事業承継の相手を探すとき、成長のための資金を集めるとき、あるいは手元資金の運用先を検討するとき、「PEファンド」や「私募ファンド」という言葉を目にする機会が増えています。M&Aや資産運用の場面で選択肢として挙がる一方で、それぞれが何を指すのかは意外と整理されていません。
PEファンドと私募ファンドは、実は同じ軸で並ぶ言葉ではありません。前者は投資対象や手法を、後者は資金の集め方(募集形態)を指しており、投資信託やヘッジファンドとの違いもあいまいなまま検討が進みがちです。まず言葉の意味と違いを押さえておくと、自社に合う相手やサービスの見当がつけやすくなります。
本記事では、PEファンド・私募ファンドの意味と仕組み、他のファンドとの違い、種類、そして主要な提供主体16社を整理します。あわせて、事業承継の出口として売却する立場、成長資金の調達を受ける立場、余剰資金を運用として出資する立場(LP出資)の3つの角度から、ファンドとの現実的な関わり方を解説します。
また、自社の目的や状況に合わせて検討先を絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。事業承継・資金調達・余剰資金の運用のいずれの立場からでも、合うタイプ・提供主体の当たりを付けられます。ぜひこちらもご活用ください。
目次
PEファンド・私募ファンドとは(意味と仕組み)
ここでは、まずPEファンドと私募ファンドそれぞれの意味を確認し、続けて両者に共通する運用の骨格までを一続きで見ていきます。混同されやすい2つの言葉ですが、指している対象は異なります。
PEファンド(プライベートエクイティ)とは
PEファンド(プライベートエクイティファンド)とは、上場していない企業の株式(未公開株)に投資し、経営に関与しながら企業価値を高めたうえで、株式の売却や上場によって利益を得ることを目指すファンドです。プライベートエクイティは「未公開株式」を意味し、証券取引所で売買される上場株式と対比される考え方を指します。
特徴は、株式を保有するだけの受動的な投資ではなく、取締役の派遣や経営計画の策定支援などを通じて経営に踏み込む点にあります。投資してから利益を確定するまでの期間は数年単位に及び、その間は原則として途中で資金を引き出せない設計が一般的です。
私募ファンドとは
私募ファンドの「私募」は、投資対象ではなく資金の集め方(募集形態)を指す言葉です。金融商品取引法(以下、金商法)は、有価証券の私募を次のように定義しています。
「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。
出典:金融商品取引法 第2条第3項|e-Gov法令検索
私募とは、募集(=広く一般に勧誘する公募)に当たらない、限られた相手への勧誘を指します。私募という言葉は「私募ファンド」だけでなく「私募投資信託」など幅広い商品に付くため、私募ファンドとPEファンドは指している軸が違う点に注意が必要です。実務では、PEファンドの多くが少数の投資家から私募の形で資金を集めており、その意味で両者は重なることも少なくありません。
私募の商品には私募投資信託やヘッジファンド向けの運用などもありますが、本記事で比較の中心に据えるのは、未公開株に投資するPE(プライベートエクイティ)です。
PE・私募ファンドの仕組み(LP/GP・キャピタルコール・投資期間・イグジット)
PEファンドの多くは、投資家から資金を集めて共同で投資するために、組合形式で組成されます。国内でその器としてよく使われるのが、投資事業有限責任組合契約に関する法律(LPS法)にもとづく投資事業有限責任組合(LPS)です。
組合には2種類の参加者がいます。ファンドを運営し投資判断を担うのが無限責任組合員(ジェネラルパートナー、GP)、資金を出して運用を任せるのが有限責任組合員(リミテッドパートナー、LP)です。GPは組合の債務に無限の責任を負う一方、LPの責任は出資額の範囲にとどまります。
有限責任組合員は、その出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負う。
出典:投資事業有限責任組合契約に関する法律 第9条第2項|e-Gov法令検索
出資の方法にも特徴があります。LPは契約時に出資できる上限額(出資約束額)を約束し、実際の払い込みはファンドが投資を実行するたびに順次求められます。この後払い型の払い込みは、契約・実務上「キャピタルコール」と呼ばれます。
ファンドには存続期間(投資期間)が定められ、10年前後で設定されることが一般的です。期間の前半で投資先を組み入れ、後半で企業価値を高めたうえで、株式売却・上場・他社への転売などによって投資を回収します。この回収局面はイグジットと呼ばれ、ここで得た利益がLPへ分配されます。

PE・私募ファンドと他のファンドの違い
PE・私募ファンドは、投資信託やヘッジファンドと混同されがちです。ここでは、投資対象・運用手法・募集形態の観点から、それぞれとの違いを整理します。
投資信託との違い
投資信託の多くは、上場株式や債券など市場で売買される資産に投資し、広く一般の投資家から資金を集める公募型です。日々基準価額が算出され、原則としていつでも換金できる流動性の高さが特徴です。
これに対しPEファンドは、市場で取引されない未公開株に投資し、数年単位で資金を固定します。運用者が経営へ関与し、途中解約が原則できない点も、投資信託とは対照的です。同じ「ファンド」でも、対象・期間・流動性の設計が大きく異なります。
ヘッジファンドとの違い
ヘッジファンドは、上場株式・債券・為替・デリバティブなど市場性のある資産を主な対象とし、相場の上下いずれの局面でも収益を狙う運用手法をとります。短期間での売買を繰り返すことも多く、経営権の取得を目的としない点がPEファンドと異なります。
PEファンドは未公開企業を対象に、経営に関与しながら数年かけて価値を高める点で、投資対象・保有期間の考え方が大きく違います。どちらも私募の形で運営されることが多いため募集形態は似ていますが、「何に・どのくらいの期間・どう関わって投資するか」という中身は別物です。
公募と私募の違い
まず要点を押さえると、公募と私募は「勧誘する相手が50名以上かどうか」で大きく分かれます。私募には勧誘の相手をプロ投資家に限る類型があり、公募に比べて投資家向けの開示は薄くなります。

