利益が積み上がるほど、法人税や地方税の負担は経営に重くのしかかります。手元に残る資金を増やすには、支払う税額を合法的に抑える計画づくり、いわゆるタックスプランニングが欠かせません。
ただ、国内の節税手法から海外展開に伴う国際税務まで論点は幅広く、「何から着手すべきか」「自社だけで進められるのか、専門家に依頼すべきか」で迷う場面は少なくありません。依頼するとしても、税理士法人や税務コンサルティングファームのどこが自社に合うのかは見えにくいものです。
この記事では、法人向けタックスプランニングの基本から、国内の主な節税手法と国際税務の選択肢、そして依頼先となるサービスの選び方までを整理します。
自社にどのタイプの依頼先が合うかは、記事内の選定診断で数問に答えるだけでも当たりを付けられます。読み進めながら、自社の状況に照らして確認してみてください。
目次
法人向けタックスプランニングとは
ここでは、タックスプランニングという言葉が指す範囲と、混同されがちな脱税・租税回避との違いを整理します。
タックスプランニングとは、法律が予定する範囲で税負担を軽くするために、事業計画にあわせて節税手法や税制優遇の活用を計画的に設計する取り組みです。単発の節税テクニックというより、いつ・どの制度を・どのように使うかを事業の見通しと結びつけて組み立てる点に特徴があります。
似た言葉に「脱税」と「租税回避」がありますが、性質は異なります。脱税は売上や所得を隠すなど法律に反して税を免れる違法行為で、追徴課税や罰則の対象になります。租税回避は、法律が想定していない形で税負担を減らす行為を指し、違法とは限らないものの、税務当局に否認されて課税されるリスクを伴います。
これらに対してタックスプランニング(節税)は、制度が本来認めている範囲で税負担を抑える適法な取り組みという位置づけです。
この線引きは、後述する「過度な節税の否認」のリスクとも関わります。合法的な範囲にとどめてこそ、税負担の軽減が経営にとって意味のあるものになります。
なぜ法人にタックスプランニングが必要か
続いて、タックスプランニングに取り組むことで法人が得られる効果を確認します。
第一の効果は、支払う税額を抑えて手元に残る資金を増やせることです。税制優遇や損金算入できる制度を計画的に使えば、同じ利益でも納税後のキャッシュフローが変わります。
第二に、納税額を事前に見通せることで、資金繰りが安定します。決算期の直前にあわてて対策するのではなく、期首から利益と税額を予測して手を打てるため、設備投資や賃上げといった経営判断とも整合させやすくなります。
第三に、適法な範囲で計画を立てておくことは、税務調査で否認されるリスクの低減にもつながります。行き当たりばったりの節税は、後から否認されて追徴課税を招くことがあるため、制度の趣旨に沿った設計そのものがリスク管理になります。
国内の主な節税手法・税制優遇の活用
ここからは、国内で活用できる代表的な節税手法・税制優遇を、対象となる企業とあわせて紹介します。いずれも制度の要件や期限があるため、自社が対象になるかは個別に確認が必要です。
前提として、法人税の基本的な税率は所得に対して23.2%とされ、資本金1億円以下の中小法人には所得年800万円以下の部分に軽減税率(15%)が設けられています。こうした税率構造を踏まえたうえで、次のような制度を組み合わせて負担を抑えるのが国内のタックスプランニングの基本です。

出典・参考資料(1件)
賃上げ促進税制(給与を増やした場合の税額控除)
従業員の給与を前年度より増やした中小企業者等が使えるのが、賃上げ促進税制です。国税庁の説明では、控除額は次のように定められています。
中小企業者等が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その事業年度において下記の「適用要件」を満たすときは、その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15パーセント(<上乗せ要件>を満たす場合には、最大45パーセント)相当額の法人税額の特別控除ができることとされています。
出典:No.5927-2 給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(中小企業者等における賃上げ促進税制)|国税庁
増やした給与等の一定割合を法人税額から直接差し引ける仕組みで、賃上げと節税を両立できる点が特徴です。控除額には調整前法人税額の20%という上限があり、上乗せ要件を満たすかどうかで控除率が変わります。大企業向けには控除率の異なる別の制度が用意されているため、自社がどちらの対象かを確認しておく必要があります。
