自社でネットショップを立ち上げよう、あるいは今のカートから乗り換えようと考えたとき、最初にぶつかるのが「ECカートシステムの種類が多すぎて、どれを選べばよいか分からない」という壁です。月額数千円で始められるものから、初期費用が数百万円規模になるものまで価格帯は幅広く、提供形態もASP型・クラウドEC型・パッケージ型・オープンソース型と分かれています。
さらに、初期費用・月額費用・決済手数料を合わせた総コスト(TCO)が事前に読みにくく、事業が伸びたときの乗り換えの手戻りも心配です。自社の年商規模や扱う商材に本当に合うカートを、どのような観点で見比べればよいのでしょうか。
本記事では、主要なECカートシステム26サービスを構築方式ごとに整理し、初期費用・月額費用・決済手数料の実額と、対象となる事業規模・商材を横断で比較します。自社に合うカートを選ぶための判断材料をまとめました。
ASP型・クラウドEC(SaaS)型・単品リピート/D2C特化型・パッケージ型・オープンソース型の5つのグループに分け、それぞれの向き先と代表的なサービスを解説します。EC事業の立ち上げ担当者から、既存カートの乗り換えを検討する運営責任者まで、比較検討の出発点としてご活用ください。
また、自社の事業規模と商材から合うタイプ・サービスを短時間で絞り込める「ECカートシステム選定診断」もご用意しています。ぜひこちらもご活用ください。
目次
ECカートシステムとは?
ECカートシステムとは、自社のネットショップで「商品をカートに入れてから決済を完了するまで」の一連の購入プロセスを担う仕組みのことです。商品登録・在庫管理・受注管理・決済・顧客管理といったEC運営の基本機能を一元的に提供し、これ一つで自社ECサイトを構築・運用できます。
ここからは、ECカートシステムが備える基本機能と、楽天市場やAmazonのようなECモールとの違いを整理します。
ECカートシステムの主な機能
ECカートシステムは製品ごとに得意分野が異なりますが、一般的に次のような機能を備えています。いずれも、ネットショップの売上をつくり、運営の手間を減らすための土台となる機能です。
- 商品管理:商品登録、在庫数の管理、価格・セール設定、カテゴリ分類
- 受注・注文管理:注文の受付、注文ステータスの管理、配送手配、伝票発行
- 決済:クレジットカード、コンビニ払い、後払い、キャリア決済などへの対応
- 顧客管理・販促:会員管理、ポイント、クーポン、メール配信、定期購入
- デザイン・サイト構築:テンプレートやテーマによるデザイン設定、スマートフォン対応
近年は、実店舗とネットの在庫・顧客データを融合するOMO(Online Merges with Offline)機能や、越境ECのための多言語・多通貨対応、単品リピート通販向けの定期購入機能など、事業モデルに応じた専門機能を持つカートも増えています。
ECモール出店との違い
ネットで商品を売る方法には、大きく「自社ECサイト」と「ECモール出店」の2つがあります。ECカートシステムは前者、つまり自社独自のネットショップを構築・運営するための仕組みです。
ECモールは、楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングのような集客力のある「商業施設」に出店するイメージです。モール自体の集客に乗れる一方、出店料や販売手数料がかかり、デザインや顧客データの活用には制約があります。対して自社ECは、独自ドメインでブランドの世界観を自由につくり込み、購入者の顧客データを自社の資産として蓄積・活用できる点が強みです。
集客は自力で行う必要がありますが、リピーター育成や利益率の面で有利になりやすく、多くの事業者がモールと自社ECを併用しています。
ECカートシステムの構築方式4タイプ
ECカートシステムは、提供形態(構築方式)によって大きく4つのタイプに分かれます。この構築方式の違いが、初期費用・月額費用・カスタマイズの自由度・対応できる事業規模を大きく左右するため、まず自社がどのタイプに向くのかを押さえることが、カート選びの出発点になります。
ASP型(手軽・低コストで始められる)
ASP型は、事業者が用意したクラウド上のカートを月額料金でレンタルして使う方式です。サーバーの用意やシステム開発が不要で、申し込んでから短期間でネットショップを開設できます。初期費用は無料〜数万円、月額費用も無料〜数万円に収まるものが多く、コストを抑えてスモールスタートしたい事業者に向きます。
その代わり、機能やデザインはサービスが用意した範囲内での設定が基本で、独自の作り込みには限界があります。STORESやカラーミーショップ、BASE、Square オンラインビジネスなどが代表的で、個人事業主から中小規模の事業者まで幅広く使われています。
クラウドEC(SaaS)型(拡張性と運用のしやすさを両立)
クラウドEC(SaaS)型は、ASP型と同じくクラウド上で提供されますが、より高い拡張性とカスタマイズ性を備えた方式です。ベンダー側が自動でバージョンアップを行うため、セキュリティや機能を最新に保ちながら、中〜大規模のECや独自要件にも対応できます。
初期費用は数十万円〜数百万円、月額費用も数万円〜数十万円と幅がありますが、事業成長に合わせて機能を拡張しやすい点が魅力です。ShopifyやEBISUMART、futureshopなどが該当し、年商規模が大きく、外部システム連携や運用の効率化を重視する事業者に選ばれています。定期購入・単品リピート通販に特化したカートも、多くはこのクラウドEC型に含まれます。
パッケージ型(独自要件を大規模にカスタマイズ)
パッケージ型は、ECサイト構築用のソフトウェアを購入し、自社のサーバーやクラウド環境に導入して構築する方式です。ソースコードに手を入れて独自の業務要件を細かく作り込めるため、大規模ECや複雑な基幹システム連携が必要な企業に向きます。
初期費用は数百万円以上になることが多く、料金は要問い合わせのケースがほとんどです。ecbeingやEC-ORANGE、SI Web Shoppingなどが代表的で、独自機能や大量アクセスへの対応、他システムとの密な連携を求める中〜大規模事業者が採用しています。
オープンソース型(無償で自由度が高い)
オープンソース型は、無償で公開されているソースコードを利用してECサイトを構築する方式です。ライセンス費用はかからず、自由に機能を追加・改変できる一方、サーバーの用意・構築・保守・セキュリティ対策を自社で担う必要があり、開発できる技術リソースが前提になります。
EC-CUBEやWooCommerce、Adobe Commerce(Magento)、Welcartなどが代表的です。ライセンス費用が不要な分、初期の構築費用や運用の人的コストをどう見積もるかがポイントになります。制作会社に構築を依頼するケースも多く、自由度と保守負担のバランスを踏まえた判断が求められます。
構築方式ごとのメリット・デメリット
4つの構築方式は、コストの低さと自由度・拡張性がおおむねトレードオフの関係にあります。自社の年商規模・かけられる予算・社内の技術リソースに照らして、どのタイプが妥当かを整理すると選びやすくなります。
| 構築方式 | 費用の目安 | 自由度・拡張性 | 主な向き先 |
|---|---|---|---|
| ASP型 | 低い(初期無料〜数万円) | 仕様の範囲内 | 個人〜中小・スモールスタート |