以下では、この違いを条文で確かめます。公募と私募の境目は、勧誘する相手方の数や属性で決まります。金商法施行令は、募集(公募)に当たる「多数の者を相手方として行う場合」を、次のように定めています。
法第二条第三項第一号に規定する多数の者を相手方として行う場合として政令で定める場合は、五十名以上の者を相手方として有価証券の取得勧誘を行う場合とする。
出典:金融商品取引法施行令 第1条の5|e-Gov法令検索
この「50名以上への勧誘=募集(公募)」という数値の基準は、金商法本体ではなく施行令に置かれています。裏を返せば、勧誘の相手方が50名未満にとどまる少人数私募などが、私募として扱われます。
相手方が誰かも私募の区分に関わります。私募には、勧誘の相手を「適格機関投資家」や「特定投資家」といったプロに限る類型があります。適格機関投資家について、金商法は「有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者」(第2条第3項第1号)と定めています。
該当するのは、証券会社・銀行・保険会社や、一定額以上の有価証券を保有する届出法人などです。具体的な範囲は、金融商品取引業等に関する内閣府令(定義府令)に列挙されています。
特定投資家(いわゆるプロ投資家)は、これを含むより広い概念です。国や日本銀行といった公的な主体まで含まれる点が特徴で、金商法は次のように定めています。
「特定投資家」とは、次に掲げる者をいう。
出典:金融商品取引法 第2条第31項|e-Gov法令検索
- 一 適格機関投資家
- 二 国
- 三 日本銀行
- 四 前三号に掲げるもののほか、第七十九条の二十一に規定する投資者保護基金その他の内閣府令で定める法人
公募と私募では、投資家保護のための開示の扱いも変わります。金商法は、有価証券の募集・売出しについて「発行者が当該有価証券の募集又は売出しに関し内閣総理大臣に届出をしているものでなければ、することができない」(第4条第1項)と定めています。
私募はこの募集に当たらないため、こうした届出・開示の枠外となり、開示は限定的です。私募ファンドの情報が一般に広く出回りにくいのは、この制度上の違いが背景にあります。
PEファンドの種類(バイアウト・ベンチャー・事業再生・政府系)
ひと口にPEファンドといっても、どの段階の企業に、何のために投資するかによっていくつかの型に分かれます。ここでは代表的な4つの種類を、投資段階・目的と、その型に該当する主な提供主体とあわせて整理します。

