取引所に置いた資産、メタマスクなどのウォレット、ステーキングやレンディングに預けたコイン、値上がりを狙って買ったNFT——保有する暗号資産があちこちに散らばり、いま合計でいくらになっているのか、含み益がどれだけあるのかを即答できない。そんな状態に心当たりはないでしょうか。
取引所とウォレットを一つずつ開いて残高をメモし、表計算ソフトに手入力する運用は手間がかかるうえ、記入漏れや計算ミスも起こりがちです。
複数のチャネルに分散した暗号資産の残高・損益・資産配分を一つの画面にまとめて把握するには、どのツールを、どの観点で選べばよいのでしょうか。対応する取引所やウォレットの範囲、DeFiやNFTまで追えるか、日本円建てで見られるか、無料でどこまで使えるかは、ツールによって大きく異なります。
本記事では、暗号資産のポートフォリオ管理ツール7サービスをタイプ別に比較します。対応範囲や取り込み方法、料金といった基本の比較軸に加え、DeFi・オンチェーン資産の可視化、日本語・円建て表示、法人・事業者での利用可否といった日常の資産把握に効く選定観点を整理しました。
暗号資産を保有する個人投資家から、事業として暗号資産を扱う法人・個人事業主の担当者まで、自分に合うツールを選ぶための材料としてご活用ください。本記事は推奨順位をつけるものではなく、保有チャネルや目的に応じて選ぶための比較です。
取り上げるのは、いずれも現行提供中の7サービスです。得意領域・対応範囲に応じて5つのタイプに分けて紹介します。本記事で「アプリ」と呼ぶツールには、スマートフォンアプリだけでなくWebで使えるサービスも含みます。
また、保有チャネルや利用目的から自分に合うツールを絞り込めるよう、「30秒で終わる選定診断」もご用意しています。あわせてご活用ください。
目次
仮想通貨ポートフォリオ管理ツールとは?なぜ一元管理が必要か
仮想通貨(暗号資産)のポートフォリオ管理ツールは、複数の取引所・ウォレット・DeFi・NFTに分散した保有資産を一つの画面に集約し、残高・損益・資産配分を可視化するアプリまたはWebサービスです。取引所のAPIやウォレットアドレスを登録すると各所の残高を自動で読み取り、保有量・評価額・含み損益・資産全体に占める割合をまとめて確認できます。
暗号資産は、証券口座のように一社にまとまらず、複数の取引所やウォレットに分かれて保管されるのが一般的です。DeFiでのステーキングやレンディング、NFTの保有まで含めると、全体像は一段と見えにくくなります。ポートフォリオ管理ツールは、この分散した資産を横断してつなぎ、日々の資産状況を一目で追えるようにする役割を担います。
複数チャネルを一元管理するメリット
資産を一元管理すると、総額と含み損益を都度計算せずに把握できます。取引所やウォレットを一つずつ開いて残高を書き写す手間が省け、表計算ソフトでの手入力にありがちな記入漏れや計算ミスも避けられます。
資産配分が可視化される点も見逃せません。特定の銘柄に偏っていないか、ステーブルコインの比率はどの程度かをグラフで確認でき、リバランスの判断材料になります。DeFiに預けた資産やステーキング報酬の現況を追える点も、複数のプロトコルを使い分けている保有者には実益があります。
国内外ツールの全体像
暗号資産のポートフォリオ管理ツールは、大きく3つの勢力に分けて捉えると全体像をつかみやすくなります。それぞれ成り立ちが異なり、得意な領域も分かれます。
1つ目は、日常の資産把握に特化した国産のツールです。ウォレットアドレスを軸に、オンチェーン上の取引やDeFiの状況までまとめて追えるのが特徴です。
2つ目は、海外発のトラッカー・情報サービスで、対応する取引所やチェーンの広さが強みです。3つ目は、損益計算・確定申告を出発点としながら、ポートフォリオ機能も備えるツールです。それぞれ具体的にどのサービスが当てはまるかは、次章のタイプ別の一覧で確認できます。
日本語・円建て表示の使いやすさは国産勢が、対応範囲の広さは海外勢が優位という傾向があり、自分がどこを重視するかで選択肢が絞られます。
この3つの勢力を、自分の保有チャネルに当てはめて選びやすいように、次章では得意領域・対応範囲でさらに5つのタイプに分けて見ていきます。
