理と資産台帳を1本化したい情シスや、ITSMを主軸に運用しているグローバル企業に向いています。
IT資産管理ツールの料金相場(端末課金/サーバー包括/SaaS従量の3モデル別)
ここでは、IT資産管理ツールの料金を稟議に落とし込めるよう、3つの課金モデル別に相場を整理します。オンプレとクラウドで課金体系が全く異なるため、月額表示をそのまま比較しても妥当な判断ができません。まずモデル別のレンジを掴んでから、自社の規模に置き換える順で読み進めてください。
端末課金型(月額300〜1,100円/台)の特徴とレンジ
クラウド型SaaSに多い課金モデルで、管理対象1台(または1ID)につき月額いくらで課金します。本記事で公式の料金を確認できた製品では、月額300〜1,100円/台の範囲に収まりました。契約台数が多いほど単価が下がる階段設定が一般的で、たとえばEye”247″ Work Smart Cloudは5〜9台で1,100円/台、100台以上では400円/台まで下がります。
台数が増えるほど総額は上がる一方で単価は下がるため、単価だけでも総額だけでも判断できません。社員数が拡大中の企業や多拠点で端末数が変動する企業は、現在の台数と1〜2年後の見込み台数の両方で見積を取ると実勢に近い数字が出ます。
機能数で課金する製品もあります。Watchyは「契約PC台数×契約機能数」の従量制で、1台1機能あたり50〜100円が目安です。必要な機能だけを選べる代わりに、機能を足すほど単価が上がる構造になります。
サーバー包括型(オンプレ買い切り+年間保守)の特徴とレンジ
オンプレミス製品の主流で、初期にライセンスを買い切り、以後は年間保守(買切額の15〜20%目安)が発生する形です。初期費用は台数に連動し、公式に価格を公開している製品では、SS1が100台構成で55万円・500台で260万円・1,000台で520万円、MCoreが300台規模で初年度230万円〜・1,000台規模で初年度740万円〜となっています。
「オンプレミスは初期数百万円から」と一括りにされることがありますが、100台前後の規模なら数十万円台から始められる製品もあります。
買い切り部分は端末数によるライセンス課金と、機能モジュールごとの積み上げの組み合わせが一般的です。5年トータルでは台数が多い企業ほどクラウドより割安になる傾向がありますが、サーバーの調達・構築・OSアップデート対応も含めた総所有コスト(TCO)で判断する必要があります。
公式に金額を公開していない製品が多く、代理店経由の見積取得が前提になります。要件定義書を先に用意して見積依頼を出すと、複数社の比較がしやすくなります。
SaaS従量型(ユーザー数・監視対象SaaS数連動)の特徴とレンジ
SaaS管理拡張タイプの製品でよく採用される課金モデルです。ユーザー数(従業員数)や監視対象のSaaS数によって費用が動きます。マネーフォワードAdminaは50IDまで無料・51ID以上は1IDあたり月額300円(税別)、OPTiM Biz Premiumは1IDあたり月額980円(税別)と、同じID課金でも3倍以上の開きがあります。
搭載機能の範囲が異なるため、ID単価だけでなく「その単価に何が含まれるか」を合わせて見る必要があります。
企業規模別の年間費用試算例
ここでは、本記事で公式の料金を確認できた製品の公開単価をそのまま使って、規模別の年間費用を計算した例を示します。単価が公開されていない製品(要お問い合わせのもの)は計算に含めていません。実際の見積はオプション・保守内容・契約年数で変わるため、算出の考え方を確認する用途で使ってください。
| 規模 | クラウド型・端末課金(計算例) | オンプレ型・買い切り(公開価格) | SaaS管理拡張・ID課金(計算例) |
|---|---|---|---|
| 100台 (100ID) | 年48万円 Eye”247″ 400円/台×100台×12ヶ月 | 55万円+年間保守 SS1 100台構成 | 年18万円 Admina 50ID無料+50ID×300円×12ヶ月 |
| 300台 (300ID) | 年144万円 Eye”247″ 400円/台×300台×12ヶ月 | 初年度230万円〜 MCore 300台規模 | 年90万円 Admina 250ID×300円×12ヶ月 |
| 1,000台 (1,000ID) | 年480万円 Eye”247″ 400円/台×1,000台×12ヶ月 | 520万円+年間保守 SS1 1,000台構成 | 年342万円 Admina 950ID×300円×12ヶ月 |
※各製品の公式サイト公開単価(2026年8月時点・税別)に台数を掛けた計算例。オプション・保守・初期費用は含まない。同じタイプでも製品により単価は異なる