| 種類 | 投資段階・目的 | 該当する主な提供主体 |
|---|---|---|
| バイアウト | 成熟企業の経営権を取得し、経営に関与して企業価値を高めたうえで売却する。事業承継やカーブアウト(事業切り出し)の受け皿となる | KKR、ベインキャピタル、EQT(旧BPEA)、アドバンテッジパートナーズ、インテグラル、日本産業パートナーズ、ポラリス・キャピタル・グループ、T Capital Partners、NSSK、J-STAR、アント・キャピタル・パートナーズ |
| ベンチャー・グロース | 未上場の成長企業に出資し、事業の拡大を後押しする。成長資金を調達したい企業の相手方となる | ジャフコ グループ、グロービス・キャピタル・パートナーズ |
| 事業再生・ディストレス | 業績不振や過剰債務に陥った企業・資産を対象に、再建を通じて価値を取り戻す | オークツリー・キャピタル・マネジメント |
| 政府系・官民ファンド | 公的な立場から成長投資や事業再編を支える。民間ファンドへのLP出資や共同投資の呼び水にもなる | 産業革新投資機構(JIC)、日本政策投資銀行(DBJ) |
この4つは、扱う企業の状態と目的が明確に分かれています。自社がどの立場でファンドと関わるのかによって、見るべき型も変わってきます。次章では、その関わり方を立場別に整理します。
目的別に見るPE・私募ファンドとの関わり方
ファンドの種類を押さえたところで、ここからは読者自身の立場に引きつけて、現実的な関わり方を3つの角度から見ていきます。同じPEファンドでも、売り手・調達側・出資側で意味合いは変わります。
事業承継の出口としてPEファンドに売却する
後継者が見つからないオーナー経営者にとって、PEファンドへの株式売却は事業承継の出口の一つです。ファンドは経営権を取得したうえで経営体制を整え、数年後に別の企業や次のファンドへ引き継ぐことを想定します。従業員の雇用や取引関係を維持しながら、創業者が保有株式を現金化できる点が、第三者への譲渡としての利点です。
一方で、経営権はファンドに移り、投資回収の期限に沿って経営目標が設定されるため、これまでの経営の自由度は変わります。売却額の水準や役員・従業員の処遇、売却後の関与の度合いなど、条件を丁寧にすり合わせる必要があります。承継の相手としてファンドが適するかは、事業の状態と創業者の希望次第です。
こうした売却条件のすり合わせや相手探しでは、M&A仲介やFA(フィナンシャル・アドバイザー)といった外部の専門家に間に入ってもらう進め方もあります。仲介とFAの違いや依頼先の選び方、費用相場は、以下の記事で整理しています。
成長資金の調達手段としてファンドから出資を受ける
事業拡大の局面では、ベンチャー・グロース型のファンドから出資を受ける選択肢があります。銀行融資と違って返済義務のない資金を確保でき、投資先の成長を支援するファンドからは、資金だけでなく経営や採用、販路開拓の面での支援を得られる場合もあります。
ただし出資と引き換えに株式の一部を渡すため、既存株主の持分は薄まります。ファンドは一定期間内での成長と投資回収を前提とするので、事業計画や情報開示への要求も高まります。どの段階で・どの規模の資金を・どんな相手から受けるかを、成長の道筋と照らして検討することが大切です。
余剰資金の運用としてファンドへ出資する(LP出資)
手元の余剰資金の運用先として、PEファンドに出資者(LP)として参加する立場もあります。上場株式や債券とは値動きの連動が異なる資産に分散でき、企業価値の向上を通じた中長期のリターンを狙えるのが特徴です。事業会社や金融機関、その関係者が、運用の一環として組み入れる例があります。
もっとも、LP出資は誰でも参加できるわけではなく、投資家の属性や最低出資額に条件が設けられているのが通常です。出資約束額はキャピタルコールに応じて順次払い込む必要があり、投資期間中は原則として途中で引き出せません。参加を検討する際は、資金の性格と拘束期間が見合うかを見極める必要があります。詳しい条件は後半の「投資・出資で確認すべき条件とリスク」で整理します。
関われる入口は、投資家の属性や資金規模によって分かれます。一定規模の事業会社・金融機関・機関投資家であれば、運用会社に直接LP出資を相談できる余地があります。
個人や小規模な法人が直接出資するのは難しいものの、プライベート資産に配分する私募投資信託やファンド・オブ・ファンズを通じて、間接的に関わる選択肢もあります。
もっとも、自社がどの立場でどのタイプのファンドと関わるべきか、判断が難しいケースもあります。そこで、以下の「30秒で終わる選定診断ツール」で、目的に合うタイプ・提供主体の当たりを付けられるようにしました。
診断で候補が見えたら、続く比較表と個別紹介で各提供主体の投資対象や実績を確認できます。まずは気軽に診断からお試しください。
【比較表】主要なPEファンド運用会社・提供主体の比較
ここからは、自社の目的や検討段階に合わせて客観的に見比べられるよう、主要なPEファンド運用会社・政府系ファンドなど16の提供主体を、投資対象・目的・資本系統といった事実の観点で横断的に比較できるよう整理します。気になる提供主体は、続く個別紹介もあわせてご確認ください。
| サービス名 | KKR | ベインキャピタル | EQT(旧BPEA) | アドバンテッジパートナーズ | インテグラル | 日本産業パートナーズ | ポラリス・キャピタル・グループ | T Capital Partners | NSSK | J-STAR | アント・キャピタル・パートナーズ | ジャフコ グループ | グロービス・キャピタル・パートナーズ | オークツリー・キャピタル・マネジメント | 産業革新投資機構(JIC) | 日本政策投資銀行(DBJ) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 区分 | バイアウト(外資系) | バイアウト(外資系) | バイアウト(外資系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | バイアウト(日系独立系) | ベンチャー・グロース | ベンチャー・グロース | 事業再生・ディストレス | 政府系・官民ファンド | 政府系・官民ファンド |
| 主な投資対象・戦略 | 大型の非公開化・カーブアウト | 大型カーブアウト・非公開化 | 大型の非公開化+中堅グロース | 事業承継・カーブアウト | 中堅企業のハンズオン投資 | 大企業のカーブアウト特化 | 非公開化・カーブアウト・承継 | 事業承継・カーブアウト | 事業承継・カーブアウト | 事業承継・事業再編 | バイアウト+セカンダリー投資 | ベンチャー投資+バイアウト | ベンチャー投資(シード〜レイター) | ディストレス投資・クレジット | 成長投資・事業再編・LP出資 | 成長投資・事業再生・事業承継 |
| 対象企業の規模帯 | 大企業・上場企業 | 大企業〜中堅企業 | 大企業〜中堅企業 | 中堅企業 | 中堅企業(企業価値50億〜500億円) | 大企業の事業・子会社 | 中堅〜大型(企業価値100億〜1,000億円) | 中堅・中小企業 | 中堅・中小企業 | 中小企業(スモール〜ミドル) | 中堅企業 | スタートアップ〜中堅企業 | スタートアップ(成長企業) | 財務不振の企業・資産 | 大企業・中堅+スタートアップ | スタートアップ〜中小企業 |
| 直近ファンド規模の目安 | 非公開 | 非公開 | 約156億ドル(BPEA IX) | 3,000億円(Fund VIII) | 非公開 | 非公開 | 2,000億円超(第六号) | 約811億円(6号) | 2,500億円(4号) | 750億円(5号) | 非公開 | 978億円(SV7) | 約727億円(第7号) | 非公開 | 非公開 | 非公開 |
| 主な関わり方 | 事業承継・非公開化の出口 | 事業承継・カーブアウトの出口 | 事業承継・非公開化の出口 | 事業承継の出口 | 事業承継の出口 | 大企業の事業切り出しの受け皿 | 事業承継・非公開化の出口 | 事業承継の出口 | 事業承継の出口 | 事業承継の出口 | 事業承継の出口 | 成長資金の調達・事業承継の出口 | 成長資金の調達 | 市場の担い手(直接の申込窓口は持たない) | 共同投資・LP出資の呼び水 | 共同投資・LP出資の呼び水 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
主要な提供主体(PEファンド運用会社・政府系ファンド)の個別紹介
ここからは、比較表で取り上げた提供主体を、前章で示した4つの種類(バイアウトは外資系と日系独立系に分けています)に沿って、グループごとに紹介します。それぞれの立ち位置や得意領域を押さえることで、自社の目的に合う相手が見えやすくなります。
バイアウト(外資系)
まずは、グローバルに運用を展開する外資系のバイアウトファンドです。大型の非公開化やカーブアウト案件で日本市場でも存在感を持ち、豊富な資金力と海外ネットワークを背景に、大企業や上場企業を対象とした投資を手がけます。
1. KKR(株式会社KKRジャパン)