タイプ別に見る仮想通貨ポートフォリオ管理ツール
ポートフォリオ管理ツールは、得意領域と対応範囲によって5つのタイプに整理できます。自分の保有チャネル(どの取引所・ウォレットを使い、DeFiや伝統資産まで持っているか)と利用目的に照らすと、どのタイプが合うかが見えてきます。
| オンチェーン・DeFi資産の可視化に強いタイプ | 複数の取引所とウォレットを横断集約するトラッカー型 | 価格情報メディア発の無料ポートフォリオ機能 | 暗号資産と伝統資産をまとめて管理する総資産型 | 損益計算・税務起点でポートフォリオも見られるタイプ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 特徴 | ウォレットアドレスを軸に、オンチェーン取引やDeFi(ステーキング・レンディング・流動性提供)の状況まで自動で集約。日本語・円建てに対応した国産ツール。 | 取引所APIやウォレットを幅広く連携し、残高と含み損益を一元表示。対応する取引所・チェーンの広さが強み。 | 価格・時価総額データを主力とするサービスが提供する付随機能。無料で手軽に残高を記録できる。 | 暗号資産に加え、株式・預金・不動産などの伝統資産も含めた総資産を一画面で管理。 | 損益計算・確定申告の支援が主機能で、対応通貨・取引所を横断したポートフォリオや含み損益のダッシュボードも備える。 |
| 該当する主なサービス | defitact | CoinStats、Delta | CoinMarketCap、CoinGecko | Kubera | クリプタクト |
| 詳細 | 紹介を見る | 紹介を見る | 紹介を見る | 紹介を見る | 紹介を見る |
DeFiやオンチェーンでの運用が中心なら1つ目、複数の取引所に資産が散らばっているなら2つ目、まずは無料で始めたいなら3つ目、暗号資産以外の資産も一緒に見たいなら4つ目、確定申告まで見据えるなら5つ目が有力な候補になります。
複数の取引所とウォレットを併用し、DeFiも少し触れているといった組み合わせなら、対応範囲の広いトラッカー型が扱いやすいでしょう。当てはまるタイプが一つに絞れないときは、次の診断を使ってみてください。
失敗しない選び方(比較のポイント)
ここからは、自分に合うツールを見極めるための5つの比較ポイントを解説します。いずれも後半の比較表の項目と対応しているので、あわせて確認すると判断しやすくなります。
対応している取引所・ウォレット・チェーンの範囲は十分か
最初に確認したいのは、自分が使っている取引所・ウォレット・ブロックチェーンにツールが対応しているかです。ツールがどれだけ多機能でも、手持ちのチャネルをカバーしていなければ残高を集約できません。DeFiやNFTまで追いたい場合は、対応チェーンやプロトコルの範囲も見ておきます。
特に注意したいのが国内取引所への対応です。海外発のトラッカーや価格情報メディア型のツールは、bitFlyerやCoincheckなどの国内取引所との直接API連携に対応していないものが多く、その場合は国内取引所の残高をCSVや手動で取り込むことになります。
オンチェーン特化型のツールは、ウォレットアドレスからオンチェーン資産を集約する仕組みのため、取引所口座の残高そのものは対象外です。国内取引所に置いた資産が中心の場合は、CSV取り込みのしやすさや対応フォーマットもあわせて確認しておくと安心です。
残高の取り込み方法は自分の運用に合うか
残高の取り込み方法は、大きくAPI連携・ウォレットアドレス登録・CSVインポート・手入力の4通りがあります。取引所APIやウォレットアドレスによる自動取得は、一度設定すれば残高が自動で更新され、手間が少なく済みます。
一方、手入力やCSVのみのツールは、更新のたびに作業が発生します。頻繁に売買する人ほど自動連携の有無が使い勝手を左右します。複数のツールを併用すると管理の手間がかえって増えるため、対応範囲の広い1本に集約する方が続けやすくなります。

含み損益や資産配分をどこまで可視化できるか
