請求書や納品書、手書きの申込書といった紙の帳票を、担当者が目で見て一文字ずつ入力する。この作業に毎月まとまった工数を取られ、転記ミスの確認にも時間がかかっているという声は、バックオフィスの現場で今も絶えません。AI-OCR(AIによる文字認識)は、こうした紙やPDFの帳票をデータに変換し、入力業務を自動化する手段として導入が広がっています。
一方で、AI-OCRと名の付くサービスは数多く、読み取り精度や対応できる帳票、料金体系、既存システムとの連携方式は製品ごとに大きく異なります。自社の帳票の種類や処理量に合わないものを選ぶと、「結局は手直しばかりで工数が減らない」という事態にもなりかねません。では、何を基準に比較し、自社に合う一本をどう見極めればよいのでしょうか。
本記事では、主要なAI-OCRサービス21製品を、読み取り精度・対応帳票・料金・連携・提供形態といった観点で横断的に比較します。汎用型・大量処理/オンプレミス要件型・特定帳票特化型・オペレーター補正/BPO併用型・帳票設計不要型という5つのタイプに整理し、自社がどのタイプに向くかを判断できる構成にしました。
また、自社の帳票や処理量の条件を選ぶだけで向いているタイプと候補が絞り込める「AI-OCR選定診断ツール」も用意しています。タイプを押さえたうえで候補を絞り込む出発点としてご利用ください。
目次
AI-OCRとは?従来のOCRとの違い
ここでは、比較の土台として、AI-OCRの基本と従来のOCRとの違いを整理します。
AI-OCRは、紙やPDFの帳票に記載された文字を読み取ってデータ化する技術に、AI(人工知能)を組み合わせたものです。従来のOCR(Optical Character Recognition:光学的文字認識)は、あらかじめ定義したレイアウトや活字を前提に読み取ります。これに対しAI-OCRは、ディープラーニングによって手書き文字やレイアウトの異なる帳票にも柔軟に対応できる点が大きく異なります。
従来のOCRは、決められた位置に印字された活字を読むことは得意でも、帳票のフォーマットが変わったり手書きが混ざったりすると認識が難しくなりがちでした。AI-OCRは学習によって文字の癖や崩れをある程度吸収し、取引先ごとに様式が異なる請求書や、担当者が手書きした注文書のような非定型・手書きの帳票にも対応の幅を広げています。読み取り結果を人が修正したデータを学習させ、精度を高めていく製品もあります。
AI-OCRはあくまで「文字を読み取ってデータ化する」技術であり、読み取ったデータを使ってPC上の入力作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)とは役割が異なります。両者を連携させ、AI-OCRで読み取ったデータをRPAが基幹システムへ登録するといった形で組み合わせると、入力業務全体を自動化しやすくなります。
AI-OCRの読み取り精度と手書き・非定型帳票への対応
ここからは、導入前に多くの担当者が気にする「実際どこまで正確に読めるのか」を確認します。
多くのAI-OCRサービスは、活字帳票で95%以上の正読率を訴求しています。ただし、これらの数値は各社が自社の検証条件で公表した訴求値であり、実際の精度は帳票の印字品質・文字の種類(活字か手書きか)・スキャン画像の鮮明さによって変わります。
同じ製品でも、きれいな活字の請求書と、癖のある手書きの申込書とでは読み取り結果が異なるため、公表値をそのまま自社の帳票に当てはめて考えるのは避けたほうがよいでしょう。
手書き文字への対応は、AI-OCRが従来OCRと差別化する中心的な要素です。とはいえ、極端に崩れた文字や、枠からはみ出した記入、かすれたFAX画像などは、AIでも読み取りが難しくなります。取引先ごとに様式が違う非定型帳票では、どの位置にどの項目があるかをAIが推定する必要があり、レイアウトの学習や項目の指定が精度を左右します。
公表値は各社が自社の検証条件で示す訴求値のため、数値をそのまま並べても単純には比較できません。運用に耐える実用精度は、読み取れなかった残り数%をどう確認・修正するかで決まります。具体的にどんな機能を見ればよいかは、後述の選び方で整理します。導入前には、自社で実際に使っている帳票を無料トライアルで読み取らせ、精度と修正のしやすさを確かめることをおすすめします。
AI-OCRの選び方・比較ポイント(7つの軸)
ここでは、比較表を読む前に押さえておきたい選定の軸を7つ紹介します。自社の帳票や体制に当てはめながら確認してください。
読み取り精度と認識率を高める機能は十分か
公表されている正読率だけでなく、精度を運用のなかで高める仕組みがあるかを確認しましょう。信頼度の低い文字をハイライトして確認を促す機能、読み取り結果の修正をAIが学習して次回以降に反映する仕組み、傾きやゆがみを補正する前処理などが該当します。自社の帳票が手書き中心なのか活字中心なのかによって、重視すべき機能は変わります。
対応する帳票の種類(手書き・非定型・縦書き)は自社に合うか
読み取りたい帳票が、定型か非定型か、活字か手書きか、縦書きを含むかを整理し、それに対応する製品かを確認しましょう。定型帳票に特化して高精度を出す製品もあれば、取引先ごとに様式が異なる非定型帳票を得意とする製品もあります。自社の帳票の8割を占める様式を確実に読めるかどうかが、実務での効果を大きく左右します。
料金体系は定額か従量か(初期費用と課金方式)
AI-OCRの料金は、月額基本料に一定枚数までを含む定額型と、読み取り枚数やページ数に応じて課金する従量型に大きく分かれます。処理量が月ごとに変動する場合は従量型、安定して大量に処理する場合は定額型が割安になりやすい傾向があります。
初期費用の有無や、オプション機能・連携機能が別料金かどうかも含めて、月間の想定処理量で総額を試算して比較しましょう。具体的な費用感は後述の料金相場で処理枚数帯ごとに解説します。
システム・RPA・会計/基幹システムと連携できるか
AI-OCRで読み取ったデータを、その後どこに渡すかを想定して連携方式を確認しましょう。CSV出力に対応していれば多くのシステムに取り込めますが、会計ソフトや基幹システムへ自動で流し込みたい場合は、API連携やRPA連携、対象システム向けの専用フォーマット出力に対応しているかが判断材料になります。
リアルタイムでのデータ同期が必要な業務では、APIの応答速度や提供されるエンドポイントの種類も選定基準に加わります。
修正・オペレーター補正(BPO)で運用精度を担保できるか
AIの読み取りだけでは目標精度に届かない帳票がある場合、人による確認・修正をどこまで組み込めるかが重要です。自社で修正する前提の製品もあれば、提供事業者側のオペレーターが目視で確認・入力代行し、高い実用精度を保証するBPO併用型のサービスもあります。修正にかかる工数まで含めて費用対効果を考えると、単純な読み取り単価だけでは比較しきれません。
提供形態・セキュリティ・電子帳簿保存法に対応できるか
クラウド型は導入が手軽で更新も自動ですが、機微な情報を外部に送信できない場合は、オンプレミス型やLGWAN対応の製品を検討します。自治体や金融機関では、データを外部に出さない構成が求められることがあります。
請求書や領収書などの証憑をスキャナ保存する場合は、電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)のスキャナ保存要件を満たす運用が必要です。国税庁の示す要件では、読み取りは解像度200dpi(1インチあたり200ドット)以上・原則カラーで行うこととされています。
令和5年度の税制改正で、保存時に解像度・階調・大きさに関する情報を保持する義務は不要となりましたが、読み取り時に200dpi以上とする要件そのものは継続しています。AI-OCRを証憑保存とあわせて使う場合は、この要件を満たすスキャン環境かどうかを確認しておくと安心です。
出典・参考資料(1件)
スキャナ保存の要件は解像度だけでなく、入力期間の制限やタイムスタンプ、検索機能の確保、読み取り後の原本(紙)を廃棄してよい条件など複数の項目にわたります。AI-OCRで読み取った証憑をそのまま電子保存する前提で選ぶ場合は、次の記事で要件の全体像と原本廃棄の条件を確認しておくと、各サービスが自社の保存運用に合うかを判断しやすくなります。
無料トライアル・サポート体制は十分か
多くのAI-OCRは無料トライアルを提供しており、自社の帳票で精度と操作性を試せます。導入判断の前に、実際に使う帳票で検証することが、選定の失敗を避ける近道です。あわせて、導入時の初期設定支援や、非定型帳票の読み取り設定に関するサポートの手厚さも確認しておくと、運用開始後の負担を抑えられます。
タイプ別に見るAI-OCR(自社に合うのはどのタイプか)
AI-OCRは、得意とする帳票や運用形態によっていくつかのタイプに分けられます。ここでは自社がどのタイプに向くかを判断できるよう、5つのタイプに整理して紹介します。