KKRは、1976年に米国で創業した独立系の投資会社です。ニューヨーク証券取引所に上場し、プライベート・エクイティのほかインフラ・不動産・クレジット・保険まで手がけます。グローバルの運用資産残高は7,960億米ドル(2026年6月末時点)で、日本では2006年に東京オフィスを開設しました。
日本ではバイアウト(非公開化・事業承継型のM&A)を中心に投資を広げており、富士ソフトやトプコン、太陽ホールディングスといった上場企業の非公開化を手がけてきました。トプコンの案件では、官民ファンドのJICキャピタルと共同で買収を実施しています。
投資の担い手は年金基金や保険会社などの機関投資家が中心で、かんぽ生命との戦略的提携も結んでいます。大企業グループからの事業切り出しや、上場企業の非公開化といった大型案件の受け皿を探す場合の相談先として位置づけられます。
2. ベインキャピタル(ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLC)

ベインキャピタルは、経営コンサルティングのベイン・アンド・カンパニーの出身者が1984年に米国で設立した投資会社です。プライベート・エクイティを中核に、クレジット・パブリックエクイティ・ベンチャーキャピタル・不動産まで運用し、日本では2005〜2006年に東京オフィスを開設しました。
日本では、大企業グループからの事業切り出し(カーブアウト)や非公開化、事業承継、グロースキャピタルなどのスタイルで投資しています。2021年には、同社としてグローバルで初めて国・地域を特化した「日本ファンド」を設立し、国内の中堅・中小企業への投資を進めています。
代表的な実績には、東芝から切り出した東芝メモリ(現キオクシアホールディングス)や、日立製作所グループの日立金属(現プロテリアル)の買収があります。大企業グループからの大型のカーブアウト案件を数多く手がけてきた点が、検討時の判断材料になります。
3. EQT(EQTパートナーズジャパン株式会社)

EQTは、1994年にスウェーデンで設立され、2019年にナスダック・ストックホルムに上場した投資会社です。2022年10月に、1997年からアジアで投資してきたベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)と経営統合し、日本法人も2023年3月に合併してEQTパートナーズジャパンとなりました。
アジア地域の投資は「EQT Private Capital Asia(旧BPEA)」のブランドで展開しています。2026年4月には、総額156億米ドルの「BPEA IX」を組成し、アジア太平洋地域を投資対象とするPEファンドとして史上最大規模と公表しました。大型バイアウトと中堅企業向けグロースの二本立てで、対象企業の規模帯を幅広くカバーします。
日本では、エレベーター大手のフジテックに対し27億米ドルのTOB(株式公開買付け)による非公開化を発表したほか、ベネッセホールディングスの創業家とのMBO(経営陣による買収)も手がけました。上場企業の大型な非公開化を軸に日本での投資実績を重ねている点が、相手を検討する際の参考になります。
バイアウト(日系独立系)
続いて、日本を主戦場とする独立系のバイアウトファンドです。国内の事業承継や中堅企業の再編に精通し、経営陣との距離の近さや日本の商習慣への理解を強みとします。承継やカーブアウトの相手として、国内企業が現実的に検討しやすい選択肢がそろいます。
4. アドバンテッジパートナーズ(株式会社アドバンテッジパートナーズ)

1992年に設立された独立系のPEファームで、国内中堅企業のバイアウトを中核に、アジア投資や上場企業向けの少数出資、再生可能エネルギーなど5つの戦略でファンドを運用しています。
投資の主なテーマは、後継者不在のオーナー承継、大企業からのカーブアウト、上場企業の非公開化の3局面です。2025年には調剤薬局大手の日本調剤を他ファンドと共同でTOBし、完全子会社化しています。
2026年5月に募集を完了した最新のFund VIIIは総額3,000億円規模で、保険会社や年金基金など国内外の機関投資家から出資を集めています。東京に加えシンガポール・香港・上海・ムンバイに拠点を持ち、アジア圏の案件にも対応します。
5. インテグラル(インテグラル株式会社)

