取引先を装ったメールや、社員の受信箱に届く巧妙なフィッシングが増えています。標準のスパムフィルタでは止めきれず、添付ファイルや誤送信による情報漏えいも心配で、メール環境の防御を見直したいと感じる場面は少なくありません。こうした場面でメールセキュリティ製品を探し始めると、フィルタリング・無害化・誤送信対策・暗号化といった言葉が並び、どの製品が自社の課題に効くのか判断しにくいのではないでしょうか。
難しいのは、製品が「クラウド型」「ゲートウェイ型」「無害化」といった手段の名前で語られていて、それぞれがメールのどのリスクを防ぐのかが見えにくいことです。自社に足りない対策領域が分からなければ、どの製品を足すべきかも決まりません。
本記事では、メール経由のリスクを整理したうえで、対策を「迷惑メール・フィッシングを止めるフィルタリング」「添付ファイルを無害化するCDR・サンドボックス」「誤送信・情報漏えいを防ぐ送信対策・暗号化」の3つの領域に分け、それぞれが何を防げて何を防げないかを解説します。
そのうえで主要な15製品を対策領域別に比較し、提供形態・Microsoft 365環境への適合・費用から自社に合う製品を絞り込む判断軸まで整理します。
今すぐ製品を横並びで見たい場合は、「対策領域別メールセキュリティ製品の比較表」からご覧ください。
また、自社が受けている脅威や利用環境に合わせて適した対策領域・製品を最短で見つけられるよう、貴社向けの「30秒で終わる選定診断ツール」を記事中盤にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
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メールセキュリティ(製品)とは
メールセキュリティ製品とは、メールを経由して届く脅威から組織を守るための製品・サービスの総称です。守る対象は、外部から届く迷惑メール・フィッシング・標的型攻撃・ビジネスメール詐欺(BEC)だけでなく、社内から出ていく誤送信や情報漏えいも含まれます。
製品が提供する機能は幅広く見えますが、防ぐ役割で整理すると3つの領域に分かれます。1つ目は、危険なメールを受信段階で検知・遮断するフィルタリング(メールゲートウェイ)です。2つ目は、添付ファイルやリンクを解析・再構成してから届ける無害化(CDR・サンドボックス)。3つ目は、送信保留や宛先確認・暗号化で社内起点の漏えいを防ぐ誤送信対策・暗号化です。
1つの製品が複数の領域をカバーすることもありますが、どの領域を主眼に置くかは製品ごとに異なります。
自社が受けているリスクと、足りない対策領域を先に見きわめることが、製品選びの出発点になります。以降では、まずメール経由の脅威を整理し、続いて各対策領域が何を防げて何を防げないかを具体的に見ていきます。
メール経由の脅威の種類と最新動向
ここからは、メールセキュリティ製品が防ぐ対象となる脅威を、受信側・送信側に分けて整理し、2026年時点の最新動向まで確認します。脅威の輪郭を押さえておくと、後半で各対策領域の守備範囲を読むときに、自社に必要な領域が判断しやすくなります。
受信側の脅威(迷惑メール・フィッシング・標的型攻撃・BEC)
外部から届くメールの脅威は、無差別にばらまかれる迷惑メールから、実在の企業やサービスを装って偽サイトへ誘導するフィッシング、特定の組織を狙って業務メールを装う標的型攻撃メール、経営層や取引先になりすまして送金・口座変更を指示するビジネスメール詐欺(BEC)まで幅があります。
なかでもフィッシングの規模は年々拡大しています。警察庁は、令和7年のフィッシング報告件数について次のように示しています。
令和7年におけるフィッシング報告件数は、フィッシング対策協議会によれば、245万4,297件であり、右肩上がりの増加が続いている。また、令和7年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は4,747件、被害総額は約103億9,700万円となっており、フィッシングがその手口の約9割を占める。
出典:令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について|警察庁
標的型攻撃とBECは、情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも組織向けの脅威として取り上げられており、機密情報を狙った標的型攻撃が第5位、ビジネスメール詐欺が第10位に挙げられています。
標的型攻撃メールは第三者になりすまし、マルウェアを添付したメールや不正なリンクを記載したメールで感染を狙う手口が中心です。一方、BECはマルウェアも不正URLも使わず文面だけで送金を促す場合がある点が異なります。
この違いは対策の選び方に直結します。添付やリンクを検査する仕組みは標的型攻撃メールには有効ですが、検査対象が存在しないBECには効きにくく、なりすましを見分ける送信ドメイン認証などが必要になります。
出典・参考資料(1件)
送信側のリスク(誤送信・情報漏えい・PPAP問題)
メールの脅威は外部から届くものだけではありません。宛先の指定ミスや添付ファイルの取り違えによる誤送信は、社内起点で情報漏えいにつながるリスクです。取引先の個人情報や機密資料を誤って別の相手に送れば、被害は受信側の攻撃と変わらない規模になり得ます。
関連して見直しが進んでいるのが、パスワード付きZIPファイルと復号パスワードを同じ経路で別送する、いわゆる「PPAP」です。この方式はウイルスチェックをすり抜けやすく、受信側の手間も大きいことから、政府が廃止に踏み切りました。詳細は後半の選び方で扱いますが、誤送信対策・暗号化の領域では脱PPAPへの対応が一つの論点になっています。
2026年の脅威動向(生成AIによる巧妙化)
2026年に入り、攻撃の巧妙化を後押しする要因として生成AIの悪用が広がっています。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威として「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が第3位に初めて選出されました。これまで不審なメールの手がかりとされてきた不自然な日本語が、生成AIによって自然な文面に置き換わりつつあり、文面の違和感だけで見分ける前提は崩れ始めています。
実際に、日本語話者を狙う大規模なフィッシングキットも確認されています。セキュリティ企業のProofpointは、日本のユーザーを標的とするフィッシングキット「CoGUI」を報告しており、正規サービスの偽装ページへ誘導する手口が広く使われています。文面や送信元の巧妙化が進むほど、人の注意だけに頼らず、技術的に検知・遮断・無害化する仕組みの重要性が増しています。
出典・参考資料(2件)
メールセキュリティの対策領域と守備範囲
ここからは、メールセキュリティを支える3つの対策領域を順に見ていきます。それぞれが何を防げて何を防げないかを押さえることが、自社に足りない領域を特定し、無駄なく製品を選ぶ近道になります。
3つの対策領域が働く場所を、メールの流れの上に置いて示すと次のとおりです。