汎用型(多様な帳票をまず自動化したい)
定型・非定型を問わず幅広い帳票に対応し、まずは手元の紙業務を自動化したい企業に向くタイプです。クラウドで手軽に始められる製品が多く、中小〜中堅企業がスモールスタートしやすいのが特徴です。近年は、生成AIに近い技術を取り入れて非定型帳票の柔軟な読み取りを強化する製品も登場しています。
大量処理・オンプレミス要件型
大量の帳票を安定して処理したい、あるいはデータを外部に出さないオンプレミス環境で運用したい企業に向くタイプです。自治体や金融機関など、セキュリティ要件が厳しい現場や、処理枚数が非常に多い業務で選ばれます。買い切りや定額で枚数無制限に使える製品もあります。
特定帳票・業務特化型
請求書や注文書など、特定の帳票に最適化されたタイプです。あらかじめ対象帳票の項目を学習しているため、初期設定の手間が少なく、高い精度で読み取れます。すでに定型化された特定業務を効率化したい場合や、既存の会計・購買フローへ差し込みたい場合に向きます。
オペレーター補正・BPO併用型
AIの読み取りに、提供事業者側のオペレーターによる目視確認・入力代行を組み合わせ、高い実用精度を担保するタイプです。手書きや品質のばらつく帳票が多く、自社で修正する体制を持ちたくない企業に向きます。読み取りから確認までを任せられる分、料金は枚数や項目に応じた設計になりやすいのが特徴です。
帳票設計不要・現場展開重視型
帳票ごとの読み取り位置を細かく定義しなくても使い始められ、現場に展開しやすいタイプです。撮影画像のばらつきに強い補正機能を備えたり、低価格で少人数から導入できたりと、導入・運用の手軽さを重視します。IT専任者が少ない部門や、まず小さく試したい現場に向きます。
自社がどのタイプに近いか迷う場合は、以下の診断ツールで帳票の種類や処理量などを選ぶと、向いているタイプと候補サービスを絞り込めます。
自社に合うAI-OCRのタイプを診断する
【比較表】主要AI-OCRサービスを一覧で比較
ここからは、主要なAI-OCR21サービスをタイプ別に比較します。読み取り精度・対応帳票・料金形態・システム連携・オペレーター補正・提供形態・無料トライアルの観点で整理しました。まずはタイプごとの比較表で全体像をつかみ、気になるサービスは個別紹介で詳細を確認してください。
汎用型のAI-OCR比較
| サービス名 | DX Suite | SmartRead | CaptureBrain | CLOVA OCR | Google Cloud Document AI | Tegaki | AIよみと〜る |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 読み取り精度 | 99.6% (公式訴求) | 99.22% (公式訴求) | 要確認 | 要確認 | 要確認 (構造抽出型) | 99.22% (手書き・研究結果/初回保証値ではない) | 全体96.71% (NTT東日本の3社トライアル) |
| 対応帳票(手書き/非定型) | 手書き・活字 非定型対応 | 手書き・活字 非定型・文書仕分け | 手書き(Tegaki)・活字 チェックボックス等 | 印刷・手書き 請求書等の特化テンプレート | 印刷・手書き 多言語・構造/テーブル抽出 | 手書き・活字 (手書き主体) | 手書き・活字 帳票仕分け(オプション) |
| 料金形態 | 初期20万円(無料枠20万円分込み) 月額4万円〜(Lite) | 初期0円 月額3万円〜 | 月額3万円〜(Small)/15万円(Enterprise) 初期費用は要問い合わせ | 初期0円(Reader) プラン提案型(要問い合わせ) | 初期0円 従量:1,000ページ$1.50〜(別途GCP・開発費) | 年額36万円〜(月1,500枚相当) 初期費用は要問い合わせ | 月額10万円〜(税抜・基本料) 6万項目超で従量課金 |
| システム・RPA連携 | CSV出力 RPA・基幹連携 | CSV出力・API連携 | CSV出力 | CSV・API連携 | REST/gRPC API データ基盤統合 | CSV等で出力 | おまかせRPA連携 (データ投入自動化) |
| 修正・オペレーター補正 | ×(自社で確認・修正) | ×(自社で確認・修正) | ×(自社で確認・修正) | ×(自社で確認・修正) | ×(自社側で実装) | ×(自社で確認・修正) | ×(自社で確認・修正) |
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス | クラウド | クラウド | クラウド | クラウド(API) | クラウド/オンプレミス | クラウド |
| 無料トライアル | ●(期間は要確認) | ●(乗り換え施策等) | 要確認 | ●(30日間) | ●(GCP無料枠) | 要確認 | 要確認 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
「修正・オペレーター補正」欄の記号は次の意味です。◎=AI読み取りにオペレーターの確認・入力代行が含まれる/●=オプションで人手補正に対応/△=一部の連携で限定的に対応/×=自社で確認・修正。以降の各表も同じ凡例で示します。
読み取り精度は各社が公表する値(自社の検証条件による訴求値・研究結果・トライアル結果など、出所は各社で異なります)で、帳票品質や測定条件により実際の精度は変わります。数値をそのまま横並びで優劣を比較せず、各セルの条件とあわせてご確認ください。「要確認」は公式の数値が公表されていないことを示します。以降の各表の精度値も同じ扱いです。
大量処理・オンプレミス要件型のAI-OCR比較
| サービス名 | DynaEye 11 | AnyForm OCR | AIRead | ABBYY FlexiCapture | FormOCR | Prexifort-OCR |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 読み取り精度 | 要確認 | 99.97% (印刷・活字、公式訴求) | 要確認 | 要確認 | 要確認 (多エンジン構成) | 要確認 (手書きも高精度と訴求) |
| 対応帳票(手書き/非定型) | 手書き(クセ字・はみ出し)・活字 非定型対応 | 活字・手書き 多様な様式(受注/請求) | 手書き・活字 定型/非定型対応 | 活字・手書き 非定型・多言語(IDP) | 手書き・活字 バーコード/QR・既存帳票対応 | 手書き・活字 定型帳票(黒枠対応) |