中小企業投資促進税制(設備投資の特別償却・税額控除)
機械や装置などの設備投資を行った中小企業者等は、中小企業投資促進税制によって特別償却または税額控除を選べます。国税庁は、特別償却について「基準取得価額の30パーセント相当額」、税額控除について「基準取得価額の7パーセント相当額」と示しています。対象となる資産の例として、1台または1基の取得価額が160万円以上の機械および装置が挙げられています。
ただし、7%の税額控除を使えるのは資本金3,000万円以下の法人などに限られ、30%の特別償却より対象が狭くなります。どちらを選ぶかは、その年度の利益や今後の投資計画によって有利・不利が変わるため、シミュレーションのうえで判断するのが安全です。
出典・参考資料(1件)
経営セーフティ共済(倒産防止共済)の掛金の損金算入
取引先の倒産に備える経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)も、節税の文脈でよく使われます。中小機構は掛金と税務上の扱いを次のように説明しています。
掛金月額は5,000円~20万円まで自由に選べ、増額・減額できます。また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できます。
出典:経営セーフティ共済 制度の概要|独立行政法人 中小企業基盤整備機構
掛金をそのまま損金にできるため、利益が出た年度の負担軽減に使われます。ただし2024年(令和6年)10月以降のルール変更で、共済契約を解約して再加入した場合、解約日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金・必要経費に算入できなくなりました。節税目的で使う際は、この改正点を踏まえた運用が必要です。
出典・参考資料(1件)
このほかにも、役員報酬・役員退職金の適正な設計、決算賞与、少額減価償却資産の特例、欠損金の繰越控除、中小企業経営強化税制など、利益や事業計画に応じて使える打ち手があります。いずれも代表例であり、適用要件は個別に確認したうえで、専門家への相談が有効です。
海外展開に伴う国際税務の選択肢
海外に拠点を持つ、あるいは持とうとする企業では、国内の節税手法だけでなく国際税務が大きな論点になります。ここでは主要な選択肢を横断的に整理します。いずれも専門性が高く、実務では税理士や税務コンサルへの相談が前提になる領域です。
現地法人と支店の課税の違い
海外へ進出する形態は、大きく現地法人(子会社)を設立する方法と、支店を置く方法に分かれます。両者は課税の仕組みが異なり、税負担にも差が出ます。
現地法人は進出先の国で独立した法人として課税され、日本の親会社とは切り離して税金を計算します。一方、支店は日本本店と一体で課税されるため、現地で生じた損益が日本側の所得計算に影響します。一般には、現地が黒字であれば現地法人のほうが有利になりやすく、逆に立ち上げ期で赤字が続く局面では支店のほうが損益通算の面で使いやすい、という整理がよく用いられます。

ただし、どちらが有利かは進出先の税制・事業計画・資金の回収方針によって変わります。設立後の変更には手間もかかるため、進出形態は税務と経営の両面から早い段階で検討することが望まれます。
国別の法人税率と実効税率の読み方
進出先を検討する際、法人税率は判断材料の一つになります。ただし、表面的な法定税率だけを比べても実際の負担はつかめません。日本を例にとると、国税である法人税の基本税率は23.2%ですが、地方税を含めた実際の負担率はこれより高くなります。財務省は国・地方を合わせた実効税率の推移を次のように示しています。
ここでは日本を例に、法定税率と実効税率の違いと比べ方を示します。進出先ごとの具体的な税率は制度改正で変わるため、最新の公式資料や専門家で確認してください。
日本においては、2015年度・2016年度において、成長志向の法人税改革を実施し、税率を段階的に引き下げ、34.62%(2014年度(改革前))→32.11%(2015年度)→29.97%(2016・2017年度)→29.74%(2018年度~)となっている。
出典:法人課税に関する基本的な資料|財務省
ここでのポイントは、法定税率と実効税率を混同しないことです。海外の税率と比べるときは、地方税や社会保険料の負担まで含めた実質的なコストで見なければ判断を誤ります。実効税率はあくまで代表値であり、実際の負担は資本金・所得・所在する自治体によって変わる点にも注意が必要です。