残高が一覧できるだけでなく、含み損益や資産配分をどう見せてくれるかも実用面で差が出ます。銘柄ごとの評価額と取得原価から含み損益を自動計算するもの、資産配分を円グラフで示すもの、価格変動をアラートで知らせるものなど、可視化の粒度はツールによって異なります。日々の判断にどこまでの情報が欲しいかで選びます。
無料でどこまで使え、有料プランで何が増えるか
多くのツールは無料で使い始められますが、無料プランには接続できる取引所・ウォレットの数や記録できる取引件数に上限があることが少なくありません。上限を超える規模の資産を扱う場合や、AI分析・優先サポートといった機能が必要な場合は、有料プランの料金と内容を見ておきます。逆に、保有チャネルが少なく残高の確認が主目的なら、無料の範囲で十分に足りることもあります。
日本語UI・日本円建て表示に対応しているか
海外発のツールは対応範囲が広い一方、画面が英語主体で、資産の評価額もドル建て中心のものがあります。日本円で資産全体を把握したい場合や、操作を日本語で行いたい場合は、日本語UIと円建て表示への対応を確認します。
国産ツールはこの点で扱いやすく、海外ツールでもアプリ内で日本語・円表示に切り替えられるものがあります。事業として暗号資産を扱う法人・個人事業主が使えるかどうかも選定軸の一つですが、この点は後半の「法人・事業者が導入前に確認したいこと」でくわしく取り上げます。
【比較表】主要ポートフォリオ管理ツールを一覧比較
ここまでの比較ポイントを踏まえ、7サービスの主な連携方法・対応範囲・日本語対応・料金・法人利用の可否を一覧にまとめました。各サービス名をタップすると、後半の個別紹介にジャンプできます。
| サービス名 | defitact | CoinStats | Delta | CoinMarketCap | CoinGecko | Kubera | クリプタクト |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 主な連携方法 | ウォレットアドレス入力 (API連携・CSV不要) | API連携・ウォレットアドレス WalletConnect・CSV・手動入力 | API連携・ウォレットアドレス CSV・手動入力 | 手動入力・ウォレットアドレス 取引所APIはBinance連携のみ | 手動入力 (API自動連携なし) | API連携・ウォレットアドレス (アグリゲーター併用) | API連携・ウォレットアドレス・CSV |
| 対応範囲 | オンチェーン23チェーン DeFi対応/取引所連携なし | 取引所・ウォレットを横断 DeFi・NFTも対応 | 取引所・ウォレット300以上 株式・ETFなど他資産も | ウォレットは30以上チェーン 20,000超の銘柄に対応 | 18,000超の銘柄を記録 取引所・ウォレット連携なし | 暗号資産17チェーン+DeFi・NFT 銀行・証券・実物資産も | 179取引所・チェーン DeFi・NFT取引も自動識別 |
| 可視化(含み損益・資産配分・アラート等) | 評価額・資産構成比をグラフ表示 DeFiの運用状況も可視化 | 含み損益・資産配分を分析 価格・変動・NFTのアラートあり | 含み損益・資産配分を可視化 価格アラートあり | 評価額・損益をリアルタイム表示 ウォッチリストで値動きを追跡 | 含み損益・24時間変動を表示 資産配分は円グラフ(アプリは価格アラート対応) | 総資産に占める暗号資産の配分を表示 評価額の閲覧中心(損益計算・アラートなし) | 含み損益をリアルタイム一覧 資産配分をドーナツグラフ表示 |
| 日本語UI・円換算 | 日本語UIあり 円・ドル・ユーロ換算 | 日本語UIあり 円建て表示に対応 | 日本語UIあり(18言語) 円換算は要確認 | 日本語UIあり 円建て表示に対応 | 日本語UIあり 円換算は要確認 | 日本語UIなし(英語のみ) ドル建て基本・円換算なし | 日本語UIあり 円建て表示に対応 |
| 料金 | 無料 (登録・全機能とも無料) | 無料プランあり 有料はPremium・Degen(価格は公式に要確認) | 無料プランあり(資産10件まで) PRO・PRO+は有料(価格は要確認) | 無料 (アカウント登録のみ) | 無料 | 無料プランなし 年額249ドル〜(Essentials) | 無料プランあり(損益表示は年50件まで) 有料は年額6,600〜77,000円(税込) |
