広告や制作の案件では、スタッフの工数や外注費、経費が案件ごとに大きく変わり、原価が日報や経費精算に埋もれてしまいがちです。案件別の正確な原価や粗利が締めのあとにしか見えず、赤字案件に気づくのが遅れていないでしょうか。
Excelや個別のツールで案件ごとの収支を追う方法は、案件数が増えるほど二重管理の手間が膨らみます。案件(プロジェクト)単位で工数から人件費・外注費・経費を積み上げ、原価と粗利を自動で可視化できる原価管理システムを検討する制作会社・広告会社が増えています。
本記事では、広告・制作などクリエイティブ業向けの原価管理システムを、料金と案件原価の管理機能で比較します。初期費用・月額料金の読み解き方や、案件の工数・外注費・粗利をどこまで一元管理できるかという選定の観点を整理しました。自社の規模や業務に合う一本を見極める材料としてご活用ください。
また、貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるよう、「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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クリエイティブ業の案件原価管理とは
本記事では、広告・PR、グラフィックやWEB・映像・イベントの制作、デザインなど、案件(プロジェクト)単位で仕事を請け負うクリエイティブ業に向けて、案件ごとの原価と粗利を管理するシステムを扱います。
また、クリエイティブ業に限らず、予実管理や部門別の損益把握まで含めて管理会計システム全体を見比べたい場合は、目的・規模別の選び方をまとめた以下の記事もあわせてご覧ください。
クリエイティブ業の案件原価管理とは、1件ずつの案件に対してかかった人件費・外注費・経費を集計し、売上から差し引いて案件別の原価と粗利を把握する仕組みです。全社や部門単位の損益ではなく、案件ごとの採算を見える化する点が特徴です。
原価は材料費・労務費・経費の3つから成り、制作や広告では人件費にあたる労務費と、外注費などの経費が中心を占めます。この原価を案件(受注)ごとに積み上げて集計する方法を個別原価計算と呼び、製造業の製品単位の考え方を受託制作の案件単位に当てはめたものです。
案件別の労務費は、担当者が各案件に費やした時間(工数)に、1時間あたりの人件費単価を掛けて求めます。
複数の案件に共通してかかる管理部門の人件費や賃料などの間接費は、工数や売上の比率を基準に各案件へ割り振ります。この作業を配賦といいます。
案件原価管理システムは、この工数の集計から労務費への換算、外注費の案件へのひもづけ、間接費の配賦までを自動化し、締めを待たずに案件ごとの原価と粗利を示します。

案件原価を見える化する3つのメリット
ここからは、案件原価を見える化することで得られる効果を、3つの観点から説明します。
1つ目は、案件ごとの利益がその場で分かることです。進行中の案件でも粗利を把握でき、締めを待たずに採算の良し悪しを判断できます。
2つ目は、赤字案件を早い段階で見つけられることです。工数が想定を超えた案件や外注費がかさんだ案件を早期に察知し、追加発注の抑制や体制の見直しといった打ち手を早く取れます。
3つ目は、外注やリソースの配分を見直せることです。どの案件にどれだけの工数と外注費がかかっているかが分かるため、採算の合わない外注の整理や、スタッフの配置の最適化につなげられます。
クリエイティブ業向けの3つのタイプと選び方
案件原価管理システムは、対応する業務の範囲と特化の度合いによって、大きく3つのタイプに分かれます。自社の業務が案件型か、制作業に特化した機能が必要か、他の業務と統合したいかによって、適したタイプが見えてきます。

案件(プロジェクト)型の原価管理に強いERP型
案件ごとに工数・外注費・経費を積み上げて原価と粗利を自動で集計し、見積から発注・請求・支払までを1つの仕組みで一元化するタイプです。IT・広告・制作など、受託で案件を進める業種での導入実績が多く見られます。
案件数が多く、見積から請求までの流れをまとめて管理したい企業に向いています。原価管理だけでなく、販売・購買・債権の管理まで広くカバーしたい場合の選択肢です。
制作・クリエイティブ業に特化した型
広告・制作・デザイン・映像などクリエイティブ業に特化し、タスク単位の工数入力や制作進行の管理と、案件の収支を結びつけるタイプです。現場のスタッフが入力しやすいよう、負担を抑える設計になっている製品が多くあります。
制作現場の進行管理と原価管理を一体で回したい企業や、工数入力を定着させたい企業に向いています。業種に合った画面や項目があらかじめ用意されている点も、導入のしやすさにつながります。
