新規上場(IPO)を目指すにあたり、資本政策の設計や内部統制の構築、上場申請書類の作成、監査対応といった準備を社内の知見だけで進めきれるか、不安を感じていませんか。上場準備は数年にわたる長丁場で、担当する部門も経理・財務から法務、経営企画まで広がるため、外部の支援会社に任せる範囲を見極めることが欠かせません。
ただ、IPOの支援を担う会社には、出自の異なる複数のタイプがあります。会計監査を担う監査法人、主幹事を務める証券会社、上場準備をハンズオンで伴走する独立系コンサル、会計・資本政策に強い会計士・税理士系、開示書類の作成を代行するディスクロージャー系などです。
それぞれ支援できる範囲も費用の考え方も違うため、自社の準備フェーズや業種、予算に合う相手はどのタイプなのかを見極めたうえで比較することが、選定の出発点になります。
本記事では、IPO支援を担う主要13社を出自別の5つのタイプに分類し、支援範囲・上場支援の実績・料金体系・向いている企業を横並びで比較・解説します。IPO支援の業務内容や支援会社の選び方、費用相場、準備スケジュールも整理しましたので、自社に合うパートナーを見つけるための検討材料としてご活用ください。
また、今すぐ支援会社を比較したい方に向けて、「IPO支援会社のタイプ別比較表」や、自社の状況に合うタイプを最短で確認できる「30秒で終わる選定診断ツール」をご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
IPO支援(上場支援)とは|業務内容と担い手
IPO支援(上場支援・IPOコンサルティング)とは、新規上場を目指す未上場企業に対し、上場準備の実務を支援するサービスや専門会社を指します。上場を実現するには、収益基盤の整備だけでなく、上場企業として求められる管理体制を数年かけて構築する必要があり、その多くを社内リソースだけでまかなうのは容易ではありません。
ここからは、IPO支援が具体的に何を担い、どのような会社がその担い手になるのかを整理します。
IPO支援の主な業務内容
IPO支援が扱う業務は、上場準備の全工程に及びます。中心となるのは、次のような領域です。
- 資本政策の設計:株主構成や資金調達、経営陣・従業員へのインセンティブ設計を、上場後の姿から逆算して組み立てる支援
- 内部統制(J-SOX)の構築:財務報告の信頼性を担保する社内の仕組みづくり。上場後は内部統制報告制度への対応が求められるため、準備段階から体制を整える
- 決算・開示体制の整備:月次決算の早期化や会計基準への対応、開示に必要なデータを継続的に作成できる体制づくり
- 上場申請書類の作成支援:新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部・Ⅱの部)など、審査に必要な書類の作成
- 監査対応・審査対応:監査法人による会計監査への対応と、証券取引所の上場審査に向けた準備
このうち内部統制については、上場後に内部統制報告制度(J-SOX)への対応が求められます。金融商品取引法では、上場会社に対し、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保する体制を評価した「内部統制報告書」を有価証券報告書と併せて提出する義務が定められています(金融商品取引法第24条の4の4)。
さらに、この内部統制報告書は公認会計士または監査法人の監査証明を受ける必要があります(同法第193条の2第2項)。上場準備の段階からこうした体制を整えておく必要があるため、支援会社は内部統制の構築や監査対応を重要な支援領域として位置づけています。
出典・参考資料(1件)
内部統制報告制度(J-SOX)で具体的に何が求められ、どの企業がいつから対象になるのかは、次の記事で対象範囲や3点セットの整備まで詳しく解説しています。
上場審査で見られる観点と、支援が必要になる理由
上場審査には、株主数や流通株式などの数値で判定される「形式要件」と、企業の実態を確認する「実質審査基準」があります。東京証券取引所は、グロース市場への新規上場の審査内容として、次の観点を挙げています。
企業内容、リスク情報等の開示の適切性/企業経営の健全性/企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性/事業計画の合理性/その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項
出典:上場審査基準(グロース市場への新規上場)|日本取引所グループ
開示・ガバナンス・内部管理体制・事業計画といった多岐にわたる観点が審査されるため、これらを社内だけで整えるのは負担が大きく、各領域に専門性を持つ支援会社の関与が必要になります。どの領域をどこまで外部に任せるかは、次章で解説する支援会社のタイプによって変わります。
審査で問われるコーポレートガバナンスについては、その基本原則と最新の改訂内容を次の記事で確認できます。
IPO支援を担う会社の全体像
IPO支援の担い手は、1種類の事業者に限られません。会計監査を担う監査法人、株式の引受と上場実行を担う証券会社、上場準備をハンズオンで伴走する独立系のコンサル、会計や資本政策を軸に支援する会計士・税理士系、開示書類の作成を代行するディスクロージャー系など、出自の異なる複数のプレイヤーが、それぞれの専門領域で上場準備に関わります。
ここで押さえておきたいのは、支援会社は必ずしも1社を選ぶものではないという点です。上場を実現するには監査法人による会計監査と主幹事証券による引受が欠かせないため、この2者はどの企業も関わることになります。そのうえで、準備実務をどこまで社外に任せるかに応じて、独立系コンサルや会計士・税理士系、ディスクロージャー系を必要に応じて組み合わせるのが一般的です。
自社に合う相手を選ぶには、まずこのタイプごとの役割の違いを押さえることが近道です。5つのタイプの役割分担を整理すると、次のようになります。

