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セルフレジの万引き対策|手口別に効く運用・設備の対策を解説

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セルフレジやセミセルフレジを導入してから、なんとなく商品ロスが増えた気がする。そう感じている店舗運営者は少なくありません。有人レジと違って会計をお客様自身が行うぶん、店員の目が届きにくく、未スキャンやごまかしが起きているのではないかという不安がつきまといます。

実際、セルフレジでは有人レジでは起きにくかった新しい手口の不正・万引きが発生しています。商品をスキャンせずに袋へ入れる、安い商品のバーコードを高い商品に読ませる、まとめてスキャンして数をごまかす、といった手口です。手口の全体像が見えないと、どこを見張ればよいのか、どの対策が効くのかも判断できません。

この記事では、セルフレジで起きる万引き・不正の主な手口を整理したうえで、手口ごとにどの対策が効くのかを対応づけて解説します。あわせて、費用をかけずに今すぐ始められる運用対策と、AI防犯カメラや重量チェックなど設備投資が要る対策を分けて示し、セルフレジ機器そのものに備わる不正防止機能や、機種を選ぶ際の比較のポイントまで整理します。

被害規模のデータもあわせて確認できるので、社内で対策を検討する際の判断材料としてご活用ください。

セルフレジで起きる万引き・不正の主な手口

まず、セルフレジで実際にどのような手口の不正・万引きが起きているのかを押さえます。手口が分かれば、店舗のどこを見張ればよいか、後述の対策のどれが自店に効くかを判断しやすくなります。

セルフレジで起こりやすい主な手口

セルフレジで報告されている主な手口は、次のように整理できます。いずれも、お客様が自分で会計操作を行うために生まれた、有人レジでは起きにくかったものです。

手口やり方(店側が見張るべき挙動)有人レジとの違い
未スキャン(レジ抜け)商品をスキャンせずにそのまま袋やカゴに入れて持ち出す会計操作を店員が行わないため、通し忘れか意図的かの区別がつきにくい
バーコードのすり替え・貼り替え安い商品のバーコードを高い商品に読ませる、または安価な商品のラベルを貼り替える店員がバーコードと現物を突き合わせないため気づかれにくい
まとめスキャン・一部だけ登録複数の同じ商品を重ねて1点だけスキャンする、6缶パックのうち1缶だけ通す数量の確認が自己申告に委ねられる
軽量品・青果の虚偽申告バーコードのない野菜や量り売り品を、実際より安い品目として登録する品目の確認が店員から利用者へ移る
不正な返品購入記録のない商品を返品と称して現金を受け取る会計・返品の記録照合が甘いと成立しやすい

これらが実在することは、現場の調査でも裏づけられています。全国万引犯罪防止機構の実態調査には、店舗からの自由記述として「セルフレジ登録で6缶パックを一缶だけ通す。高い商品のうえに安い商品を重ねてセルフレジのバーコードを読ませる」「セルフレジでの未精算、未カウント、未スキャンされる件数が増加している」といった声が寄せられています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:第14回 全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査分析報告書(2024年4月)|全国万引犯罪防止機構(PDF)

セルフレジで万引き・不正が起きやすい理由

セルフレジで不正が起きやすいのは、会計というチェックの工程がお客様自身に委ねられるからです。有人レジでは店員がバーコードと商品を突き合わせ、数量や品目を確認していました。セルフレジではその確認が省かれ、店員の視線という心理的な抑止力も働きにくくなります。

取材でも、この「レジ前の段階で不正を検知できない」という構造上の弱点が指摘されています。セルフレジの防犯に詳しい香川大学教育学部の大久保智生教授は、次のように述べています。

レジの前の段階で不正をしていると検知ができないという一番の問題がある

出典:セルフレジで“ごまかす”万引き急増 Gメン手口明かすも「全然バレる」|関西テレビ(香川大学教育学部 大久保智生教授)

故意の万引きと過失(操作ミス・払い忘れ)の違い

セルフレジのロスには、故意の万引きだけでなく、悪意のない操作ミスも混ざります。操作に不慣れなお客様や急いでいる時間帯には、バーコードの読み取り忘れやまとめスキャンによる登録漏れが起こりやすくなります。