汎用の原価管理・ERPで案件原価に対応する型
販売管理や会計を含む汎用の仕組みに、プロジェクト管理や個別原価計算の機能を加えて、案件原価にも対応するタイプです。原価管理に用途を限定せず、受注や請求、会計までを同じ基盤でそろえたい企業に向いています。
すでに販売管理や会計の仕組みを持ち、そこに案件単位の採算管理を足したい企業の選択肢になります。クリエイティブ業に特化した機能より、他業務との統合を優先したい場合に検討します。
どのタイプを選ぶかは、現在の管理方法と優先順位で決まります。見積から請求までの一元化を重視するなら案件型ERP、制作現場の工数入力の定着を重視するなら制作特化型、他業務との統合を優先するなら汎用対応型が軸になります。
とはいえ、自社がどのタイプに当てはまるか迷うこともあります。そうしたときは、いくつかの質問に答えるだけで相性の良いタイプと候補を提案する診断ツールをお使いください。規模・業態・重視する機能から、絞り込みの出発点が見つかります。
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【比較表】料金×案件原価機能で比較
ここからは、主要なクリエイティブ業向けの案件原価管理システムを、料金と案件原価の管理機能で横並びに比較します。初期費用・月額料金と、工数から人件費原価を自動集計できるか、外注費やフリーランスへの発注費を案件にひもづけられるかといった機能の対応を、一覧で確認できます。
| サービス名 | クラウドERP ZAC | MA-EYES | マネーフォワード クラウド個別原価 | Reforma PSA | プロカン | freee販売 | ADMAN | 楽楽販売 | 勘定奉行クラウド[個別原価管理編] |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 初期費用 | 100,000円 (初期設定費用) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 0円 | 150,000円〜 (税込165,000円〜) | 要お問い合わせ | 300,000円〜 | 200,000円 (税抜) | 50,000円〜 |
| 月額料金 | 要お問い合わせ (モジュール×ライセンス+月額保守6万円〜) | 要お問い合わせ | 要お問い合わせ | 30,000円〜 (税抜) | 30,000円〜 (税込33,000円〜) | 約5,000円〜 (スターター3名・年払・税抜の参考価格) ※工数→人件費まで使うにはスタンダード+freee工数管理が別途必要 | 42,000円〜 | 70,000円〜 (税抜) | 27,500円〜 (iAシステム) |
| 料金体系 | 機能モジュール×ライセンス数 | 利用人数・利用機能に応じて変動 | 利用人数に応じて変動 | 機能ライセンス×利用人数 | 利用人数(ID数)・機能に応じて変動 | 利用ユーザー(ID)数に応じて変動 | 利用人数・オプションに応じて変動 | 利用ユーザー数などに応じて変動 | 機能段階(iA/iB/iS)で選択 |
| 案件別の原価・粗利の集計 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 工数→人件費の自動集計 | ● | ● | ● | ● | ● | △freee工数管理(別契約)が必要 | ● | △工数管理あり(計算仕様は非公開) | △労務費計上・配賦に対応(工数入力は記載なし) |
| 外注費・フリーランス発注費の案件紐づけ | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● |
| 見積〜発注〜請求の一元化 | ● | ● | ×原価管理に特化 | ● | ● | ● | ● | ● | ×会計中心(販売管理は非搭載) |
| 会計連携 | ●仕訳インポート対応の会計システム | ●勘定奉行クラウド等とAPI連携 | ●マネーフォワード クラウド会計Plus | ●勘定奉行・弥生・MF会計等 | ●弥生・freee・勘定奉行・MF | ●freee会計(他社はデータ抽出) | ●勘定奉行・弥生・OBIC7・PCA等 | ●勘定奉行・freee・MF・弥生等 | ●会計機能を内包 |
| クリエイティブ業での実績・対応 | ◎導入業種で広告・制作が最多 | ●広告業特化の「A ver.」あり | ●クリエイティブ業を対象に明記 | ●広告・制作業を対象に明記 | ◎制作・広告向け「プロカン制作」 | ●アニメ制作・広告の導入事例 | ◎広告業特化・導入150社以上 | ●広告代理店・制作の活用例 | △クリエイティブ業特化の記載なし |