IPO支援会社の種類(出自別タイプ)
ここからは、IPO支援を担う会社を出自・専門性で5つのタイプに分けて解説します。それぞれ支援の中心となる領域と向いている企業が異なるため、「自社はどのタイプに相談すべきか」を判断する手がかりとしてご覧ください。
監査法人系・Big4系
会計監査を本業とする監査法人が、上場準備企業向けに提供する支援です。上場前には監査法人による会計監査(上場前の一定期間の財務諸表監査)が必須となるため、監査対応や内部統制の構築で中心的な役割を担います。上場準備の初期には、課題を洗い出す予備調査(ショートレビューなどと呼ばれます)を実施し、上場までの道筋を整理することも多くあります。
国内外に大規模な体制を持つため、グローバル展開や大型案件で厚みのある支援を受けやすい一方、監査人としての独立性の観点から、コンサルティング的な伴走支援には範囲の制約が生じる場合があります。
証券会社系
上場時に主幹事を務める証券会社による支援です。株式の引受や上場申請の実務、公開価格の決定など、上場を実行するうえで不可欠な役割を担います。主幹事証券は上場審査の主体の一つでもあり、引受審査を通じて上場準備の水準を確認します。
上場実行のパートナーとして必ず選定する相手であり、準備の後半で重要度が高まりますが、準備実務そのものを日常的に伴走するというより、上場の可否や資本市場との接点を担う点が特徴です。
独立系IPO特化コンサル
監査法人や証券会社から独立し、IPO準備の支援を専門とするコンサルティング会社です。資本政策・内部統制・決算開示体制・申請書類の作成まで、上場準備の実務を幅広くハンズオンで支援するのが特徴です。専任のチームが継続的に伴走するため、管理部門の人員や上場準備の知見が不足している企業が、実務を任せながら体制を整えていく用途に向いています。
監査法人や証券会社とは立場が異なり、発行体である企業の側に立って準備を進める点が独立系の位置づけです。
会計士・税理士系/総合コンサル
会計事務所・税理士法人や総合コンサルティング会社を母体とし、会計・税務・資本政策を軸に上場準備を支援するタイプです。上場後を見据えた会計基準への対応、資本政策や予実管理の設計など、財務・会計面の基盤づくりに強みを持ちます。IPOに強い税理士法人が単独で会計・税務面から関与するケースもあれば、総合コンサルが上場準備のソリューションとして提供するケースもあり、担い手の幅が広いのが特徴です。
もともと会計・税務の顧問として関与している延長で上場準備の相談に応じることもあるため、財務面の体制整備を優先したい企業や、既存の会計顧問と連続性を保ちたい企業に向いています。
ディスクロージャー・アウトソーシング系
上場申請書類や開示書類の作成、IR・バックオフィス業務の代行に特化したタイプです。新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅱの部)などは、取引所が申請会社の事業内容を把握するための審査資料として提出するもので、実態に即した記載が求められます。こうした書類作成の実務は専門性と工数を要するため、開示・書類作成の領域を切り出して委託したい企業に向いています。
上場準備全体の設計というより、特定の実務を確実に仕上げる役割を担います。
出典・参考資料(1件)
以下は、5つのタイプの支援の中心と向いている企業を整理したものです。実際にどの会社がどのタイプに当たるかは、後述の比較表と各社の紹介で確認できます。
| IPO支援会社のタイプ別の特徴 | 監査法人系・Big4系 | 証券会社系 | 独立系IPO特化コンサル | 会計士・税理士系/総合コンサル | ディスクロージャー・アウトソーシング系 |
|---|---|---|---|---|---|
| 支援の中心 | 会計監査・内部統制の構築・監査対応。上場前監査の必須プロセスを担う | 株式の引受・主幹事業務・上場申請の実務。上場実行のパートナー | 資本政策・内部統制・開示体制・申請書類を幅広くハンズオンで伴走 | 会計・税務・資本政策を軸に財務面の基盤を整備 | 上場申請書類・開示書類の作成、IR・バックオフィス業務の代行 |
| 向いている企業 | 大型・グローバル案件や、監査対応の体制を厚く固めたい企業 | 上場実行フェーズに入り、主幹事の選定・引受審査に臨む企業 | 管理部門の人員や上場準備の知見が不足し、実務を任せたい企業 | 財務面の体制整備を優先したい企業や、会計顧問と連続性を保ちたい企業 | 開示・書類作成の実務を切り出して委託したい企業 |
しかし、自社がどのタイプに適しているか、といった判断が難しいケースも存在します。そのような場合でも貴社の状況に合わせて最適なサービスを最短で見つけられるように、「30秒で終わる選定診断ツール」を以下にご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
【比較表】IPO支援会社をタイプ別に比較
ここからは、自社の課題や準備フェーズに合わせた比較・選定ができるよう、主要なIPO支援会社13社を出自別のタイプで分類し、支援範囲・上場支援の実績・料金体系・強みや得意領域・向いている企業を横並びで比較します。優劣の順位付けではなく、タイプごとに主要な会社を整理していますので、まず自社に近いタイプを見つけ、その中から候補を絞り込む手がかりとしてご覧ください。
各社の詳細は比較表の下の個別紹介で確認できます。
