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コンテンツ制作業の原価管理|案件別の外注費・人件費の集め方と粗利の見方【計算例つき】

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管理会計システム比較表(2026年版)

動画・Web・デザイン・広告など受託制作の案件が増えるほど、外注先への支払いと自社スタッフの工数が混ざり合い、「終わってみないとこの案件が結局いくら儲かったのか分からない」という状態に陥りがちです。Excelと勘での管理が限界に近づき、案件ごとの採算をどう捉えればよいか悩む制作会社は少なくありません。

では、同じコンテンツ制作・デザイン業の会社は、案件ごとの原価——とくに外注費と自社人件費(工数)——を具体的にどう集計し、案件別の粗利を見ているのでしょうか。

本記事では、制作業の案件別原価の集め方を、外注費の紐づけ・月給スタッフの工数の人件費への換算・粗利の出し方まで、実額の計算例つきで解説します。あわせて、仕掛品や収益認識など制作業で起きやすい会計・税務の論点、Excelとシステムの分かれ目、制作・クリエイティブ業に合う原価管理・プロジェクト収支管理システムの機能と料金も整理しました。自社の案件採算を見える化する手がかりとしてご活用ください。

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なぜコンテンツ制作業は案件ごとの原価(儲け)が見えにくいのか

はじめに、制作業で案件ごとの採算が見えにくくなる理由を、原価の構造から整理します。

受託制作業の原価は、外注先(フリーランスのデザイナー・制作会社・撮影スタッフなど)への外注費と、自社スタッフが案件に費やした工数を金額に直した人件費(労務費)が大半を占めます。モノを仕入れて加工する製造業と違い、材料費にあたる素材費は小さく、原価の中心は「人」にかかるコストです。

原価計算の実務上の基準である「原価計算基準」も、原価の要素を材料費・労務費・経費に分け、労務費を労務用役の消費によって生じる原価と定めています(基準 八)。

制作業では、案件ごとに内容も規模も異なるため、同じ製品を反復して量産する業種のように製品1個あたりの原価を割り出す計算は馴染みません。案件(プロジェクト)単位で原価を積み上げていく個別原価計算が基本になります。

個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。
個別原価計算にあっては、特定製造指図書について個別的に直接費および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。

出典:原価計算基準 三一(個別原価計算)|企業会計審議会(1962年)

引用は製造業を前提とした表現ですが、制作業では「製造指図書」を案件(プロジェクト)と読み替えると、自社の業務に当てはめて理解しやすくなります。

見えにくさの一つ目の原因は、原価が案件の完成・検収まで確定しない点にあります。案件に費やした原価は、完成するまでは費用ではなく仕掛品(未完成の資産)として繰り越されるため、進行中の案件がいくらの原価を抱えているかは、意識して集計しなければ見えません。

二つ目は、月給制のスタッフの人件費が複数の案件に分散する点です。給与は月額で固定的に支払われる一方、その人の稼働は複数の案件にまたがります。1案件あたりの人件費を知るには、誰がどの案件に何時間使ったかという工数を記録し、金額に割り付ける必要があります。この一手間が抜けると、外注費だけを見て黒字のつもりでも、人件費まで乗せると実際の粗利は小さいという事態が起こります。

出典・参考資料(1件)

案件ごとの原価の集め方と粗利の出し方(計算例つき)

ここからは、案件別の原価と粗利を実際にどう出すのかを、具体的な金額の例で追っていきます。外注費・素材費を案件に積む、月給スタッフの工数を人件費に直す、両者を足して原価と粗利を出す、という順番で見ていきましょう。

案件別の原価と粗利を出す流れの計算例。STEP1は時間単価=人件費40万円÷稼働160時間=2,500円/時。STEP2は工数を労務費に換算し、時間単価2,500円×投入60時間=労務費15万円。STEP3は直接費を積み上げ、労務費15万円+外注費20万円+素材費3万円=案件原価38万円。STEP4は売上60万円−案件原価38万円=粗利22万円(粗利率約37%)。

外注費・素材費を案件に紐づける(見積・発注単位で原価に積む)

外注費と素材費は、支払いが発生した案件に直接ひもづけられる原価です。撮影やイラスト、ナレーション、コーディングなどを外注したら、その発注を案件番号に紐づけて記録します。有料素材やフォント、ストック写真などの購入も同じく案件に積みます。