出典・参考資料(1件)
移転価格税制で何が問題になるか
海外の関連企業と取引する場合に避けて通れないのが、移転価格税制です。財務省はこの制度の目的を次のように説明しています。
移転価格税制は、このような海外の関連企業との間の取引を通じた所得の海外移転を防止するため、海外の関連企業との取引が、通常の取引価格(独立企業間価格)で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度。
出典:移転価格税制の概要|財務省
海外の子会社との取引価格を通常と異なる水準に設定すると、利益を一方から他方へ移したとみなされ、課税上の問題になります。日本ではこの制度が租税特別措置法第66条の4に定められており、対象は原則として株式の50%以上を保有するなど特殊な関係にある国外の関連者との取引に限られます。国内取引や資本関係のない海外取引には適用されません。
取引価格が適正だったことを後から証明するには、文書化などの実務対応が必要になります。海外関連会社との取引がある企業は、移転価格の対応実績がある専門家に早めに相談しておくと安全です。
出典・参考資料(2件)
グローバルミニマム課税(第2の柱)の対象と影響
近年の国際課税で大きな動きとなっているのが、グローバルミニマム課税(第2の柱)です。財務省は対象と仕組みを次のように示しています。
年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,369億円)以上の多国籍企業が対象。適用除外所得以外の一定の所得について各国ごとに最低税率15%(注)以上の課税を確保する仕組み。
出典:グローバル・ミニマム課税の概要|財務省
軽課税国に子会社を置いて税負担を下げる動きに対し、各国で最低15%の課税を確保しようとする国際的な枠組みです。重要なのは対象範囲で、年間総収入金額が7.5億ユーロ以上の多国籍企業グループが対象となるため、多くの中堅・中小企業は直接の対象にはなりません。自社が大規模な多国籍グループに属する場合は、適用の有無と影響を専門家に確認しておく必要があります。
出典・参考資料(1件)
自社で進めるか、専門家に依頼するか
ここまで見てきた手法や制度を、自社だけで進めるか専門家に頼むか。その判断軸を整理します。
着手する順序としては、まず自社の利益水準と今後の見通しを把握し、使える国内の税制優遇から検討するのが基本です。賃上げや設備投資の予定があれば、それにひもづく優遇制度は社内でも把握しやすく、顧問税理士がいれば通常の申告業務のなかで対応できる範囲です。
一方で、自社だけで進めるには限界がある領域もあります。海外展開に伴う国際税務、事業承継や組織再編を見据えた税務設計、複数年にわたる税務戦略の立案などは、専門的な知識と経験が求められます。判断を誤ると否認や追徴のリスクが大きいため、これらは専門家への依頼が向きます。
目安としては、「制度を調べれば自社で対応できるか」「間違えたときの影響が大きいか」の2点で切り分けると考えやすくなります。定型的な申告や一般的な税制優遇は自社・顧問税理士で、専門性と金額の大きい論点は税務コンサルや専門ファームで、という組み合わせが現実的です。
事業承継やM&Aは税務設計だけで完結せず、後継者・相手先探しや企業価値の評価、資金調達といった実行面の支援も必要になります。税理士法人に加えて、M&Aアドバイザリーや金融コンサルまで相談先を見比べたい場合は、専門領域別に整理した以下の記事が参考になります。
依頼先のタイプと選び方
依頼を検討する場合、相談先となる税理士法人・税務コンサルにはいくつかの性格があります。ここでは自社の状況で選びやすいよう、タイプと選定の観点を整理します。
依頼先のタイプ
本記事で紹介する支援サービスは、依頼して解決したいことと自社の状況から、大きく2つのタイプに分けられます。
| タイプ | どんな支援か | 向いている企業 |
|---|---|---|
| 国際税務・グローバル対応に強いファーム | 海外進出形態の設計、移転価格、グローバルミニマム課税など、国境をまたぐ税務に強い。国際的なネットワークを持つ大手が中心 | 海外拠点を持つ、または進出を検討する大企業・中堅企業 |
| 国内の総合的な税務顧問・事業承継に強いファーム | 国内の顧問として、節税・税制優遇の活用から事業承継・組織再編まで継続的に伴走する | 国内中心に事業を営む中堅・中小企業、事業承継を見据えたオーナー企業 |