| サービス名 | EY新日本有限責任監査法人 | 有限責任監査法人トーマツ | 有限責任 あずさ監査法人 | 野村證券 | 大和証券 | SMBC日興証券 | SBI証券 | ブリッジコンサルティンググループ | 響きパートナーズ | WIN Consulting | AGSコンサルティング | 船井総合研究所 | 宝印刷 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 出自タイプ | 監査法人系・Big4系 | 監査法人系・Big4系 | 監査法人系・Big4系 | 証券会社系 | 証券会社系 | 証券会社系 | 証券会社系 | 独立系IPO特化コンサル | 独立系IPO特化コンサル | 独立系IPO特化コンサル | 会計士・税理士系/総合コンサル | 会計士・税理士系/総合コンサル | ディスクロージャー・アウトソーシング系 |
| 主な支援範囲 | 上場準備監査・金商法監査、ショートレビュー、会計・内部統制体制構築の助言 | IPO監査(上場準備監査・金商法監査)、IPOアドバイザリー、グループFAS連携 | IPO診断、経営管理体制の整備・運用支援、上場申請書類作成支援、J-SOX構築、上場準備監査 | 主幹事・引受業務、資本政策の相談、審査対応、マーケティング(ロードショー設計) | 主幹事・引受幹事業務、引受審査・資本政策・エクイティストーリー策定、上場申請サポート | 主幹事・引受業務、資本政策・グループ戦略提案、ディスクロージャー助言、上場時の資金調達実務 | 上場準備・内部管理体制構築、資本政策の立案、「Iの部」等の申請書類作成支援、引受審査対応、専門家紹介 | 資本政策・事業計画作成、J-SOX構築、Ⅰの部・Ⅱの部作成、決算開示体制の整備までワンストップ | 監査法人・証券会社の選定、資本政策作成、内部管理体制構築、上場申請書類の作成・審査対応 | 上場準備資料の作成代行、内部統制構築、原価計算構築、システム導入・改善、市場変更・内部監査受託 | 資本政策・事業計画の策定、内部統制構築、上場申請書類作成、証券会社・監査法人対応、上場後の税務・M&A・海外進出 | 資本政策・事業計画の策定、月次予実管理、内部統制のマニュアル化、会議体整備、上場スケジュール設計 | Ⅰの部・Ⅱの部作成、内部管理体制整備、決算開示体制の構築、上場審査質問対応、IFRS実務、上場後のIRサイト構築 |
| 上場支援の実績 | 上場準備監査・金商法監査を主軸とするBig4監査法人 | 長年のIPO監査支援。「株式公開ガイドブック」を公表 | IPO監査を担うBig4監査法人の一つ(企業公開部に専門体制を集約) | 国内の主要証券会社。株式引受・IPO主幹事を幅広く手がける | 独立系大手証券として主幹事・引受を数多く手がける | 三井住友FG系の総合証券として主幹事・引受を手がける | 2025年3月期のIPO引受76社・主幹事9社(統合報告書) | 国内IPO達成企業の5社に1社超を支援と公表(2024年実績) | 上場支援 累計162社と公表(2025年12月末時点) | 所属コンサルタントの上場支援 計28社(東証27社・東京プロ1社)と公表 | 累計1,000社超のIPO準備支援と公表(1999年以降) | 150以上の業種別コンサルを基盤。J-Adviser/F-AdviserとしてPRO Market上場も支援 | 開示書類の作成実務をコア領域とするファイナンシャルプリンター(1952年創業) |
| 料金 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 強み・得意領域 | 海外上場・グローバル案件(EYネットワーク) | 上場前後を監査・コンサル・FAS・税務で一気通貫 | 海外上場(KPMGグローバル連携) | 大型・難易度の高いIPO | 引受・リサーチ・ファイナンスを独立系大手として一貫提供 | 銀・証連携(融資・資金調達)、ディープテック領域 | グロース市場中心、TOKYO PRO Marketからのステップアップ(J-Adviser) | 会計士のプロシェアリング体制 | 情報・通信業、ライフサイエンス、地方企業 | 機械・情報通信・医薬品開発・ソフトウェアなど多業種 | 会計・税務ワンストップ(税理士法人併設) | 業種別コンサルの蓄積、TOKYO PRO Market/Fukuoka PRO Market | ディスクロージャー・開示書類作成の実務 |
| 向いている企業 | 大型・グローバル案件や、監査対応の体制を厚く固めたい企業 | 上場前後をグループ横断で一気通貫に支援してほしい企業 | 内部統制構築や海外上場を含め、監査法人系で体制を固めたい企業 | 上場実行フェーズで大型上場の主幹事を任せたい企業 | 銀行系に属さない独立系大手に主幹事を任せたい企業 | 銀行連携を含め上場準備から資金調達まで一貫支援を受けたい企業 | 中小型IPOやTOKYO PRO Marketからの段階的上場を目指す企業 | 管理部門の人員・知見が不足し、実務をワンストップで任せたい企業 | 特定業種や地方での支援実績、柔軟な契約モデルを求める企業 | 中小・中堅企業で上場準備の実務代行まで任せたい企業 | 会計・税務を起点に上場準備から上場後まで一貫して任せたい企業 | 業種特性を踏まえた経営基盤づくりから上場まで相談したい企業 | 開示・書類作成の実務を切り出して委託したい企業 |
| 詳細情報 | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
※上記は各社の公表情報をもとに整理した概要です。実績は各社が公表する指標・集計時点が異なるため、横並びの数値比較ではなく目安としてご覧ください。支援範囲や料金体系の詳細、最新の実績は各社の情報をご確認ください。
タイプ別に見るIPO支援会社
ここからは、比較表で取り上げた各社を出自タイプ別に紹介します。支援の範囲や強み、向いている企業はタイプの中でも会社ごとに異なるため、自社の状況と照らし合わせながらご覧ください。
監査法人系・Big4系
1. EY新日本有限責任監査法人