海外親会社や金融グループを持たない日本の独立系PE会社で、2023年9月に東証グロース市場へ上場しています(証券コード5842)。運用会社そのものが資本市場の開示規律のもとにある点が特徴です。
投資対象は企業価値50億〜500億円が目安の中堅企業で、ファンド資金と自己資金を組み合わせる「ハイブリッド型投資」を採ります。投資後は「i-Engine」の枠組みで投資先に人員を常駐させ、経営・財務の両面から企業価値向上を支援します。
運用資産残高は上場時点の2023年6月末で2,769億円。過去にはスカイマーク(2022年12月上場)やテクセンドフォトマスク(2025年10月上場)などを上場によってエグジットしています。
6. 日本産業パートナーズ(日本産業パートナーズ株式会社)

大企業の事業部門や子会社を切り出す「戦略的カーブアウト」を主要な投資領域とするバイアウトファンド運営会社です。運用ファンドは「日本産業ファンド」の名称で、第一号から第六号まで組成しています。
投資先には、旧ソニーのPC事業を引き継いだVAIO、旧オリンパス映像事業のOMデジタルソリューションズ、プロテリアル(旧日立金属)など、大手企業から独立した事業会社が並びます。
2023年には買収総額約2兆円で東芝を非公開化し、国内のバイアウトとして最大規模級の案件を主導しました。投資先を事業会社へ譲渡するエグジットも、アラクサラネットワークス(フォーティネットへ譲渡)などで実行しています。
7. ポラリス・キャピタル・グループ(ポラリス・キャピタル・グループ株式会社)

非公開化、大企業からのカーブアウト、オーナー系企業の事業承継を主要テーマとするバイアウトファームです。技術・製造業、医療・ヘルスケア、IT・サービス・物流、消費財・小売業の4分野を注力領域とします。
投資基準を公式に開示している点も特徴で、対象は企業価値100億〜1,000億円、1件あたり原則50億円以上(100億〜300億円が目安)、取得議決権は原則過半数、投資回収は3〜5年後を目処とします。投資後は社外役員派遣や投資直後100日間の集中支援(First 100 Days)を行います。
2024年8月に組成した第六号ファンドは2,000億円超の規模で、産業革新投資機構(JIC)が120億円をLPとして出資しています。
8. T Capital Partners(T Capital Partners株式会社、旧・東京海上キャピタル)

「よい会社をもっとよい会社に」を掲げ、国内の中堅中小企業へのバイアウト投資に特化した独立系ファンドです。1991年に東京海上キャピタルとして設立され、2019年10月のMBOで東京海上グループから独立し、現社名へ変更しました(現在は資本関係はありません)。
投資は、オーナー系企業の事業承継投資と、大企業の事業再編に伴うカーブアウト投資の2本柱です。1998年のファンド運用開始以来、累計6本のPEファンドを組成し、30件超の投資を実行してきました。
直近の6号ファンド(T Capital VI)は810.94億円で組成しています。日本マイクロバイオファーマの譲渡(2026年9月)など、投資先を事業会社へ売却する形でのエグジットを継続しています。
9. NSSK(株式会社日本産業推進機構)

元TPGキャピタル日本法人代表の津坂純氏が2014年に設立した独立系のバイアウトファンド運用会社です。地方の優良企業や、事業承継・後継者問題に直面する企業、大企業の非中核事業のカーブアウトなどを、ミドルマーケット中心に手がけます。
投資後は独自の経営支援プログラム「NVP®(NSSK Value-Up Program)」を用い、予実管理や月次決算の早期化、経理プロセス改善といったハンズオン支援を行います。製造業・ヘルスケア・教育・ホテル・不動産サービスを主要な投資領域とします。
ファンド規模は2号の約600億円(2017年)、3号の1,000億円超(2023年)から、2026年4月に募集を完了した4号は2,500億円へと拡大しています。この4号には産業革新投資機構(JIC)が140億円をLPとして出資しています。
10. J-STAR(J-STAR株式会社)

2006年設立の独立系PE投資会社で、中堅・中小企業のスモール〜ミドルマーケットを投資対象とします。事業承継や事業再編、資本構成の是正といった経営課題を投資で解決する「課題解決型投資」を掲げています。
投資先経営者と共同で事業戦略を策定・実行する「パートナーアプローチ」を採り、累計100件超、直近5年間は毎年10件以上の投資を実行しています。関東財務局長(金商)第2955号の登録金融商品取引業者です。
2022年4月には5号シリーズファンドを、目標の650億円を上回る上限額750億円で募集完了しました。年金基金や保険会社、ファンド・オブ・ファンズなど、国内外の機関投資家が出資者に名を連ねています。
11. アント・キャピタル・パートナーズ(アント・キャピタル・パートナーズ株式会社)