| クラウドEC(SaaS)型 | 中〜高い | 高い(自動更新) | 中〜大規模・成長企業 |
| パッケージ型 | 高い(数百万円〜) | 非常に高い | 大規模・独自要件 |
| オープンソース型 | ライセンス無償(構築・保守費は別) | 非常に高い | 技術リソースのある事業者 |
すべてを一から開発するフルスクラッチ型もありますが、開発期間とコストが大きくなります。まずは上記4タイプの中から、自社に近いものを絞り込むのが現実的です。
フルスクラッチも含めた構築方式全体を、費用相場や、社内にリソースがない場合の構築支援会社の選び方まで見比べたい場合は、以下の記事が参考になります。
ここからは、自社の事業規模と商材から合うタイプ・サービスを、簡単な質問に答えるだけで絞り込めます。
【比較表】ECカートシステムのおすすめ26サービス
ここからは、主要なECカートシステム26サービスを一覧で比較します。提供形態(構築方式)・初期費用・月額費用・決済手数料・対象となる事業規模を横断で並べ、実額で見比べられるようにしました。料金は各社の公式情報にもとづく2026年9月時点の内容で、公開されていない場合は「要問い合わせ」と記載しています。
| サービス名 | STORES(ネットショップ) | MakeShop | カラーミーショップ | Square オンラインビジネス | ショップサーブ | らくうるカート | BASE(ベイス) | Shopify | EBISUMART | futureshop | メルカート | aiship | W2 Commerce Unified | ecforce | サブスクストア | W2 Commerce Repeat | リピストX | ecbeing | EC-ORANGE | SI Web Shopping | HIT-MALL | eltexDC | EC-CUBE | WooCommerce | Adobe Commerce(Magento) | Welcart |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供形態(構築方式) | ASP型 | ASP型 | ASP型 | ASP型 | ASP型 | ASP型 | ASP型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | クラウドEC(SaaS)型 | パッケージ型 | パッケージ型 | パッケージ型 | パッケージ型 | パッケージ型 | オープンソース型 | オープンソース型 | オープンソース型 | オープンソース型 |
| 初期費用 | 0円 | 11,000円〜 | 0円〜22,000円 | 0円 | 30,000円(税抜) | 3,300円〜(税込) | 0円 | 0円 | 300万円〜 | 22,000円〜(税抜) | 190,000円〜 | 20,000円〜(税抜・年契約で無料) | 要問い合わせ | 148,000円〜 | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 69,800円〜(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円〜(クラウド版70,000円) | 0円(別途サーバー等) | 要問い合わせ(無償のOpen Source版あり) | 0円(本体無償) |
| 月額費用 | 0円〜3,300円 | 13,750円〜 | 0円〜35,640円 | 0円〜3,375円 | 25,000円〜(税抜) | 330円〜(税込) | 0円〜16,580円 | 3,650円〜 | 25万円〜 | 27,000円〜(税抜) | 49,000円〜 | 9,800円〜(税抜) | 要問い合わせ | 49,800円〜 | 49,800円〜(税抜) | 要問い合わせ | 42,800円〜(税抜) | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 0円〜(クラウド版49,800円〜) | 0円(別途ホスティング費) | 要問い合わせ | 0円〜(クラウド版10,000円〜) |
| 決済手数料 | 3.6%〜5.5% | 3.19%〜 | 2.99%〜6.6% | 3.3%〜3.6% | 3.5%〜 | 要問い合わせ | 3.6%+40円〜 | 3.25%〜3.55% | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 要問い合わせ | 3.60%〜(WooPayments・日本) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 対象事業規模・商材 | 個人〜中小/実店舗併売 | 中小〜中堅/BtoC・BtoB | 個人〜中小/法人本格運用まで | 個人〜中小/実店舗併売 | 中小〜中堅/運用サポート重視 | 個人〜中小/物販・一次産品 | 個人〜小規模/スモールスタート | 中〜大規模/越境EC・多通貨 | 中〜大規模/BtoC・BtoB・オムニ | 中小〜中堅/デザイン重視・OMO | 中堅〜大手/本格EC構築 | 中小〜中堅/食品・ギフト | 中〜大規模/OMO・オムニチャネル | 中小〜中堅/単品リピート・D2C | 中小〜中堅/定期・単品通販 | 中〜大規模/単品リピート・サブスク | 中小〜中堅/定期通販・D2C | 中堅〜大手/大規模・独自要件 | 中〜大規模/オムニ・ヘッドレス | 中堅〜大規模/BtoB・卸売 | 中〜大規模/BtoC・BtoB・百貨店 | 中堅〜大手/通販(年商20〜200億円) | 中小〜中堅/自由なカスタマイズ | 個人〜中堅/WordPress連携 | 中〜大規模/B2B・エンタープライズ | 個人〜中小/WordPress連携 |
| 詳細情報 | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 公式サイト | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る | 詳細を見る |
※料金は2026年9月時点の各社公式情報にもとづきます(税込・税抜は各社の公開単位に準じます)。「要問い合わせ」は公式に料金が公開されていない項目です。決済手数料は代表的なプラン・決済手段の料率で、契約プランや決済方法により変動します。
各サービスの詳しい特徴は、次のサービス個別紹介で構築方式のグループごとに解説します。
ECカートシステムのおすすめサービスを構築方式・販売モデル別に紹介
ここからは、26サービスを5つのグループに分けて個別に紹介します。先ほどの構築方式4タイプを基本に、方式を横断して定期購入・サブスクに特化した「単品リピート・D2C特化型」を1グループとして加えた分け方です。
自社の事業規模・商材・かけられるコストに近いグループから読むと、候補を絞り込みやすくなります。
ASP型(低コスト・スモールスタートで自社ECを始めたい)
初期費用・月額費用を抑えて、短期間でネットショップを開設したい事業者に向くグループです。個人事業主や中小規模の事業者が、まず自社ECを始める際の選択肢になります。
1. STORES(ネットショップ)(STORES株式会社)