EYのメンバーファームとして、上場準備企業向けの財務諸表監査を主軸に据える監査法人です。企業成長サポートセンターを窓口に、上場に耐える会計・開示体制の構築に向けた監査契約や上場支援の相談を受け付けています。
ショートレビュー(上場準備状況の調査)や上場準備監査(申請の直前々期・直前期にあたるN-2期・N-1期)、金商法監査を提供し、会計・内部統制体制の構築に関する助言も行います。上場準備企業のIPO監査を数多く手がけ、上場企業の金商法監査でも幅広い顧客基盤を持ちます。
EYグローバルネットワークを通じた国際品質の監査や、海外上場への対応も特徴です。IPO監査報酬は企業規模・監査工数に応じた個別見積りのため、要問い合わせとなります。
2. 有限責任監査法人トーマツ

デロイト トーマツ グループの中核をなす監査法人で、国内の大手監査法人の一つです。IPO監査を主軸に、株式公開支援やIPOに向けたアドバイザリーサービスを提供しています。
監査・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリー・税務をグループ横断で提供できるため、上場前後の課題を一気通貫で支援できる点が特徴です。長年のIPO支援をもとに「株式公開ガイドブック」を公表するなど、上場実務の知見を体系化しています。
近年はIPO監査の専門部署を再編し、スタートアップ向けにIPO監査以外のアドバイザリーも提供する体制を強化しています。IPO監査報酬・アドバイザリー報酬は個別見積りで要問い合わせとなり、相談はIPO戦略統括室が受け付けています。
3. 有限責任 あずさ監査法人

IPO診断から経営管理体制の整備・運用支援、上場申請書類の作成支援までを手掛ける、KPMGジャパンのメンバーファームです。企業成長支援本部が株式上場(IPO)支援を担っています。
本部内の「企業公開部」に株式上場のノウハウを集約した専門体制を敷き、上場準備監査とIPOアドバイザリーの両輪でサービスを提供します。内部統制(J-SOX)構築支援や、KPMGグローバルネットワークを活かした海外上場支援にも対応します。
監査報酬・アドバイザリー報酬は企業規模や工数に応じた個別見積りのため、要問い合わせとなります。
証券会社系
4. 野村證券株式会社

野村證券株式会社は、野村ホールディングスグループの中核証券会社として、投資銀行部門の公開引受部がIPO(新規株式公開)の主幹事・引受業務を担います。上場を目指す発行企業に対し、資本政策の相談から機関投資家の紹介、上場実行までを担う立場です。
上場準備の支援は、内部管理体制の整備を進める審査対応と、投資家への訴求戦略を設計するマーケティングの二本柱で進める体制をとっています。日常的なディールで培った機関投資家との関係を基盤に、ブックビルディング(需要申告の集約による公募価格の決定)を行う点も特徴です。
2025年10月には野村ホールディングス内に「プライベート・コーポレート・ソリューション&アドバイザリー部」を新設し、上場前段階(プレIPO)からの成長企業支援を強化しています。新規公開株式を含む国内株式引受を幅広く手がける大手証券で、引受手数料は公表されておらず、条件は要お問い合わせとなります。
5. 大和証券株式会社

大和証券グループの中核証券会社である大和証券株式会社は、IPOの主幹事・引受幹事を数多く務める大手です。公開引受部門が引受審査から資本政策、エクイティストーリー(投資家に示す成長の道筋)の策定、上場申請のサポートまでを担い、主幹事として上場実行までを支えます。
銀行系グループに属さない独立系大手として、引受・リサーチ・ファイナンスをグループ内で一貫して提供できる点が強みです。IPO主幹事・引受幹事を数多く務め、上場後の増資やIR、投資家対応まで継続して関与します。
引受手数料は公募・売出の規模に応じて個別に決まる仕組みで、料率・金額は公表されていません。検討にあたっては要お問い合わせとなります。
6. SMBC日興証券株式会社