どちらのタイプが自社に合うかは、海外展開の有無と、単発の相談か継続的な伴走かによって変わります。国内中心なら、大手ファームだけでなく、中小企業に対応する国内総合型のファームや地域の税理士法人も選択肢になります。次の観点とあわせて検討してください。
選び方の観点
依頼先を比べるときは、次の観点で自社の課題に合うかを確認すると判断しやすくなります。
- 支援領域:国内の税務顧問なのか、国際税務・移転価格まで対応するのか、事業承継・組織再編・M&A税務に強いのか。自社が解決したい論点をカバーしているかが確認ポイントです。
- 対象企業規模:大企業・多国籍企業を主に扱うファームと、中堅・中小を中心に支援するファームでは、想定する体制も費用感も異なります。自社の規模に合う相手かを見極めます。
- 拠点網:海外案件が多いなら、進出先に対応できる海外拠点や提携ネットワークがあるかが重要です。国内中心なら、近くに相談できる拠点があるかが確認ポイントです。
- 料金体系:継続的な顧問契約か、テーマを絞ったスポットのコンサルティングか。多くのファームは個別見積りのため、想定する依頼範囲を伝えて見積もりを比べます。
- 専門家体制:税理士だけでなく、公認会計士や弁護士と連携できる体制があるかどうか。事業承継やM&Aなど法務も絡む論点では、連携の有無が進めやすさを左右します。
以下の診断では、自社の状況を選ぶだけで、自社に合うタイプと具体的な候補サービスを確認できます。
法人向けタックスプランニング支援サービスの比較
ここからは、タックスプランニングを支援する主なサービスを、タイプ別に比較します。各社とも料金は個別見積りが基本のため、支援領域や得意分野、対象企業規模から自社に合う相手を絞り込むのが現実的です。
国際税務・グローバル対応に強いファーム
まず、海外展開や国際税務の高度な論点に対応できるファームを比較します。
| サービス名 | KPMG税理士法人 | EY税理士法人 | PwC税理士法人 | デロイト トーマツ税理士法人 | 税理士法人フェアコンサルティング |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な支援領域 | 国内税務・国際税務・移転価格 M&A/組織再編・関税/間接税 | 国内・国際税務戦略・移転価格 BEPS2.0対応・M&A/組織再編ほか | 企業税務・国際税務・M&A税務・移転価格 事業承継・間接税・関税貿易 | 法人税務・国際税務・移転価格 M&A税務・事業承継・税務DX | 移転価格税制・タックスヘイブン対策税制 グローバル税務管理・海外進出/撤退支援 |
| 特に強い領域 | 大規模案件の租税負担の適正化 (製造業で3年間・数十億円規模の実績を公表) | グローバルミニマム課税(GloBE)対応 自社ツール・BEPS2.0のエンドツーエンド支援 | M&A税務・移転価格 (ITR World Tax 2026で法人税・移転価格の国内ティア1) | 税務DX(Intela/Connected Tax Services) 全国18都市の拠点網 | 移転価格・国際税務に特化 (税理士法人単体で19の国と地域に拠点) |
| 対象企業規模の目安 | グローバル展開する大企業・中堅企業 外資系企業の日本子会社 | 多国籍展開する大企業・中堅企業 | クロスボーダー取引・M&Aを行う法人 オーナー企業 | 多国籍展開する中堅〜大企業 | 海外取引のある大企業〜中小企業 日本進出の外国法人 |
| 拠点網(国内・海外) | 国内6拠点(東京・名古屋・京都・大阪・広島・福岡) 海外はKPMG(世界142の国と地域)と連携 | 国内5拠点(東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄) 海外はEYグローバルネットワークと連携 | 国内4拠点(東京・名古屋・大阪・福岡) 海外はPwC(136カ国)と連携 | 国内18都市 海外はDTTL(150超の国・地域)と連携 | 国内は東京(本社) 海外19カ国・地域に拠点 |
| 料金体系 | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社の公式サイトが公表する情報にもとづく整理です。支援領域や拠点網は時点により変わることがあり、料金はいずれも非公開のため個別見積りとなります。自社が対象になるか・最新の内容は各社にご確認ください。
国内の総合的な税務顧問・事業承継に強いファーム
次に、国内中心に顧問として幅広く伴走するファームを比較します。
| サービス名 | 辻・本郷 税理士法人 | 税理士法人山田&パートナーズ | ベリーベスト税理士法人 |
|---|---|---|---|