このとき、発注書・請求書の単位で「どの案件の原価か」を最初に決めておくと、月末にまとめて仕分ける手間が減ります。見積段階で見込んだ外注費と、実際に発生した外注費を同じ案件のもとで並べられるようにしておくと、後述の見積と実績のズレもつかみやすくなります。

月給スタッフの工数を人件費にする(時間単価=人件費÷稼働時間)

月給制のスタッフの人件費を案件に割り付けるには、まず1時間あたりの単価(時間単価)を求めます。考え方はシンプルで、その人にかかる1か月の人件費を、1か月の稼働時間で割ります。原価計算基準も、労務費は作業時間に賃率(時間単価)を掛けて計算し、賃率は平均賃率によると定めています。

直接賃金等であって、作業時間又は作業量の測定を行なう労務費は、実際の作業時間又は作業量に賃率を乗じて計算する。賃率は、実際の個別賃率又は、職場もしくは作業区分ごとの平均賃率による。平均賃率は、必要ある場合には、予定平均賃率をもって計算することができる。

出典:原価計算基準 一二(労務費計算)|企業会計審議会(1962年)

「時間単価=人件費÷稼働時間」という割り算そのものは、この平均賃率を実務的に求める方法にあたります。人件費には、給与だけでなく会社が負担する社会保険料なども含めて考えると、より実態に近い原価になります。

分母となる稼働時間は、会議や事務などを除いた、案件に実際に充てた作業時間に近づけるほど、算出される単価が実態に合います。

例として、あるデザイナーの時間単価を出してみます。給与に会社負担分を加えた1か月の人件費を400,000円、1か月の稼働時間を160時間とすると、時間単価は次のようになります。

  • 時間単価 = 人件費400,000円 ÷ 稼働時間160時間 = 2,500円/時(例)

この時間単価を使えば、スタッフが案件に投入した時間を、そのまま人件費(労務費)に換算できます。

労務費・案件原価・粗利を実額で出す

時間単価が出たら、案件ごとに労務費・外注費・素材費を足し合わせ、売上との差で粗利を出します。先ほどのデザイナー(時間単価2,500円)が関わった、あるWeb制作案件を例に計算してみましょう。

  • 労務費:時間単価2,500円 × 投入時間60時間 = 150,000円
  • 外注費:撮影・イラストなどの外注 = 200,000円
  • 素材費:有料素材・フォントなど = 30,000円
  • 案件原価 = 労務費150,000円 + 外注費200,000円 + 素材費30,000円 = 380,000円

この案件の売上が600,000円だったとすると、粗利は次のように求められます。

  • 粗利 = 売上600,000円 − 案件原価380,000円 = 220,000円(粗利率 約37%)(例)

外注費200,000円だけを見れば400,000円の利益が残るように錯覚しますが、自社スタッフの労務費150,000円と素材費30,000円を乗せると、実際に手元に残る粗利は220,000円です。工数を人件費に直して初めて、案件の本当の採算が見えてきます。複数のスタッフが関わる案件では、一人ひとりの時間単価×投入時間を合算すれば、同じ考え方で労務費を積み上げられます。

ここで出した粗利は、外注費・労務費・素材費という直接費だけで計算した数字です。オフィス賃料や管理部門の人件費といった間接費を各案件へ按分(間接費の案件への割り付け)して乗せると、営業利益ベースの採算はここからさらに下がります。間接費の按分は手作業だと負担が大きく、後述のシステムが備える間接費按分の機能が生きる場面です。

按分の一例として、工数を基準に割り付ける方法で見ていきます。全社で月あたり1,200,000円の間接費(オフィス賃料・管理部門の人件費など)がかかり、全社員の総稼働が月600時間だったとします。この場合、間接費のレートは1,200,000円 ÷ 600時間 = 2,000円/時です。

先ほどの案件に自社スタッフが60時間かかっていれば、按分する間接費は2,000円 × 60時間 = 120,000円となります。直接費380,000円にこれを乗せると案件の総原価は500,000円、営業利益ベースの利益は売上600,000円 − 500,000円 = 100,000円(利益率 約17%)まで下がります(例)。