フィルタリング(メールゲートウェイ)— 防げる脅威と限界
フィルタリングは、メールを受信箱に届ける前に検査し、迷惑メール・フィッシング・既知のマルウェアを遮断する対策です。送受信の経路上に置くメールゲートウェイが担い、送信元の評価、本文やURLのパターン照合、添付ファイルのウイルス検査などを組み合わせて危険なメールを止めます。
なりすましを機械的に見分ける仕組みが送信ドメイン認証です。迷惑メール対策推進協議会のガイドラインは、その中核となるDMARCを次のように説明しています。
送信ドメイン認証技術には,認証する送信者情報や認証に用いる仕組みが異なる2つの認証方式,SPF, DKIMがあります.送信ドメイン認証技術DMARCは,これら2つの認証結果を利用し,メール受信者が一般的に送信者と考える,メールヘッダ上の送信者(ヘッダFrom)との整合性を確認し,認証する技術です.
出典:送信ドメイン認証技術DMARC導入ガイドライン|迷惑メール対策推進協議会
送信ドメイン認証は国も導入を促しています。警察庁は令和7年の報告で、フィッシング被害の急増を受け「なりすましメールを防ぐ技術(DMARC等)への対応促進」を所管省庁を通じて事業者に要請したとし、民間企業のDMARC導入率が令和6年に大きく増加したと述べています。総務省も送信ドメイン認証を迷惑メール対策として導入促進しています。
一方で限界もあります。判定の根拠が既知のパターンや送信元評価に寄るため、初めて使われる送信元や、正規ドメインが乗っ取られて送られたメールは通過し得ます。未知の攻撃を狙った巧妙なメールは、フィルタリングだけで止まると期待しない方が現実的です。ここを補うのが、次の無害化の領域です。
無害化(CDR/サンドボックス)— 防げる脅威と限界
無害化は、フィルタリングをすり抜けた未知の脅威に備える領域です。代表的な方式が2つあります。1つはサンドボックスで、添付ファイルやリンク先を隔離した仮想環境で実際に開き、不審な挙動を観察してから配送の可否を判断します。もう1つがCDR(コンテンツ無害化)で、ファイルを構成要素に分解し、マクロやスクリプトなど危険になり得る要素を取り除いて安全な部分だけで再構成します。
両者の考え方は対照的です。サンドボックスは「危険かどうかを判定してから通す」のに対し、CDRは「判定せずに危険要素を除いてから通す」ため、まだ知られていない攻撃にも効きます。既知パターンの照合では捉えにくいゼロデイ攻撃や、標的型攻撃メールに仕込まれた未知のマルウェアに対して有効です。
限界もあります。サンドボックスは解析に時間がかかり、実行を遅らせて検知を回避する攻撃には万能ではありません。CDRは危険要素を除く過程でマクロなど正規の機能まで失われることがあり、業務でマクロを多用する場合は運用の調整が必要です。いずれもメールの経路で完結する対策であり、端末に侵入した後の脅威までは守備範囲に含みません。
誤送信対策・暗号化(送信保留・上長承認・脱PPAP)— 防げる脅威と限界
3つ目は、社内から外部へ送るメールに働く領域です。送信前に一定時間メールを保留して送信者自身に見直させる送信保留、上長が宛先や内容を確認してから送る上長承認、宛先の自動チェックなどで、宛先ミスや添付ファイルの取り違えによる漏えいを防ぎます。送信内容を暗号化する機能を備える製品もあります。
ここに含まれるのが脱PPAPへの対応です。従来のパスワード付きZIPと別送パスワードに代えて、受信者がブラウザからファイルをダウンロードする方式や、経路自体を暗号化する方式などが用いられます。誤送信対策・暗号化は送信側のリスクに特化しているため、外部から届く迷惑メールやマルウェアの受信対策は、フィルタリングや無害化の領域に委ねる必要があります。
「脅威 × 対策領域」対応マッピング
3つの対策領域が、それぞれどの脅威に効くかを一覧にすると次のとおりです。自社が特に警戒している脅威の行を見れば、どの対策領域が中心的な役割を担うかを確認できます。●が中心的に対応する領域、△が条件付き・部分的に対応する領域、×が守備範囲外を表します。
| 脅威 / 対策領域 | フィルタリング(ゲートウェイ) | 無害化(CDR/サンドボックス) | 誤送信対策・暗号化 |
|---|---|---|---|
| 迷惑メール | ● | △(添付・URLの検査) | × |
| フィッシング | ● | △(URL・添付の検査) | × |
| 標的型攻撃メール | △(なりすまし検知・既知パターン) | ● | × |
| ビジネスメール詐欺(BEC) | △(送信ドメイン認証で補完) | ×(検査対象の添付・URLがない場合) | × |
| 未知の添付・マルウェア | △(既知のものが中心) | ● | × |
| 誤送信・情報漏えい | × | × | ● |
※上記は各対策領域における一般的な守備範囲の傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無や対応範囲については各社情報をご確認ください。
表からわかるとおり、どの領域にも「防げないこと」があります。これは製品の優劣ではなく、働く場所と検査の対象が異なることによる構造的な違いです。メールの経路で止められなかった脅威が端末に侵入した後の検知・封じ込めは、エンドポイント防御やEDRといったメール外の層が担います。自社が最も警戒する脅威に効く領域を軸に据えつつ、守備範囲の外に大きな穴が残らないかを確認することが、製品選びの土台になります。
なかでも標的型攻撃メールへの備えを重点的に検討したい場合は、フィルタリング・サンドボックス・無害化がこの脅威をどこまで防げるのかを個別製品まで掘り下げた次の記事もあわせてご覧ください。
メールセキュリティ製品の選び方
必要な対策領域が見えたら、次は製品を絞り込む段階です。ここでは提供形態・自社環境への適合・脱PPAP・費用と運用という4つの観点から、判断のポイントを整理します。
絞り込みは、上流の「足りない対策領域の特定」から順に、次の5ステップで進めると迷いにくくなります。