| 主な支援領域 | 法人税務顧問・事業承継・組織再編 国際税務・移転価格・M&A支援(グループ連携) | 事業承継・M&A・組織再編・資本政策 税務顧問・資産税・国際税務 | 法人税務顧問・経理代行・事業承継 国際税務顧問・M&A・タックスプランニング |
| 特に強い領域 | 事業承継・税務調査対応 (審理室:元国税局長・元国税調査官など50名以上) | 事業承継(親族内・親族外の両対応) 組織再編 | 士業横断のワンストップ(弁護士連携) 適法な節税プランの設計 |
| 対象企業規模の目安 | 中小企業〜上場会社 医療法人・公益法人など | 中堅・中小のオーナー企業〜大企業 資産家個人 | 中小企業に対応 (オンラインで地方も対応) |
| 拠点網(国内・海外) | 国内80カ所以上 海外7カ所(アジア・米国) | 国内20拠点・海外10拠点 (アジア・北米中心) | 税理士事務所5拠点 グループ全国76拠点(国内中心) |
| 料金体系 | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) | 個別見積り(要問い合わせ) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社の公式サイトが公表する情報にもとづく整理です。支援領域や拠点網は時点により変わることがあり、料金はいずれも非公開のため個別見積りとなります。自社が対象になるか・最新の内容は各社にご確認ください。
各サービスの紹介
比較表で挙げたサービスを、タイプごとに個別に紹介します。自社の課題と照らし合わせながら、相談先の候補を検討してください。
国際税務・グローバル対応に強いファーム
海外拠点や国際税務の専門性を重視する場合の候補です。
1. KPMG税理士法人(KPMGジャパン)

KPMGインターナショナルの日本におけるメンバーファームで、国内税務・国際税務・移転価格などを分野別の専門チームが扱う税理士法人です。東京・名古屋・京都・大阪・広島・福岡の6拠点を構え、グローバル展開する日本企業や外資系企業の日本子会社を主な対象としています。
国際取引の移転価格では、各国のKPMG移転価格チームと連携して対応します。製造業向けのグローバルタックスプランニング支援では、約70件の施策案から約20件を実装し、3年間で数十億円規模の租税負担の適正化につなげた事例を公式に公表しています。
顧問料・スポット費用はいずれも公表されておらず、案件ごとの個別見積り(要問い合わせ)となります。
2. EY税理士法人(EY Japan)

国内税務戦略(企業税務アドバイザリー)と国際税務戦略(タックスプランニング)を2つの軸に、移転価格やBEPS2.0(国際的な税源浸食防止の枠組み)対応、M&A税務まで幅広い領域を扱うのがEY税理士法人です。アーンスト・アンド・ヤングのメンバーファーム(EY Japan)で、東京・大阪・名古屋・福岡・沖縄の5拠点を持ち、日本語と英語に対応します。
移転価格では3層文書化や事前確認(APA)に加え、グローバルミニマム課税(GloBEルール)への対応まで個別のメニューを用意しています。BEPS2.0対応では、GloBEルールの管理を支援する自社ツール「EY GloBEテクノロジー」も提供しています。
料金は公式サイトに掲載がなく、支援範囲に応じた個別見積りです。
3. PwC税理士法人(PwC Japanグループ)

企業税務から国際税務、M&A税務、移転価格、事業承継、間接税・関税貿易まで、単一の法人で幅広い区分をカバーするのがPwC税理士法人です。PwCグローバルネットワークのメンバーファームで、東京・名古屋・大阪・福岡の4拠点を構えています。
クロスボーダー案件では各国のPwCメンバーファームと連携する体制をとります。第三者評価機関ITR World Taxの2026年版では、法人税と移転価格の2区分で国内ティア1と評価されました。企業の税務機能の一部を担うタックス・マネージド・サービスも展開しています。
費用は依頼範囲によって変わり、個別見積り(要問い合わせ)となります。
4. デロイト トーマツ税理士法人(デロイト トーマツ グループ)

全国18都市に拠点を構えるデロイト トーマツ税理士法人は、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(DTTL)加盟の日本メンバーファームです。人員数は1,160名(2026年5月末時点)で、法人税務・国際税務・移転価格・M&A税務・事業承継まで税務領域を横断して支援します。