| 詳細情報 | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | サービス詳細を見る | 公式サイト | サービス詳細を見る | 公式サイト |
※料金は2026年10月時点の各社公式情報に基づきます。最新の料金は各社公式サイトでご確認ください。
比較表の料金の出典(各社公式)(7件)
料金の読み解き
ここからは、案件原価管理システムの料金の見方を整理します。価格は製品によって幅があり、個別見積もりで要お問い合わせとする製品も少なくありません。
ZAC(月額)・MA-EYES・マネーフォワード クラウド個別原価が要お問い合わせなのは、利用人数と選ぶ機能・企業規模の組み合わせで総額が大きく動き、一律の定価を示しにくいためです。資料請求やデモで自社構成の見積もりを取るのが近道です。
費用は主に、導入時に一度かかる初期費用と、毎月かかる月額料金で構成されます。月額料金の決まり方には、利用する人数(ID数)で課金する方式と、機能や企業規模に応じて課金する方式があります。
人数課金の製品では、工数を入力する現場スタッフの数が増えるほど月額が上がります。案件原価を正確に出すには現場の工数入力が欠かせないため、入力する人数を見込んで総額を試算することが大切です。
案件型ERPや汎用対応型では、原価管理に販売・会計などの機能を追加すると料金が上がる仕組みが多く見られます。必要な機能だけを選べるか、最初からセットかで、同じ製品でも総額は変わります。
おおまかな価格帯の目安としては、制作特化型や少人数向けは初期費用を抑えて月額数万円から、案件型ERPや中堅以上向けは要見積もりで機能と人数しだいに総額が広がる、と考えておくとよいでしょう。
小規模な制作会社では、初期費用を抑えて月額数万円から始められる制作特化型や、少人数から使える会計ソフト連携型が現実的な選択肢になります。将来の人数や案件数の増加に合わせて拡張できるかも、あわせて確認しておくと安心です。
タイプ別のおすすめサービス
ここからは、先ほどの3つのタイプごとに、該当する主なサービスの特徴を紹介します。
案件(プロジェクト)型の原価管理に強いERP型
案件の見積から請求までを一元化し、案件別の原価・粗利を自動で集計できるサービスです。
1. クラウドERP ZAC(株式会社オロ)

株式会社オロ(東証プライム上場)が提供する、案件・プロジェクト単位で業務が進むクリエイティブ業やIT・コンサルに向けた統合型のクラウドERPです。見積から受注・売上・請求・債権管理までを一つの仕組みにまとめ、案件ごとの原価と粗利を扱えます。
工数管理で入力した作業時間は、案件別の労務費として自動で集計されます。外注費や経費も案件にひもづけて積み上げ、直接作業は該当案件へ直課し、間接作業は部門配下の案件へ再配賦する仕組みで、案件損益をリアルタイムに確認できます。
オロのニュースリリース(2024年8月)によると、導入企業を業種別に見ると広告・PR・制作業が最も多く、案件型の受託ビジネスとの相性がうかがえます。
初期費用はZAC初期設定費用の10万円、月額は利用するモジュール(機能)とライセンス数に応じた課金です。これにデータセンター利用料として月額の保守費用6万円〜が別途加わり、各ライセンスの単価は製品資料での開示となっています。
2. MA-EYES(株式会社ビーブレイクシステムズ)

株式会社ビーブレイクシステムズが開発するクラウド型ERPで、システム開発やコンサルなどプロジェクト型ビジネス向けの「V ver.」と、広告業界に特化した「A ver.」の2ラインナップを展開しています。日々の工数登録をもとに、人件費・外注費・経費を案件原価へ反映します。
労務費は、担当者ごとにマスタで設定した基準時間の単価と作業時間を掛け合わせて算出します。間接費の配賦では、工数・人数・売上高・人件費の比率に加えて、面積や机の数といった会計データ以外の基準も設定でき、部門別・案件別・顧客別で損益を見られます。
原価の集計単位は標準のプロジェクトに加え、製品やジョブなど別の切り口にも変更できます。提供形態はSaaS・SaaS+・一括の3種類から選べ、料金は公式サイトでは非公開で要お問い合わせですが、30日間の無料トライアルが用意されています。
3. マネーフォワード クラウド個別原価(株式会社マネーフォワード)

「原価管理をラクに、月次決算を早く正確に」を掲げる、株式会社マネーフォワードの個別原価管理システムです。IPO準備中の中堅企業から上場企業まで、クリエイティブ業やIT・コンサルなどプロジェクト単位で収益と原価を管理する事業を対象としています。
工数入力後にワンクリックで、労務費・外注費・経費からプロジェクト別の原価を算出します。労務費は勘定科目ごとに従業員別の単価を設定して按分し、間接費は会計の仕訳帳を取り込んで、工数比率や従業員数比率などの基準で部門・プロジェクトへ多段階に配賦します。