SMBC日興証券株式会社は、三井住友フィナンシャルグループに属する総合証券会社です。公開引受部がIPOを目指す企業の審査・引受を担い、投資銀行部門が資本政策やグループ戦略の提案、上場に伴う開示制度への対応、公募・売出しに伴う資金調達の実務までを支援します。
三井住友銀行との銀・証連携を背景に、融資審査や資金調達提案を含めた支援を打ち出している点が特徴です。IPO主幹事・引受を数多く手がけ、上場準備の助言から上場実行までを一貫して担う体制を持ちます。
引受手数料は公募・売出金額に応じた料率で個別に決まり、公式サイトに料率・金額の記載はありません。具体的な条件は要お問い合わせとなります。
7. 株式会社SBI証券

株式会社SBI証券は、インベストメント・バンキング部門の公開引受部が、上場を目指す未上場企業への引受・主幹事業務を担います。上場準備体制や内部管理体制の構築、資本政策の立案、「Iの部」など上場申請書類の作成支援、引受審査への対応までを支援範囲としています。
2023年8月にTOKYO PRO Market(プロ投資家向け市場)のJ-Adviser資格(同市場への上場適格性を審査・確認する資格)を取得し、同市場から一般市場へのステップアップを見据えた上場支援に対応する点が特徴です。統合報告書によると2025年3月期のIPO引受は76社、うち主幹事は9社で、監査法人や弁護士など各種専門家の紹介も支援に含みます。
引受手数料や上場準備支援の費用は公式サイトに記載がなく、案件ごとの個別交渉となります。詳細は要お問い合わせで、問い合わせ用に電話・Eメールの窓口が公開されています。
独立系IPO特化コンサル
8. ブリッジコンサルティンググループ株式会社

公認会計士など専門人材のプロシェアリング(外部人材の共有活用)を中核事業とし、IPO準備企業の経営管理を支援する独立系コンサルティングファームです。証券コード9225として自社も東証グロース市場に上場しています。
資本政策・事業計画の作成から内部統制(J-SOX)の構築、Ⅰの部・Ⅱの部などの上場申請書類の作成、決算開示体制の整備まで、IPO準備の各フェーズをワンストップで支援します。公認会計士プラットフォーム「会計士.job」に登録する外部の公認会計士等を、案件の課題に応じてアサインするプロシェアリング体制をとる点が特徴です。
公式サイトでは、国内IPO達成企業の5社に1社超を支援した(2024年実績)と訴求しています。料金は公表されておらず要問い合わせですが、相談・見積もりは無料と案内しています。
9. 響きパートナーズ株式会社

IPO支援を中心に、経営管理・FAS・内部統制・人材紹介・ファンド事業まで手がける独立系のコンサルティングファームです。監査法人・証券会社の選定から資本政策の作成、上場申請書類の作成・審査対応まで、IPO準備の全フェーズをカバーします。
情報・通信業やライフサイエンス分野の支援実績が多く、地方企業の上場支援にも対応します。有限責任監査法人トーマツ出身の公認会計士が取締役に在籍するなど、会計士が関与する体制で、実際に手を動かすコンサルタントがチームで伴走します。
料金は、スポット業務型・包括支援型・顧問契約型・成果報酬型の4つの契約モデルを公式に提示しています(各金額は非公表)。公式サイトでは、2024年度の新規上場企業に占める顧客シェアを14.0%と公表し、累計162社(2025年12月末時点)の上場支援実績を掲げています。
10. WIN Consulting株式会社

IPO(株式上場)とPMI(買収・再生後の統合)支援を専門とする独立系コンサルティング会社です。大手ベンチャーキャピタルで上場準備企業やMBO企業の管理体制構築を10年以上支援してきた経験を背景に、中小・中堅企業の上場準備や経営体制の再構築を支援します。
上場準備資料の作成代行や内部統制制度の構築、原価計算の構築、システム導入・改善まで、実務を巻き取る支援メニューをそろえます。機械・情報通信・医薬品開発・ソフトウェア開発など幅広い業種の支援実績があり、上場後の市場変更支援や内部監査業務の受託にも対応します。
公式サイトでは、所属コンサルタントの上場支援実績として東証上場27社と東京プロマーケット1社の計28社を挙げています。東京本社と大阪オフィスを拠点とし、料金は要問い合わせです。
会計士・税理士系/総合コンサル
11. 株式会社AGSコンサルティング

株式会社AGSコンサルティングは、AGS税理士法人を併設する会計・税務を源流とした総合コンサルティングファームです。IPO支援に加え、M&A・国際会計・事業承継・企業再生までを扱い、在籍する公認会計士や税理士が、証券会社と監査法人それぞれの立場を踏まえて上場準備の実務をプロジェクトとして推進します。
支援範囲は、資本政策・事業計画の策定から内部統制の構築、上場申請書類の作成、証券会社・監査法人対応まで及びます。1999年の東証マザーズ開設以来、累計1,000社を超えるIPO準備の支援を公式に掲げており、税理士法人併設による会計・税務のワンストップ対応や、上場後の税務・M&A・海外進出まで継続して伴走できる体制を備えます。
料金は公式サイトに掲載がなく、費用は問い合わせが必要です。会計・税務を起点に、上場準備から上場後の税務・海外進出までを一貫して任せたい企業に向く選択肢です。
12. 株式会社船井総合研究所