税務DXにも取り組んでおり、税額計算から申告書作成、税務相談、税務調査対応までを単一プラットフォーム「Intela」に集約するConnected Tax Servicesを2024年5月に提供開始しました。事業承継は、現状分析から詳細検討、実行・モニタリングまでの3段階で対応します。
料金表の掲載はなく、案件ごとの個別見積りです。
5. 税理士法人フェアコンサルティング(フェアコンサルティンググループ)

移転価格税制・外国子会社合算税制・グローバル税務管理を主軸とする、国際税務専門の税理士法人です。総合系の大手ファームとは異なり国際税務と移転価格に絞り込んでおり、税理士法人単体で19カ国・地域に拠点を持ちます。
移転価格は、文書化(ローカルファイル・マスターファイル・国別報告書=CbCレポート)から事前確認(APA)・相互協議、調査対応までを一貫して扱います。海外進出や撤退・清算のコンサルティングは、顧問契約とスポット契約の両方に対応します。年間の相談・助言実績は300件以上、累計の顧問契約は150社以上(いずれも2025年6月時点、公式サイト)としています。
料金は非公開で、依頼内容に応じた個別見積り(要問い合わせ)となります。
国内の総合的な税務顧問・事業承継に強いファーム
国内中心の顧問や事業承継の相談先を探す場合の候補です。
6. 辻・本郷 税理士法人(辻・本郷グループ)

辻・本郷 税理士法人は2002年設立の税理士法人で、法人税務顧問を軸に、事業承継・組織再編・国際税務・移転価格まで税務を中心とした総合コンサルティングを手掛けます。中小企業から上場会社・医療法人・公益法人まで顧客層は幅広く、全国に80カ所以上の拠点を持ちます。
税務調査への備えとして、元国税局長や元国税調査官など50名以上で構成する専門部署「審理室」を置き、申告書のチェックから税務調査・不服申立ての対応までを担う体制です。グループ内には弁護士法人・社労士法人・司法書士法人があり、法務・労務・登記まで連携できます。
顧問料は公式サイトに料金表がなく、要問い合わせとなります。事業承継コンサルティングも「会社によって対応範囲が大きく異なる」として個別見積り制です。中小企業庁のM&A支援機関にも登録しており、M&A支援はグループ会社と連携して提供します。
7. 税理士法人山田&パートナーズ(山田&パートナーズグループ)

1981年設立の税理士法人山田&パートナーズは、法人向けに事業承継・M&A・組織再編・資本政策・税務顧問を、個人向けに相続・資産税・国際相続を扱います。パートナー59名を含む1,033名体制(2026年1月時点)で、うち約8割を税理士・公認会計士などの専門職が占めます。
事業承継は、親族内承継(後継者育成と自社株評価・株式移転)と親族外承継(M&A・IPO・経営陣や従業員による買収)の両方をメニューに持ち、認定経営革新等支援機関として事業承継税制の特例適用にも対応します。2024年10月〜2025年9月には法人顧問2,867件、相続・事業承継コンサルティング1,491件の実績を公表しています。
グループ内の社会保険労務士法人・弁護士法人・行政書士法人と連携し、労務・法務・許認可までワンストップで補完します。海外はアジア・北米を中心に拠点を持ち、移転価格やタックスヘイブン対策税制など国際税務のメニューもそろえます。料金は公式に非公開で、案件ごとの個別見積りとなります。
8. ベリーベスト税理士法人(ベリーベストグループ)

弁護士・税理士・社会保険労務士などが同じグループに在籍し、士業横断で連携するのがベリーベスト税理士法人です。ベリーベストグループの税務系法人として、法人税務顧問・経理代行・事業承継・国際税務顧問などを、法人・資産税・国際税・FAS・監査の5部門制で提供します。
強みに掲げる弁護士連携では、グループに約440名の弁護士が在籍します(2026年4月時点。企業法務・個人法務を含むグループ全体の人数です)。タックスプランニングでは、役員報酬の最適化・退職金の活用・契約書の見直しによる売上計上時期の調整などを、税理士が中心となり必要に応じて弁護士が連携して提案します。
顧問料は非公開で、内容のヒアリングを経て個別に見積もる仕組みです。初回相談は30分無料(法人格のない個人事業主は有料)で、顧問契約は540社以上(2026年5月時点)。税理士事務所単体は東京本店・さいたま・大阪など5拠点で対応します。
タックスプランニングの費用感と依頼の進め方
依頼を検討するうえで気になる費用感と、相談から実行までの流れを整理します。