| 料金形態 | 初期201.6万円(税別)〜 次年度〜年額33.6万円・枚数無制限 | 要問い合わせ(構成別見積り) | オンプレ 初期120万円(税別)〜 クラウド 初期0円・年額12万円〜 | 要問い合わせ(個別見積り) | 個別見積り(要問い合わせ) AI-OCRは定額制と訴求 | 個別見積り(要問い合わせ) |
| システム・RPA連携 | 要確認 | 受注/請求システム連携 マスタ参照 | Wagby・Waha! Transformer連携 業務システム組み込み | 業務システム連携 SDKで組み込み | CSV/テキスト出力 | RPA(WinActor)連携 各種スキャナ・APIライブラリ |
| 修正・オペレーター補正 | ×(自社で確認・修正) | ×(ベリファイアで自社確認) | ×(自社で確認・修正) | ×(検証は自社ワークフロー) | ×(自社で確認・修正) | ×(確認・修正画面を組込) |
| 提供形態 | オンプレミス/スタンドアロン | インストール型(オンプレ) | オンプレ/クラウド/LGWAN | オンプレ/クラウド/SDK | オンプレミス | オンプレミス志向 |
| 無料トライアル | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 | 要確認 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
特定帳票・業務特化型のAI-OCR比較
| サービス名 | スマートOCR(請求書) | invoiceAgent AI OCR |
|---|---|---|
| 読み取り精度 | 全体99.8% (請求書単独・測定条件は非公表/公式訴求) | 要確認 (複数エンジン比較で精度向上を訴求) |
| 対応帳票(手書き/非定型) | 請求書ほか20種以上 非定型・手書き対応 | 活字・手書き 定型/非定型・多言語 |
| 料金形態 | 初期10万円 月額3万円〜(SDクラウド・300枚まで) | 初期0円 月額3万円〜(Entry)/上位25万円〜 |
| システム・RPA連携 | API・Salesforce RPA・会計連携 | WebAPI・RPA連携 |
| 修正・オペレーター補正 | ×(自社で確認・修正) | ×(自社で確認・修正) |
| 提供形態 | クラウド/オンプレミス(4形態) | クラウド/オンプレミス |
| 無料トライアル | △(サンプル帳票検証は無償) | 要確認 |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | 公式サイト |
オペレーター補正・BPO併用型のAI-OCR比較
| サービス名 | eas(イース) | LAQOOT(ラクート) | RICOH Cloud OCR |
|---|---|---|---|
| 読み取り精度 | 99.98% (AI+人力突合、公式訴求) | 理論値100% (AI+人力突合・実測値の公表なし) | 98.87% (公式訴求) |
| 対応帳票(手書き/非定型) | 活字・手書き 非定型対応 | 手書き・活字 チェック/選択肢対応 | 活字・手書き・複写伝票 証憑特化(帳票定義不要) |
| 料金形態 | 月額5万円〜(LITE)/15万円(PREMIUM) 初期費用は要問い合わせ | エントリー0円(月100枚) ライト 月額10万円・初期30万円 | 初期費用は大きくかからない(公式訴求) 月額は証憑・プランで異なる |
| システム・RPA連携 | CSV等でデータ納品 | CSV納品 システム投入代行 | 証憑データ化 電帳法対応保存と連携 |
| 修正・オペレーター補正 | ◎(AI+人力突合・BPO内包) | ◎(BPOチェック修正・代行) | ●(BPO確認オプション) |
| 提供形態 | クラウド(BPO) | クラウド(BPO) | クラウド |
| 無料トライアル | 要確認 | ●(エントリーで試用可) | 要確認 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
帳票設計不要・現場展開重視型のAI-OCR比較
| サービス名 | DX OCR | AIスキャンロボ | PATPOST |
|---|---|---|---|
| 読み取り精度 | 要確認 | 99.2% (公式訴求・測定条件は非公表) | 抽出精度98% (公式訴求・測定条件は非公表) |
| 対応帳票(手書き/非定型) | 活字・手書き・縦書き・斜め 非定型(帳票設計不要) | 活字・手書き 非定型・複雑帳票(5言語) | 活字・手書き 非定型(生成AI-OCR) |
| 料金形態 | 月額3万円〜(定額制) 初期費用は要問い合わせ | トライアル月3万円〜 本格プランは要問い合わせ | 1ID 月額980円〜(税別) 初期費用は要問い合わせ |
| システム・RPA連携 | マスタ連携(コード変換) Box・kintone連携 | CSV出力・基幹連携 API・RPA連携 | CSV出力 (項目自動抽出) |
| 修正・オペレーター補正 | ●(クラウドワーカー連携=オプション) | ×(自社修正・テンプレ作成代行あり) | ×(自社で確認・修正) |
| 提供形態 | クラウド | クラウド | クラウド |
| 無料トライアル | △(無償の帳票評価あり) | ●(無料読み取りテスト) | 要確認 |
| 詳細情報 | オンライン相談を予約 | サービス詳細を見る | 公式サイト |
参考:そのほかの主要なAI-OCR
以下も比較検討の参考になる主要製品です。詳細は各公式サイトをご確認ください。
DEEP READは株式会社EduLabが提供する、多言語・生成AI連携に対応したAI-OCRで、クラウド・オンプレミスの両方に対応します。AI-OCRらくスルーは関西ビジネスインフォメーションが提供する、中小企業向けのクラウド型AI-OCRです。
主要AI-OCRサービスの個別紹介
ここからは、主要なAI-OCRサービスを、機能・料金・対応帳票・導入実績・連携の観点から個別に紹介します。タイプごとに整理しているので、前節で見当をつけたタイプから読み進めてください。
汎用型のAI-OCR
幅広い帳票にまず対応したい企業に向く、汎用型のサービスです。
1. DX Suite(AI inside株式会社)