直接費だけで見た粗利220,000円との差が、間接費を案件に乗せるかどうかで生まれる採算の見え方の違いです。

見積と実績のズレをどこで捕まえるか

案件原価の出し方が分かっても、計算が案件の終了後だけだと「終わってみたら赤字だった」という後追いになります。採算を守るには、見積で見込んだ原価と、進行中に積み上がる実績原価を、同じ案件のもとで突き合わせる仕組みが要ります。

捕まえどころは大きく2つあります。1つは受注前で、見積時に外注費と投入工数(=労務費)を見込み、想定の粗利率が確保できるかを確かめます。もう1つは進行中で、実際の外注発注と工数入力を随時集計し、見積の原価を超えそうなら手を打ちます。とくに工数は、入力が遅れると実績がつかめないため、日次や週次でこまめに記録する運用が採算把握の前提になります。

見積(予算)と実績を突き合わせて差異を捕まえる予実管理そのものの進め方や、ズレの原因を分解する差異分析のやり方、Excelで予実管理表を組む手順は、以下の記事で詳しく解説しています。

原価はかかったが売上はまだ——仕掛品(未成業務支出金)と収益認識・外注費の税務

制作業では、原価が先に発生し、売上はあとから立つ場面が頻繁に起きます。ここでは、その扱いに関わる会計・税務の論点を簡潔に押さえておきます。

仕掛品(未成業務支出金)の計上

月末の時点でまだ完成・検収に至っていない案件に投入した外注費や労務費は、その月の費用にせず、仕掛品として資産に計上して繰り越します。個別原価計算では、原価は案件の完成時に製品原価として算定されるため、未完成分は期中の費用ではなく資産として残る扱いになります。

サービス・役務提供を行う業種では、この仕掛品に相当する勘定として「未成業務支出金」という科目名が実務で使われることがあります。呼び名は業種によって変わりますが、原価は出たが売上はまだという案件の原価を、完成・検収まで資産として繰り越すという考え方は共通です。

進行基準と検収基準(いつ売上を立てるか)

売上をいつ計上するかは、収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号)の考え方が目安になります。同基準では、履行義務を一定の期間にわたり充足する場合は進捗度に応じて期間にわたって収益を認識し、一時点で充足する場合は顧客への支配移転時点(検収時など)で収益を認識するとされています。

長期にわたる案件を進捗に応じて売上計上する考え方が進行基準的な扱い、完成して検収を受けた時点でまとめて売上計上する考え方が検収基準的な扱いにあたります。どちらになるかは契約の内容によって変わるため、自社の案件がどちらに当てはまるかは、基準の該当箇所や顧問の会計専門家に確認して判断するのが確実です。

出典・参考資料(1件)

外注費の源泉徴収とインボイス経過措置

外注費には、支払先が個人か法人かで扱いが変わる税務上の論点があります。制作業では、個人のデザイナーやイラストレーターへの外注が多いため、源泉徴収とインボイスの2点を押さえておくと支払い実務でつまずきにくくなります。

まず源泉徴収です。デザインの報酬や原稿料などを個人(居住者)に支払う場合は、支払額から所得税を源泉徴収して納付する義務があります。法人(制作会社など)への外注は、原則としてこの源泉徴収の対象外です。デザインの報酬は所得税法第204条第1項第1号で源泉徴収の対象として挙げられており、税率は国税庁が次のように示しています。

100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円

出典:No.2795 原稿料や講演料などを支払ったとき|国税庁

たとえば個人のデザイナーへ支払う報酬が20万円(100万円以下)なら、源泉徴収額は20万円×10.21%=20,420円です。請求書で報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、報酬額のみを源泉徴収の対象にして差し支えないとされています。納付の期限は、原則として支払った月の翌月10日です。

次にインボイス制度です。免税事業者である個人クリエイターなどへの外注が多い場合、適格請求書(インボイス)を受け取れない仕入については、仕入税額控除に経過措置が設けられています。控除できる割合は段階的に縮小され、国税庁は次のスケジュールを示しています。

令和5年10月1日~令和8年9月30日 … 80%
令和8年10月1日~令和10年9月30日 … 70%
令和10年10月1日~令和12年9月30日 … 50%
令和12年10月1日~令和13年9月30日 … 30%