工数は日次・月次の入力のほか、クラウド勤怠やKING OF TIMEなど勤怠システム4種との連携でも取り込めます。料金は公式サイトでは非公開で要お問い合わせです。導入事例では、表計算ソフトで一年分をまとめて処理し丸2日ほどかけていた個別原価計算を、導入後はひと月分を3時間ほどで終えられるようになったとの報告があります。
制作・クリエイティブ業に特化した型
制作現場の工数入力や進行管理と、案件の収支を結びつけるサービスです。いずれもクリエイティブ業向けに設計・訴求された製品である点が、業種を問わない販売管理・会計基盤である汎用対応型との違いです。
4. Reforma PSA(株式会社オロ)

株式会社オロが提供するReforma PSAは、同社の大規模企業向けクラウドERP「ZAC」の機能を案件・プロジェクト型ビジネス向けに絞ってパッケージ化した案件管理システムです。IT・広告・制作・イベントなど、案件単位で業務が進む業種を対象としています。
従業員がプロジェクトと作業内容ごとに工数を入力すると、労務費配賦・共通費配賦の機能を通じて案件原価に反映されます。実行予算の入力と原価の自動計算により、仕掛中の案件でも損益を随時確認できます。
料金は初期費用0円、月額30,000円(税抜)からで、販売・購買・勤怠などの機能ライセンスを利用人数分だけ選んで積み上げる方式です。財務会計システムへの仕訳データのファイル連携にも対応し、導入期間は1〜2か月程度を目安としています。
5. プロカン(株式会社PROCAN)

プロカンは、制作・広告向けの「プロカン制作」、IT・システム開発向け、建設・工事向けの3つを業種別に用意するクラウド型のプロジェクト収支管理システムです。提供元は株式会社PROCANです。
案件(JOB)ごとに売上・原価・外注費・経費・工数を集約し、予算から実績までを一元管理します。社内スタッフの工数を労務単価で人件費に換算し、外注費などの社外コストと合わせて案件ごとの粗利を把握できる設計です。
料金は初期費用150,000円(税込165,000円)から、月額30,000円(税込33,000円)からで、利用人数や機能に応じて変わります。弥生会計・freee・勘定奉行・マネーフォワードとの会計連携に対応し、IT導入補助金の対象としても案内されています。
6. freee販売(フリー株式会社)

見積・受注・請求・入金までの販売管理に、案件(プロジェクト)単位の売上・原価・粗利の可視化を組み合わせたのがfreee販売です。フリー株式会社が提供し、原価管理専用の製品ではなく販売管理機能の一つとして案件別原価を扱います。アニメ制作やメディア・広告などの導入事例が公式に紹介されています。
案件別の粗利はスターター・スタンダードの両プランで扱えます。ただし、工数から人件費原価を算出するには、スタンダードプランに加えてfreee工数管理(別契約)との連携が必要です。freee会計と連携でき、他社の会計ソフトにもデータ抽出で取り込めます。
参考価格はスタータープランが3名利用で約5,000円/月、スタンダードプランが10名利用で約40,000円/月(いずれも年払い・税抜)です。利用するユーザー数(ID数)に応じて月額が変わります。
7. ADMAN(株式会社サイネット)

広告代理店・広告制作会社に対象を絞ったのがADMANです。株式会社サイネットが提供するクラウド型の販売管理システムで、オンプレミス版も選べます。1つの案件に媒体費・制作費・外注費など複数の原価明細を紐づけられるデータ構造を標準で備えています。
汎用の販売管理システムにはない「媒体」のマスター管理機能を持ち、媒体売上とそれに紐づく媒体費を管理できます。クリエイティブ部門の作業内容ごとの工数を記録し、労務費を含めた社内原価を進行中の案件単位で把握できます。
料金は初期費用300,000円〜、月額42,000円からで、利用人数やオプションによって変わります。勘定奉行・弥生会計・OBIC7・PCA会計など、中堅企業向けの会計システムとの連携実績があります。
汎用の原価管理・ERPで案件原価に対応する型
販売管理や会計の基盤に、案件単位の原価管理を加えて対応するサービスです。
8. 楽楽販売(株式会社ラクス)

株式会社ラクスが提供する楽楽販売は、見積・受注・請求から発注・入金までをまとめて扱うクラウド型の販売管理システムです。受注(売上)と発注(原価)、間接費などの追加原価を案件単位で紐づけ、案件ごとの収支を自動で集計できます。
画面や入力フォーム、承認ワークフローをノンプログラミングで組み立てられ、広告代理店・広告制作を含む業種別の活用例が公式に示されています。会計ソフトとの連携は、勘定奉行(CSV)やfreee会計(API)など複数に対応します。