AI inside株式会社が開発したクラウド型AI-OCRで、ITRの「AI-OCR市場」調査で複数年連続でシェア1位と公式に訴求しています。導入は3,000契約を超え、継続利用率99.43%を公式に掲げます。手書き・活字の帳票をデータ化し、読み取り結果をCSVで出力してRPAや基幹システムへ連携する用途で使われます。
自社開発の日本語特化型AI「PolySphere-4」を用い、利用を重ねるほど読み取り精度が高まる学習機能を備えます。上位機能では、取引先ごとに様式の異なる非定型帳票からの項目抽出にも対応します。
ブラウザで使うクラウド環境に加え、専用筐体を用いたオンプレミス環境にも対応し、機微な情報を外部に送信しない構成を選べます。料金は初期費用200,000円(無料読取枠20万円分を含む)、Liteプランが月額40,000円(2026年7月1日〜)で、利用人数による追加費用はかかりません。
2. SmartRead(株式会社Cogent Labs)

手書き文字認識で知られた「Tegaki」の後継として、株式会社Cogent Labsが展開するAI-OCRです。同社はこれを、文字認識にとどまらず文書の仕分けや項目抽出まで担うIDP(Intelligent Document Processing:文書処理の知的自動化)と位置づけています。
複数種類の書類を自動で仕分けてから読み取る機能や、GPT系の生成AIと連携して定型外の帳票から項目を抽出する機能を備えます。手書き・活字の帳票をCSVで出力し、外部システムへ連携できます。
料金は初期費用・月額システム費用がかからず、月額30,000円からと公式に訴求しています。他社AI-OCRからの乗り換えを支援するキャンペーンを継続して実施しており、無料トライアルも利用できます。
3. CaptureBrain(キヤノンITソリューションズ株式会社)

キヤノンITソリューションズ株式会社(キヤノンMJグループ)が2020年から提供するクラウド型AI-OCRです。スキャンした紙帳票をクラウド上で画像補正し、帳票の種別を自動で分類してから読み取ります。
手書きには実績のある「Tegaki」エンジンを、金額・活字・チェックボックスなどには自社開発エンジンを使い、項目ごとに最適なエンジンを選べる点が構成上の特徴です。あらかじめ帳票画像を1枚登録しておくと、以降はAIが種別を自動で判別します。
SaaS版の料金は、月額30,000円のSmallプラン(利用量3万エントリー)から、月額100,000円のMedium、月額150,000円のEnterpriseまで、処理量に応じて選べます。確認済みのデータはCSVで出力できます。
4. CLOVA OCR(NAVER Cloud/LINE WORKS株式会社)

NAVER Cloudが開発し、国内ではLINE WORKS株式会社が提供するAI-OCRです。印刷・手書きの汎用的な文字認識に加え、請求書・領収書・名刺などをテンプレートで構造化データに変換する特化型OCRを備えます。
手軽に使えるReader、帳票を構造化する特化型、自社システムに組み込むAPIの3系統から、用途に応じて選べます。読み取り結果はCSVやAPIを経由して外部システムへ連携できます。
契約後は2ヶ月間、専任担当による導入支援・定期コンサルティングを受けられ、30日間の無料トライアルも用意されています。料金は処理枚数や予算に応じたプラン提案型のため、詳細は公式サイトで確認してください。
5. Google Cloud Document AI(Google LLC)

文字認識だけでなく文書の構造そのものを抽出する、Google Cloudの文書解析プラットフォームです。運営はGoogle LLCで、レイアウトやテーブル、ラベルまで抽出し、請求書や契約書を用途別の「プロセッサ」単位で構造化します。
文字認識を担うEnterprise Document OCRのほか、請求書向けのInvoice Parser、契約書向けのContract Parser、独自帳票に合わせて学習させるカスタムプロセッサを選んで利用します。REST/gRPCのAPIで自社システムやデータ基盤に組み込む、開発を前提とした基盤型の製品です。
料金はページ単位の従量課金で、Enterprise Document OCRは月間500万ページまで1,000ページあたり1.50米ドル、500万ページを超える分は1,000ページあたり0.60米ドルです(いずれもGoogle Cloudの公式料金)。国内ではクラウドエースなどのパートナーが日本語での導入支援を提供します。
ただし、利用にはGCPの契約と開発が前提となるため、既存の帳票入力をそのまま置き換えたい一般的な用途では、専用のAI-OCRサービスより割高になりやすい点に注意が必要です。
6. Tegaki(株式会社Cogent Labs)

申込書や問診票、アンケートなど、手書き主体の書類のデータ化に用いられるAI-OCRです。株式会社Cogent Labsが提供し、ディープラーニングによる手書き文字認識に強みを持ちます。読み取った結果はテキストやCSVのデータに変換できます。
同社は上位ラインの「SmartRead」も展開していますが、Tegakiは手書き帳票を手軽にデータ化したい層に向く製品として提供が続いています。機微なデータを外部に出さないオンプレミス版も用意されています。
料金は年額360,000円(月1,500枚相当)のスタータープランがあり、少量からの利用に対応します。より多くの枚数や機能が必要な場合は、個別見積りの上位プランを選べます。
7. AIよみと〜る(NTT東日本)