150以上の業界・業種別コンサルティングの実績を持つ独立系の総合コンサルティング会社が手がけるのが、株式会社船井総合研究所のIPO支援ソリューションです。資本政策・事業計画の策定や月次予実管理、内部統制のマニュアル化、会議体整備、コンプライアンス研修などを通じて、上場に必要な経営基盤の強化を総合的に支援します。
支援は月次の顧問型が中心で、標準では3年以内に上場企業並みの体制を整え、5年内のIPO実現を目指すスケジュールを設計します。TOKYO PRO Market・Fukuoka PRO Market向けの J-Adviser/F-Adviser 業務も担うため、本則市場だけでなくプロ向け市場も含めて上場先を検討できる点が挙げられます。
料金は公式サイトに掲載がなく、月次支援型の顧問料を含め費用は問い合わせが必要です。業種特性を踏まえた経営基盤づくりから上場までを幅広く相談したい企業に向いています。
ディスクロージャー・アウトソーシング系
13. 宝印刷株式会社

1952年創業、約70年にわたってディスクロージャー(情報開示)とIR関連物のコンサルティング・制作・印刷を手がけるファイナンシャルプリンターです。上場準備企業に対しては、上場申請書類であるⅠの部・Ⅱの部の作成をはじめ、内部管理体制の整備や決算開示体制の構築を支援します。
支援領域は上場審査への質問対応、内部統制構築業務、IFRS(国際会計基準)実務、中期経営計画の作成支援、そして上場後のIRサイト構築まで及びます。開示書類の作成実務をコア領域とする点が、監査法人やコンサル系の支援会社との違いです。
IPO準備実務全般のアウトソーシングは、グループ企業の株式会社タスクを通じて提供し、社内リソースが不足しがちな上場準備期の実務負担を引き受ける体制を持ちます。料金は公式サイトに掲載がないため、個別の要件に応じて要お問い合わせとなります。
IPO支援会社の選び方(判断軸)
支援会社選びを誤ると、内部統制の不備やスケジュールの遅延から上場準備が停滞するおそれがあります。ここでは、自社に合う支援会社を見極めるための5つの判断軸を挙げます。社内稟議で選定の根拠を説明する際の観点としてもご活用ください。
上場支援の実績は自社の業種・目指す市場と合っているか
上場支援の実績は、支援会社を見極める最初の手がかりです。ただし社数の多さだけでなく、自社の業種や目指す市場区分での実績があるかが確認のポイントになります。たとえばバイオやライフサイエンスのように事業計画の説明の仕方に特徴がある業種では、その領域での支援経験が審査対応の質に影響します。グロース市場を目指すのか、TOKYO PRO Marketから段階的に進むのかによっても、必要な支援は変わります。
実績の数値は公表時点によって変動するため、最新の情報を各社に確認したうえで判断することが大切です。
支援範囲は自社に不足している領域をカバーしているか
資本政策・内部統制・決算開示・申請書類の作成・監査対応のうち、自社に不足している領域を支援会社がカバーできるかが確認のポイントになります。管理部門の人員が限られる企業は、実務まで任せられる独立系コンサルが選択肢になりますが、すでに会計顧問がいて財務面の体制が一定整っている企業は、不足している開示や内部統制の領域だけを補う形が効率的です。
自社に足りない部分を先に洗い出し、その領域を得意とするタイプから選ぶと、支援範囲の過不足を避けられます。
上場準備に継続的に伴走する体制があるか
上場準備は数年におよぶため、単発の助言ではなく継続的に伴走する体制があるかが重要です。専任の担当者が付くのか、チーム制で複数の専門家が関与するのか、常駐に近い形で実務を支援するのか、月次のレビューが中心なのかによって、社内にかかる負荷が変わります。管理部門の立ち上げ期にある企業ほど、実務に踏み込んで伴走してくれる体制かどうかが、準備の進み方を左右します。
費用体系は自社の予算に合っているか
IPO支援の費用は、タイプによって料金の性格が異なります。監査法人の監査報酬、証券会社の引受手数料、コンサルの顧問料やプロジェクト費用など、支払いのタイミングも金額の考え方も変わるため、自社の予算に合う費用体系かを確認しておきたいところです。料金体系のタイプ別の違いと比較の進め方は、後述の費用の章で詳しく解説します。
自社の準備フェーズに合った相手か
構想段階なのか、直前期に入り申請が視野に入っているのかによって、必要な支援会社は異なります。準備の初期であれば、課題の洗い出しや資本政策・内部統制の土台づくりを伴走できる相手が向きます。上場実行が近づけば、主幹事証券や監査法人の関与が中心になります。自社が今どのフェーズにいて、次に何を整える必要があるかを起点に、そのフェーズを得意とする相手を選ぶと、支援の時期と内容がかみ合います。
IPO支援の料金体系とタイプ別の費用の考え方
IPO支援の費用は、多くの支援会社が非公表としており、支援範囲や企業の状況に応じて個別に見積もられるのが一般的です。金額そのものを一律に示すことは難しいため、ここではタイプごとに料金の性格がどう異なるかを整理し、費用感の掴み方を解説します。
| タイプ別の料金体系の考え方 | 監査法人系・Big4系 | 証券会社系 | 独立系IPO特化コンサル | 会計士・税理士系/総合コンサル | ディスクロージャー・アウトソーシング系 |
|---|---|---|---|---|---|
| 費用の性格 | 監査報酬(上場前監査など) | 引受手数料ほか | 顧問料・プロジェクト費用・成果連動など | 顧問料・スポット費用など | 書類作成・代行の業務委託費 |
| 料金の考え方 | 監査の対象範囲・工数に応じて算定。準備の進度や会社規模で変動 | 上場実行時の引受に伴う手数料が中心。上場の規模などに連動 | 支援範囲や期間、伴走の深さに応じて設計。月額顧問や個別プロジェクトの形が多い | 会計・税務の顧問契約や、資本政策・体制整備の個別支援として算定 | 対象書類や代行する業務の範囲・量に応じて算定 |
実際にかかる費用は、監査報酬・コンサル費用・引受手数料などの合計となり、上場を目指す市場区分や公募の規模、社外に任せる支援範囲の広さによって大きく変わります。一部の実務だけを切り出して依頼する場合と、複数の支援会社を準備期間を通じて活用する場合とでは総額が大きく異なるため、一律の相場として示すことは困難です。
支援会社へ支払う費用とは別に、取引所へ支払う上場料金は市場区分ごとに定額が公表されています。東京証券取引所の場合、新規上場審査料はプライム400万円・スタンダード300万円・グロース200万円(いずれも税別、2026年9月時点)です。
あわせて、上場時に支払う新規上場料はプライム1,500万円・スタンダード800万円・グロース100万円(いずれも税別)です。支援会社の費用が個別見積もりで見えにくいため、こうした公表されている固定費を先に押さえておくと、全体の予算感をつかみやすくなります。
出典・参考資料(1件)
だからこそ、どこまでの業務を任せるのかを具体的に定めたうえで、同じ前提で複数社の見積もりを取り、支援範囲あたりの費用として比較することが、費用感を正しく掴む近道になります。
IPO準備のスケジュールと準備フェーズ別にやること
上場準備は、上場を目指す時期から逆算して進めます。一般に準備には数年(3〜5年程度が目安とされます)を要し、その過程で管理体制を段階的に整えていきます。ここでは、準備フェーズごとにやるべきことと、支援会社が関わる範囲を整理します。