提供形態で選ぶ(クラウド/ゲートウェイ・アプライアンス/オンプレミス/API連携型)
メールセキュリティ製品は提供形態によって導入・運用の負荷が大きく変わります。自社でサーバーを持たず短期間で導入できるクラウド型(SaaS)、専用機器を経路上に設置するゲートウェイ・アプライアンス型、自社環境に構築するオンプレミス型、そしてメールの経路を変えずに受信箱を後から監視するAPI連携型があります。
選ぶ際は、既存のメール環境をどこまで変えられるかが判断軸になります。多くの企業ではMXレコードの変更を伴う経路変更が発生するため、切り替え時の設定作業や社内調整の手間を見積もっておくと、導入後のつまずきを避けられます。API連携型は経路を変えずに導入できる一方、受信後の検知になるため、受信前に遮断したい要件とは適合を確認しておく必要があります。
自社環境への適合(Microsoft 365 / Google Workspaceの標準機能と追加防御の要否)
Microsoft 365やGoogle Workspaceを利用している場合、まず確認したいのは標準機能でどこまで守れて、どこから追加防御が要るかです。両サービスとも迷惑メールやマルウェアの基本的なフィルタリングを備えており、上位プランやオプションで検査を強化できます。
標準機能で不足しやすいのは、未知の攻撃に対するサンドボックスや無害化、なりすましを見分ける高度な検知、誤送信対策といった領域です。これはMicrosoft 365・Google Workspaceに共通する傾向で、どちらの環境でも高度な脅威対策や誤送信対策は追加の製品で補う構成が一般的です。
標準機能を評価したうえで、足りない対策領域を後から追加する製品を選ぶか、包括的なメールゲートウェイに切り替えるかを判断するとよいでしょう。
導入検討中の製品が自社のメール基盤に対応しているか、API連携かゲートウェイ経由かも合わせて確認しておくと、環境に載せられない製品を候補から外せます。
脱PPAP/PPAP代替への対応
取引先との間で脱PPAPを求められる場面が増えています。背景には政府の方針転換があります。内閣府は2020年11月の記者会見で、パスワード付きZIPファイルと同じ経路でパスワードを自動送付する方式について、次のように述べています。
内閣府、内閣官房で採用していたZIPファイル送付と同じ経路でパスワードを自動で送る方式は、セキュリティ対策の観点からも、受け取る側の利便性の観点からも、適切なものではないと考えています。
出典:平井内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和2年11月24日|内閣府
この方針を受け、政府はこの方式を廃止しました。企業側でも、受信者がブラウザからファイルをダウンロードする方式や、送信経路自体を暗号化する方式への移行が進んでいます。誤送信対策・暗号化を重視する場合は、製品が脱PPAPにどの方式で対応しているかを確認しておくと、取引先の要件にも応えやすくなります。
費用体系・サポート・運用負荷で選ぶ
費用は製品によって課金の考え方が異なり、単純な金額比較だけでは判断を誤りやすい点です。課金体系と相場の目安は次の「費用相場」で整理しますが、選定時は表示価格だけでなく、無害化やサンドボックスをオプションにしている製品ではオプション費用も含めて見積もることが大切です。
あわせて確認したいのが運用負荷です。日々の隔離メールの確認や、フィルタの調整、誤検知が出たときの対応を誰が担うのかで、実質的なコストは変わります。国内での導入実績や日本語サポートの有無は、運用開始後に問い合わせが必要になったときの安心材料になります。金額と機能の対応は、後半の比較表で製品ごとに確認できます。
メールセキュリティ製品の費用相場
ここでは、製品を選ぶ前提として費用相場の目安を整理します。金額は製品・プラン・契約規模で変わるため、あくまで予算感をつかむための参考として捉えてください。
クラウド型のメールセキュリティでは、1ユーザー(またはメールアドレス)あたり月額数百円程度を軸に、受信対策のみのプランは安価に、無害化やサンドボックスを含む上位プランは高めになる傾向があります。ドメイン単位で課金する製品もあり、利用人数が多いほどユーザー課金より割安になる場合があります。
オンプレミス型やアプライアンス型では、初期の構築費用がまとまった金額になり、規模によっては数十万円から数百万円規模になることもあります。
注意したいのは、公開価格を出している製品と、代理店経由の個別見積もりが前提の製品が混在する点です。特に外資系の製品は「要お問い合わせ」となっているものが多く、機能要件を先に固めてから複数社に同条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります。
各製品の公開価格は比較表の費用欄で確認でき、公開されている水準は、見積もりが妥当かを判断する目安になります(2026年9月時点。金額は各社公式情報をご確認ください)。
タイプ別に見るメールセキュリティ製品(対策の強み領域別)
ここまで整理した対策領域を、実際の製品群に対応づけます。多くの製品は複数の機能を備えているため、ここでは各製品を最も強みのある領域(主機能)で3つのタイプに分けています。自社が最も必要とする対策領域から、候補となる製品の当たりをつけてください。各タイプに該当する主なサービスは、次のとおりです。
1つの製品が複数の領域をカバーすることも多いため、後半の比較表では各製品の領域ごとの対応状況を◎(特に強い)・●(対応)・△(条件付き・部分対応)・×(対応なし)で示しています。あるタイプに属していても、そのタイプ以外が主対応の製品では該当列が△になることがあります。
迷惑メール・フィッシングを止める(フィルタリング/ゲートウェイ型)
メール対策の土台となる領域で、まず受信側の脅威を広く抑えたい企業に向くタイプです。Microsoft 365の標準基盤に追加する形の製品も、この領域に含まれます。該当する主なサービスは次のとおりです。
| 対策領域とサービス | 迷惑メール・フィッシングを止める(フィルタリング/ゲートウェイ型) |
|---|---|
| 主な役割 | 受信段階で危険なメールを検知・遮断。送信ドメイン認証・URL再検査 |
| 該当する主なサービス | m-FILTER MailFilter IIJセキュアMXサービス Microsoft Defender for Office 365 Trend Micro Email Security Proofpoint Email Protection Cisco Secure Email Barracuda Email Protection FortiMail Active! zone SS GUARDIANWALL Inbound Security for Mail Gateway |
添付ファイルを無害化する(CDR/サンドボックス型)
フィルタリングをすり抜ける巧妙な標的型攻撃メールや、ゼロデイの攻撃に備えたい企業に向くタイプです。該当する主なサービスは次のとおりです。
| 対策領域とサービス | 添付ファイルを無害化する(CDR/サンドボックス型) |
|---|---|
| 主な役割 | 添付・リンクを解析・再構成し、未知の脅威を除いてから配送 |
| 該当する主なサービス | Votiro Disarmer(現Menlo File Security) OPSWAT MetaDefender Trellix Email Security |
誤送信・情報漏えいを防ぐ(送信対策・暗号化型)
脱PPAPへの対応を求められている企業や、誤送信による情報漏えいを重点的に防ぎたい企業に向くタイプです。受信対策と組み合わせて使うことが多い領域です。該当する主なサービスは次のとおりです。
| 対策領域とサービス | 誤送信・情報漏えいを防ぐ(送信対策・暗号化型) |
|---|---|
| 主な役割 | 送信保留・上長承認・宛先確認・暗号化で社内起点の漏えいを防止 |
| 該当する主なサービス | サイバーソリューションズ メールセキュリティ Mail Defender |
しかし、自社がどのタイプに適しているか、複数の領域にまたがるため判断が難しいケースもあります。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
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【比較表】対策領域別メールセキュリティ製品比較
ここからは、自社の課題や要件に合わせた比較・選定ができるよう、主要なメールセキュリティ製品15製品を、対策の強み領域別に分類してご紹介します。対応する脅威・提供形態・Microsoft 365への対応・費用を横並びで確認できます。
迷惑メール・フィッシングを止める(フィルタリング/ゲートウェイ型)の比較