NTT東日本が提供する、手書き帳票のデータ化に主眼を置いたクラウド型AI-OCRです。文字認識にはAI insideのエンジン(DX Suite系)を採用し、手書き・活字のどちらもデータ化します。請求書や納品書、注文書、輸出入関連の帳票などが読み取りの対象です。
複数種類の帳票を一括で読み込み、自動で仕分ける「帳票仕分機能」をオプションで用意しています。自社のRPA「おまかせRPA」と組み合わせれば、読み取ったデータを業務システムへ投入するところまで自動化できます。地域通信キャリアとしてのサポート網を持つため、中堅・中小企業でも導入を相談しやすい体制です。
料金は基本料金が月額100,000円(税抜)で、読み取り件数が6万項目を超えた分に従量課金が加わります。最低利用期間は24ヶ月です。無料トライアルの有無は公式サイトへの問い合わせで確認してください。
大量処理・オンプレミス要件型のAI-OCR
大量処理やオンプレミス運用、厳しいセキュリティ要件に応えるサービスです。
8. DynaEye 11(株式会社PFU(リコーグループ))

スキャナ「ScanSnap」で知られる株式会社PFU(リコーグループ)が提供する、PCにインストールして使うオンプレミス/スタンドアロン型のAI-OCRソフトです。申請書や届出書、庁内帳票、請求書など、日々発生する紙書類の入力を自動化します。
手書きのクセ字や枠からのはみ出し記入、フォーマットが決まっていない非定型帳票にも対応します。クラウドにデータを送らない構成で動くため、個人情報など機微な情報を扱う自治体・公共分野での採用があります。累計の利用実績は8,500社以上と公式に案内しています。
ライセンスは定額制で、有効期限内は読み取り枚数が無制限です。初期費用は構成により異なり2,016,000円(税別)から、次年度以降は年額336,000円(税別)の継続ライセンスとなります。大量の帳票を処理しても従量課金が膨らまない料金体系です。
9. AnyForm OCR(株式会社ハンモック)

株式会社ハンモックが提供するインストール型のOCRソフトで、サーバー・リーダー・ベリファイアの構成で受注・請求業務に組み込んで使います。取引先ごとに様式の異なる帳票や、FAXで届く受注伝票、手書き伝票のデータ化を対象とします。
特許技術「WOCR」により、印刷された日本語・英数字で99.97%の認識精度を公式に訴求しています。読み取り結果の目視確認作業を減らすことを狙った技術です。帳票フォーマットの設計はノンプログラミングで行え、明細行の自動計算や登録済みマスタの参照といった、入力業務に直結する機能を備えます。
社内ネットワーク内で処理が完結するインストール型のため、データを外部に出したくない運用に向きます。料金は構成別の個別見積りで、要問い合わせです。
10. AIRead(アライズイノベーション株式会社)

オンプレミス・クラウド(SaaS)・LGWAN-ASPの3つの環境から選べるAI-OCRが、アライズイノベーション株式会社の「AIRead」です。手書きと活字の両方を読み取り、座標を指定する定型帳票と非定型帳票のいずれにも対応します。
オンプレミス版はネットワーク内でデータを外部送信せずに運用でき、LGWAN-ASPにも対応するため、自治体や金融機関などセキュリティ要件に応じて提供形態を選べます。ローコード開発ツール「Wagby」やETLツール「Waha! Transformer」と連携でき、業務システムへの組み込みにも向きます。
料金は、オンプレミス版が初期費用1,200,000円(税別)から、クラウド版が初期費用0円・年額120,000円(税別)からで、利用量に応じた枚数連動プランも用意されています。
11. ABBYY FlexiCapture(ABBYY(ABBYYジャパン株式会社))

長年OCRを提供するABBYY(国内はABBYYジャパン株式会社)が提供する、AIベースの文書処理プラットフォーム(IDP)です。単なる文字認識にとどまらず、請求書や契約書など幅広い文書を扱います。
文書の自動分類からデータ抽出、検証までを一気通貫で処理する点が特徴で、レイアウトが可変の請求書や、契約書・メールのような非構造化文書からの項目抽出にも対応すると訴求しています。OCR/ICR/OMR・バーコード認識に加え、自然言語処理や機械学習による継続的な精度改善を備えます。
多言語(日本語を含む)に対応し、オンプレミス・クラウド・SDKから提供形態を選べるため、既存システムへの組み込みやカスタム開発に向きます。国内では販売代理店(パーソルプロセス&テクノロジー等)経由での導入支援ルートがあり、料金はエンタープライズ向けの個別見積りが基本です。
12. FormOCR(株式会社メディアドライブ(NTTデータNJK))

OCRソフトを専業とする株式会社メディアドライブ(NTTデータNJKグループ)の帳票OCRパッケージが「FormOCR v.9.0」です。スキャンした帳票から手書き・活字の文字に加え、バーコードやQRコードも読み取り、CSVやテキスト形式でデータ化します。
従来型OCRエンジン、AI-OCRエンジン、クラウド型OCR(Google Cloud Vision API連携)を、帳票や認識項目に応じて段階的に組み合わせられる構成が特徴です。既存の帳票にそのまま対応し、新規に帳票を作り直す必要がない点も訴求しています。社内ネットワークで処理が完結するオンプレミス型のため、データを外部に出したくない運用に向きます。
料金は公式サイトに定価の明示がなく、パッケージやエンジン構成に応じた個別見積りです。AI-OCRエンジンは追加課金のない定額制と案内していますが、具体的な金額や評価版の有無は公式サイトで確認してください。
13. Prexifort-OCR(株式会社NTTデータ)

株式会社NTTデータが提供する帳票OCRソフトウェアです。申請書や伝票など、フォーマットの決まった帳票の読み取りに強く、スキャナから取り込んだ画像から文字情報を抽出してデータ化します。知識処理により、手書き文字や黒枠帳票にも対応すると訴求しています。
帳票定義はGUIで作成でき、認識結果を確認・修正する画面を組み込むためのライブラリや各種APIライブラリも備えます。各社スキャナとの柔軟な接続や、RPA「WinActor」との連携にも対応します。公式サイトでは、全国約1,000事務所での活用により約75%の作業省力化に貢献した実績を掲げています(適用条件によって効果は変わります)。
料金は公式サイトに定価の明示がなく、ソフトウェアライセンスや導入規模に応じた個別見積りとなります。提供形態の詳細や評価版の有無は、公式サイトまたは販売代理店へお問い合わせください。
特定帳票・業務特化型のAI-OCR
請求書など特定の帳票に最適化された、業務特化型のサービスです。
14. スマートOCR(請求書)(株式会社インフォディオ)