準備期間の目安となるのが、上場前に求められる監査の期間です。本則市場やグロース市場への上場では、上場前の一定期間について財務諸表の監査が求められます。日本取引所グループは、市場区分による制度の違いを次のように整理しています。
上場前の監査期間:TOKYO PRO Market=最近1年間、東証他市場=最近2年間。内部統制報告書:TOKYO PRO Market=任意、東証他市場=必須。審査主体:TOKYO PRO Market=J-Adviser、東証他市場=主幹事証券会社、東証。
出典:概要(TOKYO PRO Market)|日本取引所グループ
グロース市場などの本則市場では、上場前の最近2年間の監査が必要となるため、その期間を含めて逆算すると準備には数年を見込むことになります。実務上は、上場申請を行う期を「直前期」、その前の期を「直前々期」と呼び、この2期分が監査対象期間にあたります。
TOKYO PRO Marketは上場前監査が最近1年間で内部統制報告書も任意とされるなど、本則市場より要件が緩やかなため、段階的な上場を視野に入れる場合の選択肢になります。
準備フェーズごとの主な作業と、支援会社が関わる範囲を整理すると次のとおりです。
| 準備フェーズ別にやること | 構想・準備初期 | 直前々期(上場2期前) | 直前期(上場1期前) | 申請期 |
|---|---|---|---|---|
| 主にやること | 上場方針の決定、課題の洗い出し(予備調査)、資本政策の設計、監査法人の選定 | 内部統制の構築、決算・開示体制の整備、規程類の整備、監査対応の開始 | 申請書類(Ⅰの部・Ⅱの部)の作成、主幹事証券の引受審査対応、運用状況の確認 | 取引所への上場申請、上場審査対応、公開価格の決定 |
| 支援会社の主な関与 | 独立系コンサル・会計士/税理士系による課題整理と体制づくり、監査法人による予備調査 | 独立系コンサル・監査法人による内部統制・開示体制の構築支援 | 主幹事証券の引受審査、ディスクロージャー系による申請書類の作成支援 | 主幹事証券・監査法人が中心。取引所審査への対応 |
出典・参考資料(1件)
まとめ
IPO支援を担う会社は、監査法人系・証券会社系・独立系IPO特化コンサル・会計士/税理士系・ディスクロージャー系と、出自によって支援できる領域も費用の考え方も異なります。自社に合う相手を選ぶには、まず自社の準備フェーズと不足している領域を把握し、それを得意とするタイプから、実績・支援範囲・伴走体制・費用・フェーズ適合の観点で比較することが近道です。
上場を実現するには監査法人と主幹事証券の関与が欠かせず、準備実務をどこまで社外に任せるかに応じて独立系コンサルや会計士・税理士系などを組み合わせて進めるのが一般的です。まずは自社に近いタイプから候補を絞り、気になる会社の支援範囲や実績を確認したうえで、相談や資料請求に進んでみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. IPO支援(上場支援)とは何ですか?
A. IPO支援(上場支援)とは、新規上場を目指す未上場企業に対し、資本政策の設計・内部統制の構築・上場申請書類の作成・監査対応といった上場準備の実務を支援するサービスや専門会社を指します。
上場企業として求められる管理体制を数年かけて整える必要があり、その多くを社内のリソースだけでまかなうのは容易ではないため、監査法人・証券会社・コンサルなど出自の異なる専門家が、それぞれの領域で上場準備を支援します。
Q. IPO支援会社には上場準備の何をどこまで任せられますか?
A. IPO支援会社に任せられる範囲は、資本政策の設計、内部統制(J-SOX)の構築、決算・開示体制の整備、上場申請書類の作成、監査・審査対応まで、上場準備の全工程に及びます。ただし1社ですべてを担うわけではなく、会計監査は監査法人、上場実行時の株式引受は主幹事証券、準備実務の伴走は独立系コンサルというように、担い手のタイプごとに支援できる領域が分かれます。
自社に不足している領域を先に洗い出し、その領域を得意とするタイプに任せるのが選定の基本です。