料金は初期費用200,000円(税抜)、月額70,000円〜(税抜)で、月額は利用するユーザー数などによって変わります。原価管理だけを切り出したプランはなく、販売管理の基盤に案件収支の管理を含めて利用する形のため、受注や請求までを同じ仕組みでそろえたい企業に向きます。
9. 勘定奉行クラウド[個別原価管理編](株式会社オービックビジネスコンサルタント)
![勘定奉行クラウド[個別原価管理編]の公式サイト](https://i0.wp.com/wpcatalog.cryptobk.jp/wp-content/uploads/2026/09/kanjo-bugyo-cloud-kobetsu-genka-sitecapture.png?resize=1200%2C517&ssl=1)
勘定奉行クラウド[個別原価管理編]は、株式会社オービックビジネスコンサルタントの会計システム「勘定奉行クラウド」に、プロジェクト(案件)別の個別原価管理を加えた製品です。財務会計と案件別の原価管理を同じ基盤で扱える点が、汎用の会計システムに案件原価を載せる型にあたります。
クリエイティブ業に特化した製品ではありませんが、すでに会計の基盤を持ち、そこに案件別の原価を載せたい制作会社にとっては汎用的な選択肢になります。
請負金額・進捗・予定期間を案件ごとに一元管理し、発生額・入金・粗利・予算を同じ画面で確認できるプロジェクト別原価報告書を自動で出力します。労務費の計上や、設定した基準に基づく間接費の自動配賦、進捗度を基準にした原価振替にも対応します。
料金は基本機能のiAシステムが月額27,500円〜(年額330,000円〜・初期費用50,000円〜)で、分析機能付きのiB、管理会計機能付きのiSと段階が分かれます。無料体験は30日間用意され、会計処理と案件原価を1つの仕組みでそろえたい企業の選択肢になります。
導入・運用でつまずかないための注意点
システムを導入しても、運用が定着しなければ正確な案件原価は出せません。クリエイティブ業で特につまずきやすい点を3つ挙げます。
工数入力を現場に定着させられるか
案件別の原価は、現場の工数入力が正確にそろって初めて計算できます。デザイナーや制作スタッフにとって工数の記録は手間に感じられやすく、入力が滞ると原価の精度が落ちます。
入力画面の分かりやすさ、スマートフォンやタイマーからの入力への対応、普段使うツールとの連携など、現場の負担を抑える工夫がある製品を選ぶと定着しやすくなります。導入前に現場のメンバーが実際に入力を試せると安心です。
会計ソフトと連携できるか
算出した案件原価を会計処理につなげるには、自社で使う会計ソフトと連携できるかを事前に確認することが重要です。連携できないと、仕訳の二重入力が残り、経理の手間を削減しきれません。
連携の形は、データを書き出して取り込む方式から、自動で同期する方式までさまざまです。自社の会計ソフト名を挙げて、対応の有無と連携の深さを確認しておきましょう。
Excel管理からスムーズに移行できるか
Excelや個別ツールからの移行では、過去の案件データやマスタの移し替え、現場の入力ルールの切り替えに手間がかかります。移行の支援や初期設定のサポートがあるかで、立ち上げの負担は変わります。
最初から全社で切り替えず、一部の案件や部署で試してから広げる進め方も現実的です。無理のない移行の段取りを組めるかも、製品選びの判断材料になります。
案件別の原価をどう組み立てるかという仕組みや対応製品を、クリエイティブ業に限らずIT・建設なども含む受託全般で見比べたい場合は、プロジェクト収支管理システムをタイプ別に比較した以下の記事が参考になります。
まとめ
クリエイティブ業の案件原価管理システムは、案件ごとに工数・外注費・経費を積み上げ、締めを待たずに原価と粗利を見える化する仕組みです。赤字案件の早期発見や、外注・リソース配分の見直しに役立ちます。
製品は、案件型ERP・制作特化型・汎用対応型の3つのタイプに分かれます。見積から請求までをひとつにまとめたいなら案件型ERP、制作現場で工数入力を根づかせたいなら制作特化型、会計や販売など他の業務とつなげたいなら汎用対応型が候補になります。
料金は初期費用と月額で構成され、人数課金や機能の追加で総額が変わります。要お問い合わせの製品も多いため、工数を入力する人数や必要な機能を見込んで総額を試算し、会計連携や移行のしやすさまで含めて比較することをおすすめします。
自社の規模・業務に合う一本を見つけるために、比較表と選定診断ツールをあわせてご活用ください。
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よくある質問(FAQ)