STORES(ネットショップ)は、STORES株式会社が展開する「STORES」ブランドの一つで、初期費用0円でアカウント作成後すぐに開設できるASP型のネットショップ作成サービスです。月額0円のフリープランと、月額3,300円(税込・年間契約時)のスタンダードプランの2プラン制で、フリープランでも基本的な販売機能を利用できます。
決済手数料はフリープランが5.5%〜、スタンダードプランが3.6%〜で、売上規模に応じてプランを選べます。スタンダードプランに加入すると、POSレジ・予約システム・キャッシュレス決済を追加料金なしで同一アカウントから利用できる点が、実店舗も運営する事業者に向く構成です。
会計ソフトや受注管理システム、物流サービスなど20以上の外部サービスと連携でき、バックオフィス業務をつなぎやすくなっています。
2. MakeShop(GMOメイクショップ株式会社)

MakeShop(メイクショップ)は、GMOメイクショップ株式会社が運営するASP型のECサイト構築システムです。BtoC・BtoB双方の構築に対応し、GMOメイクショップの発表によると、2025年の年間流通額は3,804億円で、同社が集計するEC構築サービスの年間流通額において14年連続で1位としています(2026年4月発表)。
料金はプレミアムプランが初期費用11,000円(税込)・月額13,750円(税込)で、24ヶ月契約なら月額を15%抑えられます。より大規模向けのエンタープライズプランは月額55,000円(税込)〜です。決済手数料はmakeshop決済でプレミアムプラン3.19%〜、エンタープライズプラン3.14%〜となっています。
月額固定制で売上に対する販売手数料がかからないため、売上規模が大きい事業者ほど手数料コストを抑えやすい料金モデルです。無料トライアルは15日間用意されています。
3. カラーミーショップ(GMOペパボ株式会社)

2005年提供開始のカラーミーショップは、GMOペパボ株式会社が運営するASP型のネットショップ作成サービスです。初期費用・月額費用0円のフリープランから、法人の本格運用向けのプレミアムプランまで4段階のプラン構成を持ちます。
料金はフリープランが月額0円・決済手数料6.6%+30円〜、レギュラープランが月額4,950円・決済手数料3.4%〜、プレミアムプランが月額35,640円〜・決済手数料2.99%〜です。上位プランほど決済手数料率が下がるため、売上が伸びた段階で料率を抑えられます。
メールサポートの返信目安はレギュラープランが約2営業日以内、ラージ・プレミアムプランが1営業日以内で、プレミアムプランでは専任のECアドバイザーが付きます。
4. Square オンラインビジネス(Square株式会社)

実店舗向けの決済・POSレジと同じアカウントで運用できるのが、Square株式会社(米Block, Inc. の日本法人)が提供するSquare オンラインビジネスです。コーディングやWebデザインの知識がなくても、ASP型でネットショップを構築できます。
初期費用は0円、月額費用は無料プランが0円、有料プランが3,375円〜です。オンライン決済手数料は一律3.6%(上位プラン利用時は3.3%)で、振込手数料は無料、入金は最短翌営業日となっています。
実店舗のSquare POSレジと在庫・注文・顧客データを自動同期できるため、店舗とECを併売する事業者が在庫と顧客情報を一元管理しやすい構成です。商品登録数に上限がない点も公式に明記されています。
5. ショップサーブ(株式会社Eストアー)

ショップサーブは、株式会社Eストアーが運営するASP型のECカートです。CRM・集客・マーケティング・セキュリティなど300以上の標準機能をクラウドで提供し、全プランに担当者による電話・メールサポートが付きます。
料金は初期費用(開通料)30,000円(税抜)、月額費用がプラン4Sで25,000円、プラン4Gで65,000円、プラン4Pで145,000円(いずれも税抜)です。決済手数料はクレジットカード3.5%〜、後払い2.8%〜などで、このほかに注文処理手数料が34円/受注かかります。
全プランに担当者による電話・メールサポートが含まれるため、運用面の相談をしながら進めたい事業者に向きます。
6. らくうるカート(ヤマト運輸株式会社)

らくうるカートは、ヤマト運輸株式会社が「クロネコヤマトのネットショップ開業サービス」として提供するASP型のカートです。商品登録から受注・決済・配送ラベル発行・入金管理までを1つの管理画面で完結できます。
特徴は、ヤマト運輸の送り状発行システム「B2クラウド」とのAPI連携です。管理画面のボタン操作で宅急便の送り状発行と送り状番号の自動取り込みができるため、出荷作業の手間を抑えられます。
料金は月換算330円(税込)のライトプランから始められ、初期費用は3,300円〜です。ライトプランには売上に対するシステム利用手数料1.1%(決済代行会社に支払う決済手数料とは別のサービス利用料)がかかりますが、レギュラー・アドバンスプランでは無料になります。農産物・水産物などの一次産品向けには、荷合い送料計算などの専用オプション(月額2,200円)も選べます。
7. BASE(ベイス)(BASE株式会社)

累計260万ショップの開設実績(2026年5月発表)を持つBASEは、BASE株式会社が運営する個人〜小規模事業者向けのネットショップ作成サービスです。登録・開設は無料で、専門知識がなくても短時間で出店できます。
料金は2プラン制で、スタンダードプランは初期費用・月額費用ともに0円、売上発生時の決済手数料3.6%+40円とサービス利用料3.0%のみで運営できます。月額16,580円(年払い時)のグロースプランは、決済手数料2.9%・サービス利用料0円と、売上が増えた事業者向けに手数料を抑えた設計です。
PayPay・Amazon Pay・PayPal を選択した場合は、システム手数料相当額1%が別途加算されます。
クラウドEC(SaaS)型(拡張性を保ちつつ中〜大規模で運用したい)
事業の成長に合わせて機能を拡張しやすく、中〜大規模のEC運営に耐えるグループです。外部システム連携や運用効率を重視する事業者に向きます。
8. Shopify(Shopify Inc.)

Shopifyは、多言語・多通貨を標準搭載したクラウド型のECプラットフォームです。50以上の国・地域、130以上の通貨に対応し、Shopify Marketsで市場ごとの言語・通貨・価格を個別に設定できるため、越境ECや海外展開を見据えた事業者の選択肢になります。
月額費用はBasicプランが年払いで月額3,650円からで、事業規模の拡大に合わせてGrow・Advanced・Plusへプランを移行できます。決済手数料は標準カードでBasicが3.55%、Advancedが3.25%と、上位プランほど低くなる設計です。
定期購入はShopify本体には内蔵されておらず、無料の公式アプリ「Shopify Subscriptions」や日本語対応のサードパーティアプリを追加して実現します。決済セキュリティはPCI DSSレベル1の認定を受けており、全プランで常時SSLに対応します。
9. EBISUMART(株式会社インターファクトリー)