Q. IPO準備は自社だけで進めることはできますか?
A. IPO準備を自社の人員だけで完結させるのは現実的には難しく、外部の専門家の関与が実質的に欠かせません。本則市場やグロース市場への上場では、上場前の最近2年間について監査法人による会計監査を受けることが求められ、上場を実行するには主幹事証券会社の引受も必要になります。これらは制度上、社外の専門家が担う領域です。
加えて内部統制や開示体制の構築も専門性と工数を要するため、不足する部分を支援会社に任せながら準備を進めるのが一般的です。
Q. IPO支援会社にはどんな種類があり、自社に合うのはどのタイプですか?
A. IPO支援会社は出自別に、監査法人系・Big4系/証券会社系/独立系IPO特化コンサル/会計士・税理士系/ディスクロージャー系の5つのタイプに大きく分かれます。自社に合うタイプは、抱えている課題によって変わります。
管理部門の人員や上場準備の知見が不足していて実務ごと任せたいなら独立系コンサル、会計・財務の基盤づくりを優先したいなら会計士・税理士系、開示書類の作成実務を切り出して委託したいならディスクロージャー系が向きます。会計監査は監査法人、上場実行は主幹事証券と、市場区分によっては必ず関与するタイプもあるため、自社のフェーズと不足領域を起点に組み合わせを考えることが大切です。
Q. IPO支援の費用はどのくらいかかりますか?
A. IPO支援の費用は、多くの支援会社が非公表としており、支援範囲や企業の状況に応じて個別に見積もられるのが一般的です。監査法人は監査報酬、証券会社は引受手数料、コンサルは顧問料やプロジェクト費用・成果連動というように、タイプごとに料金の性格も支払いのタイミングも異なります。
金額だけを並べても実態はつかめないため、任せる業務の範囲を具体的に定めたうえで、同じ条件で複数社の見積もりを取り、支援範囲あたりの費用として比較することをおすすめします。
Q. 会計士・税理士はIPO準備のどこまで関わりますか?
A. 会計士・税理士系の支援会社は、資本政策の設計・会計基準への対応・予実管理・内部統制の整備など、上場の基盤となる財務・会計面に深く関わります。もともと会計・税務の顧問として関与している延長で上場準備の相談に応じるケースもあり、財務面の体制整備を優先したい企業や、既存の会計顧問と連続性を保ちたい企業に向いています。
ただし上場実行時の株式引受は証券会社、会計監査は監査法人が担うため、これらは別の担い手と組み合わせて準備を進めます。
Q. IPO支援会社への相談は、いつ・何年前から始めるべきですか?
A. IPO支援会社への相談は、上場を目指す時期から逆算し、一般に数年(3〜5年程度が目安とされます)前の構想・準備初期から始めるのが望ましいとされます。本則市場やグロース市場への上場では、上場前の最近2年間について監査法人の監査が必要になるため、その監査対象期間(実務上「直前々期」「直前期」と呼ばれる2期)に入る前に、監査法人の選定や内部統制の土台づくりを進めておく必要があります。
準備の初期ほど課題の洗い出しや資本政策の設計が中心になるため、早い段階で相談先を検討しておくと、逆算したスケジュールを組みやすくなります。
Q. 監査法人・主幹事証券・IPOコンサルの役割はどう違いますか?
A. IPO準備では、監査法人が会計監査と内部統制の検証、主幹事証券が株式の引受と上場実行、IPOコンサルが上場準備実務の伴走を担うという役割分担になります。監査法人と主幹事証券は上場の可否を左右する立場で、市場区分によってはいずれも制度上ほぼ必ず関与します。
一方、独立系コンサルや会計士・税理士系は発行体である企業の側に立ち、資本政策や内部統制、申請書類の作成といった準備実務を実際に手を動かして支援します。これらは競合するものではなく、上場準備の異なる工程を分担する関係にあります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
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