2000年設立の独立系PEファームで、バイアウト投資と、セカンダリー投資を含む「ソリューション投資」の二本柱で事業を展開します。株主には農林中央金庫や三井物産企業投資が名を連ねます。
バイアウトでは2001年のカタライザー1号ファンド以来、国内中堅企業のオーナー承継・非公開化・カーブアウトを手がけ、シリーズを7号まで組成してきました。日本で初めて本格的なセカンダリー投資ファンドを組成したと公式に位置づけ、ファンド持分の取得など資本流動化のニーズにも対応します。
投資先には1社あたり複数名の担当者が関与するハンズオン型で、メンバーの約半数が経営経験者です。ソフトブレーン(2026年1月にポラリス・キャピタル・グループへ売却)など、投資先の売却によるエグジットを進めています。
ベンチャー・グロース
ここでは、未上場の成長企業へ出資するベンチャー・グロース型の提供主体を取り上げます。資金の提供にとどまらず、事業拡大や上場に向けた支援を通じて、成長資金を求める企業の伴走役となります。
12. ジャフコ グループ(ジャフコ グループ株式会社)

ジャフコ グループは、1973年設立の独立系ベンチャーキャピタルで、東京証券取引所プライム市場に上場しています(証券コード8595)。累計のファンド運用総額は1.2兆円にのぼり、系列資本に属さない立場で長く運用を続けてきました。
ベンチャー投資に加え、1998年からバイアウト投資も手がける両輪体制が特徴です。バイアウト投資では事業承継やカーブアウトを対象に、累計67社・運用額1,877億円の実績があります(2025年12月時点)。成長資金の調達だけでなく、事業承継の受け皿としても相談できる相手です。
投資後は継続出資と経営リソースの投下で関与を続ける方針で、SV6ファンドでは同一企業への複数回投資比率が67.6%に達します(2025年3月時点)。ビジョナルやマネーフォワード、タイミーなどの上場企業を投資先に持ち、アメリカ・シンガポール・香港の拠点から海外展開も支えます。
13. グロービス・キャピタル・パートナーズ(グロービス・キャピタル・パートナーズ株式会社)

シード期からレイター・ステージまで一貫して投資する「First to Last」を掲げるのが、独立系ベンチャーキャピタルのグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)です。1996年のVC事業開始から、2026年7月で30周年を迎えました。
これまでに7本のファンドを運用し、累計の運用総額は1,800億円超、投資先は230社超にのぼります(2026年7月時点)。うちIPOは38社、M&Aは30社にのぼり、ビジョナルやヤプリ、メルカリなどが含まれます。現在は700億円超の規模で8号ファンドの組成を予定しています。
資金提供にとどまらず、キャピタリストが社外取締役に就任し経営に踏み込むハンズオン型の支援を特徴とします。グロービスグループの人材・卒業生ネットワークやEIR(客員起業家)プログラムを通じた伴走に加え、2023年に開設した米国サンフランシスコ拠点で投資先の海外展開も支えます。
事業再生・ディストレス
業績不振や過剰債務に陥った企業・資産の再生を手がけるのが、事業再生・ディストレス型です。ここで紹介するオークツリー・キャピタル・マネジメントは機関投資家からの資金運用を主体とするグローバルな運用会社で、国内ではファンド運用の拠点として活動しています。一般の事業会社が直接相談する窓口というより、市場全体の担い手として押さえておきたい存在です。
14. オークツリー・キャピタル・マネジメント(Oaktree Capital Management, L.P.)

米国ロサンゼルスに本社を置く1995年設立のオルタナティブ投資運用会社で、投資適格未満の企業債務や再編対象企業に投資するディストレスト(事業再生)領域を中核戦略としてきました。「良い会社の、悪いバランスシート」を見極める投資方針を掲げ、2023年に組成したディストレスト債ファンドは約160億ドルを集めて同分野で過去最大規模となりました。
日本市場には1998年に進出し、東京・丸の内のオークツリー・ジャパン合同会社(2001年設立)を拠点に投資を続けてきました。2008年の金融危機で破綻した不動産投資法人(現・日本賃貸住宅投資法人の前身)の再生を主導し、2015年に大和証券グループへ売却した実績があります。
資金の出し手は年金基金や保険会社などの機関投資家が中心で、前述のとおり直接の相談窓口というより市場の担い手として押さえる存在です。2019年に資本参加していたブルックフィールド・アセット・マネジメントが2026年8月に完全子会社化を完了し、現在はそのクレジット事業の中核を担っています。
政府系・官民ファンド
最後に、公的な立場から成長投資や事業再編を支える政府系・官民ファンドです。産業革新投資機構(JIC)と日本政策投資銀行(DBJ)は、いずれも一般企業向けの直接の申込窓口ではなく、民間ファンドへのLP出資や共同投資の呼び水として国内のリスクマネー供給を後押しする役割を担っています。市場の全体像を把握するうえで押さえておきたい存在です。
15. 産業革新投資機構(JIC)(株式会社産業革新投資機構)