| 法人・事業者での利用 | 個人向け中心 法人向けの案内なし | 個人向け中心 Teamプランあり(要問い合わせ) | 個人向け中心 法人向けの案内なし | 個人向け中心 法人向けの案内なし | 個人向け中心 法人向けの案内なし | 法人向けあり (White Label 月額300ドル〜) | 税理士・法人向けプランあり |
| 詳細情報 | 公式資料を見る | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社公式情報にもとづく一般的な傾向です。対応範囲や料金は変更される場合があるため、最新の詳細は各社公式サイトでご確認ください。
サービス個別紹介
ここからは、7サービスをタイプ別に紹介します。現行提供中のツールのみを取り上げています。
オンチェーン・DeFi資産の可視化に強いツール
ウォレットでのオンチェーン取引やDeFiでの運用が中心で、日本語・円建てで日常的に資産を把握したい人に向くタイプです。
1. defitact(株式会社pafin)

defitactは、暗号資産の損益計算・確定申告支援サービス「クリプタクト」を手がける株式会社pafinが提供する、ブロックチェーン資産の可視化ツールです。ウォレットアドレスを入力すると、対応チェーン上の取引を自動で読み取り、保有資産・取引履歴・DeFiでの運用状況をまとめて表示します。
取り込みにあたってAPI連携やCSVのインポートは不要で、アドレスを入力するだけでオンチェーン取引を集約できます。対応するブロックチェーンはEthereumやArbitrum、Baseなど23ネットワーク(2026年7月時点)で、レンディング・ステーキング・流動性提供といったDeFiでの運用状況も確認できます。
複数のウォレットアドレスを一つのポートフォリオにまとめて管理する機能(2024年8月追加)を備え、評価額は日本円・米ドル・ユーロで切り替えられます。画面は日本語に対応し、登録・利用ともに無料で使えます(2026年7月時点)。
一方、取引所に置いた資産(口座の残高)は取り込みの対象外です。ウォレットやオンチェーンでの運用が中心の人に向いており、取引所の残高を中心に把握したい場合は、次に紹介するトラッカー型が候補になります。
複数の取引所とウォレットを横断集約するトラッカー
複数の取引所やウォレットに資産が分散していて、対応範囲の広さを重視する人に向くタイプです。
2. CoinStats(Coin Stats Inc)

CoinStatsは、複数の暗号資産取引所・ウォレット・DeFiプロトコル・NFTに分散した保有資産を、単一のダッシュボードに集約するトラッカー型のツールです。iOS・Android・Web・macOS・Apple Watchに対応し、残高・損益・資産配分をまとめて確認できます。
連携はAPIのほか、ウォレットアドレスの直接入力・WalletConnect(ウォレットとアプリをつなぐ接続方式)・CSVインポート・手動入力に対応し、取引所APIは残高を読み取るだけの読み取り専用アクセスを基本としています。
無料プランでもポートフォリオ10個・取引データ2万件まで管理でき、AI分析や優先サポートを含む上位機能は有料プラン(Premium/Degen)で提供されますが、正確な月額は公式ページで最新の表示を確認してください。
英国の金融行動監視機構(FCA)は、2025年4月更新の「無許可業者に関する警告リスト」にCoinStats(coinstats.app)を掲載しています。FCAの許可・登録なく英国居住者向けに金融サービスを提供・宣伝している可能性があるとする、英国当局による警告です。
この警告は英国居住者向けの金融サービスの提供・宣伝に関するもので、日本の利用者が残高把握の目的で使うことを直接規制するものではありません。とはいえ、こうした指摘がある点は把握したうえで、気になる場合はほかの選択肢もあわせて検討してください。
出典・参考資料(1件)