| サービス名 | m-FILTER MailFilter | IIJセキュアMXサービス | Microsoft Defender for Office 365 | Trend Micro Email Security | Proofpoint Email Protection | Cisco Secure Email | Barracuda Email Protection | FortiMail | Active! zone SS | GUARDIANWALL Inbound Security for Mail Gateway |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態 | オンプレミス/クラウド/ゲートウェイ | クラウド(ゲートウェイ型統合) | クラウド(Microsoft 365統合) | クラウド(API連携)/アプライアンス/ゲートウェイ | クラウド/仮想・物理アプライアンス(ゲートウェイ/API連携) | クラウド/アプライアンス(ゲートウェイ+API連携) | クラウドゲートウェイ+API連携(一部アプライアンス) | アプライアンス/VM/クラウド(ゲートウェイ/API連携) | クラウド(ゲートウェイ型) | クラウド(ゲートウェイ型) |
| 迷惑メール・フィッシング対策 | ●(フィッシング対策。迷惑メールはAnti-Spam機能) | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | △(標的型対策が中心) | ● |
| 標的型・BEC対策(なりすまし検知・送信ドメイン認証) | ●(なりすまし識別。送信ドメイン認証は非公開) | ●(SPF・DKIM・DMARC対応) | ◎(AIなりすまし・BEC検知、Plan 1以上) | ◎(AI文体分析・SPF・DKIM・DMARC) | ◎(専用エンジンでBEC検知、DMARC支援) | ◎(SPF・DKIM・DMARC+独自なりすまし検知) | ◎(AI分析でBEC・なりすまし検知) | ●(SPF・DKIM・DMARC・BEC分類) | △(送信ドメイン認証・BEC検知は非公開) | ●(SPF・DKIM・DMARC・表示名なりすまし検知) |
| 無害化・サンドボックス | ●(無害化・サンドボックスはオプション) | ●(無害化・サンドボックスはオプション) | ●(サンドボックス、Plan 1以上) | ●(サンドボックス、ZIP解凍解析) | ●(添付・URLをサンドボックス解析) | ●(AMPクラウドサンドボックス) | ●(サンドボックスはオプション) | ●(無害化+FortiSandbox連携) | ●(マクロ除去・画像化、上位でサンドボックス) | ●(マクロ除去・仮想アナライザ) |
| 誤送信対策・脱PPAP | ●(送信保留) | ●(上長承認・送信取り消し) | × | × | × | △(上位プランにDLP・暗号化) | △(暗号化・DLP機能) | × | ×(誤送信対策は別製品) | ×(本サービスは受信対策) |
| Microsoft 365 / Google Workspace対応 | ● | ● | ●(Microsoft 365専用) | ● | ● | ●(Microsoft 365にAPI連携) | ● | ● | ● | ● |
| 費用(初期/月額) | 初期:要お問い合わせ 月額:参考250円〜(オンプレ)/500円〜(クラウド)※1ライセンス | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ(1ヵ月無料トライアル) | 初期:なし 月額:Plan 1 299円/Plan 2 749円※1ユーザー・年払い | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ(ユーザー数ベース) | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:100,000円 月額:200円〜(サンドボックスプラン400円)※1メールアドレス・税抜 | 初期:0円 月額:200円〜※1ユーザー・税別 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
添付ファイルを無害化する(CDR/サンドボックス型)の比較
| サービス名 | Votiro Disarmer(現 Menlo File Security) | OPSWAT MetaDefender | Trellix Email Security |
|---|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(エージェントレス・API連携)/オンプレミス | オンプレミス(Email Gateway)/クラウド(M365向け) | クラウド/オンプレミス・アプライアンス(Server) |
| 迷惑メール・フィッシング対策 | ×(ファイル無害化に特化) | ●(URLレピュテーション・スパム検査) | ● |
| 標的型・BEC対策(なりすまし検知・送信ドメイン認証) | △(未知マルウェア無害化。なりすまし・認証は対象外) | △(未知マルウェア無害化。送信ドメイン認証は非公開) | ●(BEC・なりすまし検知。送信ドメイン認証は独自技術) |
| 無害化・サンドボックス | ◎(CDR=判定せず安全要素で再構築、220形式以上) | ◎(Deep CDR+30エンジン+サンドボックス) | ◎(MVX/IVXサンドボックス、ZIP解凍解析) |
| 誤送信対策・脱PPAP | × | △(DLPによる情報漏えい対策) | △(DLP連携) |
| Microsoft 365 / Google Workspace対応 | ●(Exchange Online/Google Workspace連携) | ●(Microsoft 365向け。Google Workspaceは非公開) | ●(Microsoft 365/Google Workspace API連携) |
| 費用(初期/月額) | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ | 初期:要お問い合わせ 月額:要お問い合わせ |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
誤送信・情報漏えいを防ぐ(送信対策・暗号化型)の比較
| サービス名 | サイバーソリューションズ メールセキュリティ | Mail Defender |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウド(アドオン型)/オンプレミス(CyberMail-CDR) | クラウド/仮想・物理アプライアンス(ゲートウェイ型) |
| 迷惑メール・フィッシング対策 | ●(受信対策プラン) | △(URL非リンク化・なりすまし検知が中心) |
| 標的型・BEC対策(なりすまし検知・送信ドメイン認証) | ●(SPF・DKIM・DMARC・ARC対応) | △(SPF・DKIM。DMARCは非公開) |
| 無害化・サンドボックス | ●(無害化・サンドボックスオプション) | △(無害化はFast Sanitizer連携オプション) |
| 誤送信対策・脱PPAP | ◎(脱PPAP・誤送信防止) | ◎(送信保留・上長承認・Bcc強制) |
| Microsoft 365 / Google Workspace対応 | ●(Microsoft 365/Google Workspace向け) | ●(Microsoft 365/Google Workspace/オンプレ連携) |
| 費用(初期/月額) | 初期:要お問い合わせ 月額:200円〜(送受信対策400円)※1アカウント | 初期:110,000円 月額:38,500円〜※コア数課金(30日間無料トライアル) |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト |
※上記各表の対応状況は一般的な傾向です。個別のサービスにおける実際の機能搭載の有無・提供形態(標準/オプション等)・料金は各社の公式情報をご確認ください(2026年9月時点)。
メールセキュリティ製品の個別紹介(対策領域別)
ここからは、各製品の特徴を対策領域別に個別に紹介します。提供形態・主な機能・想定される利用場面を確認し、比較表と合わせて候補を絞り込む材料にしてください。
迷惑メール・フィッシングを止める(フィルタリング/ゲートウェイ型)
受信段階で脅威を広く抑えるタイプの製品です。自社の受信対策の土台となる領域から見ていきます。
1. m-FILTER MailFilter(デジタルアーツ株式会社)