費用は大きく、継続的に依頼する顧問契約と、テーマを絞って依頼するスポットのコンサルティングに分かれます。顧問契約は月額で継続的に相談・申告支援を受ける形が中心で、スポットは事業承継や国際税務など特定の課題ごとに見積もる形が一般的です。
見積り額は、企業規模(売上や資本金)、海外拠点の数や国外取引の件数、依頼範囲が顧問かスポットか、扱う論点の専門性(移転価格や事業承継など)といった要素で大きく変わります。多くのファームが料金を非公開としているのは、こうした条件次第で金額の幅が大きいためです。
依頼の流れは、問い合わせと初回相談で課題と現状を共有し、支援範囲と費用の見積りを受けて契約、その後に現状分析・プランの設計・実行支援へと進むのが一般的です。相談の段階で、自社の利益水準・海外展開の有無・解決したい論点を整理して伝えておくと、見積りと提案の精度が上がります。同じ条件を複数社に示すと、相見積りを比べやすくなります。
タックスプランニングの注意点
最後に、進めるうえで押さえておきたい注意点を確認します。
もっとも重要なのは、適法な範囲にとどめることです。制度の趣旨から外れた過度な節税は、税務調査で否認され、追徴課税や加算税を招くおそれがあります。目先の税額を減らすことだけを目的にすると、かえって将来のコストとリスクを高めかねません。
また、税制は毎年のように改正されます。前述の経営セーフティ共済の再加入時のルール変更のように、これまで有効だった手法が制限されることもあります。最新の制度にもとづいて判断するためにも、専門家の関与や公式発表・条文などの確認が欠かせません。
節税とキャッシュフローのバランスにも注意が必要です。税額を抑えるために支出を増やしても、手元資金が減っては本末転倒です。税負担の軽減は、あくまで健全な経営とキャッシュフローを保つための手段として位置づけることが大切です。
反対に、決算後の法人税・消費税の納付額が一時的に手元資金を上回りそうな場合は、融資などで納税資金を確保できるかどうかも選択肢として押さえておくと安心です。税目ごとの借りやすさや借入先の違いは、以下の記事で整理しています。
まとめ
法人向けタックスプランニングは、国内の節税手法・税制優遇の活用から、海外展開に伴う国際税務まで、幅広い論点を計画的に組み立てる取り組みです。まずは自社の利益水準と使える制度を把握し、専門性と金額の大きい論点は税理士法人・税務コンサルに相談する、という切り分けが現実的です。
依頼先は、海外展開の有無と、単発か継続かによって向くタイプが変わります。支援領域・対象規模・拠点網・料金体系・専門家体制の観点で、自社の課題に合う相手を選んでください。まずは気になるファームの情報を見比べ、初回相談などで自社の課題を相談することから始めるとよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 法人向けタックスプランニングとは何ですか?
A. 法人向けタックスプランニングとは、法律が予定する範囲で税負担を軽くするために、事業計画にあわせて節税手法や税制優遇の活用を計画的に設計する取り組みです。単発の節税テクニックというより、いつ・どの制度を・どのように使うかを事業の見通しと結びつけて組み立てる点に特徴があります。国内の節税・税制優遇の活用から、海外展開に伴う国際税務まで幅広い論点を含みます。
Q. タックスプランニング(節税)は脱税や租税回避とどう違いますか?
A. タックスプランニング(節税)は、制度が本来認めている範囲で税負担を抑える適法な取り組みである点で、脱税や租税回避とは性質が異なります。
脱税は売上や所得を隠すなど法律に反して税を免れる違法行為で、追徴課税や罰則の対象になります。租税回避は法律が想定していない形で税負担を減らす行為を指し、違法とは限らないものの、税務当局に否認されて課税されるリスクを伴います。合法的な範囲にとどめることが、税負担の軽減を経営にとって意味あるものにする前提です。
Q. 法人向けタックスプランニングで使える国内の節税手法にはどんなものがありますか?
A. 国内では、賃上げ促進税制・中小企業投資促進税制・経営セーフティ共済(倒産防止共済)といった税制優遇や損金算入できる制度を、事業計画にあわせて組み合わせるのが基本です。賃上げ促進税制は増やした給与等の一定割合を法人税額から控除でき、中小企業投資促進税制は設備投資について特別償却または税額控除を選べます。経営セーフティ共済は掛金を損金に算入できます。
いずれも要件・期限があり、経営セーフティ共済では令和6年10月以降の再加入時に損金算入が制限されるなど改正もあるため、自社が対象になるか・最新の内容は個別に確認が必要です。
出典・参考資料(3件)