両者は見た目が似ていても、必要な対策が異なります。故意の万引きには抑止と検知が効きますが、過失には分かりやすい操作画面や声かけによるサポートが効きます。「怪しい客を疑う」だけの構えでは過失を減らせず、善良なお客様の体験を損なうおそれもあります。故意と過失を切り分けて対策を組むことが、ロス削減と接客品質の両立につながります。

手口別に見る対策の対応表

ここからは、前章の手口に対して、それぞれどの対策が有効かを対応づけて整理します。対策は一つで完結するものではなく、複数を組み合わせて死角を埋めるのが基本です。各対策の詳しい内容は、次章以降で「費用をかけずにできる運用対策」「外付けの設備による対策」「セルフレジ機器そのものに備わる機能」に分けて解説します。

手口有効な対策(何をどう防ぐか)
未スキャン(レジ抜け)重量チェック機能で登録漏れを検知/AIがカメラ映像とスキャン内容を照合/店員の巡回・声かけで抑止
バーコードのすり替え・貼り替えAI防犯カメラで商品と登録内容の不一致を検知/高額商品への防犯タグ/レジ従業員の目視・レシート確認
まとめスキャン・一部だけ登録重量チェックで数量差を検知/商品点数が多いお客様を有人レジへ誘導/巡回での見守り
軽量品・青果の虚偽申告店員の声かけ・見守り/画像認識による品目照合(過失には品目登録画面の見やすさ改善)
不正な返品返品時の購入記録照合/会計映像とレシート番号を紐づけた確認

この表からわかるとおり、多くの手口には「人の目による見守り」と「機器・カメラによる検知」の両輪が効きます。まずは費用のかからない運用対策から着手し、被害の大きさに応じて設備投資を検討するのが現実的な進め方です。

今すぐ無料でできる運用対策

設備を新たに買わなくても、明日から始められる対策があります。むしろ現場では、こうした人による対策が最も効くと評価されています。セルフレジの防犯に詳しい大久保智生教授は、取材で次のように語っています。

新しいシステムに過大な期待をしすぎてる。やっぱり一番は人の目なんですよ

出典:セルフレジで“ごまかす”万引き急増 Gメン手口明かすも「全然バレる」|関西テレビ(香川大学教育学部 大久保智生教授)

実際のスーパーマーケットでも、人による対策は広く採られています。スーパーマーケット3団体の調査では、セルフレジ万引きの防犯対策として「セルフレジ近くにレジ従業員を配置し、目視・レシート確認」が51.9%、「お客様への声掛け」が43.8%の企業で実施されています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:2025年 スーパーマーケット年次統計調査 報告書(詳細版)(2025年10月)|全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会(PDF)

お客様への声かけ・接客で抑止する

セルフレジのエリアに店員が出向き、すべてのお客様に「いらっしゃいませ」「お困りではないですか」と声をかけるだけでも、見られているという意識が働き、不正の抑止につながります。犯人を捜すためではなく、困りごとに対応するためのサポートとして行うのがポイントです。この姿勢なら善良なお客様の体験を損なわず、操作ミスによる登録漏れも同時に減らせます。

巡回と有人レジへの誘導で死角を減らす

セルフレジ周辺に店員を配置し、定期的に巡回するだけでも抑止効果があります。特に商品点数の多いお客様は、まとめスキャンや登録漏れが起きやすいため、有人レジへ自然に誘導するとロスを防げます。人手が限られる場合でも、混雑する時間帯だけ配置を厚くする、レジから死角になりやすい位置を重点的に見回る、といった運用で効果を高められます。

レイアウト・視認性を見直す

セルフレジの配置を見直すことも、費用をかけずにできる対策です。入口と出口を分けた一方向の動線にすると、精算せずに出ようとする動きが目立ちやすくなります。セルフレジエリアを店員のいるサービスカウンターや出入口から見通せる位置に置けば、自然と人の目が届き、抑止力が高まります。棚やポスターで視界をふさがない配置にすることも、見守りやすさにつながります。

設備投資が要る対策(効果・限界・費用感)

運用対策で抑えきれない部分は、設備による検知で補います。ここでは代表的な設備対策の効果と限界、費用感の目安を整理します。導入前に、それぞれが自店のどの手口に効くのかを確かめておくと、投資判断がしやすくなります。