EBISUMART(エビスマート)は、ECパッケージとASPの中間に位置づけられるクラウド型のECサイト構築サービスです。SaaSでありながら1,018個の公開APIを通じたフルカスタマイズに対応し、中〜大規模のBtoC・BtoB・オムニチャネルEC事業者を主な対象としています。
料金は初期費用300万円から、月額費用は25万円程度からが目安で、カスタマイズ内容や売上規模によって変動します。日本ネット経済新聞「ECソリューションマップ」調査では、カスタマイズ対応可能なクラウド型ECサイト構築サービスとして9年連続でシェア1位に位置づけられています(2026年6月発表時点)。
週に一度の自動アップデートで機能とセキュリティを最新に保てるため、SaaSの運用負荷の低さとパッケージ相当のカスタマイズ性を両立できる点が特徴です。運営元の株式会社インターファクトリーは東証グロース市場に上場しています。
10. futureshop(株式会社フューチャーショップ)

株式会社フューチャーショップが提供するfutureshopは、CMS機能「commerce creator」を備えたSaaS型のECサイト構築プラットフォームです。パーツ単位でのレイアウト編集や独自HTML/CSSでのカスタマイズができ、SaaS型でありながらデザインの自由度を確保できます。
料金は初期費用22,000円・月額27,000円(税抜)のプランから、商品登録数に応じて複数のプランが用意されています。実店舗連携に対応する上位プラン「futureshop omni-channel」は、店舗受取(BOPIS)や顧客データ統合などOMO領域をカバーします。
クレジットカードのほかAmazon Pay・PayPay・d払いなど主要な決済手段に対応します。決済手数料は決済方法により別途発生し、公式には金額が公開されていないため、導入時に確認が必要です。
11. メルカート(株式会社メルカート)

メルカート(Mercart)は、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」の開発実績をもとに開発されたSaaS型のECプラットフォームです。中堅〜大手企業向けの本格的なECサイト構築を主な対象とし、ノーコードCMSによる運用のしやすさを訴求しています。
料金は立ち上げプランが初期費用190,000円・月額49,000円、上位のDXプランが初期費用690,000円・月額199,000円です。商品点数やカテゴリ数、注文数に応じた従量課金がなく、月間20万PVまでは追加料金が発生しない料金モデルです。
AIレコメンドやAIチャットボット、定期購入、RFM分析など、集客からリピート施策までの機能を標準搭載しています。リリース後は専任チームによる約1か月間の強化サポートが提供され、ECサイト公開まで最短2か月・平均約3か月が目安として示されています。
12. aiship(株式会社ロックウェーブ)

aiship(アイシップ)は、クラウドEC(SaaS)型のECサイト構築プラットフォームです。独自ドメイン・独自デザインでのカスタマイズに対応しつつ、スマートフォンでの購入体験を重視したワンページカートを標準機能としています。
料金はエントリープランが初期費用20,000円・月額9,800円(税抜、月次契約時)、上位のアドバンスプランが月額129,800円で、年次契約時は初期費用が無料になります。登録できる商品点数はプランごとに100点から30,000点までと段階が分かれています。
食品向けの三温度帯管理やギフト向けのソーシャルギフト機能など、業種特化のオプションを追加できます。定期購入機能やBtoB向けの掛け払いにも対応し、運営元の本社ではISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得しています。
13. W2 Commerce Unified(W2株式会社)

旧称「w2Commerce」から改称されたW2 Commerce Unifiedは、W2株式会社が提供するBtoC向けの総合ECプラットフォームです。EC構築だけでなく集客・CRM・店舗連携までを一体で提供する、OMO/オムニチャネル対応型として位置づけられています。
標準機能を中心としたSaaS型「W2 Unified Value5」と、個別カスタマイズに対応するPaaS型「W2 Unified Enterprise」の2種類を提供し、非カスタマイズ型から段階的にカスタマイズ型へ移行できる設計を訴求しています。定期通販から総合通販・食品通販まで、業界別の機能セットが用意されています。
初期費用・月額費用はいずれも公式には公開されておらず、簡易見積もりフォームや個別の問い合わせで確認する必要があります。会社全体としてISMS(ISO/IEC 27001)認証を取得しています。
単品リピート・D2C特化型(定期購入・サブスクを伸ばしたい)
化粧品や健康食品などの単品リピート通販、定期購入・サブスクリプションを主力にする事業者に特化したグループです。提供形態としてはクラウドEC型に含まれますが、定期通販に必要な機能で選びたい読者向けに別グループとしてまとめました。定期購入の引き上げやLP最適化、購入者の分析といった、リピート通販ならではの機能に強みがあります。
定期購入では、周期変更やスキップ、マイページでの解約受付、決済失敗時のリトライ、改正特定商取引法の表示対応といった、通常のカートにはない運用上の観点が選定を左右します。単品リピート通販に絞ってカートを比べたい方は、以下の記事で費用・解約導線・法対応まで整理しています。
14. ecforce(ECフォース)(株式会社SUPER STUDIO)

株式会社SUPER STUDIOが自社のEC事業向けに開発した内製システムを起源とする、単品リピート通販・D2Cブランド向けのECプラットフォームです。ECサイト構築から定期購入管理、CRM、LP作成、広告効果分析までを一つの基盤で扱えます。
定期購入まわりでは、複数SKUを組み合わせたセット販売や、定期回数ごとに異なる商品を届ける頒布会機能、定期受注管理・継続分析などを標準で備えます。クレジットカードの洗替や決済失敗時の再オーソリ自動化により、与信落ちによる解約・機会損失を抑える運用が可能です。
料金はスタンダードプランが初期148,000円・月額49,800円(月間受注2,000件まで)、エキスパートプランが初期248,000円・月額99,800円(受注件数無制限)で、いずれも1受注あたり30円の従量課金が加わります。EC-CUBEやShopifyなどからの乗り換えに対応する移行専用プランも用意されているため、既存カートからの切り替えを検討する事業者は確認しておくとよいでしょう。
15. サブスクストア(Subsc Store)(テモナ株式会社)

東証スタンダード市場に上場するテモナ株式会社が運営する、サブスク・D2C・定期通販/単品通販事業者向けのカート・受注管理クラウドシステムです。同社は2008年の設立以来、サブスクリプション事業の支援を専業としてきました。
定期購入・頒布会形式の注文管理を軸に、顧客管理、LP一体型の申込フォーム、キャンペーン管理、商品・出荷管理、決済連携、CRM/販促、広告分析までを1つのシステムに統合しています。導入後は専任コンサルタントによる売上向上・業務効率化の伴走支援も受けられます。
プランはBtoC向けの標準版に加え、大規模ショップ向けのエキスパートプラン、卸・法人取引向けのB2B版など、事業規模・業態に応じたラインナップを用意しています。月額費用は49,800円〜(税抜)が公式の最低額表記で、初期費用や決済手数料は要問い合わせのため、資料請求で確認するとよいでしょう。
16. W2 Commerce Repeat(W2株式会社)