デジタルアーツ株式会社のメールセキュリティ「m-FILTER」シリーズは、送受信制御と標的型攻撃メール対策を担う「MailFilter」、全文保存の「Archive」、迷惑メール対策の「Anti-Spam」の3機能で構成されます。MailFilterは、このうち社外からの攻撃メール対策と誤送信対策の中核を担う機能です。
送信元のIPアドレスとドメインの組み合わせを照合してなりすましを見分け、本文中のURLをクラウド側で検査し、危険な拡張子やマクロ、パスワード付きZIPを含む添付ファイルを判定します。2026年2月には、外部ツール連携なしに単体で添付ファイルを無害化するオプションの提供も始まりました。
導入形態はオンプレミス型・クラウド型(m-FILTER@Cloud)・ゲートウェイ型(m-FILTER EdgeMTA)から選べ、Microsoft 365やGoogle Workspaceとも連携します。
参考価格はオンプレミス版で月額換算250円/ライセンス、クラウド版で500円/ライセンスです(オンプレミス版は買い切りではなく年額ライセンスを月額に換算した参考値)。いずれも利用規模やオプションによって金額が変わるため見積もりが前提です。
2. IIJセキュアMXサービス(株式会社インターネットイニシアティブ)

株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)が提供するクラウド型の統合メールセキュリティサービスです。受信時の脅威メール対策と、送信時の情報漏えい・内部不正対策を、単一のクラウドゲートウェイでまとめて扱います。
なりすまし対策としてSPF・DKIM・DMARCの3方式すべてに標準対応し、迷惑メールやウイルスは複数エンジンで検査します。添付ファイル削除やURL無効化を行うメール無害化、仮想環境で挙動を確認するサンドボックスはオプションで追加でき、導入形態もゲートウェイ構成・フルアウトソース構成・外部クラウド連携(Microsoft 365/Google Workspace)から選べます。
料金はメールアドレス数とオプションに応じた個別見積もりで、1ヵ月の無料トライアルがあります。
2024年8月以降には、本サービスの設備が不正アクセスを受けた事案も公表されています。最大6,493契約・約407万メールアカウントの情報が漏えいした可能性があるとされ、同社は不正経路を切り離して安全に利用できる状態にしたとしています。
メールセキュリティ製品自体も攻撃対象になり得るため、インシデント発生時の情報開示や復旧対応といった提供事業者の運用体制も、製品選定時に確認したい観点の一つです。
3. Microsoft Defender for Office 365(日本マイクロソフト株式会社)

Microsoft 365のメールとコラボレーション基盤(Exchange Online、SharePoint、OneDrive、Teams)を対象にしたセキュリティ機能です。全サブスクリプションに標準搭載されるExchange Online Protection(EOP)に、上位のPlan 1・Plan 2を重ねる段階構成をとります。
EOPが既知のウイルスや大量送信型の迷惑メールを扱うのに対し、Plan 1では未知の添付ファイルをサンドボックスで検証する「安全な添付ファイル」、クリック後もURLを検査し続ける「安全なリンク」、なりすまし検知の拡張が加わります。Plan 2では、攻撃を模したメールで従業員を訓練する攻撃シミュレーションや、自動調査・対応まで使えます。
料金は年払いでPlan 1が1ユーザーあたり月額299円、Plan 2が749円で、Plan 2の機能は90日間無料で試せます。2026年のライセンス改定でPlan 1がE3・G3クラスにも標準搭載され、既存のMicrosoft 365環境に追加防御を組み込みたい企業が対象になります。
4. Trend Micro Email Security(トレンドマイクロ株式会社)