AI防犯カメラ・防犯カメラ

防犯カメラは、抑止と証拠記録の両面で基本となる設備です。セルフレジ付近に設置すると、見られているという意識が働いて不正を抑え、万一の際は映像を証拠として残せます。前掲のスーパーマーケット3団体の調査でも、防犯対策として「セルフレジ付近にカメラを設置」が84.8%と最も多く採られています。

近年は、映像を記録するだけでなく、AIがスキャンの様子や商品数を解析し、登録漏れや不審な挙動を検知して知らせるタイプも登場しています。ただしAIカメラや後述の重量センサーはまだ普及の途上で、同調査での実施率はAIカメラなど不正監視が9.4%、重量把握センサーが10.5%にとどまります。

クラウド型の防犯カメラは初期費用と月額数千円程度から導入できる製品もありますが、費用は台数や録画期間、AI機能の有無で大きく変わるため、複数社の見積もりで比較するのが確実です。

防犯ゲート・防犯タグ

高額商品や万引きされやすい商品には、防犯タグと出口の防犯ゲートを組み合わせる方法が有効です。未精算のまま持ち出そうとすると警報が鳴るため、未スキャンでの持ち出しを物理的に抑止できます。インクタグのように、無理に外そうとするとインクが飛散して商品を使えなくするタイプもあります。

一方で、すべての商品にタグを付けるには手間とコストがかかり、精算後にタグを外す運用も必要です。スーパーマーケット3団体の調査では出口ゲートの実施率は9.6%で、対象商品を絞って導入する店舗が中心とみられます。高単価商品に絞るなど、費用対効果を見極めて導入するとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:2025年 スーパーマーケット年次統計調査 報告書(詳細版)(2025年10月)|全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会(PDF)

セルフレジ機器側でできる不正対策

外付けのカメラやゲートに加えて、セルフレジ機器そのものに不正を防ぐ機能を備えた機種もあります。こうした機能を持つ機種へ選び直す・買い替えることも、設備による対策の一つです。以下は、機種を選ぶ際にメーカーを問わず確認しておきたい代表的な機能です。

  • 重量チェック機能:スキャンした商品と計量した重さを照合し、登録漏れを検知して知らせます。スキャン忘れだけでなく、故意にスキャンせずカゴへ入れる行為の抑止にもつながります。
  • カメラ映像とスキャン内容のAI照合:カメラ映像とスキャン内容をAIがリアルタイムに照合し、不完全な登録をお客様やスタッフに通知します。すり替えやまとめスキャンなど、重量だけでは判別しにくい不正の検知に役立ちます。
  • 防犯タグの自動解除:商品のスキャンと同時に防犯タグを解除する仕組みです。解除の手間や教育コストを抑えつつ、防犯タグによる抑止を両立できます。
  • 会計映像の検索:レシート番号や商品コードから会計時の映像を素早く検索できる仕組みです。トラブルや不正の事後確認を効率化します。

これらの機能をすべて備えた機種もあれば、一部だけ搭載する機種もあります。特に重量チェックやAI映像照合まで備えた不正検知に特化したセルフレジは、東芝テックなどのメーカーが提供する専用機が中心で、まだ普及の途上です。自店で起きやすい手口に照らして、必要な機能を備えた機種を選ぶことが、機器側での不正対策の要になります。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:防犯対策に取り組みたい:量販店・ホームセンター向けのご提案 03|東芝テック(公式サイト)

セルフレジ・POSの活用で不正対策を強める

ここからは、店舗のセルフ会計を担う主なセルフレジ・POSを紹介します。これらは、店員がスキャンを担い会計だけをお客様に任せるセミセルフ運用や、分かりやすいセルフレジ機能によって、現金授受や未スキャンにまつわるリスクを下げる方向で不正対策を支えます。

一方で、重量チェックやAI映像照合といった機器内蔵の不正検知機能は、対応の可否が機種によって異なります。前章のような検知機能が必要な場合は、各社に対応状況を確認してください。まずは各サービスの特徴を、レジ形態や自動釣銭機連携とあわせて比較してみましょう。