同じタイプでも製品によって単価は大きく変わります。SaaS管理拡張タイプで比べると、Adminaの300円/IDに対しOPTiM Biz Premiumは980円/IDで、300IDならAdminaが年90万円、OPTiM Biz Premiumが年353万円となり、年間で約263万円の差が出ます。
上の表は「その課金モデルだとどう計算するか」を掴むためのもので、製品選定の段階では候補ごとに見積を取る前提で読んでください。
IT資産管理ツール導入・運用時の注意点(デメリット・落とし穴)
ここでは、IT資産管理ツールを導入・運用する際に事前に把握しておきたい落とし穴を整理します。導入後に露呈しやすいポイントを先に押さえておくと、稟議・PoCの設計に活かせます。
エージェント配布のカバレッジが上がらないと効果が出にくい:エージェント型製品では、対象端末の大半にエージェントが導入されて初めて棚卸しや脆弱性管理の効果が出ます。数台でも未配布のPCが残ると、ライセンス残数の集計や未パッチ端末の検出結果が実態を反映しません。導入初期は各部門との調整に時間がかかり、社外の営業端末や派遣社員のPCに配布できないケースも出ます。
全社展開のスケジュールに配布の合意形成を織り込む必要があります。
棚卸し運用と自動収集の重複:ツールで台帳が自動更新される前提でも、現物との突合(バーコードやICタグでの棚卸し)を並行して続けるケースが多く見られます。ツールが取得する情報と、物理的な棚卸しで確認する情報の役割分担を最初に決めておかないと、二重運用のまま工数が減らない失敗パターンに陥ります。
退職者アカウント回収の運用設計:SaaS管理拡張タイプであっても、アカウント自動停止は事前に人事システム連携やIdP連携を組む必要があります。人事から退職情報が上がる経路と、それが情シスに届いてツールに反映されるまでの手順を最初に設計しないと、機能を持っていても運用に乗らないことがあります。
シャドーIT発見後の運用負荷:SaaS管理タイプで多数のシャドーITが発見された場合、それをどこまで許容し、どれを統合廃止するかの判断は情シスだけでは決められません。事業部門との対話・利用継続の是非判断・代替ツール提案といった業務が新たに発生することを想定しておく必要があります。
コストが台数増で線形に膨らむ:クラウド型SaaS製品は端末数課金が基本のため、社員数の急拡大や副業・派遣を含めた広義の従業員が増えるとコストが線形に上がります。5年後の想定台数を織り込んだ総額試算を稟議段階で持っておくと、後からの追加予算折衝を避けられます。
こうした落とし穴が実際にどう表面化するかは、他社の事例から把握しておくと稟議やPoCの設計に活かせます。以下の記事では、IT資産管理でつまずいた事例と、そこから見えた運用定着のポイントを解説しています。
IT資産管理ツールの導入手順とスモールスタートの進め方
ここでは、IT資産管理ツールをExcel台帳の運用から乗り換える際の導入手順を、3つのステップで解説します。全社一斉展開ではなく、小さく試して成功指標を握ってから広げるスモールスタートの流れが、失敗のリスクを抑えるうえで有効です。
STEP1 現状棚卸しと要件定義(管理対象・機能範囲・提供形態の決定)
最初のステップは、現状把握と要件定義です。既存のExcel台帳・ライセンス管理表・入退社チェックリストを棚卸しし、管理対象(PC・モバイル・SaaS)、必要な機能範囲(可視化のみ/セキュリティ統制まで/SaaS管理まで)、提供形態(オンプレ/クラウド)を決めます。
この段階で「捨てるべき運用」(重複した台帳・使われていないアラート)と「引き継ぐべき運用」(監査対応の帳票・棚卸しの現物突合)を分けておくと、ツール導入後の運用設計がぶれません。
STEP2 PoC・パイロット導入(対象部門・成功指標・期間)
2〜3社の候補製品を絞り、1〜2部門・50〜100台程度でパイロット導入します。期間は1〜3ヶ月、成功指標は「棚卸し工数の削減時間」「エージェント配布の完了率」「情シス以外の部門からの受け入れ度」など、稟議で示せる具体数値に落とし込みます。PoC期間中に運用フロー(追加・変更・退職イベントの反映手順)も試行し、本番展開時の障害を事前に洗い出します。
STEP3 全社展開と運用定着(エージェント配布・運用ルール策定)
PoCで得た知見をもとに全社展開します。エージェントは拠点別・部門別に段階配布し、社外持ち出しPCやリモートワーク端末への配布計画も並行して設計します。運用ルール(誰が台帳を更新するか・アラート発報時の対応フロー・棚卸しの頻度)を明文化し、情シス内・経理部門・人事部門とルールを共有します。展開完了後の3〜6ヶ月は、KPIの実績値を追いながら微調整する期間として計画に組み込みます。
まとめ