定期購入サイクルの管理や、通常購入から定期購入への引き上げ(F2転換)施策を標準機能として備える、単品リピート通販・サブスクリプション型EC特化のクラウド型構築プラットフォームです。W2株式会社が提供し、化粧品・健康食品などの定期購入ビジネスを主なターゲットとしています。
頒布会対応や受注処理の自動化、顧客の属性・購買頻度・金額に応じたMA/CRM機能、ノーコードでのLP作成、解約防止ポップアップ、決済代行10社以上との連携などを備えます。標準機能で早期に立ち上げられるSaaS型と、API連携やオムニチャネル対応までカスタムできるPaaS型の2モデルから、事業規模に応じて選べます。
料金は初期費用・月額費用とも公式サイトでは非公開で、要問い合わせとなっています。導入事例では、健康食品・化粧品を展開する株式会社メディアワークス・ブルームが本システムへの移行後に売上170%増加・業務工数50%削減を実現したことが公式サイトで紹介されています。
17. リピストX(リピストクロス)(株式会社リピスト)

定期通販・D2C(単品リピート通販)の事業者向けに、ブランドページ構築、LP一体型フォーム、定期購入設計、受発注・出荷管理、顧客管理、広告効果分析までをワンストップで提供する構築システムです。株式会社リピストが運営し、公式サイトでは導入企業1,700社以上と記載されています。
カゴ落ち対策の「1クリック購入機能」やLP一体型フォーム、離脱防止ポップアップ、定期便で商品を選べる「よりどり購入」などを備え、新規獲得から継続率向上までを狙った機能構成になっています。マイページや顧客ランク、クーポン・ポイント、WMS(倉庫管理システム)連携、LINE公式アカウント連携にも対応します。
料金は事業規模別の3プラン制で、初期69,800円・月額42,800円(税抜)から始められます。上位はスタンダードが初期99,800円・月額83,800円、エキスパートが初期398,000円・月額158,000円(いずれも税抜)で、年商規模に応じて電話・専任担当のサポートや専用サーバーが付きます。
パッケージ型(大規模・独自要件をカスタム構築したい)
大規模ECや、基幹システムとの密な連携・独自要件の作り込みが必要な事業者に向くグループです。導入規模が大きくなる分、費用は要問い合わせのケースが中心になります。
18. ecbeing(株式会社ecbeing)

株式会社ecbeingが1999年から提供するECサイト構築プラットフォームで、中堅〜大手企業のBtoC・BtoB EC構築やリニューアルを主な対象とします。パッケージ型に加え、フルスクラッチのカスタム型、クラウド型(SaaS)まで複数の構築方式を用意し、企業規模や要件に応じて選べます。
富士キメラ総研の調査に基づき、ECサイト構築(カスタマイズ型SaaS/PaaS区分)市場で18年連続シェアNo.1、2025年度のシェアは金額ベースで41.9%と2026年8月に公式発表されています。構築実績は1,600サイトを超え、BEAMSやコーセー、ワークマンなど幅広い業種の導入事例を公開しています。
商品管理・受注管理・CRM・マーケティング・決済・分析といった基本機能に加え、AI接客などの機能拡充も進めています。初期費用・月額費用は公開されておらず、カスタマイズの範囲や連携システムの数によって変動するため、料金は要問い合わせです。大規模ECの基幹システム連携や独自要件の作り込みを想定する企業に向きます。
19. EC-ORANGE(株式会社エスキュービズム)

EC-ORANGEは、フロントエンド・バックエンド・ECシステムを分離してREST API化したアーキテクチャを採用するパッケージ型の構築システムです。提供元は株式会社エスキュービズムで、年商100億円超の規模を想定した拡張性を掲げ、中〜大規模EC・オムニチャネル事業者を主な対象とします。
BtoC・BtoB・BtoBtoC・BtoEといった複数の商流に対応し、ショッピングモール型のマルチテナント構成やマーケットプレイスの構築にも対応します。店舗とECのデータを一元化し、店舗受け取りなどのOMO施策も実現できます。
提供形態はソフトウェアライセンス契約と保守契約の組み合わせで、要件定義から設計・製造・データ移行までを含む個別見積りが基本です。料金は導入規模やカスタマイズ内容によって変わるため要問い合わせで、他システムとの密な連携やヘッドレスコマース化を志向する事業者に向きます。
20. SI Web Shopping(株式会社DGビジネステクノロジー)

SI Web Shoppingは、1996年に国内初のEC構築パッケージとして提供が始まった、中堅〜大規模のEC事業者・卸売企業向けのパッケージ型システムです。2024年にEC構築パッケージ事業が株式会社システムインテグレータから株式会社DGビジネステクノロジー(デジタルガレージグループ)へ承継され、現在の提供元となっています。
特徴は、プログラムのソースコードとデータベース構造を完全に公開する方式にあります。開発会社への継続依存(ベンダーロックイン)を避け、将来的に自社エンジニアによる保守・改修へ移行したい企業が選びやすい構成です。累計の構築実績は1,100サイトを超えます。
年商数十億円以上、アイテム数百万点規模のECにも対応し、掛け率・与信管理・承認フローといったBtoB向け機能や業種別の構築モデルも用意します。料金は業種別モデルやカスタマイズ規模で変動するため、要問い合わせです。
21. HIT-MALL(アイテック阪急阪神株式会社)

HIT-MALLは、EC構築とサイト運用の代行を一体で提供するサービスです。提供元は阪急阪神ホールディングス傘下のアイテック阪急阪神株式会社で、BtoC・BtoB・百貨店向け・ギフト向けの4種類のECサイト構築に対応します。
初期投資を抑えられるクラウド版(ASP型)と、カスタマイズ性の高いパッケージ版の2つのラインナップがあり、両者に互換性があります。クラウド版で立ち上げ、売上の成長に応じてパッケージ版へシステムを乗り換えずに移行できる構成が特徴です。
掛け率設定・与信限度額・見積書のオンライン発行などBtoB取引に必要な機能を標準搭載し、商品登録・コールセンター・アクセス分析まで運用をワンストップで支援します。運営会社はISMS認証(ISO/IEC 27001)とプライバシーマークを取得しています。料金は要お問い合わせです。
22. eltexDC(株式会社エルテックス)

eltexDC(エルテックスDC)は、EC・通販事業を統合的に管理できるパッケージ型のシステムです。ECサイトに加え、電話・ハガキ・FAX・カタログ・DMなど複数チャネルからの注文を一元的に取り込み、受注・在庫・債権管理からコンタクトセンター機能までを1つのパッケージでカバーします。
対象を年商20〜200億円規模の中堅・大手通販事業者に絞っており、定期(リピート)通販に必要な発送日変更やフォローDM送付、割引設定などの機能を標準搭載しています。小規模向けの低価格プランは提供していません。
料金は初期費用・月額費用ともに公式には公開されておらず、個別見積もりでの対応となります。月額定額や従量課金のプランは提供しておらず、導入はプロジェクトのキックオフから約10か月が目安として公式に示されています。
オープンソース型(ライセンス無料・自由度最大で作り込みたい)
ライセンス費用をかけず、自由度高くECサイトを構築・改変したい事業者に向くグループです。構築・保守を担える技術リソースや、依頼先の制作会社があることが前提になります。
23. EC-CUBE(株式会社イーシーキューブ)