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サービス名スマレジPOS+retailBCPOSUSENレジSPIRE POS
レジ形態対面・セミセルフ・セルフ対面・セミセルフ・セルフ対面・セミセルフ・セルフ対面・セルフ対面・セルフ
自動釣銭機連携●グローリー300シリーズ●セミセルフ運用に対応●グローリー・富士電機要問い合わせ要問い合わせ
セルフレジ機能●端末オプション(月額1,320円)●フルセルフまで対応●●セルフレジ・券売機を用意●標準機能(音声ガイダンス付き)
会計ミス防止・不正対策の機能セミセルフ運用(店員がスキャン)で未スキャンを抑止/現金授受も削減セミセルフ〜フルセルフの切替で不正リスクに対応セミセルフ運用で未スキャン・現金授受のリスクを低減/通信障害時も会計継続会計ミス防止機能を搭載音声ガイダンス付きセルフレジで登録漏れ(過失)を軽減
主な対象業種小売・飲食など幅広い業種小売店(アパレル・専門店・調剤薬局ほか)小売店中心(飲食・サービス業ほか)飲食・美容・小売・治療院小売・専門店・リユース店
初期費用0円〜(加盟料なし。導入サポート費用は要問い合わせ)要問い合わせ224,000円(税抜)〜(ハードウェアセット)要問い合わせ(公式は「0円から」と表示)要問い合わせ
月額費用0円〜(税込。自動釣銭機連携はプレミアムプラス月額8,800円〜)要問い合わせ5,000円〜(無料プランLite Freeあり)要問い合わせ5,500円〜13,200円(税込・業態別プラン、1店舗2台まで)
詳細情報サービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見るサービス詳細を見る

スマレジ(株式会社スマレジ)

スマレジのウェブサイト

小売から飲食まで幅広い業種で使われているクラウドPOSが、株式会社スマレジのスマレジです。自動釣銭機と組み合わせてセミセルフレジとして運用すれば、会計時の現金の受け渡しがなくなり、釣銭ミスや現金授受をめぐるトラブルを抑えられます。

自動釣銭機はグローリー製のRT-300・RT-380・RT-N300(グローリー300シリーズ)に対応し、専用オプションのセルフレジ端末(月額1,320円)も用意されています。自動釣銭機との連携にはプレミアムプラス(月額8,800円・税込)以上の契約が必要です(2026年8月時点、税込)。

対面スキャンを店員が担い、お客様は支払いのみをセルフで行う運用は、未スキャンのリスクを抑えたい店舗に向いています。

POS+retail(ポスタス株式会社)

POS+retail(ポスタス リテール)のウェブサイト

POS+retail(ポスタス リテール)は、ポスタス株式会社が小売店向けに提供するクラウドPOSです。公式サイトでは「自動釣銭機を使ったセミセルフ運用から、タッチパネルによるフルセルフまで対応」と明示されており、対面・セミセルフ・フルセルフのいずれの形態も選べます。

会計の一部をお客様に委ねるフルセルフから、店員がスキャンして精算だけをセルフにするセミセルフまで、店舗の運用や不正リスクに合わせて形態を切り替えられる点が特徴です。まず現金授受をなくすセミセルフから始め、慣れてきたらフルセルフを検討する、といった段階的な導入もしやすいでしょう。

BCPOS(株式会社ビジコム)

BCPOSのウェブサイト

株式会社ビジコムのBCPOSは、小売店を中心に導入されているWindowsベースのPOSです。レジ形態を対面・セミセルフ・セルフレジから選べ、グローリー・富士電機の自動釣銭機に対応しているため、店舗の規模や運用に合わせてセルフ化の度合いを調整できます。

ローカルPC型の構成のため、通信障害が起きても会計業務を継続できる点も、店頭のオペレーションを止めたくない店舗には安心材料です。自動釣銭機と組み合わせたセミセルフ運用で、現金の受け渡しに起因するミスや不正を抑える構成を組めます。

USENレジ(株式会社USEN)

USENレジのウェブサイト

業種別のエディションをそろえているのが、株式会社USENのUSENレジです。小売店向けの「USENレジ TAB STORE」を持ち、セルフレジや券売機(USEN Ticket & Pay)といったセルフ会計の選択肢を用意しています。

会計・売上管理に加えて会計ミス防止の機能を備えており、セルフ会計での取りこぼしを減らしたい店舗の候補になります。USENグループの店舗向けインフラ(通信・決済・音楽配信など)とあわせて導入できる点も、複数のサービスをまとめたい店舗には利点です。