- 出典:Warning list — CoinStats|英国金融行動監視機構(FCA)(https://www.fca.org.uk/news/warnings/coinstats-https-coinstatsapp)
3. Delta(Opus Labs NV/eToro傘下)

Delta(Delta by eToro)は、暗号資産に加えて株式・ETF・為替・コモディティなど複数の資産クラスを1つのアプリでトラッキングできるツールです。ベルギーのOpus Labs NVが2017年に開発し、2019年にeToro傘下となりました。暗号資産以外の資産もまとめて横断管理できる点が、暗号資産専業のトラッカーとの違いです。
取引所・ウォレットとのAPI連携は300以上、対応する暗号資産は1万種類以上とされ(各ストア・レビュー等の公表値、2026年7月時点)、ウォレットアドレスの読み取り連携やCSV・手動入力での取り込みも可能です。リアルタイムの評価額・損益表示や価格アラートを備え、日本語を含む18言語のUIに対応し、日本のApp Store・Google Playでも配信されています。
料金は、資産10件・1ポートフォリオまで表示でき、口座連携数は無制限で最大5台まで同期できるBasicプランが無料で使えます。表示できる資産数の上限を広げる有料プラン(PRO/PRO+)も用意されていますが、料金は改定や地域・ストアによる差があるため、公式サイトで最新の金額を確認してください。
価格情報メディア発の無料ポートフォリオ機能
まずは無料で、手軽に保有銘柄の値動きと残高を記録したい人に向くタイプです。
4. CoinMarketCap(CoinMarketCap OpCo, LLC)

暗号資産の価格・時価総額データを扱うメディアとして2013年に始まったCoinMarketCapが、アカウント利用者向けに提供するポートフォリオ機能です。運営はBinance傘下のCoinMarketCap OpCo, LLC。銘柄・数量・取得単価を手動で登録すると、リアルタイム価格にもとづく評価額と損益を自動で計算します。
ウォレットアドレスを登録すれば、Bitcoin・Ethereum・Solanaなど30以上のチェーンの残高を自動で取得でき、20,000種類以上の銘柄データベースから対象を選べます。取引所との連携はBinanceアカウントとのログイン連携が中心で、他の取引所とのAPIキー自動同期については公式ドキュメント上で確認できていないため、利用前に最新のアプリ画面で確認することをおすすめします。
料金は無料で、CoinMarketCapアカウントの登録のみで利用できます。表示通貨はJPYを含む主要法定通貨に切り替えでき、UIも日本語表示に対応します。CoinMarketCapは2026年6月に、ISO/IEC 27001:2022(情報セキュリティ)とISO/IEC 27701:2019(プライバシー情報管理)の認証を、英国規格協会(BSI)の監査で取得したと公表しています。
5. CoinGecko(Gecko Labs Pte. Ltd.)

2014年にシンガポールで創業したデータアグリゲーターのCoinGecko(運営: Gecko Labs Pte. Ltd.)が、本体サービスの一機能として無料で提供するポートフォリオ機能です。コインページから保有銘柄を登録し、購入・売却の数量と単価を手動で入力すると、評価額・損益・24時間の変動を確認できます。
追跡する暗号資産は18,072銘柄(2026年7月時点の公式トップページ記載)で、この銘柄カバレッジをそのままポートフォリオに使えます。用途別に複数のポートフォリオを作成でき、取引履歴のCSV書き出しや、Web・iOS・Androidアプリ間での同期にも対応します。UIは日本語版(coingecko.com/ja)でも利用できます。
取引所やウォレットとのAPI自動連携は公式ページに記載がなく、残高の反映は手動入力が前提です。ウォレットアドレスからの自動追跡に対応するCoinMarketCapと比べると、対応銘柄数は広い一方で、資産の取り込みは手作業が中心になる点を押さえておくとよいでしょう。