IT資産管理ツールは、機能範囲によって「自動収集特化」「セキュリティ一体」「SaaS管理拡張」の3タイプに分かれます。自社が管理したい対象と、統制の深さで、どのタイプを候補にするかを決めるのが選定の出発点です。ここでは代表的な3つのシナリオで、候補になりやすいタイプを示します。
シナリオA:情シス数名でクラウド完結・監査対応もカバーしたい(100〜1,000名規模):クラウド型のセキュリティ一体タイプが候補になります。管理サーバーの構築が不要で、短期間に導入して運用を回せます。どの製品が該当するかはタイプ概要表と比較表・選定診断でご確認ください。
シナリオB:数千台規模・多拠点でオンプレミス配布・詳細ログ取得が必要(1,000名超):オンプレミス中心のセキュリティ一体タイプが候補になります。エージェント配布の堅牢性と多階層管理を重視するならこの層です。
シナリオC:SaaSライセンス最適化・退職者アカウント回収の自動化を優先:SaaS管理拡張タイプが候補になります。従業員数連動のID課金や、少ないID数から無料枠で始められる製品もあるため、既存のPC資産管理と役割分担して導入するケースが多い層です。
いずれのシナリオでも、稟議に必要な費用試算は5年間の総所有コスト(TCO)で比較すると、初期費用の高低だけでは見えない差が浮かびます。候補を3〜5製品に絞ったら、PoC・パイロット導入で運用イメージを検証してから全社展開に進むのが確実です。
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IT資産管理ツールに関するよくある質問
Q. IT資産管理ツールとは何ですか?
A. IT資産管理ツールとは、企業が保有するPC・サーバー・モバイル端末などのハードウェアと、ソフトウェア・ライセンス・SaaSアカウントの情報を自動で収集し、台帳として一元管理するツールです。
情報の収集方法は、端末に常駐プログラム(エージェント)を入れる方式、Active Directoryやネットワーク探索を使う方式、SaaSのAPIと連携する方式に分かれます。守備範囲は製品によって幅があり、資産の可視化に絞ったものから、操作ログ・USB制御まで担うもの、SaaSライセンス管理まで広げたものまであります。詳しくは3タイプの分類をご覧ください。
Q. IT資産管理ツールの費用相場はいくらですか?
A. IT資産管理ツールの費用は課金モデルで大きく変わり、本記事で公式単価を確認できたクラウドの端末課金型は月額300〜1,100円/台、オンプレミスの買い切り型は100台構成で50万円台〜(1,000台規模で数百万円台)+年間保守(買切額の15〜20%が目安)、SaaS従量型は1IDあたり月額300〜980円が相場です。
課金の起点(端末数・サーバー・ID数)が製品ごとに違うため、月額表示だけを並べても妥当な比較になりません。稟議に載せる際は、想定台数の増加を織り込んだ5年間の総所有コストで比べると差が見えます。規模別の年間費用試算は「IT資産管理ツールの料金相場」で扱っています。
Q. IT資産管理ツールの導入期間はどれくらいかかりますか?
A. IT資産管理ツールの導入期間は、管理サーバーの構築が不要なクラウド型で数日〜数週間、オンプレミス型はサーバー調達・構築を含めて数ヶ月が目安です。
ただし契約から利用開始までの期間よりも、エージェントを全端末に行き渡らせるまでの期間のほうが長引きやすい点に注意が必要です。1〜2部門でのPoCに1〜3ヶ月、その後に拠点別・部門別の段階配布を行う前提でスケジュールを組むと、現実的な計画になります。
Q. IT資産管理ツールはエージェントレスでも操作ログなどの詳細情報を取得できますか?
A. IT資産管理ツールのエージェントレス方式では、ファイル操作・印刷・USB接続履歴といった詳細な操作ログは取得できません。
エージェントレスで取得できるのは、Active Directory・ネットワーク探索・SaaSのAPI連携から分かる構成情報やアカウント情報の範囲です。社外に持ち出されてオフラインになった端末の情報も追えません。詳細ログや社外持ち出しPCの管理が要件に入るならエージェント方式、SaaSやサーバーを含めて広く薄く把握したいならエージェントレス、両方必要なら併用という選び分けになります。
Q. MDMやEDRを導入済みでも、IT資産管理ツールは別に必要ですか?
A. MDMやEDRを導入済みでも、ライセンス台帳や資産のライフサイクル管理が必要なら、IT資産管理ツールは別に検討する価値があります。
MDMはスマートフォン・タブレットの設定配布や紛失対策、EDRは端末上の脅威検知・対応が主目的で、どちらもソフトウェアの保有ライセンス数との突合や、購入から廃棄までの履歴管理を主機能としていません。一方で端末情報の収集は重なるため、二重投資を避ける観点では役割分担を先に決めるのが現実的です。EDRやDLPを既に導入している企業なら、資産管理側は自動収集特化タイプに絞る判断も取れます。