出典:適格請求書等保存方式(インボイス制度)の説明書|国税庁

2026年10月時点では、令和8年(2026年)10月1日から始まる70%控除の期間に入っています。免税事業者への外注分は、控除できない残りの割合(この期間では仕入税額相当の30%)が発注側のコスト増につながります。外注先が適格請求書発行事業者かどうかを把握し、原価や支払い条件に織り込んでおくことが、採算管理の一部になります。

出典・参考資料(1件)

Excelで管理する場合とシステムを入れる場合の分かれ目

案件別原価の出し方が分かっても、それをExcelで続けるか、システムを入れるかは別の判断です。どちらが正解ということはなく、自社の規模や案件数によって損益分岐が変わります。

Excelは、案件数が少ないうちは初期費用がかからず、自社の見たい形に自由に組める点が強みです。案件が十数件程度で、工数を入れる人も限られるうちは、見積・外注費・工数を1つのシートで管理しても回ります。

一方で案件数とスタッフが増えると、Excel管理には3つの負担が重くなります。1つ目は属人化で、関数やマクロが複雑になり、作成者以外は手を入れられなくなります。2つ目は集計工数で、各人の工数入力を集めて案件別に突き合わせる作業が毎月の重荷になります。3つ目はリアルタイム性で、月末にまとめて集計する運用では、進行中の案件が赤字に向かっていても気づくのが遅れます。

分かれ目の目安は、案件数が増えて工数集計が毎月数日がかりになってきたとき、担当者の退職・異動でシート管理が止まるリスクが現実味を帯びてきたとき、そして進行中の採算をリアルタイムに見たいという要望が出てきたときです。これらに当てはまり始めたら、工数から人件費への換算や案件別集計を自動で行えるシステムの導入を検討する段階です。

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制作・クリエイティブ業に合う原価管理・プロジェクト収支管理システム

ここからは、案件単位で売上と原価(外注費+工数→人件費)を突き合わせて採算を扱える、制作・クリエイティブ業に合うシステムを紹介します。まず選ぶときに見るべき機能を整理し、続けて主要なサービスを比較表と個別紹介で見ていきます。

システム選びで見るべき機能

制作業で案件採算を見える化する目的に照らすと、確認したい機能は次の3つに集約されます。

  • 工数→人件費の換算:スタッフの工数入力から、時間単価をもとに案件別の労務費を自動で算出できるか。月給スタッフの人件費を案件に割り付ける手作業をなくせるかどうかの要になります
  • 案件別の原価集計:外注費・素材費・労務費を案件(プロジェクト)単位に集約し、間接費の按分まで含めて案件原価と粗利を出せるか
  • 外注費の見積実績対比:見積で見込んだ外注費・原価と、進行中に発生する実績を同じ案件のもとで突き合わせ、赤字になりそうな案件を途中で捕まえられるか

あわせて、自社の業種(映像・Web・デザイン・広告など)が公式の対象業種や導入事例に含まれるか、既存の会計ソフトと連携できるか、料金が自社の規模に見合うかも判断材料になります。以下では、これらの観点でサービスを比べられるよう、料金の分かる範囲の実額も添えて一覧にしました。