暗号資産と伝統資産をまとめて管理する総資産型
暗号資産だけでなく、株式や預金など資産全体を一つの画面でまとめて把握したい人に向くタイプです。
6. Kubera(Kubera Apps, Inc.)

Kubera(クベラ)は、米国のKubera Apps, Inc.が運営する総資産管理ツールです。暗号資産に加え、銀行・証券口座や不動産、美術品・時計などの実物資産まで一つの画面に集約し、暗号資産を資産全体の一部として横並びで確認できます。暗号資産は残高・評価額の閲覧に対応し、売買や送金といった取引の機能は持ちません。
対応するブロックチェーンはEthereum・Bitcoin・Solanaなど17種類で、OpenSea経由のNFT評価額や、Aave・Compoundに預けたDeFiの残高も自動で取り込めます。料金は資産残高によらない年額の定額制で、無料版はなく、Essentialsが年額249ドル、Blackが年額2,499ドルです(公式サイトでは250ドル・2,500ドルと丸めた表記も見られます)。
選ぶ際の注意点として、画面表示とサポートはいずれも英語で、日本語UIや日本語サポートの提供は確認できません。資産の評価額はドル建てが基本で、国内の銀行・証券口座との自動連携や日本円建て運用への対応も公式には案内されていないため、日本円で総資産を把握したい場合はこの点を踏まえて検討する必要があります。
損益計算・税務起点でポートフォリオも見られるツール
確定申告に向けた損益計算を見据えつつ、日々のポートフォリオも同じツールで確認したい人に向くタイプです。
7. クリプタクト(株式会社pafin)

クリプタクトは、株式会社pafinが運営する暗号資産の損益計算・確定申告支援サービスです。取引所やウォレットから取り込んだ取引履歴をもとに損益を自動計算しますが、保有銘柄の時価・簿価・含み損益を一覧できるポートフォリオ機能も備えています。損益計算だけを担う税務専用ツールと異なり、確定申告の準備と日常の資産把握を同じツールで行える点が特徴です。
対応する取引所・ブロックチェーンは179、対応銘柄は33,549にのぼり(いずれも公式サイト記載、2026年7月時点)、ウォレットアドレスを登録するとDeFiやNFTの取引も自動で識別されます。運営元のpafinは、ウォレット資産を可視化するdefitactも手がけており、両者の役割分担は次の章で取り上げます。
料金は無料プランのほか、年額6,600円から77,000円(税込)の有料プランが用意されています。ただし無料プランでは損益計算結果の表示が年間50件までに制限されるため、取引量が多い場合は有料プランの検討が必要です。
法人・事業者が導入前に確認したいこと
事業として暗号資産を扱う法人や個人事業主がツールを選ぶ場合は、個人利用とは別の観点も確認しておきたいところです。ここでは、導入前に押さえておきたい3つの視点を整理します。
1つ目は、事業・法人での利用が想定されているかです。多くのツールは個人向けのセルフサーブ型で、複数人での共有や役割分担といったチーム運用を前提としていません。事業で使う場合は、アカウントの共有可否や法人向けの窓口があるかを確認しておくと安心です。
2つ目は、資産を集約する際の安全性です。取引所APIやウォレットアドレスを登録するタイプのツールは、残高の「読み取り」だけを行い、資金の移動や売買の権限を持たない「読み取り専用」の接続を基本とするものが一般的です。秘密鍵(ウォレットを操作するための鍵)の入力を求められないか、接続方式が読み取り専用かを確認すると、残高把握の用途で預けるリスクを抑えられます。
3つ目は、運営主体が確認できるかです。比較記事や検索結果で見かけても、提供元の法人が明確でないツールもあります。事業で継続的に使うのであれば、運営会社や問い合わせ窓口が公式に確認できるツールを選ぶ方が、トラブル時の対応も含めて安心です。
以上を踏まえると、今回紹介したツールの多くは個人向けを中心に設計されており、法人・事業者での利用を前提にできるものは限られます。
チームでの共有や法人向けの案内を明示しているツールは一部にとどまります。比較表の「法人・事業者での利用」列で、ホワイトラベルや税理士・法人向けプラン、法人向けの問い合わせ窓口があるかを確認できます。事業で継続的に使う場合は、こうした法人利用の窓口が明確なツールから検討するとよいでしょう。