EC-CUBEは、2006年に公開された国内発のオープンソース型EC構築パッケージで、運営は株式会社イーシーキューブです。ソースコードを無償でダウンロードして自社サーバーやレンタルサーバー上に構築するオープンソース版のほか、構築作業が不要な月額制クラウド版「ec-cube.co」、大規模向けの「EC-CUBE Enterprise」の3形態から選べます。
国内の稼働店舗数は35,000店舗以上と公式サイトが記載しています。
オープンソース版はライセンス費用がかからず、ソースコードを改変して独自機能を追加できる点が特徴です。決済・集客・顧客管理などの機能は1,100以上のプラグインで拡張でき、制作会社に構築を依頼するケースも多く見られます。その一方で、サーバーの用意・構築・保守の費用は別途かかります。
構築の手間を避けたい場合は月額制のクラウド版が選択肢になり、スタンダードプランは初期費用70,000円・月額49,800円〜84,800円(税別、販売額に応じて変動)です。オープンソース版のライセンス無償と、クラウド版の月額料金は別のコストとして切り分けて見積もることが必要です。
24. WooCommerce(Automattic Inc.)

既存のWordPressサイトにプラグインとして追加することで、商品ページ・カート・決済・配送・税金管理といったEC機能を実装できるオープンソースのeコマースプラグインです。提供はAutomattic Inc.(事業ブランドはWoo)で、WordPress.org上のアクティブインストール数は700万以上(2026年9月時点)とされています。
コアプラグインはGPLライセンスで無料で、プラットフォーム利用料はかかりません。サーバー・ドメインなどのホスティング費用や、有料の拡張機能・テーマは別途必要になる従量的なコスト構造で、商品登録数・注文数・API利用回数には上限を設けていません。
決済は自社の「WooPayments」(日本向けのクレジットカード決済は基本3.60%)のほか、Stripe・PayPalなど他社ゲートウェイも選べます。特定商取引法に基づく表記や代引きなど日本の商習慣への対応は本体の標準機能に含まれず、サードパーティ製プラグインの追加導入が一般的です。
25. Adobe Commerce(Magento)(Adobe Inc.)

Adobe Commerceは、AdobeがB2B/B2C向けに提供するエンタープライズEC構築プラットフォームです。2018年にAdobeが買収したMagentoを、2021年に「Adobe Commerce」へブランド統合したもので、同じコアエンジンをベースに、無償の「Magento Open Source」と有償エンタープライズ版「Adobe Commerce」の2エディションがあります。
Magento Open Sourceはソフトウェアライセンスが0円で、商品管理や決済・配送連携などのEC基本機能を備え、GitHub上で世界中の開発者がカスタマイズを行っています。一方、会社アカウント管理などのB2B機能やPage Builder、複数倉庫の在庫管理は、有償版のAdobe Commerceに含まれます。
有償版のライセンス費用は年間の流通取引総額に連動した個別契約制で、金額は公式に非公開のため要問い合わせです。導入・カスタマイズ・ホスティングの費用はライセンスとは別に見積もる必要があり、日本国内ではAdobeが直接販売せず、認定ソリューションパートナー(SIer)経由での構築・導入支援が中心です。
26. Welcart(株式会社Welcart)