Q. クリエイティブ業向けの原価管理システムとは何ですか?
A. 広告・制作などの案件(プロジェクト)ごとに、工数から換算した人件費・外注費・経費を積み上げ、案件別の原価と粗利を自動で把握するシステムです。全社や部門単位の損益ではなく、1件ずつの案件採算を締めを待たずに見える化する点が特徴です。対応する業務の範囲と特化の度合いにより、案件型ERP・制作特化型・汎用対応型の3つのタイプに分かれます。
Q. クリエイティブ業向けの原価管理システムは、案件ごとの工数から人件費原価を自動で算出できますか?
A. 案件型ERPや制作特化型の多くは、現場が入力した案件別の工数に1時間あたりの人件費単価を掛けて、案件ごとの労務費(人件費原価)を自動で算出できます。クラウドERP ZAC・MA-EYES・マネーフォワード クラウド個別原価・Reforma PSA・プロカンなどが該当します。
ただし、販売管理を主機能とするfreee販売では、工数からの人件費算出に別契約のfreee工数管理との連携が必要になるなど、製品によって前提が異なるため確認が必要です。
Q. 外注費やフリーランスへの発注費は、案件ごとに紐づけて管理できますか?
A. 案件型ERPや販売管理を基盤とする製品の多くは、外注費やフリーランスへの発注費を発注・支払と連動させて案件に直接ひもづけ、人件費と合わせて案件原価に積み上げられます。外注比率の高いクリエイティブ業では、どの案件にどれだけ外注費がかかったかを可視化できると、採算の合わない外注の整理や発注の見直しにつなげやすくなります。
Q. 料金は人数課金ですか?小規模な制作会社でも導入できますか?
A. 月額の決まり方は、利用人数(ID数)で課金する方式と、機能・企業規模で課金する方式に分かれます。小規模な制作会社では、初期費用を抑えて月額3万円前後から始められる制作特化型や、少人数から使える会計ソフト連携型が現実的な選択肢になります。
例えばReforma PSAは初期費用0円・月額30,000円(税抜)から、freee販売は3名利用で月額約5,000円からの参考価格があります。人数課金の製品は工数を入力する現場スタッフの数で月額が変わるため、入力する人数を見込んで総額を試算しておくと安心です。
Q. 見積・発注・請求・支払まで一つの仕組みで一元化できますか?
A. 案件型ERP型(クラウドERP ZAC・MA-EYESなど)や販売管理を基盤にした製品では、見積から受注・発注・請求・支払までを案件単位で一つの仕組みに集約できます。一方、個別原価計算に特化した製品は原価の可視化が中心で、見積や請求は別システム・会計ソフトとの連携で補う形になることがあります。見積〜請求の一元化を重視するか、原価の可視化に絞るかで、適した製品が変わります。
Q. Excelでの案件管理からは、どのような手順で乗り換えればよいですか?
A. 過去の案件データやマスタ(社員単価・取引先・勘定科目など)の移し替え、工数入力ルールの整備、一部の案件や部署での試験運用を経て全社へ広げる、という段階的な進め方が現実的です。最初から全社で切り替えると現場の入力が滞りやすいため、過去データの移行支援や初期設定のサポートがある製品を選ぶと、立ち上げの負担を抑えられます。
Q. 制作進行(ガントチャートなど)と案件の収支は連動しますか?
A. 制作・クリエイティブ業特化型を中心に、タスク単位の工数入力や制作進行の管理と案件の収支を結びつけ、進行状況と原価を同じ仕組みで扱える製品があります。現場のスタッフが進行管理の流れのなかで工数を入力できると記録が定着しやすく、案件原価の精度も上がります。汎用の会計・販売管理型では進行管理を別ツールに委ねる構成が多いため、進行と収支の連動を重視する場合は対応範囲を確認しましょう。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

