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サービス名プロカンReforma PSAMA-EYESクラウドERP ZACマネーフォワード クラウド個別原価SMILE V 2nd Edition Project Directorプロジェクト収支管理Rebofreee販売LEEAD(リード)
対象業種制作向け「プロカン制作」で映像制作・広告/PR・デザイン/Web/アプリ制作に対応IT・広告・イベント・制作・設計業(中小〜成長企業向け)システム開発・コンサル向け(V ver.)+広告業特化(A ver.)IT・広告・コンサル・士業等。導入企業の約40%が広告・PR・制作業IT・SaaS・クリエイティブ・コンサル(IPO準備〜上場企業向け)ソフトウェア・IT、広告・コンテンツ制作、その他サービス広告制作(TVCM・Web)・TV番組・映画・アニメ・コンテンツ制作・イベント企画アニメ制作・メディア・広告など(導入事例ベース)クリエイティブ・広告/企画業、士業・コンサル、IT・システム業
主な機能工数×労務単価で人件費に換算
案件別に外注費・間接費を按分し粗利を可視化
予算実績対比表で見積と実績を対比
工数登録をもとに労務費を配賦
案件別の原価・損益を自動計算
実行予算と実績を対比(仕掛中でも把握)
基準時間単価×作業時間で労務費を算出
案件別の原価集計・配賦(配賦基準を自由設定)
原価の予算と実績をグラフ比較・着地予測
登録工数を案件別の労務費へ自動集計(直課+再配賦)
外注費・仕入・労務費・経費を案件別に一元管理
予定・実績の労務費/工数を同一画面で確認
勘定科目別に従業員単価を設定し労務費を算出
間接費を多段階配賦し原価推移表で可視化
売上を含む収支の把握はクラウド会計Plus等との組み合わせが前提
社員別単価×Web工数入力でJOBごとの労務費を自動更新
案件別・部門別の収支管理帳票を出力
受注時の予定工数と実績の差異を把握(配賦方式は公式に記載なし)
案件別に売上と原価(仕入・外注費)を紐づけ
売上予算・原価予算を月単位で登録し予実対比
工数実績→人件費の原価振替は公式に記載なし
案件別に売上・仕入から売上・粗利を自動作成
原価推移レポートで進行中案件の月別原価を追跡
工数→人件費原価はfreee工数管理(別契約)が前提
案件別に売上・工数・費用の計画と実績を登録し予実管理
請求額・外注費の自動集計・セグメント分析
工数実績→人件費の原価振替・配賦は公式に記載なし
料金初期費用150,000円〜/月額30,000円〜(税抜、利用人数で変動)初期費用0円/月額30,000円(税抜)〜(ライセンス従量制)要問い合わせ(提供形態・利用人数・機能により変動)初期費用10万円/モジュール×ライセンス課金+保守6万円〜/月(単価は要問い合わせ)要問い合わせ(公式非公開)要問い合わせ(公式非公開)要問い合わせ(買い切り型。年間サポートはパッケージ価格の10%)スターター 参考約5,000円/月(3名)/スタンダード 参考約40,000円/月(10名)(年払・税抜)要問い合わせ(公式非公開)
提供形態クラウドクラウドクラウドクラウドクラウド公式に記載なし(要問い合わせ)オンプレミス(クライアントサーバ型)クラウドクラウド
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

※2026年10月時点の各社公式情報による

料金を「要問い合わせ」としたサービスは、利用人数や導入規模によって金額が変わるため、公式では一律の価格を示していません。料金を公式で確認できる製品では、初期費用0〜15万円程度、月額3万円前後からが目安です(製品により幅があります)。

ここで取り上げたのは案件別の原価・収支に強いシステムですが、原価管理に限らず予実管理やBI(ビジネスインテリジェンス)活用まで含めて管理会計システム全体の選び方・機能を比較検討したい場合は、以下の記事で詳しく解説しています。導入を検討される方は、ぜひこちらもご覧ください。

1. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンのウェブサイト

案件(プロジェクト)ごとに予算・実績・工数原価・外注費・経費を集約し、収支をリアルタイムに可視化する——これを主眼にしたクラウド型のプロジェクト収支管理システムが、株式会社PROCANのプロカンです。

業種別に「プロカンIT」「プロカン制作」「プロカン建設工事」の3ラインナップを展開し、制作向けの「プロカン制作」は対応業種にイベント・映像制作、広告・PR代理店、デザイン・Web・アプリ制作を明示しています。工数に労務単価を掛けて人件費に換算し、外注費や間接費を案件へ按分して案件ごとの粗利を見える化します。

料金は初期費用150,000円〜、月額30,000円〜(いずれも税抜、利用人数に応じて変動。2026年10月時点)と実額が公式で確認でき、制作会社が費用を見積もりやすい点も特徴です。

導入事例では、イベント・広告・クリエイティブ業の株式会社シー・エヌ・エスが見積・請求にかかるリソースを30%削減、株式会社MCATが経理との収支確認作業を半日からゼロにしたと公表しています。

出典・参考資料(1件)

2. Reforma PSA(株式会社オロ)

Reforma PSA(リフォルマ PSA)のウェブサイト

東証プライム上場の株式会社オロは、大規模向けのクラウドERP「ZAC」の機能を、案件・プロジェクト型ビジネス向けの標準機能に絞ってパッケージ化したReforma PSAを提供しています。中小・成長企業向けの位置づけで、対象業種にはIT業・広告業・イベント業・制作業・設計業が挙げられています。