SPIRE POS(フィーリックス株式会社)

SPIRE POS(スパイア)のウェブサイト

フィーリックス株式会社のSPIRE POS(スパイア)は、小売店やリユース店向けのクラウドPOSです。シンプルな画面操作と音声ガイダンスを備えたセルフレジを標準機能として提供しており、お客様が迷わず会計できる点が特徴です。

操作が分かりやすいセルフレジは、不慣れなお客様の登録漏れという過失を減らすことにもつながります。在庫管理や買取・委託販売といった小売・リユース特有の機能も備えており、これらの業態でセルフ会計を取り入れたい店舗の選択肢になります。

ここで挙げたのは、セルフ会計に対応するサービスの一例です。セルフレジ・セミセルフ対応の有無だけでなく、料金相場や業種別の選び方まで踏まえてPOSレジ全体を比較検討したい場合は、以下の記事で主要17製品を詳しく解説しています。

セルフレジ万引きの被害規模を示すデータ

対策への投資を社内で検討する際は、被害の規模を示すデータが判断材料になります。ここでは、公的・業界団体の調査から確認できる数値を整理します。

まず、店舗のロス全体に占める万引きの割合です。全国万引犯罪防止機構の実態調査によると、原因が特定できない在庫ロス(不明ロス)の推定割合は、万引窃盗が41.4%と最も高く、次いで管理誤り38.0%、従業員窃盗2.7%などとなっています。不明ロス金額の年間総売上に対する構成比は、回答企業の平均で0.71%でした。売上の1%近くがロスとして消え、その4割強が万引きによるものという構図です。

セルフレジの導入が万引き被害に与えた影響についても、同じ調査で尋ねられています。セルフレジを導入した企業のうち、万引被害が「増えた」と答えたのは25.0%で、「減った」は0.0%でした(最も多い回答は「わからない」の41.4%)。減ったと答えた企業がなかった点は、セルフレジ化にあたって防犯対策を併せて検討する必要があることを示しています。

セルフレジ自体の普及も進んでいます。スーパーマーケット3団体の年次統計調査によると、セルフレジを設置している企業の割合は41.7%(前年37.9%)、セルフ精算レジ(セミセルフレジ)を設置している企業の割合は77.1%に達し、いずれも年々増加傾向にあります。セミセルフを含めれば、スーパーの多くがすでに何らかのセルフ会計を導入しており、それに伴う不正対策は業界共通の課題になっています。

出典・参考資料(2件)
  • 出典:第14回 全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査分析報告書(2024年4月)|全国万引犯罪防止機構(PDF)
  • 出典:2025年 スーパーマーケット年次統計調査 報告書(詳細版)(2025年10月)|全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会(PDF)

まとめ

セルフレジの万引き・不正には、未スキャンやバーコードのすり替え、まとめスキャンなど、有人レジでは起きにくかった手口があります。それぞれの手口には効く対策が異なり、多くは「人の目による見守り」と「機器・カメラによる検知」の組み合わせで防げます。

まずは声かけ・巡回・レイアウト見直しといった費用のかからない運用対策から始め、被害の大きさに応じてAI防犯カメラや防犯タグ、セルフレジ機器の選び直しへと段階的に投資を広げるのが現実的です。

機種を検討する際は、セミセルフ運用やセルフレジ機能で現金授受・未スキャンのリスクを下げられるか、さらに重量チェックやAI映像照合といった不正検知機能に対応できるかを、各社の資料で見比べて選びましょう。まずは各社の資料を取り寄せ、機能と費用を見比べるところから始めてみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. セルフレジの万引き対策とは何ですか?