株式会社Welcartが開発する、WordPress専用の国産オープンソースECプラグインです。既存のWordPressサイトにショッピングカート・決済・在庫管理・会員機能などを追加でき、コンテンツ発信とEC運用を1つのCMS上で一体運用できます。稼働サイト数は26,251件(公式サイト表示、2026年9月時点)です。
本体プラグインは無償配布で、商品のCSV一括登録・会員ランク・ポイント・軽減税率設定などを標準搭載します。決済は17社の国内決済代行会社と連携し、クレジットカードに加えてコンビニ決済・キャリア決済・後払いなど、国内向けの決済手段に幅広く対応します。
クーポン発行(16,500円)や定期購入(27,500円)といった追加機能は、買い切り型の有料拡張プラグイン(WCEX)で補う構成です。マネージドホスティングが必要なら、初期費用0円・月額10,000円〜(税別、PV従量課金制)の「Welcartクラウド」も選べます。本体プラグインは無料でも、拡張機能や構築・保守の費用は別に見込む必要があります。
ECカートシステムの選び方(比較のポイント)
構築方式で大まかな方向性が定まったら、次の観点で候補を数社まで絞り込めます。費用の実額とTCOは重要な軸ですが、独立したテーマとして次章で詳しく扱うため、ここでは費用以外の選定軸を整理します。
事業規模(年商)・成長フェーズに合っているか
カート選びで最初に照らし合わせたいのが、自社の年商規模と成長フェーズです。年商が数百万〜数千万円規模で立ち上げ期であればASP型で十分なことが多く、年商が数億円を超え、複雑な運用や大量アクセスが見込まれる段階になると、クラウドEC型やパッケージ型が候補になります。
過剰なスペックのカートを選ぶとコストが重くのしかかり、逆に小さすぎるカートを選ぶと成長時に乗り換えが必要になります。現在の規模だけでなく、2〜3年後に想定する事業規模まで見据えて選ぶと、乗り換えの手戻りを防げます。
商材・販売モデルに合った機能があるか
扱う商材や販売モデルによって、必要な機能は大きく変わります。自社の売り方に合った専用機能があるかどうかは、運用効率と売上を左右する重要な選定軸です。
- 単品リピート通販・D2C:定期購入、頒布会、LP一体型の購入導線、引き上げ・分析機能が充実したカートが向きます
- 実店舗との併売(OMO):店舗の在庫・会員・ポイントを連携できる機能があると、在庫と顧客体験を一元化できます
- 越境EC:多言語・多通貨対応、海外配送・海外決済に対応したカートが必要になります
汎用的なカートでも運用は可能ですが、商材特有の機能が標準搭載されていると、外部ツールの追加費用や運用の手間を抑えられます。
海外向けの越境ECを本格的に検討する場合は、カートの多言語・多通貨対応だけでなく、Amazonのような海外モールに出すか自社ECサイトを立てるかという出店先の選択も分かれ道になります。モール型・自社EC型それぞれの費用や対応国を比べたい方は、以下の記事が参考になります。
事業拡大に対応できる拡張性・外部連携があるか
事業が成長すると、受注・在庫・会計・物流などの周辺システムとの連携や、独自機能の追加が必要になります。APIやアプリ(拡張機能)が用意されているか、外部サービスとの連携実績があるかは、将来の拡張余地を左右します。
特に、基幹システムや倉庫管理システム(WMS)との連携が前提になる場合は、REST APIやWebhookへの対応、連携先の実績を確認しておくと、後からの追加開発や乗り換えを避けられます。将来的にカスタマイズが増える見込みがあるなら、クラウドEC型やパッケージ型のように拡張性の高いタイプが安心です。
サポート体制・セキュリティは十分か
ECサイトはトラブルが売上に直結するため、サポート体制と決済まわりのセキュリティは見落とせない選定軸です。電話・メール・チャットの対応範囲や時間帯、導入時の伴走支援の有無を確認します。
セキュリティ面では、クレジットカード決済を扱う以上、カード情報を適切に管理する法的義務があります。割賦販売法では、EC加盟店に対しカード情報の漏えい等を防ぐ措置が求められており、その実務上の標準として、カード情報の「非保持化」またはPCI DSS(クレジットカード業界のセキュリティ基準)への準拠が示されています。
2025年3月に公表された最新のガイドラインでは、これに加えてサイトの脆弱性対策・不正ログイン対策も対策事項に位置づけられました。
出典・参考資料(2件)
多くのASP型・クラウドEC型では、決済まわりのセキュリティ対応をサービス側が担うため、自社の負担を抑えられます。オープンソース型やパッケージ型で自社構築する場合は、これらの対応を自社側で確保する必要があります。
カード情報の非保持化やPCI DSS準拠が、自社にとって具体的に何を求めるのか(対象事業者・要件・進め方)を確かめたい場合は、以下の記事で整理しています。
あわせて、通信販売では「特定商取引法に基づく表記」の掲載が義務づけられており、定期購入を扱う場合は、最終確認画面に分量・金額・引渡し時期などを明示する表示義務があります(2022年6月施行)。これらの表示に標準対応しているかも、法令順守の観点での選定ポイントになります。
出典・参考資料(2件)
ECカートシステムの費用・料金体系
ここからは、選び方の中でも特に読み解きにくい費用面を詳しく整理します。ECカートの費用は、初期費用・月額費用・決済手数料の3つを合わせた総額(TCO)で捉えることが大切です。
初期費用・月額費用・決済手数料の見方
ECカートの料金は、主に次の3つで構成されます。月額費用の安さだけで比較すると、決済手数料の差で総額が逆転することがあるため、3つをセットで見比べることが重要です。
- 初期費用:契約時に一度だけ発生する費用。ASP型は無料〜数万円、パッケージ型やクラウドEC型は数十万〜数百万円になることもあります
- 月額費用:毎月かかる利用料。無料プランから、大規模向けの数十万円まで幅があります
- 決済手数料:商品が売れるたびに売上に対してかかる手数料。おおむね3〜4%台が中心で、売上が大きいほど総額への影響が大きくなります
このほか、無料プランではショップ運営者側がサービス利用料を負担する形になっているケースや、オプション機能・サポートが別料金のケースもあります。契約前に、自社の想定売上でシミュレーションし、実際にかかる総額を試算しておくと安心です。
比較表で中〜大規模向けのクラウドEC型・パッケージ型の決済手数料が「要問い合わせ」となっているのは、料率が利用する決済代行会社や契約条件・取扱高で個別に決まり、公式に一律の数字を公開していないためです。これらは見積り時に、想定する取扱高を伝えて料率を確認しましょう。
事業規模(年商)別の費用感とTCO
同じカートでも、売上規模によって最適な料金プランは変わります。決済手数料は売上に比例して増えるため、売上が大きくなるほど「月額が高くても決済手数料の低いプラン」が総額で有利になることがあります。

立ち上げ期で売上が小さいうちは、初期費用・月額費用を抑えられる無料〜低価格のASP型が総額で有利です。売上が伸びて月商が数百万円規模になると、決済手数料の差が無視できなくなり、月額固定費を払っても手数料率の低いプランやクラウドEC型のほうがトータルで割安になる場合があります。
自社の現在と数年後の売上を想定し、初期費用・月額費用・決済手数料を合算して比較することが、後悔しないカート選びにつながります。
ECカートシステムの乗り換え・移行時の注意点
既存のカートから別のカートへ乗り換える場合は、新規構築とは別の注意点があります。移行の準備を怠ると、データの欠落や売上の一時的な落ち込みにつながるため、事前に確認しておくべき点を整理します。