株式会社インフォディオが開発したAI-OCRエンジンを軸とするデータ化サービスで、請求書は対応する20種以上の帳票の一つです。独自の文字列単位認識エンジンとディープラーニングにより、様式の異なる請求書の基本項目と明細表を読み取ります。エンジンとなるスマートOCRは導入1,800社を超えると公式に案内しています。
「AIによるテンプレート自動作成」により、取引先ごとにフォーマットの異なる請求書にも位置指定などの帳票定義なしで対応します。写真撮影による歪みやたわみを補正する独自の画像補正技術を備え、手書き文字の認識にも対応する点が特徴です。
提供形態はSDクラウド・専用クラウド・プライベートクラウド・オンプレミスの4種類で、SDクラウドは初期費用10万円・月額3万円(300枚まで)から利用できます。スマートOCR APIやSalesforce、RPA・会計システムとの連携を前提とした設計で、読み取ったデータを既存システムへ流し込みやすい構成です。無料でサンプル帳票の検証ができます。
15. invoiceAgent AI OCR(ウイングアーク1st株式会社)

帳票・レポーティング基盤を手がけるウイングアーク1st株式会社が提供する帳票データ化ソリューションです。複数のAI-OCRエンジンから文書種別に応じて最適なものを選べる点が特徴で、複数エンジンの読み取り結果を比較して精度を高めます。
スキャン時の角度・回転・倍率のずれを自動補正し、レイアウトの異なる文書を自動で仕分けます。位置指定・項目指定による帳票定義で定型・非定型の双方に対応し、空白フィールドを読み飛ばすことで従量課金のコストを抑えます。日本語の手書き・活字に加え、英語や中国語など多言語の読み取りにも対応します。
提供形態はクラウド(SaaS)とオンプレミス(パッケージ)の両方があり、既存の帳票・文書基盤との連携を重視する企業に向きます。料金は初期費用なしのEntryプラン(月額3万円)から始められ、処理量に応じて上位プラン(月額25万円〜)を選べます。WebAPIやRPAと連携し、業務システムへの組み込みも可能です。
導入事例では、スルガ銀行株式会社が手書き回答のデータ化を効率化し、年間約5,000時間を削減したと公表されています。
オペレーター補正・BPO併用型のAI-OCR
AI読み取りに人の確認・入力代行を組み合わせ、高い実用精度を担保するサービスです。
16. eas(イース)(株式会社うるるBPO)

AI-OCRの読み取りに、クラウドワーカーによる人力の突合を組み合わせたハイブリッド型のデータ化サービスです。クラウドソーシング大手うるるグループの株式会社うるるBPOが運営し、書類の特性に応じて「AIのみ」「AI+オペレータ」「オペレータ複数名」と処理手法を選べます。
AIの読み取りにクラウドワーカーの目視突合を加えることで、99.98%の精度でデータ化できると訴求しています。非定型帳票については、生成AIを活用した新機能で自動データ化の範囲を広げています。
AI-OCR導入後も残りがちな人手修正を、BPOとして丸ごと引き受ける設計のため、手書きや品質のばらつく書類が多く、自社で修正体制を持ちたくない企業に向きます。料金は月間の処理件数に応じたプラン制で、月額50,000円のLITEプラン(月間1,000件以下)から用意されています。初期費用や無料トライアルの有無は公式へお問い合わせください。
17. LAQOOT(ラクート)(株式会社ユニメディア)

AIとクラウドワーカーの読み取り結果を突合する独自の「データコンペアプロセス」を採用した、株式会社ユニメディアのAI-OCRです。手書き文字に加え、チェックボックスやラジオボタン、囲み型の選択肢の認識にも対応します。
データ化内容のチェック修正やシステムへのアップロード代行までBPOとして請け負い、24時間365日いつでも処理できる体制を備えます。製造・小売・医療など、300社を超える導入実績を公式に掲げています。
料金は帳票枚数に応じたプラン制で、月額0円・初期費用0円のエントリープラン(月間100枚)から試せる点が特徴です。上位のライトプランは月額100,000円(初期費用300,000円・月間1,000枚)で、申込書や注文書、アンケートなどの紙帳票を高い精度でデータ化したい企業に向きます。
18. RICOH Cloud OCR(株式会社リコー)

株式会社リコーが提供するクラウド型のAI帳票認識OCRです。リコー独自の帳票解析技術と画像処理技術により、事前の帳票定義なしに記載情報を自動で抽出し、一括してデータ化します。
請求書・納品書など証憑ごとに特化したサービスを展開し(RICOH Cloud OCR for 請求書/納品書、現在はRICOH 受領請求書/受領納品書サービスへ発展)、手書きや複写伝票も98.87%の精度で読み取れると公式に訴求しています。
OCRの読み取り結果を人の目で確認・修正するBPOオプションや、電子帳簿保存法に対応した証憑の電子保存サービスと組み合わせられます。読み取りから確認、電帳法対応の保存までを一体で任せられるため、証憑処理を軸に運用体制まで整えたい企業に向きます。月額料金は証憑の種類やプランで異なり、初期費用は大きくかからないと案内されています。詳細は公式でご確認ください。
帳票設計不要・現場展開重視型のAI-OCR
帳票定義の手間が少なく、現場に展開しやすいサービスです。
19. DX OCR(株式会社ハンモック)

DX OCRは、株式会社ハンモックが提供するクラウド型のAI-OCRです。帳票ごとの読み取り位置をあらかじめ定義しなくても、AIがレイアウトを自動で解析・仕分けするため、定型・非定型を問わず紙帳票をスキャンや撮影でCSVデータに変換できます。
手書き・斜め文字・縦書きの読み取りに対応し、画像の歪みは自動で補正します。商品名や会社名を基幹システムの正規コードへ置き換えるマスタ連携に対応します。取引年月日・取引金額・取引先名をファイル名へ自動付与する電子帳簿保存法の検索要件対応や、Box・kintoneとの外部ストレージ連携も利用できます。
料金は月額固定の定額制で、エントリープランは月額30,000円(税別)からです。上位プランは別途見積りとなります。無料トライアルの明記はありませんが、自社の帳票で読み取り精度を確かめられる無償の「貴社帳票評価」を申込制で用意しています。
20. AIスキャンロボ(ネットスマイル株式会社)

AIスキャンロボは、ネットスマイル株式会社が独自に開発したAI-OCRエンジンを用いるクラウド型のサービスです。複数の表が1枚に混在する帳票や、明細行が可変で罫線のない帳票など、一般的なOCRでは読み取りが難しい非定型帳票のデータ化を訴求しています。
アップロードした帳票にAIが最適なテンプレートを自動で当てて読み取るほか、読み取りテンプレートの作成を運営側が代行するため、利用側が定義を作り込む負担を抑えられます。読み取り結果はCSVで出力し、Excelや基幹システムなど後段のシステムへ渡せます。日本語・英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語・タイ語の5言語に対応します。
導入事例では、ネスレ日本株式会社がFAXで届く発注書の処理に用い、月間約3,000枚をデータ化して処理時間を月250時間から125時間へ短縮しています。累計導入は800社を超えると公式に案内しています。料金はトライアル導入が月3万円からで、本格プランの月額や初期費用は要問い合わせです。
21. PATPOST(オリックス株式会社)