税務・損益計算ツールとの使い分け
ポートフォリオ管理ツールと、確定申告に使う損益計算ツールは、目的が異なります。本記事で扱うポートフォリオ管理ツールは、日々の残高・含み損益・資産配分を把握するためのものです。一方、損益計算ツールは、年間の実現損益を計算し、確定申告の書類作成につなげるためのものです。日常の把握と、申告のための計算は、担う役割が違います。
暗号資産の取引で利益が出た場合、その所得は原則として雑所得に区分され、一定の場合に確定申告が必要になります。給与所得者であれば、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になるのが一つの目安です。
暗号資産取引により生じた利益は、所得税の課税対象になり、原則として雑所得(その他雑所得)に区分されます。
出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)2-2 暗号資産取引の所得区分|国税庁
「原則として」とあるとおり例外もあり、その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合などは、事業所得に区分されることもあります。自分がどの区分に当たるか、実際の申告が必要かは、取引状況によって変わります。損益計算や確定申告のくわしい手順は、税務に特化したツールと、その比較記事に譲ります。
出典・参考資料(3件)
- 出典:暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(情報)|国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/)
- 出典:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
- 参考資料:No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係|国税庁 タックスアンサー(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1524.htm)
また、本記事で紹介したdefitactを提供する株式会社pafinは、損益計算ツールのクリプタクトも手がけています。日々の資産把握はdefitact、確定申告に向けた損益計算はクリプタクトと、目的に応じて使い分けられる関係にあります。
暗号資産の税金の計算方法や、確定申告が必要になる条件、申告漏れがどう扱われるかまで踏み込んで知りたい場合は、以下の記事でくわしく解説しています。

申告漏れは発覚する?暗号資産の税金と計算方法、節税対策を解説
暗号資産の投資は大きな利益を生み出せる可能性がありますが、税金の計算が極めて複雑であるといわれています。 特に、DeFiなどが関係したWeb3関連での投資を行っている場合はその傾向が強く、税務や会計ツールの導入を検討する方や会社も少なくあり…
まとめ
暗号資産のポートフォリオ管理ツールは、複数の取引所・ウォレット・DeFi・NFTに分散した資産を一つの画面にまとめ、残高・含み損益・資産配分を把握するためのものです。得意領域によって、オンチェーン・DeFiに強いタイプ、取引所を横断するトラッカー型、無料の価格メディア連携型、総資産型、損益計算・税務起点型の5つに分けられます。
選ぶ際は、自分の使っている取引所・ウォレットへの対応、残高の取り込み方法、含み損益や資産配分の可視化、無料枠と有料プランの内容、日本語UI・円建て表示という5つのポイントで比較すると、自分に合うツールが見えてきます。事業で使う場合は、法人利用の可否や運営主体の確認も加えるとよいでしょう。
各ツールの対応範囲や料金は変わることがあります。気になるサービスが見つかったら、公式の最新情報を確認したうえで、まずは無料の範囲で自分の保有チャネルを登録し、使い勝手を試してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールとは何ですか?
A. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールとは、複数の取引所・ウォレット・DeFi・NFTに分散した暗号資産を一つの画面に集約し、残高・含み損益・資産配分を可視化するアプリまたはWebサービスです。取引所のAPIやウォレットアドレスを登録すると各所の残高を自動で読み取り、保有量・評価額・資産全体に占める割合をまとめて確認できます。
証券口座のように一社にまとまらない暗号資産の全体像を、都度手計算せずに把握できる点が役割です。
Q. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールにウォレットアドレスを登録しても安全ですか?
A. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールへのウォレットアドレス登録は、残高を「読み取る」だけで、秘密鍵(ウォレットを操作するための鍵)の入力を求められない限り、資金の送金や売買はできません。取引所APIで連携するタイプも、残高を読み取るだけの読み取り専用アクセスを基本とするものが一般的です。
逆に、秘密鍵やリカバリーフレーズ(復元用の合言葉)の入力を求めるツールは、資産把握の用途では避けるのが無難です。接続方式が読み取り専用か、秘密鍵の入力を求められないかを登録前に確認しておくと、リスクを抑えられます。
Q. 無料の仮想通貨ポートフォリオ管理ツールはなぜ無料で使えるのですか?
A. 無料の仮想通貨ポートフォリオ管理ツールが無料で使えるのは、価格・時価総額データの提供を主業とするサービスの付随機能であったり、上位の有料プランや関連サービスへの誘導で収益を得ていたりするためです。価格情報メディア発のポートフォリオ機能が、その代表例にあたります。
ただし無料プランには、接続できる取引所・ウォレットの数や記録できる取引件数に上限があることが少なくありません。保有チャネルが少なく残高確認が主目的なら無料で十分ですが、規模が大きい場合やAI分析・優先サポートが必要な場合は、有料プランの内容も見ておくとよいでしょう。
Q. 国内取引所に対応していないツールでも残高を管理できますか?
A. 国内取引所に直接連携できないツールでも、取引履歴のCSVインポートや手動入力を使えば残高を取り込んで管理できます。海外発のツールは国内取引所とのAPI連携に対応していないことが多く、その場合はこれらの手段で補うことになります。
ただし手入力やCSVは更新のたびに作業が発生するため、頻繁に売買する人ほど手間が増えます。自分の使う取引所にAPIやウォレットアドレスで自動連携できるツールを選べるかどうかが、続けやすさを左右します。
Q. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールは法人・事業でも使えますか?
A. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールは、多くが個人向けのセルフサーブ型のため、事業で使う際はアカウントの共有可否や法人向けの窓口があるかを確認しておく必要があります。複数人での共有や役割分担といったチーム運用を前提としていないツールが一般的です。
あわせて、運営会社や問い合わせ窓口が公式に確認できるかも見ておくと、トラブル時の対応も含めて安心です。事業・法人での利用可否を含めた確認事項は、本記事の「法人・事業者が導入前に確認したいこと」で具体的に整理しています。
Q. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールで確定申告の損益計算もできますか?
A. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールは日々の残高・含み損益の把握が主目的で、確定申告に向けた年間の実現損益の計算は、損益計算・税務専用のツールが担う役割です。日常の資産把握と、申告のための計算は目的が異なります。
ただし、損益計算を主機能としながらポートフォリオ機能も備えるツールもあり、両方を同じツールで行えるものもあります。暗号資産の利益は原則として雑所得に区分され、給与所得者では給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要になるのが一つの目安です。損益計算のくわしい手順は、税務に特化したツールとその比較で確認してください。
Q. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールは日本語・日本円建てで使えますか?
A. 仮想通貨ポートフォリオ管理ツールを日本語・日本円建てで使えるかはツールによって異なり、国産ツールは日本語UI・円建て表示に対応し、海外ツールでもアプリ内で日本語・円表示に切り替えられるものがあります。一方で、画面が英語主体で評価額もドル建て中心のツールもあります。
日本円で資産全体を把握したい場合や操作を日本語で行いたい場合は、日本語UIと円建て表示への対応を登録前に確認しておくと、日常の資産把握がしやすくなります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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