トレンドマイクロのメールセキュリティは単一製品ではなく、防御の仕組みや導入形態が異なる複数の製品で構成されます。クラウドにAPI連携する「Email and Collaboration Security」、標的型攻撃メールに特化したアプライアンス「Deep Discovery Email Inspector」、クラウド型ゲートウェイなどを、メール基盤の形態に応じて組み合わせられます。
AIによる文体分析で送信者になりすました不審なメッセージを見分け、添付ファイルはサンドボックスで動的に解析し、URLはコンピュータビジョンで詐欺サイトかどうかを判定します。Deep Discovery Email Inspectorはパスワード付きZIPを解凍したうえで解析するため、検知回避を狙った手口にも対応します。
Microsoft 365 Exchange OnlineとGoogle Workspaceの双方に対応します。2026年4月には法人向け事業のブランドを「TrendAI」に刷新し、製品名も「TrendAI Vision One」系へ移行しました。料金は公開されておらず、販売代理店経由の見積もりが基本です。
5. Proofpoint Email Protection(日本プルーフポイント株式会社)

「人」を狙う攻撃への対策を軸に、メール・クラウド・エンドポイントを手がける米国Proofpointのメールセキュリティ製品群です。受信メールをセキュアメールゲートウェイ(SEG)またはAPI連携で検査し、フィッシング・マルウェア・ビジネスメール詐欺(BEC)・なりすましを検知します。現在は「Core Email Protection(CEP)」の名称でも案内されています。
添付ファイルとURLの双方をサンドボックスで動的に解析し、メール本文中のURLはクリック時に書き換えてリアルタイムに再検査します。BEC・なりすまし対策には専用エンジン(Nexus Relationship Graph/Language Model)を、なりすましドメイン対策にはDMARC導入を支援するEmail Fraud Defenseを、製品を分けて提供します。
国内ではNRIセキュア・日立ソリューションズ・テクマトリックスなど複数のSIer・セキュリティベンダーが代理店として導入や運用を支援します。料金は公開されておらず、代理店経由の個別見積もりが前提で、公式サイトには無料デモの申し込み窓口が用意されています。
6. Cisco Secure Email(シスコシステムズ合同会社)

シスコが提供するメールセキュリティ製品群で、現行の中核はクラウドネイティブな「Secure Email Threat Defense(ETD)」と、従来型の受信ゲートウェイ「Secure Email Gateway」(旧ESA)の2系統です。いずれも自社の脅威インテリジェンス基盤Cisco Talosの情報を検知に活用します。
Secure Email GatewayはSPF・DKIM・DMARCに加え独自のForged Email Detectionで送信元を検証し、未知のファイルはAMP機能でクラウド型サンドボックスに送って挙動を解析します。ETDは、メールフロー上での配信前ブロックと、Microsoft 365にAPI連携しての配信後の自動隔離・修復を1つのコンソールで扱えます。
料金はユーザー数ベースのサブスクリプションで、契約期間は1年・3年・5年から選べ、複数年契約で割引が適用されます。具体的な単価は公開されておらず、代理店経由の個別見積もりとなります。
7. Barracuda Email Protection(バラクーダネットワークスジャパン株式会社)

バラクーダネットワークスのメールセキュリティ製品群で、配信経路上で検査するゲートウェイ型と、Microsoft 365などの受信箱をAPIで監視する配信後防御を組み合わせて提供します。全世界で15万社以上が導入しています。
ゲートウェイ型のEmail Security Gatewayは12階層の検査でスパム・ウイルス・フィッシングを止め、疑わしい添付ファイルはオプションのサンドボックスで実行して判定します。API連携型のImpersonation Protectionは、過去のメール履歴を学習したソーシャルグラフ分析でBEC・なりすまし・アカウント乗っ取りを検知します。
プランはAdvanced・Premium・Premium Plusの3段階で、上位ほどMicrosoft 365データのバックアップやセキュリティ教育まで範囲が広がります。料金は公開されておらず要問い合わせで、無料トライアルと受信箱の無料診断が用意されています。国内のサポート窓口は平日9時〜17時の対応です。
8. FortiMail(フォーティネットジャパン合同会社)

Fortinetが提供するメールゲートウェイ製品で、受信メールを「既知」「疑わしい」「未知」「BEC」の4段階に自動で分類し、脅威レベルに応じて防御します。既知の脅威はアンチウイルス・アンチスパムエンジンで即座にブロックします。
未知のファイルはFortiSandboxと連携して動的に解析し、無害と確認されるまで配送を保留します。添付ファイルの削除・HTMLの無効化・URLの除去といった無害化を宛先ドメイン単位で設定でき、URLはクリック時に改めて検査する仕組みも備えます。導入形態はアプライアンス・仮想マシン・クラウド(ゲートウェイ型/API型)から選べます。
2025年には、防御範囲をブラウザやTeams・Slackなどのコラボレーションツールへ広げた「FortiMail Workspace Security」へ再編されました。料金は非公開で、代理店経由の見積もりが基本です。
9. Active! zone SS(株式会社クオリティア)

メール関連ソリューションを専業で手がける株式会社クオリティアが、2023年6月に提供を開始したクラウド型の標的型攻撃メール対策サービスです。Microsoft 365やGoogle Workspaceと連携し、受信メールをゲートウェイ型で検査します。
受信ゲートウェイの一つですが、汎用の迷惑メール対策よりも標的型攻撃メールの検知と添付ファイルの無害化に強みがあります。
添付ファイル内のマクロ自動除去、実行ファイルを開かせない画像化、添付ファイルの分離とWebダウンロード化、HTMLメールのテキスト化、送信元の国名を国旗で示す警告表示などを行います。上位のサンドボックスプランでは、パスワード付きZIPファイルも解凍して無害化したうえでふるまいを検知し、EmotetのようなZIP経由の攻撃に対応します。
料金は税抜で、ベーシックプランが初期費用10万円・月額200円/メールアドレス、サンドボックスプランが初期費用10万円・月額400円/メールアドレスです(いずれも最小30アドレス、最低利用期間12カ月)。
10. GUARDIANWALL Inbound Security for Mail Gateway(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)

キヤノンマーケティングジャパン株式会社が2023年11月に提供を開始した、ゲートウェイ型のクラウドメールセキュリティサービスです。トレンドマイクロの「Trend Micro Email Security」を基盤とし、自社ドメインのMXレコードをGUARDIANWALL側へ向けるだけで、受信メールを社内サーバーに届く前に検査します。
送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)やサンドボックス、Officeファイルのマクロ除去など複数の検査機能を備えるほか、パスワード付き暗号化ZIPのパスワードを解析して中身を検査する機能を持ちます。パスワード付きファイルを受け取りたくない、脱PPAPを進めたい企業向けの選択肢として公式に位置づけられています。
初期費用は0円、月額は1ユーザーあたり200円〜(税別)で、最低契約は10ユーザー、最低利用期間は1年です。Microsoft 365やGoogle Workspace、SMTP接続のオンプレミス環境にも対応します。
添付ファイルを無害化する(CDR/サンドボックス型)
未知の脅威に備え、添付ファイルやリンクを解析・無害化してから届けるタイプの製品です。
11. Votiro Disarmer(現 Menlo File Security)(Menlo Security, Inc.)