商品・顧客・定期継続回数データの移行
乗り換えでは、商品データ・会員(顧客)データ・注文履歴を新しいカートへ移す必要があります。CSVでの一括インポートに対応しているか、移行支援サービスがあるかを確認しておくと、移行作業の負担を抑えられます。
特に単品リピート通販では、定期購入の「継続回数」データが引き継げるかが重要です。継続回数に応じて割引や特典を設計している場合、この情報が失われると顧客対応や売上に影響します。定期購入を運用しているなら、継続回数を含めた移行可否を必ず確認しましょう。
クレジットカード情報の引き継ぎ
見落としやすいのが、登録済みクレジットカード情報の引き継ぎです。カード情報はセキュリティ基準(PCI DSS)にもとづき決済代行会社が保持しているため、決済代行会社が変わるとカード情報を引き継げず、既存顧客に再登録を依頼する必要が生じる場合があります。
特に定期購入では、カード情報の再登録が必要になると継続率の低下に直結します。乗り換え先が現在と同じ決済代行会社を利用できるか、カード情報の移行(トークンの移管)に対応しているかを、事前に決済代行会社を含めて確認しておくことが大切です。
カード情報の引き継ぎや解約の予告、決済を止めない移行の順序など、決済代行そのものを乗り換える際の実務は、以下の記事で詳しく解説しています。
移行に伴うSEO評価の維持
ドメインやURL構造が変わると、これまで積み上げてきた検索エンジンからの評価(SEO評価)が引き継がれず、検索流入が一時的に落ち込むことがあります。旧URLから新URLへの301リダイレクト(恒久的な転送)を適切に設定し、評価を引き継ぐ設計が欠かせません。
独自ドメインをそのまま使えるか、URL構造をどこまで維持できるか、リダイレクト設定を柔軟に行えるかは、カートによって差があります。検索流入が売上の柱になっている場合は、移行前にリダイレクト設計を含めた計画を立てておくと、乗り換え後の落ち込みを最小限にできます。
まとめ
ECカートシステムは、まず「ASP型・クラウドEC型・パッケージ型・オープンソース型」という構築方式で大きな方向性を定め、そのうえで自社の事業規模・商材・拡張性・費用の観点から候補を絞り込むと選びやすくなります。
低コストでスモールスタートするならASP型、成長を見据えて拡張性を確保するならクラウドEC型、単品リピート通販ならD2C特化型、大規模な独自要件ならパッケージ型やオープンソース型が有力です。費用は初期費用・月額費用・決済手数料を合算した総額で比較し、乗り換えの際はデータ・カード情報・SEO評価の引き継ぎに注意することが、後悔しないカート選びにつながります。
自社の状況に近いサービスの資料を取り寄せ、実際の機能と費用を確かめてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ECカートシステムとは何ですか?
A. ECカートシステムとは、自社のネットショップで商品をカートに入れてから決済を完了するまでの購入プロセスを担う仕組みです。商品登録・在庫管理・受注管理・決済・顧客管理といったEC運営の基本機能を一元的に提供し、これ一つで自社ECサイトを構築・運用できます。提供形態によってASP型・クラウドEC(SaaS)型・パッケージ型・オープンソース型の4タイプに分かれ、費用や自由度が大きく異なります。
Q. ECカートシステムとECモールは何が違いますか?
A. ECカートシステムとECモールは、「自社独自のネットショップを構築する仕組み」か「集客力のあるモールに出店する仕組み」かという点が根本的に違います。ECカートシステムで作る自社ECは、独自ドメインでブランドの世界観を自由につくり込み、購入者の顧客データを自社の資産として蓄積・活用できます。
一方、楽天市場やAmazonなどのECモールはモール自体の集客に乗れる反面、出店料や販売手数料がかかり、デザインや顧客データの活用に制約があります。集客は自力で行う必要がある自社ECですが、リピーター育成や利益率の面で有利になりやすく、両者を併用する事業者も少なくありません。
Q. 無料のECカートシステムと有料のECカートシステムでは何が違いますか?
A. 無料のECカートシステムと有料のECカートシステムは、決済手数料の高さ・使える機能の幅・サポート体制の3点が主な違いです。無料プランは初期費用・月額費用をかけずに手軽に始められる反面、決済手数料が割高に設定されていることが多く、売上が増えるほどランニングコストがかさみます。
有料プランや上位プランは月額固定費がかかる代わりに決済手数料率が下がり、販促・分析機能やサポートが充実する傾向があります。売上が小さいうちは無料〜低価格、売上が伸びたら手数料率の低いプランへ、と段階的に見直すのが現実的です。
Q. ECサイトを初めて立ち上げる場合、ECカートシステムはどれを選べばよいですか?
A. ECサイトを初めて立ち上げるなら、初期費用・月額費用を抑えられるASP型から始めるのが現実的です。ASP型はサーバーの用意やシステム開発が不要で、申し込んでから短期間で低リスクにネットショップを開設できます。まずは小さく始めて運営に慣れ、売上が伸びて機能不足を感じた段階で、拡張性の高いクラウドEC型などへの乗り換えを検討するとよいでしょう。
将来の成長が見込めるなら、あとで乗り換えの手戻りが起きにくいよう、2〜3年後の事業規模まで見据えて選ぶのがおすすめです。
Q. 自社の年商規模に合うECカートシステムはどう選べばよいですか?
A. ECカートシステムは、年商規模で最適なタイプが分かれます。年商が数百万〜数千万円の立ち上げ期はASP型で十分なことが多く、年商が数億円を超え複雑な運用や大量アクセスが見込まれる段階になると、クラウドEC(SaaS)型やパッケージ型が候補になります。
過剰なスペックのカートはコストが重く、逆に小さすぎるカートは成長時に乗り換えが必要になるため、現在の規模だけでなく2〜3年後に想定する事業規模まで見据えて選ぶと、乗り換えの手戻りを防げます。
Q. ECカートシステムの決済手数料はどう見ればよいですか?
A. ECカートシステムの決済手数料は、月額費用とセットで、自社の想定売上に当てはめた総額(TCO)で見比べることが大切です。決済手数料はおおむね3〜4%台が中心で、商品が売れるたびに売上に対してかかるため、売上が大きいほど総額への影響が大きくなります。多くのサービスは上位プランほど手数料率が下がる設計になっており、月額費用の安さだけで比較すると決済手数料の差で総額が逆転することがあります。
無料プランではサービス利用料が別途かかるケースもあるため、契約前に想定売上でシミュレーションしておくと安心です。
Q. パッケージ型・オープンソース型のECカートシステムはどんな事業者に向いていますか?
A. パッケージ型のECカートシステムは大規模で独自の業務フローや基幹システムとの複雑な連携が必要な事業者、オープンソース型はライセンス費用をかけずに自由な作り込みをしたい、技術リソースのある事業者に向いています。パッケージ型はソースコードに手を入れて要件を細かく作り込める反面、初期費用が数百万円以上になることが多く、料金は要問い合わせが中心です。
オープンソース型はライセンス費用がかからず自由度が高い一方、サーバーの用意・構築・保守・セキュリティ対策を自社で担う必要があり、制作会社に構築を依頼するケースも多く見られます。
Q. ECカートシステムを乗り換える際に最も注意すべき点は何ですか?
A. ECカートシステムの乗り換えで最も注意すべきなのは、登録済みのクレジットカード情報を新しいカートへ引き継げるかです。カード情報はセキュリティ基準にもとづき決済代行会社が保持しているため、決済代行会社が変わると引き継げず、既存顧客に再登録を依頼する必要が生じる場合があります。特に定期購入では再登録が継続率の低下に直結します。
あわせて、商品・顧客・注文履歴のデータ移行(定期通販では継続回数データ)の可否と、旧URLから新URLへの301リダイレクトによるSEO評価の維持も、乗り換え前に必ず確認しておきましょう。
Q. 複数のECカートシステムで迷ったとき、最終的な決め手は何にすればよいですか?
A. 複数のECカートシステムで迷ったときは、自社の商材・販売モデルに特化した機能と導入実績があるかを最終的な決め手にするのがおすすめです。単品リピート通販なら定期購入・引き上げ機能、実店舗併売ならOMO連携、越境ECなら多言語・多通貨対応など、自社の売り方に合う専用機能が標準搭載されていると、外部ツールの追加費用や運用の手間を抑えられます。
最後は候補数社の資料を取り寄せ、実際の機能と費用を自社の要件に照らして確かめると、後悔のない選択につながります。
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マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト
松嶋真倫
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。