A. セルフレジの万引き対策とは、未スキャンやバーコードのすり替えといった手口ごとに、店員の見守り(人の目)と機器・カメラによる検知を組み合わせて不正を防ぐ取り組みです。一つの対策で完結するものではなく、手口ごとに効く手段が異なるため、費用のかからない運用対策と、カメラや機器による検知を組み合わせて死角を埋めるのが基本になります。

Q. セルフレジを導入すると本当に万引きは増えるのですか?

A. セルフレジを導入した企業のうち、万引被害が「増えた」と答えたのは25.0%で、「減った」と答えた企業は0.0%でした。これは全国万引犯罪防止機構の実態調査(2024年)による数値で、最も多い回答は「わからない」の41.4%です。増減を明確に把握できていない店舗が多いものの、減ったとする企業がなかった点は、セルフレジ化にあたって防犯対策を併せて検討する必要があることを示しています。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:第14回 全国小売業不明ロス・店舗セキュリティ実態調査分析報告書(2024年4月)|全国万引犯罪防止機構(PDF)

Q. セルフレジで万引きを見つけたら、その場で捕まえてよいですか?

A. セルフレジで不正が疑われても、その場で客を問い詰めたり取り押さえたりせず、まず声かけや会計映像の確認で慎重に対応するのが安全です。万引き(窃盗)は刑法第235条で「十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」に処すると定められた犯罪です。ただし、セルフレジの登録漏れには故意の万引きと悪意のない操作ミス(過失)が混在し、外見だけでは区別がつきにくいのが実情です。

誤認して善良なお客様を犯人として扱えば、トラブルや信用の毀損につながりかねません。現行犯としての対応や警察への通報が必要かどうかを含め、社内で判断の手順を定めておき、確実な証拠(映像など)に基づいて対応することが重要です。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:刑法(明治四十年法律第四十五号)第235条|e-Gov法令検索(条文)

Q. セルフレジの払い忘れ・操作ミスを減らすにはどうすればよいですか?

A. 払い忘れなどの過失には、分かりやすい操作画面や音声ガイダンスと、店員の声かけ・サポートが効きます。故意の万引きには抑止と検知が効きますが、悪意のない登録漏れは対策の方向性が異なります。

操作に不慣れなお客様や急ぐ時間帯にスキャン漏れが起きやすいため、品目登録画面の見やすさを改善し、セルフレジエリアに店員が出向いて「お困りではないですか」と声をかけることで、善良なお客様の体験を損なわずに取りこぼしを減らせます。

Q. セミセルフレジにすればセルフレジの万引きは防げますか?

A. セミセルフレジは店員がスキャンを担い、お客様は支払いだけをセルフで行う方式のため、未スキャンなどスキャン段階での不正リスクをフルセルフより抑えられます。会計時の現金の受け渡しもなくなり、釣銭ミスや現金授受をめぐるトラブルも減らせます。

ただし数量のごまかしや返品の悪用など、スキャン以外の手口が完全になくなるわけではありません。まず現金授受をなくすセミセルフから始め、慣れてきたらフルセルフを検討するなど、自店の運用と不正リスクに合わせて形態を選ぶとよいでしょう。

Q. セルフレジの万引き対策は、まず何から始めればよいですか?

A. まずは費用のかからない運用対策、つまりお客様への声かけ・店員の巡回・セルフレジのレイアウトや視認性の見直しから始めるのが現実的です。現場では「一番効くのは人の目」とされ、スーパーマーケット3団体の調査でも「レジ従業員を配置して目視・レシート確認」が51.9%、「お客様への声掛け」が43.8%の企業で実施されています。

無料の運用対策で抑えきれない部分は、被害の大きさに応じてAI防犯カメラや重量チェック付きセルフレジ、防犯タグへと段階的に投資を広げるとよいでしょう。

出典・参考資料(1件)
  • 出典:2025年 スーパーマーケット年次統計調査 報告書(詳細版)(2025年10月)|全国スーパーマーケット協会・日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会(PDF)

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監修者

マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部 暗号資産アナリスト

松嶋真倫

都市銀行にて金融実務を経験後、暗号資産関連スタートアップの創業期に参画し、市場分析・業界調査に従事。2018年にマネックスグループ入社。以降、ビットコインをはじめとするデジタルアセットからマクロ経済環境まで、金融市場を横断した調査・分析および情報発信を担う。FinTech・次世代金融領域のリサーチ統括、各種レポートや書籍の執筆、日本経済新聞など国内主要メディアへのコメント・寄稿、イベント登壇などを行う。2021年3月より現職。
記事内でご紹介している製品・サービスは監修者が選定したものではなく、編集部が独自に選定したものです。
監修の範囲は記事の一般的な解説部分であり、比較表および各製品・サービスの紹介内容は監修の対象外です。

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