Votiro Disarmer は、メール添付ファイルやWebダウンロード、クラウドストレージを経由するファイルから危険な要素を取り除くCDR(コンテンツ無害化・再構築)技術を専門としてきた製品です。開発元のVotiroは2025年2月に米Menlo Security, Inc.に買収され、現在は同社のプラットフォーム上で「File Security」として提供されています。
サンドボックス型がファイルを実行して危険かどうかを判定するのに対し、Votiroはすべてのファイルを潜在的に危険とみなし、判定を行わずに安全と確認できた要素だけで再構築する方式を採ります。この仕組みにより、シグネチャに存在しない未知のマルウェアにも判定を経ずに対処する設計です。
公式は220種類以上のファイル形式に対応するとしており、Microsoft 365(Exchange Online)とのメール連携も備えます。
導入はエージェントレスのAPI連携が基本で、用途に応じてオンプレミス設置も選べます。料金は公式非公開で、導入製品やライセンス数に応じた個別見積もりとなります。日本国内では代理店のアズジェント株式会社が「Votiro Disarmer」の名称で販売を続けており、無害化ソリューション市場で8年連続の国内シェア第1位(アイ・ティ・アール調べ)と公表しています。
12. OPSWAT MetaDefender(OPSWAT, Inc.)

検知に頼らずファイルを無害化する「Deep CDR」を中核に、マルチスキャンと動的解析のサンドボックスを組み合わせたのが、OPSWAT, Inc.が提供するファイルベース脅威対策プラットフォーム「MetaDefender」です。メール添付ファイルやダウンロードファイルに潜む既知・未知の脅威を、検知だけに頼らず無力化するアプローチを取ります。
Deep CDRは、ファイルを要素単位に分解し、マクロや埋め込みオブジェクトなど疑わしい要素を除去・無害化したうえで、元の形式のまま再構築します。マルチスキャンは30以上のアンチマルウェアエンジンを並列で動かし、シグネチャ検知・ヒューリスティック分析・機械学習を組み合わせて判定する仕組みです。
メール向けには、メールサーバーに組み込むオンプレミス型の「MetaDefender Email Gateway Security」と、Microsoft 365環境向けのクラウド型「MetaDefender Cloud Email Security」の2つが用意されています。料金は公式非公開で、代理店経由の個別見積もりが基本です。
OPSWAT Japan株式会社は、国内の地方自治体の半数以上での利用があると発表しています(2024年10月)。
13. Trellix Email Security(Musarubra US LLC)

旧FireEyeが標的型攻撃対策として展開してきたサンドボックス技術を引き継ぐのが、Trellix Email Security です。運営元のMusarubra US LLC(Trellix)は、McAfee Enterprise事業とFireEyeの統合により2022年1月に発足しました。
標的型攻撃メールやビジネスメール詐欺(BEC)、ランサムウェアの侵入起点となるメールを、送受信の両方向で検査します。
中核は、添付ファイルやURLを仮想実行環境で動かして挙動を解析する「MVX」(クラウド版)/「IVX」(サーバ版)エンジンで、シグネチャに依存せず未知の脅威を検出します。メール内のURLは書き換えたうえで配信し、受信者がクリックした時点で再検査する仕組みも備えます。
提供形態はフルクラウド型の「Cloud」と、オンプレミスやAWS上に構築する「Server」の2系統で、Microsoft 365向けのバンドル構成もあります。Microsoft 365・Google WorkspaceのAPIと連携し、配信後に悪性と判明したメールを受信箱から自動で除去する「Auto Remediate」機能を備える点も特徴です。
料金は公式非公開で、国内では代理店経由の個別見積もりとなります。
誤送信・情報漏えいを防ぐ(送信対策・暗号化型)
社内から外部へ送るメールのリスクを抑え、脱PPAPにも対応するタイプの製品です。
14. サイバーソリューションズ メールセキュリティ(サイバーソリューションズ株式会社)

クラウドメール「CYBERMAIL Σ」を中核に、無害化ゲートウェイやMicrosoft 365・Google Workspace向けアドオンまでをそろえる、サイバーソリューションズ株式会社のメールセキュリティ製品群です。既存のメール環境の状況に応じて、必要な製品を組み合わせて使えます。
このうちCloud Mail SECURITY SUITEは、標準機能で不足しがちな日本仕様の対策をアドオンで追加するサービスで、脱PPAP・誤送信防止を含む送信対策と、標的型攻撃対策・サンドボックスを含む受信対策を必要な分だけ選べます。送信ドメイン認証はSPF・DKIM・DMARCに加え、転送時の認証失敗に対応するARC認証にも対応します。
Cloud Mail SECURITY SUITEの料金は1アカウントあたり月額で、受信対策プランが200円、送信対策プランが300円、送受信対策プランが400円など、必要な対策の組み合わせで分かれます。契約は50アカウントから、以降10アカウント単位で追加できます。
15. Mail Defender(株式会社CYLLENGE)