PATPOST(パットポスト)は、オリックス株式会社が提供する、生成AI-OCRを搭載した文書管理サービスです。紙やPDFの文書をアップロードすると、AI-OCRでテキスト化してクラウドに保管し、キーワード検索や項目の自動抽出まで一体で行えます。
請求書・見積書・領収書などから取引先・取引金額・取引日を自動で抽出してCSV出力でき、手書きや非定型の文書にも対応します。1,000ページまでの全文OCRによるキーワード検索や、テキスト・表のコピー&ペーストにも対応し、改正電子帳簿保存法を意識した設計です。
料金は1IDあたり月額980円(税別)からで、AI-OCRの利用を含めて追加料金のかからない固定費用と案内しています。低価格でシンプルに導入できるため、文書のデジタル化を進めたい中小企業に向いた設計です。初期費用や無料トライアルの有無は公式サイトで確認してください。
AI-OCRで自動化できる帳票・活用シーン
ここでは、AI-OCRが実際にどの帳票・どの業務で効果を発揮するかを、活用シーンとともに整理します。
経理・財務の領域では、取引先ごとに様式の異なる請求書や領収書、納品書の読み取りが代表的な用途です。読み取ったデータを会計システムへ渡すことで、支払処理や仕訳入力の工数を減らせます。証憑をスキャナ保存する運用とあわせれば、電子帳簿保存法への対応も進めやすくなります。
受発注や物流の現場では、注文書・発注書・検収書・送り状といった帳票が多く、FAXや紙で届くケースも少なくありません。AI-OCRでこれらをデータ化すれば、基幹システムへの登録や在庫・出荷の管理につなげられます。手書きの記入が混ざる帳票が多い業務ほど、AI-OCRの手書き対応が効いてきます。
総務・人事や窓口業務では、申込書・アンケート・各種届出書など、手書きの非定型帳票を扱う場面が多くあります。金融機関や自治体では、口座開設書類や申請書の入力にAI-OCRを活用し、大量の書類処理を効率化する例が見られます。自社でどの帳票に紙・手入力が残っているかを洗い出すことが、導入効果を見積もる第一歩になります。
AI-OCRを導入するメリット
ここでは、AI-OCRを導入することで得られる主なメリットを整理します。
最大のメリットは、手入力にかかっていた工数の削減です。紙やPDFの帳票をデータ化する作業を自動化することで、担当者はより付加価値の高い業務に時間を振り向けられます。目視での転記に比べて入力ミスも減り、確認・修正の手間も軽くなります。
従来のOCRでは難しかった手書き文字や非定型帳票に対応できる点も、AI-OCRならではの価値です。取引先ごとに様式が異なる請求書のように、これまで自動化を諦めていた帳票までデータ化の対象を広げられます。読み取り結果を学習して精度を高める製品なら、使うほど手直しが減っていくことも期待できます。
データ化された情報を会計・基幹システムやRPAと連携させれば、入力から登録までの一連の流れを自動化でき、業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)につながります。紙の保管や検索の手間が減り、電子帳簿保存法への対応を進めやすくなる点も、間接的なメリットといえます。
AI-OCR導入・運用の注意点(デメリット)
導入後に「思ったほど工数が減らない」と感じないためにも、あらかじめ注意点を押さえておきましょう。
まず、AI-OCRの精度は100%ではありません。読み取れなかった箇所や誤読は人が確認・修正する前提で運用を設計する必要があり、この確認工数を見込まずに導入すると効果を実感しにくくなります。信頼度の低い箇所を効率よく確認できる仕組みや、オペレーター補正の併用を検討しておくと安心です。
非定型帳票を読み取る場合は、どの位置にどの項目があるかを設定・学習させる初期作業が発生することがあります。帳票の種類が多いほどこの手間は増えるため、対象帳票を絞って段階的に広げるのが現実的です。会計・基幹システムとの連携も、CSVの受け渡しで済むか、API開発が必要かによって導入負荷が変わります。
料金面では、従量課金の製品で処理量が増えると想定以上のコストになることがあります。逆に定額型で処理量が少ないと割高になります。月間の処理枚数を見積もり、料金体系が自社の使い方に合うかを事前に確認することが欠かせません。無料トライアルで自社の帳票を試し、精度と運用負荷を確かめてから本導入に進むと、こうしたミスマッチを避けやすくなります。
生成AI(ChatGPT等)でのOCRと専用AI-OCRサービスの使い分け
ここまでの内容を踏まえ、「専用のAI-OCRを入れなくても、ChatGPTのような生成AIで読み取れるのではないか」という疑問に答えます。
ChatGPTやGeminiなどの生成AIは、画像を読み取って文字を抽出する機能を備えており、少量の書類を手元で試したい、レイアウトが複雑な文書を柔軟に解釈したいといった用途では手軽に使えます。導入コストをかけずに試せる点は魅力です。
一方で、業務として大量の帳票を安定して処理する場面では、専用AI-OCRサービスに分があります。読み取り項目を決めて構造化データで出力する、会計・基幹システムへ連携する、読み取り結果の確認・修正をチームで運用する、機微な情報を扱えるセキュリティやオンプレミス構成を用意する。こうした業務要件は、生成AIの汎用的な読み取りだけでは満たしにくいためです。
読み取り内容の正確さを業務で保証したい場合も、精度や補正の仕組みが整った専用サービスが向きます。
整理すると、少量・不定期・柔軟な解釈が求められる文書は生成AI、定型的で大量、かつ連携やセキュリティ・確認体制が必要な帳票業務は専用AI-OCR、という使い分けが目安になります。両者は排他ではなく、用途に応じて併用する考え方も現実的です。
AI-OCRの料金相場・費用目安(処理枚数別)
ここでは、費用対効果を見積もる出発点として、処理量の目安ごとに費用感を示します。金額は各サービスの公式料金にもとづく代表例で、プランや構成によって変わります。※料金は2026年9月時点の各社公式情報によります。
- 少量(月数百枚まで):低価格のクラウド型が中心です。PATPOSTは1IDあたり月額980円(税別)から、LAQOOTは月100枚まで月額0円・初期費用0円のエントリープランから試せます。手書き主体ならTegakiが年額360,000円(月1,500枚相当)です。
- 中量(月数百〜数千枚):月額固定の定額型が目安です。DX OCR・SmartRead・CaptureBrainなどは月額30,000円前後から、invoiceAgent AI OCRは初期0円・月額30,000円から始められます。処理量が増えるほど1枚あたりの単価を下げやすくなります。