販売管理・購買管理・勤怠工数管理・経費管理を一元化し、工数の登録をもとに労務費配賦・共通費配賦を行って案件別の原価と損益を自動で計算します。実行予算と実績を対比でき、仕掛中の案件でも損益をつかめる点が、採算を事前・途中で押さえたい制作会社に向きます。料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)〜の従量制で、機能別ライセンス単価まで公開されています(2026年10月時点)。

3. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

MA-EYESのウェブサイト

プロジェクト型ビジネスに特化したクラウド型ERPが、株式会社ビーブレイクシステムズのMA-EYESです。システム開発・コンサルティング向けの「V ver.」に加え、広告業界に特化した「A ver.」を持ち、対応業種に広告・インターネット業を明示しています。

工数から人件費への換算の作りが公式で具体的に開示されている点が強みで、メンバーごとのマスタに設定した基準時間単価と作業時間を掛けて労務費を算出します。間接費の配賦基準は工数・人数・売上高・人件費に加え、面積や机の数といった非システム情報まで自由に設定でき、案件別・顧客別・部門別の損益や着地予測まで扱えます。料金は提供形態(SaaS/SaaS+/一括)によって異なり、要問い合わせです。

4. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

クラウドERP ZACのウェブサイト

株式会社オロが提供するクラウドERP ZACは、案件・プロジェクト単位で業務が進む業種に特化した統合型のERPです。公式が公表した導入企業の業種別内訳では広告・PR・制作業が最も多く(約40%、2024年7月時点)、Web制作・Webマーケティング業の導入事例もあります。

出典・参考資料(1件)

案件ごとに外注費・仕入・労務費・経費を紐づけて一元管理し、登録した工数を案件別の労務費として自動集計する個別原価計算の自動化が中核です。直接作業は指定した案件に直課し、間接作業は部門配下の案件に再配賦する仕組みで、販売管理から工数・管理会計までを同じ基盤で扱えます。料金は初期費用10万円に加え、機能(モジュール)×ライセンス数の課金と保守費(6万円〜/月)で、モジュール単価は要問い合わせです。

5. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

マネーフォワード クラウド個別原価のウェブサイト

原価の集め方そのものを深く掘り下げたいなら、株式会社マネーフォワードのマネーフォワード クラウド個別原価が候補になります。IPO準備・中堅〜上場企業向けで、対象業種にクリエイティブ業を明示しています。

勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して工数入力から労務費の内訳を算出し、労務費・外注費・経費をワンクリックで原価計算します。間接費の配賦は、工数比率・従業員数比率・売上予算比率・面積比率・カスタムの複数基準から選んで多段階で行え、原価推移表で費目別の月別推移まで追えます。

勘定科目ごとに従業員別の単価を設定し、工数入力から労務費を算出して多段階で配賦できる一方、売上を含む収支の可視化はクラウド会計Plusなどとの組み合わせが前提で、料金は公式非公開(要問い合わせ)です。

6. SMILE V 2nd Edition Project Director(株式会社OSK)

SMILE V 2nd Edition Project Directorのウェブサイト

SMILE V 2nd Edition Project Directorは、株式会社OSKが開発し大塚商会が提供するプロジェクト収支管理システムです。大塚商会ERPナビの業態区分に「広告・コンテンツ制作」を掲げ、導入事例に広告制作業の企業があります。

Web画面での工数入力をもとに、社員別に設定した単価を掛け合わせてJOBごとの労務費を自動更新します。受注時のアサインによる予定工数と実績の差異を把握でき、見込み発生から受注・発注・仕入・売上・請求入金・支払までを案件ポータルで追えます。収支管理帳票はプロジェクト別・部門別・サービスカテゴリー別など複数の切り口で出力できます。

配賦の計算方式の細目や料金は公式に明記がないため、要件は問い合わせで確認するのが確実です。

7. プロジェクト収支管理Rebo(株式会社ディータイド)

プロジェクト収支管理Reboのウェブサイト

企画・制作業に対象業種を特化している点が、株式会社ディータイドのプロジェクト収支管理Reboの特徴です。公式が挙げる対応業種は広告制作(TVCM・Web)、TV番組制作、映画制作、コンテンツ制作、アニメーション制作、イベント企画運営などの企画制作業に特化しています。

案件ごとに売上と原価(仕入・外注費など)を紐づけ、売上予算・原価予算を月単位で登録して予実対比や損益のシミュレーションができます。「仕掛中の案件が儲かるか」という問いに予算実績対比表で答える設計です。