Q. IT資産管理ツールとITSMツールは、どちらを選べばよいですか?
A. IT資産管理ツールとITSMツールは置き換え関係ではなく、資産情報を共有させて併用するのが基本です。
ITSM(ServiceNow・Jira Service Managementなど)の主眼は問い合わせ対応・インシデント管理・変更管理といった情シスの業務プロセスで、資産情報(CMDB)は扱うものの、インベントリの自動収集やライセンス突合は得意領域ではありません。既にITSMを運用しているなら、資産管理ツール側がAPI連携・CSV連携・画面連携のどのレベルで接続できるかを確認します。
ITSMとIT資産管理を1製品でまかなう構成の製品もあります。
Q. IT資産管理ツールにSaaS管理機能まで必要ですか?
A. SaaS管理機能の要否は、部門ごとに個別契約されたSaaSがあるか、退職者のアカウント停止を手作業で追いきれているかで判断します。
利用するSaaSが数本で、IdP(Azure AD・Oktaなど)から一元的にアカウントを発行・停止できているなら、PC資産管理に絞っても運用は回ります。逆に、情シスが把握していない契約が各部門にある状態なら、シャドーITの検知と休眠アカウントの可視化が費用削減と統制の両面で効きます。
経済産業省・IPAの「サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0」も、経営者向けのチェックシート(指示5の診断項目)に「組織内でシャドーIT を利用させない対策を行っている」を挙げており、上申時の根拠として使えます。
出典・参考資料(1件)
- 出典:サイバーセキュリティ経営ガイドライン Ver3.0(令和5年3月24日公開)|経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構
Q. IT資産管理ツールは中小企業でも導入する価値がありますか?
A. IT資産管理ツールは、従業員100名未満の企業でも、PCとSaaSの管理が人手で追いつかなくなった時点で導入する価値があります。
本記事の前半で引用したIPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」も、IT資産管理に労力を割きにくい場合の選択肢として、一元管理を可能とするツールの導入と、IT資産管理代行サービスの利用を挙げています。費用面でも、1台1機能単位で契約できる製品や、少ないID数まで無料で使えるSaaS管理拡張タイプのように、小さく始められる製品が増えています。
専任の情シスを置きにくい規模ほど、クラウド型で構築・保守の負担を抑える選び方が現実的です。
Q. IT資産管理でライセンス管理を怠ると、どのような法的リスクがありますか?
A. 違法に複製されたソフトウェアを業務で使う行為は、著作権法上の侵害とみなされ、行為者は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)、法人には3億円以下の罰金が科される可能性があります。
根拠は条文の連鎖にあります。著作権法第113条第5項が、著作権を侵害する行為によって作成された複製物を業務上コンピューターで使用する行為を侵害とみなし、第119条第2項第六号がその罰則を定め、第124条第1項第一号の両罰規定で法人にも罰金刑が科されます。
ただし第113条第5項は「これらの複製物を使用する権原を取得した時に情を知つていた場合に限り」と限定されており、知らずに使っていれば直ちに刑事責任を問われるわけではありません。
実務でより現実的なのは、社内に何が何本入っているかを説明できないままベンダーのライセンス監査を受け、追加購入や是正対応を求められるケースです。インストール数と保有ライセンス数を常時突合できる状態にしておくことが、この不確実性を減らす手立てになります。
出典・参考資料(1件)
- 出典:著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第113条第5項・第119条第2項第六号・第124条第1項第一号|e-Gov 法令検索
Q. 上場準備中の企業は、IT資産管理ツールをどこまでの機能で選ぶべきですか?
A. 上場準備中の企業は、アクセス権の付与・削除の記録と操作ログの取得まで担えるセキュリティ一体タイプが有力な候補になります。
経済産業省「システム管理基準 追補版(財務報告に係るIT統制ガイダンス)」は、統制評価手続の例として「担当者の認証やアクセス制御がログに記録されていることを確かめる。」「担当者の登録、変更及び削除の手続があり、変更の都度、処理されていることを確かめる。(例えば、退職者のサンプルを抽出し、退職後、即座にアクセス権が削除されていることを確かめる。)」を挙げています。
退職者のアカウント・端末の回収状況を証跡として示せるかが、監査対応の実務では焦点になります。
ただし、この手続の対象は財務報告に係るIT統制であり、社内の全端末・全ソフトウェアが法的に監査対象になるわけではありません。非上場の企業にとっては「どこまで記録を残せば説明できるか」を考えるうえでの参考として扱うのが適切です。
出典・参考資料(1件)
- 出典:システム管理基準 追補版(財務報告に係るIT統制ガイダンス)(令和6年12月25日改訂)|経済産業省(p.73)
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。