産業革新投資機構(JIC)は、2018年に産業競争力強化法にもとづき設立された経済産業省所管の官民ファンドです。2009年に発足した旧・産業革新機構(INCJ)を改組した後継組織にあたります。
投資はグループ会社が分担し、JICベンチャー・グロース・インベストメンツがスタートアップの成長投資を、JICキャピタルが大企業・中堅企業の成長投資や事業再編を手がけます(運用総額は約2兆円)。国内外のVC・バイアウトファンドへのLP出資も行い、民間だけでは取り切れないリスクマネーを供給します。
投資基準では「民間の投資資金が不足している領域」への供給を柱に掲げ、私募ファンドへのLP出資を通じて民間資金を呼び込む役割を担います。そのため一般企業との関わりは、傘下ファンドや既存の私募ファンド運営者を通じるのが基本です。
16. 日本政策投資銀行(DBJ)/DBJキャピタル(株式会社日本政策投資銀行)

全額政府出資の政策金融機関である日本政策投資銀行(DBJ)は、民間金融機関を補完する立場から、成長資金・事業再生・事業承継の各領域にリスクマネーを供給します。株式会社日本政策投資銀行法にもとづく特殊会社という法的位置づけを持ちます。
PE・VC投資はグループで役割が分かれ、100%子会社のDBJキャピタルがシード〜レイターのスタートアップへ直接投資します。同社の運用ファンドは総額473.2億円(2026年4月時点)で、DBJ本体は企業へのエクイティ投資や、地域金融機関・事業会社と組む協働ファンドへのLP出資を担います。
事業承継では日本M&Aセンター等と組み、日本初の全国版サーチファンド「サーチファンド・ジャパン」(経営者候補が引き継ぐ会社を探して経営する仕組み)を2020年に設立したほか、事業再生ではABL(動産・債権担保融資)・DIPファイナンス(再建中企業へのつなぎ融資)を提供します。こちらも直接の募集窓口ではなく、事業会社・金融機関との共同投資を軸とする点を押さえておきましょう。
PE・私募ファンドへの投資・出資で確認すべき条件とリスク
PE・私募ファンドへ出資者として関わる場合は、上場株式や公募投資信託とは異なる条件やリスクがあります。相談や出資で後悔しないために、事前に押さえておきたい観点を整理します。
誰が投資できるか(適格機関投資家・特定投資家・最低投資額の目安)
私募ファンドは、勧誘できる相手が制度上限られています。多くの私募ファンドは、適格機関投資家などプロの投資家を中心に組成されており、一般の事業会社や個人が自由に参加できるものではありません。
一般の投資家を一定数まで受け入れられる枠組みとして、金商法には適格機関投資家等特例業務があります。金商法第63条第1項は次のように定めています。
適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。…)
出典:金融商品取引法 第63条第1項|e-Gov法令検索
ファンド運営を登録ではなく届出で行える枠組みで、投資事業組合型の私募ファンドで広く使われています。受け入れられる一般投資家の人数や、投資性金融資産が一定額以上(1億円以上とされています)といった属性の要件は、政令・内閣府令で定められています。
購入単位としての最低投資額に法令上一律の定めはありません。実際には、ファンドごとに組合契約のなかで最低出資額が決められ、数千万円から数億円規模とされることが一般的です。前述の投資性金融資産の要件は投資家の資格に関する基準であり、この最低出資額とは別のものとして区別して考える必要があります。
流動性・解約制限・投資期間の確認
PE・私募ファンドは、10年前後の投資期間を前提に、その間は原則として途中で資金を引き出せません。上場株式や公募投資信託のように、必要なときにすぐ換金できる流動性は期待できないのが基本です。
また、出資約束額はキャピタルコールに応じて段階的に払い込むため、いつ・どの程度の払い込みが求められるかを見込んでおく必要があります。手元資金の使い道や、途中で資金が必要になる可能性を踏まえ、拘束されても支障のない範囲の資金で参加できるかを確認しておくことが重要です。
手数料・費用構造(管理報酬・成功報酬)
ファンドに出資する際の費用は、大きく管理報酬と成功報酬の2つで構成されるのが一般的です。管理報酬は、運用や管理の対価として、出資約束額や運用資産の額に対して毎年一定率で発生します。
成功報酬は、一定の基準を上回る運用成果が出た場合に、その利益の一部を運用者(GP)が受け取る仕組みです。この2つの水準や算定方法、成功報酬が発生する前提となる基準は、ファンドの契約条件によって異なります。手取りのリターンに直結するため、条件を事前に確認しておくことが欠かせません。
国内PE・私募ファンド市場の動向
最後に、国内PE・私募ファンド市場の現在地を、公的な資料から確認できます。市場の全体像を押さえておくと、どの立場で関わる場合でも検討の背景がつかみやすくなります。金融庁は2026年7月に「資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026」を公表し、PEファンドの成長を政策課題として取り上げました。
企業の事業再構築・再編が活発化し、大型のM&A 案件も増加する中、能力ある多様なプライベート・エクイティファンド(以下、PE ファンド)が成長し、企業のニーズに応えていくことは日本企業・経済の発展にとってプラスであり、金融システムの一翼を担うPE ファンドの成長に向け、官民が連携して取組を進めていくことが重要である。
出典:資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026|金融庁
同レポートは、国内の日系PEファンドが規模の拡大と大型案件への対応を志向している一方で、資金調達の面に課題があることを指摘しています。ファンド規模別の国内出資割合には、次のような差が見られます。