- 大量・オンプレミス:買い切り・オンプレミス型が候補です。DynaEye 11は初期2,016,000円(税別)+次年度以降年額336,000円(税別)で読み取り枚数は無制限、Google Cloud Document AIは1,000ページあたり1.50米ドルからの従量課金(別途GCP・開発費)です。
オペレーター補正・BPO併用型は、読み取りに人手の確認・入力代行を含む分、枚数や項目に応じた料金設計になります。easは月額50,000円(LITE・月1,000件以下)から、LAQOOTのライトプランは月額100,000円・初期300,000円(月1,000枚)が目安です。
費用対効果を見積もる際は、読み取り料金だけでなく、確認・修正にかかる人件費や、連携開発・初期設定の費用まで含めて総額で捉えることが大切です。削減できる入力工数(時間×人件費)と比較すると、稟議に必要な投資対効果の根拠を示しやすくなります。
AI-OCR比較でよくある質問
Q. AI-OCRとは何ですか?従来のOCRと何が違いますか?
A. AI-OCRとは、紙やPDFの帳票に書かれた文字をAI(人工知能)で読み取り、データ化する技術です。従来のOCRがあらかじめ定義したレイアウトや活字を前提に読み取るのに対し、AI-OCRはディープラーニングによって手書き文字や取引先ごとに様式の異なる非定型帳票にも柔軟に対応できる点が大きく異なります。読み取り結果の修正を学習し、使うほど精度を高めていく製品もあります。
Q. AI-OCRは手書き文字でも読み取れますか?
A. AI-OCRは手書き文字の読み取りに対応しており、従来のOCRよりも高い精度で判別できます。手書きへの対応は、AI-OCRが従来OCRと差別化する中心的な要素です。ただし、極端に崩れた文字や枠からはみ出した記入、かすれたFAX画像などはAIでも読み取りが難しくなるため、信頼度の低い箇所を人が確認・修正する運用や、オペレーター補正の併用を前提に設計しておくと安心です。
Q. AI-OCRの読み取り精度はどのくらいですか?
A. 多くのAI-OCRは活字帳票で95%以上の正読率を訴求していますが、実際の精度は帳票の印字品質・文字の種類・スキャン画像の鮮明さによって変わります。各社の公表値は自社の検証条件による訴求値のため、そのまま自社の帳票に当てはめず、無料トライアルで実際に使う帳票を読み取らせて確かめるのが確実です。精度の高さだけでなく、読み取れなかった残りの数%をどう確認・修正するかまで含めて評価しましょう。
Q. AI-OCRの料金相場はどれくらいですか?
A. AI-OCRの料金は初期費用の有無・月額基本料・読み取り課金(定額か従量か)の組み合わせで決まり、クラウド型では月額3万円程度から始められる製品が多くあります。
処理量が安定して多い場合は定額型、月ごとに変動する場合は従量型が無駄の出にくい傾向です。オンプレミス型やBPO併用型は費用体系が異なるため、読み取り料金だけでなく、確認・修正の人件費や連携開発・初期設定の費用まで含めた総額で比較することが大切です。
Q. 無料で試せるAI-OCRはありますか?
A. 多くのAI-OCRが無料トライアルを提供しており、自社の帳票で読み取り精度と操作性を試せます。導入判断の前に、実際に使う帳票で検証することが選定の失敗を避ける近道です。トライアルの期間や試せる枚数は製品ごとに異なるため、自社の主要な帳票を読み取らせて、精度と修正のしやすさを確かめておくとよいでしょう。
Q. AI-OCRとRPAは何が違うのですか?
A. AI-OCRは紙やPDFから文字を読み取ってデータ化する技術で、RPAはPC上の反復作業を自動化するソフトウェアです。両者は役割が異なり、AI-OCRで読み取ったデータをRPAが基幹システムへ登録するように連携させると、入力業務全体を自動化しやすくなります。
Q. ChatGPTなどの生成AIでもOCRはできますが、専用のAI-OCRサービスは必要ですか?
A. 少量・不定期で柔軟な解釈が求められる文書は生成AI、定型的で大量、かつ連携やセキュリティ・確認体制が必要な帳票業務は専用のAI-OCRが向きます。
生成AIは導入コストをかけずに試せる手軽さが魅力ですが、読み取り項目を構造化データで出力する、会計・基幹システムへ連携する、機微な情報を扱うセキュリティを確保するといった業務要件は専用サービスに分があります。両者は排他ではなく、用途に応じて併用する考え方も現実的です。
Q. AI-OCRはオンプレミスでも使えますか?
A. AI-OCRにはクラウド型のほかにオンプレミス型の製品もあり、データを外部に出さない構成で運用できます。自治体や金融機関など、機微な情報を外部に送信できない現場では、オンプレミス型やLGWAN対応の製品が選ばれます。クラウド型は導入が手軽で更新も自動な一方、セキュリティ要件が厳しい場合は提供形態を確認して選ぶ必要があります。
Q. AI-OCRは電子帳簿保存法に対応できますか?
A. 請求書や領収書などの証憑をスキャナ保存する場合、AI-OCRは電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たす運用とあわせて使う必要があります。
国税庁の要件では、読み取りを解像度200dpi(1インチあたり200ドット)以上・原則カラーで行うこととされています。入力期間やタイムスタンプなど他の要件もあわせて満たす必要があるため、詳細は本文の選び方や下記の出典でご確認ください。
出典・参考資料(1件)
まとめ:自社に合うAI-OCRの選び方
AI-OCRは、紙や手書きの帳票をデータ化し、入力業務を自動化する有効な手段です。ただし、読み取り精度・対応帳票・料金体系・連携・オペレーター補正・提供形態は製品ごとに大きく異なり、自社の帳票と処理量に合うものを選べるかどうかが導入効果を左右します。
選定にあたっては、まず自社のどの帳票に手入力が残っているか、月間の処理量はどれくらいか、既存システムとどう連携したいかを整理しましょう。そのうえで、本記事のタイプ分類と比較表を使って候補を数社に絞り、無料トライアルで実際の帳票の読み取り精度と運用負荷を確かめると、失敗の少ない選定ができます。
気になるサービスが見つかったら、資料請求やトライアルで具体的な機能・料金を確認してみてください。自社に合うタイプがまだ定まらない場合は、本記事の選定診断ツールもあわせてご活用ください。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。
