Q. 海外進出先は法人税率が低い国を選べば節税になりますか?
A. 法人向けタックスプランニングでは、法人税率が低い国を選ぶだけで税負担が下がるとは限りません。表面的な法定税率だけでなく、地方税なども含めた実質的な負担で見る必要があります。日本を例にとると、国税である法人税の基本税率は23.2%ですが、国・地方を合わせた実効税率は2018年度以降おおむね29.74%で、法定税率より高くなります。
加えて軽課税国の利用には移転価格税制やタックスヘイブン対策税制、グローバルミニマム課税といった規制が関わるため、進出形態(現地法人か支店か)や事業計画とあわせて国際税務に強い専門家と検討するのが安全です。
出典・参考資料(1件)
Q. グローバルミニマム課税の対象になるのはどんな企業ですか?
A. グローバルミニマム課税(第2の柱)の対象は、年間総収入金額が7.5億ユーロ(約1,369億円)以上の多国籍企業グループです。適用除外所得以外の一定の所得について、各国ごとに最低税率15%以上の課税を確保する仕組みで、この規模に満たない多くの中堅・中小企業は直接の対象にはなりません。自社が大規模な多国籍グループに属する場合は、適用の有無と影響を専門家に確認しておくことをおすすめします。
出典・参考資料(1件)
Q. 移転価格税制はどんな取引に適用されますか?
A. 移転価格税制は、株式の50%以上を保有するなど特殊な関係にある国外の関連者との取引に原則として適用されます(租税特別措置法第66条の4)。海外の関連企業との取引価格を通常と異なる水準に設定すると、利益を一方から他方へ移したとみなされ、課税上の問題になります。国内取引や資本関係のない海外取引には適用されません。
取引価格が適正だったことを後から証明するには文書化などの対応が必要になるため、海外関連会社との取引がある企業は対応実績のある専門家に早めに相談すると安全です。
出典・参考資料(2件)
Q. タックスプランニングは自社で進めるべきですか、専門家に依頼すべきですか?
A. 法人向けタックスプランニングは、定型的な申告や一般的な税制優遇は自社・顧問税理士で、専門性と金額の大きい論点は税務コンサルや専門ファームに依頼するという切り分けが現実的です。「制度を調べれば自社で対応できるか」「間違えたときの影響が大きいか」の2点で判断すると考えやすくなります。
賃上げや設備投資にひもづく優遇制度は社内でも把握しやすい一方、海外展開に伴う国際税務や事業承継・組織再編の税務設計は否認・追徴のリスクが大きく、専門家への依頼が向きます。
Q. 法人向けタックスプランニングの依頼先はどう選べばよいですか?
A. 依頼先は、支援領域・対象企業規模・拠点網・料金体系・専門家体制の5つの観点で、自社の課題に合うかを確認すると選びやすくなります。海外案件が多いなら国際税務・移転価格に強く海外拠点や提携ネットワークを持つファーム、国内の顧問や事業承継が中心なら国内で幅広く伴走するファームが向きます。
単発のスポット相談か継続的な顧問契約かによっても適した相手が変わるため、想定する依頼範囲を伝えて複数社を比較するのがおすすめです。
Q. タックスプランニングを税理士法人に依頼する費用の目安はどのくらいですか?
A. 費用は、継続的に依頼する顧問契約と、テーマを絞って依頼するスポットのコンサルティングに大きく分かれます。多くの税理士法人・税務コンサルは料金を非公開とし、企業規模や依頼範囲に応じた個別見積りとしています。
顧問契約は月額で継続的に相談・申告支援を受ける形が中心で、スポットは事業承継や国際税務など特定の課題ごとに見積もる形が一般的です。金額に幅があるため、複数社に同じ条件で相談して比べるのが確実です。
Q. 節税をやりすぎると税務調査で否認されることはありますか?
A. 法人向けタックスプランニングでは、制度の趣旨から外れた過度な節税は、税務調査で否認され、追徴課税や加算税を招くおそれがあります。目先の税額を減らすことだけを目的にすると、かえって将来のコストとリスクを高めかねません。また税制は毎年のように改正され、これまで有効だった手法が制限されることもあります。最新の制度にもとづき適法に計画するには、専門家の関与や公式発表・条文の確認が欠かせません。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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