提供形態はクライアントサーバ型のパッケージ(オンプレミス型)で、月額課金ではなく買い切り型(年間サポートはパッケージ価格の10%)である点、および工数実績から人件費への原価振替は公式に記載がない点は、導入前に押さえておきましょう。料金は要問い合わせです。

8. freee販売(フリー株式会社)

freee販売のウェブサイト

会計ソフトから入る制作会社の自然な選択肢になるのが、フリー株式会社のクラウド型販売管理システムfreee販売です。導入事例にアニメ制作やメディア・広告の企業があり、見積から請求までと案件別の採算を同じシステムで扱えます。

案件ごとに売上・仕入を登録すると案件別の売上・粗利が自動で作成され、原価推移レポートで進行中案件の月別原価実績を追えます。ただし、工数から人件費を算出する機能はfreee販売単体では持たず、案件別の人件費原価を見るには別契約のfreee工数管理との連携(スタンダードプランが前提)が必要な点に注意が必要です。

料金はスタータープランが参考価格で約5,000円/月(3名・年払・税抜)、スタンダードプランが約40,000円/月(10名・年払・税抜)です。

9. LEEAD(株式会社ETVOX)

LEEAD(リード)のウェブサイト

プロジェクト会計に機能を絞ったクラウドサービスが、株式会社ETVOXのLEEADです。対応業種に「クリエイティブ・広告/企画業」を挙げ、案件単位の収支を手早く見える化したい制作会社に向きます。

案件ごとに売上・工数・費用の計画値と実績値を登録し、予実(予算対実績)で収支を見える化します。請求額・外注費の自動集計や、部署横断・顧客別のセグメント分析にも対応し、30日間の無料トライアルと最短即日の導入で試しやすい点も特徴です。収支・予実の把握が中心で、工数実績から人件費への原価振替や配賦は公式に記載がないため、人件費まで原価に落とし込みたい場合は確認しておきましょう。料金は要問い合わせです。

ここでは制作・クリエイティブ業に合うものを選んで取り上げましたが、業種を問わずプロジェクト収支管理システムをタイプ別に広く比較し、選び方や料金を確認したい場合は、以下の記事もあわせてご覧ください。

同業の導入事例を読むときの着眼点

システムを比べる段になると、気になるのは「同業の制作会社が入れて、実際に何がどれだけ変わったか」です。ベンダーが公表する導入事例は判断の参考になりますが、読むときに押さえておきたい見方があります。

導入事例を読むときは、次の3点に注目すると、自社に置き換えて判断しやすくなります。1つ目は、Excelや勘での管理から何が自動化されたか(工数入力から人件費への換算、案件別の原価集計、見積と実績の突き合わせなど)です。2つ目は、採算を把握できるタイミングが案件終了後から進行中へ前倒しできたか。3つ目は、月次の集計や経理の突合にかかっていた工数がどれだけ減ったかです。

「ミスが激減した」「大幅に効率化した」といった定性的な表現だけでは、自社での再現性が読み取れません。導入を検討する際は、自社と近い業種・規模・案件数の事例を選び、変化の中身と出どころを確かめたうえで、資料請求やデモで自社の運用に当てはめて検証するのが確実です。

まとめ

コンテンツ制作業の原価は、外注費と自社スタッフの工数(人件費)が大半を占め、案件(プロジェクト)単位で積み上げる個別原価計算が基本になります。案件別の粗利を出すには、外注費・素材費を案件に紐づけ、月給スタッフの工数を「時間単価×投入時間」で労務費に換算し、売上から案件原価を差し引きます。

仕掛品や収益認識、外注費の源泉徴収・インボイスといった制作業特有の論点も、原価が先行し売上が後行する業態では押さえておきたいところです。案件数とスタッフが増えてExcel管理の属人化・集計工数・リアルタイム性が課題になってきたら、工数から人件費への換算や案件別集計を自動化できるシステムの導入を検討する段階といえます。

制作・クリエイティブ業に合うシステムは、工数→人件費の換算・案件別原価集計・外注費の見積実績対比という3つの機能と、自社の業種への適合・料金で比べると絞り込みやすくなります。気になる2〜3社の資料を取り寄せ、自社の案件運用に当てはめて比べてみてください。

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よくある質問(FAQ)