株式会社CYLLENGE(旧・株式会社プロット)が提供する、誤送信防止・侵入防止・証拠保全(アーカイブ)の3つの機能を1製品にまとめた統合メールセキュリティソリューションです。既存のメール環境を変えずに導入できるゲートウェイ型で、Microsoft 365やGoogle Workspace、オンプレミスのメールサーバーと連携します。
誤送信防止アプリでは、送信メールを設定した時間だけ保留して送信者自身に見直させる機能や、上長承認のワークフロー、Bccの強制付与、添付ファイルの変更履歴・非表示領域のチェックを備えます。添付ファイルの無害化は、同社の別製品「Fast Sanitizer」と連携するオプションとして提供されます。
料金は利用アドレス数ではなくコア数・容量に応じた体系で、誤送信防止・侵入防止アプリの1コアプランは初期費用110,000円・月額38,500円です。最低契約期間は12か月で、30日間の無料トライアルが用意されています。
まとめ
メールセキュリティ製品は、迷惑メール・フィッシングを止めるフィルタリング、添付ファイルを無害化するCDR・サンドボックス、誤送信・情報漏えいを防ぐ送信対策・暗号化という3つの対策領域に分かれ、それぞれ防げる脅威と防げない脅威があります。まず自社が受けているリスクと、標準機能で足りていない領域を見きわめることが、製品選びの出発点になります。
そのうえで、提供形態が自社のメール環境に合うか、Microsoft 365などの既存基盤とどう組み合わせるか、脱PPAPや費用・運用負荷の条件を満たすかを確認していくと、候補は自然と絞られていきます。本記事の比較表と診断ツールを、自社に合う製品を見つけるための検討材料としてご活用ください。
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メールセキュリティに関するよくある質問(FAQ)
Q. メールセキュリティとは何ですか?
A. メールセキュリティとは、メールを経由して届く脅威や、メール送信に伴う情報漏えいから組織を守るための製品・サービスの総称です。外部から届く迷惑メール・フィッシング・標的型攻撃・ビジネスメール詐欺(BEC)への対策だけでなく、社内から出ていく誤送信や情報漏えいの防止まで含みます。
機能は、危険なメールを受信段階で遮断するフィルタリング、添付ファイルやリンクを解析・再構成する無害化、送信を制御する誤送信対策・暗号化の3つの領域に大きく分かれます。
Q. メールセキュリティ製品は何を基準に選べばよいですか?
A. メールセキュリティ製品は、まず自社が受けている脅威を洗い出し、足りない対策領域(フィルタリング・無害化・誤送信対策)を特定してから選ぶのが基本です。そのうえで、提供形態(クラウド/ゲートウェイ/オンプレミス/API連携)が自社のメール環境に合うか、Microsoft 365などの既存基盤に載せられるか、費用体系と運用負荷が見合うかを順に確認すると、候補を無駄なく絞り込めます。
製品の知名度や導入数の多さではなく、自社の課題に効く領域を軸に据えることが、導入後の「この脅威は防げなかった」という失敗を避けるポイントです。
Q. 1つのメールセキュリティ製品ですべてのメール脅威を防げますか?
A. 1つの製品ですべての脅威を防げるとは限らず、どの対策領域にも守備範囲の外があります。受信対策のフィルタリングは既知の迷惑メール・フィッシングに強い一方、未知の添付ファイルや乗っ取られた正規ドメインからのメールは通過し得ます。無害化は未知の脅威に有効ですが誤送信は防げず、誤送信対策は送信側専用で受信メールには効きません。
メールの経路をすり抜けて端末に侵入した後の脅威は、エンドポイント防御やEDRなどメール外の層が担います。自社が最も警戒する脅威に効く領域を軸に、必要に応じて複数の領域を組み合わせて穴を埋めるのが現実的です。
Q. Microsoft 365を使っていてもメールセキュリティ製品は必要ですか?
A. Microsoft 365には迷惑メールやマルウェアの基本的なフィルタリングが標準で備わりますが、未知の攻撃に対するサンドボックス・無害化や高度ななりすまし検知、誤送信対策は不足しやすく、追加の防御が必要になる場合があります。
まず標準機能とオプション(上位プランや追加のメール防御オプションなど)でどこまで守れるかを評価し、足りない対策領域を後から追加する製品を選ぶか、包括的なメールゲートウェイに切り替えるかを判断するとよいでしょう。導入候補が自社のメール基盤にAPI連携かゲートウェイ経由で対応しているかも合わせて確認します。
Q. 標的型攻撃メールやビジネスメール詐欺(BEC)にはどの対策が有効ですか?
A. 標的型攻撃メールには添付ファイルやURLを解析・無害化する対策が有効で、文面だけで送金を促すBECには送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)などのなりすまし対策が有効です。標的型攻撃メールはマルウェアを添付したり不正リンクを記載したりする手口が中心のため、サンドボックスやCDRで未知の脅威を除く仕組みが効きます。
一方でBECは検査対象となる添付やURLを持たない場合があり、なりすましを機械的に見分ける送信ドメイン認証や、文面・関係性を分析するエンジンで補う必要があります。脅威ごとに効く領域が異なるため、自社が警戒する攻撃に合わせて対策領域を選ぶことが大切です。
Q. メールセキュリティ製品の費用相場はどのくらいですか?
A. クラウド型は1ユーザー(またはメールアドレス)あたり月額数百円程度が目安で、無害化やサンドボックスを含む上位プランほど高くなります。ドメイン単位で課金する製品もあり、オンプレミス型・アプライアンス型では初期の構築費用が規模によって数十万円から数百万円規模になることもあります。
外資系の製品は公開価格を出さず「要お問い合わせ」の個別見積もりが多いため、機能要件を先に固めてから複数社に同条件で見積もりを依頼すると比較しやすくなります(2026年9月時点。金額は各社公式情報をご確認ください)。
課金は1ユーザー(メールアドレス)あたりの方式が多く、一部にドメイン単位の定額方式があります。人員の増減が多い場合はドメイン単位の方が費用を予算化しやすい傾向がありますが、対応する製品は限られるため、各製品の課金単位は比較表で確認してください。
Q. 脱PPAPにはどのように対応すればよいですか?
A. パスワード付きZIPと別送パスワード(PPAP)に代えて、受信者がブラウザからファイルをダウンロードする方式や、送信経路自体を暗号化する方式に対応した製品を選ぶのが基本です。政府はこの方式をセキュリティ対策と受け取る側の利便性の両面で適切でないとして廃止しており、取引先から脱PPAPを求められる場面も増えています。
誤送信対策・暗号化を重視する場合は、製品が脱PPAPにどの方式で対応しているかを確認しておくと、取引先の要件にも応えやすくなります。
出典・参考資料(1件)
メールセキュリティ製品の料金・機能を一括チェック
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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