ファンド規模500 億円以上の日系PE ファンドを対象とした調査では、調査対象18 社のうち約7 割が今後のファンド規模の拡大を志向しており、また約6 割が企業価値1,000億円以上の案件にも今後取り組みたいとしている。
1,500 億円未満のファンドにおける国内出資割合の平均が73%であるのに対し、1,500 億円以上の大手PE ファンドでは平均36%となっており、20%未満のファンドも存在する。
出典:資産運用サービスの高度化に向けたプログレスレポート2026|金融庁
ファンドの規模が大きくなるほど国内出資の割合が下がり、海外投資家への依存が強まる構図が読み取れます。大型案件の担い手にも同じ傾向があり、同レポートによれば、2025年の大型投資案件(非公開化またはカーブアウト)の上位10件のうち、日系の民間ファンドによる案件は2件にとどまりました。
残りの多くは外資系ファンドが占めています。国内の運用会社が大型化と国内での資金調達を両立できるかが、市場全体の課題として位置づけられています。
出典・参考資料(1件)
まとめ
本記事では、PEファンド・私募ファンドの意味と仕組み、他のファンドとの違い、4つの種類、そして主要な提供主体16社を整理しました。PEファンドは未公開株への経営関与型の投資を、私募ファンドは限られた相手への募集形態を指す言葉であり、両者は重なりつつも別の軸を表しています。
自社がどう関わるかは立場によって変わります。事業承継の出口として売却するのか、成長資金の調達を受けるのか、余剰資金を運用として出資するのか。まずはこの目的をはっきりさせ、合う種類の提供主体を絞り込んだうえで、最低投資額・流動性・手数料といった条件を一つずつ確認していくことが、後悔のない判断につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. PEファンドとは何ですか?
A. PEファンド(プライベートエクイティファンド)とは、上場していない企業の未公開株に投資し、経営に関与して企業価値を高めたうえで、株式の売却や上場によって利益を得ることを目指すファンドです。投資家から集めた資金を組合形式で運用し、数年単位で企業価値を高めてから回収(イグジット)する点が特徴で、原則としていつでも換金できる上場株式や公募投資信託とは仕組みが大きく異なります。
Q. PEファンドと私募ファンドの違いは何ですか?
A. PEファンドと私募ファンドは、PEファンドが「未公開株への経営関与型の投資」という投資対象・手法を指すのに対し、私募ファンドは「限られた相手にだけ勧誘する募集形態」を指す点で、そもそも並ぶ軸が異なります。別の切り口の言葉ですが、実際にはPEファンドの多くが少数の投資家から私募の形で資金を集めるため、両者は重なることも少なくありません。
Q. 個人でもPE・私募ファンドに投資できますか?
A. PE・私募ファンドは制度上、適格機関投資家などプロの投資家を中心に組成されており、一般の個人や事業会社が自由に参加できるものではありません。一般の投資家を一定数まで受け入れられる適格機関投資家等特例業務という枠組みはありますが、投資性金融資産が1億円以上といった属性の要件が政令・内閣府令で定められており、参加できる範囲は限られます。
Q. PE・私募ファンドの最低投資額の目安はいくらですか?
A. 最低投資額に法令上の一律の定めはなく、ファンドごとの組合契約で決められ、数千万円から数億円規模とされるのが一般的です。これは購入単位としての最低出資額であり、投資家の資格要件である「投資性金融資産1億円以上」とは別の基準なので、混同しないよう区別して確認する必要があります。
Q. 事業承継でPEファンドに会社を売却するメリット・デメリットは何ですか?
A. PEファンドへの売却は、従業員の雇用や取引関係を維持しながら創業者が保有株式を現金化でき、後継者不在の事業承継の出口になる点がメリットで、一方で経営権がファンドに移り、投資回収の期限に沿って経営目標が設定されるため経営の自由度が変わる点がデメリットです。売却額の水準や役員・従業員の処遇、売却後の関与の度合いといった条件を、丁寧にすり合わせることが欠かせません。
Q. 私募ファンドへの投資(出資)にはどんなリスクがありますか?
A. 私募ファンドへの出資では、10年前後の投資期間中は原則として途中で資金を引き出せない流動性の低さと、管理報酬・成功報酬という費用がリターンを目減りさせる点が主なリスクです。さらに出資約束額はキャピタルコールに応じて段階的に払い込むため、拘束されても支障のない範囲の資金で参加できるかを、事前に見極めておく必要があります。
Q. PEファンドとヘッジファンドはどう違いますか?
A. PEファンドは未公開企業に投資して経営に関与し数年かけて価値を高めるのに対し、ヘッジファンドは上場株式・債券・為替など市場性のある資産を対象に、短期売買も交えて相場の上下いずれの局面でも収益を狙う点が大きな違いです。どちらも私募の形で運営されることが多く募集形態は似ていますが、投資対象・保有期間・経営への関わり方という中身は別物です。
Q. PE・私募ファンドはどの提供主体に相談すればよいですか?
A. 相談先は目的によって変わり、事業承継の売却先ならバイアウト型、成長資金の調達ならベンチャー・グロース型、余剰資金の運用(LP出資)なら各運用会社が中心的な相手になります。一方で政府系ファンド(JIC・DBJ)や機関投資家向けの運用会社は一般企業向けの直接の申込窓口を設けていないことが多いため、まずは自社の目的に合うタイプを絞り込んだうえで、比較表や選定診断で候補を見極めるのが実務的です。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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