Q. コンテンツ制作業の原価管理とは何ですか?

A. コンテンツ制作業の原価管理とは、案件(プロジェクト)ごとに外注費と自社スタッフの工数(人件費)を集計し、売上と突き合わせて案件別の粗利を把握する取り組みです。

制作業の原価は、外注先への支払いと、自社スタッフが案件に費やした工数を金額に直した人件費(労務費)が大半を占めます。同じ製品を反復して量産する製造業と違い、案件ごとに内容も規模も異なるため、案件単位で原価を積み上げる個別原価計算が基本になります。

Q. コンテンツ制作業で月給スタッフの人件費は、案件ごとの原価にどう乗せればよいですか?

A. 月給スタッフの人件費は、1時間あたりの時間単価(人件費÷稼働時間)を求め、その人が案件に投入した時間を掛けて労務費として乗せます。

たとえば1か月の人件費が40万円・稼働160時間のスタッフなら時間単価は2,500円で、ある案件に60時間を投入したなら、その案件の労務費は15万円です。人件費には給与だけでなく会社負担の社会保険料なども含めると、より実態に近い原価になります。外注費だけを見て黒字のつもりでも、工数を人件費に直して乗せると採算が変わることは珍しくありません。

Q. コンテンツ制作業で外注費は、案件ごとの原価にどう紐づければよいですか?

A. 外注費は、発注書・請求書の単位で案件番号に紐づけ、支払いが発生した案件の原価として直接積み上げます。

撮影・イラスト・ナレーション・コーディングなどの外注や、有料素材・フォントの購入は、どの案件の原価かを発注の時点で決めておくと、月末にまとめて仕分ける手間が減ります。見積段階で見込んだ外注費と実際に発生した外注費を同じ案件のもとで並べておくと、見積と実績のズレもつかまえやすくなります。

Q. 仕掛品(未成業務支出金)とは何で、制作業ではどう扱いますか?

A. 仕掛品(未成業務支出金)とは、月末時点でまだ完成・検収に至っていない案件に投入した外注費や労務費を、その月の費用にせず資産として繰り越したものです。

個別原価計算では原価は案件の完成時に算定されるため、未完成分は期中の費用ではなく資産として残ります。サービス・役務提供を行う業種では「未成業務支出金」という科目名が使われることもありますが、原価は出たが売上はまだという案件の原価を、完成・検収まで資産として繰り越すという考え方は共通です。

Q. 制作会社の原価管理は、Excelとシステムのどちらで行うべきですか?

A. 制作会社の原価管理は、案件数が少ないうちはExcelで十分ですが、案件とスタッフが増えて属人化・集計工数・リアルタイム性が課題になってきたらシステム導入を検討するのが分かれ目です。

案件が十数件程度で工数を入れる人も限られるうちは、見積・外注費・工数を1つのシートで管理しても回ります。一方で、工数集計が毎月数日がかりになってきた、担当者の退職・異動でシート管理が止まるリスクが現実味を帯びてきた、進行中の採算をリアルタイムに見たい、といった状況が重なってきたら、工数から人件費への換算や案件別集計を自動化できるシステムに切り替える段階です。

Q. 制作業向けの原価管理・プロジェクト収支管理システムの料金相場はどのくらいですか?

A. 料金を公開している製品では、初期費用0〜15万円程度、月額3万円前後からが一つの目安で、要問い合わせの製品も少なくありません。

たとえば本記事で紹介したプロカンは初期費用150,000円〜・月額30,000円〜、Reforma PSAは初期費用0円・月額30,000円〜、freee販売は月額約5,000円(3名)〜約40,000円(10名)です。多くは利用人数や機能数によって料金が変わるため、正確な金額は自社の人数・必要機能を伝えて見積もりを取るのが確実です(いずれも税抜・2026年10月時点)。

Q. 制作会社が案件別の粗利管理を始めるには、まず何からやればよいですか?

A. 案件別の粗利管理は、すべての案件に案件番号を付け、外注費と工数をその番号に紐づけて記録する運用を最初に固めることから始めます。

案件番号ごとに外注費・素材費・労務費が集まれば、売上との差で粗利を出せます。とくに工数は入力が遅れると実績がつかめないため、日次・週次でこまめに記録する運用を定着させることが、案件採算を事前・途中で把握するための前提になります。

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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